特許第6167677号(P6167677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167677
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】ファンにおける翼及びファン
(51)【国際特許分類】
   F02K 3/06 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
   F02K3/06
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-119562(P2013-119562)
(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-238013(P2014-238013A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小河原 和人
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−085055(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/121334(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 3/06
F04D 1/00−13/16
F04D 17/00−19/02
F04D 21/00−25/16
F04D 29/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機エンジンにおけるファンに用いられる翼において、
翼厚方向一方側に腹面を有し、翼厚方向他方側に背面を有した翼本体と、
前記翼本体の基端に形成され、径方向外側に空気の流路面を有したプラットフォームとを備え、
前記翼本体の基端が前記プラットフォームの前記流路面における前記ファンの円周方向の一方側に位置し、
前記プラットフォームの前記流路面の反対面における上流端側に第1フランジが形成され、前記プラットフォームの前記流路面の反対面における下流端側に第2フランジが形成され、
前記プラットフォームの前記流路面の反対面における前記円周方向の他方側の部位にのみ、前記プラットフォームを補強する第1リブが形成され、前記第1リブが前記プラットフォームの軸方向中心に対して前記第1フランジと前記第2フランジとのフランジ間距離の8〜30%だけ上流側に離隔した第1位置から前記プラットフォームの上流端に向かって延びており、前記プラットフォームの前記流路面の反対面における前記円周方向の他方側の部位にのみ、前記プラットフォームを補強する第2リブが形成され、前記第2リブが前記プラットフォームの軸方向中心に対して前記フランジ間距離の8〜30%だけ下流側に離隔した第2位置から前記プラットフォームの下流端に向かって延びているファンにおける翼。
【請求項2】
前記プラットフォームの軸方向中心に対して前記フランジ間距離の8〜30%だけ上流側及び下流側に離隔したエリアは、前記航空機エンジンの運転中における最大変位の生じる位置から最大変位の90〜50%の変位が生じる位置までのエリアに相当する請求項1に記載のファンにおける翼。
【請求項3】
前記第1フランジが前記航空機エンジンにおける筒状のファンフレームの一部に締結可能であって、前記第2フランジが前記ファンフレームの外周面の一部に締結可能であって、前記第1リブが前記第1位置から前記第1フランジにかけて延びており、前記第2リブが前記第2位置から前記第2フランジにかけて延びている請求項1又は請求項2に記載のファンにおける翼。
【請求項4】
航空機エンジンにおける筒状のコアカウルの内側に形成された環状のコア流路、及び前記コアカウルの外側に配設した筒状のファンケースの内周面と前記コアカウルの外周面との間に形成されたバイパス流路に空気を取入れるファンにおいて、
請求項1から請求項3のうちのいずれかの1項に記載のファンにおける翼を備えたファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機エンジンにおけるファンに用いられるファン出口案内翼等の翼等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファンの構成要素であるファン出口案内翼(ファン静翼)について種々の開発が行われており(特許文献1及び特許文献2等参照)、ファン出口案内翼の一般的な構成を説明すると、次のようになる。
【0003】
ファン出口案内翼は、翼本体としての案内翼本体を備えており、この案内翼本体は、翼厚方向一方側に、腹面(正圧面)を有し、翼厚方向他方側に、背面(負圧面)を有している。また、案内翼本体の基端(径方向内端)には、プラットフォームが形成されており、このプラットフォームは、径方向外側に、空気の流路面を有している。そして、プラットフォームの流路面の反対面における上流端側(軸方向一方側の端側)には、航空機エンジンにおける筒状のファンフレームの一部に締結可能な第1フランジが形成されており、プラットフォームの流路面の反対面における下流端側(軸方向他方側の端側)には、ファンフレームの別の一部に締結可能な第2フランジが形成されている。更に、案内翼本体の先端(径方向外端)における前縁側(上流端側)には、航空機エンジンにおけるファンケースの一部に締結可能な第1接続片が形成されており、案内翼本体の先端における後縁側(下流端側)には、ファンケースの一部に締結可能な第2接続片が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−196179号公報
【特許文献2】特開2008−82337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、航空機エンジンの燃費向上を目的とした高バイパス比化の要請によって、ファンの直径が大きくなる傾向にあり、それに伴い、ファン出口案内翼の径方向の長さだけでなく、ファン出口案内翼の軸長(軸方向の長さ)が拡大することになる。そのため、プラットフォームの剛性が低くなって、一次振動モードにおけるプラットフォームの固有振動数が低下して、プラットフォームの振動強度を高いレベルで確保することが困難になる。一方、プラットフォームの流路面の反対面(径方向内側面)に、プラットフォームを補強するリブをプラットフォームの軸方向中心を経由してプラットフォームの上流端側から下流端側にかけて連続して形成することにより、プラットフォームの剛性を高めることも考えられるが、出口案内翼の重量が増大して、ファンの軽量化、換言すれば、航空機エンジンの軽量化が困難になる。
【0006】
つまり、航空機エンジンの軽量化を促進しつつ、プラットフォームの振動強度を高いレベルまで確保することは困難であるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のファンにおける翼等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、前述の課題を解決するために、試行錯誤を繰り返して、図4(a)(b)に示す比較例及び発明例に係るファン出口案内翼のプラットフォームについて固有値解析を行った結果、次のような新規な知見を得ることができ、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、プラットフォームの流路面の反対面リブを備えたファン出口案内翼において、プラットフォームの軸方向中心Cに対して第1フランジと第2フランジとのフランジ間距離Lの8〜30%だけ上流側及び下流側に離隔した所定のエリアを除いた部位にリブが形成された場合(発明例に係るファン出口案内翼の場合)には、プラットフォームの軸方向中心Cを経由してプラットフォームの上流端側から下流端側にかけてリブが連続して形成された場合(比較例に係るファン出口案内翼の場合)に比べて、一次振動モードにおけるプラットフォームの固有振動数が高くなる(具体的には、1.170倍になる)ことが判明した。ここで、プラットフォームの軸方向中心Cに対して前記フランジ間距離Lの8〜30%だけ上流側及び下流側に離隔した所定のエリアは、図5(a)に示すプラットフォームを解析対象とし、航空機エンジンの運転中におけるプラットフォームの変位についての一次振動モード解析の結果に基づいて予め設定したエリアであって、航空機エンジンの運転中における最大変位の生じる位置から最大変位の90〜50%の変位が生じる位置までのエリアに相当するものである。また、図5(b)は、航空機エンジンの運転中におけるプラットフォームの変位についての一次振動モード解析の結果を示しており、図5(b)中の数値は、プラットフォームの最大変位量を1.0として、プラットフォームの変位量を無次元化したものであって、図示は省略するが、最大変位量の位置(変位量1.0の位置)は、0.9のエリア内に存在している。
【0010】
なお、図4及び図5において、「FF」は、前方向(上流方向)、「FR」は、後方向(下流方向)、「AD」は、軸方向、「RD」は、径方向、「TD」は、翼厚方向をそれぞれ指している。また、航空機エンジンの運転とは、離陸してから着陸するまでの航空機エンジンの一連の動作のことをいう。
【0011】
本発明の態様は、航空機エンジンにおけるファンに用いられる翼において、翼厚方向一方側に腹面(正圧面)を有し、翼厚方向他方側に背面(負圧面)を有した翼本体と、前記翼本体の基端(径方向内端)に形成され、径方向外側に空気の流路面を有したプラットフォームとを備え、前記翼本体の基端が前記プラットフォームの前記流路面における前記ファンの円周方向の一方側に位置し、前記プラットフォームの前記流路面の反対面(径方向内側面)における上流端側(軸方向一方側の端側)に第1フランジが形成され、前記プラットフォームの前記流路面の反対面における下流端側(軸方向他方側の端側)に第2フランジが形成され、前記プラットフォームの前記流路面の反対面における前記円周方向の他方側の部位にのみ、前記プラットフォームを補強する第1リブが形成され、前記第1リブが前記プラットフォームの軸方向中心に対して前記第1フランジと前記第2フランジとのフランジ間距離(前記第1フランジと前記第2フランジとの軸方向の間隔距離)の8〜30%だけ上流側(軸方向一方側)に離隔した第1位置から前記プラットフォームの上流端(軸方向一方側の端)に向かって延びており、前記プラットフォームの前記流路面の反対面における前記円周方向の他方側の部位にのみ、前記プラットフォームを補強する第2リブが形成され、前記第2リブが前記プラットフォームの軸方向中心に対して前記フランジ間距離の8〜30%だけ下流側(軸方向他方側)に離隔した第2位置から前記プラットフォームの下流端(軸方向他方側の端)に向かって延びていることである。
【0012】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「ファンにおける翼」とは、ファン出口案内翼、ファン動翼を含む意である。また、「軸方向」とは、翼をファンに用いた状態においてファンの軸方向になる方向のことをいい、「径方向」とは、翼をファンに用いた状態においてファンの径方向になる方向のことをいう。
【0013】
本発明の第1の態様によると、前記プラットフォームの前記流路面の反対面における前記円周方向の他方側の部位であって、前記プラットフォームの軸方向中心に対して前記フランジ間距離の8〜30%だけ上流側及び下流側に離隔した所定のエリア(前記第1位置と前記第2位置の間のエリア)を除く部位に、前記第1リブ及び前記第2リブが形成されることになる。そのため、前述の新規な知見を適用すると、前記プラットフォームの軸方向中心を経由して前記プラットフォームの上流端側から下流端側にかけてリブを連続して形成する場合よりも、一次振動モードにおける前記プラットフォームの固有振動数を十分に高めることができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、航空機エンジンにおける筒状のコアカウルの内側に形成された環状のコア流路、及び前記コアカウルの外側に配設した筒状のファンケースの内周面と前記コアカウルの外周面との間に形成されたバイパス流路に空気を取入れるファンにおいて、第1の態様からなるファンにおける翼を備えたことを要旨とする。
【0015】
第2の態様によると、第1の態様による作用と同様の作用を奏する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記プラットフォームの軸方向中心を経由して前記プラットフォームの上流端側から下流端側にかけて前記リブを連続して形成する場合よりも、一次振動モードにおける前記プラットフォームの固有振動数を十分に高めることができるため、前記ファンにおける翼の重量を減らして、前記ファンの軽量化、換言すれば、前記航空機エンジンの軽量化を促進しつつ、前記プラットフォームの振動強度を高いレベルまで確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、図3における矢視部Iの拡大図である。
図2図2は、プラットフォームの流路面の反対面側から見た本発明の実施形態に係るファン出口案内翼の部分斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るファンを備えた航空機エンジンの前側部分の半側断面図である。
図4図4(a)は、比較例に係るファン出口案内翼のプラットフォームの流路面の反対面側を示す図、図4(b)は、発明例に係るファン出口案内翼のプラットフォームの流路面の反対面側を示す図である。
図5図5(a)は、解析対象としてのプラットフォームの流路面側を示す図、図5(b)は、航空機エンジンの運転中におけるプラットフォームの変位についての一次振動モード解析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図1から図3を参照して説明する。なお、図1から図3において、「FF」は、前方向(上流方向)、「FR」は、後方向(下流方向)、「AD」は、軸方向、「RD」は、径方向、「TD」は、翼厚方向をそれぞれ指している。
【0019】
図3に示すように、本発明の実施形態に係るファン1は、航空機エンジンにおける筒状のコアカウル3の内側に形成された環状のコア流路5、及びコアカウル3の外側に配設した筒状のファンケース7の内周面とコアカウル3の外周面との間に形成されたバイパス流路9に空気を取入れるものである。そして、本発明の実施形態に係るファン1の一般的な構成等について説明すると、次のようになる。
【0020】
コアカウル3の前部には、ファンディスク11がベアリング13等を介して回転可能に設けられており、このファンディスク11は、ファン1の後方に配設された低圧タービン(図示省略)の複数段の低圧タービンロータ(図示省略)に同軸状に一体的に連結されている。また、ファンディスク11の外周面には、複数の嵌合溝(嵌合切欠)15が等間隔に形成されている。
【0021】
ファンディスク11の各嵌合溝15には、ファン動翼17が嵌合して設けられており、各ファン動翼17は、翼本体としての動翼本体19と、この動翼本体19の基端(径方向内端)に形成されたプラットフォーム21と、このプラットフォーム21の径方向内側に形成されかつファンディスク11の嵌合溝15に嵌合可能なダブテール23とを備えている。また、ファンディスク11の各嵌合溝15の底面と各ファン動翼17のダブテール23との間には、複数のスペーサ25が設けられている。そして、ファンディスク11の前側(上流側)には、複数のファン動翼17を保持する環状のフロントリテーナ27が一体的に設けられており、ファンディスク11の後側(下流側)には、複数のファン動翼17を保持する環状のリアリテーナ29が一体的に設けられている。なお、フロントリテーナ27は、空気を案内するノーズコーン31に一体的に連結されており、リアリテーナ29は、ファン1の後側に配設された低圧圧縮機33における低圧圧縮機ロータ35に同軸状に一体的に連結されている。
【0022】
コアカウル3とファンケース7との間におけるファン動翼17の下流側には、空気の流れを整流する複数のファン出口案内翼37が円周方向に等間隔に設けられている。そして、本発明の実施形態に係るファン出口案内翼37の具体的な構成について説明すると、次のようになる。
【0023】
図1及び図3に示すように、ファン出口案内翼37は、翼本体としての案内翼本体39を備えており、この案内翼本体39は、翼厚方向一方側に、腹面(正圧面)39vを有してあって、翼厚方向他方側に、背面(負圧面)39bを有している。また、案内翼本体39の基端(径方向内端)には、プラットフォーム41が形成されており、このプラットフォーム41は、径方向外側に空気の流路面41fを有している。
【0024】
プラットフォーム41の流路面41fの反対面41dにおける上流端側(前端側)には、円弧状の第1フランジ43が形成されており、この第1フランジ43は、コアカウル3の一部である筒状のファンフレーム45の外周面に形成した環状又は円弧状の第1相手フランジ47にボルト49とナット51によって締結可能である。また、プラットフォーム41の流路面41fの反対面41dにおける下流端側(後端側)には、円弧状の第2フランジ53が形成されており、この第2フランジ53は、ファンフレーム45の外周面における第1相手フランジ47の下流側に形成した環状又は円弧状の第2相手フランジ55にボルト57とナット59によって締結可能である。
【0025】
案内翼本体39の先端(径方向外端)における前縁側(上流端側)には、第1接続片61が形成されており、この第1接続片61は、ファンケース7の拡径部7eにボルト63とナット65によって締結可能である。また、案内翼本体39の先端における後縁側(下流端側)には、第2接続片67が形成されており、この第2接続片67は、ファンケース7の拡径部7eにボルト69とナット71によって締結可能である。
【0026】
図1及び図2に示すように、プラットフォーム41の流路面41fの反対面(径方向内側面)41dにおける腹面39v側(翼厚方向一方側)の部位には、プラットフォーム41を補強する第1リブ73が形成されている。そして、第1リブ73は、プラットフォーム41の軸方向中心Cに対して第1フランジ43と第2フランジ53とのフランジ間距離(第1フランジ43と第2フランジ53との軸方向の間隔距離)Lの8〜30%だけ上流側(軸方向一方側)に離隔した第1位置P1から第1フランジ43にかけて延びている。また、プラットフォーム41の流路面41fの反対面41dにおける腹面39v側の部位には、プラットフォーム41を補強する第2リブ75が形成されている。そして、第2リブ75は、プラットフォーム41の軸方向中心Cに対してフランジ間距離Lの8〜30%だけ下流側(軸方向他方側)に離隔した第2位置Pから第2フランジ53にかけて延びている。
【0027】
換言すれば、プラットフォーム41の流路面41fの反対面41dにおける腹面39v側の部位であって、プラットフォーム41の軸方向中心Cに対してフランジ間距離Lの8〜30%だけ上流側及び下流側に離隔した所定のエリア(第1位置P11と第2位置Pの間のエリア)を除く部位に、第1リブ73及び第2リブ75が形成されている。ここで、所定のエリアは、航空機エンジンの運転中におけるプラットフォーム41の変位についての一次振動モード解析の結果に基づいて予め設定したエリアであって、航空機エンジンの運転中における最大変位の生じる位置から最大変位の90〜50%の変位が生じる位置までのエリアに相当するものである。所定のエリアを除く部位に第1リブ73及び第2リブ75が形成されるようにしたのは、所定のエリアに第1リブ73及び第2リブ75が形成されると、一次振動モードにおけるプラットフォーム41の固有振動数を十分に高めることができなくなるからである。
【0028】
なお、本発明の実施形態にあっては、プラットフォーム41の流路面41fの反対面41dにおける腹面39v側の部位に第1リブ73及び第2リブ75が形成されているが、プラットフォーム41に対する案内翼本体39の位置関係が変更されることによって、プラットフォーム41の流路面41fの反対面41dにおける背面39b側(翼厚方向他方側)の部位に形成されることもある。また、第1リブ73が第1位置Pから第1フランジ43にかけて延びていなくても、第1位置Pからプラットフォーム41の上流端に向かって延びていれば構わなく、同様に、第2リブ75が第2位置Pから第2フランジ53にかけて延びていなくても、第2位置Pからプラットフォーム41の下流端に向かって延びていれば構わない。
【0029】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0030】
航空機エンジンの稼働によりファンディスク11を回転させることにより、複数のファン動翼17をファンディスク11と一体的に回転させて、コア流路5及びバイパス流路9に空気を取入れることができる。そして、バイパス流路9の取入れた空気の流れは、複数のファン出口案内翼37によって整流される(ファン1の通常の作用)。
【0031】
ファン1の通常の作用の他に、ファン出口案内翼37において、プラットフォーム41の流路面41fの反対面41dにおける腹面39v側の部位であって、プラットフォーム41の軸方向中心Cに対してフランジ間距離Lの8〜30%だけ上流側及び下流側に離隔した所定のエリアを除く部位に、第1リブ73及び第2リブ75が形成されているため、前述の新規な知見を適用すると、プラットフォーム41の軸方向中心Cを経由してプラットフォーム41の上流端側から下流端側にかけてリブを連続して形成した場合(比較例に係るファン出口案内翼の場合(図4(a)参照))よりも、一次振動モードにおけるプラットフォーム41の固有振動数を十分に高めることができる。
【0032】
従って、本発明の実施形態によれば、ファン出口案内翼37の重量を減らして、ファン1の軽量化、換言すれば、航空機エンジンの軽量化を促進しつつ、プラットフォーム41の振動強度を高いレベルまで確保することができる。
【0033】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、ファン出口案内翼37における第1リブ73及び第2リブ75の構成をファン動翼17に適用する等、その他、適宜の変更を行うことにより、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0034】
1:ファン、3:コアカウル、5:コア流路、7:ファンケース、7e:ファンケースの拡径部、9:バイパス流路、11:ファンディスク、15:嵌合溝、17:ファン動翼、19:動翼本体、21:プラットフォーム、23:ダブテール、37:ファン出口案内翼、39:案内翼本体、39b:案内翼本体の背面、39v:案内翼本体の腹面、41:プラットフォーム、41f:プラットフォームの流路面、41d:プラットフォームの収路面の反対面、43:第1フランジ、45:ファンフレーム、47:第1相手フランジ、53:第2フランジ、55:第2相手フランジ、61:第1接続片、67:第2接続片、73:第1リブ、75:第2リブ、P1:第1位置、P:第2位置
図1
図2
図3
図4
図5