(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<1.第1の実施形態>
(1−1.媒体処理装置の構成)
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置の一例であるプリンタ10の構成について説明する。
【0022】
プリンタ10は、例えば、金融機関に設置される自動取引装置(ATM)に組み込まれている。プリンタ10においては、ジャーナル用紙と呼ばれる連続用紙が供給軸に巻き付けられている。そして、供給軸から連続用紙が印字部に供給されて、自動取引装置での取引内容が印字部により連続用紙に印字される。印字後の連続用紙は、巻取り軸に巻き取られる。なお、連続用紙が、長尺の連続媒体に該当する。
【0023】
図1は、第1の実施形態に係るプリンタ10の構成の一例を示す側面図である。
図1に示すように、プリンタ10は、用紙収納部20と、印字部30と、用紙巻取り部40と、を有する。用紙収納部20、印字部30、及び用紙巻取り部40は、左右一対のフレーム12に取り付けられている。
【0024】
(用紙収納部20)
用紙収納部20は、印字される連続用紙Sを収納する。用紙収納部20は、プリンタ10の上方に設けられている。
図1に示すように、用紙収納部20は、供給軸22と、搬送ローラ24と、を有する。
【0025】
供給軸22には、給紙される連続用紙Sが巻き付けられている。供給軸22は、フレーム12に着脱可能に取り付けられている。供給軸22は、フレーム12に回転可能に支持されており、回転することにより巻き付けられた連続用紙Sを印字部30に供給する。搬送ローラ24は、供給軸22と印字部30の間に設けられ、印字部30へ連続用紙Sを搬送する。
【0026】
(印字部30)
印字部30は、供給軸22から供給された連続用紙Sに印字を行う。印字部30は、例えば所謂インクジェット方式で印字を行う。
図1に示すように、印字部30は、プラテン32と、印字ヘッド34と、を有する。
【0027】
プラテン32は、印字される連続用紙Sを支持するローラである。印字ヘッド34は、プラテン32に対向するように設けられており、例えばインクを連続用紙Sに噴射して印字を行う。印字ヘッド34は、印字時には、スプリング等の付勢部材(不図示)により連続用紙Sを介してプラテン32に押し当てるようになっている。
【0028】
(用紙巻取り部40)
用紙巻取り部40は、印字部30により印字された連続用紙Sを巻き取る。
図1に示すように、用紙巻取り部40は、ガイドローラ42と、一対のガイド板44a、44aと、媒体巻取り軸の一例である巻取り軸46と、検出部材48と、を有する。
【0029】
ガイドローラ42は、印字後の連続用紙Sを巻取り軸46へガイドするローラである。一対のガイド板44a、44bは、ガイドローラ42の両側に開閉可能に設けられている。ガイド板44a、44bは、それぞれ支点45a、45bを中心に回転することで、開閉する。
【0030】
巻取り軸46は、回転することにより印字後の連続用紙Sを巻き取る。
図1中のRは、連続用紙Sの最大巻取り径を示している。巻取り軸46は、フレーム12に形成されたガイド溝12aに着脱可能である。巻取り軸46は、フレーム12に回転可能に支持されており、回転することにより連続用紙Sを巻き取る。
【0031】
ここで、
図2及び
図3を参照しながら、巻取り軸46の詳細構成について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る巻取り軸46の詳細構成の一例を示す斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る巻取り軸46が連続用紙Sを巻き取った状態を示す斜視図である。
【0032】
図2に示すように、巻取り軸46は、2分割された第1コア51と第2コア52とにより構成される。第1コア51と第2コア52は、軸方向の一端側において連結されている。なお、第1コア51と第2コア52は、ここでは別部品であるが、第1コア51と第2コア52が樹脂で一体成形されても良い。
【0033】
第1コア51と第2コア52の間には、軸方向の他端を開放した楔状の隙間であるスリット53が形成されている。別言すれば、第1コア51と第2コア52の間にスリット53が形成されるように、所定形状の第2コア52が第1コア51に対して配置されている。スリット53は、巻取り軸46の中心部を避けて径方向に貫通している。そして、スリット53は、軸方向の他端から一端側へ向けて、軸方向に沿って形成されている(
図4参照)。
【0034】
第1コア51には、巻取り軸46の回転支点となる回転軸51aが設けられている。回転軸51aは、第1コア51の両側面から突出形成されている。回転軸51aの軸方向一端側には、回転用ギア54が設けられている。回転用ギア54は、モータ(不図示)から駆動力を回転用ギア54に伝達する伝達ギア14と噛み合っている。
【0035】
また、回転用ギア54の外側には、回転用ギア54に隣接するようにフランジ55が設けられている。フランジ55の直径は、回転用ギア54の直径よりも大きい。フランジ55の外周には、後述する検出部材48のスイッチ48aが接触可能な溝55aが形成されている。
【0036】
第1コア51の軸方向他端側の側面には、第2コア52と嵌合して第2コア52を第1コア51に対して位置決めする位置決め部材60が設けられている。位置決め部材60は、回転軸61を回転支点として、巻取り軸46に巻き取られた連続用紙Sを抜き取り可能な開位置(
図3に示す位置)と、第2コア52と嵌合する閉位置(
図4に示す位置)と、の間で回動する。なお、
図3に示す方向D2が、連続用紙Sの巻取り軸46からの抜き取り方向である。
【0037】
位置決め部材60は、閉位置に位置する際に第2コア52を位置決めする。位置決め部材60は、位置決め穴62を有し、位置決め部材60が閉位置に位置する際に、第2コア52と係合する。より詳細には、位置決め部材60が閉位置に位置する際に、位置決め部材60の位置決め穴62が、第2コア52の軸方向他端側に形成された嵌合軸52aと嵌合することで、第2コア52の位置が固定される。
【0038】
位置決め部材60が開位置に位置する際には、第2コア52は第1コア51との連結部分にて支持される(すなわち、片持ち支持状態になる)ため、第2コア52が撓みやすい。かかる場合には、連続用紙Sの抜き取りが円滑に行なわれる。一方で、位置決め部材60が閉位置に位置する際には、第2コア52は第1コア51との連結部分及び位置決め部材60との嵌合部分にて支持される(すなわち、両持ち支持状態になる)ため、第2コア52が撓みにくい。かかる場合には、巻取り軸46の姿勢が安定し、連続用紙Sを適切に巻き取ることができる。なお、詳細は後述するが、位置決め部材60と第2コア52には、位置決め部材60が外れることを防止するための回動規制部が設けられている。
【0039】
図1に戻って、用紙巻取り部40の構成の説明を続ける。
検出部材48は、巻取り軸46の回転位置を検出する。具体的には、検出部材48は、フランジ55の溝55aに接触可能なスイッチ48aを有し、スイッチ48aにより溝55aを検出することで巻取り軸46の回転位置を検出する。なお、検出部材48は、スイッチ48aに代わりに、光学センサ等により巻取り軸46の回転位置を検出しても良い。
【0040】
プリンタ10は、
図1には図示されていないが、プリンタ10の動作全体を制御する制御ユニットを有する。制御ユニットは、用紙収納部20、印字部30、及び用紙巻取り部40の動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。
【0041】
(1−2.プリンタの動作例)
連続用紙Sを巻取り軸46にセットして巻き取る際のプリンタ10の動作例について、
図1等を参照しながら説明する。以下に説明するプリンタ10の動作は、制御ユニットにより実行される。
【0042】
本動作は、操作者が、連続用紙Sの巻き付け前の巻取り軸46の第1コア51の回転軸51aを、フレーム12のガイド溝12a内に入れ、ガイド溝12aの閉止端まで押し込んだところから開始される。
【0043】
まず、制御ユニットは、モータにより伝達ギア14及び回転用ギア54を介して伝達された駆動力により、巻取り軸46を
図1に示すD1方向に回転させる。その後、制御ユニットは、検出部材48が溝55aを検出した位置で、回転中の巻取り軸46を停止させる。これにより、
図1に示すように、スリット53の幅の広い部分がガイド板44a、44b側になる位置で、巻取り軸46が停止する。
【0044】
巻取り軸46が停止した状態で、操作者は、供給軸22に巻き付けられた連続用紙Sの先端部を引き出して、プラテン32と印字ヘッド34の間に位置させる。その後、プラテン32が所定の方向に回転すると、連続用紙Sの先端部は、搬送されてガイド板44a、44bの間を通ってスリット53に進入する。そして、連続用紙Sが更に搬送されると、連続用紙Sの先端部はスリット53から突出する。
【0045】
その後、制御ユニットが、巻取り軸46を
図1に示すD1方向に数回転させると、連続用紙Sは巻取り軸46に巻き付けられる。これにより、連続用紙Sの巻取り軸46のセットが完了する。
【0046】
その後、制御ユニットは、印字ヘッド34により連続用紙Sに印字を行わせる。そして、制御ユニットは、搬送ローラ24、プラテン32、及び巻取り軸46を回転させて、印字後の連続用紙Sを搬送させて巻取り軸46に巻き取らせる。このように、連続用紙Sの印字と搬送が繰り返されて、印字後の連続用紙Sが巻取り軸46に巻き取られることになる。
【0047】
連続用紙Sの巻取り軸46への巻取りが完了し、連続用紙Sを巻取り軸46から取り外す場合には、操作者は、以下のような操作を行う。まず、操作者は、連続用紙Sが巻き付けられた巻取り軸46をフレーム12から取り外す。次に、操作者は、位置決め部材60を閉位置から開位置へ回転させた後に、連続用紙Sを
図3に示すD2方向にスライドさせる。すなわち、巻取り軸46のスリット53の開放端側へ連続用紙Sをスライトさせるとことで、巻取り軸46から連続用紙Sを抜き取ることができる。
【0048】
(1−3.位置決め部材60が閉位置から外れる事象)
上述したように、巻取り軸46は、位置決め部材60が閉位置に位置した状態で、印字後の連続用紙Sを巻き取る。位置決め部材60が閉位置に位置する際には、位置決め部材60が第2コア52と係合している。具体的には、位置決め部材60の位置決め穴62と、第2コア52の嵌合軸52aとが嵌合している。
【0049】
ところで、巻取り軸46が連続用紙Sを巻き取る時に、連続用紙Sから巻取り軸46へ締め付け力が発生する。締め付け力が発生すると、巻取り軸46の第2コア52が撓み、この結果、位置決め部材60が閉位置から外れる恐れがある。以下では、
図4を参照しながら、かかる事象を具体的に説明する。
【0050】
図4は、連続用紙Sの締め付け力により位置決め部材60が閉位置から外れる事象を説明するための図である。なお、
図4に示す一点鎖線が、第2コア52の中心が撓んだ状態を模式的に示す。巻取り軸46が連続用紙Sを巻き取る際に、
図4に示す締め付け力Fが発生する。この締め付け力Fによって、第2コア52が軸方向の中央側が凹むように撓む。すると、閉位置に位置する位置決め部材60は、第2コア52の嵌合軸52aから
図4に示すD3方向の力を受ける。
【0051】
ここで、D3方向の力は、位置決め部材60が閉位置から外れるD4方向の分力を有する。このため、D4方向の力が位置決め部材60に作用すると、位置決め部材60の位置決め穴62と第2コア52の軸側突起52bとの嵌合状態が解除され、位置決め部材60が回動して閉位置から外れてしまう。
【0052】
閉位置から外れた位置決め部材60は、開位置へ向かって回動し、フレーム12に接触する。その状態で、巻取り軸46を更に回転させると、位置決め部材60のフレーム12との接触部の負荷によって、巻取り軸46は、
図5に示すD5方向に移動する。すなわち、巻取り軸46が、ガイド溝12aから外される方向に移動する。
図5は、巻取り軸46の移動を説明するための図である。
【0053】
巻取り軸46が
図5に示すD5方向に移動することで、巻取り軸46の回転位置を検出する検出部材48のスイッチ48aが、巻取り軸46のフランジ55の溝55aと接触しなくなる。このため、巻取り軸46の回転位置を適切に検出できず、また回転用ギア54が伝達ギア14と噛み合わなくなるので、連続用紙Sの巻取り不良が発生する恐れがある。また、巻取り軸46がフレーム12から外れることで、プリンタ10を含む自動取引装置が適切に運用できなくなる。
【0054】
なお、上記では、巻取り軸46が連続用紙Sを巻き取る際に、位置決め部材60が閉位置から外れることとしたが、これに限定されない。例えば、巻取り軸46に多量の連続用紙Sが巻き付けられている場合には、巻取り軸46が停止していても、連続用紙Sから巻取り軸46に締付け力が作用して、位置決め部材60が閉位置から外れる場合がある。
【0055】
(1−4.回動規制部の構成)
連続用紙Sから巻取り軸46へ作用する締付け力に起因して位置決め部材60が第2コア52との係合状態から外れることを防止するために、第1の実施形態に係る巻取り軸46は、位置決め部材60が第2コア52との係合状態から外れる方向に回動することを規制する回動規制部を有する。
【0056】
前述したように、位置決め部材60は位置決め穴62を有し、位置決め穴62が第2コア52の嵌合軸52aと嵌合することで、位置決め部材60が第2コア52と嵌合する。回動規制部は、嵌合する位置決め穴62と嵌合軸52aにそれぞれ軸方向に沿って形成された突起である。これらの突起同士が引っ掛かることで、位置決め部材60の嵌合状態(係合状態)から外れる方向への回動が規制されている。
【0057】
図6は、第1の実施形態に係る回動規制部の詳細構成の一例を示す図である。
図6では、位置決め穴62が嵌合軸52aと嵌合している状態が示されている。
図6に示すように、位置決め穴62の内周には、穴側突起63が形成され、嵌合軸52aの外周には、軸側突起52bが形成されている。なお、第1の実施形態では、穴側突起63が第1突起に該当し、軸側突起52bが第2突起に該当する。
【0058】
穴側突起63は、穴62の内周に環状に形成されても良く、又は穴62の内周の一部に形成されても良い。軸側突起52bは、穴側突起63の位置と対応するように形成されている。すなわち、位置決め穴62と嵌合軸52aが嵌合している際に、軸方向において軸側突起52bと穴側突起63が隣接している。具体的には、軸側突起52bは穴側突起63よりも軸方向において外側に位置している。
【0059】
また、穴側突起63の突出量と、軸側突起52bの突出量の合計は、位置決め穴62と嵌合軸52aの間の隙間よりも大きい。このため、連続用紙Sの締付け力によって位置決め部材60が嵌合状態から外れる方向へ回動する際に、位置決め部材60の穴側突起63が第2コア52の軸側突起52bを乗り越えることができず、移動が規制される。これにより、位置決め部材60が嵌合状態から外れることを防止できる。なお、操作者が位置決め部材60を開ける場合には、位置決め部材60が撓むことで、穴側突起63が軸側突起52bを乗り越える。
【0060】
ところで、連続用紙Sの締付け力による第2コア52の撓みは、巻取り軸46が連続用紙Sを巻き取る際に発生しやすい。このため、回動規制部は、巻取り軸46が連続用紙Sを巻き取る際に、位置決め部材60が第2コア52との嵌合状態から外れる方向に回動することを規制することが望ましい。これにより、巻取り軸46の回転中に位置決め部材60が嵌合状態から外れることを有効に防止できる。また、位置決め部材60が嵌合状態から外れて状態で巻取り軸46が回転することも防止できるので、連続用紙Sの巻取り不良の発生も防止できる。
【0061】
なお、上記では、位置決め部材60の位置決め穴62が第2コア52の嵌合軸52aと嵌合することとしたが、これに限定されない。例えば、第2コア52に位置決め穴が設けられ、位置決め部材60に位置決め穴と嵌合する嵌合軸が設けられても良い。かかる場合には、回動規制部は、第2コア52の位置決め穴の内周に形成された穴側突起と、位置決め部材60の嵌合軸に形成された軸側突起とになる。かかる構成の場合にも、連続用紙Sから巻取り軸46へ作用する締付け力に起因して位置決め部材60が第2コア52との嵌合状態から外れることを防止できる。
【0062】
<2.第2の実施形態>
図7及び
図8を参照しながら、第2の実施形態に係る巻取り軸46の構成について説明する。
【0063】
第2の実施形態に係る巻取り軸46は、位置決め部材60が第2コア52と嵌合する方向に位置決め部材60を付勢する付勢部材を有する。なお、第2の実施形態に係る巻取り軸46において付勢部材以外の構成は、第1の実施形態と同様なので詳細な説明は省略する。
【0064】
図7は、第2の実施形態に係る付勢部材の一例である板バネ121を示す図である。
図7に示す板バネ121は、位置決め部材60の位置決め穴62の周囲を付勢するように設けられている。板バネ121の付勢力は、
図7に示すD6方向である。これにより、位置決め穴62が嵌合軸52aと嵌合しやすくなる。
【0065】
図8は、第2の実施形態に係る付勢部材の一例であるトーションスプリング122を示す図である。
図8に示すトーションスプリング122も、位置決め部材60の位置決め穴62の周囲を付勢するように設けられている。トーションスプリング122の付勢力も、
図8に示すD6方向である。
【0066】
第2の実施形態においては、位置決め部材60は、付勢部材から付勢力を受けて第2コア52と嵌合する閉位置に保持されやすい。そして、板バネ121やトーションスプリング122の付勢力は、
図4に示すD方向の力よりも大きいことが望ましい。これにより、位置決め部材60が閉位置から開位置へ向けて回動することを抑制できるので、位置決め部材60が第2コア52との嵌合状態から外れることを防止できる。
【0067】
また、位置決め部材60を閉位置から開位置へ回動させて巻取り軸46から連続用紙Sを抜き取った後に、位置決め部材60は、付勢部材の付勢力を受けて自動で閉位置に戻る。これにより、操作者が位置決め部材60を閉位置に戻し忘れることを防止できるので、第2コア52が適切に位置決めされることになり、巻取り軸46の巻取り不良等の問題の発生を防止できる。
【0068】
なお、第2の実施形態でも、第1の実施形態で説明した回動規制部を設けても良い。かかる場合には、回動規制部と付勢部材によって、位置決め部材60が第2コア52との嵌合状態から外れることをより有効に防止できる。
【0069】
<3.第3の実施形態>
図9及び
図10を参照しながら、第3の実施形態に係る巻取り軸46の構成について説明する。
図9は、第3の実施形態に係る巻取り軸46を正面から見た図である。
図10は、第3の実施形態に係る位置決め部材60と嵌合軸52aの係合状態を示す図である。なお、
図9に示す位置決め部材60は、閉位置と開位置との間に位置している。
【0070】
図9に示すように、第3の実施形態に係る巻取り軸46の位置決め部材60の位置決め穴は、略U字状に形成された溝穴132である。また、溝穴132の内周には、穴側突起133が形成されている。これにより、位置決め部材60が嵌合軸52aと係合している場合には、
図10に示すように、溝穴132の穴側突起133が嵌合軸52aの軸側突起52bに引っかかる構成となっている。
【0071】
これにより、第3の実施形態でも、連続用紙Sの締付け力によって位置決め部材60が嵌合状態から外れる方向へ回動する際に、溝穴132の穴側突起133が第2コア52の軸側突起52bを乗り越えることができず、移動が規制される。これにより、位置決め部材60が係合状態から外れることを防止できる。
【0072】
また、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に付勢部材であるトーションスプリング122が設けられている。これにより、位置決め部材60は、トーションスプリング122の付勢力を受けて自動で閉位置に戻る。これにより、操作者が位置決め部材60を閉位置に回動し忘れることを防止できるので、第2コア52が適切に位置決めされることになり、巻取り軸46の巻取り不良等の問題の発生を防止できる。
【0073】
ところで、第3の実施形態において、溝穴132の直径は、嵌合軸52aの直径より大きい。かかる場合には、位置決め部材60が開位置から閉位置へ回動する際に、溝穴132が嵌合軸52aに対して位置ずれ(具体的には、
図9の左右方向に位置ずれ)していても、位置決め部材60が、トーションスプリング122により付勢されて所望の閉位置に戻ることになる。この結果、穴側突起133が軸側突起52bに引っかかる状態となる。
【0074】
<4.第4の実施形態>
図11及び
図12を参照しながら、第4の実施形態に係る巻取り軸46の構成について説明する。
図11は、第4の実施形態に係る位置決め部材60が開位置に位置する際の巻取り軸46の側面図である。
図12は、位置決め部材60が閉位置に位置する際の巻取り軸46の正面図である。
【0075】
第4の実施形態に係る巻取り軸46は、位置決め部材60が開位置に位置した状態を保持する保持部を有する。
図11に示すように、位置決め部材60の回転軸61に支持される腕部143に、腕側突起143aが設けられている。また、回転軸61が支持される第1コア51の側面には、位置決め部材60が開位置に位置する際に、腕側突起143aを係止させる係止突起141aが設けられている。
【0076】
第4の実施形態でも、位置決め部材60は、
図12に示すように、トーションスプリング122により閉位置から開位置へ回動するような付勢力を受ける。付勢力を受けた位置決め部材60が閉位置から回動しようとする際に、腕側突起143aが係止突起141aに引っ掛かるため回動が制限され、位置決め部材60は閉位置に保持される。このように、第4の実施形態では、腕側突起143a及び係止突起141aが、保持部の機能を有する。なお、トーションスプリング122の付勢力は、腕側突起143aが係止突起141aを乗り越えない大きさに設定されている。
【0077】
上記の保持部を設けることにより、連続用紙Sを巻取り軸46から抜き取る際に、位置決め部材60が開位置に保持されるので、第2コア52が撓みやすくなるので連続用紙Sを抜き取りしやすくなる。
【0078】
位置決め部材60は、樹脂製であり、腕部143が撓むことが可能となっている。このため、操作者が位置決め部材60を押して回動させる際に、腕部143が撓むことで、腕側突起143aが係止突起141aを乗り越えることができる。具体的には、腕側突起143aが係止突起141aに接触した状態で位置決め部材60が更に回動すると、腕部143の軸方向の外側(
図12に示す矢印の向き)に移動するように撓むため、腕側突起143aが係止突起141aを乗り越えることになる。なお、係止突起141aには、傾斜面141b(
図12参照)が設けられており、腕側突起143aが傾斜面141bに沿って撓みながら回動することで係止突起141aを乗り越えやすくなっている。
【0079】
位置決め部材60を開ける際には、操作者が位置決め部材60を押して腕側突起143aが係止突起141aを乗り越えることで、位置決め部材60が開位置に保持される。一方で、位置決め部材60を閉める際には、操作者が位置決め部材60を押して腕側突起143aが係止突起141aを乗り越えた後に、位置決め部材60は、トーションスプリング122の付勢力を受けて閉位置に回動する。
【0080】
なお、位置決め部材60が開位置に保持された状態で連続用紙Sの抜き取りが行なわれるので、連続用紙Sの抜き取り後に、操作者が、位置決め部材60が開いた状態で巻取り軸46をフレーム12に装着しようとする恐れがある。しかし、位置決め部材60が開いた状態では、フレーム12に装着する際に、位置決め部材60がフレーム12に干渉し、巻取り軸46を正常に装着できない。このため、巻取り軸46が誤装着されることを防止できる。なお、巻取り軸46が正常に装着されていない場合には、検出部材48のスイッチ48aが溝55aに接触しないため、プリンタ10の運用開始前に誤装着を検出できる。
【0081】
<5.第5の実施形態>
第5の実施形態に係る巻取り軸46も、第4の実施形態と同様に、位置決め部材60を開位置に保持させる保持部を有する。ただし、第5の実施形態に係る保持部の構成が、第4の実施形態と異なる。
【0082】
第5の実施形態に係る保持部は、位置決め部材60が開位置へ移動する際に回転軸61の軸方向の一端側に移動させて、開位置に位置した状態を保持する。以下では、
図12及び
図13を参照しながら、第5の実施形態に係る保持部の構成について説明する。
【0083】
図13は、第5の実施形態に係る保持部の構成を示す図である。
図14は、第5の実施形態に係る保持部の構成を示す図である。
【0084】
第1コア51の回転軸61を支持する軸支持部151の軸方向一端側には、ガイド突起151aが設けられている。ガイド突起151aは、軸支持部151から軸方向一端側へ向けて突出している。ガイド突起151aは、開位置へ移動する位置決め部材60の腕部153を軸方向一端側へ案内する。このため、第5の実施形態において、位置決め部材60は、閉位置から開位置へ回動する際に、軸方向一端側(
図13に示すD7方向)に移動することになる。
【0085】
なお、軸支持部151の軸方向他端側では、
図13に示すように、軸支持部151と位置決め部材60の腕部153の間に隙間154が形成されている。隙間154は、ガイド突起151aにより軸方向一端側へ位置決め部材60が移動できる大きさに形成されている。
【0086】
また、第1コア51には、開位置に位置する位置決め部材60が、トーションスプリング122の付勢力を受けて回動する際に干渉する壁部155が設けられている。壁部155は、軸支持部151よりも軸方向一端側に位置しており、位置決め部材60の開位置と軸方向において同じ位置である。壁部155によって、
図14に示すように、位置決め部材60が開位置から閉位置へ自動で回動できず、開位置に保持される。この結果、連続用紙Sを巻取り軸46から抜き取る際に、位置決め板60が開位置に保持されるので、第2コア52が撓みやすくなるので連続用紙Sを抜き取りしやすくなる。このように、第5の実施形態では、ガイド突起151aと、壁部155とが、保持部に該当する。
【0087】
ところで、位置決め部材60を閉位置へ戻す際には、操作者は以下のような操作を行う。操作者は、開位置に位置する位置決め部材60を軸方向他端側(
図13に示すD7方向とは反対方向)へ手で移動させる。具体的には、操作者は、位置決め部材60の腕部153が軸方向において壁部155よりも他端側へ位置するように、位置決め部材60を移動させる。これにより、位置決め部材60が、トーションスプリング122の付勢力を受けて自動で回動する際に、壁部155と干渉しない。この結果、位置決め部材60が、自動で閉位置に戻ることができる。
【0088】
なお、上記では、プリンタ10が、第4の実施形態に係る保持部、又は第5の実施形態に係る保持部を有することとしたが、これに限定されない。例えば、プリンタ10は、第4の実施形態に係る保持部、及び第5の実施形態に係る保持部の両方を有しても良い。かかる場合には、位置決め部材60を開位置により安定して保持できる。
【0089】
<6.まとめ>
上述したように、プリンタ10の巻取り軸46は、第2コア52が撓むことに起因して位置決め部材60が第2コア52との係合状態から外れる方向に回動することを規制する回動規制部(例えば、軸側突起52bと穴側突起63)を有する。
【0090】
かかる場合には、位置決め部材60が第2コア52と係合している状態で、連続用紙Sから巻取り軸46へ作用する締付け力(
図4に示す締付け力F)によって巻取り軸46が撓んでも、回動規制部によって位置決め部材60が係合状態から外れる方向への回動が規制される。これにより、位置決め部材60が第2コア52との係合状態から外れることを防止できる。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。