(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
製品の属性である製品仕様と製品の製造方法に関する仕様である製造仕様との少なくとも何れかが異なる複数の製品を複数の製造工程での処理により製造する製造工場の各製造工程における製造負荷及び当該製造負荷が発生するタイミングを予測する製造負荷・タイミング予測装置であって、
過去に製造された複数の製品のそれぞれについての製造実績データであって、製品仕様と製造仕様と前記複数の製造工程のそれぞれの通過実績とを含む製造実績データを、製品仕様と製造仕様とを入力とし、前記製造工程における通過の有無の予測値を出力する工程通過判定ロジックを用いて、前記製造工程における前記予測値を所定の順番に並べた複数の予測通過パターンの何れか1つに分類する第1の分類手段と、
製造する予定の製品についての注文データであって、製品仕様と製造仕様と注文量とを含む注文データを、前記工程通過判定ロジックを用いて、前記製造工程における前記予測値を前記所定の順番に並べた複数の予測通過パターンの何れか1つに分類する第2の分類手段と、
前記複数の製造工程のそれぞれにおける製造工期を取得する製造工期取得手段と、
前記複数の製造工程のそれぞれにおける通過順を取得する通過順取得手段と、
前記第1の分類手段により分類された前記複数の予測通過パターンのうち、前記第2の分類手段により分類された前記予測通過パターンと同一の予測通過パターンに分類された前記製造実績データに含まれる前記通過実績の組み合わせの総数に対する、当該製造実績データに含まれる個々の前記通過実績の組み合わせの数の割合と、前記注文データに含まれる前記注文量とに基づいて、前記複数の製造工程のそれぞれにおける製造負荷を、前記個々の通過実績の組み合わせのそれぞれについて導出したものを、通過実績別製造工程別の製造負荷として導出する通過実績別製造工程別製造負荷導出手段と、
前記通過実績別製造工程別製造負荷導出手段により導出された前記通過実績別製造工程別の製造負荷と、前記複数の製造工程のそれぞれにおける製造工期及び通過順と、前記複数の製造工程のうち最初に通過する製造工程で製造負荷が発生するタイミングと、に基づいて、前記製造工程毎に、発生する製造負荷の量とタイミングとを前記個々の通過実績の組み合わせのそれぞれについて導出したものを、通過実績別製造工程別の製造負荷・タイミングとして導出する通過実績別製造工程別製造負荷・タイミング導出手段と、
前記通過実績別製造工程別製造負荷・タイミング導出手段により導出された前記通過実績別製造工程別の製造負荷・タイミングを集計して、前記製造工程毎に、発生する製造負荷の量とタイミングとを、製造工程別の製造負荷・タイミングとして導出する製造工程別製造負荷・タイミング導出手段と、
を有し、
前記複数の製造工程のそれぞれの通過実績は、前記複数の製造工程のそれぞれの通過回数であり、
前記通過実績の組み合わせは、前記複数の製造工程のそれぞれの通過回数を所定の順番に並べた実通過工程パターンであり、
前記通過実績別製造工程別製造負荷・タイミング導出手段は、前記通過実績別製造工程別製造負荷導出手段により導出された前記通過実績別製造工程別の製造負荷のうち、前記実通過工程パターンで通過回数が複数回であることが示されている前記製造工程で発生する製造負荷については、当該製造負荷の量を当該通過回数で割った値を、当該製造工程において1つのタイミングで発生する製造負荷として導出することを特徴とする製造負荷・タイミング予測装置。
前記製造工程は、前記複数の製品の全てが通過する第1の製造工程と、当該第1の製造工程の後に前記複数の製品の全てが通過する第2の製造工程と、当該第1の製造工程と第2の製造工程の間の複数の製造工程である複数の途中工程とからなり、
当該複数の途中工程のそれぞれにおける製造負荷及び当該製造負荷が発生するタイミングを予測することを特徴とする、請求項1に記載の製造負荷・タイミング予測装置。
前記製造実績データに基づいて前記工程通過判定ロジックを作成する工程通過判定ロジック作成手段を更に有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造負荷・タイミング予測装置。
製品の属性である製品仕様と製品の製造方法に関する仕様である製造仕様との少なくとも何れかが異なる複数の製品を複数の製造工程での処理により製造する製造工場の各製造工程における製造負荷及び当該製造負荷が発生するタイミングを予測する製造負荷・タイミング予測方法であって、
過去に製造された複数の製品のそれぞれについての製造実績データであって、製品仕様と製造仕様と前記複数の製造工程のそれぞれの通過実績とを含む製造実績データを、製品仕様と製造仕様とを入力とし、前記製造工程における通過の有無の予測値を出力する工程通過判定ロジックを用いて、前記製造工程における前記予測値を所定の順番に並べた複数の予測通過パターンの何れか1つに分類する第1の分類ステップと、
製造する予定の製品についての注文データであって、製品仕様と製造仕様と注文量とを含む注文データを、前記工程通過判定ロジックを用いて、前記製造工程における前記予測値を前記所定の順番に並べた複数の予測通過パターンの何れか1つに分類する第2の分類ステップと、
前記複数の製造工程のそれぞれにおける製造工期を取得する製造工期取得ステップと、
前記複数の製造工程のそれぞれにおける通過順を取得する通過順取得ステップと、
前記第1の分類ステップにより分類された前記複数の予測通過パターンのうち、前記第2の分類ステップにより分類された前記予測通過パターンと同一の予測通過パターンに分類された前記製造実績データに含まれる前記通過実績の組み合わせの総数に対する、当該製造実績データに含まれる個々の前記通過実績の組み合わせの数の割合と、前記注文データに含まれる前記注文量とに基づいて、前記複数の製造工程のそれぞれにおける製造負荷を、前記個々の通過実績の組み合わせのそれぞれについて導出したものを、通過実績別製造工程別の製造負荷として導出する通過実績別製造工程別製造負荷導出ステップと、
前記通過実績別製造工程別製造負荷導出ステップにより導出された前記通過実績別製造工程別の製造負荷と、前記複数の製造工程のそれぞれにおける製造工期及び通過順と、前記複数の製造工程のうち最初に通過する製造工程で製造負荷が発生するタイミングと、に基づいて、前記製造工程毎に、発生する製造負荷の量とタイミングとを前記個々の通過実績の組み合わせのそれぞれについて導出したものを、通過実績別製造工程別の製造負荷・タイミングとして導出する通過実績別製造工程別製造負荷・タイミング導出ステップと、
前記通過実績別製造工程別製造負荷・タイミング導出ステップにより導出された前記通過実績別製造工程別の製造負荷・タイミングを集計して、前記製造工程毎に、発生する製造負荷の量とタイミングとを、製造工程別の製造負荷・タイミングとして導出する製造工程別製造負荷・タイミング導出ステップと、
を有し、
前記複数の製造工程のそれぞれの通過実績は、前記複数の製造工程のそれぞれの通過回数であり、
前記通過実績の組み合わせは、前記複数の製造工程のそれぞれの通過回数を所定の順番に並べた実通過工程パターンであり、
前記通過実績別製造工程別製造負荷・タイミング導出ステップは、前記通過実績別製造工程別製造負荷導出ステップにより導出された前記通過実績別製造工程別の製造負荷のうち、前記実通過工程パターンで通過回数が複数回であることが示されている前記製造工程で発生する製造負荷については、当該製造負荷の量を当該通過回数で割った値を、当該製造工程において1つのタイミングで発生する製造負荷として導出することを特徴とする製造負荷・タイミング予測方法。
前記製造工程は、前記複数の製品の全てが通過する第1の製造工程と、当該第1の製造工程の後に前記複数の製品の全てが通過する第2の製造工程と、当該第1の製造工程と第2の製造工程の間の複数の製造工程である複数の途中工程とからなり、
当該複数の途中工程のそれぞれにおける製造負荷及び当該製造負荷が発生するタイミングを予測することを特徴とする、請求項5に記載の製造負荷・タイミング予測方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態で、製造負荷と当該製造負荷が発生するタイミングを予測する対象となる製造工程を説明する図である。具体的に、
図1は、鉄鋼業における代表的な製品である厚鋼板(厚板)の製造工場の概略構成の一例を説明する図である。尚、本発明の適用先は、厚鋼板の製造工場に限定されないことは勿論である。
図1において、矢印は製品の流れを示す。
転炉工程101では、高温溶融状態の鉄鋼中間製品(溶鋼)の化学的成分である出鋼成分を例えば約300ton単位で調整し、溶鋼鍋に出鋼する。この転炉工程101での出鋼単位をチャージと呼ぶ。
連続鋳造工程102では、転炉工程101で製造された溶鋼を複数チャージ分連続して鋳造し、その後規定の長さに切断することで、例えば約20ton単位のスラブと呼ばれる板状の中間製品を製造する。この連続鋳造工程102での一連の製造単位をキャストと呼ぶ。製造仕様にもよるが概ね8〜12チャージを1キャストとして製造する。
【0015】
圧延工程103では、スラブを加熱した後、所定の厚みや幅まで成形する。転炉工程101、連続鋳造工程102、及び圧延工程103では全ての製品が処理を行われる。また、圧延工程103で製造負荷が発生するタイミングは予め定められている。圧延工程103は、全ての製品について製造負荷が発生する製造工程であって、当該工程で製造負荷が発生するタイミングが定められている製造工程であり、予測の対象となる製造工程の前の起点となる製造工程となる。このように、予測の対象となる製造工程の前の起点となる製造工程は、必ずしも、製造工場において最初に行われる工程(
図1に示す例では転炉工程101)に限定されるものではない。
【0016】
手入れ工程104は、精整工程の一部であり、品質確保のために圧延後のスラブの手入を行う。
矯正(CL)工程105と矯正(OL)工程106は、精整工程の一部であり、形状等の品質を確保するために圧延後のスラブの矯正を行う。
図1に示す例では、2つの矯正工程(矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106)がある。
切断工程107は、精整工程の一部であり、注文仕様のサイズに圧延後のスラブの切断を行う。
【0017】
手入れ工程104、矯正(CL)工程105、及び矯正(OL)工程106で処理が行われるか否かは、圧延工程103で圧延が行われた後の製品の状態等によって定まる。また、切断工程107で処理が行われるか否かは、製品の仕様等によって定まる。すなわち、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、及び切断工程107の何れの製造工程で注文のあった製品に対する処理が行われるのかは事前に定められていない。また、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、及び切断工程107は、必ずしも全ての製品について処理が行われる製造工程ではない。
【0018】
本実施形態では、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、及び切断工程107については、当該製造工程による処理が行われた製品の状態によって、当該製造工程による処理が再度行われることがあるものとする。すなわち、本実施形態では、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、及び切断工程107については、繰り返し複数回の処理が行われることがあるものとする。また、
図1に示す例では、手入れ工程104の後に矯正(CL)工程105が、矯正(CL)工程105の後に矯正(OL)工程106が、矯正(OL)工程106の後に切断工程107が実行される場合を例に挙げて示しているが、必ずしもこの順になるものではない。
【0019】
全ての処理を終えた製品は、倉庫108に配置される。尚、倉庫108における製造負荷は、倉庫108内に製品を配置するための処理が行われることにより発生する。また、倉庫108には、全ての製品が配置される(すなわち、全ての製品について製造負荷が発生する)。
図1に示す例では、倉庫108が最後の工程になる。
【0020】
以下に示す本実施形態の製造負荷・タイミング予測装置200では、圧延工程103と倉庫108との間の途中の製造工程である手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、及び切断工程107における製造負荷と当該製造負荷が発生するタイミングとを注文毎に製造着手前に予測することで、生産計画の良否を事前に評価できるようにする。
以下の説明では、製造工程において製品に対して当該製造工程で行うべき処理(例えば、熱処理、加工、保管)が行われることを、必要に応じて、製品が当該製造工程を通過すると称する。また、圧延工程103と倉庫108との間の途中の製造工程(手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、及び切断工程107)を必要に応じて途中工程と称する。
【0021】
図2は、製造負荷・タイミング予測装置200の機能的な構成の一例を示す図である。製造負荷・タイミング予測装置200のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種インターフェースを備えた公知の情報処理装置を用いることにより実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0022】
[製造実績データ取得部201]
製造実績データ取得部201は、製造実績データを外部から取得して記憶する。製造実績データ取得部201は、例えば、ユーザによるユーザインターフェースの入力操作に従って製造実績データを取得したり、リムーバル記憶媒体に記憶された製造実績データを読み出したり、外部装置から通信回線を介して製造実績データを受信したりすることによって、製造実績データを取得することができる。
【0023】
図3は、製造実績データ300の一例を示す図である。
図3において、製造実績データ300は、製造番号301と、製品仕様302と、製造仕様303と、実績通過回数304と、実績工期305とを含む。
製造番号301は、製品を識別する番号である。
製品仕様302は、製品の属性を示すものである。例えば、製品番号が「0001」の製品の製品仕様302は、製品(鋼板)の板厚が30mmであり、製品の板幅が600mmであり、製品の重量が3.5tonである。また、製造仕様303は、製品の製造方法に関する仕様であり、製品の製法がAであり、製品を製造する際の切断方法がaであることを示す。ここでは、板厚、板幅、重量が製品仕様302であり、製法、及び切断方法が製造仕様303である場合を例に挙げて示しているが、製品仕様302及び製造仕様303の内容は、製品によって異なるものである。
【0024】
実績通過回数304は、製造番号301で識別される製品が通過した製造工程の通過回数を、全ての途中工程のそれぞれについて個別に識別するためのものである。例えば、製造番号301が「0002」の製品は、手入れ工程104を0回通過し(手入れ工程104を通過せず)、矯正(CL)工程105を3回通過し、矯正(OL)工程106を0回通過し(矯正(OL)工程106を通過せず)、切断工程107を1回通過したことが、実績通過回数から判断される。
実績工期305は、製造番号301で識別される製品を製造するのに要した全工期である。例えば、製品番号が「0001」の製品の実績工期305は9日である。
製造実績データ取得部201は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種インターフェースを用いることにより実現することができる。
【0025】
[工程通過判定ロジック作成部202]
工程通過判定ロジック作成部202は、製品を製造するに際し、製品が通過する途中工程と、製品が通過しない途中工程と、を全ての途中工程について個別に予測する工程通過判定ロジックを、製造実績データ300に含まれる製造仕様に基づいて作成する。本実施形態では、工程通過判定ロジックとして、決定木を採用する場合を例に挙げて説明する。
図4は、或る途中工程の工程通過判定ロジックの一例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態では、工程通過判定ロジック作成部202は、製造実績データ300に含まれる製造仕様を説明変数とし、各製品の各途中工程の通過の有無の予測値を示す通過有無変数を目的変数とする決定木を作成する。ここでは、ある途中工程の通過有無変数が「1」である製品は当該途中工程を通過することが予測される(当該製品は当該途中工程を通過し易い)ことを意味し、「0」である製品は当該途中工程を通過しないことが予測される(当該製品は当該途中工程を通過し難い)ことを意味するものとする。
【0026】
決定木とはデータの分析手法の一つであり、データを様々な条件に従って木の枝葉のように分類していく分析手法である。決定木は、製造不良の要因の特定や市場情報の分類等に使われている(例えば非特許文献1を参照)。決定木は、データの固まりである複数のノードから構成されており、データ全体を表すルートノード(根ノード)から始まり、末端のノード(リーフノード、葉ノード)に特定の属性を持つデータの割合が多くなるように、つまり偏りのあるデータが含まれるように、ノードを次々と分岐させながら作成される。得られたリーフノードへの分岐条件やリーフノードに属する過去のデータ(学習用データ)を用いることで決定木を各種の予測に使うことができる。ここで、予測したい属性を「目的変数」、データの分岐条件を記述する属性を「説明変数」と呼ぶ。決定木の作成にあたっては、目的変数や説明変数をどのように定義するか、決定木の大きさ(ノードの数や深さ)をどのように決定するかなどの設計パラメータの設定が、得られた決定木の予測精度や取扱いの容易さ等に深く関係するために極めて重要である。
【0027】
ここでは、設計パラメータとして、作成する決定木のリーフノードの数や木構造の深さ等を、決定木の構造に関するパラメータとして設定する。具体的には、一つのリーフノードが保有するデータ数の上限値を与えるものとする。この上限値を小さくするとリーフノードの数が増える、つまり決定木が大きく、深くなることとなる。より具体的には、データ数の上限値を100以上に増やしても予測精度が向上しなかったため、データ数の上限値を100とした。
工程通過判定ロジック作成部202は、このようにして得られる設計パラメータ、製造実績データ300に含まれる製造仕様、説明変数、及び目的変数に基づいて、
図4に示すような決定木400を、決定木作成アルゴリズムにより工程毎に作成する。本実施形態では、途中工程の数が「4」であるので、
図4に示すような決定木400が4個作成されることになる。
【0028】
図4に示す決定木400が手入れ工程104に対する決定木であるとすると、例えば、製法がBであり、重量が4.0ton(≧3.2ton)であり、板幅が700mm(<1500mm)である製造仕様の製品の通過有無変数は、「1」に分類されるので、手入れ工程104を通過することが予測される(手入れ工程104を通過し易い)ことになる。
工程通過判定ロジック作成部202は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
【0029】
[工程通過判定ロジック格納部203]
工程通過判定ロジック格納部203は、工程通過判定ロジック作成部202で作成された決定木400を格納する。
工程通過判定ロジック格納部203は、例えば、HDDを用いることにより実現することができる。
【0030】
[第1の予測通過パターン導出部204]
第1の予測通過パターン導出部204は、製造実績データ300に含まれる製造仕様を、工程通過判定ロジック格納部203に格納されている決定木400に適用して、製造実績データ300に含まれる各製品のそれぞれについて、各途中工程の通過の有無の予測値(通過有無変数(=「1」又は「0」))を求め、当該通過有無変数を結合した情報を、当該製品の予測通過パターンの情報として作成する。本実施形態では、決定木400を作成した際に使用した製造実績データ300と同じ製造実績データ300を用いて、予測通過パターンの情報を作成するものとする。
【0031】
図5は、製造実績データ300から得られる、製造番号別の通過有無変数と予測通過パターンの一例を示す図である。
図5において、製造実績データ300に含まれる製造仕様を、
図4に示すような決定木400に適用することによって、各途中工程の通過有無変数501が製品毎に得られる。本実施形態では、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、切断工程107の順で、即ち、標準的な工程通過順に従って、各途中工程の通過有無変数501の値を並べることを製品毎に行うことにより、製品毎に予測通過パターン502が作成される。例えば、製造番号301が「0001」の予測通過パターン502は、手入れ工程104の通過有無変数501である「0」と、矯正(CL)工程105の通過有無変数501である「0」と、矯正(OL)工程106の通過有無変数501である「0」と、切断工程107の通過有無変数501である「1」とをこの順で並べた値である「0001」となる(
図5を参照)。
図5に示す結果と、
図3に示す結果とを比較すると、例えば、製造番号301が「0001」の製品の手入れ工程104の実績通過回数は「1」である(すなわち手入れ工程104を通過している)のに対し(
図3を参照)、同じ製造番号301が「0001」の製品の手入れ工程104の通過有無変数は「0」(手入れ工程104を通過していないこと)となっている(
図5を参照)。このように、統計的手法には予測誤差が生じることもある。
【0032】
本実施形態では、途中工程の数が「4」であり、予測通過パターンはそれぞれ「1」又は「0」の値を示す4つのビットからなるので、予測通過パターンの数は最大で「16」(=2
4)となる。尚、製造実績データ300に含まれる製品仕様302や製造仕様303の内容や決定木400のロジック等によっては、16通の予測通過パターンが得られないこともある。
第1の予測通過パターン導出部204は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
【0033】
[実通過工程パターン・構成比率算出部205]
実通過工程パターン・構成比率算出部205は、第1の予測通過パターン導出部204で導出された全ての予測通過パターンのそれぞれについて、実通過工程パターンを導出すると共に、当該実通過工程パターンの構成比率を算出する。
まず、実通過工程パターンを導出する方法の一例について説明する。
本実施形態では、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、製造番号301の製造実績データ300の実績通過回数の値を、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、切断工程107の順で、上位のビットから順に並べた値を実通過工程パターンとする。このような実通過工程パターンの導出を、第1の予測通過パターン導出部204で導出された予測通過パターンが同一となった製品(製造番号301)のそれぞれについて行うことにより、予測通過パターンが同一である製品(製造番号301)の製造実績データ300のそれぞれについての実通過工程パターンが作成される。例えば、製造番号301が「0001」の製品の実通過工程パターンは、手入れ工程104の実績通過回数である「1」と、矯正(CL)工程105の実績通過回数である「1」と、矯正(OL)工程106の実績通過回数である「0」と、切断工程107の実績通過回数である「0」とをこの順で並べた値である「1100」となる。
実通過工程パターン・構成比率算出部205は、このような予測通過パターン毎の実通過工程パターンの導出を、全ての予測通過パターンについて行う。
【0034】
次に、実通過工程パターンの構成比率を算出する方法の一例を説明する。
実通過工程パターン・構成比率算出部205は、同一の予測通過パターンに属する実通過工程パターンの基となる製品(製造番号301)の数を導出する。以下の説明では、この数を必要に応じて全実通過工程パターン内製品数と称する。また、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、当該同一の予測通過パターンに属する実通過工程パターンのそれぞれについて、当該実通過工程パターンの基となる製品(製造番号301)の数を導出する。以下の説明では、この数を必要に応じて各実通過工程パターン内製品数と称する。
【0035】
そして、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、同一の予測通過パターンに属する全実通過工程パターン内製品数に対する各実通過工程パターン内製品数の割合を、実通過工程パターンの構成比率として導出する。具体的に実通過工程パターン・構成比率算出部205は、以下の(1)式の計算を、当該同一の予測通過パターンに属する実通過工程パターンのそれぞれについて個別に行う。
実通過工程パターンの構成比率=(各実通過工程パターン内製品数)÷(全実通過工程パターン内製品数) ・・・(1)
【0036】
実通過工程パターン・構成比率算出部205は、以上のようにして、同一の予測通過パターンに属する全ての実通過工程パターンについて、実通過工程パターンの構成比率を算出することを、第1の予測通過パターン導出部204で導出された全ての予測通過パターンのそれぞれについて行う。
図6は、或る予測通過パターンにおける実通過工程パターンと当該実通過工程パターンの構成比率の一例を示す図であり、最前面に予測通過パターン0001について示す。
例えば、
図5に示す結果から、予測通過パターン502が「0001」の製品(製品番号)の数として「100」が得られた。また、
図4に示す結果から、当該予測通過パターン「0001」となる製品(製品番号)を割り出し、
図3に示す結果から、当該製造(製品番号301)のうち、実通過工程パターンが「1100」である製品の数を求めると「13」が得られたとする。この場合、予測通過パターン「0001」の実通過工程パターン「1100」の構成比率は0.13(=13÷100)となる(
図6の実通過工程パターン601が「1100」の構成比率602の欄を参照)。
実通過工程パターン・構成比率算出部205は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
【0037】
[途中工程別製造負荷発生率算出部206]
途中工程別製造負荷発生率算出部206は、第1の予測通過パターン導出部204で導出された全ての予測通過パターンのそれぞれについて、途中工程別発生率を算出する。途中工程別発生率とは、予測通過パターン毎に当該予測通過パターンに属する製品の単位量あたりの途中工程毎の通過割合を表す。
図7は、或る予測通過パターンにおける実通過工程パターンと当該実通過工程パターンの構成比率と当該実通過工程パターンの途中工程別発生率の一例を示す図であり、最前面に予測通過パターン0001について示す。尚、
図7に示す実通過工程パターン701と構成比率702は、それぞれ
図6に示した実通過工程パターン601と構成比率602と同じである。
【0038】
まず、途中工程別製造負荷発生率算出部206は、同一の予測通過パターンが得られた製品の実通過工程パターン701と当該実通過工程パターンの構成比率702との組を1つ抽出する。
次に、途中工程別製造負荷発生率算出部206は、抽出した実通過工程パターン701の各ビットの値に、当該実通過工程パターンの構成比率702の値を乗算することを、当該実通過工程パターン701の全てのビットについて個別に行った値を各途中工程の途中工程別製造負荷発生率703として算出する。
【0039】
前述したように、実通過工程パターン701は、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、切断工程107の順で、各途中工程の実績通過回数の値を上位のビットから順に並べたものである。したがって、例えば、
図7に示す実通過工程パターン701のうち、値が「1100」の実工程通過パターンの手入れ工程104の途中工程別製造負荷発生率703は、実通過工程パターンの最上位のビットの値である「1」と、当該実通過工程パターンの構成比率である「0.13」を乗算することにより「0.13」となる(
図7の実通過工程パターン701が「1100」の行の途中工程別製造負荷発生率703が「手入れ」の欄を参照)。
【0040】
また、例えば、
図7に示す実通過工程パターン701のうち、値が「0301」の実工程通過パターンの矯正(CL)工程105の途中工程別製造負荷発生率703は、実通過工程パターンの最上位から2番目のビットの値である「3」と、当該実通過工程パターンの構成比率である「0.1」を乗算することにより「0.3」となる(
図7の実通過工程パターン701が「0301」の行の途中工程別製造負荷発生率703が「矯正(CL)」の欄を参照)。
【0041】
途中工程別製造負荷発生率算出部206は、このような計算を、同一の予測通過パターンが得られた製品の全ての実通過工程パターン701について個別に行って、当該同一の予測通過パターンが得られた製品の全ての実通過工程パターン701の全ての途中工程における途中工程別製造負荷発生率703を算出する。さらに、途中工程別製造負荷発生率算出部206は、第1の予測通過パターン導出部204で導出された全ての予測通過パターンについて、以上の計算を行う。
このようにして、
図7に示す途中工程別製造負荷発生率703のテーブルが、第1の予測通過パターン導出部204で導出された予測通過パターンの数だけ得られる。すなわち、予測通過パターン別実通過工程パターン別に各途中工程の途中工程別発生率が得られる。
途中工程別製造負荷発生率算出部206は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
【0042】
[途中工程別発生率格納部207]
途中工程別発生率格納部207は、途中工程別製造負荷発生率算出部206で算出された途中工程別製造負荷発生率703(予測通過パターン別実通過工程パターン別の各途中工程の途中工程別発生率)を格納する。
途中工程別発生率格納部207は、例えば、HDDを用いることにより実現することができる。
【0043】
[途中工程別製造工期算出部208]
途中工程別製造工期算出部208は、製造実績データ300(実績通過回数304及び実績工期305)を用いて、全ての途中工程のそれぞれの製造工期を途中工程別製造工期として個別に算出する。
途中工程別製造工期を算出する方法は、例えば特許文献2に記載されている公知の技術を用いることにより実現できるので詳細な説明を省略するが、特許文献2では、例えば、以下の(2)式及び(3)式による計算を行って、最尤推定により、各工程の工期分布の平均μ
j及び分散v
jを算出することが示されている。本実施形態では、この各工程の工期分布の平均μ
jを途中工程別製造工期として算出するものとする。
【0045】
(2)式、(3)式において、Kは、実通過工程パターンkの種類の数である。q
k=(q
k1,q
k2,・・・,q
kM)は、実通過工程パターンk(k=1,2,・・・,K)である。t
iは製品iの実績工期305である。N
k^は、実通過工程パターンkに属する製品の数である。平均μ
k^と分散v
k^は、実通過工程パターンkの工期分布の平均、分散である。
ここで、平均μ
k^は、実通過工程パターンkにおいて通過したことが示されている工程jの工程分布の平均μ
jの和を表す。また、分散v
k^は、実通過工程パターンkにおいて通過したことが示されている工程jの工程分布の分散v
jの和を表す。
(2)式に示す評価関数Jは、実通過工程パターンの種類の数Kの項の和で表現される。また、(2)式において、右辺第1項と第4項のN
k^と、右辺第2項と第4項の積算(Σ(t
i)
2、Σt
i)は、製造実績データ300を集計することにより計算することができる。
途中工程別製造工期算出部208は、最適化計算を行って(2)式の評価関数Jを最小にする平均μ
j、分散v
jを算出する。尚、この最適化計算は、滑降シンプレックス法、準ニュートン法等の公知の非線形最適化計算手法を用いることにより実行することができる。尚、ここでは、工期分布が正規分布である場合について示したが、特許文献2に示すように工期分布は、正規分布以外の対数正規分布やポアソン分布であってもよい。
途中工程別製造工期算出部208は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
【0046】
[工程別工期格納部209]
工程別工期格納部209は、途中工程別製造工期算出部208で算出された途中工程別製造工期を格納する。
工程別工期格納部209は、例えば、HDDを用いることにより実現することができる。
[途中工程通過順取得部210]
途中工程通過順取得部210は、全ての途中工程のそれぞれの通過順である途中工程通過順を外部から取得する。途中工程通過順取得部210は、例えば、ユーザによるユーザインターフェースの入力操作に従って工程通過順を取得したり、リムーバル記憶媒体に記憶された工程通過順を読み出したり、外部装置から通信回線を介して工程通過順を受信したりすることによって、途中工程通過順を取得することができる。
途中工程通過順取得部210は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種インターフェースを用いることにより実現することができる。
[工程通過順格納部211]
工程通過順格納部211は、途中工程通過順取得部210で取得された工程通過順を格納する。
工程通過順格納部211は、例えば、HDDを用いることにより実現することができる。
【0047】
図8は、途中工程別製造工期と工程通過順の一例を示す図である。
図8では、手入れ工程104の製造工期が1.0日であり、矯正(CL)工程105の製造工期が1.6日であり、矯正(OL)工程106の製造工期が4.4日であり、切断工程107の製造工期が2.5日である場合を例に挙げて示している(
図8の途中工程別製造工期801の各欄を参照)。また、
図8では、
図1に示したように、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、切断工程107の順で製品が各途中工程を通過する場合を例に挙げて示している(
図8の途中工程通過順802の各欄を参照)。
尚、このような途中工程通過順802に基づいて、例えば、早く通過する途中工程ほど上位のビットになるように、
図5に示した予測通過パターン502と
図6に示した実通過工程パターン601における各ビットの並び順を決定するようにしてもよい。
【0048】
[注文データ取得部212]
注文データ取得部212は、注文データを外部から取得して記憶する。注文データ取得部212は、例えば、ユーザによるユーザインターフェースの入力操作に従って注文データを取得したり、リムーバブル記憶媒体に記憶された注文データを読み出したり、外部装置から通信回線を介して注文データを受信したりすることによって、注文データを取得することができる。
【0049】
図9は、注文データ900の一例を示す図である。
図9において、注文データ900は、注文番号901と、製品仕様902と、製造仕様903と、注文量904と、を含む。
注文番号901は、注文を識別する番号である。
製品仕様902と製造仕様903は、製品の属性を示すものであり、
図3に示した製造実績データ300における製品仕様302、製造仕様303と同じ属性(項目)を有している。
図3に示す各製品仕様302、製造仕様303の内容は前述した通りであるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
注文量904は、製品の注文量を示すものである。
図9に示す例では、厚鋼板(厚板)の製造工場における最終製品である厚鋼板(厚板)枚数を注文量としている。
注文データ取得部212は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種インターフェースを用いることにより実現することができる。
【0050】
[第2の予測通過パターン導出部213]
第2の予測通過パターン導出部213は、注文データ900に含まれている製品仕様902と製造仕様903を、工程通過判定ロジック格納部203に格納されている決定木400(
図4を参照)に適用して、注文データ900に含まれる各注文のそれぞれについて、各途中工程の通過のし易さ(通過有無変数(=「1」又は「0」))を求め、当該通過有無変数を、予測通過パターン502(
図5を参照)と同じ並び順で結合した情報を、当該注文の予測パターンの情報として作成する。
【0051】
図10は、注文データ900から得られる、注文番号別の通過有無変数と予測通過パターンの一例を示す図である。
前述したように、本実施形態では、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、切断工程107の順で、各途中工程の通過有無変数501の値を上位のビットから順に並べることを製品毎に行うことにより、注文毎に予測通過パターン502が作成される。したがって、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、切断工程107の順で、各途中工程の通過有無変数1001の値を上位のビットから順に並べることを注文毎に行うことにより、注文毎の予測通過パターン1002が作成される。
【0052】
例えば、注文番号が「001」の予測通過パターン1002は、手入れ工程104の通過有無変数1001である「0」と、矯正(CL)工程105の通過有無変数1001である「0」と、矯正(OL)工程106の通過有無変数1001である「0」と、切断工程107の通過有無変数1001である「1」とをこの順で並べた値である「0001」となる(
図10を参照)。
第2の予測通過パターン導出部213は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
【0053】
[途中工程別発生量算出部214]
途中工程別発生量算出部214は、注文データ900に含まれる全ての注文(注文番号901)のそれぞれについて、当該注文番号901の製品仕様902と製造仕様903から得られた予測通過パターン1002と同一の値を有する予測通過パターン502を割り出し、割り出した予測通過パターン502に属する途中工程別製造負荷発生率703を途中工程別発生率格納部207から抽出する。また、注文データ900に含まれる全ての注文(注文番号901)のそれぞれについて、当該注文データ900に含まれる注文量904を抽出する。
そして、途中工程別発生量算出部214は、同一の注文(注文番号901)について抽出した途中工程別製造負荷発生率703と注文量904とを乗算した値を、注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量として算出する。
【0054】
図11は、注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量の一例を示す図である。
ここでは、
図7の最前面に示す途中工程別製造負荷発生率703は、予測通過パターン502が「0001」におけるものであり、
図11の最前面に示す注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100は、注文番号901が「001」の注文に対するものであるとして、当該注文における途中工程別製造負荷発生量の計算方法の具体例を説明する。
【0055】
図9において注文番号901が「001」の注文から得られた予測通過パターン1002は「0001」である。
図7に示す途中工程別製造負荷発生率703は、予測通過パターン502が「0001」におけるものであるので、
図7に示す途中工程別製造負荷発生率703のそれぞれに、注文番号901が「001」の注文量904である100[枚]と、
図7に示す途中工程別製造負荷発生率703の各欄に示されている値とを乗算したものを実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量として導出する。
【0056】
例えば、実通過工程パターン701の値が「1100」の手入れ工程104の途中工程別製造負荷発生率703は、
図7より0.13である。したがって、
図11において、実通過工程パターン1101の値が「1100」である手入れ工程104の製造負荷の発生量(実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量)は、13[枚](=100×0.13)となる(
図11の実通過工程パターン1101の値が「1100」の行の「手入れ」の欄を参照)。
途中工程別発生量算出部214は、このような計算を、同一の予測通過パターンに属する全ての実通過工程パターンについて個別に行って実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量を導出する。さらに、途中工程別発生量算出部214は、以上のような実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量の算出を、注文データ取得部212により取得された注文データ900内の全ての注文について個別に行って注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100を導出する。
途中工程別発生量算出部214は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
【0057】
[実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215]
実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、注文データ900に含まれる全ての注文(注文番号901)のそれぞれについて、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミングを算出する。
【0058】
実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、注文(注文番号901)の1つを選択し、選択した注文番号901に対応する注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100を抽出する(
図11を参照)。また、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、途中工程別製造工期801を工程別工期格納部209から抽出すると共に、途中工程通過順802を工程通過順格納部211から抽出する(
図8を参照)。
【0059】
そして、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100内の全ての実通過工程パターン1101のそれぞれについて、当該実通過工程パターン1101に対応する途中工程別製造負荷発生量1102と、途中工程別製造工期801と、途中工程通過順802と、予め定められている圧延工程103で製造負荷が発生するタイミングと、から、どのタイミングにどの通過工程でどの位の製造負荷が発生するのかを導出する。このように、製造負荷が発生する通過工程と当該製造負荷が発生するタイミングとを、実通過工程パターン毎に示す情報が、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミングである。
実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、このような実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミングの導出を、注文データ900に含まれる全ての注文(注文番号901)のそれぞれについて行う。
【0060】
図12は、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミングの一例を示す図である。
ここでは、
図11の最前面に示す注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100は、注文番号901が「001」の注文に対するものであり、
図12に示す実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200が、当該注文における実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミングであり、当該注文に対する製品を製造するために圧延工程103で製造負荷が発生するタイミング(圧延予定日)が2月19日であるものとして、当該注文における実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミングの計算方法の具体例を説明する。
【0061】
図9に示す注文番号901が「001」である注文の注文量904は100枚である。そうすると、例えば、
図11に示す実通過工程パターン1101のうち、値が「0301」である実通過工程パターンについては、
図8に示す途中工程通過順802と
図11に示す途中工程別製造負荷発生量1102とから、注文量904である100枚のうちの10枚の製品が、矯正(CL)工程105を3回通過した後に、切断工程107を1回通過すると判断できる。ここで、値が「0301」である実通過工程パターンは、矯正(CL)工程105を3回通過することを示すものである。したがって、
図11に示す実通過工程パターン1101のうち、値が「0301」である実通過工程パターンの途中工程別製造負荷発生量1102である「30」を「3」で割った「10」が矯正(CL)工程105において1つのタイミングで発生する製造負荷になる。
【0062】
また、
図8に示す途中工程別製造工期801から、圧延予定日(2月19日)から(1.6を四捨五入した)2日後である2月21日と、圧延予定日(2月19日)から(3.2(=1.6+1.6)を四捨五入した)3日後である2月22日と、圧延予定日(2月19日)から(4.8(=1.6+1.6+1.6)を四捨五入した)5日後である2月24日にそれぞれ矯正(CL)工程105で製造負荷が発生し、圧延予定日(2月19日)から(7.3(=1.6+1.6+1.6+2.5)を四捨五入した)7日後である2月26日に切断工程107で製造負荷が発生すると判断できる。
【0063】
したがって、注文番号901が「001」である注文の、値が「0301」である実通過工程パターンについては、
図12に示すように、100枚のうちの10枚の製品は、2月19日に圧延工程103を通過し、2月21日、2月22日、2月24日に矯正(CL)工程105を通過し、2月26日に切断工程107を通過することを示す実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200が得られる。
図12に示す例では、「処理日」が、製造負荷が発生するタイミングに対応し、「工程名」が、途中工程の名称に対応し、「発生量」が、「製造負荷の発生量」に対応する。
実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、このような計算を、注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100に含まれる全ての実通過工程パターン1101について個別に行って、1つの注文(注文番号901)における実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を導出する。
【0064】
さらに、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、全ての注文(注文番号901)の注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100のそれぞれについて、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を導出する。
実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
【0065】
[途中工程別発生量・発生タイミング算出部216]
途中工程別発生量・発生タイミング算出部216は、注文データ900に含まれる全ての注文(注文番号901)のそれぞれについて、途中工程別発生量・発生タイミングを算出する。
途中工程別発生量・発生タイミング算出部216は、注文(注文番号901)の1つを選択し、選択した注文番号901に対応する実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を抽出する(
図12を参照)。そして、途中工程別発生量・発生タイミング算出部216は、抽出した実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200の同一の処理日における同一の工程名の発生量の総和をとったものを途中工程別発生量・発生タイミングとして算出する。
途中工程別発生量・発生タイミング算出部216は、このような途中工程別発生量・発生タイミングの導出を、注文データ900に含まれる全ての注文(注文番号901)のそれぞれについて行う。
【0066】
図13は、途中工程別発生量・発生タイミングの一例を示す図である。
図12に示す実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200が属する注文(注文番号901)と、
図13に示す途中工程別発生量・発生タイミング1300が属する注文(注文番号901)とが同じものであるとする。
この場合、途中工程別発生量・発生タイミング1300では、2月21日に矯正(CL)工程105で19枚の製造負荷が発生しているのに対し、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200では、2月21日に10枚しか矯正(CL)工程105製造負荷が発生していない。したがって、当該注文(注文番号901)に属するその他の実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200から、2月21日に矯正(CL)工程105で発生する製造負荷の合計を求めると9枚(=19−10)となる。
【0067】
また、途中工程別発生量・発生タイミング1300では、2月20日に手入れ工程104で22枚の製造負荷が発生しているのに対し、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200では、2月20日に製造負荷が発生していない。したがって、当該注文(注文番号901)に属するその他の実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200から、2月20日に手入れ工程104で発生する製造負荷の合計を求めると22枚(=22−0)となる。
途中工程別発生量・発生タイミング算出部216は、例えば、CPU、ROM、及びRAMを用いることにより実現することができる。
[途中工程別発生量・発生タイミング格納部217]
途中工程別発生量・発生タイミング格納部217は、途中工程別発生量・発生タイミング算出部216で算出された途中工程別発生量・発生タイミング1300を格納する(
図13を参照)。
途中工程別発生量・発生タイミング格納部217は、例えば、HDDを用いることにより実現することができる。
【0068】
[途中工程別発生量・発生タイミング出力部218]
途中工程別発生量・発生タイミング出力部218は、途中工程別発生量・発生タイミング格納部217に格納された途中工程別発生量・発生タイミング1300の情報を出力する。具体的に説明すると、途中工程別発生量・発生タイミング出力部218は、例えば、途中工程別発生量・発生タイミング1300の情報について、表示装置への表示、外部装置への送信、及びリムーバブル記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを行う。途中工程別発生量・発生タイミング1300の情報の出力は、ユーザによるユーザインターフェースの操作に基づいて行うようにてもよいし、予め設定されたタイミングで自動的に行うようにしてもよい。
【0069】
図14は、途中工程別発生量・発生タイミング1300の情報の表示例を示す図である。尚、
図14では、1つの注文(注文番号901)における途中工程別発生量・発生タイミング1300の情報を示している。
途中工程別発生量・発生タイミング1300の情報の表示は、
図14に示すように製造負荷が発生するタイミング(発生タイミング)を横軸とし、製造負荷(発生量)を縦軸とする折れ線グラフとしてもよいし、
図13に示すように、発生タイミングと各途中工程とを表形式で表示してもよい。
途中工程別発生量・発生タイミング出力部218は、例えば、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種インターフェースを用いることにより実現することができる。
【0070】
次に、
図15のフローチャートを参照しながら、製造負荷・タイミング予測装置200の処理の一例を説明する。
まず、
図15−1のステップS1501において、製造実績データ取得部201は、製造実績データ300を取得するまで待機する。製造実績データ300を取得するとステップS1502に進む。
ステップS1502に進むと、工程通過判定ロジック作成部202は、製造実績データ300に含まれる製品仕様302と製造仕様303に基づいて、製品が通過する途中工程と通過しない途中工程とを途中工程毎に予測する工程通過判定ロジックとして決定木400を作成する。
【0071】
次に、ステップS1503において、工程通過判定ロジック作成部202は、ステップS1501で作成した決定木400を、工程通過判定ロジック格納部203に格納する。
次に、ステップS1504において、第1の予測通過パターン導出部204は、製造実績データ300に含まれる製品仕様302と製造仕様303を決定木400に適用して、製造実績データ300に含まれる製品のそれぞれについて、各途中工程の通過の有無の予測値(通過有無変数501)を求め、当該通過有無変数を結合した情報を、当該製品の予測通過パターン502として導出する。
【0072】
次に、ステップS1505において、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、ステップS1504で導出した予測通過パターン502を特定する変数aに1を設定する。
次に、ステップS1506において、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、ステップS1505で設定された変数aで特定される予測通過パターン502として同一の予測通過パターンが得られた製品の製造実績データ300の実績通過回数から、実通過工程パターン601を作成する。
【0073】
次に、ステップS1507において、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、実通過工程パターン601を特定する変数bに1を設定する。
次に、ステップS1508において、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、(1)式の計算を行って、ステップS1507で特定した変数bに対応する実通過工程パターン601の構成比率602を導出する。
次に、ステップS1509において、途中工程別製造負荷発生率算出部206は、ステップS1507で設定された変数bで特定される実通過工程パターン601の各ビットの値と、ステップS1508で導出した、当該変数bに対応する実通過工程パターン601の構成比率602とを乗算して、当該変数bに対応する実通過工程パターン601の途中工程別製造負荷発生率703を算出する。
【0074】
次に、ステップS1510において、途中工程別製造負荷発生率算出部206は、実通過工程パターン601を特定する変数bが、ステップS1506で作成された実通過工程パターン601の総数Bと等しいか否かを判定する。この判定の結果、実通過工程パターン601を特定する変数bが実通過工程パターン601の総数Bと等しくない場合には、ステップS1511に進み、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、実通過工程パターン601を特定する変数bに1を加算する。そして、ステップS1508の処理に戻り、未処理の実通過工程パターン601について途中工程別製造負荷発生率703を算出する。
【0075】
以上のようにしてステップS1506で作成された実通過工程パターン601の全てについて途中工程別製造負荷発生率703を算出すると、ステップS1512に進む。
ステップS1512に進むと、途中工程別製造負荷発生率算出部206は、ステップS1509で算出した、変数aで特定される予測通過パターンに属する全ての実通過工程パターン601における途中工程別製造負荷発生率703を途中工程別発生率格納部207に格納する。
【0076】
次に、ステップS1513において、途中工程別製造負荷発生率算出部206は、ステップS1504で導出した予測通過パターン502を特定する変数aが、ステップS1504で導出した予測通過パターン502の総数Aと等しいか否かを判定する。この判定の結果、予測通過パターン502を特定する変数aが予測通過パターン502の総数Aと等しくない場合には、ステップS1514に進み、実通過工程パターン・構成比率算出部205は、予測通過パターン502を特定する変数aに1を加算する。そして、ステップS1505の処理に戻り、未処理の予測通過パターン502について、実通過工程パターン601の作成と、各実通過工程パターン601の途中工程別製造負荷発生率703の算出・格納とを行う。
【0077】
以上のようにしてステップS1504で導出された予測通過パターン502の全てについて全ての実通過工程パターン601の途中工程別製造負荷発生率703を算出すると、ステップS1515に進む。
ステップS1515に進むと、途中工程別製造工期算出部208は、全ての途中工程のそれぞれの製造工期を途中工程別製造工期801として個別に算出する。
次に、ステップS1516において、途中工程別製造工期算出部208は、ステップS1515で算出した途中工程別製造工期801を工程別工期格納部209に格納する。
次に、ステップS1517において、途中工程通過順取得部210は、全ての途中工程のそれぞれの通過順である途中工程通過順802を外部から取得する。
次に、ステップS1518において、途中工程通過順取得部210は、ステップS1517で取得した途中工程通過順802を工程通過順格納部211に格納する。
【0078】
次に、
図15−2のステップS1518において、注文データ取得部212は、注文データ900を取得するまで待機する。注文データ900を取得すると、ステップS1519に進む。
ステップS1519に進むと、第2の予測通過パターン導出部213は、注文データ900に含まれる注文(注文番号901)を特定する変数cに1を設定する。
次に、ステップS1520において、第2の予測通過パターン導出部213は、ステップS1519で設定した変数cで特定される注文(注文番号901)の製品仕様902と製造仕様903を、ステップS1503で格納された決定木400に適用して、当該注文の各途中工程の通過の有無の予測値(通過有無変数1001)を求め、当該通過有無変数を結合した情報を、当該注文の予測通過パターン1002として導出する。
【0079】
次に、ステップS1521において、途中工程別発生量算出部214は、ステップS1520で導出された予測通過パターン1002と同一の値を有する予測通過パターン502の途中工程別製造負荷発生率703を取得する。
次に、ステップS1522において、途中工程別発生量算出部214は、変数cで特定される注文(注文番号901)の注文量904を取得する。尚、変数cで特定される注文(注文番号901)の注文量904は、ステップS1519の後であれば、必ずしもこのタイミングで取得する必要はない。
【0080】
次に、ステップS1523において、途中工程別発生量算出部214は、ステップS1521で取得した途中工程別製造負荷発生率703とステップS1522で取得した注文量904とを乗算した値を、注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100として算出する。
次に、ステップS1524において、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、ステップS1516で格納された途中工程別製造工期801を取得する。
次に、ステップS1525において、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、ステップS1517で格納された途中工程通過順802を取得する。
【0081】
次に、ステップS1526において、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、ステップS1523で算出した注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100に含まれる実通過工程パターン1101を特定する変数dに1を設定する。
次に、ステップS1527において、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、圧延工程103で製造負荷が発生するタイミングと、ステップS1524で取得した途中工程別製造工期801と、ステップS1525で取得した途中工程通過順802と、ステップS1523で算出した注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100内の途中工程別製造負荷発生量1102のうちステップS1526で設定した変数dで特定される実通過工程パターンの途中工程製造負荷発生量と、に基づいて、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を導出する。
【0082】
次に、ステップS1528において、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、ステップS1523で算出した注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100に含まれる実通過工程パターン1101を特定する変数dが、ステップS1523で算出した注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100に含まれる実通過工程パターン1101の総数Dと等しいか否かを判定する。この判定の結果、注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100に含まれる実通過工程パターン1101を特定する変数dが注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100に含まれる実通過工程パターン1101の総数Dに等しくない場合には、ステップS1529に進む。
【0083】
ステップS1529に進むと、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100に含まれる実通過工程パターン1101を特定する変数dに1を関する。そして、ステップS1527の処理に戻り、ステップS1523で算出した注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100内の途中工程別製造負荷発生量1102のうち未処理の実通過工程パターンの途中工程製造負荷発生量を用いて、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を導出する。
【0084】
以上のようにしてステップS1523で算出した注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100内の途中工程別製造負荷発生量1102の全ての実通過工程パターンについて実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200が導出されると、ステップS1530に進む。
ステップS1530に進むと、途中工程別発生量・発生タイミング算出部216は、ステップS1527で導出された実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200の同一の処理日における同一の工程名の発生量の総和をとったものを途中工程別発生量・発生タイミング1300として算出する。
次に、ステップS1531において、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、注文データ900に含まれる注文(注文番号901)を特定する変数cが注文データ900に含まれる注文(注文番号901)の総数Cと等しいか否かを判定する。注文データ900に含まれる注文(注文番号901)を特定する変数cが注文データ900に含まれる注文(注文番号901)の総数Cと等しくない場合には、ステップS1532に進む。
【0085】
ステップS1532に進むと、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215は、注文データ900に含まれる注文(注文番号901)を特定する変数cに1を加算する。そして、ステップS1520の処理に戻り、未処理の注文(注文番号901)の製品仕様902と製造仕様903から当該注文の予測通過パターン1002を導出し、当該予測通過パターン1002と同一の値を有する予測通過パターン502の途中工程別製造負荷発生率703と注文量904から注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100を算出し、注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100内の途中工程別製造負荷発生量1102の全ての実通過工程パターンについて実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を導出し、導出した実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を集計して途中工程別発生量・発生タイミング1300を算出する。
【0086】
以上のようにして全ての注文(注文番号901)について途中工程別発生量・発生タイミング1300が導出されると、ステップS1533に進む。
ステップS1533に進むと、途中工程別発生量・発生タイミング算出部216は、ステップS1530で算出した途中工程別発生量・発生タイミング1300を途中工程別発生量・発生タイミング格納部217に格納する。
最後に、ステップS1534において、途中工程別発生量・発生タイミング出力部218は、ステップS1533で格納された途中工程別発生量・発生タイミング1300を出力する。尚、途中工程別発生量・発生タイミング1300の出力はオペレータによる指示があった場合にのみを行うようにしてもよい。
【0087】
(まとめ)
以上のように本実施形態では、製造実績データ300を決定木400に適用することにより予測通過パターン502を求める。予測通過パターン502のそれぞれについて、製造実績データ300から、各途中工程の通過回数を割り出して、実通過工程パターン601と当該実通過工程パターン601の構成比率602とを求め、それらから、当該実通過工程パターン601のそれぞれについて途中工程別製造負荷発生率703を求める。その後、注文データ900を決定木400に適用することにより予測通過パターン1002を求め、予測通過パターン1002と同値の予測通過パターン502について求めた各実通過工程パターンの途中工程別製造負荷発生率703と注文量904とから途中工程別製造負荷発生量1102を求める。そして、途中工程別製造工期801と途中工程通過順802と途中工程別製造負荷発生量1102とから、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を求め、同一の注文データ900から得られた全ての実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200を集計して途中工程別発生量・発生タイミング1300を算出する。
【0088】
したがって、製造を着手する前に製品仕様から通過工程が確定しない場合でも、過去の製造実績に基づいて、生産計画を策定する段階で、途中工程毎の製造負荷の発生量と当該製造負荷が発生するタイミングとの双方を予測することができる。この予測の結果を各途中工程での処理能力と比較することで、生産計画の善し悪しを、製造を着手する前に評価することができる。また、各途中工程での処理能力を超える場合は、生産計画を変更するか、処理能力の向上のための対策を行うことで、納期に合わせた製造が可能となり、製造工期の短縮と、在庫の削減を実現することができる。
これに対し、特許文献1に記載の技術では、
図16に示すように、圧延工程103で製造負荷が発生するタイミング(圧延予定日)における各途中工程の製造負荷の発生量を求めることはできるが、各途中工程で製造負荷が発生するタイミングまでは考慮することができない。
【0089】
(変形例)
[変形例1]
工程通過判定ロジックとして生成する決定木は、
図4に示したものに限定されない。
図17は、工程通過判定ロジックとして決定木の変形例を示す図である。
図17に示すように、製造実績データ300に含まれる製造仕様を説明変数とし、予測通過パターン・予測通過パターンを目的変数とする決定木1700を工程通過判定ロジックとしてもよい。このようにした場合には、
図4に示す決定木400のように、通過工程の数と同数の決定木を作成する必要はなく、1つの決定木1700を作成すればよい。また、工程通過判定ロジックは、決定木に限定されるものではない。製品が通過する工程と通過しない工程とを工程毎に予測するものであれば、例えば、統計モデルを使用したり、テーブル方式のモデルを使用したりすることができる。また、製造負荷・タイミング予測装置200とは別の装置で工程通過判定ロジックを作成しておき、当該工程通過判定ロジックを製造負荷・タイミング予測装置200が取り込むようにしてもよい。
【0090】
[変形例2]
本実施形態では、途中工程(手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、及び切断工程107)のみの製造負荷と、当該製造負荷が発生するタイミングとを求める場合を例に挙げて説明した。しかしながら、最後の工程である倉庫108(倉庫への搬入工程)の製造負荷と、当該製造負荷が発生するタイミングを併せて求めるようにしてもよい。このようにした場合、倉庫108には全ての製品が搬入されるので、
図3に示す製造実績データ300の実績通過回数304として正の整数(通常は「1」)が与えられる。また、倉庫108の途中工程通過順は、例えば、切断工程107の次(
図8に示す例では「5」)になる。また、倉庫108の製造工期が途中工程別製造工期801に加えて算出(又は取得)される。また、
図13に示す途中工程別発生量・発生タイミング1300において、同一の注文(注文番号901)における倉庫108での製造負荷の合計は、当該注文の注文量904に一致する。その他については、前述した途中工程に対する処理に倉庫108に対する処理を追加すればよいので、その詳細な説明を省略する。このようにした場合には、途中工程以外の製造工程(最後の製造工程)についても、製造負荷の発生量と当該製造負荷が発生するタイミングとの双方を導出することができる。
【0091】
[変形例3]
本実施形態では、注文データ900が入力される前に途中工程別製造負荷発生率703を算出するようにした。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、注文データ900から得られた予測通過パターン1002と同値の予測通過パターン502について求められている実通過工程パターン601と構成比率602と当該注文データ900に含まれる注文量904とから、
図11に示す注文別実通過工程パターン別途中工程別製造負荷発生量1100を計算するようにしてもよい。
【0092】
[変形例4]
本実施形態では、標準的な途中工程通過順に従って、途中工程を複数回繰り返し行う場合が生じる場合について説明した。しかしながら、途中工程を複数回行う態様はこのような標準的な途中工程通過順に従う態様に限定されない。例えば、第1の途中工程を行った後、別の第2の途中工程を起こってから第1の途中工程を行うようにしてもよい。このように標準的な途中工程通過順に従わない注文の場合には、注文毎に
図8に示した途中工程通過順802の内容を設定すればよい。例えば、手入れ工程104、矯正(CL)工程105、矯正(OL)工程106、矯正(CL)工程105、切断工程107の順に通過する注文は、
図18のように途中工程通過順を与えればよい。
【0093】
[変形例5]
本実施形態では、途中工程を複数回繰り返し行う場合が生じる場合について説明した。しかしながら、途中工程を複数回繰り返し行うことがない場合には、
図3に示す製造実績データ300の実績通過回数304を、通過の有無を表す変数(例えば、通過した場合に「1」、通過しない場合に「0」を示す変数)としてもよい。このようにした場合、実通過工程パターン601の値も当該変数がとり得る値(例えば「1」又は「0」)で表現される。
【0094】
[変形例6]
本実施形態では、圧延予定日(2月19日)から途中工程別製造工期801に示される製造工期を加算した値を四捨五入して製造負荷が発生する日(タイミング)を導出したが必ずしもこのようにする必要はない。例えば、圧延予定日(2月19日)から途中工程別製造工期801に示される製造工期を加算した値の小数点第一位を切り上げ又は切り捨てて整数値としてもよい。また、製造負荷が発生するタイミングを日と時刻とで表してもよい。この他、製造工程で製造負荷が発生するタイミングは、当該製造工程における処理が完了するタイミングであっても、当該製造工程における処理が開始するタイミングであってもよい。
【0095】
[変形例7]
本実施形態では、途中工程別製造工期を算出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、各途中工程の工期が事前に分かっている場合には、途中工程別製造工期の算出を行わずに、工程別工期を外部から直接取得してもよい。途中工程別製造工期の取得は、ユーザによるユーザインターフェースの入力操作や、リムーバル記憶媒体からの読み出しや、外部装置との通信等によって行うことができる。
【0096】
[変形例8]
本実施形態では、注文量904の単位を枚数としたが、注文量904の単位はこれに限定されない。製造する対象となる製品に応じて、注文量904の単位を、例えば、重量(質量)にしてもよい。
[変形例9]
本実施形態では、全ての製品が予測の起点となる同一の製造工程(圧延工程103)を通過する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限定されない。例えば、最初に通過する製造工程は、製品ごとに異なっていてもよい。また、本実施形態では、各製品が最後に通過する製造工程が同一の製造工程(倉庫108)である場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限定されない。例えば、最後に通過する製造工程は、製品ごとに異なっていてもよい。以上のようにする場合には、例えば、当該製品が通過しない製造工程については、通過有無変数、実績通過回数、予測通過パターンの値、及び実通過工程パターンの値を、それぞれ「0」又は「−(値なし)」とする。また、最初に通過する製造工程が製品ごとに異なる場合には、当該製品が最初に通過する製造工程で製造負荷が発生するタイミングを与えるようにする。
【0097】
(請求項との関係)
第1の分類手段は、例えば、第1の予測通過パターン導出部204を用いることにより実現され、第1の分類ステップは、例えば、
図15−1のステップS1504の処理を実行することにより実現される(変形例1も参照)。
第2の分類手段は、例えば、第2の予測通過パターン導出部213を用いることにより実現され、第2の分類ステップは、例えば、
図15−2のステップS1520の処理を実行することにより実現される(変形例1も参照)。
製造工期取得手段は、例えば、途中工程別製造工期算出部208を用いることにより実現され、製造工期取得ステップは、例えば、
図15−1のステップS1515、S1516の処理を実行することにより実現される(変形例7も参照)。
通過順取得手段は、例えば、途中工程通過順取得部210を用いることにより実現され、通過順取得ステップは、例えば、
図15−1のステップS1517の処理を実行することにより実現される。
通過実績別製造工程別製造負荷導出手段は、例えば、途中工程別製造負荷発生率算出部206、途中工程別発生率格納部207、及び途中工程別発生量算出部214を用いることにより実現され、通過実績別製造工程別製造負荷導出ステップは、例えば、
図15−1のステップS1508、S1509、及び
図15−2のステップS1527の処理を実行することにより実現される(変形例3も参照)。ここで、「割合」は、例えば、
図6に示す各実通過工程パターン601の構成比率602により実現される。
通過実績別製造工程別製造負荷・タイミング導出手段は、例えば、実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング算出部215を用いることにより実現され、通過実績別製造工程別製造負荷・タイミング導出ステップは、例えば、
図15−2のステップS1527の処理を実行することにより実現される。ここで、「通過実績別製造工程別の製造負荷・タイミング」は、例えば、
図12に示す実通過工程パターン別途中工程別発生量・発生タイミング1200により実現される(変形例6も参照)。
製造工程別製造負荷・タイミング導出手段は、例えば、途中工程別発生量・発生タイミング算出部216を用いることにより実現され、途中工程別製造負荷・タイミング導出ステップは、例えば、
図15−2のステップS1530の処理を実行することにより実現される。ここで、「製造工程別の製造負荷・タイミング」は、例えば、
図13に示す途中工程別発生量・発生タイミング1300により実現される。
工程通過判定ロジック作成手段は、例えば、工程通過判定ロジック作成部202を用いることにより実現され、工程通過判定ロジック作成ステップは、例えば、
図15−1のステップS1502の処理を実行することにより実現される。
また、請求項3、
7は、例えば、変形例2に対応するものである。
【0098】
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。