(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理ごとに又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理ごとに、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0023】
本実施の形態である情報処理装置100は、会合の開始日時前の予め定められた日時を過ぎてからその会合に用いる文書を復号するものであって、
図1の例に示すように、スケジュール処理モジュール110、文書取得モジュール120、文書復号/再暗号化等処理モジュール130、位置検知モジュール140、環境検知モジュール150、周辺装置検知モジュール160、イベント検知モジュール170を有している。情報処理装置100は、利用者が所有している携帯端末であってもよいし、携帯端末以外の情報処理装置であってもよい。携帯端末以外の情報処理装置の場合は、その携帯端末と通信可能に接続されている。「会合」は、複数人が1つの箇所に集まるものであって、その会合の参加者が文書を用いるものであればよく、イベント、会議、発表会、学会、大会、顧客面談、機械のメンテナンス作業、プレゼンテーション等がある。以下、イベントを主な例として説明する。
【0024】
スケジュール処理モジュール110は、利用者(会合の参加者となり得る者)のスケジュール情報を取得する。例えば、スケジュール管理システムからその日の利用者のスケジュール情報を取得するようにしてもよいし、そのスケジュール管理システムから予定日時前の予め定められた日時にスケジュール情報を含む電子メール等の通知を受けるようにしてもよい。そして、スケジュール処理モジュール110は、そのスケジュール情報から利用者に会議の予定があるか否かを判断する。スケジュール情報として、例えば、スケジュール情報テーブル300がある。対象となっている利用者の会合ごとにスケジュール情報テーブル300を受け取る。
図3は、スケジュール情報テーブル300のデータ構造例を示す説明図である。スケジュール情報テーブル300は、開始日時欄310、終了日時欄320、イベントID欄330、位置欄340、参加人数欄350、参加者ID欄360等を有している。開始日時欄310は、イベントの開始日時(年、月、日、秒、秒以下、又はこれらの組み合わせであってもよい)を記憶している。終了日時欄320は、そのイベントの終了日時を記憶している。イベントID欄330は、本実施の形態においてそのイベントを一意に識別するための情報(イベントID:IDentification)を記憶している。位置欄340は、そのイベントが開催される会議室等の位置を記憶している。例えば、緯度、経度、ビル名、部屋番号等の情報がある。参加人数欄350は、そのイベントにおける参加人数を記憶している。参加者ID欄360は、本実施の形態において、そのイベントにおける参加者を一意に識別するための情報(参加者ID、利用者ID)を記憶している。
【0025】
文書取得モジュール120は、文書復号/再暗号化等処理モジュール130と接続されている。文書取得モジュール120は、対象となっているイベントに必要な文書を取得する。例えば、イベントIDと文書IDが対応付けられているテーブルを参照して、イベントIDから文書IDを抽出し、その文書IDの文書を文書管理システムから取得すればよい。なお、ここでの文書とは、テキストデータ、画像、動画、音声等の電子データ、又はこれらの組み合わせであり、記憶、編集及び検索等の対象となり、システム又は利用者間で個別の単位として交換できるものをいい、これらに類似するものを含む。具体的には、文書作成プログラムによって作成された文書、Webページ等を含む。そして、その文書は、暗号化されている。暗号化手法としては、例えば、公開鍵暗号があるが、これに限る必要はない。例えば、期限付チケット等の技術を用いてもよい。
【0026】
位置検知モジュール140は、イベント検知モジュール170と接続されている。位置検知モジュール140は、イベント検知モジュール170によって日時(イベントの開始日時前の予め定められた日時)を過ぎていると判断された場合は、イベントの参加者の位置を示す情報を受け付ける。例えば、対象としている参加者が所持している携帯端末に内蔵されているGPS(Global Positioning System(汎地球測位システム))が出力する位置情報、その携帯端末が利用しているWiFi基地局の位置情報、その携帯端末が利用している携帯電話網に用いられている電話回線基地局の位置情報のいずれかを用いればよい。
【0027】
環境検知モジュール150は、イベント検知モジュール170と接続されている。環境検知モジュール150は、参加者の所有している携帯端末の環境に関する情報を受け付ける。
環境検知モジュール150は、携帯端末の周囲の音を取得し、その音に基づいて、その携帯端末の環境を検知するようにしてもよい。つまり、この場合の携帯端末の環境に関する情報とは、この検知された携帯端末の環境に関する情報である。なお、携帯端末の周囲の音(環境音)を取得するには、その携帯端末のマイクロフォンを用いればよい。
環境検知モジュール150は、環境音から生活シーンを特定するために、携帯端末で音をセンシングして、環境を検知する。環境音の音信号からスペクトログラムを生成し、これに二次元フーリエ変換を適用する。その結果と周期性特徴又はテンプレート画像との類似性により、その音が取得された状況(例えば、会議室、作業スペース、オープンフロア、屋外等)を特定する。周囲の音から環境に関する情報を得ることについては、
図5〜8の例を用いて後述する。
【0028】
また、環境検知モジュール150は、携帯端末を振動させ、その振動している間のその携帯端末の加速度を検知するようにしてもよい。つまり、この場合の携帯端末の環境に関する情報とは、この検知された携帯端末の加速度に関する情報である。
環境検知モジュール150は、携帯端末が振動することで置いてある場所の材質・硬さを認識する。つまり、置かれている机などに振動を与え、その固有振動数から置かれている机などの種類を判定する。加速度から環境に関する情報を得ることについては、
図9〜19の例を用いて後述する。
【0029】
周辺装置検知モジュール160は、イベント検知モジュール170と接続されている。周辺装置検知モジュール160は、参加者の所有している携帯端末の環境に関する情報を受け付ける。周辺装置検知モジュール160は、携帯端末と無線による近距離通信可能な装置を検知するようにしてもよい。つまり、この場合の携帯端末の環境に関する情報とは、この検知された装置に関する情報である。装置とは、参加者の所有している携帯端末と通信可能な位置にある周辺装置であり、例えば、その会議室にある情報機器(例えば、プロジェクタ等)、他の参加者が所有している携帯端末等がある。装置に関する情報としては、例えば、通信可能な周辺装置の数、通信可能な周辺装置ID、通信可能な周辺装置の種類(例えば、会議室に備え付けられているものか否かを示す情報等)のいずれか1つ又はこれら2つ以上の組み合わせがある。無線による近距離通信として、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi、赤外線通信、NFC(Near Field Communication)等がある。
【0030】
イベント検知モジュール170は、文書復号/再暗号化等処理モジュール130、位置検知モジュール140、環境検知モジュール150、周辺装置検知モジュール160と接続されている。イベント検知モジュール170は、複数人が集まるイベントの開始日時前の予め定められた日時を過ぎているか否かを判断する。「イベントの開始日時前の予め定められた日時」とは、イベント開始1時間前等のように、イベントの開始前であって、開始日時から予め定められた期間を確保するための日時である。イベントの開始前の期間を0としてもよいし、数日等としてもよい。この期間は、イベント開始前に文書を閲覧できる状態になる。もちろんのことながらイベント中も閲覧可能である。なお、ここで閲覧可能であるとは、暗号化された文書を復号することをいう。なお、単にイベントの予定開始日時だけを用いて文書を復号してしまうと、イベントの予定がキャンセルされた場合は、イベントが開催されていないにもかかわらず、文書が閲覧できる状態になってしまう。また、イベントが予定よりも早く又は遅く終わることがあり得るので、イベントの予定終了日時だけを用いて文書を削除等してしまうと、余計に文書が閲覧できる状態を継続してしまうこと又はイベント中にもかかわらず文書が閲覧できなくなってしまうことが発生する。
【0031】
そして、イベント検知モジュール170は、位置検知モジュール140と環境検知モジュール150によって受け付けられた情報に基づいて、対象としているイベントの場所に、対象としている参加者がいるか否かを判断する。環境検知モジュール150によって受け付けられた情報として、例えば、対象としている参加者が所持している携帯端末の環境に関する情報、その携帯端末の加速度に関する情報のいずれか1つ又はこれらの組み合わせがある。
対象としている参加者が所持している携帯端末の環境に関する情報を用いる場合について、例えば、環境検知モジュール150、イベント検知モジュール170は、以下のような一連の処理を行う。
イベント開始時間になったら、携帯端末のマイクロフォンを使って、その携帯端末が置かれている周囲の環境音を取得する。イベントの行われる予定の場所は、過去に取得したデータを使って、その周期性特徴又はテンプレート画像が登録されている。携帯端末で取得した状況と、イベントの行われる予定の場所情報とを比較して、携帯端末が正しく予定の場所に持ち込まれたことを認識する。なお、イベントの行われる予定の場所に関して、過去に取得されたデータが無い場合は、状況情報以外の情報(例えば、位置検知モジュール140の位置情報)を用いて、場所を特定し、今回の状況情報をその場所の状況情報として登録すればよい。
また、イベント継続中も携帯端末で環境音を取得して、イベント開始時に取得した状況との差異が生じたら、イベントが終了したと認識するようにしてもよい。
携帯端末が取得する環境音とは、会議室であれば聞こえる空調、プロジェクタ、PCなどの継続的な音を指す。オフィス環境であれば、周囲にある空調、複写機、プリンタ、人の話し声などの継続的な音を指す。屋外であれば、車や電車など交通機関の音、人の歩行音、話し声、音楽、アナウンスなどの継続的な音を指す。
【0032】
また、対象としている参加者が所持している携帯端末の加速度に関する情報を用いる場合について、例えば、環境検知モジュール150、イベント検知モジュール170は、以下のような一連の処理を行う。
イベント開始時間になったら、携帯端末がバイブレーションを起こし、加速度センサ又はジャイロセンサで取得した値を使って、その携帯端末が置かれている状況を判定する。例えば、会議室に設置されている机の上や、自席の机の上、棚の上、床の上などを判定し、さらに照度センサを併用すれば、手持ち、かばんの中、ポケットの中なども判定できる。過去に実績があるものや想定されるものについては、事前にデータを取得しておき、それらと比較して判定を行う。なお、イベントの行われる予定の場所に関して、過去に取得されたデータが無い場合は、加速度以外の情報(例えば、位置検知モジュール140の位置情報)を用いて、場所を特定し、今回の加速度に関する情報をその場所の固有値として登録すればよい。
また、イベント継続中に、加速度センサ又はジャイロセンサにより携帯端末に動きが発生したと認識したら、前述の処理を行い、携帯端末の置かれている状況を再判定する。机に置かれていた端末が手に持たれたり、かばんの中から取り出されたり場合はイベント継続中と認識する。また机に置かれていた端末がかばんやポケットの中に格納された場合は、イベントが終了したと認識するようにしてもよい。
【0033】
また、イベント検知モジュール170は、位置検知モジュール140と周辺装置検知モジュール160によって受け付けられた情報に基づいて、対象としているイベントの場所に、対象としている参加者がいるか否かを判断するようにしてもよい。周辺装置検知モジュール160によって受け付けられた情報として、例えば、対象としている参加者が所持している携帯端末と通信可能な装置に関する情報がある。
例えば、周辺装置検知モジュール160、イベント検知モジュール170は、以下のような一連の処理を行う。
イベント開始時間になったら、携帯端末の通信モジュールを使って周囲の装置を検索する。自分の携帯端末との通信可否や機能的に利用できるかどうかとは関係なく、装置情報が取得できるものを対象とする。例えば携帯端末(携帯電話、スマートフォン、タブレット等を含む)、固定されたデスクトップPC、プロジェクタ、モニター、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)、スキャナ、プリンタ、ファックス、スピーカー、無線ポート(LAN、電話等)、会議室に設置したRFID、ヘッドセット、スピーカー等がある。
取得した装置IDとイベントの行われる予定の場所にある装置IDとを比較して、対象としている参加者が予定の場所にいるか否かを判断する。
そして、装置IDが取得できたら、それらをリスト化した情報をイベントと結び付ける。つまり、その場所に固定された装置の装置IDだけでなく、他の参加者が所持している携帯端末等の装置IDも含めて、参加しているイベントと関連付ける。
イベント継続中は定期的にポーリングして、周囲の装置の増減を検知する。そして、イベント終了条件と照らし合わせる。例えば、固定装置以外の装置(携帯端末)の数がイベント開始時にはイベント参加者数未満であった場合、周囲の装置の数がイベント参加者数まで増えた場合は、イベント途中で参加者が増えたと認識してイベント継続中と判断するが、それより多くなった場合はイベント終了と認識するようにしてもよい。なお、閾値としてイベント参加者数そのものを用いたが、そのイベント参加者数に予め定められた数を加算又は減算した値を閾値としてもよい。また、固定装置の存在が無くなったら、自分の携帯端末が場所から離れたと認識してイベント終了と判断するようにしてもよい。
【0034】
また、イベント検知モジュール170は、位置検知モジュール140と環境検知モジュール150と周辺装置検知モジュール160によって受け付けられた情報に基づいて、対象としているイベントの場所に参加者がいるか否かを判断するようにしてもよい。そして、イベント検知モジュール170は、環境検知モジュール150によって受け付けられた情報(対象としている参加者が所持している携帯端末の環境に関する情報、その携帯端末の加速度に関する情報)、周辺装置検知モジュール160によって受け付けられた情報(対象としている参加者が所持している携帯端末と通信可能な装置に関する情報)のそれぞれに計数を乗算した合計値に基づいて判断処理を行うようにしてもよい。
具体的には、イベント検知モジュール170は、例えば予め作成されている位置情報テーブル400を用いて、判断処理を行う。
図4は、位置情報テーブル400のデータ構造例を示す説明図である。位置情報テーブル400は、位置欄410、位置テンプレート画像欄420、設置機器欄430を有している。位置欄410は、会議室等の会合が行われ得る場所の位置情報(スケジュール情報テーブル300の位置欄340に該当)を記憶している。位置テンプレート画像欄420は、前述の周期性特徴又はテンプレート画像である位置テンプレート画像を記憶している。設置機器欄430は、その場所に設置されている機器(例えば、プロジェクタ等)を記憶している。つまり、位置検知モジュール140から得た情報と位置欄410に記憶されている情報、環境検知モジュール150から得た情報と位置テンプレート画像欄420に記憶されている情報、周辺装置検知モジュール160から得た情報と設置機器欄430に記憶されている情報とをそれぞれ比較し、一致度合いに基づいて、対象としているイベントの場所に、対象としている参加者がいるか否かを判断する。
例えば、一致度合いとして、以下の信頼度を用いる。信頼度は、優先度によって決定した係数を使って以下の式のように決定する。
信頼度 = Σαi*Xi+Σβj*Yj
i,j:センサ種類
α,β:センサ固有係数
X:センサ出力値(アナログ値) 温度や照度などの連続値
Y:センサ出力値(デジタル値) 装置などの存在/不在で表わす値
なお、この式では、センサ出力値として、アナログ値とデジタル値に分けて算出しているが、いずれか一方だけであってもよい。
つまり、イベント検知モジュール170は、複数のセンサから取得したデータに優先度を加味して状況の信頼度を算出している。そして、算出した信頼度とイベント開始の閾値とを比較して、イベントの開始を判断する。
次に示すようなセンサ固有係数が高い(優先度が高い)センサデータを採用してもよい。センサデータとして、位置情報、温度情報、音情報、照度情報、加速度情報、ジャイロ情報、地磁気情報、気圧情報などがある。
・ダイナミックレンジが大きいもの、つまり、On/Offの差が大きいもの。例えば、音、温度、照度などがある。
・周期的あるいは継続的なもの。例えば、空調音、電車の通過音などがある。なお、間欠的に発生するものは、センサ固有係数を小さくする。
・S/N比が大きいもの、つまり、ノイズの混入が小さいもの。例えば、机上で振動した際の固有振動などがある。
・人に近い値。例えば、顔認識、声認識、脈拍、脳波、癖の動作などがある。
・絶対値が保証できる値、つまり、時間や測定環境に依存しないもの。例えば、位置情報などがある。
・場所に固有の装置情報、つまり、それ自身が移動しない装置。例えば、固定されたデスクトップPC、プロジェクタ、モニター、複合機、スキャナ、プリンタ、ファックス、スピーカーなどがある。
【0035】
また、イベント検知モジュール170は、文書復号/再暗号化等処理モジュール130によって復号処理が行われた後に、環境検知モジュール150又は周辺装置検知モジュール160が受け付けた情報(対象としている参加者が所持している携帯端末の環境に関する情報、その携帯端末の加速度に関する情報、その携帯端末と通信可能な装置に関する情報のいずれか1つ又はこれらの組み合わせ)に基づいて、イベントが終了しているか否かを判断するようにしてもよい。前述と同様の式を用いてイベントの終了を判断するようにしてもよい。
【0036】
文書復号/再暗号化等処理モジュール130は、文書取得モジュール120、イベント検知モジュール170と接続されている。文書復号/再暗号化等処理モジュール130は、イベント検知モジュール170によって参加者が対象としているイベントの場所にいると判断した場合は、そのイベントに必要な文書を復号する。その文書を復号することによって、閲覧可能状態とする。
また、文書復号/再暗号化等処理モジュール130は、イベント検知モジュール170によってイベントが終了していると判断した場合は、文書の閲覧を不可能とする処理を行うようにしてもよい。「文書の閲覧を不可能とする処理」とは、例えば、その文書を元の鍵とは異なる鍵を用いて暗号化すること、その文書を復号するための鍵を削除すること、その文書を削除すること等がある。また、イベント検知モジュール170によっても終了の判断がつかないとき(例えば、予め定められた範囲に前述の信頼度が含まれている場合等)は警告メッセージを提示し、操作者からの反応が予め定められた時間無い場合は、強制的に再暗号化等の処理を実施するようにしてもよい。
【0037】
図2は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS202では、スケジュール処理モジュール110が、スケジュール情報を受け付ける。
ステップS204では、スケジュール処理モジュール110が、イベントの予定があるか否かを判断し、ある場合はステップS206へ進み、それ以外の場合はステップS200へ戻る。
ステップS206では、文書取得モジュール120が、そのイベントに必要な関連文書があるか否かを判断し、ある場合はステップS208へ進み、それ以外の場合はステップS200へ戻る。
【0038】
ステップS208では、文書復号/再暗号化等処理モジュール130が、暗号化文書を受信する。予定されたイベントで使用する暗号化された文書を入手する。
ステップS210では、文書復号/再暗号化等処理モジュール130が、暗号鍵を受信する。予定されたイベントでのみ復号可能な暗号鍵を管理サーバから入手する。
ステップS212では、イベント検知モジュール170が、予定時間であるか否かを判断し、予定時間である場合はステップS214へ進み、それ以外の場合は予定時間まで待機する。ここでの予定時間とは、前述したイベント開始日時前の予め定められた日時をいう。
【0039】
ステップS214では、位置検知モジュール140が、位置情報を受け付ける。
ステップS216では、環境検知モジュール150が、環境情報を受け付ける。
ステップS218では、周辺装置検知モジュール160が、周辺装置情報を受け付ける。
ステップS220では、イベント検知モジュール170が、予定の場所であるか否かを判断し、予定の場所である場合はステップS222へ進み、それ以外の場合はステップS236へ進む。つまり、ここでは参加者の携帯端末がスケジュールに設定された場所にあることを検知する。
【0040】
ステップS222では、文書復号/再暗号化等処理モジュール130が、文書を復号する。例えば、暗号鍵に設定された時刻(スケジュールから設定)になったら復号ができるようになっている。
ステップS224では、イベント検知モジュール170が、イベントをセットする。具体的には、環境情報、周辺装置情報のいずれか1つ又は両方を入手し、イベント構成要素と設定する。つまり、イベント開始における状況を記憶する。例えば、周辺装置情報テーブル2000を記憶する。
図20は、周辺装置情報テーブル2000のデータ構造例を示す説明図である。周辺装置情報テーブル2000は、イベントID欄2010、イベント初期周辺装置欄2020、イベント現在周辺装置欄2030、終了条件欄2040を有している。イベントID欄2010は、イベントIDを記憶している。イベント初期周辺装置欄2020は、イベント初期において周辺装置検知モジュール160が検知した周辺装置の装置IDを記憶している。イベント現在周辺装置欄2030は、イベント現在において周辺装置検知モジュール160が検知した周辺装置の装置IDを記憶している。終了条件欄2040は、終了条件を記憶している。ステップS224では、イベントID欄2010、イベント初期周辺装置欄2020をセットし、また、終了条件欄2040を、イベントのスケジュール情報、イベント場所の情報に基づいてセットする。例えば、そのイベントに予定された参加者数に基づいて、検知できる周囲の携帯端末数をセットしてもよい。例えば、周囲の携帯端末数が0である場合(携帯端末が放置されている場合等)を、終了とする条件としてもよい。また、固定された装置の装置IDがなくなった場合(その場所から離れた場合)を、終了とする条件としてもよい。場所が変化した場合、携帯端末が予め定められた速度以上で移動している場合を、終了とする条件としてもよい。終了条件は、複数あってもよく、それらが論理結合(AND、OR等)されていてもよい。イベント現在周辺装置欄2030は、ステップS230でセットする。
【0041】
ステップS226では、位置検知モジュール140が、位置情報を受け付ける。
ステップS228では、環境検知モジュール150が、環境情報を受け付ける。
ステップS230では、周辺装置検知モジュール160が、周辺装置情報を受け付ける。
ステップS232では、イベント検知モジュール170が、イベントに変化があったか否かを判断し、変化があった場合はステップS234へ進み、それ以外の場合はステップS226へ戻る。構成要素に変化が生じた場合(環境が変わった、周辺装置が減った、増えた)、イベントに変化があったとする。
ステップS234では、イベント検知モジュール170が、イベントが終了したか否かを判断し、終了した場合はステップS236へ進み、それ以外の場合はステップS226へ戻る。予め定められた基準に照らし、イベント終了を判断する。基準として、場所が変わった、装置が減った、装置が閾値以上増えたなどがある。
ステップS236では文書復号/再暗号化等処理モジュール130が、ステップS222で復号した文書を、再暗号化、鍵削除、削除のいずれかの処理を行う。
【0042】
図5〜8の例を用いて、環境検知モジュール150内のモジュール構成、処理内容(携帯端末の環境を検知する処理)等を説明する。
分類装置としての環境検知モジュール150は、時間的に変化する信号(「時間変化信号」と呼ぶ)を入力とし、この入力信号を解析することで、この入力信号が表す事象が、予め登録された事象のいずれに該当するかを判定(すなわち入力信号をいずれかの登録事象に分類)する。
【0043】
分類の対象となる時間変化信号は、例えば、センサがある時間にわたって出力した時系列的な信号である。例えば、マイクロフォンが検出する音声信号、加速度センサが検出する加速度信号、速度センサが取得する速度信号、圧力センサが検出する圧力信号等がその一例である。
分類先である事象は、時間変化信号の解析により特定可能なものであればどのようなものであってもよい。例えば、人が携帯するスマートフォンのマイクロフォンが拾った音声信号を解析することで、その人が歩行している、駅のホームで電車を待っている、電車に乗っている、等というように、その人がそのときどのような状況にいるかを解析することが考えられる。この例における各種の「状況」が分類先の事象の一例である。
この分類のために、環境検知モジュール150では、入力された時間変化信号のスペクトログラムの二次元フーリエ変換を求め、スペクトログラムの周波数成分の分布を示す画像を生成する。一方、事前に、各種の事象のそれぞれについて、その事象において生じる時間変化信号を取得し、その時間変化信号のスペクトログラムの周波数成分の分布を示す画像を作成し、これをその事象に対応するテンプレート画像としてデータベース化しておく。そして、入力信号のスペクトログラムの周波数成分の分布を示す画像が、データベース内の各事象のテンプレート画像のどれに類似しているかに応じて、その入力信号がどの事象を表しているのかを判定する。
【0044】
ここで、スペクトログラムとは、周知のように、信号のスペクトル密度が時間に応じてどのように変化するかを表す、時間変化するスペクトル表現である。スペクトログラムは、一般的には、横軸に時間、縦軸に周波数をとり、各点の明るさや色である時点のある周波数の信号強度(振幅)を表すグラフ(画像)として表される。環境検知モジュール150では、このスペクトログラムに対して二次元フーリエ変換を施したものを分類に用いる。
【0045】
図5に、人が携帯するスマートフォンのマイクロフォンで拾った音声信号から作成したスペクトログラムの例を示す。(a)は、その人が駅のプラットフォームで電車を待っている状況の音声信号のスペクトログラムであり、(b)は、その人が待っているプラットフォームに対して電車が近づいてきたときの音声信号のスペクトログラムである。また、(c)はその人が野外を走る電車に乗っているときの音声信号のスペクトログラムであり、(d)はその人がトンネル内(あるいは地下)を走る電車に乗っているときの音声信号のスペクトログラムである。
図6には、(a)人が歩いているときにスマートフォンのマイクロフォンにより取得された音声信号から生成したスペクトログラムと、(b)そのスペクトログラムの二次元フーリエ変換と、を示す。環境検知モジュール150では、例えば、(b)に例示したスペクトログラムの二次元フーリエ変換を、テンプレート画像として、「人が歩いている」という状況(事象)と対応づけて、データベースに蓄積する。
また、上述したテンプレート画像を用いた分類を、スペクトログラムの二次元フーリエ変換の画像が持つ周期的な特徴を用いた分類と組み合わせることも考えられる。
例えば、
図6に示したスペクトログラム(a)の二次元フーリエ変換(b)の画像には、画像を上下に二分する横軸上に、周囲に比べて目立って輝度が高い点(「白点」と呼ぶ)が一定の間隔で周期的に並んでいる。この例における隣り合う白点同士の間隔が、二次元フーリエ変換(b)の画像が含む周期性を示す特徴である。例えば、人が歩いているときと走っているときでは、その間隔が異なることが発明者の実験で分かっている。したがって、信号のスペクトログラムを二次元フーリエ変換した結果の中に、(b)に示すような周期性を持つ特徴が見られる場合には、そのような周期性の特徴を用いて分類を行うこともできる。例えば、状況(例えば歩いている/走っている)ごとに、その状況に対応する二次元フーリエ変換(b)の画像の横軸上の白点の間隔を、その状況に対応する周期性特徴としてデータベース化しておき、入力信号のスペクトログラムの二次元フーリエ変換から求められる周期性特徴に類似した周期性特徴をデータベースから検索し、検索した周期性特徴に対応する状況を、入力信号の示す状況と判定する。
ただし、そのような周期性は、全ての事象(状況)について見られるものではない。そこで、環境検知モジュール150では、入力信号のスペクトログラムの二次元フーリエ変換から周期性特徴を見いだせた場合は、その特徴に基づいて分類を行う。一方、周期性特徴を見いだせなかった場合は、テンプレート画像との比較に基づいて分類を行う。
【0046】
図7に、分類装置としての環境検知モジュール150の機能構成の一例を示す。
図7の例では、テンプレート画像DB(データベース)730には、分類したい事象(例えばスマートフォンを携帯しているユーザが居る場の状況)ごとに、その事象の識別情報に対応づけて、その事象に関してセンサが検出した時間変化信号のスペクトログラムを二次元フーリエ変換して得られる画像が、テンプレート画像として登録されている。すなわち、事前に実験を行って、各種の事象についてのセンサの検出信号を収集し、収集した信号からテンプレート画像を生成し、これをテンプレート画像DB730に登録しておく。登録されるテンプレート画像は、
図7の分類装置のスペクトログラム生成モジュール712、前処理モジュール714、及び二次元フーリエ変換モジュール722(又はこれと同じ機能を持つ装置)を用いて生成したものである。
【0047】
また、周期性特徴DB734には、テンプレート画像に周期性特徴が見られる事象のみについて、その事象の識別情報に対応づけて、その周期性特徴が登録されている。例えば、テンプレート画像DB730を構築する際に作成した各事象のテンプレート画像を解析して周期性特徴を探し、周期性特徴が見つかれば、これを周期性特徴DB734に登録すればよい。周期性特徴としては、例えば、
図6に例示したように、テンプレート画像(
図6の(b)がその一例)の中央を通る横軸上に等間隔に存在する白点同士の間隔を用いればよい。この場合、事象ごとに、その事象に対応するテンプレート画像の中央を通る横軸上の画素値分布を求め、この画素値分布を二値化する等により白点を抽出し、抽出された白点群の中の隣り合う白点同士の間隔をそれぞれ求め、求めた間隔同士が予め定めた許容誤差以内で等しい場合に、そのテンプレート画像は周期性を持つと判定する。そして、それら複数の間隔の統計的な代表値(例えば平均値)を、その事象の周期性特徴として周期性特徴DB734に登録する。なお、テンプレート画像の横軸上に並ぶ白点の周期性に着目したり、それら白点同士の間隔を周期性特徴として用いたりするというのはあくまで一例にすぎない。周期性特徴DB734に登録する特徴を求める際の周期性特徴の検出方式は、後述する周期性特徴検出モジュール726で用いられるものと同じものである。
【0048】
図7の装置の信号入力モジュール710には、分類対象の時間変化信号が入力される。例えば、スマートフォンにインストールされたアプリケーションが、スマートフォンのマイクロフォンが一定期間ごとに、その一定期間にピックアップした音声信号のデータを、インターネットを介して分類装置である環境検知モジュール150に送信し、そのデータを信号入力モジュール710が受け取る。
スペクトログラム生成モジュール712は、信号入力モジュール710が受け取った時間変化信号のスペクトログラムを生成する。スペクトログラムの生成には、従来用いられている方法を用いればよい。生成されるスペクトログラムは、一種の画像として取り扱うことができる。
生成されたスペクトログラムは、前処理モジュール714に入力され、二次元フーリエ変換のための前処理をうける。前処理モジュール714は、バンドパスフィルタモジュール716、非線形変換モジュール718及び二値化モジュール720を有する。
【0049】
バンドパスフィルタモジュール716は、入力されたスペクトログラム(例えば横軸が時間、縦軸が周波数を示す)のなかから、予め定めた周波数帯域の部分を抽出する。これは、スペクトログラムから、後の解析にとって意味がない(ノイズにしかならない)周波数帯域を取り除く処理である。抽出する周波数帯域は、分類装置としての環境検知モジュール150が分類しようとする信号の特性等に応じて予め定めておけばよい。
非線形変換モジュール718は、バンドパスフィルタモジュール716の出力(すなわちスペクトログラムのうち抽出された部分)に対して、非線形の増幅を行う。これは、画像信号を表示する際のガンマ補正と同様の考え方で、低強度(輝度が低い)の信号成分を増幅して強度を上げることで、信号対ノイズ比を改善するためのものである。
二値化モジュール720は、非線形変換モジュール718の出力に対して二値化処理を施す。この二値化により、スペクトログラムの特徴が強調される。この二値化モジュール720の出力が、二次元フーリエ変換モジュール722に入力される。
【0050】
二次元フーリエ変換モジュール722は、入力された二値化結果(すなわち入力信号のスペクトログラムを前処理して得られた二値化画像)に対して、公知の二次元フーリエ変換を施す。これにより、そのスペクトログラムの二値化画像の周波数成分の分布を示す画像が得られる。この画像(二値化結果)は、分類処理モジュール724に入力される。
分類処理モジュール724は、入力された二次元フーリエ変換結果の画像を用いて、分類対象の時間変化信号が表す事象が、データベース(テンプレート画像DB730及び周期性特徴DB734)に登録された事象のいずれに該当するかを判定する。分類処理モジュール724は、周期性特徴検出モジュール726、画像ベース分類モジュール728、及び特徴ベース分類モジュール732を有する。
周期性特徴検出モジュール726は、入力された二次元フーリエ変換結果の画像から、周期性特徴を検出する。検出方法は、前述した周期性特徴DB734に登録する特徴の求め方と同様でよい。
【0051】
周期性特徴検出モジュール726により周期性特徴が検出された場合、分類処理モジュール724は、特徴ベース分類モジュール732を用いて分類を行う。すなわち、特徴ベース分類モジュール732は、周期性特徴DB734に登録された各事象の周期性特徴の中から、周期性特徴検出モジュール726により検出された周期性特徴に近いものを探す。この探索では、例えば、検出された周期性特徴と周期性特徴DB734の周期性特徴との距離を求め、その距離が予め定めた閾値以下であれば、両者が「近い」と判定すればよい。例えば、
図6の例のように隣り合う白点同士の間隔を周期性特徴とする場合、分類対象の信号から生成した二次元フーリエ変換の画像におけるその間隔と、周期性特徴DB734に登録された各事象に対応する間隔と、の差を求め、その差が閾値以下であれば、両者の間隔同士が「近い」ということになる。周期性特徴が複数の成分を含む場合には、周期性特徴をそれら各成分からなるベクトルとみなし、ベクトル同士の距離が閾値以下であるかどうかを判定すればよい。そして、そのような「近い」周期性特徴が見つかれば、見つかった周期性特徴に対応する事象を、分類対象の時間変化信号の分類先と判定する。検出された周期性特徴に「近い」周期性特徴が周期性特徴DB734から複数見つかった場合の取扱は、別途定めておけばよい。1つの例では、それら複数の「近い」周期性特徴のうち最も「近い」ものを分類先と判定する。別の例では、それら複数の「近い」周期性特徴の全てを分類先と判定する。
周期性特徴検出モジュール726により周期性特徴が検出されなかった場合、又は特徴ベース分類モジュール732で分類先が見つからなかった場合には、画像ベース分類モジュール728が分類を行う。画像ベース分類モジュール728は、入力された二次元フーリエ変換結果の画像と、テンプレート画像DB730に登録されている各テンプレート画像とを比較し、その比較の結果に基づいて分類を行う。
【0052】
画像ベース分類モジュール728の処理手順の一例を
図8に示す。この手順は、テンプレート画像DB730に登録された事象(及びこれに対応するテンプレート画像)ごとに実行される。この手順では、まず処理対象の事象に対応するテンプレート画像をテンプレート画像DB730から読み出し、読み出したテンプレート画像に対して、複素共役を求めるための共役フィルタ処理を施す(S802)。これにより、共役テンプレート画像を求められる。なお、テンプレート画像DB730に対して共役テンプレート画像を登録しておく場合には、S802は不要である。次に、二次元フーリエ変換モジュール722から入力された二次元フーリエ変換結果の画像と、共役テンプレート画像とを乗算する(S804)。次に、その乗算結果に対して逆フーリエ変換を施す(S806)。この逆フーリエ変換は、二次元フーリエ変換と同じ演算でよい。フーリエ変換と相互相関関数との関係から、逆フーリエ変換の結果は、それら2つの二次元フーリエ変換(分類対象とテンプレート画像)の変換前のスペクトログラム同士の相関係数を表している。この相関係数を予め定めた閾値と比較する(S808)。この比較の結果、相関係数が閾値以上(すなわち相関が十分強い)であれば、分類対象はそのテンプレート画像に対応する事象に該当すると判定する(すなわちその事象を分類先に決定する)(S810)。相関係数が閾値未満であれば、分類対象はそのテンプレート画像に対応する事象に該当しない(すなわちその事象は分類先ではない)と判定する(S812)。
【0053】
図8の例では、相関係数が閾値以上となる事象は全て分類先と判定されるが、この代わりに、相関係数が閾値以上となる事象のうち相関係数が最大となる事象のみを分類先と判定するようにしてもよい。
以上に説明したように、分類装置である環境検知モジュール150は、分類対象の時間変化信号のスペクトログラムの二次元フーリエ変換を、各事象についての信号から生成したスペクトログラムの二次元フーリエ変換(テンプレート画像)と比較することで、分類対象の分類先を決定する。このような構成によれば、その二次元フーリエ変換から明確な周期性特徴が検出できない場合でも、分類が可能となる。また、二次元フーリエ変換から明確な周期性特徴が検出できる場合には、画像同士の比較(相関演算)という比較的負荷の高い処理を省略し、その周期性特徴に基づいて分類を行うことで、計算負荷が軽減される。スペクトログラムの生成から二次元フーリエ変換までの処理系は、画像比較に基づく分類と周期性特徴に基づく分類とで共用されるので、簡潔なシステム構成となっている。
【0054】
このような分類装置としての環境検知モジュール150は、例えば、時間変化信号を生成するセンサが搭載されたデバイス(例えばスマートフォン)の周囲の状況(この状況を時間変化信号が表している)が、予め規定された状況(事象)のどれに該当するかを分析することができる。この分析結果に応じてそのデバイスを制御したり、その分析結果を蓄積して傾向を分析する等によりそのデバイスへのサービスを改善したりする等の応用も考えられる。
【0055】
以上に例示した分類装置としての環境検知モジュール150は、例えば、汎用のコンピュータに上述の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現してもよい。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウェアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)及びリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)を制御するHDDコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカル・エリア・ネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュ・メモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。また、分類装置である環境検知モジュール150を構成する機能モジュールのうちの1つ以上を、ハードウェア回路として構成してもよい。
【0056】
前述の環境検知モジュール150は以下のように把握してもよい。
[A1]
1以上の事象の各々について、その事象に関して検出された時間変化信号のスペクトログラムの二次元フーリエ変換を、テンプレート画像として記憶するテンプレート画像記憶手段と、
センサにより求められた分類対象の時間変化信号を処理して、当該分類対象の時間変化信号のスペクトログラムを生成するスペクトログラム生成手段と、
前記スペクトログラム生成手段が生成したスペクトログラムの二次元フーリエ変換を計算する二次元フーリエ変換計算手段と、
前記テンプレート画像記憶手段に記憶される前記各事象に対応する前記テンプレート画像ごとに、当該テンプレート画像と、前記二次元フーリエ変換計算手段が求めた前記二次元フーリエ変換と、の類似度を計算する類似度計算手段と、
前記類似度計算手段が計算した前記類似度に基づき、前記分類対象の時間変化信号が前記1以上の事象のいずれに対応するかを判定する判定手段と、
を有する分類装置。
【0057】
[A2]
前記1以上の事象の各々について、その事象に関して検出された時間変化信号のスペクトログラムの二次元フーリエ変換が持つ周期性の特徴を、テンプレート特徴として記憶する特徴記憶手段と、
前記二次元フーリエ変換計算手段が求めた前記二次元フーリエ変換の画像から周期的な特徴を検出する特徴検出手段と、
前記特徴記憶手段に記憶された前記テンプレート特徴の中から、前記特徴検出手段が検出した前記周期性の特徴に類似するものを特定する特定手段と、
をさらに有し、
前記判定手段は、前記特徴検出手段が検出した前記周期性の特徴に類似するテンプレート特徴が前記特定手段により特定された場合には、前記類似度判定手段による類似度の計算は行わず、前記分類対象の時間変化信号を、前記特定手段により特定されたテンプレート特徴に該当する事象に対応すると判定する、
ことを特徴とする[A1]に記載の分類装置。
【0058】
[A3]
コンピュータを、
1以上の事象の各々について、その事象に関して検出された時間変化信号のスペクトログラムの二次元フーリエ変換を、テンプレート画像として記憶するテンプレート画像記憶手段、
センサにより求められた分類対象の時間変化信号を処理して、当該分類対象の時間変化信号のスペクトログラムを生成するスペクトログラム生成手段、
前記スペクトログラム生成手段が生成したスペクトログラムの二次元フーリエ変換を計算する二次元フーリエ変換計算手段、
前記テンプレート画像記憶手段に記憶される前記各事象に対応する前記テンプレート画像ごとに、当該テンプレート画像と、前記二次元フーリエ変換計算手段が求めた前記二次元フーリエ変換と、の類似度を計算する類似度計算手段、
前記類似度計算手段が計算した前記類似度に基づき、前記分類対象の時間変化信号が前記1以上の事象のいずれに対応するかを判定する判定手段、
として機能させるためのプログラム。
【0059】
[A1]又は[A3]によれば、分類対象の時間変化信号を、スペクトログラムの特徴量を用いる場合よりも少ない計算量で、対応する事象に分類できる。
[A2]によれば、二次元フーリエ変換から明確な周期性特徴が検出できる場合には処理負荷が軽減される。
【0060】
図9〜19の例を用いて、環境検知モジュール150内のモジュール構成、処理内容(携帯端末の加速度を検知して置かれている状況を判断する処理)を説明する。
環境検知モジュール150を含む携帯端末91は、振動機能(バイブレーション機能)を備え、携帯端末91の振動時に計測される加速度データに基づいて、携帯端末91が置かれた物体の材質を判定する処理を行う。
【0061】
[機能ブロック図の説明]
図9には、携帯端末91の機能ブロック図の例を示した。
図9の例に示されるように、携帯端末91は、計測制御モジュール911、振動発生モジュール912、加速度検出モジュール913、加速度データ記録モジュール914、データ取得モジュール915、データ保持モジュール916、摩擦係数算出モジュール917、反発係数算出モジュール918、加速度振幅算出モジュール919、材質判定モジュール920、情報処理切替モジュール921を備える。
【0062】
携帯端末91に備えられる前述の各モジュールの機能は、CPU等の制御手段、メモリ等の記憶手段、外部デバイスとデータを送受信する通信手段、振動発生器(バイブレータ)、3方向のそれぞれの加速度を検出する加速度センサ等を備えたコンピュータが、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されたプログラムを読み込み実行することで実現されるものとしてよい。なお、プログラムは光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュ・メモリ等の情報記憶媒体によってコンピュータたる携帯端末91に供給されることとしてもよいし、インターネット等のデータ通信網を介して携帯端末91に供給されることとしてもよい。なお、携帯端末91は、携帯電話機(フィーチャーフォン、スマートフォンを含む)、タブレット端末、ノートパーソナルコンピュータ、PDA等としてよい。
【0063】
計測制御モジュール911は、計測の開始及び終了、振動発生モジュール912の振動の開始及び停止等を制御する。例えば、計測制御モジュール911は、計測を実行するタイミングが到来した場合に、計測条件(計測回数、振動時間等)を設定するとともに、設定した計測条件に従って振動発生モジュール912に振動の開始と停止とを実行させる。また、計測の実行タイミングは、予め定められた時間間隔ごととしてもよいし、携帯端末91において予め定められたイベントが発生したタイミングとしてもよいし、携帯端末91において他のデバイスから予め定められた信号を受信したタイミングとしてもよい。
振動発生モジュール912は、例えば重りと、重りを回転させるモータを含み構成され、計測制御モジュール911による制御に従って携帯端末91を振動させる。振動発生モジュール912は、計測制御モジュール911により指定されたタイミング(T1)で振動を開始し、計測制御モジュール911により指定されたタイミング(T2(<T1))まで振動を継続した後に振動を停止する処理を、指定された回数繰り返すこととする。
加速度検出モジュール913は、例えば加速度センサを含み構成され、携帯端末91の加速度を検出する。加速度検出モジュール913は、X方向加速度検出モジュール913X、Y方向加速度検出モジュール913Y、Z方向加速度検出モジュール913Zを有し、携帯端末91の物体に対する設置面の面内方向と、設置面の面外方向(例えば法線方向)の3方向の加速度をそれぞれ検出するようになっている。なお、X,Y方向が携帯端末91の設置面(ディスプレイが設けられている表面又はその裏面)の面内方向の方向に対応しており、Z方向が設置面に対する法線方向に対応している。
【0064】
加速度データ記録モジュール914は、計測制御モジュール911による制御に応じて振動発生モジュール912により発生した振動に基づいて加速度検出モジュール913により検出される加速度データを時間に関連付けて記録する。加速度データ記録モジュール914は、X方向加速度データ記録モジュール914X、Y方向加速度データ記録モジュール914Y、Z方向加速度データ記録モジュール914Zを有し、携帯端末91の設置面内方向(X,Y方向)と、設置面の法線方向(Z方向)の3方向の加速度データを計測時刻に関連付けてそれぞれ記録する。
データ取得モジュール915は、携帯端末91の設置面の材質判定処理に利用するデータ(利用データ)を取得する。データ取得モジュール915は、予め定められたデバイス(サーバ)から利用データをダウンロードすることとしてもよいし、利用データを格納した記憶媒体から利用データを読み出すこととしてもよい。例えば、データ取得モジュール915は、計測開始時に、予め定められたデバイスへの通信が可能である場合には、予め定められたデバイスから最新の利用データをダウンロードし、予め定められたデバイスへの通信が可能でない場合には、既に取得されている利用データを利用するようにしてもよい。
例えば、データ取得モジュール915により取得される利用データには、振動発生モジュール912による振動によるX,Y,Z方向に発生する力の時間ごとの推移情報、材質ごとの摩擦係数、反発係数の範囲を定めたデータや、材質ごとのX,Y,Z方向の加速度振幅の範囲を定めたデータ等が含まれる。
データ保持モジュール916は、データ取得モジュール915により取得された利用データを保持する。以下、データ保持モジュール916により保持されるデータの一例を説明する。
【0065】
図10には、データ保持モジュール916に保持される振動発生モジュール912による力のデータの一例を示した。
図10に示される例では、横軸に時間t(t=0で振動開始)、縦軸に力(N)を表す。振動発生モジュール912による力のデータは、携帯端末の機種ごとに予め定められていることとしてよい。
図11には、データ保持モジュール916に保持される第1の材質特徴データテーブルの一例を示した。
図11の例に示される第1の材質特徴データテーブルでは、材質を識別する材質ID、材質の説明情報、材質の摩擦係数が取り得る値の範囲、材質の反発係数が取り得る値の範囲がそれぞれ関連付けて記憶される。
【0066】
図12には、材質ごとの3軸方向のそれぞれの加速度データの一例を示した。
図12の例には材質が絨毯(A)である場合のX,Y,Z方向の加速度のデータ、材質がプラスチック(B)である場合のX,Y,Z方向の加速度のデータを示している。
図12の例に示されるように、絨毯(A)には目があり、面内方向の移動のし易さに指向性があるのに対して、プラスチック(B)には、面内方向の移動のし易さには指向性がない。また、絨毯(A)はプラスチック(B)と比べて柔らかいため、Z方向の加速度がプラスチックに比べて小さくなる。このように、材質ごとに3軸の加速度データの取り得る値の組合せには差異が生じる。
図13及び
図14には、材質ごとに3軸の加速度データの取り得る値の組合せには差異が生じる点に着目し、材質ごとに定めた加速度特徴の一例を示す。
図13には、データ保持モジュール916に保持される第2の材質特徴データテーブルの一例を示した。
図13の例に示される第2の材質特徴データテーブルでは、材質を識別する材質ID、材質の説明情報、X方向の加速度振幅が取り得る値の範囲、Y方向の加速度振幅が取り得る値の範囲、Z方向の加速度振幅が取り得る値の範囲がそれぞれ関連付けて記憶される。
【0067】
図14には、データ保持モジュール916に保持される第2の材質特徴データテーブルの他の一例を示した。
図14の例に示される第2の材質特徴データテーブルでは、材質を識別する材質ID、材質の説明情報、XY平面における加速度振幅が取り得る値の範囲、XY平面における加速度のばらつき(偏差、分散)、Z方向の加速度振幅が取り得る値の範囲がそれぞれ関連付けて記憶される。
摩擦係数算出モジュール917は、携帯端末91の設置面内方向の携帯端末91の加速度データに基づいて携帯端末91が置かれている物体と携帯端末91との摩擦係数(動摩擦係数)を算出する。例えば、摩擦係数算出モジュール917は、X方向加速度データ記録モジュール914Xに記録されたX方向の携帯端末91の加速度データと、データ保持モジュール916に保持された振動発生モジュール912により発生するX方向の力のデータとに基づいてX方向の摩擦係数を算出し、Y方向加速度データ記録モジュール914Yに記録されたY方向の携帯端末91の加速度データと、データ保持モジュール916に保持された振動発生モジュール912により発生するY方向の力のデータとに基づいてY方向の摩擦係数を算出することとしてよい。この摩擦係数の算出処理の詳細については後述する。
【0068】
反発係数算出モジュール918は、携帯端末91の設置面の法線方向についての携帯端末91の加速度データに基づいて携帯端末91が置かれている面と携帯端末91との反発係数を算出する。例えば、反発係数算出モジュール918は、Z方向加速度データ記録モジュール914Zに記録されたZ方向の携帯端末91の加速度データに基づいて得られる衝突前後の設置面の法線方向の速度に基づいて、Z方向の反発係数を算出することとしてよい。この反発係数の算出処理の詳細についても後述する。
加速度振幅算出モジュール919は、加速度データ記録モジュール914に記録された加速度データに基づいて、振動発生時の加速度の振幅を算出する。例えば、加速度振幅算出モジュール919は、X方向加速度データ記録モジュール914Xに記録されたX方向の携帯端末91の加速度データに基づいてX方向の加速度振幅を算出し、Y方向加速度データ記録モジュール914Yに記録されたY方向の携帯端末91の加速度データに基づいてY方向の加速度振幅を算出し、Z方向加速度データ記録モジュール914Zに記録されたZ方向の携帯端末91の加速度データに基づいてZ方向の加速度振幅を算出することとしてよい。また、加速度振幅算出モジュール919は、XY面内における加速度の振幅、XY面内におけるX方向の加速度、Y方向の加速度のばらつきを算出することとしてもよい。
【0069】
材質判定モジュール920は、摩擦係数算出モジュール917により算出された摩擦係数、反発係数算出モジュール918により算出された反発係数、加速度振幅算出モジュール919により算出された加速度振幅の少なくとも1つに基づいて、携帯端末91が置かれている物体の材質を判定する。
例えば、材質判定モジュール920は、材質の判定に摩擦係数と反発係数とを用いる場合には、第1の材質特徴データテーブルの中から、摩擦係数算出モジュール917により算出された摩擦係数、反発係数算出モジュール918により算出された反発係数とをそれぞれ範囲に含む材質を検索し、材質が検索された場合には、当該検索された材質を携帯端末91が置かれた物体の材質と判定することとしてよい。
また、例えば、材質判定モジュール920は、材質の判定に3軸の加速度振幅を用いる場合には、第2の材質特徴データテーブルの中から、3軸の加速度振幅をそれぞれ範囲に含む材質を検索し、材質が検索された場合には、当該検索された材質を携帯端末91が置かれた物体の材質と判定することとしてよい。
また、例えば、材質判定モジュール920は、材質の判定に摩擦係数及び反発係数と、3軸の加速度振幅を用いる場合には、摩擦係数及び反発係数に基づいて検索された材質のうち、3軸の加速度振幅に基づいて検索された材質が含まれる材質を携帯端末91が置かれた物体の材質と判定することとしてもよいし、摩擦係数及び反発係数に基づいて検索された材質と3軸の加速度振幅に基づいて検索された材質のうちどちらか一方に含まれる材質を携帯端末91が置かれた物体の材質と判定することとしてもよい。
情報処理切替モジュール921は、材質判定モジュール920により判定された材質に応じた情報処理を実行する。例えば、情報処理切替モジュール921は、材質判定モジュール920により判定された材質が予め定められた材質(例えば車のダッシュボードに用いられる素材)であって、加速度データ記録モジュール914から算出される面内方向の移動量が閾値を超えている場合に、携帯端末91に警告情報を出力させる(例えばアラート音を鳴らす等)ようにしてもよい。
【0070】
[フローチャートの説明]
次に、携帯端末91により実行される処理の一例を
図15乃至
図18の例に示したフローチャートを参照しながら説明する。
[材質判定処理]
図15の例には、携帯端末91により実行される携帯端末91の置かれている物体の材質を判定する材質判定処理のフローチャートを示した。以下、説明する材質判定処理は、携帯端末91により定期的なタイミング又は、予め定められたイベント(例えば判定の信号を受信した場合や、強い衝撃を検知した場合等)が検出された場合に実行されることとしてよい。
【0071】
図15の例に示されるように、携帯端末91は、機種・環境に応じた初期設定(例えば、振動パターン(データテーブル、振動時間)の設定、携帯端末91の質量mの設定等)を実行するとともに(S1502)、計測回数(N回)についても設定する(S1504)。計測回数Nは、1以上の整数としてよい。
携帯端末91は、変数iを1に初期化して(S1506)、振動発生モジュール912による振動の発生を開始し(S1508)、X,Y,Z方向の加速度データをそれぞれに対応した加速度センサにより順次計測し、時間に関連付けて記録する(S1510)。
携帯端末91は、振動開始からの経過時間が閾値T以上となっていない場合には(S1512:N)、振動の発生を継続するとともに、S1510に戻って、3軸の加速度データを記録する。一方で、携帯端末91は、振動開始からの経過時間が閾値T以上となった場合には(S1512:Y)、振動を停止させる(S1514)。
【0072】
携帯端末91は、振動を停止させた後に、変数iがNに達していない場合には(S1516:N)、変数iをインクリメント(1加算)して(S1518)、予め定められた時間間隔を待機した後に、S1508の処理を開始することとしてよい。また、携帯端末91は、S1516で、変数iがNに達している場合には(S1516:Y)、記録された加速度データのノイズキャンセル処理を行った後に(S1520)、記録された加速度データに基づいて摩擦係数の算出処理を実行する(S1522)。この摩擦係数の算出処理の詳細については、
図16の例に示したフローチャートに基づき説明する。
【0073】
[摩擦係数算出処理]
図16の例には、摩擦係数算出処理のフローチャートを示した。
図16の例に示されるように、携帯端末91は、携帯端末91の質量mを取得し(S1602)、データ保持モジュール916からX方向の振動による力F
x(t)のデータを取得する(S1604)。
携帯端末91は、変数iを1に初期化して(S1606)、i回目の計測データにおけるX方向の加速度a
x(t)、力F
x(t)、質量mに基づいて動摩擦係数μ
xiを算出する(S1608)。なお、時間tは、振動開始時を0とする。ここで、動摩擦係数の算出処理は、
図19の例に示した物理モデルに基づいて行うこととしてよい。
【0074】
図19に示した物理モデルの例では、携帯端末91が対象物92に置かれていることとし、対象物92の質量Mは携帯端末91の質量mに比べて十分に重く、対象物92の質量を無限大(対象物は固定されている)と仮定する。また、携帯端末91に備えられた振動発生器(バイブレータ)は、携帯端末91の質量mに比べて十分に軽く、振動発生モジュール912の質量は無限小(0)と仮定する。さらに、Z方向の運動変化は考慮せず、F
cx(t)は、予め定められた力で動作することとし、携帯端末91、対象物92、振動発生モジュール912は互いに剛体であるとする。この場合に、X方向に関して算出される動摩擦係数μは、以下の式(1)により算出される。なお、Nは垂直抗力でmgに等しい。
【数1】
携帯端末91は、変数iがNに達していない場合には(S1610:N)、変数iをインクリメント(1加算)して(S1612)、S1608に戻り、変数iがNに達した場合には(S1610:Y)、S1614に進む。
携帯端末91は、第1回〜第N回の計測のそれぞれについて算出された動摩擦係数μ
x1〜μ
xNに基づいて、X方向の動摩擦係数μ
xを算出する(S1614)。例えば、携帯端末91は、μ
x1〜μ
xNの平均値をμ
xとして算出することとしてよい。
【0075】
次に、携帯端末91は、データ保持モジュール916からY方向の振動による力F
y(t)のデータを取得し(S1616)、変数iを1に初期化して(S1618)、i回目の計測データにおけるY方向の加速度a
y(t)、力F
y(t)、質量mに基づいて動摩擦係数μ
yiを(1)式により算出する(S1620)。なお、時間tは、振動開始時を0とする。
携帯端末91は、変数iがNに達していない場合には(S1622:N)、変数iをインクリメント(1加算)して(S1624)、S1620に戻り、変数iがNに達した場合には(S1622:Y)、S1626に進む。
携帯端末91は、計測1〜Nのそれぞれについて算出された動摩擦係数μ
y1〜μ
yNに基づいて、Y方向の動摩擦係数μ
yを算出し(S1626)、リターンする(S1699)。例えば、携帯端末91は、μ
y1〜μ
yNの平均値をμ
yとして算出することとしてよい。
【0076】
ここで、
図15のフローチャートに戻り説明を続ける。携帯端末91は、摩擦係数の算出処理を終えると、次に、記録された加速度データに基づいて反発係数の算出処理を実行する(S1524)。この反発係数の算出処理の詳細については、
図17の例に示したフローチャートに基づいて説明する。
【0077】
[反発係数算出処理]
図17の例に示されるように、携帯端末91は、変数iを1に初期化して(S1702)、i回目の計測データにおけるZ方向の加速度a
z(t)に基づいて、携帯端末91と対象物との衝突時刻t
1を算出する(S1704)。なお、時間tは、振動開始時を0とし、振動開始時のZ方向の座標位置は0とする。
携帯端末91は、i回目の計測データにおけるZ方向の加速度a
z(t)に基づいて、衝突時刻t
1の直前t
1A(t
1A=t
1−Δt)の速度Vを以下の式(2)により算出するとともに(S1706)、衝突時刻t
1の直後t
1B(t
1B=t
1+Δt)の速度Uを以下の式(3)により算出する(S1708)。そして、携帯端末91は、算出されたVとUとに基づいて反発係数e
iを以下の式(4)により算出する(S1710)。
【数2】
【数3】
【数4】
【0078】
携帯端末91は、変数iがNに達していない場合には(S1712:N)、変数iをインクリメント(1加算)して(S1714)、S1704に戻り、変数iがNに達した場合には(S1712:Y)、S1716に進む。
携帯端末91は、計測1〜Nのそれぞれについて算出された反発係数e
1〜e
Nに基づいて、反発係数eを算出し(S1716)、リターンする(S1799)。例えば、携帯端末91は、e
1〜e
Nの平均値をeとして算出することとしてよい。
【0079】
次に、
図15の例のフローチャートに戻り説明を続ける。携帯端末91は、反発係数の算出処理を終えると、次に、記録された加速度データに基づいて加速度振幅の算出処理を実行する(S1526)。この加速度振幅の算出処理の詳細については、
図18の例に示したフローチャートに基づき説明する。
【0080】
[加速度振幅算出処理]
図18の例に示されるように、携帯端末91は、変数iを1に初期化して(S1802)、i回目の計測データにおけるX方向の加速度振幅A
xiを算出し(S1804)、i回目の計測データにおけるY方向の加速度振幅A
yiを算出し(S1806)、i回目の計測データにおけるZ方向の加速度振幅A
ziを算出する(S1808)。なお、加速度振幅は、周期的に現れる加速度の最大値と最小値との差としてよい。
携帯端末91は、変数iがNに達していない場合には(S1810:N)、変数iをインクリメント(1加算)して(S1812)、S1804に戻り、変数iがNに達した場合には(S1810:Y)、S1814に進む。
携帯端末91は、第1回〜第N回の計測のそれぞれについて算出されたX方向の加速度振幅A
x1〜A
xNに基づいて、X方向の加速度振幅A
xを算出し(S1814)、計測1〜Nのそれぞれについて算出されたY方向の加速度振幅A
y1〜A
yNに基づいて、Y方向の加速度振幅A
yを算出し(S1816)、第1回〜第N回の計測のそれぞれについて算出されたZ方向の加速度振幅A
z1〜A
zNに基づいて、Z方向の加速度振幅A
zを算出し(S1818)、リターンする(S1899)。例えば、携帯端末91は、A
x1〜A
xNの平均値をA
x、A
y1〜A
yNの平均値をA
y、A
z1〜A
zNの平均値をA
zとして算出することとしてよい。
【0081】
ここで、
図15の例のフローチャートに戻り説明を続ける。携帯端末91は、加速度振幅の算出処理を終えると、算出された摩擦係数、反発係数、加速度振幅の少なくとも1つに基づいて、携帯端末91が置かれている対象物の材質を判定する(S1528)。以下、材質の判定処理の具体例について説明する。
携帯端末91は、摩擦係数と反発係数を用いて材質を判定する場合には、第1の材質特徴データテーブルの中から、S1522で算出された摩擦係数、S1524で算出された反発係数をそれぞれ範囲に含む材質の識別情報(材質ID)を検索する。ここで、携帯端末91は、S1522で算出された摩擦係数、S1524で算出された反発係数をそれぞれ範囲に含む材質の識別情報(材質ID)が検索されなかった場合には、エラーを返すか、S1526で算出された3軸の加速度振幅を用いて材質を判定することとしてよい。
ここで、携帯端末91は、3軸の加速度振幅を用いて材質を判定する場合には、第2の材質特徴データテーブルの中から、S1526で算出された3軸の加速度振幅(X,Y,Z方向のそれぞれの加速度振幅)をそれぞれ範囲に含む材質の識別情報(材質ID)を検索する。ここで、携帯端末91は、XY平面内の加速度振幅の大きさと、X,Y方向のそれぞれの加速度の変動量(偏差)の範囲を第2の材質特徴データテーブルに保持しておく場合には、X方向の加速度振幅と、Y方向の加速度振幅とに基づいてXY平面内の加速度振幅の大きさA
xyを算出するとともに、第1〜第N回の計測におけるX方向の加速度振幅とY方向の加速度振幅の取る値に基づくばらつきの尺度を示す偏差σを算出し、A
xy、偏差σ、Z方向の加速度振幅A
zを範囲として含む材質の識別情報(材質ID)を検索することとしてよい。ここで、携帯端末91は、S1526で算出された加速度振幅に対応した材質の識別情報(材質ID)が検索されなかった場合には、エラーを返すこととしてよい。
また、携帯端末91は、摩擦係数と反発係数を用いて判定した材質IDのうち、加速度振幅を用いて判定した材質IDに含まれる材質IDを、携帯端末91が置かれた面の材質IDとして判定することとしてもよい。
【0082】
携帯端末91は、S1528で判定された材質に応じた情報処理を実行することとしてよい(S1530)。例えば、携帯端末91は、S1528で判定された材質に応じてバイブレーションの強度を変えるようにしてもよいし、S1528で判定された材質が、自動車のダッシュボードである場合には、携帯端末91にアラート音を出力させることとしてもよいし、S1528で判定された材質が、絨毯である場合には、携帯端末91の着信時の動作をバイブレーションから効果音に切り替えるようにしてもよい。また、携帯端末91の置かれた場所を検索する要求を受け付けた場合に、材質の判定処理を実行し、判定された材質の情報を音声出力するようにすれば、ユーザが携帯端末91を見つけやすくなる。
【0083】
以上説明した携帯端末91は、自らが置かれた物体の材質を判定し、判定された材質に応じた処理を実行できる。
また、環境検知モジュール150は、上述したものに限定されるものではない。例えば、環境検知モジュール150では、摩擦係数、反発係数、加速度振幅の情報に基づいて材質の判定処理を実行しているが、算出した摩擦係数、反発係数、加速度振幅の情報をサーバに送信し、サーバが送信された摩擦係数、反発係数、加速度振幅の情報に基づいて対応する材質を判定して、その結果を携帯端末91に送信するようにしてもよい。また、携帯端末91が記録した加速度のデータをサーバに送信して、サーバにおいて摩擦係数、反発係数、加速度振幅の情報を算出するようにしてもよい。
【0084】
前述の環境検知モジュール150は以下のように把握してもよい。
[B1]
携帯端末の加速度を計測する加速度計測手段と、
前記携帯端末が対象物上に置かれた状態で、前記携帯端末を振動させた際の前記加速度計測手段により計測される加速度に基づいて、前記対象物に接触する面内方向に対する第1の特徴量と面外方向に対する第2の特徴量を算出する算出手段と、
前記第1の特徴量と前記第2の特徴量に基づき前記対象物の材質を特定する特定手段と、を含む携帯端末。
[B2]
前記特定手段は、1以上の材質ごとに、第1の特徴量の範囲と、第2の特徴量の範囲とをそれぞれ関連付けて記憶した記憶手段から、前記算出手段により算出された前記第1の特徴量と前記第2の特徴量とに基づき前記対象物の材質を特定する、
[B1]に記載の携帯端末。
[B3]
前記第1の特徴量は、前記面内方向における第1の方向と、第2の方向とのそれぞれについて前記加速度計測手段により計測される加速度の振幅を含み、
前記第2の特徴量は、前記面外方向について前記加速度計測手段により計測される加速度の振幅を含む、
[B1]又は[B2]に記載の携帯端末。
[B4]
前記携帯端末は、当該携帯端末を振動させる振動発生手段を備え、
前記算出手段は、前記面内方向について前記振動発生手段により発生する力と、前記面内方向について前記加速度計測手段により計測される加速度と、前記携帯端末の質量とに基づいて前記携帯端末と前記対象物の動摩擦係数を算出し、
前記第1の特徴量は、前記動摩擦係数を含む、
[B1]乃至[B3]に記載の携帯端末。
【0085】
[B5]
前記算出手段は、前記加速度計測手段により計測される加速度に基づいて算出される、前記携帯端末が前記対象物に衝突する前の前記面外方向の速度と、前記携帯端末が前記対象物に衝突した後の前記面外方向の速度とに基づいて、前記携帯端末と前記対象物の反発係数を算出し、
前記第2の特徴量は、前記反発係数を含む、
[B1]乃至[B3]に記載の携帯端末。
[B6]
加速度を計測する加速度計測手段を備える携帯端末と、
前記携帯端末が対象物上に置かれた状態で、前記携帯端末を振動させた際の前記加速度計測手段により計測される加速度に基づいて、前記対象物に接触する面内方向に対する第1の特徴量と面外方向に対する第2の特徴量を算出する算出手段と、
前記第1の特徴量と前記第2の特徴量に基づき前記対象物の材質を特定する特定手段と、を含む携帯端末状態判定システム。
[B7]
携帯端末の加速度を計測する加速度計測手段と、
前記携帯端末が対象物上に置かれた状態で、前記携帯端末を振動させた際の前記加速度計測手段により計測される加速度に基づいて、前記対象物に接触する面内方向に対する第1の特徴量と面外方向に対する第2の特徴量を算出する算出手段と、
前記第1の特徴量と前記第2の特徴量に基づき前記対象物の材質を特定する特定手段
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0086】
[B1],[B6]及び[B7]によれば、携帯端末が置かれている物体の材質を特定できる。
[B2]によれば、材質ごとに、特徴量の範囲を関連付けて、物体の材質を特定できる。
[B3]によれば、加速度の振幅を用いて、物体の材質を特定できる。
[B4]によれば、携帯端末が置かれている物体との動摩擦係数から、物体の材質を特定できる。
[B5]によれば、携帯端末が置かれている物体との反発係数から、物体の材質を特定できる。
【0087】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、
図21に例示するように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバとなり得るコンピュータ等である。つまり、具体例として、処理部(演算部)としてCPU2101を用い、記憶装置としてRAM2102、ROM2103、HD2104を用いている。HD2104として、例えばハードディスクを用いてもよい。スケジュール処理モジュール110、文書取得モジュール120、文書復号/再暗号化等処理モジュール130、位置検知モジュール140、環境検知モジュール150、周辺装置検知モジュール160、イベント検知モジュール170等のプログラムを実行するCPU2101と、そのプログラムやデータを記憶するRAM2102と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM2103と、補助記憶装置(フラッシュメモリ等であってもよい)であるHD2104と、キーボード、マウス、タッチパネル等に対する利用者の操作に基づいてデータを受け付ける受付装置2106と、CRT、液晶ディスプレイ等の出力装置2105と、ネットワークインタフェースカード等の通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース2107、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス2108により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0088】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、
図21に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、
図21に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えばASIC等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに
図21に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機などに組み込まれていてもよい。
【0089】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
前述の実施の形態は以下のように把握してもよい。
[C1]複数人が集まる会合の開始日時前の予め定められた日時を過ぎているか否かを判断する第1の判断手段と、
前記第1の判断手段によって前記日時を過ぎていると判断された場合は、前記会合の参加者の位置を示す情報を受け付ける第1の受付手段と、
前記参加者の所有している携帯端末の環境に関する情報を受け付ける第2の受付手段と、
前記第1の受付手段と前記第2の受付手段によって受け付けられた情報に基づいて、前記会合の場所に前記参加者がいるか否かを判断する第2の判断手段と、
前記第2の判断手段によって前記参加者が前記会合の場所にいると判断した場合は、該会合に必要な文書を復号する復号手段
を具備することを特徴とする情報処理装置。
[C2]前記携帯端末の周囲の音を取得し、該音に基づいて、該携帯端末の環境を検知する第1の検知手段
をさらに具備し、
前記第2の受付手段が受け付ける情報は、前記第1の検知手段によって検知された前記携帯端末の環境に関する情報である
ことを特徴とする[C1]に記載の情報処理装置。
[C3]前記携帯端末を振動させ、該振動している間の該携帯端末の加速度を検知する第2の検知手段
をさらに具備し、
前記第2の受付手段が受け付ける情報は、前記第2の検知手段によって検知された前記携帯端末の加速度に関する情報である
ことを特徴とする[C1]又は[C2]に記載の情報処理装置。
[C4]前記携帯端末と通信可能な装置を検知する第3の検知手段
をさらに具備し、
前記第2の受付手段が受け付ける情報は、前記第3の検知手段によって検知された前記装置に関する情報である
ことを特徴とする[C1]から[C3]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[C5]前記携帯端末の周囲の音を取得し、該音に基づいて、該携帯端末の環境を検知する第1の検知手段と、
前記携帯端末を振動させ、該振動している間の該携帯端末の加速度を検知する第2の検知手段と、
前記携帯端末と通信可能な装置を検知する第3の検知手段
をさらに具備し、
前記第2の受付手段が受け付ける情報は、前記第1の検知手段によって検知された前記携帯端末の環境に関する第1の情報と、前記第2の検知手段によって検知された前記携帯端末の加速度に関する第2の情報と、前記第3の検知手段によって検知された前記装置に関する第3の情報であり、
前記第2の判断手段は、前記第1の情報、前記第2の情報、前記第3の情報のそれぞれに計数を乗算した合計値に基づいて判断処理を行う
ことを特徴とする[C1]に記載の情報処理装置。
[C6]前記復号手段によって復号処理が行われた後に、前記第2の受付手段が受け付けた情報に基づいて、前記会合が終了しているか否かを判断する第3の判断手段と、
前記第3の判断手段によって前記会合が終了していると判断した場合は、前記文書の閲覧を不可能とする処理を行う処理手段
をさらに具備することを特徴とする[C1]から[C5]のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[C7]コンピュータを、
複数人が集まる会合の開始日時前の予め定められた日時を過ぎているか否かを判断する第1の判断手段と、
前記第1の判断手段によって前記日時を過ぎていると判断された場合は、前記会合の参加者の位置を示す情報を受け付ける第1の受付手段と、
前記参加者の所有している携帯端末の環境に関する情報を受け付ける第2の受付手段と、
前記第1の受付手段と前記第2の受付手段によって受け付けられた情報に基づいて、前記会合の場所に前記参加者がいるか否かを判断する第2の判断手段と、
前記第2の判断手段によって前記参加者が前記会合の場所にいると判断した場合は、該会合に必要な文書を復号する復号手段
として機能させるための情報処理プログラム。
そして、前述の発明は、以下の効果を有する。
[C1]の情報処理装置によれば、会合の開始日時前の予め定められた日時を過ぎてからその会合に用いる文書を復号する場合にあって、その参加者がその会合の場所にいないにもかかわらず、その文書の復号処理をしてしまうことを抑制することができる。
[C2]の情報処理装置によれば、参加者の所有している携帯端末の周囲の音に基づいて、その参加者が会合の場所にいるか否かを判断することができる。
[C3]の情報処理装置によれば、参加者の所有している携帯端末が振動している間の該携帯端末の加速度に基づいて、その参加者が会合の場所にいるか否かを判断することができる。
[C4]の情報処理装置によれば、参加者の所有している携帯端末と通信可能な装置に基づいて、その参加者が会合の場所にいるか否かを判断することができる。
[C5]の情報処理装置によれば、第1の情報、第2の情報、第3の情報のそれぞれに計数を乗算した合計値に基づいて判断処理を行うことができる。
[C6]の情報処理装置によれば、会合が終了した場合は、文書の閲覧を不可能とすることができる。
[C7]の情報処理プログラムによれば、会合の開始日時前の予め定められた日時を過ぎてからその会合に用いる文書を復号する場合にあって、参加者がその会合の場所にいないにもかかわらず、その文書の復号処理をしてしまうことを抑制することができる。