特許第6167890号(P6167890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6167890印刷システム、情報処理装置、プリントサービスシステム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167890
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】印刷システム、情報処理装置、プリントサービスシステム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20170713BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20170713BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   G06F3/12 367
   G06F3/12 338
   G06F3/12 353
   G06F3/12 304
   G06F3/12 387
   G06F3/12 392
   B41J29/00 E
   B41J29/38 Z
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-261447(P2013-261447)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-118533(P2015-118533A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 学
(72)【発明者】
【氏名】大竹 晋
【審査官】 征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−109616(JP,A)
【文献】 特開2013−041552(JP,A)
【文献】 特開2008−083984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00−29/70
H04N1/00
G06F13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントサービスシステムと、情報処理装置と、画像形成装置と、を含み、
前記プリントサービスシステムは、
ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段と、
前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段と、
前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、
前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段と、
前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、
を有し、
前記情報処理装置は、
前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段と、
前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段
を有し、
前記画像形成装置は、
前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、
取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、
を有する、ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記プリントサービスシステム内の前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に保持された印刷データの中から前記ユーザの選択を受け付け、前記ユーザが選択した印刷データを識別する印刷データ識別情報を前記プリントサービスシステムから受け取る受け取り手段、を更に有し、
前記伝達手段は、前記受け取り手段が受け取った前記印刷データ識別情報を前記アクセス認可情報と共に前記画像形成装置に伝達し、
前記認可情報取得手段は、前記アクセス認可情報と共に前記印刷データ識別情報を取得し、
前記印刷データ取得手段は、前記アクセス認可情報と共に取得した前記印刷データ識別情報を用いて、前記印刷データ識別情報に対応する印刷データを前記プリントサービスシステムから取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
プリントサービスシステム及び画像形成装置と協働する情報処理装置であって、
前記プリントサービスシステムは、ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段と、前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段と、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、を有し、
前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段と、
前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段
を有する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、プリントサービスシステム及び画像形成装置と協働する情報処理装置として機能させるためのプログラムであって、
前記プリントサービスシステムは、ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段と、前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段と、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、を有し、
前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、を有し、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段、
前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
情報処理装置及び画像形成装置と協働するプリントサービスシステムであって、
ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段と、
前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段と、
前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、
前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段と、
前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、
を有し、
前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段と、前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、を有し、
前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と
を有する、プリントサービスシステム。
【請求項6】
1以上のコンピュータからなるシステムを、情報処理装置及び画像形成装置と協働するプリントサービスシステムとして機能させるためのプログラムであって、
前記1以上のコンピュータからなるシステムを、
ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段、
前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段、
前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段、
前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段、
前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段、
として機能させるためのプログラムであり、
前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段と、前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、を有し、
前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、を有する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、情報処理装置、プリントサービスシステム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Google(登録商標)社が構想しているGoogle Cloud Print(商標)のように、インターネット上で提供されるクラウドプリントサービスが提案されている。ユーザはPC等からクラウドプリントサービスに当該サービスのユーザIDでログインし、ログイン後にクラウドプリントサービスに印刷データを送る。そして、クラウドプリントサービスから画像形成装置に対してインターネット等を経由してその印刷データを提供することで、印刷を実現する。
【0003】
特許文献1には、Google社が提案する印刷サーバが開示されている。この印刷サーバは、デバイス上で実行するアプリケーションから、印刷要求をネットワークを介して受信するように構成され、ネットワークを介して印刷ダイアログをアプリケーションのユーザに提供するように構成されたアプリケーション・マネージャを含んでもよく、印刷ダイアログは、ユーザのユーザアカウントと関連した、少なくとも1つのプリンタの選択を提供し、その後選択されたプリンタを該選択から受信するように構成されている。形式変換手段は、選択されたプリンタを指定する印刷ジョブを受信するように構成されてもよく、印刷ジョブは第1の形式で表現された印刷データおよび印刷特性を含み、形式変換手段は、印刷ジョブを第1の形式から選択されたプリンタと関連した、プリンタ固有の形式に変換するように構成されてもよい。印刷ジョブ・ルータは、選択されたプリンタによって印刷されるために、プリンタ固有の形式を使用して、印刷ジョブをネットワークを介して印刷サーバから、選択されたプリンタと関連した印刷クライアントにルーティングするように構成されてもよい。
【0004】
特許文献2には、組織内の画像形成装置に対し、公衆用のクラウドプリントサービスから印刷データを送って印刷させるシステムが開示されている。
【0005】
Google Cloud Print等の公衆用のクラウドプリントサービスを使用する場合、ユーザは自分が使用する画像形成装置の機能情報等をあらかじめクラウドプリントサービスに登録しておく。ユーザは、プリントサービスにログインし、印刷対象の文書を指定すると共に、事前に登録した画像形成装置の中から今回の印刷出力先を選択する。これに応じ、プリントサービスは、印刷対象の文書をPDF(Portable Document Format)等のあらかじめ定められた印刷データ形式の印刷データに変換し、その印刷データを選択された画像形成装置に提供して印刷させる。
【0006】
ユーザが普段よく使用する画像形成装置(例えば自宅のプリンタ)については、上述のようにその画像形成装置を自分のアカウントに対応づけてクラウドプリントサービスに登録しておくことに何の問題もない。このような登録を行っておけば、ユーザは、自分のアカウントでクラウドプリントサービスにログインし、印刷を指示することで、その画像形成装置から印刷出力を行うことができる。
【0007】
しかし、街角のコンビニエンスストア等の店舗や訪問先(ユーザの所属会社の別部門や取引先の会社等)などにある画像形成装置のように、そもそも別の人が所有または管理している画像形成装置の場合は、話は異なる。一般にクラウドプリントサービスに対する画像形成装置の登録は永久的なものであり、解除操作をしない限りは継続する(例えばGoogle Cloud Printの場合)。したがって、画像形成装置の所有者や管理者からすれば、関係者以外の者がその画像形成装置をクラウドプリントサービスに対して登録することは、一般に容認し得ることではない。
【0008】
ここで、Google Cloud Printの場合、共有(share)機能を用いることで、画像形成装置の所有者又は管理者は、自分がGoogle Cloud Printに登録した画像形成装置を他者に利用させることができる。例えば訪問先の画像形成装置からクラウド経由の印刷を行いたい場合、事前に訪問先の画像形成装置の所有者・管理者にアカウント共有の設定をしてもらうことで、その所有者等のアカウントを用いてクラウドプリントサービス経由でその画像形成装置から出力を行うことができる。
【0009】
また、Google Cloud Printの場合、クラウドに対して印刷を指示する場合、出力先とする物理的な画像形成装置が対応する論理プリンタを選択し、選択した論理プリンタに対して印刷指示を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2013−522774号公報
【特許文献2】特開平11−123859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、出力先未定での印刷指示を可能とし、出力先が決まればその出力先にプリントサービスシステムから印刷データを提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、プリントサービスシステムと、情報処理装置と、画像形成装置と、を含み、前記プリントサービスシステムは、ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段と、前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段と、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、を有し、前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段と、
前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、を有し、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、を有する、ことを特徴とする印刷システムである。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステム内の前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に保持された印刷データの中から前記ユーザの選択を受け付け、前記ユーザが選択した印刷データを識別する印刷データ識別情報を前記プリントサービスシステムから受け取る受け取り手段、を更に有し、前記伝達手段は、前記受け取り手段が受け取った前記印刷データ識別情報を前記アクセス認可情報と共に前記画像形成装置に伝達し、前記認可情報取得手段は、前記アクセス認可情報と共に前記印刷データ識別情報を取得し、前記印刷データ取得手段は、前記アクセス認可情報と共に取得した前記印刷データ識別情報を用いて、前記印刷データ識別情報に対応する印刷データを前記プリントサービスシステムから取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システムである。
【0014】
参考例の構成は、プリントサービスシステム及び情報処理装置と協働する画像形成装置であって、前記プリントサービスシステムは、ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持する保持手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記保持手段に対するアクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、を有し、前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、を有し、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記保持手段へのアクセスの認可を受け、前記保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、を有する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
参考例の構成は、コンピュータに、プリントサービスシステム及び情報処理装置と協働する画像形成装置の制御を実行させるためのプログラムであって、前記プリントサービスシステムは、ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持する保持手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記保持手段に対するアクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、を有し、前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、を有し、前記プログラムは、前記コンピュータを、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段、及び取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記保持手段へのアクセスの認可を受け、前記保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段、として機能させるためのものであることを特徴とするプログラムである。
【0016】
請求項に係る発明は、プリントサービスシステム及び画像形成装置と協働する情報処理装置であって、前記プリントサービスシステムは、ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段と、前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段と、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、を有し、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、を有し、前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段と、前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、を有する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0017】
請求項に係る発明は、コンピュータを、プリントサービスシステム及び画像形成装置と協働する情報処理装置として機能させるためのプログラムであって、前記プリントサービスシステムは、ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段と、前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段と、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、を有し、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、を有し、前記プログラムは、前記コンピュータを、前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段、前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0018】
請求項に係る発明は、情報処理装置及び画像形成装置と協働するプリントサービスシステムであって、ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段と、前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段と、前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段と、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段と、を有し、前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段と、前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、を有し、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段とを有する、プリントサービスシステムである。
【0019】
請求項に係る発明は、1以上のコンピュータからなるシステムを、情報処理装置及び画像形成装置と協働するプリントサービスシステムとして機能させるためのプログラムであって、前記1以上のコンピュータからなるシステムを、ユーザに対応づけられると共に出力先の画像形成装置に対応付けられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを前記出力先の画像形成装置に提供する第1種保持手段、前記ユーザに対応づけられ、当該ユーザからの印刷指示に係る印刷データを保持し、保持している印刷データを、当該ユーザのアクセス認可情報を送ってきた画像形成装置に提供する第2種保持手段、前記ユーザが操作する前記情報処理装置からの要求に応じて、前記ユーザに対応づけられた前記第2種保持手段に対する前記アクセス認可情報を前記情報処理装置に対して提供する提供手段、前記ユーザが操作する前記情報処理装置に対して、前記ユーザに対応付けられた前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のリストであって、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段との区別の情報を含んだリストを提供する手段、前記画像形成装置から前記アクセス認可情報を受け取った場合に、前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段に対するアクセスを認可するアクセス認可手段、として機能させるためのプログラムであり、前記情報処理装置は、前記プリントサービスシステムから提供された前記リストに含まれる前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段を、前記第1種保持手段と前記第2種保持手段とが区別可能な態様で表示し、前記ユーザから、前記第1種保持手段及び前記第2種保持手段のうち印刷指示の送り先とするものの指定を受け付ける指定受付手段と、前記プリントサービスシステムから受け取った前記アクセス認可情報を、近接通信により前記画像形成装置に伝達する伝達手段、を有し、前記画像形成装置は、前記情報処理装置から、近接通信により、前記アクセス認可情報を取得する認可情報取得手段と、取得した前記アクセス認可情報を前記プリントサービスシステムに送ることで前記アクセス認可情報に対応する前記第2種保持手段へのアクセスの認可を受け、前記第2種保持手段に保持された印刷データを印刷処理のために取得する印刷データ取得手段と、を有する、プログラムである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、3〜に係る発明によれば、出力先未定での印刷指示を可能とし、出力先が決まればその出力先にプリントサービスシステムから印刷データを提供することができる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、情報処理装置を画像形成装置に近接させた後で画像形成装置の画面で出力対象とする印刷データを選択する必要をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
図2】実施形態における処理の流れの例を示す図である。
図3】画像形成装置の機能構成の例を示す図である。
図4】携帯端末の機能構成の例を示す図である。
図5】クラウドプリントサービスの機能構成の例を示す図である。
図6】変形例における処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照して、この実施形態のシステムの構成の一例を説明する。例示するシステムは、インターネット400を介して互いに通信可能な画像形成装置100、クラウドプリントサービス200、及びクラウドレポジトリサービス300と、ユーザが携帯する携帯端末500を含む。
【0024】
画像形成装置100は、入力される印刷データを用紙に印刷する装置である。画像形成装置100は、印刷機能以外の機能を備えていてもよい。例えば、画像形成装置100は、印刷機能の他にスキャン機能、複写機能、ファックス送信機能、電子メール送信機能を備える、いわゆるデジタル複合機であってもよい。画像形成装置100は、自身のUI(ユーザインタフェース)部108(図3参照)で受け付けたユーザからの指示に応じて複写、スキャン、印刷等の処理を実行する機能を持つ他に、インターネット400上のクラウドプリントサービス200から印刷データを取得して印刷出力する機能を備える。また、画像形成装置100が企業等の組織内のネットワークに接続されているものであってもよく、この場合、画像形成装置100は、その組織内のネットワークに接続されたコンピュータからの指示に応じて印刷等の処理を実行する機能を持つ。
【0025】
また、画像形成装置100は、クラウド印刷対応機能、すなわち、クラウドプリントサービス200を用いた印刷処理を実行する機能、を有している。クラウド印刷対応機能には、例えば、画像形成装置100は、当該画像形成装置100をクラウドプリントサービス200に登録し、物理プリンタID(後述)の付与を受ける機能、クラウドプリントサーバ200と各種プロトコルで通信を行うことで、自身が出力先として指定された印刷データを受信する機能、等が含まれる。なお、画像形成装置100がクラウド印刷対応機能を持たない場合、画像形成装置100に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータを用意し、そのコンピュータにクラウド印刷対応機能を持たせてもよい。この場合、そのコンピュータが画像形成装置100のプロキシ(代理)としてクラウドプリントサービス200との通信を行い、クラウドプリントサービス200から取得した印刷データを画像形成装置100に渡して印刷させる。
【0026】
クラウドプリントサービス200は、クラウドコンピューティングにより、インターネット等のネットワーク上で、ユーザに対してプリントサービスを提供するシステムである。クラウドプリントサービス200は、一般的には複数のコンピュータからなるシステムであるが、単一のコンピュータにより構成されていてもよい。例えばGoogle Cloud Printがクラウドプリントサービス200の一例である。
【0027】
クラウドプリントサービス200は、例えば、ユーザから印刷対象として指定された文書データ(例えばワードプロセッサや表計算のソフトウエアで作成されている)を、画像形成装置100で取扱可能な印刷データ形式(例えばPostScript(登録商標)等のページ記述言語形式、PDF形式)の印刷データに変換する機能、受け付けた印刷指示に対応する印刷ジョブを生成しその実行状態等を管理する機能(例えばキュー管理)等を、ユーザに対して提供する。クラウドプリントサービス200は、プリントサービスのための諸機能を実現する論理プリンタ(プリンタオブジェクトとも呼ばれる)210を生成し、管理する。論理プリンタ210には、その論理プリンタ210を利用する1以上のユーザが登録される。例えば、論理プリンタ210の作成を指示したユーザのユーザIDが、その論理プリンタ210の管理者属性情報としてその論理プリンタ210に登録される。また、管理者は、その論理プリンタ210を共有できる共有者を設定できる。設定された共有者のユーザIDは、共有者属性情報として論理プリンタ210に保持される。
【0028】
クラウドプリントサービス200内には、一般に複数の論理プリンタ210が保持されており、それら各論理プリンタ210は、それぞれ、自身に登録された1以上のユーザ(管理者または共有者)により利用される。
【0029】
また、論理プリンタ210には、その論理プリンタのキューに保持された印刷ジョブを出力する、出力先の物理的なプリンタ(「物理プリンタ」と呼ぶ。例えば、図示の画像形成装置100)が1以上登録されてもよい。この場合、論理プリンタ210は、登録された物理プリンタについての管理情報を保持する。管理情報には、例えば、物理プリンタの識別情報(例えばクラウドプリントサービス200が付与した一意な物理プリンタIDや物理プリンタのIPアドレス)、物理プリンタが有する能力(機能)を示す能力情報等が含まれる。能力情報には、例えば、両面印刷が可能か否か、フルカラー印刷が可能か否か、保持している用紙サイズ、などの情報が含まれる。また、物理プリンタが、後処理装置を備えている場合、その後処理装置が有する能力(例えばステープル留め、パンチ穴開け、折り機能等)についての情報も含まれる。
【0030】
クラウドプリントサービス200は、各論理プリンタ210に対してそれぞれ一意な識別情報(「論理プリンタID」と呼ぶ)を付与し、この論理プリンタIDを用いて論理プリンタ210を管理する。
【0031】
ユーザは、クラウドプリントサービス200に自分のアカウントを登録(作成)する。アカウント作成の際に、ユーザは、クラウドプリントサービス200において一意なユーザIDを登録する。Google Cloud Printの場合、Google社の提供するサービス一般のアカウントであるGoogleアカウントが、Google Cloud Printのための当該ユーザのアカウント(ユーザID)として用いられる。
【0032】
クラウドプリントサービス200は、ユーザからの指示に応じて論理プリンタ210を作成する。クラウドプリントサービス200は、個々の論理プリンタ210ごとに、当該論理プリンタ210を利用可能なユーザとして登録された各ユーザのユーザIDを記憶する。また、既存の論理プリンタ210に対して、ユーザ登録の権利を持つユーザからの指示に応じて、既存の論理プリンタ210に対して、その論理プリンタ210を使用可能とするユーザを登録(共有設定)できるようにしてもよい。
【0033】
ユーザは、インターネット400に接続されたPCや携帯端末、或いは画像形成装置100等から、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の通信プロトコルを用いて、インターネット400経由でクラウドプリントサービス200に対して自分のユーザIDでログインし、そのユーザIDに対応づけられた論理プリンタ210(複数存在する場合もある)の中から選んだ論理プリンタ210に対して印刷指示を行う。印刷指示には、印刷対象の文書データ、又はその文書データを特定する情報(例えばインターネット400上での当該文書データの格納場所の情報(例えばURL:Uniform Resource Locator))等のように、印刷対象を指定する情報が含まれる。ここで、例えば、文書データは、後述するクラウドレポジトリサービス300に存在する場合もある。論理プリンタ210は、その印刷指示に応じて印刷ジョブを生成し、管理する。印刷ジョブは、論理プリンタ210内で印刷指示を管理するための単位であり、一意なジョブIDを付与される。論理プリンタ210は、ジョブIDに対応づけて、印刷対象の文書データの情報、その文書データを変換して得たページ記述言語形式等の印刷データ、印刷指示を行ったユーザのユーザID、印刷ジョブの実行状態(例えば、未実行、実行中、実行完了、エラー、等の状態)等の情報を管理する。
【0034】
論理プリンタ210は、保持する印刷データをユーザの指示する出力先の物理プリンタに提供し、物理プリンタから印刷出力されるようにする。印刷データの提供は、論理プリンタ210から物理プリンタへ直接印刷データ自体をプッシュ方式で送信する形態であってもよいし、物理プリンタに対して印刷データを特定する情報を含むメッセージを送り、メッセージを受け取った物理プリンタからのHTTPなどでの取得要求に応じてその印刷ジョブをそのプリンタに提供する形態(プル方式)であってもよい。例えば、ファイアウォールによりインターネット400と隔てられた内部ネットワーク内の画像形成装置100にて、論理プリンタ210の印刷ジョブを印刷する場合には、プル方式での印刷が行われる。
【0035】
物理プリンタをクラウドプリントサービス200での印刷に使用したい場合、通常、ユーザはクラウドプリントサービス200に対してその物理プリンタの登録操作を行う。この登録操作により、クラウドプリントサービス200がその物理プリンタを識別し、認証することが可能になる。例えば、物理プリンタとクラウドプリントサービス200とのその物理プリンタの識別情報が共通の知識となり、物理プリンタが自分の識別情報(及び必要ならばその正当性を証明するための認証情報)をクラウドプリントサービス200に提示することで、物理プリンタがクラウドプリントサービス200にアクセス可能となる。
【0036】
Google Cloud Printの場合、Googleアカウントを有するユーザが、Googoleアカウントにログインした状態で物理プリンタ登録用のウェブページにて登録操作を行うと、Google Cloud Printが、登録対象の物理プリンタを一意に識別する物理プリンタID(“printer_id”)を発行する。この物理プリンタIDは、登録対象の物理プリンタ内、またはその物理プリンタのプロキシとして動作するPC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータ内、に保存される。Google Cloud Printは、登録された物理プリンタに付与した物理プリンタIDを、そのユーザのアカウントに関連づけて記憶する。これにより、登録操作を行ったユーザが、その物理プリンタの管理者として認識されることになる。Google Cloud Printそのユーザに対応する論理プリンタ210に対してその物理プリンタIDを、使用可能なプリンタの1つとして設定する。物理プリンタまたはこれに接続されたプロキシは、保持している物理プリンタIDをクラウドプリントサービス200に提示することで、自分が登録済みの物理プリンタであることを証明し、その物理プリンタに対応する論理プリンタ210に保持された印刷ジョブを取得する。
【0037】
物理プリンタの管理者は、管理者自身の論理プリンタ210に対して共有設定を行うことで、クラウドプリントサービス200に登録された他のユーザに対して、その論理プリンタ210及びこの論理プリンタ210に対して出力先として登録された物理プリンタ、の利用を許可することができる。
【0038】
クラウドレポジトリサービス300は、インターネット400上で、ユーザに対してレポジトリサービスを提供するシステムである。レポジトリサービスは、データやプログラム等を保管するサービスであり、オンラインストレージサービスとも呼ばれる。クラウドレポジトリサービス300は、一般的には複数のコンピュータからなるシステムであるが、単一のコンピュータにより構成されていてもよい。クラウドレポジトリサービス300の例としては、例えばGoogle Docs(商標)、Dropbox(商標)、Evernote(商標)等がある。
【0039】
クラウドレポジトリサービス300は、例えばユーザ毎に、当該ユーザからアップロードされた文書データやプログラム等の各種ファイルを保存し、保存したファイルを当該ユーザに対して提供する。ユーザは、クラウドレポジトリサービス300に対してユーザ登録を行うことで当該サービス300において一意なユーザIDを取得し、このユーザIDを用いて当該サービス300にログインし、ファイルのアップロードやダウンロードを行う。ただし、Google Cloud PrintとGoogle Docsのようにユーザ認証に関して互いに連携しているサービス同士の間では、第1のサービスのアカウントにログインすれば(あるいはGoogleアカウントのようなそれら全サービスを包括するアカウントにログインすれば)、連携した第2のサービスをその第1のサービスから利用することも可能である。以下では、説明を簡潔にするために、クラウドレポジトリサービス300とクラウドプリントサービス200とは、ユーザ認証の点で連携しているものとする。
【0040】
携帯端末500は、ユーザが携帯する情報処理装置である。例えばスマートフォンやタブレット端末、携帯電話機などがその一例である。携帯端末500は、クラウドプリントサービス200等のインターネット400上のサービスにアクセス可能である。携帯端末500には、クラウドプリントサービス200に対して印刷を指示する際のUI(ユーザインタフェース)となるアプリケーション(以下「クラウド印刷アプリ」と呼ぶ)がインストールされている。
【0041】
この例では、携帯端末500を携帯するユーザは、クラウドプリントサービス200にアカウントを有しているものとする。また、画像形成装置100は、管理者によりクラウドプリントサービス200に登録済みであり、物理プリンタIDの付与を受けているものとする。ただし、この例では、携帯端末500を携帯するユーザは、クラウドプリントサービス200に登録された画像形成装置100の管理者とは異なるものとする。この場合、そのユーザは、携帯端末500からクラウドプリントサービス200を利用することはできるが、出力先としてその画像形成装置100を指定することは(前述した共有設定がなされない限り)、従来はできない。
【0042】
また、Google Cloud Print等の従来のクラウドプリントサービスでは、直接的にせよ、間接的(論理プリンタを指定することで、その論理プリンタに対応づけられた物理プリンタが自動的に出力先となる場合)にせよ、あらかじめ登録されている物理プリンタ(画像形成装置)の中から出力先を指定する必要がある。クラウドプリントサービスは、出力先未定の印刷指示は、受け付けない。
【0043】
このような状況において、携帯端末500を携帯するユーザが画像形成装置100を出力先として、クラウドプリントサービス200経由の印刷を行うための仕組みを以下に説明する。
【0044】
本実施形態では、ユーザが印刷に使用する画像形成装置100は、クラウド対応印刷機能を備えている必要があるが、クラウドプリントサービス200に登録されている必要はない(もちろん、登録されていてもよい)。すなわち、本実施形態では、その画像形成装置100がクラウドプリントサービス200から物理プリンタIDの付与を受けていなくても、その画像形成装置100が、ユーザが指示した印刷データをクラウドプリントサービス200から取得して印刷できるようにする。
【0045】
この仕組みでは、クラウドプリントサービス200内に、ユーザ毎に、そのユーザのユーザIDに対応づけて汎用の論理プリンタ210を設ける。ここでいう「汎用」とは、当該論理プリンタに登録された特定の物理プリンタに限らず、クラウド印刷対応の物理プリンタならばどの物理プリンタにも印刷データを供給することができる、という意味である。1つの例では、汎用の論理プリンタ210は、出力先の物理プリンタの登録を受け付けないものとし、もっぱら出力先未定の印刷指示のために用いる。また、別の例として、出力先の物理プリンタが登録された論理プリンタ210を、汎用の論理プリンタ210としても用いることもできる。この場合、その論理プリンタ210に送った印刷指示は、登録された物理プリンタにて印刷することもできるし、予定を変えて他の物理プリンタからも印刷することができる。
【0046】
ユーザは、出力先未定の(あるいは出力先が予定から変わる可能性がある)印刷指示を行う場合には、その印刷指示の宛先として汎用の論理プリンタ210を指定する。汎用の論理プリンタ210は、その印刷指示に対応する印刷データを保持し、いずれかの物理プリンタからその印刷データの取得要求が来るのを待つ。
【0047】
その後、汎用の論理プリンタ210に送った印刷指示の出力先が決まった段階で、ユーザは、その出力先の物理プリンタに対し、その汎用の論理プリンタ210から印刷データを取得するためのアクセス権を委譲する。このアクセス権の委譲のために、本実施形態では、一例としてOAuthの仕組みを利用する。この例では、ユーザは、自ら操作する携帯端末500からクラウドプリントサービス200にアクセスし、自分の汎用の論理プリンタ210から印刷データを取得することを認可するための、OAuthのアクセストークンを取得しておく。そして、出力先の物理プリンタが決まった段階で、その物理プリンタに対して、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)やWiFi等の近接通信手段を用いて、携帯端末500からその物理プリンタ(画像形成装置100)に対してそのアクセストークンを渡す。その物理プリンタは、携帯端末500から受け取ったアクセストークンをクラウドプリントサービス200に提示することで、そのユーザの汎用の論理プリンタ210へのアクセス認可を受け、その論理プリンタ210から印刷データを取得して印刷する。
【0048】
なお、OAuthは、デスクトップコンピュータ、携帯端末、ウェブアプリケーション等にセキュアなAPI認可(Application Programming Interface authorization)の標準的手段を提供するプロトコルである。なお、OAuthを用いるのはあくまで一例に過ぎず、同様の権限委譲を実現できる他のプロトコルを用いてもよい。
【0049】
このように汎用の論理プリンタ210を用いる印刷のことを、冗長な記述を避けるために、以下では「どこでも印刷」と呼ぶこととする。
【0050】
本実施形態の処理の流れの一例を図2に示す。
【0051】
この例では、画像形成装置100及び携帯端末500は、NFCのプロトコルに従って近接通信を行うための手段を有しているものとする。
【0052】
(1)ユーザは、事前に(「どこでも印刷」を実際に指示する前に)、クラウドプリントサービス200に対して、出力先未定の印刷指示の受け皿となる汎用の論理プリンタ210の設定を指示する。この設定指示は、汎用の論理プリンタ210の新規作成を指示するものであってもよいし、既存の論理プリンタ210(出力先の物理プリンタが登録されていてもよい)を汎用の論理プリンタに設定することを指示するものであってもよい。クラウドプリントサービス200は、その指示に応じて、汎用の論理プリンタ210を新規生成するか、既存の論理プリンタ210を汎用のものとして設定する。汎用の論理プリンタ210には、そのユーザのユーザIDが管理者属性情報として登録され、これによりその論理プリンタ210がそのユーザと関連づけられる。
【0053】
(2)クラウドプリントサービス200は、設定指示に応じて設定された汎用の論理プリンタ210の論理プリンタIDと、その論理プリンタ210から印刷データを取得できるようにするためのOAauthのアクセストークンとを、作成指示を送ってきたユーザの携帯端末500に送信する。
【0054】
アクセストークンは、例えば、そのアクセストークンを提示する者に対して認可する認可内容(この例ではそのユーザの汎用の論理プリンタ210から印刷データを取得すること)を規定した認可情報を含んだデータである。認可情報は、例えば、そのユーザのクラウドプリントサービス200におけるユーザIDと、クラウドプリントサービス200内からそのユーザIDに対応する印刷データを取得する権限を示す情報と、を含む。また、認可情報に、その汎用の論理プリンタ210の論理プリンタIDが含まれていてもよい(この場合、(2)ではアクセストークンだけを送信すればよい)。認可情報を暗号化などによりランダムに見える文字列としたものを、アクセストークンとしてもよい。また、アクセストークンに認可情報を含める代わりに、認可情報に識別情報を付与してクラウドプリントサービス200内に保存し、その認可情報に付与した識別情報をアクセストークンとしてもよい。いずれの方式でも、アクセストークンの提示を受けたクラウドプリントサービス200は、そのアクセストークンに対応する認可情報を入手できる。なお、アクセストークン又は認可情報に対して発行日時又は有効期限等を対応づけて管理し、発行日時からあらかじめ定めた時間が経過した場合、又は、有効期限が経過した場合に、そのアクセストークンが無効になるようにしてもよい。
【0055】
この例では、ユーザからの指示に応じて汎用の論理プリンタ210を用意した際にアクセストークンを携帯端末500に発行したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、例えば、後述する処理段階(3)でユーザから汎用の論理プリンタ210に対する印刷指示を受けた際にアクセストークンを発行してもよい。また、更に別の例として、そのアクセストークンの発行を要求する明示的な発行要求をユーザから受け付け、その発行要求に応じてアクセストークンを発行してもよい。いずれの場合も、ユーザはクラウドプリントサービス200からのユーザ認証に合格しているので、認証済みのユーザの権限に従い、そのアクセストークンが発行される。
【0056】
クラウドプリントサービス200から論理プリンタID及びアクセストークンを受け取った携帯端末500は、それらを「どこでも印刷」のための情報として(例えば「どこでも印刷」を示す識別情報と対応づけて)保存する。
【0057】
(3)ユーザは、「どこでも印刷」を行いたい場合(すなわち、印刷したい文書はあるが、出力先の物理プリンタは未定の場合)、クラウドプリントサービス200にログインし、自分のユーザIDに対応づけられた汎用の論理プリンタ210に対し、印刷対象の文書を指定して、印刷を指示する。
【0058】
例えば、携帯端末500にてクラウド印刷アプリを起動し、クラウドプリントサービス200に対してそのユーザのユーザIDでログインすると、そのユーザが使用可能な論理プリンタ210(すなわちそのユーザが管理者または共有者として登録されている論理プリンタ)のリストが提供される。そのリストには、(1)で設定した汎用の論理プリンタ210も存在する。ユーザは、クラウド印刷アプリの画面にてそのリストの中から今回使用する論理プリンタ210を選択する。図2のストーリーでは、「どこでも印刷」用の汎用の論理プリンタ210が選択される。
【0059】
なお、論理プリンタのリストの中から汎用の論理プリンタ210を見つけやすくするために、そのリストに含まれる汎用の論理プリンタ210の情報に、「どこでも印刷用」であることを示す情報を含めておいてもよい。この場合、クラウド印刷アプリは、そのリストを画面表示する際、「どこでも印刷用」の情報を含んだ論理プリンタを、他の通常の論理プリンタとは異なる表示形態で表示する。また、ユーザにリストから「どこでも印刷」用の論理プリンタ210を選ばせる代わりに、クラウド印刷アプリの操作メニューに「どこでも印刷」を含めておき、メニューから「どこでも印刷」が選択されると、クラウド印刷アプリがその汎用の論理プリンタ210を印刷指示の宛先と自動判定するようにしてもよい。印刷指示の際の印刷対象の文書の指定は、従来と同様でよい。例えば、ユーザは、携帯端末500内またはクラウドレポジトリサービス300内などにある文書を印刷対象として指定する。クラウドレポジトリサービス300がクラウドプリントサービス200と認証連携をしている場合、クラウドプリントサービス200にログインすれば、クラウドレポジトリサービス300内に保存されたそのユーザの文書のリストを取得でき、そのリストの中から印刷対象の文書を指定できる。
【0060】
(4)印刷指示を受けた汎用の論理プリンタ210は、ユーザが指定した印刷対象の文書を携帯端末500やクラウドレポジトリサービス300等から取得し、その文書のデータを印刷データ形式に変換し、変換結果の印刷データを記憶する。ここで、印刷対象の文書を論理プリンタ210が能動的に取得する代わりに、その文書を携帯端末500がクラウドレポジトリサービス300等から取得し、論理プリンタ210に送信してもよい。また、携帯端末500が、クラウドレポジトリサービス300に対して、当該サービス300内の印刷対象の文書をクラウドプリントサービス200に提供するよう指示し、その指示に応じてクラウドレポジトリサービス300がその文書をクラウドプリントサービス200に送信してもよい。携帯端末500内にある文書が印刷対象として指定された場合は、携帯端末500がその文書をクラウドプリントサービス200に送信すればよい。
【0061】
(5)上記(3)での「どこでも印刷」の指示の後、ユーザは例えば外出先で見つけた画像形成装置100から、その指示に係る印刷データを出力することに決めたとする。その場合、ユーザは、画像形成装置100に設けられたNFC用のリーダライタ部を、携帯端末500でタッチする。
【0062】
このタッチ操作に応じ、画像形成装置100と携帯端末500とがNFC規格に従った通信を開始する。この通信の中で、画像形成装置100は「自分(画像形成装置100)がプリンタであること」(あるいは本実施形態の仕組みにより一時利用が可能なプリンタであること)を示す通知を携帯端末500に送信する。携帯端末500のOS(オペレーティングシステム)は、その通知を受け取ると、例えばクライアント印刷アプリを起動する。この場合、起動されたクライアント印刷アプリは、「どこでも印刷」のための情報として記憶していた論理プリンタID及びアクセストークンを画像形成装置100にNFCで送付する。
【0063】
この例では、タッチ操作時のNFC通信に応じて、携帯端末500のOSが、通信相手の装置が本実施形態の方式に準拠した画像形成装置100であるかどうかを判定し、本実施形態の方式に準拠した画像形成装置100であると判定した場合に、クラウド印刷アプリを起動するという方式を説明したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、例えば、クラウド印刷アプリが携帯端末500上で起動している状態でタッチ操作を行うと、クラウド印刷アプリが、NFC通信先の装置が本実施形態の方式に準拠した画像形成装置100であるかどうかを判定してもよい。
【0064】
(6)画像形成装置100は、受け取った論理プリンタID及びアクセストークンを含むジョブリスト要求をインターネット400経由でクラウドプリントサービス200に送る。クラウドプリントサービス200は、受け取った要求に含まれるアクセストークンに対応する認可情報を取得する。その認可情報には、ユーザIDと、そのユーザIDに対応する印刷データを取得する権限を示す情報とが含まれている。クラウドプリントサービス200は、その認可情報から、そのリスト取得要求の送信元である画像形成装置100に権限があると認識する。そして、その要求に含まれる論理プリンタIDに対応する論理プリンタ(すなわち、そのユーザの汎用の論理プリンタ)のキュー内あるジョブ(印刷データ)のリストを画像形成装置100に送付する。リストには、そのキューの中にある各ジョブの識別情報が含まれる。
【0065】
(7)画像形成装置100は、内蔵する表示画面にそのジョブのリストを表示し、リスト上のジョブのうち、今回印刷出力するものをユーザに選択させる。また、画像形成装置100は、印刷設定のためのUI画面を提供し、用紙の指定や部数、両面印刷の有無などといった印刷条件の設定をユーザに行わせてもよい。
【0066】
なお、クラウドプリントサービス200から取得したジョブリストをNFCで携帯端末500に提供し、携帯端末500の画面上で印刷出力対象の指定や印刷設定を行得るようにしてもよい。この場合、携帯端末500上で行ったその出力対象指定や印刷設定の結果はNFCで画像形成装置100に伝達する。
【0067】
印刷するジョブの指定(及びユーザが印刷設定を行う場合はその設定操作)が完了し、ユーザが印刷開始の操作を行う。
【0068】
(8)印刷開始の操作に応じ、画像形成装置は、出力対象に選択されたジョブの識別情報(及びもしあれば、印刷設定情報)を含んだ印刷データ取得要求を、例えばHTTPのGET要求の形で、クラウドプリントサービス200に送る。
【0069】
(9)クラウドプリントサービス200(特に、(6)で特定された汎用の論理プリンタ210)は、受け取った印刷データ取得要求に応じて、その要求に含まれる識別情報に対応する印刷データを画像形成装置100に送る。画像形成装置100は、受け取った印刷データを用紙に印刷する。
【0070】
図2の例では、携帯端末500から画像形成装置100へのアクセストークン等の伝達にNFCを用いたが、近接通信の手段はNFCに限定されない。例えば、NFCの代わりに、Bluetooth(登録商標)等の他の近距離無線通信方式を用いてもよい。また、赤外線通信等、無線以外の伝送媒体を用いた近接通信方式を用いてもよい。
【0071】
また、近接通信の別の例として、画像形成装置100にカメラを設け、携帯端末500の画面上に表示したアクセストークン等をそのカメラに撮影させることにより、アクセストークンを伝達する方式もある。この場合、アクセストークンの表示形態は特に限定されない。例えば、QR(登録商標)コードやバーコードなどの画像コードとして画面表示してもよいし、文字列として画面表示してもよい。画像形成装置100は、アクセストークンの表示形態に応じた解析アルゴリズムを用いて撮影画像を解析することで、アクセストークンの値を求める。この方式も、NFCや赤外線通信などを用いる方式も、携帯端末500を持ったユーザが画像形成装置100のところまで出向き、携帯端末500を画像形成装置100に近接させることで、携帯端末500と画像形成装置100とを結びつけるという点では共通する。
【0072】
次に、以上に説明した処理を実行する画像形成装置100の機能構成の例を、図3を参照して説明する。なお、図3では、実施形態の処理に関係の深い部分のみを示しており、画像形成装置が通常有する構成要素であっても実施形態の処理と関連の薄いものについては表示は省略している。
【0073】
画像形成装置100において、ジョブ受信部102は、クラウドプリントサービス200と通信し、HTTPを用いて印刷データを受信するなどの処理を行う。画像形成部106は、紙等の媒体に対して画像を印刷する装置である。制御部104は、画像形成装置100全体を制御するシステムである。例えば制御部104は、図示省略した画像処理部に指示して、ジョブ受信部102がクラウドプリントサービス200から受け取った印刷データを、画像形成部106が取り扱い可能なラスター形式等の画像データに変換させ、変換結果の画像データを画像形成部106に供給し、媒体に印刷させる。UI(ユーザインタフェース)部108は、画像形成装置100に対するユーザから操作を受け付けるための画面を表示したり、その画面に応じたユーザからの操作入力を受け取ったりする。近接無線通信部112は、NFC規格の通信を行う装置である。ユーザがNFC対応の携帯端末500を画像形成装置100のリーダ・ライタ部に近接させると、近接無線通信部112が、NFC準拠のデバイス(携帯端末500)を認識する。この認識に応じ、制御部104は、「自装置がプリンタであること」ことを示す情報等を携帯端末500に対して近接無線通信部112により送信する。また、制御部104は、近接無線通信部112を介して、携帯端末500から、「どこでも印刷」のための情報(すなわち汎用の論理プリンタ210の論理プリンタID及びアクセストークン)を取得する。更に、その情報を用いて、ジョブ受信部102により、クラウドプリントサービス200からその汎用の論理プリンタ210内のジョブリストを取得し、そのジョブリストをUI部108に表示させ、ユーザから今回の出力対象のジョブの選択を受け付ける。そして、制御部104は、選択されたジョブの印刷データを、ジョブ受信部102経由でクラウドプリントサービス200から取得する。
【0074】
次に、図4を参照して、上述の処理を実行する携帯端末500の機能構成の例を説明する。なお、図4では、実施形態の処理に関係の深い部分のみを示しており、携帯端末が通常有する構成要素であっても実施形態の処理と関連の薄いものについては表示は省略している。
【0075】
携帯端末500には、クラウド印刷アプリ510がインストールされている。クラウド印刷アプリ510は、携帯端末500からクラウドプリントサービス200を用いた印刷を行うために用いるアプリケーションである。クラウド印刷アプリ510のうちのUI処理部512は、クラウド利用の印刷のためのユーザインタフェースを提供する。ユーザ情報保持部514は、当該携帯端末500を携帯するユーザのクラウドプリントサービス200におけるアカウント(ユーザID等)を保持する。このアカウントの情報は、ユーザが事前に設定しておく。なお、クラウド印刷アプリ510の代わりに携帯端末500のOSがこのアカウントの情報を管理していてもよい。
【0076】
クラウド印刷アプリ510は、起動されると、携帯電話回線や無線ネットワーク等を介してインターネット400上のクラウドプリントサービス200にアクセスし、ユーザ情報保持部514に保持されたアカウントを用いてクラウドプリントサービス200にログインする。UI処理部512は、ログインに応じてクラウドプリントサービス200から提供されるUI画面を表示する。ユーザが、そのUI画面を介して、汎用(「どこでも印刷」用)の論理プリンタ210の設定を指示すると、その指示がUI処理部512からクラウドプリントサービス200に伝達される。これに応じクラウドプリントサービス200は、そのユーザのための汎用の論理プリンタ210を用意する。また、例えば、ユーザが、UI処理部512のUI画面にて、「どこでも印刷」のためのアクセストークンの取得を指示すると、その指示に応じてクラウドプリントサービス200からインターネット経由で、アクセストークン(及び汎用の論理プリンタ210の論理プリンタID)が送られてくる。
【0077】
トークン管理部516は、クラウドプリントサービス200から取得した「どこでも印刷」のための情報(すなわち汎用の論理プリンタ210の論理プリンタID及びアクセストークン)を保持する。また、トークン管理部516は、携帯端末500を画像形成装置100にタッチしたときに、保持している「どこでも印刷」のための情報を近接無線通信部504により画像形成装置100に提供する。
【0078】
次に、図5を参照して、上述の処理を実行するクラウドプリントサービス200の機能構成の例を説明する。なお、図5では、実施形態の処理に関係の深い部分のみを示しており、携帯端末が通常有する構成要素であっても実施形態の処理と関連の薄いものについては表示は省略している。
【0079】
クラウドプリントサービス200は、本実施形態に関する機能を担う機能モジュールとして、汎用キュー設定部202、トークン発行部204、認可制御部206、及び論理プリンタ210を有する。論理プリンタ210については、既に説明した。汎用キュー設定部202は、携帯端末500などからのユーザの指示(図2の(1))に応じて、そのユーザのユーザIDに対応づけた汎用の論理プリンタ210(キュー)を設定(新規作成、または既存の論理プリンタ210を「汎用」に設定)する。トークン発行部204は、携帯端末500からの要求に応じて、その汎用の論理プリンタ210から印刷データを取得することを認可するアクセストークンを発行する(図2の(2))。認可制御部206は、アクセストークンを取得した画像形成装置100から、アクセストークンが送られてくると、そのアクセストークンに対応する認可情報が示す認可対象の操作を、その装置に対して認可する。ここで、本実施形態では、アクセストークンは、そのトークンの対象として指定された汎用の論理プリンタ210からの印刷データの取得に関する操作を認可するものである。したがって、認可制御部206は、そのアクセストークンの対象である論理プリンタ210に対し、その画像形成装置100に対して印刷データの取得に関する操作を認可する旨を通知する。この通知に応じ、その論理プリンタ210は、画像形成装置100からのジョブリストの要求や、印刷データの要求を認める。
【0080】
次に、図6を参照して、変形例を説明する。上記実施形態(図2参照)では、(5)携帯端末500を画像形成装置100に近接させるタッチ操作により、(6)クラウドプリントサービス200から汎用の論理プリンタ210内のジョブのリストを取得し、(7)そのリストの中からユーザに出力対象を選択させた。
【0081】
これに対し、図6の変形例では、以下のような処理の流れとなる。
【0082】
(A)ユーザは、タッチ操作(5’)の前に、携帯端末500のクラウド印刷アプリ510からクラウドプリントサービス200にログインし、汎用の論理プリンタ210内にあるジョブのリストを取得する。
【0083】
(B)クラウド印刷アプリ510は、そのジョブリストを表示し、ユーザに、そのリストの中から、今回の出力対象を選択させる。この選択に応じ、クラウドプリントサービス200は、選択されたジョブ(印刷データ)の識別情報(ジョブID)をクラウド印刷アプリ510に送る。クラウド印刷アプリ510は、受け取ったジョブIDを、「どこでも印刷」のための情報の一項目として記憶する。
【0084】
(5’)その後ユーザは、(A)で選択したジョブを、例えば訪問先で見つけた画像形成装置100にて印刷を行うことに決めると、携帯端末500をその画像形成装置100のリーダライタ部にタッチする。これにより、携帯端末500が保持していた「どこでも印刷」のための情報、すなわち、汎用の論理プリンタのID、アクセストークン、及び(A)で選んだ出力対象のジョブのIDが、NFCにより画像形成装置100に伝達される。なお、このタッチ操作の後、画像形成装置100のUI、または、携帯端末500にて、印刷設定が行えるようにしてもよい。後者の場合、画像形成装置100は、例えば、自分の能力情報に応じた印刷設定画面を携帯端末500に提供し、携帯端末500上でのその印刷設定画面に対する設定結果を、NFC等で携帯端末500から取得すればよい。
【0085】
(6’)画像形成装置100は、受け取った論理プリンタID、アクセストークン及びジョブIDを含んだ印刷データ取得要求をクラウドプリントサービス200に送る。
【0086】
(9)この要求に応じ、クラウドプリントサービス200内のその論理プリンタIDが示す論理プリンタ210が、そのジョブIDに対応する印刷データを画像形成装置100に送る。画像形成装置100は、受け取った印刷データを用紙に印刷する。
【0087】
以上に例示した画像形成装置100、クラウドプリントサービス200、携帯端末500の情報処理を行う部分は、例えば、汎用のコンピュータに当該装置の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで言うコンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)、フラッシュメモリ等の二次記憶を制御する二次記憶コントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、無線又は有線のネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVD、ブルーレイディスクなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、フラッシュメモリ等の二次記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。二次記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。
【符号の説明】
【0088】
100 画像形成装置、102 ジョブ受信部、104 制御部、106 画像形成部、108 UI部、112 近接無線通信部、200 クラウドプリントサービス、202 汎用キュー設定部、204 トークン発行部、206 認可制御部、210 論理プリンタ、300 クラウドレポジトリサービス、400 インターネット、500 携帯端末、504 近接無線通信部、510 クラウド印刷アプリ、512 UI処理部、514 ユーザ情報保持部、516 トークン管理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6