(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁路形成体は、各前記第一磁極形成部を保持する二つの第一保持面(71a,72a,252a,252b,371a,372a)、及び各前記第二磁極形成部を保持する二つの第二保持面(71b,72b,253a,253b,371b,372b)、を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の入力装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
【0012】
(第一実施形態)
図1に示す本発明の第一実施形態による操作入力装置100は、車両に搭載され、車室内の表示器、例えばナビゲーション装置20又はヘッドアップディスプレイ装置120(
図2参照)等と共に表示システム10を構成している。操作入力装置100は、
図2に示されるように、車両のセンターコンソールにてパームレスト19と隣接する位置に設置され、操作者の手の届き易い範囲に操作ノブ73を露出させている。この操作ノブ73は、操作者の手H等によって操作力が入力されると、入力された操作力の方向に変位する。
【0013】
ナビゲーション装置20は、車両のインスツルメントパネル内に設置され、運転席に向けて表示画面22を露出させている。表示画面22には、所定の機能が関連付けられた複数のアイコン、及び任意のアイコンを選択するためのポインタ80等が表示されている。操作ノブ73に水平方向の操作力が入力されると、ポインタ80は、操作力の入力方向に対応した方向に、表示画面22上を移動する。ナビゲーション装置20は、
図1及び
図2に示されるように、通信バス90と接続され、操作入力装置100等とネットワーク通信可能である。ナビゲーション装置20は、表示画面22に表示される画像を描画する表示制御部23、及び表示制御部23によって描画された画像を表示画面22に連続的に表示する液晶ディスプレイ21を有している。
【0014】
以上の操作入力装置100の各構成を詳しく説明する。操作入力装置100は、
図1に示すように、通信バス90及び外部のバッテリ95等と接続されている。操作入力装置100は、通信バス90を通じて、離れて位置するナビゲーション装置20と通信可能とされている。また操作入力装置100は、各構成の作動に必要な電力を、バッテリ95から供給される。
【0015】
操作入力装置100は、通信制御部35、操作検出部31、反力発生部39、反力制御部37、及び操作制御部33等によって電気的に構成されている。
【0016】
通信制御部35は、操作制御部33によって処理された情報を通信バス90に出力する。加えて通信制御部35は、他の車載装置から通信バス90に出力された情報を取得し、操作制御部33に出力する。操作検出部31は、操作力の入力によって移動した操作ノブ73(
図2参照)の位置を検出する。操作検出部31は、検出した操作ノブ73の位置を示す操作情報を、操作制御部33に出力する。
【0017】
反力発生部39は、操作ノブ73に操作反力を生じさせる構成であって、ボイスコイルモータ等のアクチュエータを含んでいる。反力発生部39は、例えば表示画面22上においてポインタ80(
図2参照)がアイコンと重なる際に、操作反力を操作ノブ73(
図2参照)に印加することで、所謂反力フィードバックにより、擬似的なアイコンの触感を操作者に惹起させる。反力制御部37は、例えば種々の演算を行うためのマイクロコンピュータ等によって構成されている。反力制御部37は、操作制御部33から取得する反力情報に基づいて、反力発生部39から操作ノブ73に印加される操作反力の方向及び強さを制御する。
【0018】
操作制御部33は、例えば種々の演算を行うためのマイクロコンピュータ等によって構成されている。操作制御部33は、操作検出部31によって検出された操作情報を取得し、通信制御部35を通じて通信バス90に出力する。加えて操作制御部33は、操作ノブ73(
図2参照)に印加する操作反力の方向及び強さを演算し、演算結果を反力情報として反力制御部37に出力する。
【0019】
操作入力装置100は、
図3に示すように、可動部70及び固定部50等によって機械的に構成されている。
【0020】
可動部70は、後述する一対の可動ヨーク71,72を保持するノブベース74、及び上述の操作ノブ73を有している。可動部70は、固定部50に対し、仮想の操作平面OPに沿うx軸方向及びy軸方向に相対移動可能に設けられている。可動部70は、x軸方向及びy軸方向のそれぞれに移動可能な範囲を、固定部50によって予め規定されている。可動部70は、印加されていた操作力から解放されると、基準となる基準位置に帰着する。
【0021】
固定部50は、ハウジング50a及び回路基板59を有しており、後述する固定ヨーク51を保持している。ハウジング50aは、可動部70を相対移動可能に支持しつつ、回路基板59及び反力発生部39等の各構成を収容する。回路基板59は、その板面方向を、操作平面OPに沿わせた姿勢にて、ハウジング50a内に固定されている。回路基板59には、操作制御部33及び反力制御部37等を構成するマイクロコンピュータ等が実装されている。
【0022】
以上の可動部70及び固定部50間において、
図3〜
図5に示す反力発生部39が反力フィードバックを実施する。反力発生部39は、アクチュエータとして機能する第一ボイスコイルモータ(VCM)39x及び第二VCM39y、並びに固定ヨーク51及び二つの可動ヨーク71,72等によって構成されている。第一VCM39xは、第一コイル41及び二つの磁石61,62を有している。第二VCM39yは、第二コイル42及び二つの磁石63,64を有している。以下、各コイル41,42、各磁石61〜64、固定ヨーク51、及び各可動ヨーク71,72の詳細を、順に説明する。
【0023】
各コイル41,42は、銅等の非磁性材料よりなる線材を巻線49として、扁平の筒状に巻回しすることにより形成されている。各コイル41,42において、巻線49の巻回軸方向と直交する横断面は、長方形状に形成されている。各巻線49は、各コイル41,42における筒壁の厚さが例えば3mm程度となるまで巻回しされている。各コイル41,42において、巻回しされた巻線49の内周側には、巻回軸方向に延伸する収容室41a,42aが形成されている。各コイル41,42は、回路基板59に設けられた配線パターンを介して反力制御部37と電気的に接続され、当該反力制御部37によって各巻線49に個別に電流を印加される。
【0024】
各コイル41,42は、互いに僅かな隙間を開けつつ、y軸に沿って並べられている。各コイル41,42は、巻線49の巻回軸方向を操作平面OPに沿わせた姿勢にて、回路基板59等の固定部50に対し固定されている。一方のコイル(以下、「第一コイル」)41の巻回軸方向は、x軸に沿っている。他方のコイル(以下、「第二コイル」)42の巻回軸方向は、y軸に沿っている。各コイル41,42は、操作平面OPに沿った一対のコイル側面41u,41d,42u,42dをそれぞれ形成している。各コイル41,42において、操作ノブ73側を向く各一方を上側コイル側面41u,42uとし、回路基板59側を向く各他方を下側コイル側面41d,42dとする。各コイル側面41u,41d,42u,42dは、各辺がx軸又はy軸に沿った略四辺形状に形成されている。
【0025】
各磁石61〜64は、ネオジウム磁石等であって、長手方向を有する略四辺形の板状に形成されている。二つの磁石61,62は、操作平面OPと実質直交するz軸方向において互いに離れて位置し、且つ、当該z軸方向に並んでいる。同様に、他の二つの磁石63,64は、z軸方向において互いに離れて位置し、且つ、当該z軸方向に並んでいる。各磁石61〜64のそれぞれには、平滑な平面状に形成された着磁面68及び取付面69が設けられている。各磁石61〜64において、着磁面68及び取付面69の磁極は、互いに異なっている(
図6及び
図7も参照)。
【0026】
二つの磁石61,63の各取付面69は、長辺をy軸に沿わせた姿勢にて、可動ヨーク71に取り付けられている。可動ヨーク71に保持された磁石61の着磁面68は、z軸方向において所定の間隔を開けつつ、第一コイル41の上側コイル側面41uと対向している。可動ヨーク71に保持された磁石63の着磁面68は、z軸方向において所定の間隔を開けつつ、第二コイル42の上側コイル側面42uと対向している。
【0027】
他の二つの磁石62,64の各取付面69は、長辺をy軸に沿わせた姿勢にて、可動ヨーク72に取り付けられている。可動ヨーク72に保持された磁石62の着磁面68は、z軸方向において所定の間隔を開けつつ、第一コイル41の下側コイル側面41dと対向している。可動ヨーク72に保持された磁石64の着磁面68は、z軸方向において所定の間隔を開けつつ、第二コイル42の下側コイル側面42dと対向している。各着磁面68は、可動部70が基準位置に帰着している場合において、対向する各コイル側面41u,41d,42u,42dの中央に位置する。
【0028】
以上の構成では、
図6に示すように、各磁石61,62の発生磁束は、第一コイル41の巻線49をz軸方向に通過(貫通)する。故に、第一コイル41への電流の印加により、磁場中に置かれた巻線49内を電荷が移動すると、各電荷にはローレンツ力が生じる。こうして第一VCM39xは、第一コイル41及び各磁石61,62間にて、x軸方向の電磁力EMF_xを生じさせる。第一コイル41に印加する電流の向きを反転させることにより、発生する電磁力EMF_xも反転し、x軸に沿った逆向きの方向となる。
【0029】
また
図7に示すように、各磁石63,64の発生磁束は、第二コイル42の巻線49をz軸方向に通過(貫通)する。故に、第二コイル42への電流の印加により、磁場中に置かれた巻線49内を電荷が移動すると、各電荷にはローレンツ力が生じる。こうして第二VCM39yは、第二コイル42及び各磁石63,64間にて、y軸方向の電磁力EMF_xを生じさせる。第二コイル42に印加する電流の向きを反転させることにより、発生する電磁力EMF_yも反転し、y軸に沿った逆向きの方向となる。
【0030】
図3〜5に示す固定ヨーク51は、例えば軟鉄及び電磁鋼板等の磁性材料によって形成されている。固定ヨーク51には、二つのコイル側ヨーク部52,53及び連結部54が設けられている。コイル側ヨーク部52,53は、平板状に形成されている。
【0031】
一方のコイル側ヨーク部(以下、「第一コイル側ヨーク部」)52は、第一コイル41の収容室41aに挿入され、当該収容室41aを貫通している。収容室41aに収容された第一コイル側ヨーク部52の両面には、第一対向面52aが形成されている。二つの第一対向面52aは、第一コイル41の内周側に位置し、第一コイル41の外周側に配置された各磁石61,62と共に当該コイル41を内外の両側から挟むよう、これら磁石61,62の各着磁面68と個々に対向配置されている。
【0032】
他方のコイル側ヨーク部(以下、「第二コイル側ヨーク部」)53は、第二コイル42の収容室42aに挿入され、当該収容室42aを貫通している。収容室42aに収容された第二コイル側ヨーク部53の両面には、第二対向面53aが形成されている。二つの第二対向面53aは、第二コイル42の内周側に位置し、第二コイル42の外周側に配置された各磁石63,64と共に当該コイル42を内外の両側から挟むよう、これら磁石63,64の各着磁面68と個々に対向配置されている。以上の第二コイル側ヨーク部53に誘導された各磁石63,64の発生磁束は、第二コイル42の巻線49をz軸方向に通過(貫通)する。
【0033】
連結部54は、各コイル41,42に沿ってL字状に屈曲している。連結部54は、第一コイル41に収容された第一コイル側ヨーク部52から、第二コイル42に収容された第二コイル側ヨーク部53まで延伸することにより、二つのコイル側ヨーク部52,53を連結させている。以上により、第一コイル41の収容室41aから、第二コイル42の収容室42aまで延伸する固定ヨーク51が形成されている。
【0034】
各可動ヨーク71,72は、固定ヨーク51と同様に、軟鉄及び電磁鋼板等の磁性材料によって形成されている。各可動ヨーク71,72は、共に長方形状の平板材によって形成されており、互いに実質同一の形状とされている。各可動ヨーク71,72は、二つのコイル41,42をz軸方向において挟みつつ対向する配置にて、ノブベース74に保持されている。各可動ヨーク71,72のそれぞれには、第一保持面71a,72a及び第二保持面71b,72bが形成されている。一方の可動ヨーク71は、第一保持面71aによって磁石61の取付面69を保持し、第二保持面71bによって磁石63の取付面69を保持している。他方の可動ヨーク72は、第一保持面72aによって磁石62の取付面69を保持しつつ、第二保持面72bによって磁石64の取付面69を保持している。
【0035】
以上説明した固定ヨーク51及び二つの可動ヨーク71,72等は、磁路形成体66として、
図6〜
図8に示す反力発生部39の磁気回路65を形成している。磁気回路65は、固定ヨーク51及び各可動ヨーク71,72を巡る形状により、第一VCM39xの各磁石61,62の発生磁束を第二VCM39yに導くと共に、第二VCM39yの各磁石63,64の発生磁束を第一VCM39xに導く。
【0036】
詳記すると、
図6及び
図8に示す第一VCM39xの各磁石61,62において、第一コイル41を向く各着磁面68の磁極は、同一とされている。故に、各磁石61,62が発生させる磁束の方向は、z軸に沿って互いに反対の方向となる。そのため、各第一対向面52aから、各第一保持面71a,72aに向かう磁束が生じる。これらの磁束は、各第一保持面71a,72aから各可動ヨーク71,72に入り、各可動ヨーク71,72のそれぞれにおいて、第一保持面71a,72aから第二保持面71b,72bに向う。
【0037】
さらに、
図7及び
図8に示す第二VCM39yの各磁石63,64において、第二コイル42を向く各着磁面68の磁極は、互いに同一とされ、且つ、第一コイル41と対向する二つの着磁面68(
図6も参照)の磁極とは異なっている。故に、各磁石63,64が発生させる磁束の方向は、z軸に沿って互いに対向する方向となる。そのため、各第二保持面71b,72bから、各第二対向面53aに向かう磁束が生じる。以上により、各可動ヨーク71,72によって誘導された磁束は、各第二対向面53aから第二コイル側ヨーク部53に入り、連結部54を通過して、第一コイル側ヨーク部52へと向かう。そして、固定ヨーク51内を誘導された磁束は、再び各第一対向面52aから各第一保持面71a,72a(
図7参照)へと向かう。
【0038】
以上により、
図6〜
図8に示す反力発生部39では、第一VCM39xにおける各磁石61,62の発生磁束は、当該VCM39xの第一コイル41を通過するだけでなく、磁気回路65によって導かれることで、第二VCM39yの第二コイル42を通過する。同様に、第二VCM39yにおける各磁石63,64の発生磁束は、第二コイル42を通過するだけでなく、磁気回路65によって導かれることにより、第一VCM39xの第一コイル41を通過する。よって、各第一対向面52a及び各第一保持面71a,72a間の磁束密度、並びに、各第二対向面53a及び各第二保持面71b,72b間の磁束密度は共に、二つのVCM39x,39yの磁気回路を個別に形成した形態と比較して、高くなる。こうして、第一コイル41の巻線49をz軸方向に貫通する磁束密度が向上することにより、第一VCM39xにて発生可能な電磁力EMF_xが増加する。同様に、第二コイル42の巻線49をz軸方向に貫通する磁束密度の向上により、第二VCM39yにて発生可能な電磁力EMF_xが増加する。したがって、各磁石61〜64の形成材料の使用量を抑えつつ、可動部70の操作ノブ73、ひいては操作者に作用可能な各操作反力RF_x,RF_yを高めることができる。
【0039】
加えて第一実施形態の第一VCM39xでは、二つの磁石61,62及び各第一対向面52aは、第一コイル41の巻線49を内外の両側から挟みつつ、z軸方向において互いに対向している。故に、一方の磁石61が対向する第一対向面52aを引き寄せる磁気吸引力は、他方の磁石62が対向する第一対向面52aを引き寄せる磁気吸引力を打ち消し得る。同様に、第二VCM39yにおいて、一方の磁石63が対向する第二対向面53aを引き寄せる磁気吸引力は、他方の磁石64が対向する第二対向面53aを引き寄せる磁気吸引力を打ち消し得る。こうして可動部70に作用する磁気吸引力が低減されることによれば、可動部70は、操作者による操作力の入力によって、円滑に移動可能となる。
【0040】
また第一実施形態における各磁石61〜64の磁極の配置によれば、これらの磁石61〜64によって生じ、磁気回路65を巡る磁束の向きが揃えられる。故に、磁気回路65において、各磁石61〜64の発生磁束が互いに打ち消し合わなくなるため、各コイル41,42をz軸方向に貫通する磁束の密度は、いっそう高められる。よって、各VCM39x,39yにて発生可能な各電磁力EMF_x,EMF_yは、いっそう増加可能となる。
【0041】
さらに第一実施形態では、各可動ヨーク71,72が、各保持面71a,72a,71b,72bによって各磁石61〜64を直接的に保持している。故に、各磁石61〜64の発生磁束は、実質的に損失なく各可動ヨーク71,72に入り、磁気回路65を巡ることができる。以上によれば、各コイル41,42をz軸方向に貫通する磁束の密度をいっそう向上させることができ、ひいては、電磁力EMF_x,EMF_yのいっそうの増加が可能となる。
【0042】
また加えて第一実施形態では、各VCM39x,39yのそれぞれにおいて、磁石61,62及び磁石63,64は、z軸方向に並べられている。故に、上述したような各磁石61〜64及び固定ヨーク51間での磁気吸引力は、z軸方向に作用し、操作平面OPに沿うx軸方向及びy軸方向には実質作用しない。故に、操作平面OPに沿う方向への可動部70の移動は、磁気吸引力に妨げられることなく、いっそう円滑なものとなる。こうした効果は、各VCM39x,39yの磁気回路65を繋げたことによる磁束密度の向上により、磁気吸引力が強化された上述の構成において、特に有効に発揮される。
【0043】
ここで、例えば、固定部50に対する可動部70の相対位置がz軸方向にずれて、磁石61,63及び上側コイル側面41u,42u間の距離が拡大したとする。この場合、上側コイル側面41u,42uにて生じるローレンツ力は、低下する。しかし、上述のz軸方向のずれにより、磁石62,64及び下側コイル側面41d,42d間の距離は、縮まっている。故に、下側コイル側面41d,42dにて生じるローレンツ力は、上側コイル側面41u,42uのローレンツ力低下を補うよう増加し得る。以上のように、第一実施形態の構成によれば、部品形状や組み付けに係るばらつきに起因し、固定部50に対する可動部70の相対位置が不可避的にずれたとしても、各VCM39x,39yにて発生可能な電磁力EMF_x,EMF_yは、維持可能となる。
【0044】
さらに加えて第一実施形態では、二つのVCM39x,39yのそれぞれにおいて発生する磁気吸引力が、z軸方向において釣り合った状態となる。故に、操作ノブ73を操作平面OPに対して傾けるような回転モーメントを磁気吸引力が生じさせてしまう事態は、回避可能となる。
【0045】
またさらに第一実施形態では、各コイル41,42の各収容室41a,42a間を延伸する固定ヨーク51と、各コイル41,42をz軸方向にて挟む一対の可動ヨーク71,72等の組み合わせにより、磁気回路65が形成されている。以上の構成であれば、各磁石61〜64の発生磁束を、二つのVCM39x,39yにおいて、効率的に巡らせることが可能となる。よって、各コイル41,42を貫通する磁束密度のいっそうの向上が可能となり、各VCM39x,39yは、さらに強い電磁力EMF_x,EMF_yを発生できるようになる。
【0046】
そして第一実施形態のように、各コイル41,42及び各磁石61〜64のうちで磁石側を移動可能にする構成であれば、反力制御部37への電気接続を要する各コイル41,42は、固定側となる。故に、各コイル41,42の移動を考慮した配線等を形成する必要がなくなるため、操作入力装置100の構成は、簡素化され得る。
【0047】
尚、第一実施形態において、操作入力装置100が特許請求の範囲に記載の「入力装置」に相当し、第一VCM39xが特許請求の範囲に記載の「第一アクチュエータ」に相当し、第二VCM39yが特許請求の範囲に記載の「第二アクチュエータ」に相当する。また、収容室41a,42aが特許請求の範囲に記載の「内周空間」に相当し、固定部50が特許請求の範囲に記載の「支持部」に相当し、可動部70が特許請求の範囲に記載の「入力部」に相当する。さらに、磁石61,62が特許請求の範囲に記載の「第一磁極形成部」に相当し、磁石63,64が特許請求の範囲に記載の「第二磁極形成部」に相当する。そして、固定ヨーク51が特許請求の範囲に記載の「内側磁気ヨーク」に相当し、可動ヨーク71,72が特許請求の範囲に記載の「外側磁気ヨーク」に相当する。
【0048】
(第二実施形態)
図9〜
図13に示す本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態による操作入力装置200の反力発生部239は、第一VCM239x及び第二VCM239yと、可動ヨーク251及び二つの固定ヨーク271,272を含む磁路形成体266等とによって構成されている。第一VCM239xは、第一コイル241及び二つの磁石261,262を有している。第二VCM239yは、第二コイル242及び二つの磁石263,264を有している。
【0049】
図9〜
図11に示す各コイル241,242は、第一実施形態の各コイル41,42(
図3参照)に相当する構成である。各コイル241,242のそれぞれは、第一実施形態と同様に、収容室241a,242a、上側コイル側面241u,242u、及び下側コイル側面241d,242dを形成している。各収容室241a,242aには、各磁石261〜264及び可動ヨーク251が収容されている。各上側コイル側面241u,242uは、固定ヨーク271に取り付けられている。各下側コイル側面241d,242dは、固定ヨーク272に取り付けられている。
【0050】
四つの磁石261〜264は、第一実施形態の各磁石61〜64(
図3参照)に相当する構成であり、取付面269及び着磁面268を形成している。各取付面269は、長辺をy軸に沿わせた姿勢にて、可動ヨーク251に取り付けられている。磁石261,262は、第一コイル241の収容室241a内に収容され、可動ヨーク251をz軸方向の両側から挟むよう配置されている。磁石263,264は、第二コイル242の収容室242a内に収容され、可動ヨーク251をz軸方向の両側から挟むよう配置されている。
【0051】
可動ヨーク251は、各コイル241,242及び各固定ヨーク271,272から離間した状態で、ノブベース74によって吊持されている。可動ヨーク251には、平板状に形成された二つの磁石側ヨーク部252,253、及び磁石側ヨーク部252,253を互いに連結する連結部254が設けられている。
【0052】
一方の磁石側ヨーク部(以下、「第一磁石側ヨーク部」)252は、第一コイル241の収容室241aに挿入されている。収容室241aに収容された第一磁石側ヨーク部252の両面には、第一保持面252a,252bが形成されている。第一磁石側ヨーク部252は、一方の第一保持面252aによって磁石261の取付面269を保持し、他方の第一保持面252bによって磁石262の取付面269を保持している。
【0053】
他方の磁石側ヨーク部(以下、「第二磁石側ヨーク部」)253は、第二コイル242の収容室242aに挿入されている。収容室242aに収容された第二磁石側ヨーク部253の両面には、第二保持面253a,253bが形成されている。第二磁石側ヨーク部253は、一方の第二保持面253aによって磁石263の取付面269を保持し、他方の第二保持面253bによって磁石264の取付面269を保持している。
【0054】
連結部254は、各コイル241,242に沿ってL字状に屈曲している。連結部254と各コイル241,242との間には、操作ノブ73の最大ストローク量に応じた隙間が設けられている。連結部254が二つの磁石側ヨーク部252,253を連結することにより、第一コイル241の収容室241aから、第二コイル242の収容室242aまで延伸する可動ヨーク251が形成されている。
【0055】
各固定ヨーク271,272は、共に長方形状の平板材によって形成されており、互いに実質同一の形状とされている。各固定ヨーク271,272は、二つのコイル241,242をz軸方向の両側から挟持しつつ、対向配置されており、且つ、固定部50に固定されている。固定ヨーク271,272のそれぞれには、第一対向面271a,272a、第二対向面271b,272b、及び開口部271c,272cが形成されている。二つの第一対向面271a,272aは、収容室241a内に配置された各磁石261,262と共に第一コイル241を内外の両側から挟むよう、これら磁石261,262の各着磁面268と個々に対向配置されている。同様に、二つの第二対向面271b,272bは、収容室242a内に配置された各磁石263,264と共に第二コイル242を内外の両側から挟むよう、これら磁石263,264の各着磁面268と個々に対向配置されている。開口部271c,272cは、y軸方向を長手とする矩形状に形成され、各固定ヨーク271,272を板厚方向に貫通している。開口部271cは、ノブベース74のうちで可動ヨーク251を保持する部位(図示しない)を通過させる。
【0056】
以上の可動ヨーク251及び二つの固定ヨーク271,272等により、
図12及び
図13に示す反力発生部239の磁気回路265が形成されている。
図12に示すように、第一VCM239xにおいて、着磁面268を同一の磁極とされた二つの磁石261,262の発生させる磁束は、互いに反対方向となる。故に、各第一保持面252a,252bから、第一コイル241をz軸方向に貫通しつつ、各第一対向面271a,272aに向かう磁束が生じる。これらの磁束は、各第一対向面271a,272aから各固定ヨーク271,272に入り、各固定ヨーク271,272のそれぞれにおいて、第一対向面271a,272aから
図13に示す第二対向面271b,272bに向う。
【0057】
さらに、第二VCM239yにおいて、着磁面268を同一の磁極とされた二つの磁石263,264の発生させる磁束は、互いに対向方向となる。故に、各第二対向面271b,272bから、第二コイル242をz軸方向に貫通しつつ、各第二保持面253a,253bに向かう磁束が生じる。以上により、各固定ヨーク271,272によって誘導された磁束は、各第二保持面253a,253bから第二磁石側ヨーク部253に入り、連結部254を通過して、
図12に示す磁石側ヨーク部252へと向かう。
【0058】
以上により、
図12,
図13に示す反力発生部239では、各磁石261,262の発生磁束は、第一VCM239xの第一コイル241を通過するだけでなく、磁気回路265によって導かれることで、第二VCM239yの第二コイル242を通過する。同様に、各磁石263,264の発生磁束は、第二コイル242を通過するだけでなく、磁気回路265によって導かれることにより、第一VCM239xの第一コイル241を通過する。よって、各第一対向面271a,272aと各第一保持面252a,252bとの間の磁束密度、及び、各第二対向面271b,272bと各第二保持面253a,253bとの間の磁束密度は共に、各VCMの磁気回路を個別に形成した形態と比較して、高くなる。こうして、各コイル241,242をz軸方向に貫通する磁束密度が向上することにより、第一VCM239xにて発生可能な電磁力EMF_x、及び第二VCM239yにて発生可能な電磁力EMF_yは、共に増加する。したがって、第二実施形態においても、各磁石261〜264の形成材料の使用量を抑えつつ、各操作反力RF_x,RF_yを高めることができる。
【0059】
尚、第二実施形態において、操作入力装置200が特許請求の範囲に記載の「入力装置」に相当し、第一VCM239xが特許請求の範囲に記載の「第一アクチュエータ」に相当し、第二VCM239yが特許請求の範囲に記載の「第二アクチュエータ」に相当する。また、収容室241a,242aが特許請求の範囲に記載の「内周空間」に相当し、磁石261,262が特許請求の範囲に記載の「第一磁極形成部」に相当し、磁石263,264が特許請求の範囲に記載の「第二磁極形成部」に相当する。そして、可動ヨーク251が特許請求の範囲に記載の「内側磁気ヨーク」に相当し、固定ヨーク271,272が特許請求の範囲に記載の「外側磁気ヨーク」に相当する。
【0060】
(第三実施形態)
図14,
図15に示す本発明の第三実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第三実施形態による操作入力装置300の反力発生部339では、第一コイル41及び第二コイル42が、可動部70と共に移動可能である。反力発生部339は、第一VCM39x及び第二VCM39yと、可動ヨーク351及び二つの固定ヨーク371,372を含む磁路形成体366等とによって構成されている。
【0061】
可動ヨーク351は、第二実施形態の可動ヨーク251(
図9参照)と同様に、各コイル41,42及び各固定ヨーク371,372から離間した状態で、ノブベース74によって吊持されている。可動ヨーク351には、第一コイル側ヨーク部352、第二コイル側ヨーク部353、及び連結部354が設けられている。コイル側ヨーク部352,353及び連結部354は、第一実施形態のコイル側ヨーク部52,53及び連結部54(それぞれ
図3等参照)と実質同一である。第一コイル側ヨーク部352の両面には、第一対向面352aが形成されている。第二コイル側ヨーク部353の両面には、第二対向面353aが形成されている。
【0062】
各固定ヨーク371,372は、第二実施形態の各固定ヨーク271,272(
図9参照)と同様に、固定部50(
図9参照)に固定されている。各固定ヨーク371,372のそれぞれには、第一保持面371a,372a及び第二保持面371b,372bが形成されている。固定ヨーク371は、保持面371a,371bによって磁石61,63をそれぞれ保持している。固定ヨーク372は、保持面372a,372bによって磁石62,64をそれぞれ保持している。
【0063】
ここまで説明した第三実施形態でも、第一実施形態と同様に、二つのVCM39x,39yを巡る磁気回路365が形成される。故に、各コイル41,42をz軸方向に貫通する磁束密度が向上する。以上により、第一VCM39xにて発生可能な電磁力EMF_x、及び第二VCM39yにて発生可能な電磁力EMF_yは、共に増加する。したがって、各磁石61〜64の形成材料の使用量を抑えつつ、各操作反力RF_x,RF_yを高めることができる。
【0064】
尚、第三実施形態において、操作入力装置300が特許請求の範囲に記載の「入力装置」に相当し、可動ヨーク351が特許請求の範囲に記載の「内側磁気ヨーク」に相当し、固定ヨーク371,372が特許請求の範囲に記載の「外側磁気ヨーク」に相当する。
【0065】
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0066】
上記第二実施形態の変形例1では、第二実施形態と同様に、二つのコイルの各収容室に磁石が二つずつ収容されている。四つの磁石は、二つの収容室の一方から他方まで延伸する固定ヨークに保持されており、固定体に固定されている。二つのコイルは、ノブベースに吊り下げられた状態で保持された二枚の可動ヨークによってz軸方向の両側から挟持されており、可動部と共に移動可能である。以上の変形例1のように、コイル内に磁石が配置される形態においても、第三実施形態のように、コイルを可動部と共に移動可能にできる。
【0067】
上記実施形態では、一つのコイルと二つの磁石とを組み合わせることにより、一つのアクチュエータが構成されていたが、一つのアクチュエータにおいてコイルと対向配置される磁石は、一つであってもよく、又は三つ以上であってもよい。さらに上記実施形態では、一つの磁石が一つの「磁極形成部」に相当していたが、複数の磁石を組み合わせることによって一つの「磁極形成部」に相当する構成が形成されてもよい。
【0068】
上記実施形態における各磁石は、矩形板状に形成され、コイルと対向配置される着磁面の裏側を取付面とされていた。しかし、各磁石の形状、及び各磁石を固定ヨーク又は可動ヨークに保持させる保持構造は、適宜変更可能である。さらに、磁石として用いられる材料も適宜変更可能である。さらに、ヨーク自体に着磁がなされることにより、「磁路形成体」としての固定ヨーク及び可動ヨークが、「磁極形成部」を一体で形成可能である。
【0069】
上記実施形態では、各コイルの巻回軸線方向は、操作平面に沿うように寝かされていたが、各コイルの姿勢は、適宜変更可能である。例えば、各コイルは、巻回軸線方向をz軸に沿わせた姿勢にて配置されていてもよく、又は、巻回軸線方向を操作平面に対して傾斜させた姿勢にて配置されていてもよい。
【0070】
上記実施形態の反力発生部に設けられた二つのアクチュエータは、一方の磁石が他方のコイルと対向せず、個々に独立した構成となっていた。反力発生部は、こうした構成のアクチュエータを三つ以上備えることができる。例えば、四つのアクチュエータを備える反力発生部では、四つのコイルが十字配置されていてもよい。以上の構成においても、複数のアクチュエータの磁気回路を繋げることにより、個々のアクチュエータにて発生可能な電磁力は、いっそう向上可能となる。
【0071】
また、第一アクチュエータによる電磁力の向きである「第一方向」は、x軸方向でなくてもよく、第二アクチュエータによる電磁力の向きである「第二方向」は、y軸方向でなくてもよい。これら「第一方向」及び「第二方向」は、互いに交差していれば、x軸及びy軸に対して傾斜した方向であってもよい。
【0072】
上記実施形態の説明に用いた例えば
図6及び
図7等において、各コイルの巻線は、一層のみの図示とされていたが、実際のコイルにおける巻線の巻き数は、要求される電磁力の強さに応じて適宜変更可能である。また、コイルの巻線は、筒状に形成されたボビン等に巻回しされていてもよい。
【0073】
上記第一実施形態では、一方のコイルの収容室から他方のコイルの収容室まで延伸する形状の「内側磁気ヨーク」が、一つの部材によって形成されていた。しかし、複数の部材を組み合わせることにより、「内側磁気ヨーク」が形成されていてもよい。同様に、「外側磁気ヨーク」の形状及び構成等も、適宜変更可能である。
【0074】
上記実施形態の変形例である表示システムは、ナビゲーション装置20に替えて、又はナビゲーション装置20と共に、
図2に示すヘッドアップディスプレイ装置120(参照)を備えている。ヘッドアップディスプレイ装置120は、運転席の前方において車両のインスツルメントパネル内に収容されており、ウィンドウシールド内に規定された投影領域122に向けて画像を投影することにより、当該画像の虚像表示を行う。運転席に着座した操作者は、投影領域122を通して、所定の機能が関連付けられた複数のアイコン、及び任意のアイコンを選択するためのポインタ80等が視認可能となる。ポインタ80は、表示画面22に表示された場合と同様に、操作ノブ73への水平方向の操作入力により、操作力の入力方向に対応した方向に投影領域122内を移動可能である。
【0075】
上記実施形態では、ナビゲーション装置等を操作するための遠隔操作デバイスとして、センターコンソールに設置された操作入力装置に、本発明を適用した例を説明した。しかし本発明は、センターコンソールに設置されたシフトレバー等のセレクタ、及びステアリングに設けられたステアリングスイッチ等に、適用可能である。さらに、インスツルメントパネル、ドア等に設けられたアームレスト、及び後部座席の近傍等に設けられた種々の車両の機能操作デバイスにも、本発明は適用可能である。そしてさらに、車両用に限らず、各種輸送用機器及び各種情報端末等に用いられる操作系全般に、本発明を適用された操作入力装置は、採用可能である。