(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケース内の電極組立体と、前記電極組立体と接続された導電部材と、前記導電部材と接続され、前記ケースの壁部の挿通孔よりケース外へ突出する極柱部、及びケースの内側に位置し、かつ前記極柱部の端部と一体の基部を有する電極端子と、前記極柱部の外周面の雄ねじ部に螺合されたナットと、前記壁部と前記基部とを絶縁する端子カバーと、を有する蓄電装置であって、
前記蓄電装置同士の接続のため、前記極柱部に導通部材を接続する際には、前記極柱部が備える雌ねじ部に接続部材が螺合されるとともに、前記ナットを前記雄ねじ部に螺合する際には前記電極端子を回り止めする治具が用いられ、
前記電極端子は、前記治具が係合する治具用係合部を有し、
前記端子カバーは、前記基部に係合する第1係合部及び前記壁部に係合する第2係合部を有し、
前記壁部は、前記第2係合部が係合する壁部用係合部を有し、
前記壁部用係合部及び前記第2係合部は傾斜面を有し、前記壁部用係合部の傾斜面は、前記治具と治具用係合部との間のクリアランスの範囲内で前記電極端子が回転しても壁部用係合部と第2係合部とが傾斜面同士で当接した状態を維持できる範囲に形成されている蓄電装置。
ケース内の電極組立体と、前記電極組立体と接続された導電部材と、前記導電部材と接続され、前記ケースの壁部の挿通孔よりケース外へ突出する極柱部、及びケースの内側に位置し、かつ前記極柱部の端部と一体の基部を有する電極端子と、前記極柱部の外周面の雄ねじ部に螺合されたナットと、前記壁部と前記基部とを絶縁する端子カバーと、を有する蓄電装置であって、
前記蓄電装置同士の接続のため、前記極柱部に導通部材を接続する際には、前記極柱部が備える雌ねじ部に接続部材が螺合されるとともに、前記ナットを前記雄ねじ部に螺合する際には前記電極端子を回り止めする治具が用いられ、
前記電極端子は、前記治具が係合する治具用係合部を有し、
前記端子カバーは、前記基部に係合する第1係合部及び前記壁部に係合する第2係合部を有し、
前記壁部は、前記第2係合部が係合する壁部用係合部を有し、
前記壁部及び前記端子カバーは前記基部と前記ナットの間に挟持され、前記壁部用係合部における前記壁部の厚み方向に沿う長さは、前記厚み方向に沿った前記壁部の外面から前記極柱部の先端までの長さの公差より長く設定されている蓄電装置。
ケース内の電極組立体と、前記電極組立体と接続された導電部材と、前記導電部材と接続され、前記ケースの壁部の挿通孔よりケース外へ突出する極柱部、及びケースの内側に位置し、かつ前記極柱部の端部と一体の基部を有する電極端子と、前記極柱部の外周面の雄ねじ部に螺合されたナットと、前記壁部と前記基部とを絶縁する端子カバーと、を有する蓄電装置であって、
前記蓄電装置同士の接続のため、前記極柱部に導通部材を接続する際には、前記極柱部が備える雌ねじ部に接続部材が螺合されるとともに、前記ナットを前記雄ねじ部に螺合する際には前記電極端子を回り止めする治具が用いられ、
前記電極端子は、前記治具が係合する治具用係合部を有し、
前記端子カバーは、前記基部に係合する第1係合部及び前記壁部に係合する第2係合部を有し、
前記壁部は、前記第2係合部が係合する壁部用係合部を有し、
前記壁部用係合部は、前記壁部の長手方向に延びる状態で設けられている蓄電装置。
前記壁部用係合部及び前記第2係合部は傾斜面を有し、前記壁部用係合部の傾斜面は、前記治具と治具用係合部との間のクリアランスの範囲内で前記電極端子が回転しても壁部用係合部と第2係合部とが傾斜面同士で当接した状態を維持できる範囲に形成されている請求項3に記載の蓄電装置。
前記壁部及び前記端子カバーは前記基部と前記ナットの間に挟持され、前記壁部用係合部における前記壁部の厚み方向に沿う長さは、前記厚み方向に沿った前記壁部の外面から前記極柱部の先端までの長さの公差より長く設定されている請求項3又は請求項4に記載の蓄電装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した一実施形態を
図1〜
図9にしたがって説明する。
図1に示すように、二次電池10において、金属製のケース12には電極組立体20及び電解液(図示せず)が収容されている。また、ケース12は、開口部13dを有する直方体状のケース本体13と、ケース本体13の開口部13dを閉塞する矩形平板状の蓋14とを備える。ケース本体13と蓋14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)であり、ケース本体13と蓋14はレーザー溶接によって接合されている。また、本実施形態の二次電池10は、その外周が角型をなす角型電池であり、リチウムイオン電池である。蓋14は、長手方向の両側部に円形状の挿通孔14bを備える。また、蓋14において、ケース本体13の内側に臨む面を内面14aとし、ケース12の外側に露出する面を外面14cとする。
【0022】
図2に示すように、壁部としての蓋14は、挿通孔14bを囲む略円状の凹部15を備え、凹部15は蓋14の内面14aから凹んでいる。凹部15の外縁部のうち、蓋14の長手方向へ直線状に延びる一対の外縁部は壁部用係合部15aである。各壁部用係合部15aは、凹部15から蓋14の各長辺に向かう程、凹部15の開口幅を拡大させる傾斜面である。
【0023】
図1に示すように、電極組立体20は、正極電極21、負極電極22、及び正極電極21と負極電極22とを絶縁するセパレータを有する。正極電極21は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を備える。負極電極22は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を備える。そして、電極組立体20は、複数の正極電極21と複数の負極電極22が交互に積層されるとともに、両電極の間にセパレータが介在された積層構造である。
【0024】
正極電極21は、一辺(長辺)の一部に正極集電タブ31を有し、負極電極22は、一辺(長辺)の一部に負極集電タブ32を有する。複数の正極電極21は、それぞれの正極集電タブ31が積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。同様に、複数の負極電極22は、それぞれの負極集電タブ32が、正極集電タブ31と重ならないように積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。
【0025】
電極組立体20は、正極集電タブ31を集めてなる正極タブ群45を備える。この正極タブ群45が、導電部材としての正極導電部材33と溶接され、電極組立体20と正極導電部材33が接続されている。また、正極導電部材33には、電極端子としての正極端子41が接合されている。
【0026】
また、電極組立体20は、負極集電タブ32を集めてなる負極タブ群46を備える。この負極タブ群46が、導電部材としての負極導電部材37と溶接され、電極組立体20と負極導電部材37が接続されている。また、負極導電部材37には、電極端子としての負極端子42が接合されている。
【0027】
図2、
図3、及び
図5(a)に示すように、正極導電部材33は、矩形板を屈曲させて形成されている。正極導電部材33は、屈曲部よりも長手方向の一方側に矩形状のタブ溶接片33aを備えるとともに、屈曲部よりも長手方向の他方側に矩形状の端子溶接片33bを備える。端子溶接片33bには、円形状の溶接用孔33cが形成されている。正極導電部材33の端子溶接片33bには正極端子41が溶接されている。
【0028】
正極端子41は、基部として板状の正極基部43を有する。また、正極端子41は、正極基部43の中央から立設された極柱部としての円筒状の正極柱部44を有するとともに、この正極柱部44の外周面に雄ねじ部44aを有する。正極基部43はケース12の内側に位置し、かつ正極柱部44の軸方向の一端部と一体である。正極基部43は、正極柱部44を取り囲み、かつ蓋14の内面14aに対向するシール座面43aと、シール座面43aを取り囲み、かつシール座面43aより低い位置に座面43bを有する。また、正極基部43は、厚み方向においてシール座面43aと反対側の面に円筒状の溶接片43cを有する。そして、正極導電部材33の溶接用孔33cに溶接片43cが挿入された状態で溶接片43cの先端が端子溶接片33bにおける溶接用孔33cの周囲に溶接され、正極端子41と正極導電部材33が接合されている。
【0029】
正極基部43は、その外周面に係止面43dを四箇所有し、四つの係止面43dは正極基部43の周方向に等間隔おきに設けられている。各係止面43dは平坦面状である。正極基部43には、樹脂製及び円筒状の正極端子カバー50が装着されている。正極端子カバー50は、正極基部43の外周面のうち、座面43b寄りを覆う円筒状の絶縁筒部51と、絶縁筒部51の軸方向一端に設けられた円環状の蓋側絶縁部52とを有する。
【0030】
図2に示すように、絶縁筒部51は、その内周面に第1係合部51bを四箇所に有する。第1係合部51bは、絶縁筒部51の周方向へ等間隔おきに設けられ、平坦面状である。各第1係合部51bは正極基部43の係止面43dに係合し、正極端子カバー50の周方向に沿った回り止めをする。
【0031】
図3及び
図5(a)に示すように、蓋側絶縁部52は、蓋側絶縁部52の内周縁に沿って外方へ突出する係合突部52aを有し、この係合突部52aは円環状である。蓋側絶縁部52は、係合突部52aの外周面の四箇所に第2係合部52bを有する。第2係合部52bは、係合突部52aの周方向へ等間隔おきに設けられている。また、第2係合部52bは、係合突部52aの先端面から基端に向けて下り傾斜する傾斜面状である。
【0032】
そして、蓋側絶縁部52は、座面43bに支持され、正極基部43の座面43bと、蓋14の内面14aとの間を絶縁するとともに、蓋側絶縁部52が正極柱部44の根本全周及びシール座面43aを取り囲んでいる。また、蓋側絶縁部52は、シール座面43a上に支持されたOリング56を取り囲んでいる。
【0033】
図5(b)に示すように、座面43bからのシール座面43aの突出高さH1と、押し潰される前のOリング56の直径Rとの和は、蓋側絶縁部52の厚み方向に沿った長さL1より長く設定されている。このため、座面43bに蓋側絶縁部52が支持された状態では、Oリング56は、係合突部52aの先端より突出し、その突出した部分が蓋14の内面14aに押圧されるとともに、Oリング56の潰し代となる。
【0034】
ここで、
図5(a)に示すように、正極柱部44において、正極基部43からの突出方向の先端に位置する面を先端面44fとする。そして、蓋14の凹部15において、蓋14の厚み方向に沿った内面14aからの長さを深さFとすると、この深さFは、蓋14の外面14cから正極柱部44の先端面44fまでの長さの公差より長く設定されている。外面14cから正極柱部44の先端面44fまでの長さの公差とは、蓋側絶縁部52の係合突部52aの厚み、座面43bから先端面44fまでの長さ、後述する外部カバー19のフランジ部25の厚み、蓋14の厚みのそれぞれの公差の和からなる。
【0035】
図2、
図3及び
図5(a)に示すように、正極基部43において、厚み方向にシール座面43aと反対側の面には、組立体側絶縁板49が装着されている。組立体側絶縁板49は、正極基部43を覆う四角板状であり、四箇所に掛止爪49aを有する。掛止爪49aは、正極基部43と端子溶接片33bが溶接された状態で、端子溶接片33bにおいて、正極基部43の外周面よりも突出した部位に掛止する。また、組立体側絶縁板49は、正極基部43に端子溶接片33bが溶接された状態で、溶接片43cが挿入される挿入穴49bを有する。組立体側絶縁板49は、正極基部43と電極組立体20を絶縁する。
【0036】
そして、正極端子カバー50における蓋側絶縁部52により、蓋14と正極端子41が電気的に絶縁されている。また、絶縁筒部51により、ケース本体13と、正極端子41とが電気的に絶縁されている。さらに、組立体側絶縁板49により、電極組立体20と正極端子41とが電気的に絶縁されている。
【0037】
図2、
図3、及び
図4(a)に示すように、負極導電部材37は、板材を屈曲させて形成されている。負極導電部材37は、屈曲部よりも長手方向の一方側に矩形状のタブ溶接片37aを備えるとともに、屈曲部よりも長手方向の他方側に円形状の端子溶接片37bを備える。端子溶接片37bは、中央部に円環状の破断溝37cを備えるとともに、破断溝37cで囲まれた第1接点部37dを備える。なお、負極導電部材37の屈曲部は、タブ溶接片37a及び端子溶接片37bよりも細い。端子溶接片37bには、電極端子としての負極端子42が溶接されている。
【0038】
図4(a)に示すように、負極端子42は、基部としての円盤状の負極基部53を有する。また、負極端子42は、負極基部53の中央から立設された極柱部としての円筒状の負極柱部54を有するとともに、この負極柱部54の外周面に雄ねじ部54aを有する。負極基部53は、負極柱部54を取り囲み、かつ蓋14の内面14aに対向するシール座面53aと、シール座面53aを取り囲み、かつシール座面53aより低い位置に座面53bを有する。また、負極基部53は、厚み方向においてシール座面53aと反対側の面に逃がし凹部53cを有する。
【0039】
図3に示すように、負極基部53は、その外周面に係止面53dを四箇所有し、四つの係止面53dは負極基部53の周方向に等間隔おきに設けられている。各係止面53dは平坦面状である。負極基部53には、樹脂製及び円筒状の負極端子カバー58が装着されている。負極端子カバー58は、負極基部53の外周面を覆う円筒状の絶縁筒部59と、絶縁筒部59の軸方向一端に設けられた円環状の蓋側絶縁部60とを有する。
【0040】
図2に示すように、絶縁筒部59は、その内周面に第1係合部59bを四箇所に有する。第1係合部59bは、絶縁筒部59の周方向へ等間隔おきに設けられ、平坦面状である。各第1係合部59bは、負極基部53の係止面53dに係合し、負極端子カバー58の周方向への回り止めをする。
【0041】
図3及び
図4(a)に示すように、蓋側絶縁部60は、蓋側絶縁部60の内周縁に沿って係合突部60aを有し、この係合突部60aの外周面の四箇所に第2係合部60bを有する。第2係合部60bは、係合突部60aの周方向へ等間隔おきに設けられている。また、第2係合部60bは、係合突部60aの先端面から基端に向けて下り傾斜する傾斜面状である。
【0042】
そして、蓋側絶縁部60は、負極基部53の座面53bに支持され、負極基部53と蓋14の内面14aとの間を絶縁するとともに、蓋側絶縁部60が負極柱部54の根本全周及びシール座面53aを取り囲んでいる。また、蓋側絶縁部60は、シール座面53a上に支持されたOリング56を取り囲んでいる。
【0043】
ここで、
図4(b)に示すように、座面53bからのシール座面53aの突出高さH2と、押し潰される前のOリング56の直径Rとの和は、蓋側絶縁部60の厚み方向に沿った長さL2より長く設定されている。このため、座面53bに蓋側絶縁部60が支持された状態では、Oリング56は、係合突部60aの先端より突出し、その突出した部分が蓋14の内面14aに押圧されるとともに、Oリング56の潰し代となる。
【0044】
図4(a)に示すように、負極柱部54において、負極基部53からの突出方向の先端に位置する面を先端面54fとする。そして、凹部15の深さFは、蓋14の外面14cから負極柱部54の先端面54fまでの長さの公差より長く設定されている。外面14cから負極柱部54の先端面54fまでの長さの公差とは、蓋側絶縁部60の係合突部60aの厚み、座面53bから先端面54fまでの長さ、後述する外部カバー19のフランジ部25の厚み、蓋14の厚みのそれぞれの公差の和からなる。
【0045】
また、負極端子42には、電流遮断装置62が一体化されている。電流遮断装置62は、電極組立体20と負極端子42とを電気的に接続する。また、電流遮断装置62は、ケース12の内圧が所定レベルを超えて上昇したときに、電極組立体20と負極端子42との直列な通電経路を遮断する。なお、「所定レベルの内圧」とは、二次電池10が過充電(過電圧)状態や過昇温状態(活物質の熱暴走温度)となったときのケース12の内圧を意味する。また、「所定レベルの内圧」は、二次電池10の容量、出力電圧等の条件により設定される。
【0046】
電流遮断装置62は、ケース12の内部に配置されている。電流遮断装置62は、電極組立体20側から蓋14に向けて配置された、支持部材66、変形板63、負極導電部材37の端子溶接片37b、シール部材67、絶縁リング68、及び接点板65を備える。また、負極端子カバー58と、負極基部53と、シール部材67と、絶縁リング68と、変形板63と、端子溶接片37bと、支持部材66とは、金属製のカシメ部材69によって一体化されている。
【0047】
変形板63は、金属製及び円板状のダイアフラムであり、変形板63の外周部は、端子溶接片37bに溶接によって接合されている。変形板63は、ケース12内から負極端子42内へのガスの流通を阻止する。また、変形板63は、端子溶接片37bへの溶接部に囲まれた部位に受圧部63aを備え、受圧部63aは、ケース12の内圧を受ける。さらに、変形板63は、受圧部63aの中央部に突起63bを備え、この突起63bは、端子溶接片37bの第1接点部37dに向けて突出している。ケース12の内圧が上述の所定レベルの内圧未満の状態では、変形板63は端子溶接片37bから離れる方向へ膨らむ状態にあり、突起63bは端子溶接片37bから離れている。
【0048】
接点板65は、導電性の金属製及び円板状のダイアフラムであり、接点板65の外周部は、電流遮断装置62の組み付けに伴い、負極基部53と絶縁リング68との間に挟持されている。接点板65は、中央部に第2接点部65aを備え、第2接点部65aは、負極導電部材37の第1接点部37dに接触している。
【0049】
絶縁リング68は、接点板65の外周部と端子溶接片37bとの間に介在し、絶縁リング68によって接点板65と端子溶接片37bは、電気的に絶縁されている。接点板65には連通孔65bが設けられている。
【0050】
支持部材66は、例えば樹脂製であり、平面視リング状であるとともに、変形板63を電極組立体20側から支持している。支持部材66は、中央部にガス孔66aを有し、ケース12内のガスを電流遮断装置62内に導入する。
【0051】
このように構成された電流遮断装置62では、ケース12の内圧が所定レベルを超えて上昇すると、支持部材66のガス孔66aから電流遮断装置62内にガスが導入される。
図4(a)の2点鎖線に示すように、変形板63がケース12の内圧を受けて端子溶接片37bに向けて変形する。すると、突起63bが端子溶接片37bに向けて移動し、端子溶接片37bの第1接点部37d、及び接点板65の第2接点部65aに衝撃を与える。その結果、端子溶接片37bが破断溝37cから破断し、第1接点部37dが端子溶接片37bから分離し、電極組立体20と負極端子42との直列な通電経路を遮断する。また、接点板65の第2接点部65aは、負極基部53の逃がし凹部53cに入り込む。
【0052】
図3に示すように、正極柱部44及び負極柱部54は、先端面44f,54fから軸方向に沿って凹む治具用係合部57を備える。治具用係合部57は、正極柱部44及び負極柱部54の軸方向に沿った平面視で六角形状であり、軸方向に沿って先端面44f,54fから六角形状に凹んでいる。そして、治具用係合部57は、6つ内側面から形成される6つの係合面57aを等間隔おきに備える。
【0053】
図8に示すように、治具用係合部57には、金属製の治具48が係合可能である。治具48は、軸方向全体に亘って断面が六角形の棒状であり、6つの側面から形成される6つの係合面48aを備える。
【0054】
そして、治具48を治具用係合部57に挿入すると、治具用係合部57の6つの係合面57aと、治具48の6つの係合面48aが係合可能となり、係合箇所が6箇所形成されるようになっている。また、治具48は、係合面48aを治具用係合部57の係合面57aに係合させた状態で、先端面44f,54fから突出する長さを有する。なお、治具48が治具用係合部57に挿入された状態では、治具48の外面と、治具用係合部57の内面との間にはクリアランスが形成され、正極端子41及び負極端子42は、クリアランスの範囲内ではがたつき(回転)可能である。
【0055】
図4(a)及び
図5(a)に示すように、正極端子41は、治具用係合部57より軸方向奥側に雌ねじ部44bを有し、負極端子42は、治具用係合部57より軸方向奥側には雌ねじ部54bを有する。
【0056】
上記構成の正極端子41及び負極端子42において、正極柱部44及び負極柱部54は、蓋14の挿通孔14bよりケース12外へ突出している。ケース12外において、正極柱部44の雄ねじ部44a及び負極柱部54の雄ねじ部54aにはケース12の外方からナット55が螺合され、正極端子41及び負極端子42が蓋14に締結されている。
【0057】
また、蓋14の挿通孔14bの内周面と、正極柱部44又は負極柱部54の外周面とは、外部カバー19によって絶縁されている。外部カバー19は、円環状の筒状部24と、この筒状部24の軸方向の一端から径方向外方へ延設されたフランジ部25とを有する。筒状部24は、挿通孔14bの内周面と、正極柱部44又は負極柱部54の外周面との間に介装されている。フランジ部25は、蓋14の外面14cにおいて挿通孔14bの周囲に設けられている。
【0058】
二次電池10では、蓋14の外面14cにおける挿通孔14bの周縁とナット55の蓋14側の端面との間には外部カバー19のフランジ部25が挟持されており、このフランジ部25によってナット55と蓋14が絶縁されている。また、ナット55が正極柱部44及び負極柱部54に螺合されることによって、ナット55と正極基部43及び負極基部53との間に、フランジ部25、蓋14、Oリング56、蓋側絶縁部52,60が狭持されている。この締結状態では、Oリング56は、圧縮状態で蓋14の内面14aと、シール座面43a,53aとに密接し、挿通孔14bの周囲をシールしている。
【0059】
図1及び
図9に示すように、二次電池10同士は、正極端子41が隣り合う二次電池10の負極端子42に、負極端子42が隣り合う二次電池10の正極端子41にそれぞれ導通部材70を介して接続される。導通部材70は、矩形板状であり、一対の挿通部70aを有する。この導通部材70は、ボルト状の接続部材71によって正極柱部44及び負極柱部54に固定されている。接続部材71は、雌ねじ部44b,54bに螺合する接続用雄ねじ部71aと、接続用雄ねじ部71aの軸方向一端の頭部71bとを有する。
【0060】
次に、二次電池10の製造方法について作用とともに説明する。
さて、
図5(a)に示すように、正極の端子溶接片33bに正極端子41を溶接する。次に、タブ溶接片33aを正極タブ群45に溶接する。続いて、正極端子41のシール座面43aにOリング56を載せるとともに、Oリング56を取り囲むように正極基部43に正極端子カバー50を装着する。このとき、正極基部43の係止面43dに正極端子カバー50の第1係合部51bを係合させ、正極端子カバー50を回り止めした状態とする。
【0061】
次に、端子溶接片33bにおいて、正極基部43の外周面より突出した部位に、組立体側絶縁板49の掛止爪49aを掛止させ、正極基部43に組立体側絶縁板49を装着する。
【0062】
次に、
図4(a)に示すように、負極の端子溶接片37bに負極端子42を溶接するとともに、負極基部53に電流遮断装置62を組み付けつつ、負極端子カバー58を負極基部53に装着する。このとき、負極基部53の係止面53dに負極端子カバー58の第1係合部59bを係合させ、負極端子カバー58を回り止めした状態とする。そして、負極基部53と、端子溶接片37bと、電流遮断装置62と、負極端子カバー58をカシメ部材69で一体化する。また、負極端子42のシール座面53aにOリング56を載せる。
【0063】
次に、
図6に示すように、正極端子カバー50の蓋側絶縁部52、及び負極端子カバー58の蓋側絶縁部60に蓋14を載せるとともに、一方の挿通孔14bに正極柱部44を挿通し、他方の挿通孔14bに負極柱部54を挿通する。さらに、挿通孔14bの内周面と正極柱部44との間、及び挿通孔14bの内周面と負極柱部54との間に外部カバー19を介装する。
【0064】
次に、
図7及び
図8に示すように、正極柱部44及び負極柱部54の治具用係合部57内に治具48を挿入し、治具48の係合面48aを治具用係合部57の係合面57aに係合させ、係合箇所を6箇所形成する。そして、両治具48を、工具Kで回り止めした状態で正極柱部44の雄ねじ部44a及び負極柱部54の雄ねじ部54aにナット55を螺合する。
【0065】
その結果、ナット55によって、正極端子41及び負極端子42が蓋14に締結される。次に、治具48を治具用係合部57から抜き取った後、電極組立体20をケース本体13内に収容するとともに、蓋14をケース本体13に接合し、ケース12を形成すると、二次電池10が組立てられる。
【0066】
図9に示すように、複数の二次電池10を接続する場合は、接続部材71の接続用雄ねじ部71aを導通部材70の挿通部70aに挿通し、その接続用雄ねじ部71aを各雌ねじ部44b,54bに螺合する。そして、頭部71bによって、導通部材70を各先端面44f,54fに向けて押圧するとともに、挿通部70aの周囲を各先端面44f,54fに押し付ける。すると、接続部材71によって導通部材70が正極端子41及び負極端子42に固定され、導通部材70によって、二次電池10同士が電気的に接続される。
【0067】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)治具用係合部57に治具48を係合させ、治具48を回り止めした状態で各雄ねじ部44a,54aにナット55を螺合する作業を行う。このため、ナット55の螺合の際、正極端子41及び負極端子42は、ナット55に連れ回りしようとするが、回り止めされた治具48に治具用係合部57が係合し、正極端子41及び負極端子42が回転すること(連れ回り)が抑制される。よって、正極端子41及び負極端子42の回り止めは、金属製の治具48と、正極端子41及び負極端子42の係合によって行われ、部品を損傷させずに回り止めを抑制することができる。
【0068】
また、正極端子カバー50は、第1係合部51bが正極基部43の係止面43dに係合して回り止めされ、負極端子カバー58は、第1係合部59bが負極基部53の係止面53dに係合して回り止めされている。そして、接続部材71を各雌ねじ部44b,54bに螺合する際、正極端子41及び負極端子42は接続部材71に連れ回りしようとするが、各端子カバー50,58の第2係合部52b,60bが蓋14の壁部用係合部15aに係合する。このため、各端子カバー50,58が回り止めされた正極端子41及び負極端子42の連れ回りが抑制される。よって、正極端子41及び負極端子42の回り止めは、複数箇所に形成される係合によって行われるため、係合する部品を損傷させずに回り止めを抑制することができる。
【0069】
(2)蓋14の壁部用係合部15aは傾斜面を有し、各第2係合部52b,60bも傾斜面を有する。このため、万一、第2係合部52b,60bに壁部用係合部15aが乗り上げてしまっても、ナット55の螺合によって蓋14が電極組立体20に向けて押圧されると、傾斜面によって蓋14を傾斜面に沿って電極組立体20に向けて移動するように案内することができる。よって、第2係合部52b,60bに壁部用係合部15aが乗り上げてしまったまま、正極端子41及び負極端子42が蓋14に締結されることを抑制できる。
【0070】
(3)壁部用係合部15aの傾斜面は、治具48と治具用係合部57との間のクリアランスの範囲内で正極端子41又は負極端子42が回転しても、壁部用係合部15aと各第2係合部52b,60bとの係合を維持できる範囲に形成されている。よって、ナット55を螺合する際、第2係合部52b,60bに壁部用係合部15aが乗り上げてしまっても、ナット55の螺合によって第2係合部52b,60bを凹部15内に収め、蓋14の誤組み付けを抑制することができる。
【0071】
(4)治具用係合部57は、平面視六角形状であり、6つの係合面57aを有する。また、治具48も断面六角形状であり、6つの係合面48aを有する。よって、治具用係合部57に治具48を係合させると係合箇所が6箇所形成される。したがって、ナット55の回転方向への力が係合箇所に作用しても、各係合箇所に発生する応力が分散され、各端子41,42の連れ回りを容易に抑制できる。
【0072】
(5)蓋14の凹部15の深さFは、蓋14の外面14cから各先端面44f,54fまでの長さの公差より長く設定されている。このため、第2係合部52b,60bに蓋14の内面14aが乗り上げてしまったとき、蓋14の外面14cは、上記公差の範囲を越えて正極端子41又は負極端子42の先端面44f,54fに近付く。このため、蓋14の外面14cと、各先端面44f,54fとの距離を測定した場合、距離が公差で生じる差異には収まらず、蓋14が第2係合部52b,60bに乗り上げたことを検出できる。
【0073】
(6)負極端子42は電流遮断装置62を一体に備え、電流遮断装置62を機能させるために負極導電部材37には破断溝37cが設けられている。本実施形態では、負極において、係止面53dと、第1係合部59bと、第2係合部60bと、壁部用係合部15aとの係合により、負極端子42の連れ回りを抑制できる。このため、負極端子42の連れ回りによって破断溝37cが破断してしまうことを抑制できる。
【0074】
(7)正極端子41は、円筒状の溶接片43cを端子溶接片33bに溶接して正極導電部材33と一体化されている。本実施形態では、正極において、係止面43dと、第1係合部51bと、第2係合部52bと、壁部用係合部15aとの係合により、正極端子41の連れ回りを抑制できる。このため、正極端子41の連れ回りによって溶接片43cが端子溶接片33bから破断してしまうことを抑制できる。
【0075】
(8)蓋14の壁部用係合部15aは、蓋14の長手方向に延びる状態で設けられている。このため、ナット55の螺合時や、接続部材71の螺合時、壁部用係合部15aと第2係合部52b,60bとの係合による回り止めにより、タブ溶接片33a,37aが、ケース本体13の長側壁の内面に接触することを抑制できる。
【0076】
(9)各シール座面43a,53aは、各座面43b,53bよりも突出している。このため、各シール座面43aにOリング56を載せたとき、各座面43b,53bに支持された各係合突部52a,60aの先端よりOリング56が突出する。よって、Oリング56に潰し代を確保し、Oリング56により挿通孔14bをシールできる。
【0077】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 負極端子42に電流遮断装置62が一体化されず、負極端子42は正極端子41と同じ構造であってもよい。
【0078】
○ 凹部15の深さFは、蓋14の外面14cから各極柱部44,54の先端面44f,54fまでの長さの公差と同じでもよい。
○ 治具48及び治具用係合部57は、互いに係合できれば、その形状は適宜変更してもよい。
【0079】
○ 壁部用係合部15aは傾斜面を有していなくてもよく、蓋14の内面14a及び外面14cに直交するように形成されていてもよい。又は、壁部用係合部15aは、蓋14の内面14a及び外面14cに直交する面を有し、かつ内面14aとの交差する部位が面取りされた形状やアール形状であってもよい。
【0080】
または、壁部用係合部15aは、傾斜面を有しているのではなく、緩やかに湾曲する面を有していてもよい。
この場合、第2係合部52b,60bは傾斜面を有していてもよいし、傾斜面を有していなくてもよい。例えば、係合突部52a,60aが、正極端子カバー50及び負極端子カバー58の軸方向に沿って延びる鉛直面を有し、かつ鉛直面に直交する係合突部52a,60aの先端面を有し、鉛直面と先端面とが交差する部位に面取り部やアール部を有していてもよい。
【0081】
○ 第1係合部51b,59b、及び第2係合部52b,60bの数は適宜変更してもよいし、壁部用係合部15aの数も適宜変更してもよい。
○ 壁部用係合部15aを蓋14の長手方向に延びるように形成したが、壁部用係合部15aを蓋14の短手方向に延びるように形成してもよい。
【0082】
○ 実施形態では、ケース12の壁部を蓋14に具体化したが、ケース本体13の側壁又は底壁をケース12の壁部としてもよい。
○ 電極組立体20を構成する正極電極21、及び負極電極22の枚数は適宜変更してもよい。
【0083】
○ ケース12の形状は、円柱状や、左右方向に扁平な楕円柱状に形成してもよい。
○ 本発明は、蓄電装置としてのニッケル水素二次電池や、電気二重層キャパシタとして具体化してもよい。