(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
以下の[A]〜[E]工程をこの順で有するゴム補強用炭素繊維コードの製造方法であって、[A]工程に用いる炭素繊維束の1mあたりの撚数が0〜0.5回であり、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスが、アルカリ触媒を固形分中に0〜0.02質量%含有するものであることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
[A]炭素繊維束に、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスを含有する第1処理液を付与し、第1処理液付着炭素繊維束とする工程、
[B]第1処理液付着炭素繊維束を熱処理し、第1処理炭素繊維束とする工程
[C]第1処理炭素繊維束に撚りを付与し、有撚第1処理炭素繊維束とする工程、
[D]有撚第1処理炭素繊維束にゴム成分と架橋剤を含む第2処理液を付与し、第2処理液付着炭素繊維束とする工程
[E]第2処理液付着炭素繊維束を張力付与下で熱処理し、ゴム補強用炭素繊維コードとする工程
前記レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスの、ホルムアルデヒドに対するレゾルシンのモル比[R/F]が1/0.5〜1.0である請求項1に記載のゴム補強用炭素繊維の製造方法。
前記ゴムラテックスが、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスおよびスチレン−ブタジエンゴムラテックスのいずれか、または、両者の混合物である請求項1または2に記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、伝動ベルトの芯線にはガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維などの繊維束にレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスをマトリックスとしたゴム補強用繊維コードが広く使用されてきた。一方これらの繊維に対し、炭素繊維は、引張強度、引張弾性率、耐水性、耐熱性が良好なことから、炭素繊維の繊維束を用いたゴム補強用繊維コードは、寸法安定性、耐水性、耐候性等に優れることが期待されている。しかし、炭素繊維の繊維束を用いたゴム補強用繊維コード(炭素繊維の繊維束を用いたゴム補強用繊維コードを、「ゴム補強用炭素繊維コード」と記す)においては、炭素繊維の単繊維同士の擦過によるコードの切断、コードとゴムとの界面剥離が生じやすく、耐疲労性に劣るといった問題があった。特にゴム補強用炭素繊維コードと伝動ベルトのゴムとの間の接着性が十分でない場合には、ゴム補強用炭素繊維コード表面の炭素繊維が伝動ベルトのゴムとの擦過によってより破断しやすくなり、伝動ベルトの芯線としての十分な耐疲労性が得られないという問題があった。
【0003】
こうした問題を解決することを目的として例えば特許文献1には、炭素繊維束に、エポキシ化合物とニトリル基含有ブタジエンゴムラテックスを含む樹脂組成物を含浸処理する工程と、ニトリル基含有ブタジエンゴムを含むゴム配合物と、ポリイソシアネート化合物又はブロック化ポリイソシアネートを含む接着剤組成物を付着処理する工程とからなるゴム補強用炭素繊維コードの製造方法が提案されている。
【0004】
また、同目的に対して他にも繊維処理液の面から種種の検討が行われており、開示されている(例えば特許文献2〜5)。
【0005】
特許文献2には、ノボラック型のレゾルシノール−ホルムアルデヒド初期縮合物及びゴムラテックスを含んでなる樹脂組成物が、炭素繊維束に含浸されてなるゴム補強用コードが提案されている。
【0006】
特許文献3には、無撚りの原糸にフィルム化したときに特定の弾性率となるRFL含有処理液を付与し、過剰に高い剛性をもたらすことなく熱処理する方法が提案されている。
【0007】
特許文献4には炭素繊維束を、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスおよびベンゼン環を複数個有するクロロフェノール化合物を含有する接着剤にて処理する方法が提案されている。
【0008】
特許文献5には炭素繊維束を、炭素繊維束を、ウレタン樹脂を主成分とする第1浴液にて処理し、次いで多核クロロフェノール化合物を含有するRFL系接着剤からなる第2浴液にて処理する方法が提案されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の製造方法は、以下の[A]〜[E]工程をこの順で有するゴム補強用炭素繊維コードの製造方法であって、[A]工程に用いる炭素繊維束の1mあたりの撚数が0〜0.5回であり、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスが、アルカリ触媒を0〜0.02質量%含有するものであることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コードの製造方法である。
[A]炭素繊維束に、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスを含有する第1処理液を付与し、第1処理液付着炭素繊維束とする工程、
[B]第1処理液付着炭素繊維束を熱処理し、第1処理炭素繊維束とする工程
[C]第1処理炭素繊維束に撚りを付与し、有撚第1処理炭素繊維束とする工程、
[D]有撚第1処理炭素繊維束にゴム成分と架橋剤を含む第2処理液を付与し、第2処理液付着炭素繊維束とする工程
[E]第2処理液付着炭素繊維束を熱処理し、ゴム補強用炭素繊維コードとする工程
本発明のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法では、1mあたりの撚数が0〜0.5回の炭素繊維束とアルカリ触媒を0〜0.02質量%含有するレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスを用い、前記[A]〜[E]の各工程を前記順序で適用することにより、ゴムとの接着性が高く、高強度・高モジュラスで耐屈曲疲労性に優れるゴム補強用炭素繊維コードを得ることができる。
【0017】
[A]および[B]工程は、第1処理炭素繊維束を得る工程である。[A]工程の後[B]工程の熱処理を行うことにより第1処理液のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスに由来する樹脂組成物を炭素繊維束に定着させることができる。[C]工程は、前記工程により得られた第1処理炭素繊維束に撚りを付与する工程であり、熱処理により第1処理液のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスに由来する樹脂組成物が定着した状態となった第1処理炭素繊維束に撚りを加えることで第1処理液のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスに由来する樹脂組成物をコード内層まで含浸させることができる。ここで[C]工程の後[A]工程の第1処理液付与、[B]工程の熱処理を行ったのではコード内部に十分な量の第1処理液のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスに由来する樹脂組成物を付与し、含浸させることができず、本発明の効果は得られない。[D]および[E]工程は、先の工程で得た有撚第1処理炭素繊維束をゴム補強用炭素繊維コードとする工程である。[C]工程の後[E]工程の熱処理を行うことにより、第2処理液由来の樹脂成分を有撚第1処理炭素繊維束上に定着させると共に撚り形態を固定することができる。ここで、[A]および[B]工程の後、[D]および[E]工程を置き、その後に[C]工程を行う製造方法では、本発明のゴム補強用炭素繊維コードは得られない。[A]、[B]、[D]および[E]工程の後に[C]工程を行った場合に得られるゴム補強用炭素繊維コードでは、撚り戻りが発生し、取り扱い性が悪くなることやコードのモジュラスが低くなる。
[A]工程:炭素繊維束
[A]工程に用いる炭素繊維束は、1mあたりの撚数が0〜0.5回の炭素繊維束である。炭素繊維束に1mあたり0.5回を超える撚りがかかっていると、[A]工程において第1処理液が炭素繊維束を形成するフィラメントに均一に付着し難くなる。また、[A]工程において第1処理液を付与する際にも、炭素繊維束を引き出すときの解じょ撚りがかからないようにすることが好ましい。
【0018】
本発明の製造方法に用いる炭素繊維束は、その製造方法が限定されるものではないが、紡糸工程により前駆体繊維を得て、その後、耐炎化(熱安定化、不融化)工程、炭化(炭素化)工程を経て炭素繊維束としたものを用いることができる。さらに熱処理を施した黒鉛繊維束も本発明でいうところの炭素繊維束に含むものである。なお、かかる炭素繊維束を得るに際しての各工程の処理温度、昇温速度、処理速度、延伸比、張力などの条件は、目的とする炭素繊維束の特性によって適宜選択することができる。例えば前駆体繊維束を300℃未満の空気中で耐炎化処理し、かかる耐炎化繊維を300℃以上2000℃未満の不活性雰囲気中で炭化処理して炭素繊維束としたものを用いることができる。更に2000〜3000℃の不活性雰囲気中で熱処理して黒鉛繊維としたものも用いることができる。
【0019】
本発明に用いる炭素繊維束の製造に用いられる前駆体繊維束としては、ポリアクリロニトリル、レーヨン、リグニン、ポリビニルアルコール、ポリアセチレン、ピッチなどを原料とする各種前駆体繊維束が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。高強度という点では、ポリアクリロニトリルを原料とした前駆体繊維束が好ましく用いられる。
【0020】
さらに、得られた炭素繊維束は仕上げ処理されたものであることが好ましい。かかる仕上げ処理には表面処理やサイジング剤の付与などが含まれる。表面処理の方法としては、気相中での加熱、紫外線等による酸化、液相中で酸化剤を用いた化学的酸化又は水溶液中で電気化学的手法により酸化する方法などが挙げられる。かかる表面処理によりゴムとの親和性、例えば接着性、濡れ性、分散性等の表面特性を高められる。また、サイジング剤を付与することにより集束性が増し、炭素繊維束の取り扱いが容易となる。かかる仕上げ処理は、それぞれ単独で行っても良いが、併用することがより好ましい。
【0021】
炭素繊維束の形態としては、前駆体繊維束に撚りをかけて前述の熱処理を行い、その後撚りを解いて得られる解撚糸、前駆体繊維束に実質的に撚りをかけずに熱処理を行って得られる無撚糸が使用できる。
【0022】
また、本発明に使用する炭素繊維束は、JIS R7601(2002年版)に基づいて測定される引張強度が、好ましくは4000MPa以上であり、より好ましくは4400MPa以上、特に好ましくは4800MPa以上であるのがよい。4000MPa未満であると、ゴム補強用炭素繊維コードが過大な応力を受けた際に、コードが破断し易くなり、高度の耐疲労性が要求される用途においてはゴムの補強用材料として使用できない場合がある。なお、引張強度は高いほど好ましいが、少なくとも4500MPaあれば、本発明に用いる炭素繊維束としては十分である。
【0023】
また、本発明に使用する炭素繊維束は、そのフィラメント数が4000〜14000本であることが好ましく、6000〜12000本がより好ましい。4000本未満であると、[A]工程において、フィラメント切れがおこることがあり、工程通過性が悪くなることがある。14000本以上であると、樹脂組成物を炭素繊維束の内部まで含浸させることが困難になることがあり、炭素繊維コードの耐疲労性が不足することがある。
[A]工程:第1処理液
[A]工程に用いる第1処理液に含まれるレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスは、固形分中にアルカリ触媒を0〜0.02質量%含有するものであることが必要である。レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスの調整方法は特に限定されないが、、予めレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合体をつくり、該縮合体とゴムラテックスを混合する場合においても同様に固形分中のアルカリ触媒が0〜0.02質量%となるように調整することが必要である。ここでアルカリ触媒とは、水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ金属水酸化物・アルカリ土類水酸化物や水酸化アンモニウムなどのレゾルシンとホルムアルデヒドの脱水縮合を促進する化合物である。また、本発明において固形分中のアルカリ触媒が0〜0.02質量%であるとは、酸/アルカリを問わず触媒を含まないか含んだとしてもアルカリ触媒を0.02質量%を超えては含まないことを意味する。これらのアルカリ触媒を0〜0.02質量%含有することでレゾルシン・ホルムアルデヒドの縮合反応が抑えられ、第1処理液を炭素繊維束に均一に付着させることができる。固形分中のアルカリ触媒が0〜0.01質量%であれば好ましく、0〜0.005質量%であればより好ましい。
【0024】
[A]工程に用いる第1処理液に含有されるレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスにおいて、ホルムアルデヒドに対するレゾルシンのモル比[R/F]が1/0.5〜1.0であることが好ましい。[R/F]が0.5未満となると架橋剤として作用するホルムアルデヒド量が少なくなり接着性が低下しやすくなる。一方、[R/F]が1.0よりも大きくなるとコードが硬くなり強度低下が起きやすくなる。なお、ここでのホルムアルデヒドに対するレゾルシンのモル比[R/F]とは、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックス中に遊離状態で存在しているホルムアルデヒドに対するレゾルシンのモル比ではなく、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックス中に含まれるホルムアルデヒド(反応して取り込まれている場合は由来の単位構造も含む)に対するレゾルシン(反応して取り込まれている場合は由来の単位構造も含む)のモル比であり、調製する際の仕込みモル比に対応するものである。
【0025】
また、[A]工程に用いる第1処理液に含まれるレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスにおいて、ゴムラテックスに対するレゾルシンとホルムアルデヒドの合計量の質量比[(r+f)/l]が1〜5であることが好ましい。[(r+f)/l]が1よりも小さくなると接着性が低下しやすく、5よりも大きくなると第1処理液の炭素繊維束への含浸性が低下する場合がある。なお、ここでレゾルシン、ホルムアルデヒド、ラテックスの質量比を計算する基となる質量は、モル比を計算したときと同様の考え方にもとづくものであり、調製する際の仕込み時の乾燥質量を基にしている。
【0026】
本発明の第1処理液は、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスを含むものである。レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスは既知の方法により調合すればよい。本発明で用いられるゴムラテックスとしては、例えば水素添加アクリロニトリルーブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス等があり、これらを単独または併用して使用する。特にはビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスおよびスチレン−ブタジエンゴムラテックスのいずれか、または、両者の混合物であることが好ましい。
[A]工程:炭素繊維束への第1処理液の付与
[A]工程における第1処理液の付与量は、炭素繊維束100質量部に対して、固形分として2〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。この範囲において本発明の効果がより顕著になる。
【0027】
[A]工程において炭素素繊維束に第1処理液を付着させる方法は、特に限定されないが、後述する改良された処理液の付着方法を適用することが好ましい。この方法においては、2つのフリーロールとその間に設置した擦過体を有する第1処理液の浸漬浴に前記炭素繊維束を通糸することにより第1処理液を付着させ、その際、前記炭素繊維束が第1処理液の浸漬浴に入る前の前記炭素繊維束の幅(h)と前記擦過体上での前記炭素繊維束の幅(H)の比率H/hが1.3〜2.0となるよう張力条件を調整する。かかる方法を採ることにより、炭素繊維束の内部まで、第1処理液を付着させることができ、さらに高強度・高モジュラスで耐屈曲疲労性に優れる炭素繊維コードとすることができる。本方法についての詳細は、後述する。
[B]工程
第1処理液を付与した後、水分の除去、および、第1処理液のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスに由来する樹脂組成物の炭素繊維束への定着を促すため熱処理を施す。熱処理条件は特に限定されないが、炭素繊維と第2処理液由来の樹脂成分との接着性の発現と処理の簡便性から、100〜250℃にて30〜120秒の1段階の処理を行うことが好ましく、150〜240℃で30〜120秒の熱処理を行うことがより好ましい。ここで熱処理温度が低いおよび/または熱処理時間短いがと、炭素繊維と第2処理液由来の樹脂成分との接着性が不良となることがあり、また熱処理温度が高いおよび/または熱処理時間長いとゴム補強用炭素繊維コードの柔軟性が悪化し、かつ、ゴム補強用炭素繊維コード内にボイドが残り、空隙率が高くなり、耐疲労性が悪くなることがある。
[C]工程
本発明の製造方法では、第1処理液を付与し、熱処理して得た第1処理炭素繊維束に、撚りを施す。撚りを施すことにより伝動ベルト補強用として用いた場合に必要な耐久性を得ることができる。具体的には、第1処理炭素繊維束の糸条を1本または複数本合糸し、撚りを加える。撚りを加えることにより被補強ゴム構造体中での炭素繊維束を構成する各単糸にかかる力を分散させることができる。かかる撚りとしては20〜150回/mの片撚りを施すことが好ましい。撚りの数は50回/m以上であることがより好ましく、120回/m以下であるのがさらに好ましい。150回/mを超えると、単糸切れが発生しやすくなり、強力低下、操業性悪化につながることがある。20回/m未満であると、応力を分散できず、一点に集中することから、耐屈曲疲労性が不足することがある。撚りの付与は通常用いられる撚糸方法を用いることができ、例えばリング撚糸機を使用することができる。また複数本のコードを複数本合糸し、撚りを加えるときにはフライヤー撚糸機が好適に使用される。
[D]工程:第2処理液
本発明のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法では、撚を施したコードにゴム成分と架橋剤を含む第2処理液を付与する。第2処理液は主に有撚第1処理炭素繊維束の表面と被補強ゴム構造体を構成するゴムとの接着性を得ることを目的としたものであり、被補強ゴム構造体を構成するゴムに合わせた組成をとることができる。かかる第2処理液としてはポリイソシアネート化合物を含むことが好ましい。ポリイソシアネート化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等のポリイソシアネートが好ましく用いられる。ポリイソシアネート化合物は、トルエンやキシレンに溶かし、ディッピング法など周知の手法により付与することができる。
【0028】
また第2処理液にはゴム成分を含んでいることが好ましい。ゴム成分は特に限定されるものではなく、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン酢ビゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添化アクリロニトリルブタジエンゴム等があり、これらの中から単独あるいは混合して用いることができる。特に好ましいゴム成分としては、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、水素添化アクリロニトリルブタジエンゴムが挙げられる。
【0029】
第2処理液に使用される有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、通常、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エーテル類、トリクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン等が好適に用いられる。
【0030】
第2処理液の付与量は1〜15質量%、好ましくは4〜10質量%である。付与量が1質量%未満であるとゴムとの接着性が不足することがあり、15質量%を超えるときはコードの取り扱い性が低下したり、経済的に不利になることがある。
[E]工程
第1処理炭素繊維束に撚をかけた直後の有撚第1処理炭素繊維束は弾性率が低いが、第2処理液を付与後に張力を付与して熱処理することでモジュラスが高く、真円性の良いコードとすることができる。その場合の[E]工程の熱処理に用いる炉の出口で測定した処理張力は0.5〜1.5cN/dtexとすることが好ましい。第2処理液付与時の処理張力が低すぎるとモジュラスの低いコードとなりやすく、高すぎると糸道の小さな傷による強度低下を引き起こし易くなる。第2処理液付与後の炭素繊維束にかける張力は、炭素繊維束を搬送しているローラ等の加熱前後の回転数比率、熱処理に用いる炉に炭素繊維束を導く際のローラの質量等により制御することができる。
【0031】
また、第2処理液付着炭素繊維束の熱処理はボビンなどに巻き取ったコードの解じょ性が悪化しない程度まで熱処理を進めることが好ましい。特に、第2処理液にポリイソシアネート化合物を使用する場合には50〜150℃で10〜120秒程度の熱処理を行うことが好ましく、80〜120℃で30〜90秒程度の熱処理を行うことがより好ましい。
【0032】
本発明の製造方法によって得られるゴム補強用炭素繊維コードは、JIS L1017(2002年版)の試験方法に基いて測定した引張強度が3000MPa以上、中間伸度が0.5〜1.0%で、JIS L1013に試験方法に基いて測定した結節強度が700MPa以上の伝動ベルトの補強コードとして好適な強度、モジュラスのコードとなる。ここで、中間伸度は表示繊度(dtex)に44Nを乗じて1100dtexで除した応力での伸度を表す。
【0033】
以上のように処理して得られるゴム補強用炭素繊維コードは、被補強体を構成するゴムと密着させ、通常の処理条件にて加硫接着することによって、ゴム補強用炭素繊維コードと被補強体を構成するゴムとの間に強固な接着を達成することが可能となる。
[改良された処理液の付着方法]
本発明に好ましく適用される改良された処理液の付着方法について説明する。
【0034】
ここで説明する改良された処理液の付着方法は、本発明において炭素素繊維束に第1処理液を付着させる際に好ましく用いられるが、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスを含む処理液を1mあたりの撚数が0〜0.5回の炭素繊維束に付与する際に適用するのであれば、処理液の組成は本願発明のものに特に限定されず、適用することができる。
【0035】
改良された処理液の付着方法は、処理液中に2つのフリーロールとその間に設置した擦過体を配置した浸漬浴を用い、1mあたりの撚数が0〜0.5回の炭素繊維束を、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ゴムラテックスを含む処理液中に通糸し、2つのフリーロールとその間に設置した擦過体に接触させることにより、浸漬浴に入る前の炭素繊維束の幅(h)と前記擦過体上の炭素繊維束の幅(H)との比率をH/h=1.3〜2.0となるよう張力条件を調整する。浸漬浴に入る前の炭素繊維束の幅(h)と擦過体上の炭素繊維束の幅(H)の比率H/hが1.3に満たないと処理液の十分な含浸性が得られず、耐久性の低い炭素繊維コードとなることがある。H/hは大きくする方が含浸性の点で好ましいが、調整の限界があるため2が上限である。炭素繊維束の幅は既知の方法、例えば直接ノギスを当てて測定する方法、発光ダイオード(LED)やレーザーを光源として対象物の影の大きさから寸法測定を行う方法、2次元センサや画像処理を用いる方法等を用いて測定することができる。
【0036】
本発明に好ましく適用される改良された処理液の付着方法において、擦過体の配置場所は処理液中にあることが好ましい。擦過体が処理液の液面より上位にあった場合には、処理液が乾燥して皮膜化し、炭素繊維に付着する現象が見られる場合があり、炭素繊維束への処理液の含浸性が悪化し易く、結果として得られる炭素繊維コードのゴムとの接着性や耐久性を却って悪化させることもある。また、擦過体の形状については、炭素繊維束を効率よく拡幅する観点から、炭素繊維束に接触する面の炭素繊維束の幅方向の中央部が膨出した形状を有することが好ましく、炭素繊維束に接触する面の炭素繊維束の幅方向の中央部が膨出した湾曲周面をもつ太鼓形状開繊バーであることがより好ましい。浸漬浴中に設置する2つのフリーロールは、炭素繊維に接する面が平坦であることが好ましいが、大きさや材質等は特に制約されない。擦過体同様に、フリーロール全体が第1処理液の中に浸されていることが好ましい。
【0037】
浸漬浴に入る前の炭素繊維束の幅(h)と擦過体上の炭素繊維束の幅(H)の比率をH/h=1.3〜2.0とするには、擦過体の形状や炭素繊維束の走行方向の擦過長の選択、浸漬浴の前および/または後における張力の調整等により行うことができる。例えば、擦過体の炭素繊維束に接触する面が、中心部が膨出した湾曲周面をもつ太鼓形状とし、炭素繊維束にかかる張力を0.1〜0.5cN/dtexとする方法を好ましく採用することができる。このとき、張力は
図1の5の位置で測定する。浸漬浴内の炭素繊維束の張力は0.1〜0.5cN/dtexであることが好ましく、0.2cN/dtex以上、0.4cN/dtex以下であることがより好ましい。0.1cN/dtex未満であると炭素繊維束の開繊の度合いが低下する場合があり、それに伴い処理液の含浸性が低下する場合がある。0.5cN/dtexを越えると、炭素繊維束内部から第1処理液が絞りとられ付着斑が発生する場合がある。浸漬浴中の炭素繊維束にかける張力は、炭素繊維束を搬送しているローラ等の浸漬浴前後の回転数比率、浸漬浴中の擦過体の取り付け角度(
図1のθ)、擦過体の表面粗度等により制御することができる。
【0038】
擦過体の材質としては特に限定されず、ステンレスやセラミックなどが使用できる。特に、炭素繊維束を傷めないように、粗度0.3〜3S程度の材質が好ましい。祖度が低すぎると摩擦張力が高くなりすぎる場合があり、祖度が低すぎると開繊効果が低くなる場合がある。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0040】
本発明における各種評価方法は、以下に示すとおりである。特に、記載ない限り、評価n数は、5とし、算術平均値を求めた。
【0041】
<炭素繊維コードの評価方法>
(1)コード強力
JIS L1017(2002年版)「化学繊維タイヤコード試験方法」に準じて測定した。すなわち、オリエンテック製引張試験機テンシロンRTM−500に空気式キャップスタン型糸つかみ具をセットし、炭素繊維コードを樹脂に埋没させること無く、つかみ間隔25cm、引張速度30cm/分で測定した。評価n数は2とした。
【0042】
(2)接着剥離力(平剥離法)
20×150×6(mm)の未加硫ゴム配合物(表1)上の長手方向に平行に、20/(炭素繊維維コードのコード径)本で求められる本数の炭素繊維コードを平行に敷き詰め、3MPaの加圧下で160℃、30分間プレス加硫を行い、放冷後、ゴムからコードを剥離することにより測定した。剥離スピードは50mm/minで行い、その時の剥離力をN/20mmで表示した。
【0043】
【表1】
【0044】
(3)耐屈曲疲労性評価方法(FS法)
JIS L1017(2002年版)の記載のファイヤストン法(FS法)に準じた方法で測定した。表1に記載の未加硫ゴムシートをドラムに捲回し、その上に55本/10cmの間隔でゴム補強用炭素繊維コードを捲回し、さらにその上に同一のゴムシートを捲回し、ゴム/コード/ゴムの三層体を準備した。この三層体の上に厚み調整のためのゴムシートを重ね、25×370×5(mm)のベルト状試験片を作製した。これを加圧下、160℃、30分間プレス加硫を行い、ベルト状試験片を得た。該試験片を1インチプーリーにかけ、190回/分の回転数で、室温下、12時間往復摩擦運動させた。疲労後の試験片からコードを取り出し、強力を測定した。疲労前と疲労後の強力の比(強力保持率、%で示す)を耐屈曲疲労性の指標とした。
【0045】
(4)炭素繊維束の幅
第1処理液を付与する浸漬浴に炭素繊維束が入る液面における炭素繊維幅(h)と、浸漬浴中の擦過体上の炭素繊維束の幅(H)をノギスで計測した。
【0046】
[実施例1]
・炭素繊維束
総繊度4000dtexの“T700SC−6K−50C”(東レ株式会社製、フィラメント数:6000本、密度1.8g/cm
3、単繊維直径7.0μm、JIS R7601(2002年版)による引張強度4900MPa、引張弾性率230GPa、伸度:1.7%)を用意した。なお、以下の実施例において、炭素繊維束の質量とは、サイジング剤込みの質量をいう。
・第1処理液
イオン交換水787.64gにレゾルシン24.21gを溶かし、次いでホルマリン(37質量%濃度)11.78gとビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(日本エイアンドエル株式会社製、商品名“ピラテックス”,固形分濃度40.5質量%)88.18gとスチレン−ブタジエンゴムラテックス(日本エイアンドエル株式会社製、商品名“J−9049”,固形分濃度40.5質量%)88.18gを添加混合し、20℃で24時間熟成することにより第1処理液を得た。第1処理液のレゾルシン(R)とホルムアルデヒド(F)の仕込みモル比をR/F=1/0.66であり、レゾルシン(r)とホルムアルデヒド(f)の合計質量とゴムラテックス(l)の合計質量の比は(r+f)/l=1/3であり、総固形分濃度は10質量%である。
・第2処理液
第2処理液として表2に記載の処理液を用意した。
【0047】
【表2】
【0048】
・ゴム補強用炭素繊維コードの製造
まず総繊度4000dtexの炭素繊維束を速度10m/分で搬送し、無撚りの状態で、第1処理液の浸漬浴に浸漬し、温度190℃の加熱炉内を60秒通過させた。このとき
図1記載の浸漬浴を使用した。また、浸漬浴には
図2(a)記載の擦過体を設置した。浸漬浴を通過した直後のコード張力は0.3cN/dtexであった。一定長さ当たりの炭素繊維質量を予め測定しておき、処理液含浸後の同一長さのコード質量を測定することで、差分から、第1処理液組成分の付着量を測定した。第1処理液の付着量は炭素繊維100質量部に対して12質量部であった。得られた炭素繊維束をリング撚糸機で100回/mの条件で、撚りをかけた。次に得られた炭素繊維束コードを、第2処理液に浸漬し、90℃に設定した加熱炉内を90秒通過させ、ゴム補強用炭素繊維コードを作製した。第2処理液の付着量は炭素繊維束100質量部に対して8質量部であった。評価結果を表3に合わせて示す。
【0049】
[実施例2]
炭素繊維束として総繊度4000dtexの“T700GC−6K−31E”(東レ株式会社製、フィラメント数:6000本、密度1.8g/cm
3、単繊維直径7.0μm、JIS R7601(2002年版)による引張強度4900MPa、引張弾性率240GPa、伸度:1.7%)を使用した以外は実施例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0050】
[実施例3]
第1処理液を付与する際の浸漬浴中の擦過体を
図2(b)の形態に代えた以外は実施例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0051】
[実施例4]
第1処理液を付与する際の浸漬浴中の擦過体を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0052】
[実施例5]
第1処理液として、イオン交換水784.63gにレゾルシン22.45gを溶かし、次いでホルマリン(37質量%濃度)16.55gとビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(日本エイアンドエル株式会社製、商品名“ピラテックス”,固形分濃度40.5質量%)88.18gとスチレン−ブタジエンゴムラテックス(日本エイアンドエル株式会社製、商品名“J−9049”,固形分濃度40.5質量%)88.18gを添加混合し、20℃で24時間熟成したものを使用した。
第1処理液のレゾルシン(R)とホルムアルデヒド(F)の仕込みモル比をR/F=1/2であり、レゾルシン(r)とホルムアルデヒド(f)の合計質量とゴムラテックス(l)の合計質量の比は(r+f)/l=1/3であり、総固形分濃度は10質量%であった。第1処理液以外は実施例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作成した。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0053】
[実施例6]
第1処理液として、イオン交換水206.14gに水酸化ナトリウム0.02gとレゾルシン24.20gとホルマリン(37質量%濃度)11.77gを加え、20℃で2時間の熟成を行い、前記レゾルシン・ホルムアルデヒド混合物にビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(日本エイアンドエル株式会社製、商品名“ピラテックス”,固形分濃度40.5質量%)176.37gとイオン交換水5811.50gを加えて25℃で24時間の熟成を行ったものを用意した。
第1処理液として前記のものを用いた以外は実施例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作成した。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0054】
[比較例1]
水酸化ナトリウム0.32gをイオン交換水223.77gに溶解させ、ホルマリン(濃度37質量%)15.17gとレゾルシン10.29gを加えた後に攪拌して溶解させ、25℃で2時間の熟成を行った。次いでビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス(日本エイアンドエル株式会社製、商品名“ピラテックス”200.25gとイオン交換水112.07gとアンモニア水(濃度28質量%)9.56gと先に熟成したレゾルシン・ホルムアルデヒド混合物を加え、25℃で24時間の熟成を行って第1処理液を得た。第1処理液として前記のものを用いたこと、第1処理液付与後の熱処理を240℃で行ったこと以外は実施例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。実施例1と熱処理温度を変えた理由は、各々の第1処理液において炭素繊維と第2処理液由来の樹脂成分との接着性が最高値となる温度でのコード特性を比較するためである。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0055】
[比較例2]
比較例1より処理張力を高く調整し、第1処理液を付与する浸漬浴に炭素繊維束が入る直前の炭素繊維幅(h)と、浸漬浴中の擦過体上の炭素繊維束の幅(H)の比率を高めた以外は比較例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表3に合せて記載する。
【0056】
[比較例3]
第1処理液を付与する際の浸漬浴中の擦過体を
図2(b)の形態に代えた以外は比較例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0057】
[比較例4]
炭素繊維束として“T700GC−6K−31E”(東レ株式会社製)を使用した以外は比較例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表3に合わせて記載する。“T700G−6K−31E”は“T700S−6K−50C”に比較し第1処理液の濡れ性や含浸性が良好であるため、比較例1よりもコードの強伸度特性が優れたコードになったものの、 “T700SC−6K−50C”を使用した本発明の製造方法により得られた実施例のゴム補強用炭素繊維コードには及ばなかった。
【0058】
[比較例5]
第1処理液を付与する際に、浸漬浴中の擦過体を使用しないかったこと以外は比較例2と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0059】
[比較例6]
第1処理液を付与する際に、浸漬浴中の擦過体を使用しなかったこと以外は比較例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表3に合わせて記載する。
【0060】
【表3-1】
【0061】
【表3-2】
【0062】
[実施例7]
炭素繊維束として総繊度8000dtexの“T700SC−12K−50C”(東レ株式会社製、フィラメント数:12000本、密度1.8g/cm
3、単繊維直径7.0μm、JIS R7601(2002年版)による引張強度4900MPa、引張弾性率230GPa、伸度:1.7%)を使用した以外は実施例1と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表4に記載する。
【0063】
[比較例7]
第1処理液として比較例1に記載の第1処理液を使用した以外は実施例7と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を合わせて表4に記載する。
【0064】
[比較例8]
第1処理液を付与する際に、浸漬浴中の擦過体を使用しないかったこと以外は比較例5と同様にしてゴム補強用炭素繊維コードを作製した。評価結果を表4に合わせて記載する。
【0065】
【表4】
【0066】
本発明によるゴム補強用炭素繊維コードは、JIS L1017(2002年版)「化学繊維タイヤコード試験方法」による強度、モジュラスが良好であり。伝動ベルトの芯線として好適に使用できる。特に、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムの使用が特に好適であることが確認できた。