特許第6168375号(P6168375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6168375平準化器を利用したICS中継器の干渉除去装置及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6168375
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】平準化器を利用したICS中継器の干渉除去装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/015 20060101AFI20170713BHJP
   H04B 7/15 20060101ALI20170713BHJP
   H04B 1/525 20150101ALI20170713BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20170713BHJP
【FI】
   H04B7/015
   H04B7/15
   H04B1/525
   H04W16/26
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-515292(P2016-515292)
(86)(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公表番号】特表2016-524857(P2016-524857A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】KR2014007670
(87)【国際公開番号】WO2015026130
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2015年10月30日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0099179
(32)【優先日】2013年8月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515297032
【氏名又は名称】アールエフ ウィンドー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】オ,ヨン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヨン チョル
(72)【発明者】
【氏名】パク,キョン ス
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−349734(JP,A)
【文献】 特開2010−103719(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0078907(US,A1)
【文献】 特開2010−226209(JP,A)
【文献】 特開2009−5330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/015
H04B 7/15−7/216
H04B 1/525
H04W16/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク中継器用受信アンテナと送信アンテナの間に位置し受信アンテナを介して入力された源信号(d(n))からICSエンジン部からの予測饋還信号(y’(n))を減算して干渉信号が除去されたエラー信号(e(n))を前記送信アンテナの方に出力する平準化器を利用したICS中継器の干渉除去装置において、
前記ICSエンジン部は減算器を介して出力されたエラー信号(e(n))を一定時間遅延させた基準信号(x(n))を発生する時間遅延部と、
前記時間遅延部から出力された基準信号(x(n))から狭帯域信号の特性を平準化して新たな基準信号(x’(n))を発生する平準化器と、
前記平準化器から出力された前記新たな基準信号(x’(n))と前記エラー信号(e(n))の相関関係を演算して干渉信号予測係数(w(n))を算出する係数発生部と、
前記時間遅延部からの基準信号(x(n))と前記係数発生部からの予測信号(w(n))をコンボリューション(convolution)して予測饋還信号(y’(n))を生成し前記減算器に入力するFIR(Fine Impulse Response)フィルタと、を含んで構成されて、
前記平準化器は入力された前記基準信号(x(n))をFFT(Fast Fourier Transform)を介して時間軸データを周波数軸データに変換し、
前記FFTによって周波数の大きさ(magnitude(A))と位相(phase)で表現される複素数(a+bj)から大きさの値(magnitude(A))を算出し、
前記大きさの値(magnitude(A))と平準化したい最大の大きさの値(magnitude(MAX))の割合(X)を算出し、
前記算出された割合(X)を前記複素数の「a」と「b」にそれぞれ乗算(a*X)、(b*X)して平準化し、
前記平準化されたデータをIFFT(Inverse FFT)を介して時間軸データに復元し新たな基準信号(x’(n))を算出することを特徴とする平準化器を利用したICS中継器の干渉除去装置。
【請求項2】
送信アンテナと受信アンテナの間に位置する減算器によって干渉が除去されたエラー信号(e(n))を時間遅延部を介して一定時間遅延させた基準信号(x(n))を発生し、前記基準信号を平準化器を介して平準化して狭帯域入力信号源によって発生した干渉信号を除去する平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法において、
前記時間遅延部から発生した基準信号(x(n))を平準化器を介し狭帯域信号の特性を平準化して新たな基準信号(x’(n))を生成する第1過程と、
前記平準化器を介した新たな基準信号(x’(n))と前記減算器を介したエラー信号(e(n))の相関関係を演算し干渉信号予測係数(w(n))を算出する第2過程と、
前記基準信号(x(n))と予測係数(w(n))から予測饋還信号(y’(n))を生成する第3過程と、
前記予測饋還信号(y’(n))を前記減算器で減算して干渉信号が除去されたエラー信号(e(n+1))を出力する第4過程とを含んで形成されて、
前記第1過程は前記平準化器によって前記基準信号(x(n))をFFT(Fast Fourier Transform)を介して時間軸データを周波数軸データに変換する第1ステップと、
前記FFTによって周波数の大きさ(magnitude(A))と位相(phase)で表現される複素数(a+bj)から大きさの値(magnitude(A))を算出する第2ステップと、
前記大きさの値(magnitude(A))と平準化したい最大の大きさの値(magnitude(MAX))の割合(X)を算出する第3ステップと、
前記算出された割合(X)を前記複素数の「a」と「b」にそれぞれ乗算(a*X)、(b*X)して平準化する第4ステップと、
前記平準化されたデータをIFFT(Inverse FFT)を介して時間軸データに復元し新たな基準信号(x’(n))を算出する第5ステップと、を含むことを特徴とする平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法
【請求項3】
前記第2ステップにおいて、大きさの値(magnitude(A))は
【数1】
によって算出されることを特徴とする請求項に記載の平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法。
【請求項4】
前記第3ステップにおいて、割合(X)は
【数2】
によって算出されることを特徴とする請求項に記載の平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法。
【請求項5】
前記第2過程の干渉信号予測係数(w(n))は適応アルゴリズムを行う係数発生部で行うことを特徴とする請求項に記載の平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法。
【請求項6】
前記第3過程は前記基準信号(x(n))と予測係数(w(n))をコンボリューションして予測饋還信号(y’(n))を生成するFIR(Finite Impulse Response)フィルタで行うことを特徴とする請求項に記載の平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線ネットワークで使用可能なICS中継器に関するものであり、より詳しくは、ICS中継器から平準化器を利用して干渉信号のみを効果的に除去し、短いシステム遅延(System delay)を行うべきLTE無線ネットワーク用ICS中継を設計し得る平準化器を利用したICS中継器の干渉除去装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ICS中継器は無線中継器における送受信アンテナ間に発生する饋還信号による発振問題を解決するためのシステムであり、より詳しくは、従来の無線中継器に干渉除去技術を適用して饋還する信号を予測し、それを入力された源信号から減算して饋還信号を制御する技術が適用された無線中継器である。
【0003】
図1は一般的は適応アルゴリズムを利用した干渉除去方法を使用する適応型ICS中継器の構成図であって、干渉除去エンジン部40は送受信アンテナ10、30の間に位置し、遅延部41、係数発生部42及びFIRフィルタ43で構成される。前記受信アンテナ10を介して受信された源信号((d(n))=s(n)+y(n))が減算器21を介して干渉信号が除去されたエラー信号(e(n))を出力する。
【0004】
この際、干渉除去エンジン部40の係数発生部(Coefficient generator)42は前記減算器21を介して干渉信号が除去されたエラー信号(e(n))と遅延部41を介して一定時間遅延された基準信号(x(n))間の相関関係を演算し、干渉信号予測係数(w(n))を算出する。
【0005】
前記干渉信号予測係数(w(n))はFIRフィルタ43を介して基準信号(x(n))とコンボリューションして同位相の予測された饋還信号((y’(n)))を生成し、前記予測饋還信号((y’(n)))は前記減算器21を介して前記源信号(d(n))から減算して干渉信号が除去された信号を前記送信アンテナ30の方に出力する。
【0006】
このような適応アルゴリズムを利用した干渉除去方法を使用する適応型ISC中継器は、一般にLMS(Least Mean Squared)またはRLS(Recursive Least Square)適応アルゴリズムを利用しており、このような適応アルゴリズムはエラー信号(e(n))と基準信号(x(n))間の相関関係を利用して饋還信号を予測し同位相の饋還信号を生成するため、入力信号源の特性に応じて干渉除去能力に差がある特性を有するようになる。
【0007】
特に、LTE(Long Term Evloution)または多重搬送波変調方式であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号の副搬送波(Subcarrier)部分の使用のように狭帯域の信号が入力される場合、入力信号の自己相関関係の特性のため干渉信号を効果的に除去できず、かえって不必要な雑音信号が生成される問題点があった。
【0008】
このような問題点を解決するために、従来はFA(carrier)フィルタを使用して信号がない帯域の不必要な雑音信号を除去するか、チャネルタイプに設計して狭帯域信号と認識しないようにすることで解決していた。
【0009】
しかし、このようなFAフィルタまたはチャネルタイプはデジタルフィルタであって、システムの遅延に多大な影響を及ぼすことでLTEネットワークでのショートディレイ(Short delay)(4.6875μs)の設計が不可能な問題点があった。
【0010】
ここで、LTEネットワークでショートディレイの設計が必要な理由は、チャネル間干渉を防止するためにガードインターバル区間に挿入する信号で「Cyclic Prefix」を挿入する。しかし、ガードインバーバル区間に信号がなければ副搬送波(Subcarrier)の直交性(Orthogonal)が崩れてチャネル間干渉が発生する。それを防止するために、シンボル区間の後部分の信号を一部コピーして挿入するが、これを「Cyclic Prefix」と称する。
【0011】
LTEネットワークではCyclic Prefixの長さが4.6875μsであり、無線中継器の場合はシステム遅延が4.6875μs以下でなければチャネル間干渉が起こってしまう。
【0012】
図2は従来技術による自己相関関係除去器が適用された他のICS中継器の構成図であって、これは特許文献1(ICS中継器の干渉除去方法)に開示されている。
【0013】
このような従来技術は事項相関関係を除去して狭帯域信号入力時の問題点を解決するためのものであり、このような自己相関関係の除去方法は饋還信号のうち狭帯域信号を除去し広帯域の白色雑音のみを残してそれを基準信号(x(n))として使用する方法であるが、これは基準信号(x(n))が狭帯域信号が除去されて白色雑音のみ残っている状態であるため、信号の量(level)が微弱で結局予測係数(w(n))を算出する適応速度が遅くなる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国特許公開公報第10−2013−0054305号(公開日2013年5月24日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するために、狭帯域信号によって発生した不必要な雑音信号を除去するために自己相関関係除去器またはデジタルフィルタを使用せずに平準化器を使用するため干渉信号のみを効果的に除去するだけでなく、それによって短いシステム遅延時間を行うべきLTE無線ネットワーク用ICS中継器の設計が可能な平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法及びその装置を提供するのにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的を達成するための平準化器を利用したICS中継器の干渉除去装置は、無線ネットワーク中継器用受信アンテナと送信アンテナの間に位置し受信アンテナを介して入力された源信号(d(n))からICSエンジン部からの予測饋還信号(y’(n))を減算器を介して減算し干渉信号が除去されたエラー信号(e(n))を出力する平準化器を利用したICS中継器の干渉除去装置において、前記ICSエンジン部は前記減算器を介して出力されたエラー信号(e(n))を一定時間遅延させた基準信号(x(n))を発生する時間遅延部と、前記時間遅延部から出力された基準信号(x(n))から狭帯域信号の特性を平準化して新たな基準信号(x’(n))を発生する平準化器と、前記平準化器から出力された前記新たな基準信号(x’(n))と前記エラー信号(e(n))の相関関係を演算して干渉信号予測係数(w(n))を算出する係数発生部と、前記時間遅延部からの基準信号(x(n))と前記係数発生部からの予測信号(w(n))をコンボリューション(convolution)して予測饋還信号(y’(n))を生成し前記減算器に入力するFIR(Fine Impulse Response)フィルタと、を含んで構成されることを特徴とする。
【0017】
本発明の目的を達成するための平準化器を利用したICS中継器の干渉除去過程は、送信アンテナと受信アンテナの間で干渉が除去されたエラー信号(e(n))を時間遅延部を介して一定時間遅延させた基準信号(x(n))を発生し、前記基準信号を平準化器を介して一定時間遅延させた基準信号(x(n))を発生し、前記基準信号を平準化器を介して平準化して狭帯域入力信号源によって発生した干渉信号を除去する平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法において、前記時間遅延部から発生した基準信号(x(n))を平準化器を介し狭帯域信号の特性を平準化して新たな基準信号(x’(n))を生成する第1過程と、前記平準化器を介した新たな基準信号(x’(n))と前記減算器を介したエラー信号(e(n))の相関関係を演算し干渉信号予測係数(w(n))を算出する第2過程と、前記基準信号(x(n))と予測係数(w(n))から予測饋還信号(y’(n))を生成する第3過程と、前記予測饋還信号(y’(n))を減算器で減算して干渉信号が除去されたエラー信号(e(n+1))を出力する第4過程と、を含んで形成されることを特徴とする。
【0018】
ここで、第1過程は前記平準化器によって前記基準信号(x(n))をFFT(Fast Fourier Transform)を介して時間軸データを周波数軸データに変換する第1ステップと、前記FFTによって周波数の大きさ(magnitude(A))と位相(phase)で表現される複素数(a+bj)から大きさの値(magnitude(A))を算出する第2ステップと、前記大きさの値(magnitude(A))と平準化したいの最大の大きさの値(magnitude(MAX))の割合(X)を算出する第3ステップと、前記算出された割合(X)を前記複素数の「a」と「b」にそれぞれ乗算(a*X)、(b*X)して平準化する第4ステップと、前記平準化されたデータをIFFT(Inverse FFT)を介して時間軸データに復元し新たな基準信号(x’(n))を算出する第5ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明による平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法は、狭帯域信号によって発生した不必要な雑音信号を除去するために自己相関関係除去器またはデジタルフィルタを使用せずに平準化器を使用して干渉信号のみを除去することができるようになり、システムの遅延時間が短い(4.6875μs以下)LTEネットワークに使用可能なICS中継器を設計し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一般的なICS中継器の構成図である。
図2】従来技術による干渉除去のためのICS中継器の構成図である。
図3】本発明の実施例による平準化器を利用したICS中継器の干渉除去装置の構成図である。
図4】本発明の実施例による平準化器を利用したICS中継器の干渉除去過程のフローチャートである。
図5図4における新たな基準信号(x’(n))を算出する平準化過程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法及び装置に関する構成及び作用を添付した図3乃至図5を参照して詳細に説明すると以下のようである。
【0022】
図3は本発明の実施例によるICS中継器の干渉除去装置の構成図であって、無線ネットワーク中計器用受信アンテナ10と、前記受信アンテナ10を介して入力された基地局信号(s(n))と饋還信号(y(n))が含まれた源信号(d(n)=s(n)+y(n))から予測饋還信号(y’(n))を減算して干渉信号を除去するためのエラー信号(e(n+1))と、前記減算器21から出力されたエラー信号(e(n))から干渉信号が除去された予測饋還信号(y’(n))を発生して前記減算器21にフィードバックするICSエンジン部50と、前記減算器21を介して出力されたエラー信号(e(n)、e(n+1)、…)を増幅してから送信アンテナ30出力する増幅器22で構成される。
【0023】
前記ICSエンジン部50は前記減算器21を介して出力されたエラー信号(e(n))を一定時間遅延させた基準信号(x(n))を発生する時間遅延部51と、前記時間遅延部51から出力された基準信号(x(n))から狭帯域信号の特性を平準化して新たな基準信号(x’(n))を発生する平準化器52と、前記平準化器52から出力された前記新たな基準信号(x’(n))と前記エラー信号(e(n))の相関関係を演算し干渉信号予測係数(w(n))を算出する係数発生部53と、前記時間遅延部51からの基準信号(x(n))と前記係数発生部53からの予測係数(w(n))をコンボリューションし予測饋還信号(y’(n))を生成して前記減算器21に入力するFIRフィルタ54で構成される。
【0024】
このように構成された本発明の実施例による平準化器を利用したICS中継器の干渉除去方法及び装置に対する作用を添付した図3乃至図5を参照して詳細に説明すると以下のようである。
【0025】
まず、本発明は無線ネットワークで使用可能なICS中継器を設計するに当たって、干渉除去のためのICSエンジンに基準信号(x(n))をFFTして時間軸のデータを周波数軸のデータに変換する平準化器を利用するため、狭帯域入力信号源による干渉信号のみを効果的に除去する。
【0026】
図3は本発明の実施例による平準化器を利用したICS中継器の干渉信号除去装置のブロック図であって、ICS中継器は受信アンテナ10に送信アンテナ30から饋還された干渉信号を除去するためにICSエンジン部50から饋還される信号を予測(y’(n))し、それを入力された源信号(d(n))から減算器21を利用した除去した後、増幅器を介して送信アンテナ30に出力するように構成されている。
【0027】
図4は本発明の実施例による平準化器を利用したICS中継器の干渉除去過程のフローチャートであって、まず前記受信アンテナ10から送信アンテナ30に伝送される源信号(d(n))に含まれた饋還信号(y(n))を減算し、干渉信号が除去されたエラー信号(e(n))を前記増幅器22を介して送信アンテナ30に出力するS102、S104、S116。
【0028】
この際、前記エラー信号(e(n))は前記ICSエンジン部50に入力されて予測饋還信号(y’(n))を算出してから前記減算器21に入力するが、前記ICSエンジン部50を構成している各部51〜54を介して予測饋還信号(y’(n))を算出する過程をより詳細に説明すると以下のようである。
【0029】
前記時間遅延部51は前記減算器21から出力されたエラー信号(e(n))を一定時間遅延させた基準信号(x(n))を発生するS106。
【0030】
前記時間遅延部51から発生した基準信号(x(n))は前記平準化器52で狭帯域信号の特性を平準化した新たな基準信号(x’(n))を発生するS108。
【0031】
即ち、前記平準化器は狭帯域信号の特性である狭い帯域の周波数軸信号を帯域が広い信号に変換するが、そのためにまず前記基準信号(x(n))をFFTして時間軸データを周波数軸データに変換し、変換された周波数軸データを平準化した後、IFFTを介して時間軸データとして更に復元して新たな基準信号(x’(n))を算出する。
【0032】
図5図4における平準化器52による新たな基準信号(x’(n))の算出過程のフローチャートであり、それを参照してより詳細に説明すると以下のようである。
【0033】
まず、前記時間遅延部51からの基準信号(x(n))をFFT過程を介して時間軸データを周波数軸データに変換するS202。
【0034】
前記FFT変換による結果値である周波数軸データは複素数(a+bj)に表現されるが、ここで複素数によって周波数の大きさ(magnitude(A))と位相(phase)が下記数式1によって算出されるS204。
【0035】
【数1】
【0036】
次に平準化したい大きさの値(magnitude(MAX))を設定するが、例えばデータが14bit(8,191〜−8,192)のシステムであれば、望みの大きさ(magnitude(MAX))は下記数式2のように算出した値を設定するS206。
【0037】
【数2】
【0038】
次に前記数式1から算出された大きさ(magnitude(A))と数式2のように平準化したい大きさの値(magnitude(MAX))の割合(X)を下記数式3によって算出するS208。
【0039】
【数3】
【0040】
前記過程を介して算出された割合(X)は前記複素子(a+bj)の「a」と「b」にそれぞれ乗算(a*X)、(b*X)して平準化するS210。
【0041】
前記平準化された周波数軸データをIFFT過程を介して更に時間軸データに復元するため、新たな基準信号(x’(n))を算出するようになるS212。
【0042】
図5に示したように、前記平準化器52の演算過程を介して算出された新たな基準信号(x’(n))は前記係数発生器53で前記エラー信号(e(n))との相関関係を演算し、干渉信号予測係数(w(n))を算出するS110。
【0043】
前記FIRフィルタ54は前記係数発生器53から入力された干渉信号予測係数(w(n))を前記時間遅延部51から入力された基準信号(x(n))とコンボリューションし、同位相の予測饋還信号(y’(n))を生成してから前記減算器21に出力するS112。
【0044】
前記減算器21は前記源信号(d(n))から前記予測饋還信号(y’(n))を減算して干渉信号が除去されたエラー信号(e(n+1))を出力するS114。
【0045】
このように干渉信号が除去されたエラー信号(e(n+1))は前記増幅器22を介して送信アンテナ30に伝送されるS116。
【0046】
一方、前記干渉信号が除去されたエラー信号(e(n+1))は更に前記ICSエンジン部50に入力され、前記時間遅延部51、平準化器52、係数発生部53及びFIRフィルタ54を介して次の次数の予測饋還信号(y’(n))を発生し前記減算器21に出力することで、前記減算器21から現信号(d(n+1)=s(n+1)+y(n+1))に含まれた予測饋還信号(y’(n))を除去したエラー信号(e(n+2))を出力する。
【0047】
前記ICSエンジン部50は前記過程を繰り返すため、前記受信アンテナ10を介して入力される全ての源信号(d(n)、n=1、2、3…)に含まれた各干渉信号を除去するようになる。
【0048】
これまで本発明を特定の好ましい実施例を挙げて図示し説明したが、本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲内で該当発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変更を修正が可能なはずである。
【符号の説明】
【0049】
10:受信アンテナ 21:減算器
22:増幅器 30:送信アンテナ
50:ICSエンジン部 51:時間遅延部
52:平準化器 53:係数発生部
54:FIRフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5