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特許6168536SMT装置の高速プロセスシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6168536
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】SMT装置の高速プロセスシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20170713BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H05K13/00 Z
   H05K13/04 Z
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-510612(P2015-510612)
(86)(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公表番号】特表2015-517731(P2015-517731A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】CN2013071099
(87)【国際公開番号】WO2013166869
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2015年12月15日
(31)【優先権主張番号】201210142864.8
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514234230
【氏名又は名称】上海望友信息科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151367
【弁理士】
【氏名又は名称】柴 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100184262
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 義則
(72)【発明者】
【氏名】銭 勝杰
(72)【発明者】
【氏名】朱 忠良
(72)【発明者】
【氏名】劉 豐収
(72)【発明者】
【氏名】瞿 永建
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−201749(JP,A)
【文献】 特開平11−143917(JP,A)
【文献】 特表2003−505854(JP,A)
【文献】 特開2005−4627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SMT装置システムがPCB実装或いはAOI検査作業を実行するよう制御するためのSMT装置のプロセスシステムであって、少なくとも、
入力されたPCB設計ファイルとBOMファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータ及び図形データを含むコアデータを生成するデータ入力モジュールと、
前記データ入力モジュールに接続され、前記SMT装置システム及び部品共有データベースとデータを共有するコアデータモジュールと、を含み、
当該コアデータモジュールは、
前記SMT装置システム及び前記部品共有データベースとデータを共有し、内部で構築した、或いは前記SMT装置システムから獲得した、或いは前記部品共有データベースから獲得した部品データを格納しているローカルデータベースであって、前記部品データが、部品の属性情報、パッケージ情報、極性情報、図形情報、及び各部品に対応する吸着ノズル情報とフィーダー情報を含むローカルデータベースと、
前記データ入力モジュールとローカルデータベースに接続され、前記データ入力モジュールから前記コアデータを読み取り、前記コアデータに基づいて、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索し、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングし、前記ローカルデータベースから実装すべき部品とマッチングする部品データが検索されない場合は、部品データ構築命令を出力する検索手段と、
前記データ入力モジュールと検索手段に接続され、ローカルデータベースに存在しない部品データを構築する構築手段であって、前記部品データ構築命令を受信すると、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、構築した部品データを前記ローカルデータベースへ格納して、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする構築手段と、
前記データ入力モジュールとローカルデータベースに接続され、前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックして、チェックでエラーを発見した場合、前記コアデータの図形データに基づいて当該使用可能部品としてマーキングされている部品データを修復するチェック手段と、
前記コアデータモジュールとSMT装置システムに接続され、前記チェック手段でチェックに合格した部品データを当該SMT装置システムへ出力して、当該SMT装置にPCB実装或いはAOI検査作業を実行させるデータ出力モジュールと、
を含むことを特徴とするSMT装置のプロセスシステム。
【請求項2】
前記データ入力モジュールが読み取る入力PCB設計ファイルには、CADファイル、ガーバーファイル、及び前記ガーバーファイルに対応する座標ファイルが含まれ、
前記テキストデータには、部品コード、部品注記、部品外形名及び部品高さが含まれ、
前記図形データには、部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載のSMT装置のプロセスシステム。
【請求項3】
前記検索手段は、各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索する際、まずは前記テキストデータに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品属性が存在するか否かを検索し、存在する場合、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングし、また、存在しない場合には、続いて前記図形データに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする図形情報が存在するか否かを検索し、存在する場合には、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品データに関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする、ことを特徴とする請求項2に記載のSMT装置のプロセスシステム。
【請求項4】
前記構築手段は、前記部品データ構築命令を受信すると、まずはPCB設計ファイルのフォーマットを判断して、前記PCB設計ファイルがCADファイルであると判断された場合は、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、
前記PCB設計ファイルがガーバーファイルであると判断された場合、まずは実装すべき部品のボンディングパッド情報を構築する必要があり、その後、実装すべき部品のコアデータに基づき部品データを構築する、ことを特徴とする請求項2に記載のSMT装置のプロセスシステム。
【請求項5】
前記チェック手段は、前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックする際、まずは当該部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するか否かを検証し、一致する場合はチェック合格とし、一致しない場合には、チェックエラー情報を出力し、前記コアデータにおける図形データに基づいて、当該使用可能部品としてマーキングされている部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するよう修復する、ことを特徴とする請求項2に記載のSMT装置のプロセスシステム。
【請求項6】
SMT装置システムがPCB実装或いはAOI検査作業を実行するよう制御するためのSMT装置におけるプロセスの方法であって、
前記SMT装置におけるプロセスの方法は、少なくとも、
内部で構築した、或いは前記SMT装置システムから獲得した、或いは部品共有データベースから獲得した部品データであって、部品の属性情報、パッケージ情報、極性情報、図形情報、及び各部品に対応する吸着ノズル情報とフィーダー情報を含む部品データを予め格納するローカルデータベースを構築するステップと、
入力されたPCB設計ファイルとBOMファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータ及び図形データを含むコアデータを生成するステップと、
前記コアデータを読み取り、前記コアデータに基づいて、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索し、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングし、前記ローカルデータベースから実装すべき部品とマッチングする部品データが検索されない場合は、部品データ構築命令を出力するステップと、
実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、構築した部品データを前記ローカルデータベースへ格納して、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする、ローカルデータベースに存在しない部品データを構築するステップと、
前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックし、チェックでエラーを発見した場合、前記コアデータの図形データに基づいて当該使用可能部品としてマーキングされている部品データを修復するステップと、
チェックに合格した部品データを当該SMT装置システムへ出力して、当該SMT装置システムにPCB実装或いはAOI検査作業を実行させるステップ、を含むことを特徴とするSMT装置におけるプロセスの方法。
【請求項7】
読み取られる入力PCB設計ファイルには、CADファイル、ガーバーファイル及び前記ガーバーファイルに対応する座標ファイルが含まれ、
前記テキストデータには、部品コード、部品注記、部品外形名及び部品高さが含まれ、
前記図形データには、部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置が含まれる、ことを特徴とする請求項6に記載のSMT装置におけるプロセスの方法。
【請求項8】
各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索する際、まずは前記テキストデータに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品と一致する部品属性が存在するか否かを検索し、存在する場合、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングし、また、存在しない場合には、続いて前記図形データに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする図形情報が存在するか否かを検索し、存在する場合には、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品データに関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする、ことを特徴とする請求項7に記載のSMT装置におけるプロセスの方法。
【請求項9】
前記部品データ構築命令を受信すると、まずはPCB設計ファイルのフォーマットを判断して、前記PCB設計ファイルがCADファイルであると判断された場合は、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、
前記PCB設計ファイルがガーバーファイルであると判断された場合、まずは実装すべき部品のボンディングパッド情報を構築する必要があり、その後、実装すべき部品のコアデータに基づき部品データを構築する、ことを特徴とする請求項7に記載のSMT装置におけるプロセスの方法。
【請求項10】
前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックする際に、まずは当該部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するか否かを検証し、一致する場合はチェック合格とし、一致しない場合には、チェックエラー情報を出力し、前記コアデータにおける図形データに基づいて、当該使用可能部品としてマーキングされている部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するよう修復する、ことを特徴とする請求項7に記載のSMT装置におけるプロセスの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装の技術分野に関し、特に、SMT装置に適用される高速プロセスシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SMTとは表面実装技術(Surface Mounted Technologyの略称)のことであり、電子実装業界において現在最も流行している技術及び工程である。SMTでは、従来の電子部品を体積わずか数十分の一にまで圧縮することで、電子製品実装の高密度化、高信頼性、小型化、低コスト、及び生産の自動化を実現している。このように小型化された部品はSMY部品(又はSMC、チップ部品)と呼ばれる。部品をプリント基板(又は他の基板)上に配置する工程・方法はSMT工程と称される。現在、先進的な電子製品、特に、コンピュータや通信系の電子製品では、SMT工程が広く採用されている。世界的に、SMD部品の生産量が年々増加しているのに対し、従来部品の生産量は年々減少しているため、時とともに、SMT技術はますます普及すると見込まれる。これに関連する実装装置はSMT装置と称される。SMT装置は、生産ラインで生産作業を実施するにあたり、SMTプロセスシステムにより制御される。
【0003】
従来技術では、業界のSMTプログラミングシステムとして、装置メーカー自身によるソフトウェアシステムと、第三者により開発されたプログラミングシステムの2種類が存在する。装置メーカーにより提供されるSMTプログラミングシステムは、装置の動作性能の合理化、即ち、生産時の所定時間内における装置の生産実装効率に重きを置いており、オフライン時のプログラミング効率については配慮していない。一方、第三者であるソフトウェア会社により提供されるSMTプログラミングシステムは、EDA(Electronic Design Automation)CADによる設計開発データやガーバー(Gerber、ガーバーファイル)データの変換に重きを置いている。しかし、装置の動作パラメータが非開放的であることから、第三者の技術方案は装置の動作性能を十分に上げることができない。特に、現在主流となっているモジュラー型のチップマウンターは装置の動作パラメータを得る術がなく、実質的には当業者にとって迅速な解決を要する技術的課題となっている。
【0004】
業界の変化に伴い、小ロット多品目の生産が大きな比率を占めるようになっていることから、業界内では主な手順として、レイアウト設計により生じる座標ファイル、EDA CAD又はガーバーをシステム内に変換し、座標データのみを用いてBOMファイルと組み合わせることで、チップマウンターのプログラムを生成している。ところが、完成されたプログラムには、主に以下の動作が求められる。
1.正確な実装座標データ。座標と角度に正確さが求められる。
2.部品データライブラリのデータ。
3.プログラムを良好に合理化した結果として、装置の動作性能を最大限高める。
【0005】
これら三つに対し、第三者であるソフトウェア会社が提供するSMTプログラミングシステムは、通常は一つ目しか満たしておらず、二つ目、三つ目は装置メーカー自身のソフトウェアシステムにより実現される。しかし、装置のソフトウェアシステムでは、通常は操作者或いは使用者が手動で二つ目の部分を生成、即ち、部品データライブラリのデータを構築又は修正してはじめて、三つ目の理想的な実現が可能となる。要するに、現在のあらゆるSMT装置のプロセスシステムでは、座標データのみを用いており、チップマウンターにおける部品データライブラリのデータの選択と作成に多大な時間を割かねばならず、また、プログラムが完成した後、生産時には実装された部品の角度と極性の正確性を検証せねばならないため、装置における生産時間の多くを割くことになり、生産効率が下がり、生産コストが上がってしまうことが主な不備となっている。
【発明の概要】
【0006】
以上に述べた従来技術の欠点に鑑みて、本発明は、従来技術におけるSMT装置のプロセスシステムでは、部品データライブラリのデータの作成及び実装部品の角度のマニュアル修正に多大な時間を要することから、生産プロセスの効率低下と極性の誤りが招来されて、製品の歩留り低下等が生じる、との課題を解決するためのSMT装置の高速プロセスシステム及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
上記の目的及びその他関連の目的を実現するために、本発明は、SMT装置システムがPCB実装或いはAOI検査作業を実行するよう制御するためのSMT装置のプロセスシステムを提供する。
当該SMT装置のプロセスシステムは、少なくとも、入力されたPCB設計ファイルとBOMファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータ及び図形データを含むコアデータを生成するデータ入力モジュールと、前記データ入力モジュールに接続され、前記SMT装置システム及び部品共有データベースとデータを共有するコアデータモジュールと、を含み、当該コアデータモジュールは、前記SMT装置システム及び前記部品共有データベースとデータを共有し、内部で構築した、或いは前記SMT装置システムから獲得した、或いは前記部品共有データベースから獲得した部品データを格納しているローカルデータベースであって、前記部品データが、部品の属性情報、パッケージ情報、極性情報、図形情報、及び各部品に対応する吸着ノズル情報とフィーダー情報を含むローカルデータベースと、前記データ入力モジュールとローカルデータベースに接続され、前記データ入力モジュールから前記コアデータを読み取り、前記コアデータに基づいて、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索し、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングし、前記ローカルデータベースから実装すべき部品とマッチングする部品データが検索されない場合は、部品データ構築命令を出力する検索手段と、前記データ入力モジュールと検索手段に接続され、ローカルデータベースに存在しない部品データを構築する構築手段であって、前記部品データ構築命令を受信すると、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、構築した部品データを前記ローカルデータベースへ格納して、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする構築手段と、前記データ入力モジュールとローカルデータベースに接続され、前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックして、チェックでエラーを発見した場合、前記コアデータの図形データに基づいて当該使用可能部品としてマーキングされている部品データを修復するチェック手段と、前記コアデータモジュールとSMT装置システムに接続され、前記チェック手段でチェックに合格した部品データを当該SMT装置システムへ出力して、当該SMT装置にPCB実装或いはAOI検査作業を実行させるデータ出力モジュールと、を含む。
【0008】
本発明のSMT装置のプロセスシステムにおいて、前記データ入力モジュールが読み取る入力PCB設計ファイルには、CADファイル、ガーバーファイル、及び前記ガーバーファイルに対応する座標ファイルが含まれ、前記テキストデータには、部品コード、部品注記、部品外形名及び部品高さが含まれ、前記図形データには、部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置が含まれる。
【0009】
本発明のSMT装置のプロセスシステムにおいて、前記検索手段は、各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索する際、まずは前記テキストデータに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品属性が存在するか否かを検索し、存在する場合、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングし、また、存在しない場合には、続いて前記図形データに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする図形情報が存在するか否かを検索し、存在する場合には、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品データに関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。
【0010】
本発明のSMT装置のプロセスシステムにおいて、前記構築手段は、前記部品データ構築命令を受信すると、まずはPCB設計ファイルのフォーマットを判断して、前記PCB設計ファイルがCADファイルであると判断された場合は、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、前記PCB設計ファイルがガーバーファイルであると判断された場合、まずは実装すべき部品のボンディングパッド情報を構築する必要があり、その後、実装すべき部品のコアデータに基づき部品データを構築する。
【0011】
本発明のSMT装置のプロセスシステムにおいて、前記チェック手段は、前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックする際、まずは当該部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するか否かを検証し、一致する場合はチェック合格とし、一致しない場合には、チェックエラー情報を出力し、前記コアデータにおける図形データに基づいて、当該使用可能部品としてマーキングされている部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するよう修復する。
【0012】
本発明は、更に、SMT装置システムがPCB実装或いはAOI検査作業を実行するよう制御するためのSMT装置におけるプロセスの方法を提供する。
当該SMT装置におけるプロセスの方法は、少なくとも、内部で構築した、或いは前記SMT装置システムから獲得した、或いは部品共有データベースから獲得した部品データであって、部品の属性情報、パッケージ情報、極性情報、図形情報、及び各部品に対応する吸着ノズル情報とフィーダー情報を含む部品データを予め格納するローカルデータベースを構築するステップと、入力されたPCB設計ファイルとBOMファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータ及び図形データを含むコアデータを生成するステップと、前記コアデータを読み取り、前記コアデータに基づいて、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索し、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングし、前記ローカルデータベースから実装すべき部品とマッチングする部品データが検索されない場合は、部品データ構築命令を出力するステップと、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、構築した部品データを前記ローカルデータベースへ格納して、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする、ローカルデータベースに存在しない部品データを構築するステップと、前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックし、チェックでエラーを発見した場合、前記コアデータの図形データに基づいて当該使用可能部品としてマーキングされている部品データを修復するステップと、チェックに合格した部品データを当該SMT装置システムへ出力して、当該SMT装置システムにPCB実装或いはAOI検査作業を実行させるステップと、を含む。
【0013】
本発明のSMT装置におけるプロセスの方法において、読み取られる入力PCB設計ファイルには、CADファイル、ガーバーファイル、及び前記ガーバーファイルに対応する座標ファイルが含まれ、前記テキストデータには、部品コード、部品注記、部品外形名及び部品高さが含まれ、前記図形データには、部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置が含まれる。
【0014】
本発明のSMT装置におけるプロセスの方法において、各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索する際、まずは前記テキストデータに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品属性が存在するか否かを検索し、存在する場合、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングし、また、存在しない場合には、続いて前記図形データに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする図形情報が存在するか否かを検索し、存在する場合には、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品データに関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。
【0015】
本発明のSMT装置におけるプロセスの方法において、前記部品データ構築命令を受信すると、まずはPCB設計ファイルのフォーマットを判断して、前記PCB設計ファイルがCADファイルであると判断された場合は、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、前記PCB設計ファイルがガーバーファイルであると判断された場合、まずは実装すべき部品のボンディングパッド情報を構築する必要があり、その後、実装すべき部品のコアデータに基づき部品データを構築する。
【0016】
本発明のSMT装置におけるプロセスの方法において、前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックする際に、まずは当該部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するか否かを検証し、一致する場合はチェック合格とし、一致しない場合には、チェックエラー情報を出力し、前記コアデータにおける図形データに基づいて、当該使用可能部品としてマーキングされている部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するよう修復する。
【0017】
以上述べたように、本発明にかかるSMT装置のプロセスシステム及び方法は、従来技術におけるSMT装置のプロセスシステムでは、部品データライブラリのデータの作成に多大な時間を要することから、生産効率が低下し、部品の角度や極性のチェックが不可能となるために製品の歩留り低下等が生じる、との課題を解決した。本発明のSMT装置のプロセスシステム及び方法によれば、新機種のプログラミングの全体周期が大幅に短縮され、機器のプログラミングにおけるデバッグ所要時間が十分に短くなり、労働力コストが合理的に節約される。また、現在の業界における方案と比較し、以下の有益な効果が得られる。即ち、本発明のSMT装置のプロセスシステム及び方法を実施すれば、設計情報を最大限利用可能である。つまり、100%の正確な利用が実現される。また、スマート基準点と基板情報を取得する際に、15分以上の時間が短縮される。また、スマートマッチング及び部品データライブラリの構築時には、80%の時間短縮が可能であり、角度及び極性の自動キャリブレーションにあたっては、デバッグ時間が90%短縮される。また、シームレス生成装置のプログラムでは、装置プログラムのデータの正確さと完成度が確保される。本発明のSMT装置のプロセスシステム及び方法は、煩雑な作業を簡易化且つフールプルーフ化しており、従来は4〜8時間又はそれ以上を要していた作業を0.5〜2時間以内に短縮し、全体として効率を60%以上向上した。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明にかかるSMT装置の高速プロセスシステムを示すブロック図である。
図2】本発明にかかるSMT装置における高速プロセスの方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0019】
1 SMT装置の高速プロセスシステム
11 データ入力モジュール
12 コアデータモジュール
121 ローカルデータベース
122 検索手段
123 構築手段
124 チェック手段
13 データ出力モジュール
2 SMT装置システム
3 部品共有データベース
S1〜S6 ステップ
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、特定の具体的実例を用いて本発明の実施形態を説明するが、当業者は、本明細書に開示される内容から、本発明におけるその他の利点及び効果を容易に理解可能である。本発明は、その他の異なる具体的実施形態で実施又は応用してもよく、本明細書の各詳細事項は、別の観点及び応用に基づき、本発明の主旨から逸脱しない範囲で各種の追加又は変更を加えてもよい。
【0021】
図1図2を参照する。なお、本実施例で提供する図面は、略図形式で本発明の基本思想を説明しているにすぎない。図面は実際の実施時における部材数、形状及びサイズに基づいて描画してはおらず、本発明に関連する部材のみを示しており、実際に実施するにあたっては、各部材の形態、数量及び比率は任意に変更可能であり、且つ、部材の配置形態もより複雑となる可能性がある。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明にかかるSMT装置の高速プロセスシステムを示すブロック図である。本発明は、SMT装置システム2がPCB実装作業を実行するよう制御するためのSMT装置の高速プロセスシステムを提供する。本実施例において、前記SMT装置システム2は、SMT製造過程にかかる実装装置及びAOI(Automatic Optic Inspection:自動光学検査)検査装置等を含み、例えば、富士(Fuji)の装置システムやSiplaceの装置システムなど、PCB実装作業やAOI検査に用いられる装置である。図に示すように、前記SMT装置の高速プロセスシステム1は、データ入力モジュール11、コアデータモジュール12、及びデータ出力モジュール13を少なくとも含む。
【0023】
前記データ入力モジュール11は、入力されたPCB設計ファイルとBOMファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータと図形データを含むコアデータを生成する。本実施例において、前記データ入力モジュール11が読み取る入力PCB設計ファイルには、CADファイル又はガーバーファイル、及び前記ガーバーファイルに対応する座標ファイルが含まれる。前記CADファイル、ガーバーファイル及びBOMファイルに対応して、前記データ入力モジュール11は、CAD入力手段、座標/ガーバー入力手段、及びBOM入力手段(図示しない)を含む。
【0024】
前記CAD入力手段は、研究開発等により提供されたCADファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータと図形データを含むコアデータに変換するために用いられる。前記座標/ガーバー入力手段は、研究開発等により提供された座標及びガーバーデータファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータと図形データを含むコアデータに変換するために用いられる。前記BOM入力手段は、生産に必要とされるBOMファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータを含むコアデータに変換するために用いられる。
【0025】
本実施例において、前記テキストデータには、部品コード、部品注記、部品外形名及び部品高さ等が含まれる。また、前記図形データには、部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置等が含まれる。
【0026】
前記コアデータモジュール12は前記データ入力モジュール11に接続され、前記SMT装置システム2及び部品共有データベース3とデータを共有する。本実施例では、前記コアデータモジュール12と前記SMT装置システム2、及び部品共有データベース3間でデータ共有接続が実現される。具体的には、前記SMT装置システム2が提供する第三者データの読み取り方式は、SMT装置システム2から部品データライブラリのデータを前記コアデータモジュール12へダウンロードするものであり、富士(Fuji)機械が提供するAPIとしてのUser Host Interfaceや、Siplaceが提供するAPIとしてのOIB(OPERATIONS INFORMATION BROKER)であってもよいし、或いは、他のテキストファイル、データベースなど各種形式の装置インタフェースであってもよい。本実施例では、前記部品共有データベース3は、例えば、WAN又はLANを介してSMT装置システム2に接続されるサーバーであってもよく、前記SMT装置の高速プロセスシステム1に内蔵される他のデータベースであってもよい。
【0027】
前記コアデータモジュール12は、ローカルデータベース121、検索手段122、構築手段123、及びチェック手段124を含む。
【0028】
前記ローカルデータベース121は、前記SMT装置システム2及び前記部品共有データベースとデータを共有し、内部で構築した部品データ、或いは前記SMT装置システム2から獲得した部品データ、或いは前記部品共有データベースから獲得した部品データを格納している。具体的には、現在使用中のローカルデータベース121として、その部品データは以下の三つをソースとしてもよい。
1.装置のデータベース読み取りモジュールを介してSMT装置システム2の部品データをダウンロードし、分析したもの。
2.部品共有データベース3からの部品共有データベースの部品データをダウンロードして格納したもの。
3.ローカルデータベース121自身で構築した部品データ。
【0029】
本実施例では、前記部品データは部品の属性情報、パッケージ情報、極性情報、図形情報、及び各部品に対応する吸着ノズル情報やフィーダー等の情報を含む。
【0030】
前記検索手段122は、前記データ入力モジュール11とローカルデータベース121に接続され、前記データ入力モジュール11から前記コアデータを読み取る。そして、前記コアデータに基づき、前記ローカルデータベース121から各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索し、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。また、前記ローカルデータベース121から実装すべき部品とマッチングする部品データが検索されない場合は、部品データの構築命令を出力する。
【0031】
本実施例では、前記検索手段122が各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索する際、まずは前記テキストデータに基づき、前記ローカルデータベース121から各当該実装すべき部品とマッチングする部品属性が存在するか否かを検索する。存在する場合、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。また、存在しない場合には、続いて前記図形データに基づき、前記ローカルデータベース121から各当該実装すべき部品とマッチングする図形情報が存在するか否かを検索する。そして、存在する場合には、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品データに関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。
【0032】
具体的に、前記検索手段122が各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索する場合には、以下の状況が含まれる。
1.部品コードをローカルデータベース121に送り、完全に同じである部品コードが存在するか否かを検索して、存在する場合、これらの部品データをそれらに定義して、マーキングを完了する。
2.部品データが存在しない部品については、次に、CAD或いは座標内の部品外形、及びBOM内の部品注記に基づき、部品の標準パッケージ名を検索して、ローカルデータベース121の部品データをそれらに定義し、マーキングを完了する。
3.部品データが存在しない部品については、次に、システムコア図形データに基づいてマッチングを行う。部品が2ピンを超える場合、ローカルデータベース121から部品ピン数が同じである部品を検索して、シミュレーションでこれを図形上に置いて比較し、IPC‐7351基準に基づいて最適なものを検索、提案し、定義する。また、部品のピンが2以下である場合、ローカルデータベース121からピンのない部品データを検索し、部品本体の寸法及びIPC‐7351基準に基づいて比較し、適切な部品データを検索して定義する。
4.更に部品データが存在しない部品については、操作者がローカルデータベース121を手動で検索して、部品本体の長さと幅、部品ピン数、部品ピン間隔、部品データ外形名等とマッチングする部品を検索してもよいことを示すメッセージを出力する。そして、経験に基づき適切なものを判断して定義する。
5.更に部品データが存在しない部品については、既存の部品データを複製し、パラメータを修正して構築してもよい。
6.更に部品データが存在しない部品については、部品データ構築モジュールを用いて構築してもよい。
【0033】
前記構築手段123は、前記データ入力モジュール11と検索手段122に接続され、前記部品データ構築命令を受信すると、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、構築した部品データを前記ローカルデータベース121へ格納して、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。
【0034】
本実施例では、前記構築手段123が前記部品データ構築命令を受信すると、まずはPCB設計ファイルのフォーマットを判断して、前記PCB設計ファイルがCADファイルであると判断された場合は、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築する。また、前記PCB設計ファイルがガーバーファイルであると判断された場合、まずは実装すべき部品のボンディングパッド情報を構築する必要があり、その後、実装すべき部品のコアデータに基づき部品データを構築する。
【0035】
具体的には、コアデータ内にはデータソースがタグ付けされており、ガーバーファイルソースの場合にはボンディングパッドの構築を選択する必要があるが、CADファイルソースの場合には、それ自体に部品とボンディングパッドの関連情報が存在している。まずは部品の方向を特定し、次に部品の外寸を自動で抽出するが、修正を加えてもよい。続いて、ピンを選択してピン情報を自動で生成する。ピン情報には、各ピンの座標及びピンサイズが含まれる。マトリクスピンを含む場合はマトリクス情報を生成する。そして、部品本体の寸法に応じて最適な吸着ノズルとフィーダーを提案する。次に、この部品に極性がある場合は、極性マークの図形と位置を選択する必要がある。続いて、自主的に機器装置のパラメータ、例えば部品の実装運転速度や供給位置等を書き込んでもよい。以上の手順により、全ての部品データの定義を終了し、新たに構築した部品データをローカルデータベース121へ格納することができる。
【0036】
前記チェック手段124は、前記データ入力モジュール11とローカルデータベース121に接続され、前記ローカルデータベース121において使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックする。そして、チェックの際にエラーを発見した場合、前記コアデータの図形データに基づいて当該使用可能部品としてマーキングされている部品データを修復する。
【0037】
本実施例では、前記チェック手段124が前記ローカルデータベース121において使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックする際、まずは当該部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するか否かを検証する。そして、一致する場合はチェック合格とし、一致しない場合にはチェックエラー情報を出力し、前記コアデータにおける図形データに基づいて、当該使用可能部品としてマーキングされている部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するよう修復する。
【0038】
具体的には、まず角度ずれと座標ずれのスマートキャリブレーションを行う。即ち、まず0度の部品データの図形をシミュレーションでコアデータの図形上に置き、部品データの図形領域内に含まれる、コアデータの図形内のボンディングパッド面積を計算する。次に、90度の部品データの図形をシミュレーションでシステムコアデータの図形上に置き、部品データの図形領域内に含まれる、コアデータの図形内のボンディングパッド面積を計算する。続いて、部品データに極性点が存在するか否かに基づき、極性の有無を判断する。極性がない場合は、0度と90度の図形に含まれる面積を比較し、最大のものを最終的な正しい角度とし、角度ずれを格納する。また、極性がある場合は比較することなく、180度の部品データの図形をシミュレーションでシステムコアデータの図形上に置き、部品データの図形領域内に含まれる、コアデータの図形内のボンディングパッド面積を計算する。次に、270度の部品データの図形をシミュレーションでシステムコアデータの図形上に置き、部品データの図形領域内に含まれる、コアデータの図形内のボンディングパッド面積を計算する。そして、面積が最大で極性マークの位置が最も近接するものを選択する。
【0039】
その後、部品データを定義した前記ローカルデータベース121で使用可能部品としてマーキングされている部品データとコア図形について、順にチェック及びマッチングを行う。
1.外形とパッケージが同時に存在しない部品の有無を判断する。
2.外形の有無を判断する。
3.フィーダーのパッケージ情報の有無を判断する。
4.外形とコア図形の中心が一致するか否かを判断する。
5.角度と極性がコア図形と不一致であるか否かを判断する。
6.ピン数が一致するか否かを判断する。
【0040】
以上では、一つに問題が存在する場合には、その次の判断は行わない。最後に、マニュアル検査モジュールを用い、出現した問題に応じて部品データを修正し、修正が完了すると、問題がなくなるまで自動チェックを実施し、修正する。
【0041】
前記データ出力モジュール13は、前記コアデータモジュール12とSMT装置システム2に接続され、前記チェック手段124でチェックに合格した部品データを当該SMT装置システム2へ出力して、当該SMT装置システム2にPCB実装或いはAOI検査作業を実行させる。本実施例では、前記データ出力モジュール13のデータ出力方式として、以下があげられる。
1)SMT装置システム2が開放インタフェースを備え、シームレスな統合とリンクによる出力をサポートしている場合、前記データ出力モジュール13は、開放インタフェースを介してシームレスにリンクし、関連の装置システムにおけるジョブデータ(JOB data)を直接出力する。富士のAPIインタフェースや、ASM/Siplace OIBインタフェースのように、例えば、前記データ出力モジュール13が提供する第三者データの出力方式は、チェックで合格した部品データを前記データ出力モジュール13から前記SMT装置システム2へ出力するものであり、富士(Fuji)機械が提供するAPIとしてのUser Host Interfaceや、Siplaceが提供するAPIとしてのOIB(OPERATIONS INFORMATION BROKER)であってもよいし、或いは、他のテキストファイル、データベースなど各種形式の装置インタフェースであってもよい。
2)前記データ出力モジュール13は、テキスト或いはその他の形式の中間データを出力して、SMT装置システム2に導入してもよい。
3)前記データ出力モジュール13とSMT装置システム2は、協働して組み込み式で実現してもよい。
【実施例2】
【0042】
本発明は、更に、SMT装置システムがPCB実装作業を実行するよう制御するためのSMT装置における高速プロセスの方法を提供する。本実施例において、前記SMT装置システム2は、SMT製造過程にかかる実装装置及びAOI(Automatic Optic Inspection:自動光学検査)検査装置等を含み、例えば、富士(Fuji)の装置システムやSiplaceの装置システムなど、PCB実装作業やAOI検査に用いられる装置である。前記SMT装置における高速プロセスの方法は、少なくとも以下のステップを含む。
【0043】
まず、ステップS1を実行してローカルデータベースを構築する。前記ローカルデータベースには、内部で構築した部品データ、或いは前記SMT装置システムから獲得した部品データ、或いは部品共有データベースから獲得した部品データが予め格納されている。前記部品データは、部品の属性情報、パッケージ情報、極性情報、図形情報、及び各部品に対応する吸着ノズル情報やフィーダー等の情報を含む。続いて、ステップS2を実行する。
【0044】
本実施例では、前記ローカルデータベースは、前記SMT装置システム及び前記部品共有データベースとデータを共有し、内部で構築した部品データ、或いは前記SMT装置システムから獲得した部品データ、或いは前記部品共有データベースから獲得した部品データを格納している。具体的には、現在使用中のローカルデータベースとして、その部品データは以下の三つをソースとしてもよい。
1.装置のデータベース読み取りモジュールを介してSMT装置システムの部品データをダウンロードし、分析したもの。
2.部品共有データベース3の部品共有データベースの部品データをダウンロードして格納したもの。
3.ローカルデータベース自身で構築した部品データ。
【0045】
本実施例では、前記部品共有データベース3は、例えば、WAN又はLANを介してSMT装置システム2に接続されるサーバーであってもよいし、前記SMT装置の高速プロセスシステム1に内蔵される他のデータベースであってもよい。
【0046】
ステップS2では、入力されたPCB設計ファイルとBOMファイルを読み取り、実装すべき全ての部品のテキストデータと図形データを含むコアデータを生成する。本実施例において読み取る入力PCB設計ファイルには、CADファイル、ガーバーファイル、及び前記ガーバーファイルに対応する座標ファイルが含まれる。前記テキストデータには、部品コード、部品注記、部品外形名及び部品高さが含まれる。また、前記図形データには、部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置が含まれる。続いて、ステップS3を実行する。
【0047】
ステップS3では、前記コアデータを読み取り、前記コアデータに基づいて、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索し、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。また、前記ローカルデータベースから実装すべき部品とマッチングする部品データが検索されない場合は、部品データ構築命令を出力する。続いて、ステップS4を実行する。
【0048】
本実施例では、各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索する際、まずは前記テキストデータに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする部品属性が存在するか否かを検索する。存在する場合、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品に関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。また、存在しない場合には、続いて前記図形データに基づき、前記ローカルデータベースから各当該実装すべき部品とマッチングする図形情報が存在するか否かを検索する。そして、存在する場合には、検索した部品データをこれに対応する実装すべき部品データに関連付けて、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。
【0049】
具体的に、前記検索手段122が各当該実装すべき部品とマッチングする部品データを検索する場合には、以下の状況が含まれる。
1.部品コードをローカルデータベースに送り、完全に同じである部品コードが存在するか否かを検索して、存在する場合、これらの部品データをそれらに定義して、マーキングを完了する。
2.部品データが存在しない部品については、次に、CAD或いは座標内の部品外形及びBOM内の部品注記に基づき、部品の標準パッケージ名を検索して、ローカルデータベースの部品データをそれらに定義し、マーキングを完了する。
3.部品データが存在しない部品については、次に、システムコア図形データに基づいてマッチングを行う。部品が2ピンを超える場合、ローカルデータベースから部品ピン数が同じである部品を検索して、シミュレーションでこれを図形上に置いて比較し、IPC‐7351基準に基づいて最適なものを検索、提案し、定義する。また、部品のピンが2以下である場合、ローカルデータベースからピンのない部品データを検索し、部品本体の寸法及びIPC‐7351基準に基づいて比較し、適切な部品データを検索して定義する。
4.更に部品データが存在しない部品については、操作者がローカルデータベースを手動で検索して、部品本体の長さと幅、部品ピン数、部品ピン間隔、部品データ外形名等とマッチングする部品を検索してもよいことを示すメッセージを出力する。そして、経験に基づき適切なものを判断して定義する。
5.更に部品データが存在しない部品については、既存の部品データを複製し、パラメータを修正して構築してもよい。
6.更に部品データが存在しない部品については、部品データ構築モジュールを用いて構築してもよい。
【0050】
ステップS4では、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築し、構築した部品データを前記ローカルデータベースへ格納して、当該部品データを使用可能部品としてマーキングする。続いて、ステップS5を実行する。
【0051】
本実施例では、前記部品データ構築命令を受信すると、まずはPCB設計ファイルのフォーマットを判断して、前記PCB設計ファイルがCADファイルであると判断された場合は、実装すべき部品のコアデータに基づいて部品データを構築する。また、前記PCB設計ファイルがガーバーファイルであると判断された場合、まずは実装すべき部品のボンディングパッド情報を構築する必要があり、その後、実装すべき部品のコアデータに基づき部品データを構築する。
【0052】
具体的には、コアデータ内にはデータソースがタグ付けされており、ガーバーファイルソースの場合にはボンディングパッドの構築を選択する必要があるが、CADファイルソースの場合には、それ自体に部品とボンディングパッドの関連情報が存在している。まずは部品の方向を特定し、次に部品の外寸を自動で抽出するが、修正を加えてもよい。続いて、ピンを選択してピン情報を自動で生成する。ピン情報には、各ピンの座標及びピンサイズが含まれる。マトリクスピンを含む場合はマトリクス情報を生成する。そして、部品本体の寸法に応じて最適な吸着ノズルとフィーダーを提案する。次に、この部品に極性がある場合は、極性マーク図形と位置を選択する必要がある。続いて、使用者自身により機器装置のパラメータ、例えば部品の実装運転速度や供給位置等を書き込んでもよい。以上のステップにより、全ての部品データの定義を完了し、新たに構築した部品データをローカルデータベースへ格納することができる。
【0053】
ステップS5では、前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックする。そして、チェックの際にエラーを発見した場合、前記コアデータの図形データに基づいて当該使用可能部品としてマーキングされている部品データを修復する。続いて、ステップS6を実行する。
【0054】
本実施例では、前記ローカルデータベースにおいて使用可能部品としてマーキングされている部品データをチェックする際、まずは当該部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するか否かを検証する。そして、一致する場合はチェック合格とし、一致しない場合にはチェックエラー情報を出力し、前記コアデータにおける図形データに基づいて、当該使用可能部品としてマーキングされている部品データの部品外寸、部品ピンサイズ、ピン数、ピン間隔、極性点マーク、及び第1ピン位置がそのコアデータと一致するよう修復する。
【0055】
具体的には、まず角度ずれと座標ずれのスマートキャリブレーションを行う。即ち、まず0度の部品データの図形をシミュレーションでコアデータの図形上に置き、部品データの図形領域内に含まれる、コアデータの図形内のボンディングパッド面積を計算する。次に、90度の部品データの図形をシミュレーションでシステムコアデータの図形上に置き、部品データの図形領域内に含まれる、コアデータの図形内のボンディングパッド面積を計算する。続いて、部品データに極性点が存在するか否かに基づき、極性の有無を判断する。極性がない場合は、0度と90度の図形に含まれる面積を比較し、最大のものを最終的な正しい角度とし、角度ずれを格納する。また、極性がある場合は比較することなく、180度の部品データの図形をシミュレーションでシステムコアデータの図形上に置き、部品データの図形領域内に含まれる、コアデータの図形内のボンディングパッド面積を計算する。次に、270度の部品データの図形をシミュレーションでシステムコアデータの図形上に置き、部品データの図形領域内に含まれる、コアデータの図形内のボンディングパッド面積を計算する。そして、面積が最大で極性マーク位置が最も近接するものを選択する。
【0056】
その後、部品データを定義した前記ローカルデータベースで使用可能部品としてマーキングされている部品データとコア図形について、順にチェック及びマッチングを行う。
1.外形とパッケージが同時に存在しない部品の有無を判断する。
2.外形の有無を判断する。
3.フィーダーのパッケージ情報の有無を判断する。
4.外形とコア図形の中心が一致するか否かを判断する。
5.角度と極性がコア図形と不一致であるか否かを判断する。
6.ピン数が一致するか否かを判断する。
【0057】
以上では、一つに問題が存在する場合には、その次の判断は行わない。最後に、マニュアル検査モジュールを用い、出現した問題に応じて部品データを修正し、修正が完了すると、問題がなくなるまで自動チェックを実施し、修正する。
【0058】
ステップS6では、チェックに合格した部品データを当該SMT装置システムへ出力して、当該SMT装置システムにPCB実装或いはAOI検査作業を実行させる。本実施例では、チェックに合格した部品データを当該SMT装置システムへ出力するデータ出力方式として、以下があげられる。
1)SMT装置システムが開放インタフェースを備え、シームレスな統合とリンクによる出力をサポートしている場合、開放インタフェースを介してシームレスにリンクし、関連の装置システムにおけるジョブデータ(JOB data)を直接出力する。富士のAPIインタフェースや、ASM/Siplace OIBインタフェースのように、例えば、提供される第三者データの出力方式は、チェックで合格した部品データを前記SMT装置システムへ出力するものであり、富士(Fuji)機械が提供するAPIとしてのUser Host Interfaceや、Siplaceが提供するAPIとしてのOIB(OPERATIONS INFORMATION BROKER)であってもよいし、或いは、他のテキストファイル、データベースなど各種形式の装置インタフェースであってもよい。
2)テキスト或いはその他形式の中間データを出力して、SMT装置システムに導入してもよい。
3)協働して組み込み式で実現してもよい。
【0059】
以上述べたように、本発明にかかるSMT装置の高速プロセスシステム及び方法は、従来技術におけるSMT装置のプロセスシステムでは、部品データライブラリのデータの作成に多大な時間を要することから、生産効率が低下し、部品の角度や極性のチェックが不可能となるために製品の歩留り低下等が生じる、との課題を解決した。本発明のSMT装置の高速プロセスシステム及び方法によれば、新機種のプログラミングの全体周期が大幅に短縮され、機器のプログラミングにおけるデバッグ所要時間が十分に短くなり、労働力コストが合理的に節約される。また、現在の業界における方案と比較し、以下の有益な効果が得られる。即ち、本発明のSMT装置の高速プロセスシステム及び方法を実施すれば、設計情報を最大限利用可能である。つまり、100%の正確な利用が実現される。また、スマート基準点と基板情報を取得する際に、15分以上の時間が短縮される。また、スマートマッチング及び部品データベースの構築時には、80%の時間短縮が可能であり、角度及び極性の自動キャリブレーションにあたっては、デバッグ時間が90%短縮される。また、シームレス生成装置のプログラムでは、装置プログラムのデータの正確さと完成度が確保される。本発明のSMT装置の高速プロセスシステム及び方法は、煩雑な作業を簡易化且つフールプルーフ化しており、従来は8時間以上を要していた作業を2時間以内に短縮し、全体として効率を50%以上向上した。従って、本発明は従来技術における種々の欠点を克服しており、高度な産業上の利用価値を有する。
【0060】
上記の実施例は、本発明の原理及び効果を説明するための例示にすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の主旨及び範囲から逸脱しないことを前提に、上記の実施例について追加又は変更を加えてもよい。よって、当業者が本発明に開示される主旨及び技術思想から逸脱しないことを前提に実施する全ての等価の追加或いは変更は、いずれも本発明の特許請求の範囲に包括される。
図1
図2