(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したスライドドアの開閉制御装置では、グリップハンドル100に静電容量センサ101〜105が内蔵されていることが分かり難いため、不慣れなユーザが静電容量センサ101〜105を活用できず、従来通りグリップハンドル100を把持してドアの開閉操作を行う場合が多い。
このため、静電容量センサ101〜105を使用したスライドドアの開閉制御装置の利用度が低いという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、スライドドアの開閉制御装置のタッチパネルを使い易くすることで、タッチパネルの利用度を高くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、次の発明によって解決される。
請求項1に係る発明は、モータを駆動源として自動車のボディ側面に沿って車両前後方向にスライドし、その自動車の乗降口を開閉するスライドドアの開閉制御装置であって、前記自動車の外観を構成する部材の表面には、前記スライドドアの開閉操作用のタッチパネルが設けられており、前記タッチパネルには、複数の操作部と、それらの操作部に対応する光源とが設けられており、
前記複数の操作部は、前記スライドドアの開閉方向に一列に配置されている全開操作部、及び全閉操作部と、前記スライドドアを全閉位置と全開位置との間の途中位置に停止させる途中停止操作部とを有し、前記スライドドアが全閉位置にあるときは、前記開閉方向における開方向側に設けられている前記全開操作部に対応する光源が点灯し、前記スライドドアが全開位置にあるときは、前記開閉方向における閉方向側に設けられている前記全閉操作部に対応する光源が点灯し、前記途中停止操作部が操作されて前記スライドドアが前記途中位置で停止すると、前記開閉方向における開方向側及び閉方向側の両側に設けられる前記全開操作部と全閉操作部とに対応する光源が点灯することを特徴とする。
ここで、自動車の外観を構成する部材とは、ボディ、ドアのみならず、サイドミラー等も含むものとする。
【0007】
本発明によると、スライドドアの開閉状況に応じて操作可能な操作部に対応する光源が点灯し、操作可能な操作部の表示が見えるようになる。
例えば、スライドドアが全閉であれは、スライドドアの開方向の操作が可能であり、開方向の操作部に対応する光源が点灯し、その操作部の表示が見えるようになる。逆に、スライドドアが全開であれは、スライドドアの閉方向の操作が可能であり、閉方向の操作部に対応する光源が点灯し、その操作部の表示が見えるようになる。
このため、タッチパネルに慣れていないユーザであってもタッチパネルが使い易くなる。
【0008】
請求項2の発明によると、消灯している光源に対応する操作部は操作不能であることを特徴とする。
このため、消灯している光源に対応する操作部を誤って操作しても、スライドドアが意に反して動作するような不具合を防止できる。
【0009】
請求項3の発明によると、タッチパネルは、スライドドアの窓枠を構成する前側フレームに設けられていることを特徴とする。
即ち、タッチパネルをスライドドアのグリップハンドルの近くに配置できるため、スライドドアの開閉操作時にタッチパネルを触り易くなる。
【0010】
請求項4の発明によると、スライドドアが全閉位置にあるときは、全開操作部と
、前記途中停止操作部の一つである半開操作部に対応する光源が点灯し、前記全開操作部と半開操作部との表示が見えるように構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明によると、スライドドアが全開位置にあるときは、全閉操作部に対応する光源が点灯し、全閉操作部の表示が見えるように構成されていることを特徴とする。
請求項6の発明によると、スライドドアがスライドしているときは、そのスライドドアの
前記途中停止操作部の一つである停止用操作部の光源が点灯し、前記停止用操作部の表示が見えるように構成されていることを特徴とする。
このため、タッチパネルの誤操作を防止できるようになる。
【0011】
請求項7の発明によると、スライドドアが全閉位置にあって、全閉ロック状態であるときは、全ての操作部に対応する光源が消灯し、前記操作部が操作不能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、タッチパネルに慣れていないユーザであってもタッチパネルが使い易くなり、タッチパネルの利用度が高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態1]
以下、
図1から
図9に基づいて本発明の実施形態1に係るスライドドアの開閉制御装置について説明する。
本実施形態に係るスライドドアの開閉制御装置は、ワンボックスタイプの自動車における右側スライドドアの開閉制御装置に関するものである。
ここで、図中の前後左右及び上下は、自動車の前後左右及び上下に対応している。
【0015】
<スライドドア20の概要について>
ワンボックスタイプの自動車10は運転席側乗降口と助手席側乗降口(図示省略)とを備えており、それらの乗降口の後方に、
図1に示すように、それぞれ中央乗降口12が形成されている。そして、運転席側乗降口と助手席側乗降口とが扉状のフロントドア(図示省略)によって開閉され、左右の中央乗降口12がそれぞれ左右のスライドドア20によって開閉されるように構成されている。ここで、左右のスライドドア20は等しい構成であるため、代表して右側のスライドドア20についてその構成を説明する。
スライドドア20は、
図1等に示すように、モータ37(PSDモータ37)を駆動源として自動車10のボディ側面に沿って車両前後方向にスライドすることにより、中央乗降口12を開閉できるように構成されている。スライドドア20は、ドア本体部25と窓部27とを備えており、ドア本体部25の前部でベルトラインL近傍位置にグリップハンドル25hが設けられている。グリップハンドル25hには、スライドドア20の開閉等の操作スイッチ(図示省略)が設けられており、そのグリップハンドル25hの操作スイッチの信号がスライドドア20のコントローラであるPSD/ECU35に入力されるようになっている。PSD/ECU35は、グリップハンドル25hの操作スイッチの信号、あるいはタッチパネルECU33からの信号(後記する)に基づいてモータ37を駆動させ、スライドドア20を閉方向、あるいは開方向にスライドさせられるように構成されている。
【0016】
<スライドドア20の開閉制御装置30について>
スライドドア20の開閉制御装置30は、
図1、
図2に示すように、タッチパネル31を操作することでスライドドア20を開閉動作させる装置である。前記開閉制御装置30は、
図2に示すように、タッチパネル31と、タッチパネルECU33と、PSD/ECU35と、PSDモータ37(モータ37)とから構成されている。
タッチパネル31は、ユーザが指で触って操作するパネルであり、
図1に示すように、スライドドア20の外側で窓枠を構成する前側フレーム27fの表面に設けられている。タッチパネル31には、
図2、
図3に示すように、全開操作部31fと半開操作部31hと停止用操作部31sと全閉操作部31cとが設けられている。
【0017】
タッチパネル31の全開操作部31fは、スライドドア20を全開させるときにタッチ操作する操作部であり、
図2に示すように、全開LED311と、静電容量センサからなる全開スイッチ312とを備えている。
タッチパネル31の半開操作部31hは、スライドドア20を半開させるときにタッチ操作する操作部であり、半開LED313と、静電容量センサからなる半開スイッチ314とを備えている。
タッチパネル31の停止用操作部31sは、スライド中のスライドドア20を緊急停止させるための操作部であり、停止用LED315と、静電容量センサからなる停止用スイッチ316とを備えている。
タッチパネル31の全閉操作部31cは、スライドドア20を全閉させるときにタッチ操作する操作部であり、全閉LED317と、静電容量センサからなる全閉スイッチ318とを備えている。
即ち、前記半開操作部31hと停止用操作部31sとが本発明の途中停止操作部に相当する。
【0018】
タッチパネル31は、
図4の模式断面(
図3のIV-IV模式断面図)に示すように、例えば、停止用LED315の光を停止用操作部31sの位置まで導く導光板321を備えており、その導光板321に絶縁フィルム322が積層されている。さらに、絶縁フィルム322には静電容量センサ323(スイッチ)が重ねられており、その静電容量センサ323に停止用操作部31sの模様が印刷されたスクリーン324が積層されている。そして、スクリーン324の上に半透明フィルム325が積層されている。
上記構成により、停止用LED315が点灯すると、その光が導光板321により停止用操作部31sの位置まで導かれ、スクリーン324に印刷された模様が浮き上がって見えるようになる。
即ち、停止用LED315等が本発明の光源に相当する。
なお、全開操作部31fと半開操作部31hと全閉操作部31cの構成も停止用操作部31sの構成と等しいため、説明は省略する。
【0019】
タッチパネルECU33は、
図2に示すように、タッチパネル31の各操作部31f,31h,31s,31cから入力された信号をPSD/ECU35に伝送するためのコントローラである。また、タッチパネルECU33は、PSD/ECU35からの信号を受けて、スライドドア20の開閉状況に応じて操作可能なタッチパネル31の操作部31f,31h,31s,31cのLED311,313,315,317を点灯させられるように構成されている。さらに、タッチパネルECU33は、LED311,313,315,317が点灯していない操作部31f,31h,31s,31cにおけるスイッチ312,314,316,318の動作を無効にできるように構成されている。
【0020】
<スライドドア20の開閉制御装置30の動作について>
次に、
図5から
図8に基づいてスライドドア20の開閉制御装置30の動作について説明する。ここで、
図7、
図8に示すフローチャートの処理は、PSD/ECU35のメモリに格納されたプログラムに基づいて所定時間毎に繰り返し実行される。
先ず、自動車10のスライドドア20が全閉ロック状態では、
図6に示すように、スライドドア20のタッチパネル31の全ての操作部31f,31h,31s,31cのLED311,313,315,317が消灯している。この状態では、タッチパネル31の各操作部31f,31h,31s,31cのスイッチ312,314,316,318の動作は無効となる。
次に、スライドドア20の全閉ロックが解除されると(
図7 ステップS101 YES)、タッチパネル31の半開操作部31hの半開LED313と全開操作部31fの全開LED311が点灯して、
図5(B)、
図6に示すように、半開操作部31hの模様と全開操作部31fの模様が浮き上がって見えるようになる。これにより、タッチパネル31の半開操作部31hと全開操作部31fとが操作可能になる(
図7 ステップS102)。
【0021】
この状態で、タッチパネル31の全開操作部31fにタッチ操作すると、全開操作部31fの全開スイッチ312がオンし(
図7 ステップS103 YES)、スライドドア20のモータ37が駆動して、スライドドア20が開方向にスライドする(
図7 ステップS104)。さらに、スライドドア20のスライドにより、
図5(C)、
図6上段に示すように、全開LED311、半開LED313が消灯して、停止用操作部31sの停止用LED315が点灯する。これにより、タッチパネル31の停止用操作部31sの模様が浮き上がって見えるようになり、停止用操作部31sが操作可能になる(
図7 ステップS104)。
そして、
図6上段に示すように、タッチパネル31の停止用操作部31sがタッチ操作されないまま(
図7 ステップS105 NO)、スライドドア20が全開位置まで到達すると、スライドドア20のモータ37が停止し、スライドドア20が全開位置に保持される(
図7 ステップS106)。これにより、タッチパネル31の停止用操作部31sの停止用LED315が消灯し、
図5(D)、
図6上段に示すように、全閉操作部31cの全閉LED317が点灯する。これにより、タッチパネル31の全閉操作部31cの模様が見えるようになり、全閉操作部31cが操作可能になる(
図7 ステップS107)。
【0022】
スライドドア20が全開位置に保持されている状態で、タッチパネル31の全閉操作部31cがタッチ操作されると、全閉操作部31cの全閉スイッチ318がオンし(
図8 ステップS108 YES)、スライドドア20のモータ37が駆動して、スライドドア20が閉方向にスライドする(
図8 ステップS109)。これにより、タッチパネル31の全閉操作部31cの全閉LED317が消灯し、停止用操作部31sの停止用LED315が点灯する。これにより、上記したように停止用操作部31sが操作可能になる(
図8 ステップS109)。
そして、タッチパネル31の停止用操作部31sがタッチ操作されないまま(
図8 ステップS110 NO)、スライドドア20が全閉位置まで到達すると、スライドドア20のモータ37が停止し、スライドドア20が全閉位置に保持される(
図8 ステップS111)。これにより、タッチパネル31の停止用操作部31sの停止用LED315が消灯し、
図5(B)、
図6上段に示すように、全開操作部31fの全開LED311と半開操作部31hの半開LED313が点灯する。この結果、タッチパネル31の全開操作部31fと半開操作部31hが操作可能になる(
図8 ステップS111)。
次に、スライドドア20が全閉位置にある状態で、スライドドア20が全閉ロックされると(
図8 ステップS112 YES)、タッチパネル31の全開操作部31fの全開LED311と半開操作部31hの半開LED313が消灯し、全開操作部31fと半開操作部31hとが操作不能になる(
図8 ステップS113)。
【0023】
また、スライドドア20の全閉ロックが解除されて、タッチパネル31の半開操作部31hがタッチ操作されると、半開操作部31hの半開スイッチ314がオンし(
図7 ステップS121 YES)、スライドドア20のモータ37が駆動して、スライドドア20が開方向にスライドする。さらに、スライドドア20がスライドすると、
図5(C)、
図6中段に示すように、全開LED311、半開LED313が消灯して、停止用操作部31sの停止用LED315が点灯する。これにより、タッチパネル31の停止用操作部31sが操作可能になる(
図7 ステップS122)。
そして、
図6中段に示すように、タッチパネル31の停止用操作部31sがタッチ操作されないまま(
図7 ステップS123 NO)、スライドドア20が半開位置まで到達すると、スライドドア20のモータ37が停止し、スライドドア20が半開位置に保持される(
図7 ステップS124)。これにより、タッチパネル31の停止用操作部31sの停止用LED315が消灯し、
図5(A)、
図6中段に示すように、全閉操作部31cの全閉LED317と全開操作部31fの全開LED311が点灯する。したがって、タッチパネル31の全閉操作部31cと全開操作部31fが操作可能になる(
図7 ステップS125)。
【0024】
スライドドア20が半開位置にある状態で、タッチパネル31の全閉操作部31cがタッチ操作されると、全閉操作部31cの全閉スイッチ318がオンし(
図8ステップS108 YES)、上記したステップS109からステップS111(
図8)の処理により、スライドドア20が全閉位置までスライドする。
また、スライドドア20が半開位置にある状態で、タッチパネル31の全開操作部31fがタッチ操作されると(
図8ステップS108 NO、ステップS114 YES)、上記したステップS104〜107(
図7)の処理により、スライドドア20が全開位置までスライドする(
図6中段参照)。
さらに、スライドドア20がスライドしている途中でタッチパネル31の停止用操作部31sがタッチ操作されると(
図7 ステップS105 YES、ステップS123 YES、
図8 ステップ110 YES)、スライドドア20がその位置で停止する(
図7 ステップS126)。そして、タッチパネル31の停止用操作部31sの停止用LED315が消灯し、
図5(A)、
図6下段に示すように、全閉操作部31cの全閉LED317と全開操作部31fの全開LED311が点灯する。したがって、タッチパネル31の全閉操作部31cと全開操作部31fが操作可能になる(
図7 ステップS125)。
なお、タッチパネル31の全閉操作部31c、あるいは全開操作部31fをタッチ操作後のスライドドア20の動作は上記した動作と同様である。
【0025】
<本実施形態に係るスライドドア20の開閉制御装置30の長所について>
本実施形態に係るスライドドア20の開閉制御装置30によると、スライドドア20の開閉状況に応じて操作可能な操作部31f,31h,31s,31cに対応するLED311,313,315,317(光源)が点灯し、操作可能な操作部31f,31h,31s,31cの模様(表示)が見えるようになる。
例えば、スライドドア20が全閉であれは、スライドドア20の開方向の操作部(全開操作部31f、半開操作部31h)に対応するLED311,313が点灯し、全開操作部31f、半開操作部31hの模様(表示)が見えるようになる。逆に、スライドドア20が全開であれは、スライドドアの閉方向の操作部(全閉操作部31c)に対応するLED317が点灯し、その全閉操作部31cの表示が見えるようになる。
このため、タッチパネル31に慣れていないユーザであってもタッチパネル31が使い易くなる。
また、消灯しているLED(光源)に対応する操作部は操作不能であるため、消灯している光源に対応する操作部を誤って操作しても、スライドドア20が意に反して動作するような不具合を防止できる。
また、タッチパネル31は、スライドドア20の窓枠を構成する前側フレーム27fに設けられている。即ち、タッチパネル31をスライドドア20のグリップハンドル25hの近くに配置できるため、スライドドア20の開閉操作時にタッチパネル31を触り易くなる。
【0026】
<変更例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、タッチパネル31をスライドドア20の窓枠を構成する前側フレーム27fに設ける例を示した。しかし、タッチパネル31をスライドドア20のグリップハンドル25hとほぼ等しい高さ位置で、グリップハンドル25hに沿って配置することも可能である。さらに、タッチパネル31とグリップハンドル25hとを一体化することも可能である。また、タッチパネル31をスライドドア20近傍のボディの側面に設けることも可能である。
また、本実施形態では、
図3等に示すように、タッチパネル31の全閉操作部31cと全開操作部31fとを向かい合わせに配置する例を示したが、
図9に示すように、全閉操作部31cと全開操作部31fとを移動方向を表す矢印状に大きく配置することも可能である。さらに、タッチパネル31における各々の操作部31f,31h,31s,31cの配置を適宜変更することも可能である。
また、本実施形態では、自動車10のスライドドア20が全閉ロック状態では、タッチパネル31の全ての操作部31f,31h,31s,31cのスイッチ312,314,316,318の動作が無効になるようにした。しかし、例えば、ユーザが認証キーを持って近づいたことを、PSD/ECU35等のECUが検出した場合には、スライドドア20が全閉ロック状態であってもタッチパネル31の半開操作部31h、及び全開操作部31fを操作可能としても良い。