特許第6168558号(P6168558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6168558高周波モジュール、電子機器及び、高周波モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6168558
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】高周波モジュール、電子機器及び、高周波モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20170713BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H01Q1/38
   H01Q1/24 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-47671(P2014-47671)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-173324(P2015-173324A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中川 真志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 謙
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友貴
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−318249(JP,A)
【文献】 国際公開第02/003665(WO,A1)
【文献】 特開2004−17448(JP,A)
【文献】 特開2000−286624(JP,A)
【文献】 特開2007−104225(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0297421(US,A1)
【文献】 米国特許第6342869(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板に搭載された高周波回路部と、
前記第1の基板に一端が接続されたフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に設けられ、前記フレキシブル基板の両端に接続電極を有する信号配線が配置された信号配線部と、
前記フレキシブル基板の側辺に沿って設けられ、前記フレキシブル基板の一端に接続電極を有し、他方が先端部を有するアンテナ素子が配置されたアンテナ素子部と、を備え、
前記信号配線部と前記アンテナ素子部との間から前記アンテナ素子の先端部側に前記フレキシブル基板の側辺までの間を分離する切欠き部が設けられていることを特徴とする高周波モジュール。
【請求項2】
主基板を備え、請求項1に記載の高周波モジュールが前記フレキシブル基板によって前記主基板に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記高周波回路部を覆うシールド部材を備え、
前記シールド部材には貫通孔が設けられ、
前記フレキシブル基板の前記アンテナ素子部が、前記貫通孔から前記シールド部材の外側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記主基板と前記高周波モジュールと、を収納する絶縁性の筐体を有し、
前記フレキシブル基板の前記アンテナ素子部が、前記筐体の内壁に沿って配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
第1の基板に搭載された高周波回路部と、
前記第1の基板に一端が接続されたフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に設けられ、前記フレキシブル基板の両端に接続端子を有する信号配線を配置された信号配線部と、
前記フレキシブル基板の側辺に沿って設けられ、前記フレキシブル基板の一端に接続端子を有し、他方が先端部を有するアンテナ素子を配置したアンテナ素子部と、を備え、
前記信号配線部と前記アンテナ素子部との間から前記アンテナ素子の先端部側に前記フレキシブル基板の側辺までの間を分離する切欠き部が設けられている高周波モジュールの製造方法であって、
前記アンテナ素子部は、前記アンテナ素子の前記先端部を所定の長さに切断することを特徴とする高周波モジュールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波モジュール及び、高周波モジュールを用いた電子機器に関し、特に、アンテナを備えた高周波モジュール、電子機器及び、高周波モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、デジタルカメラ等の電子機器にデジタル放送を受信する機能や、他の電子機器と無線で通信する機能が内蔵されたものが広く普及している。
【0003】
これらの電子機器に用いられる放送受信モジュールや通信モジュール等の高周波モジュールは、小型化・薄膜化が求められると共に、電子機器の筐体内に緻密に実装できることが求められている。
【0004】
特許文献1(従来例1)に記載のモジュール装置800では、図7に示すように、配線基板802の主面上に、シールドケース803に被覆されてモジュール構成電子部品や素子或いはチップ部品等を有する無線通信モジュール部が搭載されている。また、配線基板802の主面上にチップアンテナ805が搭載されてアンテナ一体型のモジュール装置800を構成する技術が開示されている。
【0005】
また特許文献2(従来例2)に記載の通信装置900では、図8(a)に示すように、プリント基板901と、プリント基板902と、フレキシブル基盤を用いた接続部903とを備えている。フレキシブル基板を用いた接続部903に図8(b)に示すように、配線群905とアンテナ配線904とを配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002‐353841号公報
【特許文献2】特開2012‐239030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来例1では、アンテナ素子を実装する面積分モジュールの基板スペースを確保する必要があるという課題があった。
【0008】
また従来例2では、アンテナ素子を実装するための基板スペースを確保する必要はないが、アンテナ配線が信号配線と並んで配置されるため、信号配線と結合を生じてしまい信号配線からのノイズを受けてしまう虞があるという課題があった。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するもので、ノイズの影響を低減することができ、電子機器に実装が容易な、アンテナを備えた高周波モジュールを提供することを目的とする。また、このようなモジュールを備えた電子機器及びモジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明の高周波モジュールは、第1の基板に搭載された高周波回路部と、前記第1の基板に一端が接続されたフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられ、前記フレキシブル基板の両端に接続端子を有する信号配線が配置された信号配線部と、前記フレキシブル基板の側辺に沿って設けられ、前記フレキシブル基板の一端に接続端子を有し、他方が先端部を有するアンテナ素子が配置されたアンテナ素子部と、を備え、前記信号配線部と前記アンテナ素子部との間から前記アンテナ素子の先端部側に前記フレキシブル基板の側辺までの間を分離する切欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
これによれば、フレキシブル基板のアンテナ素子部が切欠き部によって信号配線部と分離されているため、アンテナ部を信号配線から離して設置することが可能になるため、信号配線からのノイズの影響を低減することができる。また、信号配線側とアンテナ素子側をそれぞれ独立して屈曲させることができるので、電子機器の内部への実装が容易になる。従って、ノイズの影響を低減することができ、電子機器に実装が容易な、アンテナを備えた高周波モジュールを提供することができる。
【0012】
また、本発明の電子機器は、主基板を備え、前記の高周波モジュールが前記フレキシブル基板によって前記主基板に接続されていることを特徴とする。
【0013】
これによれば、ノイズの影響を低減することができ、電子機器に実装が容易な、アンテナを有する高周波モジュールを備えた電子機器を提供することができる。
【0014】
また、本発明の電子機器は、前記高周波回路部を覆うシールド部材を備え、前記シールド部材には貫通孔が設けられ、前記フレキシブル基板の前記アンテナ素子部が、前記貫通孔から前記シールド部材の外側に配置されていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、シールド部材によって高周波回路部がシールドされるので、アンテナ素子が受信する信号以外の信号の影響を低減することができる。
【0016】
また、本発明の電子機器は、前記主基板と前記高周波モジュールと、を収納する絶縁性の筐体を有し、前記フレキシブル基板の前記アンテナ素子部が、前記筐体の内壁に沿って配置されていることを特徴とする。
【0017】
これによれば、アンテナ素子部が絶縁性の筐体に沿って配置されているので、アンテナの性能が低下することなく動作することができる。
【0018】
また、本発明の高周波モジュールの製造方法は、第1の基板に搭載された高周波回路部と、前記第1の基板に一端が接続されたフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に設けられ、前記フレキシブル基板の両端に接続端子を有する信号配線を配置された信号配線部と、前記フレキシブル基板の側辺に沿って設けられ、前記フレキシブル基板の一端に接続端子を有し、他方が先端部を有するアンテナ素子を配置したアンテナ素子部と、を備え、前記信号配線部と前記アンテナ素子部との間から前記アンテナ素子の先端部側に前記フレキシブル基板の側辺までの間を分離する切欠き部が設けられている高周波モジュールの製造方法であって、前記アンテナ素子部は、前記アンテナ素子の前記先端部を所定の長さに切断することを特徴とする。
【0019】
これによれば、高周波モジュールが適用される電子機器の実装状態に応じて予め求められた所定の長さにアンテナ素子の長さを切断することで、簡単に搭載される電子機器に応じた最適な長さのアンテナを備えた高周波モジュールを供給することができる。このため、複数の製品でフレキシブル基板を共通化できるので、コストや在庫の削減を行うことなどが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上により、本発明によれば、ノイズの影響を低減することができ、電子機器に実装が容易な、アンテナを備えた高周波モジュールを提供することができる。また、このような高周波モジュールを備えた電子機器及び高周波モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る高周波モジュールの外観模式図である。
図2】高周波モジュールのフレキシブル基板を説明する図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る電子機器の構成を説明する分解斜視図である。
図4】第2実施形態に係る電子機器の主基板と高周波モジュールとの接続状態を説明する図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る電子機器の構造を説明する図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る高周波モジュールの製造方法の説明図である。
図7】従来例1のモジュール装置の説明図である。
図8】従来例2の通信装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態に係る高周波モジュール100について説明する。
【0023】
まず始めに本発明の第1実施形態に係る高周波モジュール100の構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は高周波モジュール100の構成を示す外観模式図である。図1(a)は斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示すZ1側から見た平面図であり、図1(c)は図1(a)に示すY1側から見た側面図である。図2は、高周波モジュール100のフレキシブル基板3を説明する図である。図2(a)はフレキシブル基板3を上面(図1に示すZ1側)から見た図であり、図2(b)は下面(図1に示すZ2側)から見た図であり、図2(c)は図2(b)に示す接続部3aの拡大図であり、図2(d)は図2(b)に示す接続部3bの拡大図である。
【0024】
高周波モジュール100は、図1(a)に示すように、第1の基板1と、高周波回路部2と、フレキシブル基板3と、を備えている。
【0025】
第1の基板1は、ガラスエポキシ等の樹脂材料からなる基材に銅等の金属箔によって図示しない配線パターンが形成されており、矩形状に形成されている。
【0026】
高周波回路部2は、第1の基板1に形成された配線パターンに、図示しないICやトランジスタ等の半導体部品やチップ部品等が実装されて回路が構成されており、図1に示すように、第1の基板1の上面(図1に示すZ1)側に搭載されている。
【0027】
フレキシブル基板3は、ポリイミドなどの可撓性を有する絶縁材料からなる基材に銅等の金属箔によって、図2(a),(b)に示すように信号配線4とアンテナ素子5とが形成されている。また、フレキシブル基板3の一端には接続部3aが設けられ、他端には接続部3bが設けられている。
【0028】
信号配線4は図2(a),(b)に示すように、フレキシブル基板3の両端を結ぶように複数配置され、信号配線部3cを形成している。信号配線4の両端には図2(c),(d)に示すように接続端子4aが設けられ、フレキシブル基板3の両端の接続部(3a,3b)にそれぞれ配置されている。
【0029】
アンテナ素子5は図2(a),(b)に示すように、フレキシブル基板3の側辺(図2に示すY1側)に沿って設けられ、アンテナ素子部3dを形成している。アンテナ素子5の一方は図2(c)に示すようにフレキシブル基板3の一端の接続部3aに接続端子5aを有しており、他方が図2(a),(b)に示すように、先端部5bを有している。
【0030】
フレキシブル基板3には図1及び図2に示すように、信号配線部3cとアンテナ素子部3dとの間からアンテナ素子5の先端部5b側にフレキシブル基板3の側辺までの間を分離する切欠き部3eが設けられている。従って、信号配線部3cとアンテナ素子部3dとは、フレキシブル基板3の一端に設けられた接続部3a側で一体となっており、アンテナ素子5の先端部5b側では切欠き部3eによって分離されている。
【0031】
フレキシブル基板3の一端に備えられた接続部3aが図1に示すように第1の基板1に接続されており、高周波回路部2と、フレキシブル基板3に設けられた複数の信号配線4及びアンテナ素子5は、第1の基板1に設けられた配線パターンによって接続されている。
【0032】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0033】
本実施形態の高周波モジュール100は、第1の基板1に搭載された高周波回路部2と、第1の基板1に一端が接続されたフレキシブル基板3と、フレキシブル基板3に設けられ、フレキシブル基板3の両端に接続端子4aを有する信号配線4が配置された信号配線部3cと、フレキシブル基板3の側辺に沿って設けられ、フレキシブル基板3の一端に接続端子5aを有し、他方が先端部5bを有するアンテナ素子5が配置されたアンテナ素子部3dと、を備え、信号配線部3cとアンテナ素子部3dとの間からアンテナ素子5の先端部5b側にフレキシブル基板3の側辺までの間を分離する切欠き部3eが設けられている構成とした。
【0034】
これにより、フレキシブル基板3のアンテナ素子部3dが切欠き部3eによって信号配線部3cと分離されているため、アンテナ素子5を信号配線4から離して設置することが可能になるため、信号配線4からのノイズの影響を低減することができる。また、信号配線4側とアンテナ素子5側をそれぞれ独立して屈曲させることができるので、電子機器の内部への実装が容易になる。従って、ノイズの影響を低減することができ、電子機器に実装が容易な、アンテナを備えた高周波モジュールを提供することができる。
【0035】
[第2実施形態]
以下に第2実施形態に係る電子機器200について図3から図5を用いて説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る電子機器200の構成を説明する分解斜視図である。図4は、第2実施形態に係る電子機器200の主基板10と高周波モジュール100との接続状態を説明する図で、図4(a)は主基板10を上面(図5に示すZ1)側から見た斜視図であり、図4(b)は主基板10を下面(図5に示すZ2)側から見た斜視図である。図5は、第2実施形態に係る電子機器200の構造を説明する図で、図5(a)は第2実施形態に係る電子機器200の外観模式図であり、図5(b)は図5(a)に示すA‐A断面を示す断面模式図である。尚、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0036】
電子機器200は、図3に示すように、第1実施形態の高周波モジュール100と、主基板10と、シールド部材11と、筐体12と、を備えている。
【0037】
主基板10は、ガラスエポキシ等の樹脂材料の基材に銅等の金属箔によって図示しない配線パターンが形成されており、図3に示すように矩形状に形成されている。尚、主基板10の形状は説明のために簡略に示したものであり、各種の電子機器に応じてその形状は変わるものである。
【0038】
主基板10の上面(図3に示すZ1)側には、高周波モジュール100が搭載されており、主基板10の下面(図3に示すZ1)側には、図4(b)に示すように接続コネクタ13が配置されている。
【0039】
高周波モジュール100のフレキシブル基板3に設けられた信号配線部3cは図4及び図5(a),(b)に示すように適宜屈曲された状態で設置され、接続部3bが接続コネクタ13に接続されている。
【0040】
また、主基板10には図示しないMPU(Micro Processing Unit)等を含む制御部や使用者が操作するための操作部及び画像や音声等を入出力するための装置や素子等が搭載または接続されて電子機器200の機能を実現している。
【0041】
シールド部材11は、銅や真鍮等の金属製の薄板を折り曲げまたは絞り加工することによって、図3に示すように矩形状の天板部11aと天板部11aの外周に沿って設けられた側壁部11bとを有する形状に形成されている。また、シールド部材11の側壁部11bの一面にスリット状の貫通孔11cが設けられている。
【0042】
シールド部材11は図5(b)に示すように、高周波モジュール100の第1の基板1に搭載された高周波回路部2を覆うように主基板10の上面(図5に示すZ1)側に設置されている。また、シールド部材11は、主基板10に固定され、主基板10に設けられた図示しない配線パターンによって主基板10のグランドに接続されている。
【0043】
シールド部材11に設けられた貫通孔11cには、シールド部材11の内部からフレキシブル基板3のアンテナ素子部3dと信号配線部3cとが挿通されており、アンテナ素子部3dがシールド部材11の外側に配置されている。
【0044】
収納部12aと蓋部12bは合成樹脂等の絶縁性の材料からなり、図3に示すように収納部12aと蓋部12bとを組み合わせることによって、図5(a)に示すように、直方体状の外観形状の筐体12を構成している。収納部12aの内部には図5(b)に示すように、主基板10や高周波モジュール100を収納することができる空間が形成されている。
【0045】
主基板10と高周波モジュール100とを筐体12に収納した状態では、図5(b)に示すように、フレキシブル基板3に設けられたアンテナ素子部3dが筐体12を構成する収納部12aの内壁に沿うように配置されている。
【0046】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0047】
本実施形態の電子機器200は、主基板10を備え、第1実施形態に示した高周波モジュール100がフレキシブル基板3によって主基板10に接続される構成とした。
【0048】
これにより、ノイズの影響を低減することができ、電子機器に実装が容易な、アンテナを有する高周波モジュールを備えた電子機器を提供することができる。
【0049】
また、本実施形態の電子機器200は、高周波回路部2を覆うシールド部材11を備え、シールド部材11には貫通孔11cが設けられ、フレキシブル基板3のアンテナ素子部3dが、貫通孔11cからシールド部材11の外側に配置される構成とした。
【0050】
これにより、シールド部材11によって高周波回路部2がシールドされるので、高周波回路部2が発生するノイズ等、アンテナ素子5が受信する信号以外の信号の影響を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態の電子機器200は、主基板10と高周波モジュール100と、を収納する絶縁性の筐体12を有し、フレキシブル基板3のアンテナ素子部3dが、筐体12の内壁に沿って配置される構成とした。
【0052】
これにより、アンテナ素子部3dが絶縁性の筐体12に沿って配置されているので、アンテナの性能が低下することなく動作することができる。
【0053】
[第3実施形態]
以下に第3実施形態に係る高周波モジュールの製造方法について説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る高周波モジュールの製造方法を説明する図で、図6(a)は高周波モジュールの製造工程図であり、図6(b)は、トリミング工程S3を説明する図である。尚、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施の形態に係る高周波モジュールの製造方法は、図6(a)に示すように部品実装工程S1と、フレキシブル基板接続工程S2と、トリミング工程S3と、動作確認工程S4とを備えている。
【0055】
最初の工程となる部品実装工程S1では、第1の基板1に図示しないICやトランジスタ等の半導体部品やチップ部品等の高周波回路部2を構成する部品を実装する。この工程によって、高周波回路部2が第1の基板1に搭載されることとなる。
【0056】
次の工程であるフレキシブル基板接続工程S2では、第1の基板1にフレキシブル基板3の一端に設けられた接続部3aを接続する。接続されるフレキシブル基板3には、高周波回路部2が送信または受信する周波数の波長(λ)の1/4に相当する長さより少し長いアンテナ素子5が、フレキシブル基板3の側辺に沿って設けられている。
【0057】
次の工程となるトリミング工程S3では、フレキシブル基板3に配置されたアンテナ素子部3dのアンテナ素子5の先端部5bを、図6(b)に示すように予め決定した所定の長さLとなるように切断する。尚、所定の長さLは、事前に電子機器に高周波モジュール100が搭載された状態でアンテナの動作が最適になるように実験で最適な長さを求めて決めることができる。また、高周波モジュール100が搭載される電子機器の構造等からシミュレーション等で所定の長さLを求めるようにするようにしても良い。モジュールが搭載される電子機器の種類や構造が変わることによって最適なアンテナ素子5の長さが変わることがあるため、適用される電子機器の機種ごとに最適となる所定の長さLを求めてトリミング工程S3に適用することが望ましい。
【0058】
最後の工程となる動作確認工程S4では、高周波モジュール100の性能及び動作の確認を行い、高周波モジュール100が完成する。
【0059】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0060】
本実施形態の高周波モジュールの製造方法では、第1の基板1に搭載された高周波回路部2と、第1の基板1に一端が接続されたフレキシブル基板3と、フレキシブル基板3に設けられ、フレキシブル基板3の両端に接続端子4aを有する信号配線4を配置された信号配線部3cと、フレキシブル基板3の側辺に沿って設けられ、フレキシブル基板3の一端に接続端子5aを有し、他方が先端部5bを有するアンテナ素子5を配置したアンテナ素子部3dと、を備え、信号配線部3cとアンテナ素子部3dとの間からアンテナ素子5の先端部5b側にフレキシブル基板3の側辺までの間を分離する切欠き部3eが設けられている高周波モジュールの製造方法であって、アンテナ素子部3dは、アンテナ素子5の先端部5bを所定の長さに切断するようにした。
【0061】
これにより、高周波モジュール100が適用される電子機器の実装状態に応じて予め求められた所定の長さLにアンテナ素子5の長さを切断することで、簡単に搭載される電子機器に対応した最適な長さのアンテナを備えた高周波モジュールを供給することができる。このため、複数の製品でフレキシブル基板3を共通化できるので、コストや在庫の削減を行うことなどが可能となる。
【0062】
以上のように、本発明の第1実施形態に係る高周波モジュール、第2実施形態に係る電子機器及び第3実施形態に係る高周波モジュールの製造方法について具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0063】
(1)第1実施形態において、第1の基板1とフレキシブル基板3とが、個別に独立した部材である例を示して説明を行ったが、第1の基板1とフレキシブル基板3とを可撓性を有する基板で一体的に構成しても良い。このように構成した場合、第3実施形態におけるフレキシブル基板接続工程S2を省略することができる。
【0064】
(2)第1実施形態において、第1の基板1とフレキシブル基板3との接続について具体的な説明を行っていないが、半田付けによって接続しても良く、またコネクタ等を用いて接続するようにしても良い。
【0065】
(3)第3実施形態において、部品実装工程S1で第1の基板1に直接部品を実装する例を示して説明を行ったが、第1の基板1が複数連結された集合基板に部品を実装した後に個別の第1の基板1に分割するよう構成しても良い。
【0066】
(4)第3実施形態において、トリミング工程S3がフレキシブル基板接続工程S2の後となる例を示して説明を行ったが、トリミング工程S3を先に行い予めアンテナ素子5を所定の長さに切断した後に、第1の基板1に接続するようにしても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 第1の基板
2 高周波回路部
3 フレキシブル基板
3a 接続部
3b 接続部
3c 信号配線部
3d アンテナ素子部
3e 切欠き部
4 信号配線
4a 接続端子
5 アンテナ素子
5a 接続端子
5b 先端部
10 主基板
11 シールド部材
11a 天板部
11b 側壁部
11c 貫通孔
12 筐体
12a 収納部
12b 蓋部
13 接続コネクタ
100 高周波モジュール
200 電子機器

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8