(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態にかかる導電性生地について、添付図面を参照して説明する。なお、各図は、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。本発明に係る導電性生地1は、例えば
図1に示すような導電パーツを製造する際において、その構成要素の一つとして使用することができる。この導電性生地1(導電パーツ)は、偏平の長尺状(帯状)に形成され、幅方向に導電部2及び非導電部3が交互に配設されるように構成されており、例えば、心電図や筋電図等のデータ採取、或いは電気治療や電磁波治療などを対象者に対して行う場合に、対象者の腕や脚、胴部などに巻きつけて装着できるように構成されている。
【0016】
なお、
図1に示す形態においては、長尺状の形状を有するように導電性生地1を形成しているが、このような形態に特に限定されず、例えば、筒形状(ストレート形やテーパ形、或いは瓢箪形など)や、平面視矩形状、平面視円形状、衣類形体状(シャツ形やズボン形など)としてもよい。また、
図1においては、各導電部2が、導電性生地1(導電パーツ)の長手方向に沿う細帯状に形成され、各非導電部3も同様に導電パーツの長手方向に沿う細帯状に形成されているが、このような形態に特に限定されず、導電性生地1の使用目的や装着個所等に応じて、種々の形状となるように導電部2及び非導電部3を構成することができる。また、導電部2及び非導電部3の各個数についても特に限定されず、適宜変更することができる。
【0017】
このような導電性生地1は、導電部2を構成するための導電性糸21(導電性繊維構造体)と、非導電部3を構成するための非導電性の地糸31とを用いて様々な方法により形成することができる。例えば、上記導電性糸21及び地糸31を用いて製編することにより形成することができる。製編により形成される編地構造は特に限定されず、例えば、平編、ゴム編、スムース編、パール編又はそれらの変化組織(例えば、ミラノリブや段ボールニットなど)や、トリコット編、ラッシェル編、ミラニーズ編等の各種編地構造を採用することができる。
【0018】
ここで、導電部2を構成するための導電性糸21(導電性繊維構造体)には、樹脂繊維や天然繊維、或いは金属線等を芯として、この芯に湿式や乾式のコーティング、メッキ、真空成膜、その他の適宜被着法を行って金属成分を被着させた金属被着線(メッキ線)を使用するのが好適である。芯には、モノフィラメントを採用することも可能ではあるが、モノフィラメントよりも、複数の単繊維の集合体であるマルチフィラメントや紡績糸のほうが好ましく、更にはウーリー加工糸やSCY、DCYなどのカバリング糸、毛羽加工糸などの嵩高加工糸がより好ましい。
【0019】
芯に被着させる金属成分には、例えばアルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等を使用することができる。
【0020】
なお、導電性糸21に弾性糸を混用してもよい。弾性糸には、ポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を単独で用いてもよいし、「芯」にポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することができる。
【0021】
また、非導電部3を構成するための非導電性の地糸31には、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維やナイロン繊維等)や天然繊維、合成繊維と弾性糸とを混用した素材等を使用することができる。弾性糸には、例えば、ポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を単独で用いてもよいし、「芯」にポリウレタンやゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することができる。また、非導電性の地糸31には、モノフィラメントを採用することも可能ではあるが、モノフィラメントよりも、複数の単繊維の集合体であるマルチフィラメントや紡績糸のほうを好ましく用いることができる。
【0022】
また、本発明に係る導電性生地1は、例えば心電装置や筋電装置といった外部装置に接続されて使用されるものであるため、
図1において一点鎖線で囲まれる領域を、外部装置から導かれる接続端子Z(導電性の被着体)が重ねられて固定される接続部4として設定されている。この接続部4は、導電性生地1において各導電部2が配設される領域の少なくとも一部分を含むように設定されており、導電部2のそれぞれに、外部装置から導かれる接続端子Z(導電性の被着体)に形成される各導電線が電気的に接続されるように構成されている。
【0023】
上記接続部4においては、模式的に表した
図2の断面図(
図1のA−A断面位置に相当)に示すように、外部装置から導かれる接続端子Z(導電性の被着体)と導電部2とは、導電性生地1に含浸された樹脂接着剤5を介して接続固定されている。また、被着体Zと導電部2とは、互いに直接接触させた状態で接続固定されている。なお、樹脂接着剤が含浸される個所は、接続部4として設定される個所であり、各導電部2が配設される領域の少なくとも一部分を含むように設定されている。
【0024】
含浸される樹脂接着剤としては、種々の樹脂製接着剤を採用することができるが、例えば、変性ポリオレフィン系エラストマーを含有するホットメルト型の樹脂接着剤を好ましく採用することができる。変性ポリオレフィン系エラストマーを含有することによって、導電性材料の導電性を劣化させる水分を導電性繊維構造体(導電性糸21)に寄せ付けにくくすることができるため好ましい。変性ポリオレフィン系エラストマーは、(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、(b)オレフィン系プラスチックと、(c)α,β-不飽和カルボン酸もしくはその誘導体、または不飽和エポキシ単量体とを含有するブレンド物が、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理されて部分的に架橋されているグラフト変性ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーである。なお、上記のブレンド物中に、(d)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質、(e)鉱物油系軟化剤が含まれていてもよい。また、被着体Zとの相性を考慮して他のポリマー(例えばポリアミドなど)を少量混合してもよい。
【0025】
ここで、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(a)は、たとえばエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブタジエン共重合体ゴムのように、オレフィンを主成分とする無定形の弾性共重合体であって、有機ペルオキシドと混合して加熱下に混練することにより、架橋して流動性が低下するか、あるいは流動しなくなるようなゴムをいう。なお、上記の非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレン-ノルボルネン、エチリデン-ノルボルネンなどが挙げられる。
【0026】
また、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(a)の内でも、エチレン成分単位とプロピレン成分単位とのモル比(エチレン成分単位/プロピレン成分単位)が、50/50〜90/10、特に55/45〜85/15の範囲内にある、エチレン・プロピレン共重合体ゴムおよびエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムが、好適に用いられる。中でも、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、特にエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴムは、耐熱性、引張強度特性および反発弾性に優れた熱可塑性エラストマーを提供し得る点で好ましい。
【0027】
また、オレフィン系プラスチック(b)は、高圧法または低圧法のいずれかによる1種以上のモノオレフィンを重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物からなる。このような樹脂の例としては、アイソタクチックまたはシンジオタクチックのモノオレフィン重合体樹脂が挙げられる。
【0028】
適当な原料オレフィンの具体的な例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの2種以上の混合系オレフィンを挙げることができ、これらの単独重合でも、共重合でも、樹脂状物が得られれば、いずれの重合様式を採用してもよい。
【0029】
オレフィン系プラスチック(b)の中でも好ましいオレフィン系プラスチックは、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックである。ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとは、ペルオキシドと混合し、加熱下で混練することにより熱分解して分子量を減じ、樹脂の流動性が増加するオレフィン系のプラスチックをいい、たとえば、アイソタクチックポリプロピレン;プロピレンと他の少量のα- オレフィンとの共重合体、たとえばプロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体などが挙げられる。
【0030】
また、α,β- 不飽和カルボン酸もしくはその誘導体、または不飽和エポキシ単量体(c)は、グラフト変性剤として用いられるものであり、α,β- 不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1 ]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸のエステルなどが挙げられる。これらの中でも、マレイン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸またはこれらの無水物が好ましい。
【0031】
上記の不飽和エポキシ単量体としては、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、p-スチリルカルボン酸グリシジル等の不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテントリカルボン酸、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸、エンド- シス- ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3- ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸のモノグリシジルエステルあるいはポリグリシジルエステル、アルリルグリシジルエーテル、2-メチルアルリルグリシジルエーテル、o-アルリルフェノールのグリシジルエーテル、m-アルリルフェノールのグリシジルエーテル、p-アルリルフェノールのグリシジルエーテル、イソプロペニルフェノールのグリシジルエーテル、m-ビニルフェノールのグリシジルエーテル、p-ビニルフェノールのグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル、2-(o-ビニルフェニル)エチレンオキシド、2-(p-ビニルフェニル)エチレンオキシド、2-(o-ビニルフェニル)プロピレンオキシド、2-(p-ビニルフェニル)プロピレンオキシド、2-(o-アルリルフェニル)エチレンオキシド、2-(p-アルリルフェニル)エチレンオキシド、2-(o-アルリルフェニル)プロピレンオキシド、2-(p-アルリルフェニル)プロピレンオキシド、p-グリシジルスチレン、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1- ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3- メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、アルリル-2,3- エポキシシクロペンチルエーテルなどが好ましい。
【0032】
また、ペルオキシド非架橋型ゴム状物質(d)は、たとえばポリイソブチレン、ブチルゴム、プロピレン含量70モル%以上のプロピレン- エチレン共重合体ゴム、アタクチックポリプロピレンなどのように、ペルオキシドと混合し、加熱して混練しても架橋せず、流動性が低下しない炭化水素系のゴム状物質をいう。
【0033】
また、鉱物油系軟化剤(e)は、通常、ゴムをロール加工する際に、ゴム分子間作用力を弱め、加工を容易にするとともに、充填剤として配合するカーボンブラック、ホワイトカーボンなどの分散を助け、あるいは加硫ゴムの硬さを低下せしめて柔軟性、弾性を増す目的で使用される高沸点の石油留分であり、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等に区別されている。
【0034】
上記のような樹脂接着剤を導電性生地1の所定個所(接続部4に対応する箇所)に含浸させる方法は、種々の方法を採用することができる。例えば、上記の樹脂接着剤組成物をシート化したものを、導電性生地1における接続部4に対応する領域に載置すると共に、当該シート化された樹脂接着剤上に、外部装置における接続端子Z(導電性の被着体)を載置し、当該接続端子Z(被着体Z)の上からヒートプレスすることにより行うことができる。なお、シート化した樹脂接着剤は、フィルム状に構成してもよいが、不織布状に構成する方が導電性生地1の接続部4における伸縮性を維持するという観点から好ましい。
【0035】
ヒートプレスを行うことにより、導電性生地1と被着体Zとの間に介在されるシート状の樹脂接着剤は、溶解して導電性生地1の内部側に流動していき導電性生地1に含浸されると共に、導電部2及び非導電部3における編地構造内に含浸された樹脂接着剤5の接着作用により導電性生地1と被着体Zとは接続固定されることとなる。ここで、導電性生地1に含浸される樹脂接着剤は、導電部2及び非導電部3における編地構造内の他、地糸31と地糸31の間、地糸31と導電性糸21との間、導電性糸21と導電性糸21との間、地糸31及び導電性糸21をマルチフィラメント等の単繊維の集合体として構成した場合には、各短繊維の間等に存在することとなる。
【0036】
また、導電性生地1における導電部2を構成する導電性糸21であって、生地の露出面側(被着体Z側)に配置される導電性糸21に着目すると、
図3〜
図5の模式断面図に示すように、当該導電性糸21の頂部よりも上方に配置される溶解前のシート状樹脂接着剤5は(
図3)、ヒートプレスによる加熱により溶解して矢印にて示すように、下方に流動していくと共に、加圧による被着体Zの移動によって導電性糸21の頂部近傍から押し出されていき(
図4)、露出面側(被着体Z側)に配置される導電性糸21と被着体Zとは互いに直接接触した状態で、両者が接続固定され、電気的な接続状態を得ることができる(
図5)。
【0037】
また、ヒートプレス時における加圧力や加熱温度、加圧時間、加熱時間については、適宜設定すればよいが、例えば、比較的大きな加圧力を付与することにより、
図6の模式断面図に示すように、導電部2を構成する導電性糸21であって、少なくとも被着体Zと接触する部分の断面形状が、加圧方向に圧縮された扁平形状となるようにすることが好ましい、つまり、被着体Zと接触する導電性糸21部分の断面形状に関し、被着体Zの重ね合わせ方向に垂直な方向に沿う寸法(
図6における左右方向の寸法)が、該重ね合わせ方向に沿う寸法(
図6における上下方向の寸法)よりも大となる扁平形状となるようにすることが好ましい。なお、このような扁平形状を得る程度の加圧力を付与したまま、加熱温度を低下させていき樹脂接着剤を硬化させることにより、硬化した樹脂接着剤の保形性によって導電性糸21の所定部分における断面形状は、上述の扁平形状を維持することとなる。
【0038】
本発明に係る導電性生地1は、上述のように、導電部2が配設される領域の少なくとも一部分において、導電性の被着体Zを導電部2に直接接触させた状態で接続固定する樹脂接着剤が含浸される構造を有している。したがって、従来のように導電性接着剤を用いることなく、導電性を有しない接着剤を用いて導電性の被着体Zと導電性生地1における導電部2とを導通させることができ、接着剤の種類に関してその選択性が広がり、非常に汎用性に優れるものとなる。また、含浸された樹脂接着剤5は、被着体Zとの接続部4における導電部2を構成する導電性糸21の周りにおいて当該導電性糸21をコーティングする部材として機能しつつ、被着体Zとの強固な接着作用をも奏することとなる。したがって、被着体Zと導電部2との接続部分における導電性糸21が酸化することや当該導電性糸21の金属皮膜が脱落してしまうことを効果的に防止し、その劣化を抑制することが可能となり、被着体Zと導電部2との良好な導通状態を維持することが可能となる。
【0039】
また、本発明に係る導電性生地1は、例えば、被着体Zを一旦取り外して洗濯等を行った後、再度被着体Zを設置する場合において、樹脂接着剤を別途準備する必要が無く、導電性生地1に含浸された樹脂接着剤5を再利用して両者を接続固定することが可能となる。つまり、接続部4に被着体Zを重ね合わせた後、ヒートプレスを当該重ね合わせ部に施すことにより、既に導電性生地1に含浸された樹脂接着剤5が再度溶解し、被着体Zを導電性生地1に固定することができる。
【0040】
また、本発明に係る導電性生地1の導電部2は導電性糸21からなる編地構造を有しており、また、非導電部3も同様に地糸31からなる編地構造を有するように構成されている。このよう構造を採用することにより、溶解した樹脂接着剤が、生地の内部に含浸されやすく、また、含浸された樹脂接着剤5を良好に保持でき、溶解した樹脂接着剤が、被着体Zが設けられる側とは反対側に大きく移動することを抑制することができる。
【0041】
また、上述のように、被着体Zと接触する導電性糸21部分の断面形状に関し、被着体Zの重ね合わせ方向に垂直な方向に沿う寸法(
図6における左右方向の寸法)が、該重ね合わせ方向に沿う寸法(
図6における上下方向の寸法)よりも大となる扁平形状となるように構成することにより、導電部2と被着体Zとの接触面積が増加し導電部2と被着体Zとのより一層良好な電気的な接続状態を維持することが可能となる。また、導電部2と被着体Zとの接触界面が、比較的フラットな形態となるため、例えば、一旦被着体Zを導電部2から取り外した場合に、外部に露出している導電部2の面積を大きくすることができる。したがって、再度、被着体Zを導電部2上に設置してヒートプレスを行うことにより被着体Zを導電部2に取り付ける際に、良好な導通状態を得やすくなるという利点も奏することとなる。
【0042】
以上、本発明に係る導電性生地1について説明したが、具体的構成は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態においては、導電性生地1が、導電部2及び非導電部3を備える構成を有しているが、例えば、導電部2のみによって導電性生地1を構成してもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、金属被着線(メッキ線)である導電性糸21を導電性繊維構造体として用いて導電部2を製編して構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、非導電性の地糸31を用いて製編した生地本体の所定領域に対して導電性樹脂の印刷や金属めっき等を施すことにより、当該所定領域を導電性繊維構造体として構成し、当該部分を導電部2としてもよい。また、非導電性の地糸31を用いて製編した生地本体の所定領域に対して、金属線や金属被着線(メッキ線)等の導電性糸21を刺繍することにより、当該所定領域を導電性繊維構造体として構成し、当該部分を導電部2としてもよい。
【0044】
また、導電性生地1に含浸される樹脂接着剤5としては、変性ポリオレフィン系エラストマーを含有するホットメルト型の樹脂接着剤を好ましく採用することができる旨を上記実施形態において説明したが、このようなホットメルト型の樹脂接着剤に特に限定されず、導電性生地1に含浸可能であり、外部装置から導かれる接続端子Z(導電性の被着体)と導電部2とを接続固定できる接着剤であれば採用することができる。例えば、湿気硬化型やエネルギー線硬化型、再湿型等の各種樹脂接着剤を採用することができる。
【0045】
また、上記実施形態においては、樹脂接着剤として、その形態がシート状のものを採用し、当該シート状の樹脂接着剤を加熱溶解させて導電性生地1に含浸させるように構成しているが、樹脂接着剤の形態はシート状に限定されず、例えば、粉状、粒状の樹脂接着剤を、導電性生地1における接続部4に対応する領域と外部装置の接続端子Z(導電性の被着体)との間に介在させてヒートプレスを行うようにして導電性生地1に含浸させてもよい。また、予め加熱することにより液状に形成されたホットメルト型の樹脂接着剤や、液状の湿気硬化型やエネルギー線硬化型、再湿型等の樹脂接着剤を、導電性生地1における接続部4に対応する領域であって、接続される接続端子Zに対向する面上に塗布した後、プレート体等によって塗布された樹脂接着剤を押し付けることにより樹脂接着剤を導電性生地1中に含浸させてもよい。
【0046】
また、導電性生地1における接続部4に対応する領域と、外部装置の接続端子Z(導電性の被着体)とを接続固定する方法としては、上述のように、導電性生地1における接続部4に対応する領域と外部装置の接続端子Z(導電性の被着体)との間に樹脂接着剤を介在させてヒートプレスを行う方法について例示したが、このような方法に特に限定されない。例えば、導電性生地1における接続部4に対応する領域の一方面と外部装置の接続端子Z(導電性の被着体)の一方面とを重ねた後、導電性生地1における接続部4に対応する領域の他方面上に、シート状や粉状、粒状等のホットメルト型の樹脂接着剤を載置し、当該樹脂接着剤を加熱しながら押し付けることにより、溶解した樹脂接着剤を導電性生地1中に含浸させていき、導電性生地1と接続端子Zとを接続するようにしてもよい。また、導電性生地1における接続部4に対応する領域の一方面と外部装置の接続端子Z(導電性の被着体)の一方面とを重ねた後、導電性生地1における接続部4に対応する領域の他方面上に、予め加熱されて液状に構成されたホットメルト型の樹脂接着剤や、液状の湿気硬化型やエネルギー線硬化型、再湿型等の樹脂接着剤を塗布した後押し付けることにより導電性生地1中に樹脂接着剤を含浸させていき、必要に応じて湿気を付与したりエネルギー線を照射することによって樹脂接着剤を硬化させて、導電性生地1と接続端子Zとを接続するようにしてもよい。なお、外部装置の接続端子Zが、導電性の布生地により構成されているような場合には、導電性生地1における接続部4に重ねられる接続端子Zの他方面上に、シート状や粉状、粒状等のホットメルト型の樹脂接着剤を載置し、当該樹脂接着剤を加熱しながら押し付けることにより、或いは、予め加熱されて液状に構成されたホットメルト型の樹脂接着剤や、液状の湿気硬化型やエネルギー線硬化型、再湿型等の樹脂接着剤を塗布した後押し付けることにより、液状の樹脂接着剤を、接続端子Zを介して導電性生地1中に含浸させていき、導電性生地1と接続端子Zとを接続することもできる。
【0047】
また、上記実施形態において、導電性生地1に重ねて固定される導電性の被着体Zとして、外部装置における接続端子Zを例に採り説明したが、導電性生地1に重ねて固定される被着体Zは、外部装置の接続端子Zに限定されるものでは無く、様々な導電性の部材を被着体Zとすることができることはいうまでもない。