特許第6168587号(P6168587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6168587アスファルトプラントのエネルギー監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6168587
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】アスファルトプラントのエネルギー監視システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20170713BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   H04Q9/00 311J
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-29421(P2013-29421)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-157583(P2014-157583A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森下 和真
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−181715(JP,A)
【文献】 特開2002−120213(JP,A)
【文献】 特開2002−101577(JP,A)
【文献】 特開2010−026836(JP,A)
【文献】 特開2012−146250(JP,A)
【文献】 特開2005−140675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトプラントにおいて使用されるエネルギーを監視するエネルギー監視システムであって、前記プラントを構成する主要装置である新材ドライヤ及び廃材ドライヤの燃料量を検出する流量計、並びに新材ドライヤ、廃材ドライヤ、サイロ、アスファルトタンク、排風機の電力量を検出する電力計からなるエネルギー使用量検出手段を備える一方、プラントの操作盤には前記エネルギー使用量検出手段にて検出される各主要装置毎のエネルギー使用量を取り込んで記憶する記憶手段と、前記主要装置毎の燃料及び電力のエネルギー使用量の適正範囲を予め設定して登録する設定登録手段と、前記記憶手段より読み出される各主要装置毎のエネルギー使用量と設定登録手段にて予め設定登録した適正範囲とを比較してエネルギー使用量が適正範囲に含まれるか否かを判定する比較判定手段と、前記主要装置毎の燃料または電力のエネルギー使用量を前記比較判定手段での判定結果に応じてそれぞれ所定の色で表示されるように色分け区分されたカラーバーにて表示する表示手段とを備えると共に、前記プラントにて当日に生産されたアスファルト混合物の実総生産量と、プラントでの実総燃料量及び実総電力量とから求められる燃料系及び電力系実エネルギー原単位に対し、予め設定した燃料系及び電力系目標エネルギー原単位を基準としてそれぞれ50点満点ずつの配点で合計スコアが満点で100点となるようにスコア付けするスコアリング手段を備え、該スコアリング手段にて算出されたスコアを前記表示手段にて表示するように構成したことを特徴とするアスファルトプラントのエネルギー監視システム。
【請求項2】
前記操作盤の設定登録手段にて予め登録したCO排出係数と、プラントでの総エネルギー使用量とからCO排出量を演算するCO2排出量演算手段を備え、該CO2排出量演算手段にて算出されたCO排出量を前記表示手段にて表示するように構成したことを特徴とする請求項記載のアスファルトプラントのエネルギー監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合物を製造するアスファルトプラントにおいて使用される、例えば重油や灯油、ガス等の燃料や、電力等の各種エネルギーの使用状況等を監視するエネルギー監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト混合物を製造するアスファルトプラントは各種のエネルギーを使用する多数の主要装置から構成されており、アスファルト混合物の原料となる新規骨材を重油や灯油、或いはガス等を燃料とするバーナにて加熱乾燥する新材ドライヤや、加熱乾燥した骨材を電気ヒータ等にて加熱保温しながら貯蔵するホットビン、この貯蔵骨材と石粉や溶融アスファルト等を混合して製造されるアスファルト混合物を同様に加熱保温しながら貯蔵する貯蔵サイロ、溶融アスファルトを同様に加熱保温しながら貯蔵するアスファルトタンク、前記新材ドライヤにて発生する排ガスを煙突へ導出する排風機等の各種基本設備の他、アスファルト舗装廃材をバーナにて加熱再生処理する廃材ドライヤや、該廃材ドライヤより排出される臭気性ガスをバーナにて燃焼分解して脱臭処理する脱臭炉等、重油や灯油、ガス等の燃料や、電力等の各種エネルギーを使用する多数の主要装置を備えている。
【0003】
したがって、このようなアスファルトプラントにおいて省エネを考える場合、先ず上記各主要装置でのエネルギー使用量を正確に把握した上で、各主要装置毎のエネルギー使用量を適正に抑えていくことが有効であり、例えば、本出願人も特許文献1(特開2005−140675号)に示されるように、アスファルトプラント等に備わっている各主要装置にて使用される燃料や電力等のエネルギーの使用状況を監視するエネルギー監視装置に関する出願を行っている。上記発明によれば、アスファルトプラント等の各主要装置毎のエネルギー使用量等の情報を監視装置の画面上に表示し、プラントのオペレータはこれらの情報を参照しながら効果的な省エネを検討可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−140675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来装置のように監視装置の画面上にプラントの各主要装置毎のエネルギー使用量等の各種情報を表示してオペレータに知らしめるようにするのもよいが、前記表示情報がオペレータに対してより省エネの必要性を意識付けるようなものであれば、それを見たオペレータがより自発的・積極的に省エネを意識したプラント運転を心懸けるようになると期待される。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、プラントの操作盤の表示画面上に各主要装置毎のエネルギー使用量等の情報を表示するにあたり、特にプラントのオペレータに対して省エネの必要性を意識付けるような表示形態にて表示するようにしたアスファルトプラントのエネルギー監視システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントのエネルギー監視システムでは、アスファルトプラントにおいて使用されるエネルギーを監視するエネルギー監視システムであって、前記プラントを構成する主要装置である新材ドライヤ及び廃材ドライヤの燃料量を検出する流量計、並びに新材ドライヤ、廃材ドライヤ、サイロ、アスファルトタンク、排風機の電力量を検出する電力計からなるエネルギー使用量検出手段を備える一方、プラントの操作盤には前記エネルギー使用量検出手段にて検出される各主要装置毎のエネルギー使用量を取り込んで記憶する記憶手段と、前記主要装置毎の燃料及び電力のエネルギー使用量の適正範囲を予め設定して登録する設定登録手段と、前記記憶手段より読み出される各主要装置毎のエネルギー使用量と設定登録手段にて予め設定登録した適正範囲とを比較してエネルギー使用量が適正範囲に含まれるか否かを判定する比較判定手段と、前記主要装置毎の燃料または電力のエネルギー使用量を前記比較判定手段での判定結果に応じてそれぞれ所定の色で表示されるように色分け区分されたカラーバーにて表示する表示手段とを備えると共に、前記プラントにて当日に生産されたアスファルト混合物の実総生産量と、プラントでの実総燃料量及び実総電力量とから求められる燃料系及び電力系実エネルギー原単位に対し、予め設定した燃料系及び電力系目標エネルギー原単位を基準としてそれぞれ50点満点ずつの配点で合計スコアが満点で100点となるようにスコア付けするスコアリング手段を備え、該スコアリング手段にて算出されたスコアを前記表示手段にて表示するように構成したことを特徴としている。
【0008】
また、請求項記載のアスファルトプラントのエネルギー監視システムでは、前記操作盤の設定登録手段にて予め登録したCO排出係数と、プラントでの総エネルギー使用量とからCO排出量を演算するCO排出量演算手段を備え、該CO排出量演算手段にて算出されたCO排出量を前記表示手段にて表示するように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントのエネルギー監視システムによれば、プラントを構成する主要装置である新材ドライヤ及び廃材ドライヤの燃料量を検出する流量計、並びに新材ドライヤ、廃材ドライヤ、サイロ、アスファルトタンク、排風機の電力量を検出する電力計からなるエネルギー使用量検出手段を備える一方、プラントの操作盤には検出した前記エネルギー使用量を定期的に取り込んで記憶する記憶手段と、前記主要装置毎の燃料及び電力のエネルギー使用量の適正範囲を予め設定登録する設定登録手段と、前記記憶手段より読み出される各主要装置毎のエネルギー使用量と予め設定登録した適正範囲とを比較してエネルギー使用量が適正範囲に含まれるか否かを判定する比較判定手段と、前記主要装置毎の燃料または電力のエネルギー使用量を前記比較判定手段での判定結果に応じてそれぞれ所定の色で表示されるように色分け区分されたカラーバーにて表示する表示手段とを備えると共に、前記プラントにて当日に生産されたアスファルト混合物の実総生産量と、プラントでの実総燃料量及び実総電力量とから求められる燃料系及び電力系実エネルギー原単位に対し、予め設定した燃料系及び電力系目標エネルギー原単位を基準としてそれぞれ50点満点ずつの配点で合計スコアが満点で100点となるようにスコア付けするスコアリング手段を備え、算出されたスコアを前記表示手段にて表示するように構成したので、プラントの各主要装置でのエネルギー使用量が予め設定した適正範囲から外れていると判定されれば、操作盤の画面上に通常時とは異なる色のカラーバーにて強調表示されてオペレータに対して効果的に注意喚起を促し、それを目にしたオペレータがより自発的・積極的に省エネを意識したプラント運転を実施することが期待できるものとなる。また、オペレータは操作盤の画面上に表示されるスコアの高低に応じて当日のプラント運転が省エネ面で適正な運転であったかどうかを直感的に判断でき、それによってオペレータの省エネに対するモチベーションの維持・向上が期待できるものとなる。
【0010】
また、請求項記載のアスファルトプラントのエネルギー監視システムによれば、前記設定登録手段にて予め登録したCO排出係数と、プラントでの総エネルギー使用量とからCO排出量を演算するCO排出量演算手段を備え、算出されたCO排出量を前記表示手段にて表示するように構成したので、オペレータはプラントでのCO排出量も併せて確認でき、それによって環境への配慮も意識付けられ、省エネに対するより一層のモチベーションの維持・向上が期待できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るアスファルトプラントのエネルギー監視システムの一実施例を示す、概略説明図である。
【0012】
図2図1の操作盤のモニター上に表示される監視画面を示す説明図である。
【0013】
図3】別の監視画面を示す図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るアスファルトプラントのエネルギー監視システムにあっては、プラントを構成する各主要装置毎にそれぞれエネルギー使用量を検出するエネルギー使用量検出手段を備えており、バーナへ供給する重油や灯油等の燃料の流量を検出する流量計や、ホットビンや貯蔵サイロ、排風機等へ供給する電力値を検出する電力計等を各主要装置毎に備えている。
【0015】
また、プラントの操作盤には、前記流量計や電力計等にて検出した各主要装置毎のエネルギー使用量を定期的に取り込んで記憶する記憶手段と、各主要装置毎にエネルギー使用量の適正範囲を予め設定して登録する設定登録手段と、各主要装置毎のエネルギー使用量と前記適正範囲とを比較してエネルギー使用量が適正範囲に含まれているか否かを判定する比較判定手段と、各主要装置毎のエネルギー使用量を前記比較判定手段での判定結果に応じてそれぞれ所定の色で表示されるように色分け区分されたカラーバーにて表示する表示手段とを備えている。
【0016】
そして、プラント運転時に前記比較判定手段によって各主要装置毎のエネルギー使用量が予め設定登録した適正範囲に含まれていると判定された場合には、オペレータが良好なプラント運転が行えていると判断しやすいように、例えば緑色等のカラーバーにてエネルギー使用量を表示する一方、エネルギー使用量が適正範囲から外れていると判定された場合には、オペレータに注意喚起を促しやすいように、例えば赤色等のカラーバーにてエネルギー使用量を強調表示する。
【0017】
このようにすることにより、オペレータはプラントを構成する各主要装置が省エネ面において適正な状態で運転できているか否かを個別に把握できると共に、エネルギー使用量が例えば赤色等のカラーバーにて強調表示されている装置については省エネ面で改善の必要性があるとの意識付けがなされ、これを解消すべくオペレータによる自発的・積極的な省エネ対策が期待できる。このとき、省エネの必要性の高い装置が特定されているため、オペレータはこれらの装置に対して効果的な省エネ対策を講ずることが可能となる。
【0018】
また、プラントにて当日に生産されたアスファルト混合物の総生産量と、プラントでの総エネルギー使用量とから求められるエネルギー原単位に対し、予め設定した目標エネルギー原単位を基準としてスコア付けするスコアリング手段を備えており、該スコアリング手段にて算出されるスコアによって、実際のエネルギー原単位が予め設定した目標エネルギー原単位に対してどの程度良かったか、或いは悪かったかをオペレータが直感的に判断できるように、例えば基準スコアに対して、実際のエネルギー原単位が目標エネルギー原単位よりも良ければ加点される一方、悪ければ減点されるようにしている。
【0019】
そして、オペレータはプラントを運転した際に操作盤の画面上に表示されるスコアを確認し、そのスコアから当日のプラント運転が省エネ面において適正な運転であったかどうかを直感的に判断する。このとき、仮に基準スコアに満たない低いスコアが表示されておれば、オペレータは基準スコアになるように省エネ対策を講じる一方、基準スコア以上の高いスコアが表示されておれば、それができるだけ維持されるように、或いはより一層高いスコアとなるように配慮して運転する。このように、省エネ面からプラント運転の評価を行い、その評価結果をその都度スコアとして操作盤の画面上に表示してオペレータに目で確認させるようにしたので、オペレータの省エネに対する日々のモチベーションの維持・向上が期待できるものとなる。
【0020】
また、前記操作盤の設定登録手段にて予め登録した、例えば灯油や重油、電力等の各CO排出係数と、プラントでの総エネルギー使用量とからCO排出量を演算するCO排出量演算手段を備えており、算出されたCO排出量を前記表示手段にて表示するように構成している。このようにすることにより、オペレータはプラントの運転に伴って発生するCOの排出量も併せて確認でき、それによって環境への配慮も意識付けられるようになり、省エネに対するより一層のモチベーションの維持・向上が期待できるものとなる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図中の1は、アスファルトプラントに設置されるエネルギー監視システムであって、エネルギー監視システム1は、プラント本体2とその操作盤3、及び前記プラント本体2を構成する各主要装置毎のエネルギー使用量検出手段である、例えば、バーナ燃料である重油や灯油、ガス等の流量を検出する流量計4aや、ホットビンや貯蔵サイロ、アスファルトタンク等のヒータや、排風機等へ供給する電力値を検出する電力計4b、4c等を主体に構成している。
【0023】
5は前記プラント本体2に対して電力を供給するキュービクルであって、その近傍にもプラント本体2へ供給される総電力値を検出する電力計6を備えていると共に、前記流量計4aにて検出される各種燃料の流量や、各電力計4b、4c、6にて検出される電力値等の各エネルギー使用量を逐次取り込み、前記操作盤3に向けて定期的に送信するようにプログラミングされたPLC(プログラマブルロジックコントローラ)7を備えている。
【0024】
また、前記操作盤3には、プラント本体2の各主要装置を操作・制御等する制御部8や、各種データや制御信号等の入出力をする入出力部9、取り込まれた各種データ等を一時記憶する記憶部10、各種設定値等を設定登録する設定登録部11、取り込まれた各種データ等を基に各種の演算処理を行う演算部12、該演算部12での演算結果を含めた各種データ等を表示する表示部13等を備えている。
【0025】
前記設定登録部11には、プラント本体2の主要装置である、例えばバーナや、ホットビン、アスファルトタンク、排風機等において使用される燃料や電力等のエネルギー量の適正範囲(例えば、目標とする省エネ運転を実行した場合におけるエネルギー使用量の許容範囲)や、エネルギー原単位(プラント本体2で使用されるエネルギー種毎の総エネルギー量を製品であるアスファルト混合物の総生産量にて除算したもの)の省エネ目標値である目標エネルギー原単位、プラント本体2にて使用される重油やガス、電力等のエネルギー種毎のCO排出係数(例えば、A重油:2.71t−CO/kL、灯油:2.49t−CO/kL、電力(東京電力管内):0.339t−CO/千kWh等)、並びにプラント毎の契約電力に基づいて決定される目標デマンド値等を予め設定登録するようにしている。
【0026】
次に、上記構成のエネルギー監視システム1により、アスファルトプラントにおいてアスファルト混合物製造時に使用されるエネルギーの使用状況を監視する場合には、先ず、操作盤3の設定登録手段である前記設定登録部11に各主要装置毎のエネルギー使用量の適正範囲や、目標エネルギー原単位、プラントにて使用される各エネルギー種毎のCO排出係数、目標デマンド値等の各種設定値を予め設定登録する。なお、エネルギー使用量の適正範囲や目標エネルギー原単位は、各プラント毎の運転状況や省エネ目標値(例えば、エネルギー使用量の削減率等)等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、高い省エネ目標値を設けるのであれば、適正範囲の上限値や目標エネルギー原単位を低めに設定するとよい。
【0027】
そして、プラントの運転に伴いエネルギー使用量検出手段である流量計4aや電力計4b、4c、6にて検出される、バーナへの供給燃料の流量や、各主要装置及びプラント本体2への供給電力値等のデータを、PLC7を介して定期的に操作盤3に取り込み、記憶手段である記憶部10に一時記憶させると共に、表示手段であるモニター等の表示部13にて表示する。
【0028】
図2図3は前記表示部13であるモニター等での監視画面を示すものであり、図2の主画面では画面左側にプラント本体2の各主要装置の運転状態等をグラフィックと共に表示している一方、画面右側には流量計4aや電力計4b、4c、6等にて検出される各主要装置毎のリアルタイムの燃油量や電力値等と共に、これら各検出値を基に算出されるエネルギー原単位等の各種データをそれぞれ数値、並びにカラーバーにて表示している。
【0029】
前記各カラーバーはそれぞれ2〜3色程度で色分け区分されており、表示する前記各データが設定登録部11に予め設定登録したエネルギー使用量の適正範囲に含まれるか否かを比較判定手段である演算部12にて判定し、適正範囲に含まれていると判定された場合には、オペレータが良好なプラント運転が行えていると判断しやすいように、例えば緑色のカラーバーで表示する一方、適正範囲から外れていると判定された場合には、適正範囲を超える部分については、例えば黄色や赤色等のカラーバーで強調表示して、オペレータに注意喚起を促すようにしている。なお、3色以上に色分け区分されたカラーバーで表示する場合には、前記適正範囲と併せて準適正範囲(適正範囲を若干超える程度の範囲)等も予め設定登録しておき、表示するデータが何れの範囲に含まれているか、或いは何れの範囲にも含まれていないかを判定した上で、例えば適正範囲内であれば緑色、準適正範囲内については黄色、何れの範囲からも外れる部分については赤色のカラーバーにてそれぞれ表示するようにしている。
【0030】
このようにすることで、オペレータはプラントを構成する主要装置である、例えばバーナや、ホットビン、アスファルトタンク、排風機等が省エネ面において適正な状態で運転できているか否かを個別にかつ明確に把握できると共に、エネルギー使用量が赤色等のカラーバーにて強調表示されている装置については特に省エネ改善を要するとの意識付けがなされ、オペレータの自発的で積極的な対応が期待できるものとなる。
【0031】
また、前記流量計4aにて検出される灯油や重油、ガス等の流量や、電力計4b、4cにて検出される電力値と、設定登録部11に予め登録したCO排出係数とに基づいて、CO排出量演算手段である前記演算部12にて各エネルギー種毎のCO排出量を求め、それらの合計値をプラント運転に伴って排出された総CO排出量として前記画面上に表示するようにしている。このようにすることで、オペレータはアスファルトプラントの運転に伴って発生するCOの排出量を目にすることとなり、これによって環境への意識付けがなされてオペレータのより一層の自発的な省エネ対策が期待できるものとなる。
【0032】
なお、キュービクル5近傍の電力計6からは電力値と併せて積算電力も定期的に取り込んでおり、この積算電力を基にして30分毎の現在デマンド値を前記画面上に表示していると共に、プラント毎の契約電力より決定される目標デマンド値と、単位時間あたりのデマンド値の変動量等から求められる予測デマンド値等も併せて表示している。そして、仮に予測デマンド値が目標デマンド値を超えるとなった場合には直ちに警報を発報し、オペレータに対して契約電力を超えるおそれがある旨の注意喚起を促すように図っている。
【0033】
図3は「エコ運転診断画面」と表した、省エネ関連に関わるデータを主に表示するための監視画面であり、画面下側にはデマンドに関連する、例えばプラント本体2の主要装置であるホットビンや貯蔵サイロ、アスファルトタンク等のヒータや、排風機等へ供給する各電力量等を30分単位で出力している一方、画面上側にはプラント全体で当日に使用した総電力量(kWh)や総燃油量(L)、製品であるアスファルト混合物の総生産量(t)と共に、プラントより排出された総CO排出量(kg)、及び1tあたりの製品を製造するのに要したエネルギー量を示すエネルギー原単位として、燃料原単位(L/t)や電力原単位(kWh/t)等を表示している。
【0034】
また、前記画面上部の右側には、エコスコアと表したスコアを表示している。前記スコアは、スコアリング手段である演算部12により、実際の前記エネルギー原単位に対し、予め設定した目標エネルギー原単位を基準としてスコア付けしたものであって、例えば、実際のエネルギー原単位が予め設定した目標エネルギー原単位と同値であれば満点の100点を付し、実際のエネルギー原単位が設定値よりも小さければ加点する一方、大きければ減点するようにしており、表示スコアが基準スコアである100点よりも大きいか小さいかによって、オペレータは当日のプラント運転が省エネ面において適正であったかどうかを直感的に判断できるようにしている。なお、アスファルトプラントの場合には、使用されるエネルギー種として、バーナ燃焼用のガスや重油等の燃料と、ヒータや排風機駆動用に供給される電力との2種類があるため、これら燃料系と電力系とでそれぞれ50点満点ずつの配点として、それらの合計スコア(基準スコア)が100点となるようにしている。
【0035】
例えば、目標エネルギー原単位として、燃料系に(基準総燃料量/基準総生産量=3000L/500t=6.0L/t)を、電力系に(基準総電力量/基準総生産量=900kWh/500t=1.8kWh/t)を設定した場合、実際のエネルギー原単位が、燃料系で(実総燃料量/実総生産量=3100L/500t=6.2L/t)、電力系で(実総電力量/実総生産量=1000kWh/500t=2.0kWh/t)であれば、燃料系のスコア=50点+(6.0−6.2)×50点=40点、電力系のスコア=50点+(1.8−2.0)×50点=40点となり、それらの合計点である40点+40点=80点が総スコアとなって、基準スコアである100点よりも低いものとなり、省エネ面において改善の余地があるという判定結果となる。
【0036】
このように、オペレータはプラントを運転した際には、操作盤の画面上に表示されるスコアを目にすることになり、そのスコアが仮に基準スコアに満たない低いスコアが表示されておれば、オペレータは自発的に基準スコアになるような省エネ対策を講じるものと期待できると共に、その省エネ対策の結果がスコアに反映されるため、オペレータの省エネに対するモチベーションの維持・向上が期待できるものとなる。
【0037】
以上の通り、本発明によれば、プラントのオペレータが操作盤を操作して製品であるアスファルト混合物を製造する際には、画面上に表示されるデータの多くが省エネを意識付けるような形態で表示されるため、それを目にするオペレータが自発的かつ積極的に省エネ運転に取り組み、プラントの効果的な省エネが期待できるものとなる。
【符号の説明】
【0038】
1…エネルギー監視システム
2…プラント本体 3…操作盤
4a…流量計(エネルギー使用量検出手段)
4b、4c、6…電流計(エネルギー使用量検出手段)
10…記憶部(記憶手段) 11…設定登録部(設定登録手段)
12…演算部(比較判定手段、スコアリング手段、CO排出量演算手段)
13…表示部
図1
図2
図3