(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補助電極は、銅、アルミニウム、銀、金、モリブデン、タングステン、ニッケル、アルミニウム−モリブデン合金、アルミニウム−ネオジム合金およびアルミニウム−ニッケル合金からなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでいる、請求項1記載の有機EL照明パネル用基板。
前記透明電極の凹部を除く表面の高さと、前記補助電極の表面の高さとが、略同一となるように、前記補助電極が配置されている、請求項3記載の有機EL照明パネル用基板。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、「前記補助電極は前記透光性基板の凹部に配置される」とは、前記補助電極が前記透光性基板の凹部内部に配置される場合のみに限定されず、例えば、前記透光性基板の凹部上に配置される場合をも含む。
【0013】
以下、本発明の有機EL照明パネル用基板、有機EL照明パネルおよび有機EL照明装置について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。なお、以下の
図1から
図15において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0014】
[実施形態1]
本実施形態の有機EL照明パネル用基板は、前記透光性基板が複数の層から構成されており、平面状の層(以下、「平面層」ということがある。)の最表面に凹部を有する層(以下、「凹部層」ということがある。)を有し、前記凹部に前記補助電極が配置されている有機EL照明パネル用基板の一例である。
図1に、本実施形態の有機EL照明パネル用基板の構成を示す。
図1(a)は、本実施形態の有機EL照明パネル用基板の平面図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す有機EL照明パネル用基板のI−I方向に見た断面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の有機EL照明パネル用基板10は、透光性基板11と、透明電極12と、補助電極13とを主要な構成要素として含む。透光性基板11は、平面層11a上に凹部層11bが積層された構成である。凹部層11bの平面層11a側の面とは反対側の面には、格子状に凹部11c(断面:長方形)が設けられている。凹部層11bの凹部11cには、透明電極12および補助電極13が、透光性基板11側からこの順に配置されている。具体的には、凹部層11bの凹部11cが設けられている側の面における、凹部11cが設けられている部分および凹部11cが設けられていない部分の両方の部分に、透明電極12が配置されている。透明電極12において、凹部11cに設けられた部分は、凹部11cに対応した格子状の凹部となっている。そして、凹部層11bの凹部11c上、すなわち、透明電極12の凹部内に、補助電極13が配置されている。透明電極12と補助電極13とは、電気的に接続されている。透明電極12の凹部を除く表面の高さと、補助電極13の表面の高さとは、略同一となっている。
【0016】
平面層11aは、例えば、透光性を有する基板である。平面層11aの形成材料は、例えば、無機材料または有機材料があげられる。前記無機材料は、例えば、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等があげられる。前記有機材料は、例えば、ポリエチレンナフタレートや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ノルボルネンとエチレンとの共重合体等の脂環式オレフィン樹脂、ポリエーテルサルフォン、トリアセチルセルロース等があげられる。平面層11aの厚みは、特に制限されず、例えば、その形成材料、使用環境等に応じて、適宜設定できる。
【0017】
凹部層11bは、例えば、透光性を有する樹脂から形成でき、例えば、透光性高分子材料から形成できる。前記透光性高分子材料で形成された凹部層11bの屈折率は、平面層11aの屈折率以上、透明電極12の屈折率以下の値であることが好ましく、凹部層11bの屈折率は、1.5〜1.9の範囲であることがより好ましい。また、平面層11aが無アルカリガラス基板(屈折率1.5)、透明電極12がITO(屈折率1.8)の場合、凹部層11bの屈折率は、1.6〜1.7が好ましい。従来の有機EL照明パネルでは、透光性基板(例えば、無アルカリガラス)と透明電極膜との屈折率差が大きい。このため、屈折率の大きい有機EL層および透明電極から、屈折率の小さい透光性基板へと光が進んだ場合、臨界角以上で透明電極と透光性基板との界面に入射した光は、全反射されてしまい、パネルの外に出ることができない。この結果、投入電力に対する発光効率は低くなる。そこで、例えば、前述のように、平面層11aの屈折率と透明電極12の屈折率との間の値の屈折率を有する凹部層11bを、平面層11aと透明電極12との間に配置する、すなわち、凹部層11b上に透明電極12を配置することにより、臨界角を制御し、有機EL照明パネル内で発光した光をパネル外部に取り出す効率を向上できる。この結果、投入電力に対する発光効率を向上できる。
【0018】
凹部層11bを透光性高分子材料から形成することで、例えば、凹部11cの断面形状を、種々容易に形成できる。前記断面形状の加工が容易なことから、配線パターンの自由度(設計の自由度)も広げることができる。また、平面層11aがガラス等である場合でも、平面層11aには加工を加えることなく凹部を形成できるので、例えば、ドライエッチングやウェットエッチング等の加工工程やそれに伴う薬液等が増えること無く、さらに強度(割れ等)に対し影響を与えない点でも好ましい。また、加工が容易なことから、例えば、埋め込む補助配線を細くして、開口率を上げることも可能である。
【0019】
前記透光性高分子材料は、例えば、チオウレタン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステルメタクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ジアリルカーボネート、エピスルフィド系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはTAC(トリアセチルセルロース)等があげられる。
【0020】
有機EL照明パネル用基板10では、平面層11aがガラス等の無機材料である場合、平面層11aと凹部層11bとの密着力向上のために、例えば、シランカップリング剤等の接着助剤を用いてもよい。
【0021】
凹部層11bの凹部11cは、例えば、プレスもしくはインプリント等の押し型成形、前記透光性高分子材料に感光性を持たせることによるフォトリソグラフィ法、レーザー加工、またはブレードによる微細加工もしくは切削等による機械加工等により形成できる。前記透光性高分子材料が熱可塑性を有する材料の場合は、例えば、プレスまたはインプリント等の押し型成形により、簡便に色々なパターンに凹部11cを成形できる。凹部11cのパターン形状は、例えば、補助電極13のパターン形状等に応じて適宜設定でき、凹部11cの深さは、例えば、補助電極13および透明電極12の厚み等に応じて適宜設定できる。
【0022】
有機EL照明パネル用基板10では、透光性基板11は、1層の平面層11aおよび1層の凹部層11bから構成されているが、本発明は、この例には限定されず、例えば、前記平面層が複数の層から構成され、前記複数の層の最表面に凹部層が設けられていてもよい。
【0023】
透明電極12は、例えば、透明導電薄膜をスパッタ法等の従来公知の方法により形成できる。前記透明導電薄膜の形成材料は、例えば、ITO、ZnO、IZO(登録商標、インジウム−亜鉛酸化物)、IGZO(インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム−亜鉛酸化物)、SnO
2等があげられる。
【0024】
補助電極13は、20℃における体積抵抗率が1.59×10
−8〜13×10
−8Ω・mの範囲内にある材料からなる、低抵抗の電極である。前記体積抵抗率の下限である「1.59×10
−8Ω・m」は、最も低抵抗であるAg(銀)の抵抗値である。この補助電極13が、透明電極12の凹部内に配置されることで、透明電極12と電気的に接続されている。そして、この補助電極13は、有機EL照明パネル用基板10の面内に格子状に設けられている。このため、有機EL照明パネル用基板10を使用して有機EL照明パネルを構成した場合、透明電極12側の配線抵抗を下げることができ、有機EL照明パネル面内の輝度および色度の均一性を向上できる。なお、前記補助電極のパターンは、格子状には限定されず、前記透明電極側の配線抵抗を下げることができれば、どのようなパターンでもよい。
【0025】
さらに、有機EL照明パネル用基板10では、補助電極13は、その底面および全部の側面が、透明電極12と電気的に接続されている。これにより、例えば、補助電極による透明電極側の配線抵抗を低下させる効果を最大化し、接触抵抗をできる限り低減できる。なお、本発明では、前記補助電極と前記透明電極とが電気的に接続されていればよく、前述のような接続形態のみに限定されない。
【0026】
補助電極13の形成材料は、その体積抵抗率が前述の範囲内にある材料であり、具体的には、例えば、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Au(金)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ni(ニッケル)、もしくは、これらの合金等があげられる。前記合金は、例えば、Al−Mo(アルミニウム−モリブデン)、Al−Nd(アルミニウム−ネオジム)、Al−Ni(アルミニウム−ニッケル)等があげられる。これらの中でも、Cuが特に好ましい。前記形成材料の体積抵抗率は、20℃において、1.59×10
−8〜7×10
−8Ω・mの範囲内にあるのが好ましく、より好ましくは1.59×10
−8〜3×10
−8Ω・mの範囲内にある。例えば、特開2005−50552号公報等には、前記補助電極の形成材料として、Cr(クロム)またはMo(モリブデン)等が開示されている。CrおよびMoは、非常に安定的で信頼性も高く、補助電極として一般的である。しかしながら、これらの形成材料は、体積抵抗率が高い(例えば、Crは対Cu比で7.47倍、Moは対Cu比で3.12倍)。このため、これらの形成材料を用いた補助電極は、透明電極側の配線抵抗を下げる効果が小さい。また、Cr等を単独で用いた場合、対環境面でも決して好ましいとは言えない。
【0027】
前述のように、補助電極13の形成材料は、銅が特に好ましいが、本発明は、これには限定されず、補助電極13の形成材料として、例えば、AlまたはAg等も使用できる。AlまたはAg等は、Cuと同様に低抵抗(Alは対Cu比で1.65倍、Agは対Cu比で0.94倍)である。AlおよびAgは、Cuと比べて低融点の材料であり、マイグレーション、コロージョン等による断線が発生する可能性がある。このため、AlまたはAg等を補助電極の形成材料として用いた場合、一般的には、信頼性の低下が懸念される。しかしながら、本発明における有機EL照明パネル用基板10では、補助電極13を凹部層11bの凹部11cに配置する、すなわち、有機EL照明パネル用基板10は、インレイ型のクラッド構造を有する。このため、有機EL照明パネル用基板10は、例えば、AlまたはAg等の低融点材料を用いた場合における、マイグレーション、コロージョン等に対する耐性を向上できる。
【0028】
補助電極13の形成方法は、特に制限されず、使用する形成材料に応じて、適宜従来公知の方法を適用できる。補助電極13の形成材料として銅を使用する場合は、例えば、透明電極12(凹部および凹部以外の部分の両方の部分)上に銅をメッキし、前記メッキ後、精密研磨により、透明電極12の凹部以外の部分の銅を除去することで、銅を使用した補助電極13を形成できる。従来では、銅はスパッタ法等によって成膜できず、またパターニングが困難なため、補助電極として使用するのは困難であった。しかしながら、前述のようにすることで、本発明では、銅のようにパターニングが困難な材料であっても補助電極の形成材料として使用できる。
【0029】
有機EL照明パネル用基板10では、補助電極13は、凹部層11bの凹部11c上に配置されている。このため、有機EL照明パネル用基板10を使用して有機EL照明パネルを構成した場合、補助電極を設けた箇所の厚みが大きくなるのを抑制して、断線、ショート等の発生を防止できる。この結果、例えば、有機EL照明パネルの信頼性の低下を抑制できる。
【0030】
さらに、有機EL照明パネル用基板10では、前述のように、透明電極12の凹部を除く表面の高さと、補助電極13の表面の高さとは、略同一となっている。このため、補助電極を設けた箇所の厚みが大きくなるのをより抑制して、断線、ショート等の発生をより防止できる。この結果、有機EL照明パネルの信頼性の低下をより抑制できる。
【0031】
本実施形態の有機EL照明パネル用基板は、例えば、さらに、絶縁部材を有し、前記補助電極が前記絶縁部材で覆われている形態でもよい。
図2の断面図に、この形態の一例を示す。
図2に示すように、この例の有機EL照明パネル用基板は、絶縁部材14を有し、補助電極13の透明電極12とのコンタクト部分以外の部分が絶縁部材14に覆われていること以外は、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10と同様の構成を有する。
【0032】
絶縁部材14は、補助電極12の拡散防止機能と、有機EL照明パネル用基板を使用して有機EL照明パネルを構成する際に、補助電極と補助電極上に形成する有機EL層および陰極とを絶縁する機能とを有する。従来から、有機EL照明パネルでは、例えば、感光性レジスト材料等で補助電極を被覆しているが、この場合、補助電極と絶縁部材とを合わせた厚みは、例えば、2μm程度となる。一方、有機EL層の厚みは、例えば、300nm程度である。このように、補助電極および絶縁部材は、有機EL層と比較して非常に厚くなる。そして、有機EL照明パネルでは、この絶縁部材で覆われた補助電極上に、有機EL層および陰極を形成する。このため、ステップカバレッジの面から、補助電極および絶縁部材の厚みで、有機EL層等に断切れ(断線)が生じ、ショート等により、有機EL照明パネルの信頼性が低下する。一方、この例の有機EL照明パネル用基板は、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10と同様に、補助電極13が凹部層11bの凹部11cに配置されているため、補助電極13および絶縁部材14の合計厚み、すなわち、この例の有機EL照明パネル用基板における補助電極13および絶縁部材14が配置されていない部分の表面高さと、補助電極13および絶縁部材14が配置されている部分の表面高さの差を、小さくできる。この結果、例えば、補助電極および絶縁部材に起因する、有機EL照明パネルの信頼性の低下を抑制できる。
【0033】
絶縁部材14の形成材料は、例えば、無機材料または高分子材料等があげられる。前記無機材料は、例えば、無機酸化物材料または無機窒化物材料等があげられる。前記無機酸化物材料および前記無機窒化物材料は、例えば、SiN
x、SiO
xN
y、SiO
x等があげられる。前記高分子材料は、例えば、アクリル系、ノボラック、ポリイミド系等の光感受性高分子材料等があげられる。これらの中でも、無機材料が特に好ましい。絶縁部材14は、無機酸化膜または無機窒化膜等が使用できる。絶縁部材14の形成方法は、前述の形成材料を使用した、真空蒸着、CVD等があげられる。絶縁部材14のパターニング(この例では、格子状)は、例えば、シャドーマスクまたはフォトエッチング・フォトリソグラフィプロセス等を使用できる。前記高分子材料で形成した絶縁部材14の厚みは、例えば、500nm〜1μm程度である。一方、前記無機材料で形成した絶縁部材14の厚みは、例えば、100〜300nm程度である。このように、前記無機材料で絶縁部材14を形成した方が、前記高分子材料で形成する場合と比較して、絶縁部材14の薄膜化が図れる。このため、例えば、断線またはショート等の不具合の可能性をより低減できる。
【0034】
また、前記高分子材料で絶縁部材を形成した場合、前記高分子材料の分子内に極微量ながら水分または溶剤等が含まれることがある。これが、ダークスポット等の不具合の原因となる可能性もある。前記無機材料で形成した絶縁部材であれば、このような不具合の発生を回避できる。さらに、前記無機材料を使用した場合、例えば、高分子材料を使用した場合と比較して、絶縁部材の微細化を図ることができる。このため、例えば、有機EL照明パネルにおける開口率を向上できる。
【0035】
前記高分子材料で絶縁部材を形成する場合は、例えば、フォトエッチング工程を使用せず、フォトリソグラフィの工程のみで形成できるので工程の負荷を軽減できる。
【0036】
本実施形態の有機EL照明パネル用基板は、例えば、さらに、可視光を反射する反射層を有し、前記反射層が、前記透明電極と前記補助電極との間に配置されている形態でもよい。
図3の断面図に、この形態の一例を示す。
図3に示すように、この例の有機EL照明パネル用基板は、反射層15を有し、反射層15が透明電極12と補助電極13との間に配置されていること以外は、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10と同様の構成を有する。
【0037】
このように構成することで、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、この例の有機EL照明パネル用基板を使用した有機EL照明パネルにおいて、有機EL層から発せられ、透明電極12を透過した光は、透光性基板11への入射角によっては、透明電極12と透光性基板11との界面で全反射される場合がある。この全反射された光は、透明電極12を透過して補助電極13に入射される。例えば、補助電極13が銅等の形成材料から形成されている場合、前記入射された光は、補助電極13に特定の波長域の光が吸収され、補助電極13の部分に色味がついてしまう。ここで、前述のように、透明電極12と補助電極13との間に可視光を反射する反射層15が配置されていることで、例えば、透明電極12と透光性基板11との界面で反射された光を反射層15によって反射し、パネル外部に出射させることができる。この結果、光の取り出し効率を向上できる。
【0038】
反射層15は、可視光全域において、高い反射率を有するものが好ましい。このような反射層15は、例えば、Ag、Al、Ti等の薄膜または拡散反射膜等があげられる。反射層15の形成材料にAgまたはAl等を使用する場合でも、透明電極12の凹部内に反射層15が設けられている(インレイ型のクラッド構造)ため、例えば、マイグレーション、コロージョン等による不具合を防止できる。
【0039】
前記反射層を有する形態は、基板とは反対側から光を取り出すトップエミッション方式の場合や、透明有機EL層を用いて両面から光を取り出す場合にも適用可能である。これらの場合には、前記透明電極、前記補助電極および前記反射層が、前記透光性基板側からこの順に配置される。
【0040】
[実施形態2]
本実施形態の有機EL照明パネルは、
図1に示す実施形態1の有機EL照明パネル用基板10を使用した有機EL照明パネルの一例である。
図4に、本実施形態の有機EL照明パネルの構成を示す。
図4(a)は、本実施形態の有機EL照明パネルの平面図である。
図4(b)は、
図4(a)に示す有機EL照明パネルのII−II方向に見た断面図である。
【0041】
図4に示すように、本実施形態の有機EL照明パネル100は、有機EL照明パネル用基板10と、有機EL層111と、陰極層112とを主要な構成要素として含む。有機EL照明パネル用基板10における補助電極13の透明電極12とのコンタクト部分以外の部分は、絶縁部材14に覆われている。透明電極12および絶縁部材14上には、有機EL層111および陰極層112が、前記順序で積層されている。有機EL照明パネル100は、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10を使用しているため、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10で説明した、前述の効果が得られる。さらに、
図2に示す有機EL照明パネル用基板(絶縁部材を含む有機EL照明パネル用基板)で説明した、前述の効果が得られる。
【0042】
透光性基板11、平坦層11a、凹部層11b、透明電極12および補助電極13は、前述のとおりである(以下、同様)。透明電極12は、例えば、陽極として機能する。
【0043】
有機EL層111は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス物質を含む発光層を含み、前記発光層を挟持するように正孔輸送層および電子輸送層、さらに、正孔輸送層および電子輸送層を挟持する正孔注入層および電子注入層等を含む。また、有機EL層111は、例えば、さらに、正孔または電子をブロックし発光効率を高めるキャリアブロック層を含んでもよい。有機EL層111は、透明電極12側から、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が、この順序で積層された積層体である。
【0044】
前記正孔注入層は、透明電極12(陽極)から有機EL層111へ注入される正孔に対する注入障壁の高さを下げると共に、前記陽極と前記正孔輸送層とのエネルギーレベルの相違を緩和し、前記陽極から注入される正孔が前記正孔輸送層へ容易に注入されるように設けられるものである。前記正孔注入層は、正孔注入層材料から形成される。前記形成材料は、例えば、正孔注入性有機材料等があげられ、具体的には、例えば、銅フタロシアニン、スターバースト型芳香族アミン等のアリールアミン誘導体等があげられる。また、前記正孔注入性有機材料は、例えば、さらに、注入障壁を下げ、駆動電圧を低下させるために、五酸化バナジウム、三酸化モリブデン等の無機物、または、F4−TCNQ等の有機物を化学ドーピングしたものでもよい。
【0045】
前記正孔輸送層は、正孔輸送層材料から形成されることが好ましい。前記正孔輸送層材料は、前記発光層への正孔の移動率を高めるため、適度なイオン化ポテンシャルを有し、同時に、前記発光層からの電子の漏洩を阻止する電子親和力を有する材料である。具体的には、例えば、トリフェニルジアミン類、スターバースト型芳香族アミン等があげられる。前記トリフェニルジアミン類は、例えば、ビス(ジ(p−トリル)アミノフェニル)−1,1−シクロヘキサン、4,4’−ビス(m−トリルフェニルアミノ)ビフェニル(TPD)、N,N’−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(α−NPD)等があげられる。
【0046】
前記発光層は、電極から注入された電子と正孔とを再結合させ、蛍光、燐光等を発光させる層である。前記発光層は、発光材料を含む。前記発光材料は、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq
3)、ビスジフェニルビニルビフェニル(BDPVBi)、1,3−ビス(p−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾールイル)フェニル(OXD−7)、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(BPPC)、1,4ビス(N−p−トリル−N−4−(4−メチルスチリル)フェニルアミノ)ナフタレン等の低分子化合物、または、ポリフェニレンビニレン系ポリマー等の高分子化合物等があげられる。
【0047】
また、前記発光材料は、例えば、ホストとドーパントとの二成分系からなり、ホスト分子で生成した励起状態のエネルギーがドーパント分子へ移動してドーパント分子が発光する材料でもよい。このような発光材料は、例えば、前述の発光材料、後述の電子輸送層材料、前記正孔輸送層材料があげられる。具体的には、例えば、ホストのAlq
3等のキノリノール金属錯体に、ドーパントの4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、2,3−キナクリドン等のキナクリドン誘導体、もしくは、3−(2’−ベンゾチアゾール)−7−ジエチルアミノクマリン等のクマリン誘導体をドープしたもの、ホストの電子輸送性材料であるビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリン)−4−フェニルフェノール−アルミニウム錯体に、ドーパントのペリレン等の縮合多環芳香族をドープしたもの、または、ホストの正孔輸送層材料である4,4’−ビス(m−トリルフェニルアミノ)ビフェニル(TPD)に、ドーパントのルブレン等をドープしたもの、ホストの4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチルビフェニル(CDBP)等のカルバゾール化合物に、ドーパントの白金錯体、トリス−(2フェリニルピリジン)イリジウム錯体(Ir(ppy)
3)、(ビス(4,6−ジ−フルオロフェニル)−ピリジネート−N,C2’)ピコリネートイリジウム錯体(FIr(pic))、(ビス(2−(2’−ベンゾ(4,5−α)チエニル)ピリジネート−N,C2’)(アセチルアセトネート)イリジウム錯体(Btp
2Ir(acac))、Ir(pic)
3、Bt
2Ir(acac)等のイリジウム錯体をドープしたもの等があげられる。
【0048】
前述の発光材料は、例えば、有機EL照明パネルの目的とする発光色に応じて、適宜選択できる。具体的には、例えば、緑色発光の場合、Alq
3、ドーパントとしてキナクドリン、クマリン、Ir(ppy)
3等、青色発光の場合、DPVBi、ドーパントとしてペリレン、ジスチリルアリーレン誘導体、FIr(pic)等、緑〜青緑色発光の場合、OXD−7等、赤〜オレンジ色発光の場合、ドーパントとしてDCM、DCJTB、Ir(pic)
3等、黄色発光の場合、ドーパントとしてルブレン、Bt
2Ir(acac)等を選択できる。また、白色発光を得るには、前記発光材料は、例えば、ホストとしてAlq
3等、ゲストとしてDCM(橙色)等の組み合わせを選択できる。
【0049】
白色発光の前記発光層は、例えば、赤色、緑色、青色を発光する発光材料をそれぞれ含有する三層積層構造の層があげられる。この他にも、青色および黄色等、補色を発光する発光材料をそれぞれ含有する二層積層構造の層、これら各色の発光材料を多元共蒸着等で層を形成することにより、これらの発光材料が混在する一層構造の層等があげられる。さらに、前述の三層積層構造の層または二層積層構造の層における各色層を構成する発光材料を、例えば、順次、赤色、青色、緑色等の微細な画素を平面的に配列して形成した層を、白色発光の前記発光層とすることもできる。
【0050】
前記電子輸送層は、電子輸送層材料から形成されることが好ましい。前記電子輸送層材料は、前記発光層への電子の移動率を高めるため、適度なイオン化ポテンシャルを有し、同時に、前記発光層から正孔が漏洩するのを阻止する電子親和力を有する材料である。具体的には、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(Bu−PBD)、OXD−7等のオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、キノリノール系の金属錯体等の有機材料等があげられる。また、前記電子輸送層材料は、例えば、前記有機材料にリチウム等アルカリ金属のような電子供与性物質を化学ドーピングしたものでもよい。
【0051】
前記電子注入層は、例えば、前記陰極層の形成に用いられるアルミニウム等の金属材料の仕事関数と、前期電子輸送層の電子親和力(LUMO準位)とのエネルギー差が大きいことに起因して、前記陰極層から前記電子輸送層への電子の注入が困難になるのを緩和するために設けられる。前記電子注入層は、電子注入層材料から形成されることが好ましい。前記電子注入層材料は、仕事関数の小さい材料があげられ、具体的には、例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属もしくはカルシウム等のアルカリ土類金属の、フッ化物もしくは酸化物、または、マグネシウム銀やリチウムアルミニウム合金等があげられる。
【0052】
前記キャリアブロック層は、例えば、正孔ブロック層があげられる。前記正孔ブロック層は、前記発光層内で発光に寄与しないで通過する正孔をブロックし、前記発光層内での再結合確率を高めるために、前記発光層と前記電子輸送層との間に設けられる。前記正孔ブロック層の形成材料は、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、トリフェニルジアミン誘導体、トリアゾール誘導体等があげられる。
【0053】
有機EL層111の厚みは、特に制限されず、例えば、有機EL層111を構成する各層の厚みは、1〜500nmの範囲であり、前記各層の合計厚みは、例えば、100nm〜1000nmの範囲である。
【0054】
有機EL層111の形成方法は、例えば、従来公知の方法により行える。例えば、前記発光層が前述の低分子化合物(低分子有機EL材料)から形成される場合、例えば、前記発光層は、前記低分子有機EL材料の抵抗加熱による真空蒸着法により成膜して形成できる。また、例えば、前記発光層が前述の高分子化合物(高分子有機EL材料)から形成される場合、例えば、前記発光層は、前記高分子有機EL材料を、スリットコート法、フレキソ印刷法、インクジェット法等により塗布成膜して形成できる。
【0055】
陰極層112は、透明電極12と対をなす電極である。陰極層112は、例えば、透光性を有しても、透光性を有さなくともよい。陰極層112を、透光性を有さない電極とする場合、陰極層112は、例えば、アルミニウム、銀等の金属薄膜の遮光性を有する陰極を使用できる。このような電極とすれば、例えば、有機EL層111の発光における陰極層112側に向かって発せられた光を透明電極12側へ反射し、発光面からの放出光量の減少を抑制でき、好ましい。陰極層112の厚みは、特に制限されない。配線抵抗による電圧降下を考慮すると、陰極層112は厚い方が好ましく、例えば、50〜300nmの範囲とすることができる。一方、陰極層112を透光性を有する電極とする場合、陰極層112は、例えば、透明電極12の形成材料と同様のものを使用して形成できる。このような電極とすれば、例えば、非発光時に透明となる有機EL素子を作製できる。陰極層112の形成方法は、例えば、従来公知の方法により行える。陰極層112がアルミニウム等の金属から形成される場合、陰極層112は、前記金属の抵抗加熱による真空蒸着またはスパッタ法により成膜して形成できる。
【0056】
有機EL照明パネル100は、例えば、透明電極12の端部付近に陽極の給電コンタクト部を含み、陰極層112の端部付近に陰極の給電コンタクト部を含む(例えば、
図4(a)において、透明電極12および陰極層112の端部付近)。前記陽極の給電コンタクト部および前記陰極の給電コンタクト部は、補助電極13と同様の形成材料(低抵抗材料)で形成されていることが好ましい。このようにすることで、例えば、エレクトロマイグレーション等の発生を抑制でき、信頼性の低下を抑制できる。また、前記両コンタクト部と配線部材とのコンタクト抵抗を下げることができるため、駆動電圧の低電圧化が図れ、その結果、例えば、より省電力・高効率化を図れる。なお、本実施形態の有機EL照明パネルでは、前記陽極の給電コンタクト部および前記陰極の給電コンタクト部を設けるため、例えば、前記透明電極および前記陰極層の一端を延長して設けてもよい。
【0057】
つぎに、
図5Aおよび
図5Bを参照して、有機EL照明パネル100の製造方法を、透明電極12がITOからなる電極であり、補助電極13が銅からなる電極である場合の一例として説明する。なお、有機EL照明パネル100を製造する方法は、以下の例に限定されない。
【0058】
まず、
図5A(a)に示すように、平面層11aを準備する。つぎに、
図5A(b)に示すように、平面層11a上に、凹部を形成するための層11dを積層する。具体的には、例えば、ガラス等の平面層11a上に、前記透光性高分子材料を印刷法等により塗布することで、凹部を形成するための層11dを形成する。この状態で、
図5A(c)に示すように、凹部を形成するための層11dに凹部11cを形成して(凹部形成工程)、凹部層11bとする。凹部11cの形成方法は、例えば、プレスもしくはインプリント等の押し型成形、前記透光性高分子材料に感光性を持たせることによるフォトリソグラフィ法、レーザー加工、またはブレードによる微細加工もしくは切削等による機械加工等があげられる。前記透光性高分子材料が熱可塑性を有する材料の場合は、例えば、プレスまたはインプリント等の押し型成形により、簡便に凹部11cを成形できる。
【0059】
つぎに、
図5A(d)に示すように、例えば、スパッタ法により、ITOからなる透明電極12を、凹部層11bの凹部11cが形成されている部分および凹部11cが形成されていない部分の両方の部分上に形成する(透明電極配置工程)。つぎに、
図5A(e)に示すように、透明電極12を覆うように、例えば、メッキにより、銅薄膜層13aを形成する。さらに、
図5A(f)に示すように、例えば、化学機械研磨により、銅薄膜層13aを精密研磨して透明電極12の凹部以外の部分の銅を除去することで、銅からなる補助電極13を透明電極12の凹部内に形成する(補助電極配置工程)。本工程において、透明電極12の凹部を除く表面の高さと、補助電極13の表面の高さとが略同一となるように平坦化して、補助電極13の表面の高さを調節する。このようにして、例えば、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10を製造できる。なお、有機EL照明パネル用基板10を製造する方法は、この例には限定されない。
【0060】
つぎに、
図5B(g)に示すように、補助電極13の透明電極12とのコンタクト部以外の部分を、例えば、フォトリソグラフィにより、絶縁部材14で被覆する(絶縁部材被覆工程)。つぎに、
図5B(h)に示すように、透明電極12および絶縁部材14上に、真空蒸着法等により、有機EL層111を形成する(有機EL層配置工程)。有機EL層111は、例えば、前述の積層構造の層があげられる。最後に、
図5B(i)に示すように、有機EL層111上に、真空蒸着法等により、陰極層112を形成する(陰極層配置工程)。このようにして、有機EL照明パネル100を形成できる。なお、本例の製造方法では、例えば、有機EL照明パネルにおける素子部分を外界から遮断するために、従来公知の封止材料を用いて封止する封止工程を行ってもよい(
図5Aおよび
図5Bにおいて、図示せず)。
【0061】
なお、前述の製造方法では、例えば、前記透明電極配置工程後に、前記透明電極の凹部上に、可視光を反射する反射層を形成し(反射層配置工程)、その後、前記補助電極配置工程を行ってもよい。これにより、例えば、
図3に示す有機EL照明パネル用基板と同様の構成の基板を製造できる。
【0062】
有機EL照明パネル100は、例えば、有機EL照明装置、または、液晶ディスプレイ等のバックライト等に適用でき、大きなパネルサイズ、具体的には、例えば、パネルサイズ10cm×10cm以上の大きさが必要な、前記有機EL照明装置または前記バックライト等に適用するのが好ましい。なお、本発明のEL照明パネルは、前述の用途のみに限定されず、幅広い分野に適用できる。
【0063】
[実施形態3]
本実施形態の有機EL照明パネル用基板は、前記透光性基板そのものに凹部が設けられ、前記凹部に前記補助電極が配置されている有機EL照明パネル用基板の一例である。
図6(a)に、本実施形態の有機EL照明パネル用基板の構成を示す。
【0064】
図6(a)に示すように、本実施形態の有機EL照明パネル用基板20は、透光性基板21と、透明電極12と、補助電極13とを主要な構成要素として含む。透光性基板21の一方の面(
図6(a)において、上側の面)には、前記実施形態1の有機EL照明パネル用基板における凹部層11bの凹部11cと同様に、格子状に凹部21c(断面:長方形)が設けられている。透光性基板21の凹部21cには、透明電極12および補助電極13が、透光性基板11側からこの順に配置されている。具体的には、透光性基板21の凹部21cが設けられている側の面における、凹部21cが設けられている部分および凹部21cが設けられていない部分の両方の部分に、透明電極12が配置されている。透明電極12において、凹部21cに設けられた部分は、凹部21cに対応した格子状の凹部となっている。そして、透光性基板21の凹部21c上、すなわち、透明電極12の凹部内に、補助電極13が配置されている。透明電極12と補助電極13とは、電気的に接続されている。透明電極12の凹部を除く表面の高さと、補助電極13の表面の高さとは、略同一となっている。このような構成とすることでも、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10と同様に、前述の本発明の効果が得られる。
【0065】
透光性基板21は、透光性を有する基板であり、例えば、前記実施形態1における平面層11aと同様のものがあげられる。有機EL照明パネル用基板20では、透光性基板21に、直接凹部21cを設けているため、例えば、特開2005−50552号公報等に記載のように、透明基板上に平坦化層を設ける必要がない。このため、前記公報等に記載の有機EL用基板と比較して、前記平坦化層を設ける工程が不要であり、例えば、簡易に有機EL照明パネル用基板を製造できる。
【0066】
凹部21cのパターン形状は、例えば、補助電極13のパターン形状等に応じて適宜設定でき、凹部21cの深さは、例えば、補助電極13および透明電極12の厚み等に応じて適宜設定できる。透光性基板21の凹部21cは、例えば、フォトエッチング法を用いて、化学的に食刻・修飾することにより形成できる。または、ブレード研磨やブラスト処理等の機械的方法を用いて形成してもよい。従来の有機EL照明パネルでは、透光性基板(無アルカリガラス)と透明電極膜の屈折率差が大きい。このため、屈折率の大きい有機EL層および透明電極から、屈折率の小さい透光性基板へと光が進んだ場合、臨界角以上で透明電極と透光性基板との界面に入射した光は、全反射されてしまい、パネルの外に出ることができない。従来の有機EL照明パネルにおける各層は、平行平板構造となっているため、一度全反射された光は反射角が保存される。このため、前記反射された光は反射を繰り返し、有機EL照明パネルの横方向に導波することとなる。この結果、投入電力に対する発光効率は低くなる。そこで、前述のように、透光性基板21に凹部21cを設けて、透光性基板21表面を3次元構造とすることにより、透明電極12と透光性基板21との界面で全反射された光の反射角を、補助電極13により反射されるときに変えることができる。さらに、3次元構造の透光性基板21に有機EL層からの光が入射するときに、3次元構造部では入射角が変わり、透光性基板と透明電極との界面での全反射も減少させることができる。この結果、例えば、有機EL照明パネル内で発光した光をパネル外部に取り出す効率を向上できる。
【0067】
本実施形態の有機EL照明パネル用基板において、前記透光性基板表面の3次元構造(断面形状)、すなわち、前記補助電極の3次元構造(断面形状)は、例えば、
図7(a)に示すように、凹部21cの断面形状(補助電極13の断面形状)が三角形、または
図7(b)に示すように、凹部21cの断面形状(補助電極13の断面形状)が半円形でもよい。このような形状であれば、例えば、より効率的に光を反射できる。ただし、本発明は、この例には限定されない。また、例えば、有機EL層・透明電極から透光性基板への入射角を変えることで臨界角が変わり、光取出し効率向上に寄与することも期待できる。さらに、屈折率差により透光性基板と大気との界面において全反射し、透光性基板内に戻って来た光も、補助電極部で入射角・反射角が変わるため、大気中に出射できるようになり、光取出し効率も向上する。この結果、例えば、投入電力に対する発光効率を向上できる。
【0068】
本実施形態の有機EL照明パネル用基板は、前記実施形態1と同様に、例えば、さらに、絶縁部材を有し、前記補助電極が前記絶縁部材で覆われている形態でもよい。
図6(b)の断面図に、この形態の一例を示す。
図6(b)に示すように、この例の有機EL照明パネル用基板は、絶縁部材14を有し、補助電極13の透明電極12とのコンタクト部分以外の部分が絶縁部材14に覆われていること以外は、有機EL照明パネル用基板20と同様の構成を有する。このような構成とすることで、
図2に示す有機EL照明パネル用基板(絶縁部材を含む有機EL照明パネル用基板)で説明したのと同様の効果が得られる。
【0069】
本実施形態の有機EL照明パネル用基板は、前記実施形態1と同様に、例えば、さらに、可視光を反射する反射層を有し、前記反射層が、前記透明電極と前記補助電極との間に配置されている形態でもよい。
図6(c)の断面図に、この形態の一例を示す。
図6(c)に示すように、この例の有機EL照明パネル用基板は、反射層15を有し、反射層15が透明電極12と補助電極13との間に配置されていること以外は、有機EL照明パネル用基板20と同様の構成を有する。このような構成とすることで、
図3に示す有機EL照明パネル用基板(反射層を含む有機EL照明パネル用基板)で説明したのと同様の効果が得られる。
【0070】
[実施形態4]
本実施形態の有機EL照明パネルは、
図6(a)に示す有機EL照明パネル用基板20を使用した有機EL照明パネルの一例である。
図8の断面図に、本実施形態の有機EL照明パネルの構成を示す。
図8に示すように、本実施形態の有機EL照明パネル110は、有機EL照明パネル用基板20と、有機EL層111と、陰極層112とを主要な構成要素として含む。有機EL照明パネル110は、有機EL照明パネル用基板10に代えて、有機EL照明パネル用基板20を含むこと以外は、有機EL照明パネル100と同様の構成を有する。
【0071】
つぎに、
図9Aおよび
図9Bを参照して、有機EL照明パネル110の製造方法を、透明電極12がITOからなる電極であり、補助電極13が銅からなる電極である場合の一例として説明する。なお、有機EL照明パネル110を製造する方法は、以下の例に限定されない。
【0072】
まず、
図9A(a)に示すように、透光性基板21を準備する。つぎに、
図9A(b)に示すように、透光性基板21の一方の面(
図9A(b)において、上側の面)に、フォトエッチング法を用いて化学的に食刻・修飾することにより、または機械加工等により、凹部21cを形成する(凹部形成工程)。つぎに、
図9A(c)に示すように、例えば、スパッタ法により、ITOからなる透明電極12を、透光性基板21の凹部21cが形成されている部分および凹部21cが形成されていない部分の両方の部分上に形成する(透明電極配置工程)。つぎに、
図9A(d)に示すように、透明電極12を覆うように、例えば、メッキにより、銅薄膜層13aを形成する。さらに、
図9A(e)に示すように、例えば、化学機械研磨により、銅薄膜層13aを精密研磨して透明電極12の凹部以外の部分の銅を除去することで、銅からなる補助電極13を透明電極12の凹部内に形成する(補助電極配置工程)。本工程において、透明電極12の凹部を除く表面の高さと、補助電極13の表面の高さとが略同一となるように平坦化して、補助電極13の表面の高さを調節する。このようにして、例えば、
図6(a)に示す有機EL照明パネル用基板20を製造できる。なお、有機EL照明パネル用基板20を製造する方法は、この例には限定されない。
【0073】
つぎに、
図9B(f)に示すように、補助電極13の透明電極12とのコンタクト部以外の部分を、例えば、フォトリソグラフィにより、絶縁部材14で被覆する(絶縁部材被覆工程)。つぎに、
図9B(g)に示すように、透明電極12および絶縁部材14上に、真空蒸着法等により、有機EL層111を形成する(有機EL層配置工程)。最後に、
図9B(h)に示すように、有機EL層111上に、真空蒸着法等により、陰極層112を形成する(陰極層配置工程)。このようにして、有機EL照明パネル110を形成できる。なお、本例の製造方法では、例えば、有機EL照明パネルにおける素子部分を外界から遮断するために、従来公知の封止材料を用いて封止する封止工程を行ってもよい(
図9Aおよび
図9Bにおいて、図示せず)。
【0074】
なお、前述の製造方法では、例えば、前記透明電極配置工程後に、前記透明電極の凹部上に、可視光を反射する反射層を形成し(反射層配置工程)、その後、前記補助電極配置工程を行ってもよい。これにより、例えば、
図6(c)に示す有機EL照明パネル用基板と同様の構成の基板を製造できる。
【0075】
[実施形態5]
本実施形態の有機EL照明パネル用基板は、前記透光性基板が複数の層から構成されており、平面層の最表面に凹部層を有し、前記凹部層の凹部に前記補助電極が配置されている有機EL照明パネル用基板の一例である。
図10の断面図に、本実施形態の有機EL照明パネル用基板の構成を示す。
【0076】
図10に示すように、本実施形態の有機EL照明パネル用基板30は、透光性基板11と、透明電極32と、補助電極33とを主要な構成要素として含む。透光性基板11は、平面層11a上に凹部層11bが積層された構成である。凹部層11bの平面層11a側の面とは反対側の面には、格子状に凹部11c(断面:長方形)が設けられている。凹部層11bの凹部11c内には、補助電極33が配置されている。凹部層11bの凹部11cを除く表面の高さと、補助電極33の表面の高さとは、略同一となっている。そして、補助電極33上、および凹部層11bの凹部11cが設けられていない部分上には、透明電極32が配置されている。透明電極32と補助電極33とは、電気的に接続されている。このような構成とすることでも、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10と同様に、前述の本発明の効果が得られる。
【0077】
透明電極32および補助電極33の形成材料、形成方法等は、例えば、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10における透明電極12および補助電極13と同様である(以下、同様)。
【0078】
[実施形態6]
本実施形態の有機EL照明パネルは、
図10に示す有機EL照明パネル用基板30を使用した有機EL照明パネルの一例である。
図11の断面図に、本実施形態の有機EL照明パネルの構成を示す。
図11に示すように、本実施形態の有機EL照明パネル120は、有機EL照明パネル用基板30と、有機EL層111と、陰極層112とを主要な構成要素として含む。有機EL照明パネル120は、有機EL照明パネル用基板10に代えて、有機EL照明パネル用基板30を含むこと、および絶縁部材14を含まないこと以外は、有機EL照明パネル100と同様の構成を有する。
【0079】
つぎに、
図12Aおよび
図12Bを参照して、有機EL照明パネル120の製造方法を、透明電極32がITOからなる電極であり、補助電極33が銅からなる電極である場合の一例として説明する。なお、有機EL照明パネル120を製造する方法は、以下の例に限定されない。
【0080】
まず、
図12A(a)に示すように、平面層11aを準備する。つぎに、
図12A(b)に示すように、平面層11a上に、凹部を形成するための層11dを積層する。具体的には、例えば、ガラス等の平面層11a上に、前記透光性高分子材料を印刷法等により塗布することで、凹部を形成するための層11dを形成する。この状態で、
図12A(c)に示すように、凹部を形成するための層11dに凹部11cを形成して(凹部形成工程)、凹部層11bとする。凹部11cの形成方法は、例えば、プレスもしくはインプリント等の押し型成形、前記透光性高分子材料に感光性を持たせることによるフォトリソグラフィ法、レーザー加工、またはブレードによる微細加工もしくは切削等による機械加工等があげられる。前記透光性高分子材料が熱可塑性を有する材料の場合は、例えば、プレスまたはインプリント等の押し型成形により、簡便に凹部11cを成形できる。
【0081】
つぎに、
図12A(d)に示すように、凹部層11bの凹部11cが形成されている部分および凹部11cが形成されていない部分の両方の部分上に、例えば、メッキにより、銅薄膜層33aを形成する。つぎに、
図12A(e)に示すように、例えば、化学機械研磨により、銅薄膜層33aを精密研磨して凹部層11bにおける凹部11cが形成されていない部分の銅を除去することで、銅からなる補助電極33を凹部層11bの凹部11c内に形成する(補助電極配置工程)。本工程において、凹部層11bの凹部11cを除く表面の高さと、補助電極33の表面の高さとが略同一となるように平坦化して、補助電極33の表面の高さを調節する。さらに、
図12A(f)に示すように、凹部層11bの凹部11cが形成されていない部分上、および補助電極33上に、例えば、スパッタ法により、ITOからなる透明電極32を形成する(透明電極配置工程)。このようにして、例えば、
図10に示す有機EL照明パネル用基板30を製造できる。なお、有機EL照明パネル用基板30を製造する方法は、この例には限定されない。
【0082】
つぎに、
図12B(g)に示すように、透明電極12上に、真空蒸着法等により、有機EL層111を形成する(有機EL層配置工程)。最後に、
図12B(h)に示すように、有機EL層111上に、真空蒸着法等により、陰極層112を形成する(陰極層配置工程)。このようにして、有機EL照明パネル120を形成できる。なお、本例の製造方法では、例えば、有機EL照明パネルにおける素子部分を外界から遮断するために、従来公知の封止材料を用いて封止する封止工程を行ってもよい(
図12Aおよび
図12Bにおいて、図示せず)。
【0083】
[実施形態7]
本実施形態の有機EL照明パネル用基板は、前記透光性基板そのものに凹部が設けられ、前記凹部に直接、前記補助電極が配置されている有機EL照明パネル用基板の一例である。
図13の断面図に、本実施形態の有機EL照明パネル用基板の構成を示す。
【0084】
図13に示すように、本実施形態の有機EL照明パネル用基板40は、透光性基板21と、透明電極32と、補助電極33とを主要な構成要素として含む。透光性基板21の一方の面(
図13において、上側の面)には、格子状に凹部21c(断面:長方形)が設けられている。透光性基板21の凹部21c内には、補助電極33が配置されている。透光性基板21の凹部21cを除く表面の高さと、補助電極33の表面の高さとは、略同一となっている。そして、補助電極33上、および透光性基板21の凹部21cが形成されていない部分上には、透明電極32が配置されている。透明電極32と補助電極33とは、電気的に接続されている。このような構成とすることでも、
図1に示す有機EL照明パネル用基板10と同様に、前述の本発明の効果が得られる。
【0085】
[実施形態8]
本実施形態の有機EL照明パネルは、
図13に示す有機EL照明パネル用基板40を使用した有機EL照明パネルの一例である。
図14の断面図に、本実施形態の有機EL照明パネルの構成を示す。
図14に示すように、本実施形態の有機EL照明パネル130は、有機EL照明パネル用基板40と、有機EL層111と、陰極層112とを主要な構成要素として含む。有機EL照明パネル130は、有機EL照明パネル用基板10に代えて、有機EL照明パネル用基板40を含むこと、および絶縁部材14を含まないこと以外は、有機EL照明パネル100と同様の構成を有する。
【0086】
つぎに、
図15Aおよび
図15Bを参照して、有機EL照明パネル130の製造方法を、透明電極32がITOからなる電極であり、補助電極33が銅からなる電極である場合の一例として説明する。なお、有機EL照明パネル130を製造する方法は、以下の例に限定されない。
【0087】
まず、
図15A(a)に示すように、透光性基板21を準備する。つぎに、
図15A(b)に示すように、透光性基板21の一方の面(
図15A(b)において、上側の面)に、フォトエッチング法を用いて化学的に食刻・修飾することにより、または機械加工等により、凹部21cを形成する(凹部形成工程)。つぎに、
図15A(c)に示すように、透光性基板21の凹部21cが形成されている部分および凹部21cが形成されていない部分の両方の部分上に、例えば、メッキにより、銅薄膜層33aを形成する。つぎに、
図15A(d)に示すように、例えば、化学機械研磨により、銅薄膜層33aを精密研磨して透光性基板21における凹部21cが形成されていない部分の銅を除去することで、銅からなる補助電極33を透光性基板21の凹部21c内に形成する(補助電極配置工程)。本工程において、透光性基板21の凹部21cを除く表面の高さと、補助電極33の表面の高さとが略同一となるように平坦化して、補助電極33の表面の高さを調節する。さらに、
図15A(e)に示すように、透光性基板21の凹部21cが形成されていない部分上、および補助電極33上に、例えば、スパッタ法により、ITOからなる透明電極32を形成する(透明電極配置工程)。このようにして、例えば、
図13に示す有機EL照明パネル用基板40を製造できる。なお、有機EL照明パネル用基板40を製造する方法は、この例には限定されない。
【0088】
つぎに、
図15B(f)に示すように、透明電極32上に、真空蒸着法等により、有機EL層111を形成する(有機EL層配置工程)。最後に、
図15B(g)に示すように、有機EL層111上に、真空蒸着法等により、陰極層112を形成する(陰極層配置工程)。このようにして、有機EL照明パネル130を形成できる。なお、本例の製造方法では、例えば、有機EL照明パネルにおける素子部分を外界から遮断するために、従来公知の封止材料を用いて封止する封止工程を行ってもよい(
図15Aおよび
図15Bにおいて、図示せず)。
【実施例】
【0089】
つぎに、本発明の実施例を示し、さらに詳しく本発明について例示説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって何ら限定および制限されない。
【0090】
[実施例1]
(1)有機EL照明パネルの作製
本実施例の有機EL照明パネルとして、以下のようにして、
図4に示す有機EL照明パネル100を作製した。すなわち、まず、平面層11aとして無アルカリガラス(厚み:0.7mm、日本電気硝子(株))を準備した。無アルカリガラス11a上に、透光性高分子材料としてウレタンアクリレート(商品名「UV6300B」、日本合成化学工業(株))を、バーコーターで50μmの厚さに塗工した後、100℃に加熱し、型押しして凹部11cを形成して、凹部層11bとした。つぎに、スパッタ法により、凹部層11b上に、透明電極12としてITOを成膜した(ITO膜12)。つぎに、ITO膜12を覆うように、メッキ法により、銅薄膜層13aを形成した。この銅薄膜層13aにおけるITO膜12の凹部以外の部分を、研磨剤による化学機械研磨法により、ITO面が露出するまで、研磨、平坦化を行い、銅の補助電極(補助配線)13を形成した。前記研磨剤は、酸化セリウムをベースとした研磨材(商品名「HS−H635」、日立化成工業(株))を使用した。このようにして、ITO膜12を陽極(透明電極)とし、銅を補助配線13とする有機EL照明パネル用基板を作製した。
【0091】
つぎに、銅の補助配線13およびITO膜12上に、透明性を有するアクリル系のネガ型フォトレジスト(商品名「JNPC−72」、JSR(株))を塗布し、フォトリソグラフィ法により、銅の補助配線13上に絶縁部材(保護膜)14を形成するようパターニングを行った。つぎに、ITO膜12および保護膜14上に、スパッタ法により、有機EL層111を形成し、最後に、有機EL層111上に、スパッタ法により、アルミニウムの陰極層112を形成した。このようにして、
図4に示す有機EL照明パネル100を作製した。有機EL層111は、ITO膜12側から、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層が、この順序で積層された積層体とした。前記積層体における各層の形成材料は、下記のとおりである。
正孔注入層:Cu−Pc(銅フタロシアニン)
正孔輸送層:α−NPD(N,N’−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン)
発光層:ホスト;CBP(4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル)
ドーパント;Ir(ppy)
3 (トリス−(2フェリニルピリジン)イリジウム錯体)、Btp
2Ir(acac) (ビス(2−(2’−ベンゾ(4,5−α)チエニル)ピリジネート−N,C2’)(アセチルアセトネート)イリジウム錯体)、FIr(pic) ((ビス(4,6−ジ−フルオロフェニル)−ピリジネート−N,C2’)ピコリネートイリジウム錯体)
正孔ブロック層:BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)
電子輸送層:Alq
3
電子注入層:LiF
【0092】
(2)特性評価
(2−1)輝度の均一性評価
本実施例の有機EL照明パネルを、駆動電流を25A/m
2の定電流とし点灯させた。駆動電圧は4.6V、輝度は1100cd/m
2であった。この有機EL照明パネルにおける輝度の均一性を、下記のようにして評価した。すなわち、この有機EL照明パネルにおける面内9点の輝度を測定し、前記9点の輝度のうち、最大輝度および最小輝度を、下記式(I)に代入して、輝度の均一性を算出した(以下、同様)。前記輝度の均一性(%)は、値が小さいほど、有機EL照明パネル面内の輝度の均一性が高いことを示す。この有機EL照明パネルの輝度の均一性は、3%であった。
輝度の均一性(%)=(最大輝度−最小輝度)/最大輝度×100 (I)
【0093】
(2−2)連続点灯評価
また、この有機EL照明パネルを、上記(2−1)と同様の電流密度で連続点灯させた(n=10)。その結果、連続点灯10000時間を越えた後でも、全ての有機EL照明パネルは、安定して点灯していた。
【0094】
[比較例1]
(1)有機EL照明パネルの作製
透光性基板に凹部を形成しなかったこと以外は、前記実施例1と同様にして、本比較例の有機EL照明パネルとして、
図16に示す有機EL照明パネル200を作製した。
図16において、201は透光性基板、202は透明電極、203は補助電極、204は絶縁部材、211は有機EL層、212は陰極層を示す。
【0095】
(2)特性評価
(2−1)輝度の均一性評価
本比較例の有機EL照明パネルを、駆動電流を25A/m
2の定電流とし点灯させた。駆動電圧は5.0V、輝度は870cd/m
2であった。この有機EL照明パネルにおける輝度の均一性は、9%であった。
【0096】
(2−2)連続点灯評価
また、この有機EL照明パネルを、上記(2−1)と同様の電流密度で連続点灯させた(n=10)。その結果、3つの有機EL照明パネルにおいて、1700時間以内に短絡が発生し、非点灯となった。
【0097】
[比較例2]
(1)有機EL照明パネルの作製
補助電極を形成しなかったこと以外は、前記比較例1と同様にして、本比較例の有機EL照明パネルを作製した。
【0098】
(2)特性評価
(2−1)輝度の均一性評価
本比較例の有機EL照明パネルを、駆動電流を25A/m
2の定電流とし点灯させた。駆動電圧は5.7V、輝度は795cd/m
2であった。この有機EL照明パネルにおける輝度の均一性は、35%であった。
【0099】
(2−2)連続点灯評価
また、この有機EL照明パネルを、上記(2−1)と同様の電流密度で連続点灯させた(n=10)。その結果、5つの有機EL照明パネルにおいて、1000時間以内に短絡が発生し、非点灯となった。
【0100】
以上の結果から、実施例1の有機EL照明パネルでは、面内の輝度の均一性が高く、短絡を防止できて信頼性が高かった。一方、比較例1および比較例2の有機EL照明パネルでは、面内の輝度の均一性が低く、短絡が発生して信頼性が低かった。
【0101】
以上のように、本発明の有機ELパネル用基板およびそれを用いた有機EL照明パネルによれば、有機EL照明パネル面内の輝度および色度の均一性を向上でき、かつ、補助電極に起因する断線等による信頼性低下を抑制できる。したがって、本発明の有機EL照明パネルは、例えば、有機EL照明装置、または、液晶ディスプレイ等のバックライト等に適用できる。なお、本発明の有機EL照明パネルは、前述の用途のみに限定されず、幅広い分野に適用できる。
【0102】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0103】
この出願は、2012年4月12日に出願された日本出願特願2012−91282を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。