(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
本発明の一実施例である無線通信システムは、基地局装置120を含む統制局101と、複数の通信機器である移動局装置130(以下、移動局装置の総称とする)を有している。
移動局装置130は、例えば、車載局装置131−1〜131−3、携帯局装置132−1〜132−4、可動局装置133−1〜131−2、受信専用無線機装置134−1等である。
なお、基地局装置や移動局装置の数は、
図1に限定されるものではない。
【0011】
統制局101は、回線制御装置111に接続された通信卓112と、管理装置113と、基地局装置120を有している。
回線制御装置111は、例えば有線で通信卓112と基地局装置120と接続されており、これらの間の通信を中継し、また、無線回線などに関する各種の制御を行う。
通信卓112は、操作者(オペレータ)が各種の指示や情報を入力するものである。
管理装置113は、通信卓112からの各種の指示や情報と、移動局装置130の各種管理情報を記憶している。
【0012】
基地局装置120は、制御装置121に接続された無線装置122、無線装置122の受信(Rx)アンテナ123及び送信(Tx)アンテナ124が設けられている。
基地ゾーン125は、基地局装置120の送受信範囲(通信エリア)である。
基地局装置120は、基地ゾーン125に存在する移動局装置である車載局装置131−1〜131−2、携帯局装置132−1〜132−2、可動局装置133−1〜131−2、受信専用無線機装置134−1等の間で無線により通信する。
基地局装置120の基地ゾーン125内において、基地局装置120の下り無線キャリアとして周波数f2が使用され、基地局装置120の上り無線キャリアとして周波数f1が使用される。基地ゾーン125外では、移動局装置間での直接通信用キャリアとして周波数f3が使用される。ここで、各周波数f1、f2、f3は、例えば、それぞれ異なる周波数である。
【0013】
次に、本発明の一実施例である移動局装置の動作を
図2で説明する。
図2は本発明の一実施例である移動局装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図2において、移動局装置130の使用者が電源を投入すると、移動局装置130は装置全体を動作させるための電源投入処理を行い(S201)、S202の処理に進む。
移動局装置130は、ハードウェアの初期化の処理を行い(S202)、ソフトウェアの初期化の処理を行う(S203)。
移動局装置130は、通信を行うための通信許可情報を受信済であるか否かの判定を行い(S204)、受信済の場合(YES)にはS205の処理に進み、未受信の場合(NO)にはS214の処理に進む。
【0014】
移動局装置130は、通信許可情報を受信するためのチャネル(CH)の表示と設定を行い(S214)、釦操作と表示内容の制限を行う(S215)。
移動局装置130は、設定チャネル(CH)を起動し、通信許可情報の待受け状態とする(S216)。
【0015】
移動局装置130は、通信許可情報を受信するまで継続的に運用中とする(S217)。
移動局装置130は、通信許可情報の受信有無を判定し(S218)、受信した場合(YES)にはS219の処理に進み、未受信の場合(NO)にはS220の処理に進む。
移動局装置130は、通信許可情報を図示していない記憶部に記憶し(S219)、S205の処理に進む。なお、この通信許可情報は、移動局装置130を指定する固有の識別情報を含んでいることが好ましい。この場合には、通信許可情報を受信し、識別情報が自身に該当すれば受信有りと判定し、通信許可情報を受信しても識別情報が自身に該当するものでなければ、移動局装置130は未受信と判断する。これにより、管理装置113は通信を許可する端末、禁止する端末を指定することができ、使用許可/禁止を適正に実施しシステムのセキュリティを向上することができる。
そして、移動局装置130は、電源切断の有無の判定を行い(S220)、電源を切断している場合(YES)にはS211の処理に進み、電源を切断していない場合(NO)にはS217の処理に戻る。
【0016】
移動局装置130は、デフォルトチャネル(CH)の設定有無を判定し(S205)、デフォルトチャネル(CH)を設定している場合(YES)にはS206の処理に進み、デフォルトチャネル(CH)を設定していない場合(NO)にはS207の処理に進む。
移動局装置130は、デフォルトチャネル(CH)の表示と設定を行い(S206)、S208の処理に進む。
移動局装置130は、ラストチャネル(CH)の表示と設定を行い(S207)、S208の処理に進む。
【0017】
移動局装置130は、設定チャネル(CH)を起動し、通常運用の待受け状態とする(S208)。
移動局装置130は、通信の待受け状態である通常運用中となる(S209)。
その後、移動局装置130は、電源切断の有無の判定を行い(S210)、ユーザ(操作者)によって電源の切断操作がなされ電源を切断する場合(YES)にはS211の処理に進み、電源を切断していない場合(NO)にはS209の処理に戻る。
【0018】
移動局装置130は、S211において、ユーザが電源を切断する際に、予め設定してある電源切断時の所定の操作を実施したか否かに応じて、記憶部に記憶している通信許可情報の破棄の要否を判定する。つまり、所定の操作が実施されなかった場合には通信許可情報を破棄すると判断し(YES)、S212の処理に進んで記憶部に記憶している通信許可情報を破棄(削除)する。
一方、移動局装置130は、電源切断時にユーザによって所定の操作が実施された場合には、通信許可情報を破棄しないと判断し(NO)、S212の処理を実行せずに通信許可情報を記憶部に記憶したままS213の処理に進む。
そして、移動局装置130は、電源の切断処理を行う(S213)。
このように、移動局装置130は、電源切断時にユーザが所定の操作を実行したか否かに応じて、通信許可情報を記憶部に残すか破棄するかを決定する。したがって、盗難などによって本来使用すべきでない人が移動局装置130を不正使用していた場合、電源を切断する際に、本来使用すべき人のみが知っている所定操作を実行しないと通信許可情報が破棄されてしまう。そのため、本来使用すべきでない人(不正使用者)が再度電源を投入した際には、その移動局装置130は使用することができなくなり、使用許可/禁止の設定を適正に実現することができる。
【0019】
次に、本発明の一実施例である無線通信システムの動作について
図3と
図4を用いて説明する。
図4は本発明の一実施例である管理装置に記憶している各通信機器の設定情報のメモリテーブル図である。
図4は、移動局装置毎に個別番号を付与し、個別番号毎に使用許可/禁止を設定したメモリテーブル図である。例えば、使用許可/禁止情報において、許可の場合は“1”とし、禁止の場合は“0”とする。
【0020】
図3は本発明の一実施例である無線通信システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
管理装置113は通常待機状態である(301)。通信卓112は通常待機状態である(302)。回線制御装置111は通常待機状態である(303)。基地局装置120は通常待機状態である(304)。
【0021】
移動局装置130は、電源が投入されると装置全体を動作されるための電源投入処理を行い(305)、ハードウェアおよびソフトウェアの初期化処理を行い(306)、通信許可情報受信チャネル(CH)の起動と待受けを行い(307)、通信許可情報を受信するまで継続的に待受け中とする(308)。なお、このとき移動局装置130は動作制限状態であり、通信(特に発信)はもちろん、操作、表示内容も制限された状態である。
【0022】
管理装置113は、移動局装置毎に使用許可/禁止の通信許可情報を設定する(309)。例えば、
図4は移動局装置毎に使用許可/禁止を設定した管理装置113のメモリテーブル図である。
管理装置113は、回線制御装置111に対して移動局装置毎に通信許可情報の配信を指示する(310)。
【0023】
回線制御装置111は、通信許可情報配信指示を受信し(311)、通信許可情報配信指示を生成し(312)、基地局装置120に対して移動局装置毎に通信許可情報の配信を指示する(313)。
【0024】
基地局装置120は、通信許可情報配信指示を受信し(314)、移動局装置毎に通信許可情報送信を生成し(315)、各移動局装置130に対して通信許可情報の送信する(316)。この通信許可情報には各移動局装置130を指定する識別情報(電話番号等)を含んでいることが好ましい。
【0025】
移動局装置130は、自装置宛ての通信許可情報の受信し(317)、通信許可情報を記憶部に記憶し(318)、通常チャネル(CH)を起動および受信信号の待受け状態にし(319)、通信制限や、操作、表示内容の制限が解かれた通常運用状態として運用する(320)。
【0026】
本発明によれば、基地局装置の通信エリア内で無線を通して使用する通信機器の位置管理を行わない無線通信システムにおいて、通信機器の盗難や当該通信機器の不正使用、及び他システム傘下での当該通信機器の不正使用を防ぐことができる。
【0027】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。
なお、上述した実施形態では、通信機器として移動局装置130を例に挙げて説明したが、通信機器は基地局装置120と通信可能なものであればよい。
【0028】
また、上述した実施形態では、管理装置113が移動局装置毎に通信許可情報を送信する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、通信許可情報に通信を許可する複数の通信機器の情報を含めて送信し、受信した通信機器が、かかる情報に自局が含まれていれば通常運用に移行するように構成してもよい。これにより、上述した実施形態よりもより効率良く、短時間で通信機器の許可/禁止設定を実現することができる。
【0029】
さらに、上述した実施形態では、管理装置113は通信許可情報として通信を許可する情報(動作制限を解除する情報)を通信機器に送信する場合を説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、管理装置113が通信を禁止する、あるいは、動作制限を実行させる情報として通信許可情報を、各通信機器宛てに、あるいは、複数の通信機器の識別情報を含めて基地局装置120から送信するように構成してもよい。この場合、通信機器は自装置に対する通信許可情報を受信すると、動作制限を実行する。なお、通信許可情報を許可と禁止の両方に用いても良く、その場合、許可する通信機器と、禁止する通信機器とを当該通信許可情報において区別し、通信機器も自装置が許可されているのか禁止されているのかを識別するように構成する必要がある。これにより、上述した実施形態よりもより効率良く、短時間で通信機器の許可/禁止設定を実現することができる。