特許第6168747号(P6168747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6168747
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】遺影写真用台紙
(51)【国際特許分類】
   B42D 1/08 20060101AFI20170713BHJP
   A47G 1/14 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   B42D1/08 N
   A47G1/14 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-228728(P2012-228728)
(22)【出願日】2012年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-79935(P2014-79935A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】598033848
【氏名又は名称】株式会社アスカネット
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄司
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3120549(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3100013(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3024043(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3049914(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/00− 1/24
A47G 33/00−35/00
B42D 1/00−19/00
B42F 1/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺影写真を収納する遺影写真用台紙であって、
左右に二つ折り可能な表紙と、
前記表紙の左右いずれかの半面に取付けられた矩形状の枠体を備え、
前記枠体の上縁部と前記表紙の半面との間には上方に開口し、前記遺影写真が貼着されたマットを挿入可能な開口部が形成されるとともに、
前記枠体の左縁部及び右縁部の上端に、左右方向外側から内側に向けて下方に傾斜し前記マットの定位置からの左右方向外側のずれを修正して前記マットを定位置に戻す傾斜部が形成されたことを特徴とする遺影写真用台紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺影写真を収納する遺影写真用台紙の使用方法及び遺影写真用台紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
葬儀で使用する遺影写真用額縁には、四切や大四切といったサイズの遺影写真を収納できるものが一般に用いられているが、一部の地方を除く都市部では住宅事情が悪いので、葬儀後にその遺影写真用額縁を自宅で設置したり保管したりするには遺影写真用額縁が大き過ぎる。
【0003】
また、都市部を中心に核家族の割合が増加しているので、自宅に仏壇がない場合も多くなっており、葬儀で使用した遺影写真用額縁を自宅に飾っておくことに対して抵抗感を持つ人も増加しつつある。
さらに、遺影写真用額縁を従来のように欄間等の頭上に飾っておくと、地震等による落下の危険性があり、安全面への懸念も潜在する。
【0004】
そこで、遺影写真を収納するものとして、アルバム式の遺影写真用台紙が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3120549号公報
【0006】
この遺影写真用台紙は、左右に二つ折り可能な表紙と、矩形状の枠体を備え、枠体の上縁部と表紙との間に形成された開口部から遺影写真を挿入するものである。
この考案によると、遺影写真が外側になるように表紙を二つ折りにすることで、葬儀のときにはこのまま祭壇に飾ることができる。
そして、葬儀後には遺影写真が外側になるように表紙を二つ折りにして自宅でも飾ったり、もしくは遺影写真が内側になるように表紙を二つ折りにして書棚等に保管したりできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような遺影写真用台紙はその構造や用いられる素材のために、従来の遺影写真用額縁に比べて簡易的であるという印象を与えてしまう。
【0008】
ここで、葬儀は故人の人生を締めくくる日本の伝統的な儀式(セレモニー)としての存在意義を有するので、葬儀後における遺影写真の取扱いの容易さよりも葬儀の荘厳さや品位のほうが重視されるが、遺影写真は葬儀の際に最も目立つ祭壇の中央に飾られることもあり、仮にこのような簡易的な遺影写真用台紙が葬儀で使用されると葬儀の品位・格調が下がってしまう。
したがって、葬儀においては従来の仕様及びサイズの遺影写真用額縁を使用することが望まれる。
【0009】
そこで、本発明の目的とするところは、葬儀においては葬儀の荘厳さを重視するとともに、葬儀後には遺影写真の取扱いを容易にした遺影写真用台紙の使用方法及び遺影写真用台紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の遺影写真用台紙(10)は、遺影写真(1)を収納する遺影写真用台紙(10)であって、左右に二つ折り可能な表紙(11)と、前記表紙(11)の左右いずれかの半面に取付けられた矩形状の枠体(12)を備え、前記枠体(12)の上縁部(12a)と前記表紙(11)の半面との間には上方に開口し、前記遺影写真(1)が貼着されたマット(2)を挿入可能な開口部(13)が形成されるとともに、前記枠体(12)の左縁部(12c)及び右縁部(12d)の上端に、左右方向外側から内側に向けて下方に傾斜し前記マット(2)の定位置からの左右方向外側のずれを修正して前記マット(2)を定位置に戻す傾斜部(14)が形成されたことを特徴とする。
【0013】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、葬儀後に、遺影写真を遺影写真用額縁から遺影写真用台紙に入れ替えるので、葬儀では遺影写真用額縁によって荘厳さを保つことができるとともに、葬儀の後には遺影写真の取扱いが容易になる。
この取扱いが容易とはすなわち、挿入された遺影写真が内側になるように遺影写真用台紙の表紙を内側に二つ折りにして保管することができるので、狭い住宅であっても遺影写真が場所を取らず、また高所からの落下の危険もない。
このように遺影写真を内側にして保管することで、外的環境から遺影写真を守ることができるので、遺影写真の長期保存にも優れる。
【0015】
また、法事の際には、再び遺影写真付きのマットを入れ替えることなく、挿入されたマットが外側になるように遺影写真用台紙の表紙を外側に二つ折りにするだけで、展示することができる。
なお、法事では葬儀ほどの荘厳さは求められないので、遺影写真用額縁に比べて簡易的な遺影写真用台紙を使用しても法事の雰囲気を壊してしまうことはない。
【0016】
また、本発明によれば、枠体の左縁部及び右縁部の上端に、左右方向外側から内側に向けて下方に傾斜する傾斜部が形成され、遺影写真付きのマットを開口部から挿入するときに、マットの定位置からの左右方向外側のずれを傾斜部によって修正してマットを定位置に戻すので、例えば葬儀終了時の限られた時間の中で遺影写真用台紙への入れ替えなければならない場合であっても、円滑に行うことができる。
【0017】
また、本発明によれば、枠体の左縁部及び右縁部の上端に、左右方向外側から内側に向けて下方に傾斜しマットの定位置からの左右方向外側のずれを修正してマットを定位置に戻す傾斜部が形成されたので、遺影写真が貼着されたマットを遺影写真用台紙へ円滑に挿入することができる。
【0018】
なお、本発明の遺影写真用台紙のように、葬儀では使用せずに、葬儀後に遺影写真が貼着されたマットを挿入する点は、上述した特許文献1には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る遺影写真用台紙を示す正面図である。
図2図1に示す遺影写真用台紙を示す拡大平面図である。
図3図1に示す遺影写真用台紙の使用方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る遺影写真用台紙10を説明する。
この遺影写真用台紙10は、内部に遺影写真1を収納するものであって、表紙11と、枠体12を備える。
遺影写真1は、遺影写真1の外形(四切又は大四切)よりも一回り大きいマット2の一面に貼着されている。これは遺影写真1単独では簡単に折れ曲がってしまうので、マット2によって補強して取扱い易くするためである。
【0021】
表紙11は、中央の折曲部11aにおいて左右に二つ折り可能であって、内側に折り曲げることも外側に折り曲げることもできる。つまり、表紙11の左半面を表紙11の右半面に対して0度から約360度まで折り曲げ可能である。
表紙11の半面の大きさはマット2の大きさより一回り大きい。
この台紙は遺影写真1を収納するものであるので、表紙11には品位のある高級素材が用いられる。
【0022】
枠体12は、上縁部12a、下縁部12b、左縁部12c、及び右縁部12dからなる矩形状であり、外形が表紙11の半面よりも一回り小さい。
下縁部12b、左縁部12c、及び右縁部12dが表紙11の右半面(左半面でもよい)に貼着されることで、枠体12が表紙11に対して取付けられている。
一方、上縁部12aは表紙11に対して貼着されておらず、枠体12の上縁部12aと表紙11の右半面との間には上方に開口する開口部13が形成されている。
なお、図2に示すように、下縁部12b、左縁部12c、及び右縁部12dは、遺影写真用台紙10の厚さ方向に二層に分割されており、手前側(図2における下側)の下縁部12b、左縁部12c、及び右縁部12dは上縁部12aと一体になっている。
【0023】
また、左縁部12cの右端と右縁部12dの左端との間隔はマット2の幅よりも広くなっている。つまり、遺影写真用台紙10の開口部13の幅はマット2の幅よりも広く、遺影写真1が貼着されたマット2を開口部13から遺影写真用台紙10の内部に挿入可能である。もちろん、開口部13の厚さ方向の長さは、遺影写真1が貼着されたマット2の厚さよりも長い。
そして、枠体12の左縁部12c及び右縁部12dの上端には、左右方向外側から内側に向けて下方に傾斜する傾斜部14が形成されている。左縁部12cの傾斜部14と右縁部12dの傾斜部14との間には上縁部12aは存在しないので、図2に示すように上方から見たときに、傾斜部14が目視できる。
また、枠体12の内寸は遺影写真1の大きさと略等しく、遺影写真用台紙10に遺影写真1付きマット2を収納し遺影写真用台紙10を開いたときには、遺影写真1全体を視認可能である。
【0024】
次に、このように構成された遺影写真用台紙10の使用方法について、図3を参照して説明する。
葬儀においては、遺影写真1が貼着されたマット2は遺影写真用額縁100に収納され、祭壇に飾られている。
【0025】
そして、葬儀後に、遺影写真1が貼着されたマット2が、葬儀で使用された遺影写真用額縁100から取り出され、遺影写真用台紙10の開口部13から遺影写真用台紙10の内部に挿入される。
このとき、マット2の定位置からの左右方向外側のずれを傾斜部14によって修正してマット2を定位置に戻す。つまり、遺影写真用台紙10の開口部13に対してマット2が左側にずれていたときには、マット2の左下端が遺影写真用台紙10の左縁部12cの傾斜部14に当たってマット2が右方向に移動し、開口部13に対してマット2が右側にずれていたときには遺影写真用台紙10の右下端が遺影写真用台紙10の右縁部12dの傾斜部14に当たってマット2を左方向に移動する。
このようにして、遺影写真1付きのマット2を遺影写真用額縁100から遺影写真用台紙10に円滑に入れ替える。
【0026】
そして、挿入された遺影写真1が内側になるように遺影写真用台紙10の表紙11を内側に二つ折りにして書棚等に保管する。
また、法事の際には、挿入されたマット2が外側になるように遺影写真用台紙10の表紙11を外側に(反対側に)二つ折りにして、遺影写真用台紙10ごと遺影写真1を展示する。
なお、法事では葬儀ほどの荘厳さは求められないので、遺影写真用額縁100に比べて簡易的な遺影写真用台紙10を使用しても法事の雰囲気を壊してしまうことはない。
【0027】
以上のように構成及び使用される遺影写真用台紙10によれば、葬儀後に、遺影写真1を遺影写真用額縁100から遺影写真用台紙10に入れ替えるので、葬儀では遺影写真用額縁100によって荘厳さを保つことができるとともに、葬儀の後には遺影写真1の取扱いが容易になる。
この取扱いが容易とはすなわち、挿入された遺影写真1が内側になるように遺影写真用台紙10の表紙11を内側に二つ折りにして保管することができるので、狭い住宅であっても遺影写真1が場所を取らず、また高所からの落下の危険もない。
このように遺影写真1を内側にして保管することで、外的環境から遺影写真1を守ることができるので、遺影写真の長期保存にも優れる。
【0028】
また、法事の際には、再び遺影写真1付きのマット2を入れ替えることなく、挿入されたマット2が外側になるように遺影写真用台紙10の表紙11を外側に二つ折りにするだけで、展示することができる。
【0029】
また、枠体12の左縁部12c及び右縁部12dの上端に、左右方向外側から内側に向けて下方に傾斜する傾斜部14が形成され、遺影写真1付きのマット2を開口部13から挿入するときに、マット2の定位置からの左右方向外側のずれを傾斜部14によって修正してマット2を定位置に戻すので、例えば葬儀終了時の限られた時間の中で遺影写真用台紙10への入れ替えなければならない場合であっても、円滑に行うことができる。
【0030】
なお、本実施形態において、枠体12の左縁部12c及び右縁部12dの上端に、左右方向外側から内側に向けて下方に傾斜する傾斜部14を形成したが、これに限られるものではなく、枠体12の左縁部12c及び右縁部12dの上端に傾斜部14が設けられなくてもよい。この場合であっても、遺影写真1を遺影写真用台紙10に入れ替えてしまえば、自宅での保管に関して遺影写真用台紙10は場所を取らないし、法事の際にもそのまま使用することができるので、便利である。
【符号の説明】
【0031】
1 遺影写真
2 マット
10 遺影写真用台紙
11 表紙
11a 折曲部
12 枠体
12a 上縁部
12b 下縁部
12c 左縁部
12d 右縁部
13 開口部
14 傾斜部
100 遺影写真用額縁
図1
図2
図3