(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フック部材は前記側部開口の端部に当接することで前記第2の使用位置に停止すると共に、前記フック部の前記第2の使用位置での前記ケースからの高さが前記第1の使用位置での前記ケースからの高さより低い請求項1に記載の収納式フック装置。
前記第2の付勢手段の付勢力に抗して前記フック部材を前記第2の使用位置に保持する第2の使用位置保持手段を有する請求項1又は請求項2に記載の収納式フック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ハウジングの前側に形成された開口からフック部材のフック部が突出する構成となっている。このため、例えば、ハウジングを自動車の乗員着座シートのシートバックの背面に固定して使用すると、フック部材のフック部が車両後方へ向かって突出する。この結果、手提げ袋等はフック部材のフック部に係止できるが、全周に鍔が付いている帽子(ハット)を係止した場合には、鍔の先端の一部がシートバッグの背面と干渉し、帽子が係止部材から外れ易い。従って、全周に鍔が付いている帽子の保持性能の向上が求められている。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、手提げ袋等を係止できると共に、全周に鍔が付いている帽子の保持性能を向上できる収納式フック装置を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明の収納式フック装置は、被取付部材の上端角部に取付けられ、上部に形成された上部開口と、側部に形成された側部開口と、が連続した開口部となっているケースと、前記ケース内に回転可能に軸支された基部と、前記基部から延設されたフック部と、を備え、前記フック部が、前記上部開口に収納された収納位置と、前記上部開口から上方に向かって立設する第1の使用位置と、前記側部開口から側方に向かって突出する第2の使用位置と、へ回転可能とされたフック部材と、
前記フック部材を前記収納位置から前記第1の使用位置の方向へ付勢する第1の付勢手段と、前記フック部の前記上部開口側への押圧操作によって前記フック部材を前記収納位置に保持し、又前記保持を解除する収納位置保持手段と、前記フック部材を前記第1の使用位置に停止すると共に、前記フック部材を前記第1の使用位置から前記第2の使用位置の方向へ回転させた場合に、前記フック部材を前記第1の使用位置の方向へ付勢する第2の付勢手段と、を有する。
【0007】
請求項1に記載の本発明では、不使用時に、フック部材は、被取付部材の上端角部に取付けられたケースの上部に形成された開口部の上部開口にフック部が収納された収納位置にある。一方、使用時には、フック部材を収納位置から第1の使用位置へ回転させることで、フック部材のフック部が開口部の上部開口から上方に向かって立設する。また、フック部材を第1の使用位置から第2の使用位置へ回転させることで、フック部材のフック部がケースの側部に形成された開口部の側部開口から側方に向かって突出する。このため、全周に鍔が付いている帽子(ハット)を係止する場合には、フック部材を第1の使用位置に移動することで、帽子の一部を被取付部材の上面に深く安定した状態で係止することができる。この結果、鍔の先端の一部がケースを固定した被固定部材の側面と干渉せず、帽子がフック部から外れ易くなるのを防止できるので、帽子の保持性能が向上する。また、手提げ袋等を係止する場合には、フック部材を第2の使用位置に移動することで、手提げ袋等を被固定部材の側面側に係止することができる。
【0009】
また、請求項
1に記載の本発明では、不使用時には、フック部を上部開口側へ押圧操作することで、収納位置保持手段によって、フック部が上部開口に収納された収納位置に保持される。一方、使用時には、フック部を上部開口側へ押圧操作することで、収納位置保持手段によって、フック部材の保持が解除される。フック部材の保持が解除されると、フック部材が第1の付勢手段によって、収納位置から第1の使用位置の方向へ回転する。フック部材が第1の使用位置に達すると、第2の付勢手段により、フック部材が第1の使用位置に停止し、フック部材のフック部が上部開口から上方に向かって立設する。また、第2の付勢手段の付勢力に抗して、フック部材を第1の使用位置から第2の使用位置へ強制的に回転させることで、フック部が側部開口から側方に向かって突出する。このため、操作性が向上する。
【0010】
請求項
2記載の本発明は請求項
1に記載の収納式フック装置において、前記フック部材は前記側部開口の端部に当接することで前記第2の使用位置に停止すると共に、前記フック部の前記第2の使用位置での前記ケースからの高さが前記第1の使用位置での前記ケースからの高さより低い。
【0011】
請求項
2記載の本発明では、フック部材は側部開口の端部に当接することで第2の使用位置に停止すると共に、フック部の第2の使用位置でのケースからの高さが、第1の使用位置でのケースからの高さより低い。このため、フック部材に係止した物品が重い場合にも、フック部材を第2の使用位置に保持できると共に、第2の使用位置でフック部が邪魔にならない。
【0012】
請求項
3記載の本発明は請求項
1又は請求項2に記載の収納式フック装置において、前記第2の付勢手段の付勢力に抗して前記フック部材を前記第2の使用位置に保持する第2の使用位置保持手段を有する。
【0013】
請求項3記載の本発明では、第2の使用位置保持手段によって、フック部材が第2の付勢手段の付勢力に抗して第2の使用位置に保持される。このため、第2の使用位置での使用性能が向上する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の本発明の収納式フック装置は、上記構成としたので、手提げ袋等を係止できると共に、全周に鍔が付いている帽子の保持性能を向上できる。
【0015】
また、請求項
1に記載の本発明の収納式フック装置は、上記構成としたので、操作性を向上できる。
【0016】
請求項
2に記載の本発明の収納式フック装置は、上記構成としたので、第2の使用位置でのフック部材の保持性能を向上できる共に、第2の使用位置でフック部が邪魔にならない。
【0017】
請求項
3に記載の本発明の収納式フック装置は、上記構成としたので、第2の使用位置での使用性能を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
次に、本発明の収納式フック装置の第1実施形態を
図1〜
図7に従って説明する。
なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。また、図中矢印FRは本実施形態の収納式フック装置が適用される自動車の車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
【0020】
図7に示すように、本実施形態の収納式フック装置10は、自動車の車室内において、被取付部材としての運転者用のシート90のシートバッグ92の上端角部に取付けられている。より具体的に説明すると、収納式フック装置10は、シートバッグ92におけるヘッドレスト94の車幅方向内側の部位において、シートバッグ92の上面92Aと、シートバッグ92の側面としての車両後方側面92Bとに跨って取付けられている。
【0021】
図5に示すように、収納式フック装置10は樹脂成形品であるケース12とフック部材40とを有している。ケース12は長尺形状のケース本体14とケースカバー16とを備えている。また、ケース本体14は長手方向を略車両前後方向に向けてシートバッグ92に取付けられており、車両前方へ向かって車幅方向外側に僅かに傾斜して取付けられている。ケース本体14の上部14Aと、上部14Aの長手方向の一方となる車両後方側の端部に形成された側部14Bと、には連続した開口部18が形成されている。即ち、開口部18はケース本体14の上部14Aに形成された上部開口18Aと、ケース本体14の側部14Bに形成された側部開口18Bと、から成る。一方、ケースカバー16は枠形状となっており、ケース本体14の上部14Aと側部14Bとの開口部18の周縁部を覆うようになっている。なお、ケースカバー16はケース本体14の上部14Aと側部14Bとに係合爪21と係合爪22とで取り外し可能に取付けられている。
【0022】
ケース本体14の下面14Cの長手方向前端部には、シート取付用部品100(
図6参照)に固定するための取付部20が下方へ向かって突出形成されている。
【0023】
ケース本体14にはシャフト32が車幅方向に沿って軸支されている。このシャフト32の車幅方向内側端部32Aは、ケース本体14の車幅方向内側の側壁部14Dに形成された軸受部34に支持されている。一方、シャフト32の車幅方向外側端部32Bは、ケース本体14の車幅方向外側の側壁部14Eに形成された軸受部36に支持されている。また、シャフト32の中間部32Cは、フック部材40の基部42に形成された貫通孔44に挿入されている。
【0024】
フック部材40はケース本体14内に、シャフト32を中心に回転可能に収納されており、基部42からは回転中心に対して半径方向外側に向かってフック部46が延設されている。そして、フック部材40は、フック部46が上部開口18Aに収納された
図2に示す収納位置と、フック部46が上部開口18Aから上方に向かって立設する
図3に示す第1の使用位置と、フック部46が側部開口18Bから側方となる車体後方に向かって突出する
図4に示す第2の使用位置と、へ回転可能となっている。
【0025】
シャフト32の端部32Bの近傍の外周部には、第1の付勢手段としてのねじりコイルばね50が設けられている。このねじりコイルばね50の一方の端部50Aは、ケース本体14の車幅方向外側の側壁部14Eに形成されたストッパ14Gに係合可能となっている。一方、ねじりコイルばね50の他方の端部50Bは、フック部材40に係合している。そして、ねじりコイルばね50の端部50Aは、フック部材40が第1の使用位置を過ぎた回転状態までケース本体14のストッパ14Gに係合されており、フック部材40を収納位置から第1の使用位置と第2の使用位置の方向(
図5の矢印A方向)へ付勢している。また、ねじりコイルばね50の端部50Bは、フック部材40が第1の使用位置を過ぎてさらに回転すると、フック部材40からケース本体14の側壁部14Eに形成された凸部14Hに移動し、フック部材40への付勢が無くなるようになっている。なお、
図5では、たわみの無い状態でのねじりコイルばね50を示している。
【0026】
フック部材40の基部42の車幅方向内側の側壁部42Aにおける貫通孔44の外周部には円形の溝部59が形成されており、この溝部59には、第2の付勢手段としてのねじりコイルばね60が挿入されている。また、フック部材40の基部42の側壁部42Aにおける貫通孔44の外周部には凸部48が形成されている。ねじりコイルばね60の一方の端部60Aはねじりコイルばね60の外周側に向かって屈曲されている。一方、ねじりコイルばね60の他方の端部60Bは、ねじりコイルばね60の内周側に向かって屈曲されており、フック部材40の基部42に係合されている。そして、ねじりコイルばね60はフック部材40とともに収納位置から第1の使用位置方向へ回転し、端部60Aがケース本体14の車幅方向内側の側壁部14Dに形成されたストッパ14Fに当接するようになっている。なお、
図5では、たわみの無い状態でのねじりコイルばね60を示している。
【0027】
第1の使用位置における、ねじりコイルばね60の付勢力は、第1の使用位置から第2の使用位置の方向へ回転しようとするねじりコイルばね50の付勢力に比べて大きく設定されている。このため、ねじりコイルばね60の付勢力によって、ねじりコイルばね50の付勢力に抗して、フック部材40を第1の使用位置に停止可能となっている。さらに、ねじりコイルばね50の付勢区間とねじりコイルばね60の付勢区間とが重なることで、第1の使用位置におけるフック部材40のガタを防止できるようになっている。一方、フック部材40を第1の使用位置から第2の使用位置の方向(
図4の矢印A方向)へ強制的に回転させた場合には、ねじりコイルばね60がフック部材40を第1の使用位置方向(
図4の矢印B方向)へ付勢するようになっている。
【0028】
図1に二点鎖線で示すように、フック部材40が第2の使用位置に移動すると、フック部材40が側部開口18Bの下方側の端部となるケースカバー16の受け部16Aに当接することで、フック部材40が第2の使用位置に停止するようになっている。このため、第2の使用位置になったフック部材40のフック部46に手提げ袋等を係止できると共に、手提げ袋等が重い場合にも、フック部材40を第2の使用位置に保持できるようになっている。
【0029】
フック部材40の一点鎖線で示す収納位置から、二点鎖線で示す第2の使用位置までの回転角は200度以上となっている。また、フック部材40の第1使用位置での、フック部46のケース12の上部からの高さL1に比べて、第2使用位置でのフック部46のケース12の側部からの高さL2が低くなっている(L1>L2)。
【0030】
図5に示すように、ケース本体14の側壁部14Dにおけるシャフト32の一端32Aの近傍の外周部にはロータリー式のダンパー70が取付けられている。このダンパー70はタッピング螺子72によって、ケース本体14の側壁部14Dに固定されている。また、ダンパー70のギヤ部70Aは、フック部材40の基部42の側壁部42Aにおける貫通孔44の外周部に形成されたギヤ部45と噛み合っている。このため、ねじりコイルばね60の付勢力によって、フック部材40が第2の使用位置から第1の使用位置の方向(
図4の矢印B方向)へ回転する際、及び、ねじりコイルばね50の付勢力に抗して、フック部材40をプッシュオープンする際には、ダンパー70によってフック部材40の回転を制動できるようになっている。
【0031】
収納式フック装置10には、ねじりコイルばね50の付勢力に抗して、フック部材40の上部開口18A側への押圧操作によってフック部材40を収納位置に保持し、又前記保持を解除する収納位置保持手段としてのプッシュオープン式のロック機構79が設けられている。このロック機構79は、フック部材40の基部42の車幅方向外側の側壁部42Bにおける貫通孔44の外周部に形成されたハート形カム溝(図示省略)、ケース本体14の側壁部14Eに取付けられハート形カム溝に係合する略コ字形のピン54、ケース本体14の側壁部14Eにタッピング螺子82によって固定され、側壁部14Eに形成したスリットや切込みに縁部が挿入された板ばね片80によって構成されている。また、ピン54は側壁部14Eにある孔37に外から回動可能に通される基部54Aと、側壁部14Eにある窓孔39に外から通されてハート形カム溝の底等に接してハートカム溝内を辿るトレース部54Bを有している。板ばね片80はフック部材40が無理開きされた場合のフェールセーフ用に設けられており、ピン54が側壁部14Eの孔37から外れるのを防止している。そして、ロック機構79によって、フック部材40の収納位置での保持(ロック)、又、保持(ロック)の解除が行われるようになっている。
【0032】
なお、プッシュオープン式のロック機構79は、特許文献1(実用新案登録公報第2512605号)において周知であるため、詳細な説明は省略するが、フック部材40のフック部46を上部開口側となる収納側(
図2の矢印C方向)へ押圧操作する(押し込む)ことにより、フック部材40が収納位置に保持されるようになっている。また、収納位置に保持されているフック部材40のフック部46を上部開口側となる収納側(
図2の矢印C方向)へ押圧操作する(押し込む)ことにより、フック部材40の保持が解除されるようになっている。なお、フック部材40は、保持が解除されると、ねじりコイルばね50の付勢力によって、収納位置から第1の使用位置の方向(
図3の矢印A方向)へ回転するようになっている。
【0033】
図1に示すように、収納式フック装置10はシート取付用部品100によって、シートバッグ92の上部フレーム92Cに固定されるようになっている。
【0034】
図6に示すように、シート取付用部品100はブラケット102と第1ステイ104と第2ステイ106とを備えている。第1ステイ104の長手方向中央部には上方に凸のU字状の湾曲部104Aが形成されている。この第1ステイ104の湾曲部104Aと、第2ステイ106の長手方向中央部106Aと、の間にフレーム92Cを挟持した状態で、螺子108によって、第1ステイ104と第2ステイ106とが固定されるようになっている。
【0035】
ブラケット102の長手方向の前端部には矩形状の凹部110が形成されている。この凹部110にケース12の取付部20を上方側から挿入し、凹部110の底に形成した螺子孔109に螺子111で固定するようになっている。また、螺子112を第1ステイ104の長手方向の前端部104Bに形成された取付孔114に下方側から通し、ブラケット102の下面に形成された螺子孔113に捩じ込むようになっている。一方、ブラケット102の長手方向の後端部には溝118が形成されており、この溝118にケースカバー16の係合爪22が係合するようになっている。また、螺子120を第1ステイ104の長手方向の後端部104Cに形成された取付孔122に下方側から通し、ブラケット102の下面に形成された螺子孔115に捩じ込むようになっている。
【0036】
図5に示すように、ケース本体14の側壁部14Dには取付孔132が形成されており、この取付孔132に
図6に示すように、螺子130を通し、ブラケット102の車幅方向内側壁部102Aの後端部に形成された螺子孔134に捩じ込むようになっている。
【0037】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
収納式フック装置10は、不使用時に、フック部材40のフック部46を上部開口側となる収納側(
図2の矢印C方向)へ押圧操作する(押し込む)ことにより、フック部材40のフック部46が、ケース12の上部開口18Aに収納された収納位置に保持される。また、
図1の一点鎖線及び
図2で示す収納位置では、フック部材40は、プッシュオープン式のロック機構79によって、ねじりコイルばね50の付勢力に抗して保持されている。このため、フック部材40のフック部46が、振動を受けた時に開口部18から不用意に引き出されることがない。
【0038】
収納式フック装置10を使用する際には、収納位置に保持されているフック部材40のフック部46を上部開口側となる収納側(
図2の矢印C方向)へ押圧操作する(押し込む)ことにより、フック部材40の保持が解除される。このため、ねじりコイルばね50の付勢力によって、フック部材40が収納位置から第1の使用位置の方向(
図3の矢印A方向)へ回転する。
【0039】
図1に実線で示すように、フック部材40が第1の使用位置に移動すると、ねじりコイルばね60がフック部材40とともに収納位置から第1の使用位置方向へ回転し、端部60Aが、ケース本体14のストッパ14Fに当接する。この際、ねじりコイルばね60の付勢力が、第1の使用位置から第2の使用位置の方向へ回転しようとするねじりコイルばね50の付勢力に比べて大きくなっている(設定されている)。このため、ねじりコイルばね50の付勢力に抗して、
図3に示すように、フック部材40が第1の使用位置に停止する。また、フック部材40が第1の使用位置に停止すると、フック部材40のフック部46が上部開口18Aから上方に向かって立設する。
【0040】
このため、
図1に示すように、全周に鍔99が付いている帽子(ハット)98の上部98Aを、シートバッグ92の上面92Aに深く安定した状態で掛け置き(係止)することができる。この結果、帽子98の鍔99の先端の一部99Aがシートバッグ92の車両後方側面92Bと干渉せず、帽子98がフック部46から外れ易くなるのを防止できる。このため、帽子98の保持性能が向上する。
【0041】
また、フック部材40のフック部46の上部開口18Aからの高さL1を高くしても、シートバッグ92におけるヘッドレスト94の車幅方向内側のデッドスペースを利用するため、立設したフック部46は車室空間内の障害物にならない。また、フック部材40が第1の使用位置から第2の使用位置の方向へ回転可能となっている。このため、第1の使用位置にあるフック部材40に第2の使用位置の方向へ大きな荷重が作用した場合に、フック部材40が破損するのを防止できるというフェールセーフ機能を有する。
【0042】
また、ねじりコイルばね60の付勢力に抗して、フック部材40を第1の使用位置から第2の使用位置の方向(
図4の矢印A方向)へ強制的に回転させると、フック部材40が第2の使用位置へ移動する。
図4に示すように、フック部材40が第2の使用位置に移動すると、フック部材40のフック部46が側部開口18Bから車両後方に向かって突出する。このため、フック部46に手提げ袋や全周に鍔が付いていない帽子(キャップ)等の物品を係止することができる。また、
図1に二点鎖線で示す第2使用位置での、フック部材40のフック部46のケース12の上部からの高さL2が、
図1に実線で示す第1使用位置でのケース12の側部からの高さL1に比べて低くなる。このため、第2使用位置で突出したフック部46が邪魔にならず、車室空間内の障害物にならない。
【0043】
また、本実施形態の収納式フック装置10では、フック部材40を第2の使用位置に移動すると、
図1に二点鎖線で示すように、フック部材40が側部開口18Bの下方側の端部となるケースカバー16の受け部16Aに当接し、第2の使用位置に停止する。このため、フック部材40に係止した物品が重い場合にも、フック部材40を第2の使用位置に保持できる。この結果、第2の使用位置でのフック部材40の保持性能が向上する。
【0044】
また、本実施形態の収納式フック装置10では、ねじりコイルばね60の付勢力によって、フック部材40が第2の使用位置から第1の使用位置の方向(
図4の矢印B方向)へ回転する際に、ダンパー70によって、フック部材40の回転が制動されるため衝撃音がなくなり高級感を付与できる。さらに、プッシュオープン時にも、ダンパー70によって、フック部材40の回転が制動されるため衝撃音がなくなり高級感を付与できる。
【0045】
また、本実施形態の収納式フック装置10では、フック部材40のフック部46を上部開口側となる収納側(
図2の矢印C方向)へ押圧操作する(押し込む)ことにより、フック部材40が収納位置に保持されるようになっている。また、収納位置に保持されているフック部材40のフック部46を上部開口側となる収納側(
図2の矢印C方向)へ押圧操作する(押し込む)ことにより、フック部材40の保持が解除されるようになっている。また、フック部46の収納位置でのロックが解除されると、ねじりコイルばね50の付勢力によってフック部材40が第1の使用位置に移動し、ねじりコイルばね60の付勢力によって、フック部材40が第1の使用位置に停止する。この結果、収納式フック装置10の操作性が向上する。さらに、ねじりコイルばね50の付勢区間とねじりコイルばね60の付勢区間とが重なることで、第1の使用位置におけるフック部材40のガタを防止できる。
【0046】
また、本実施形態の収納式フック装置10では、フック部材40のギヤ部45、ねじりコイルばね50、60、ロック機構79等の機能部品が、フック部材40の基部42の内部及びその周辺に配置され、ケースカバー16で覆われている。このため、フック部材40が収納位置、第1の使用位置、第2の使用位置のどの位置にある場合にも、機能部品が外部から見え難くなっている。この結果、機能部品に埃や塵等が溜まり難く、外観品質も優れている。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の収納式フック装置の第2実施形態を
図8及び
図9に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図8及び
図9に示すように、本実施形態では、第2の付勢手段としてのねじりコイルばね160が使用されている。このねじりコイルばね160の一方の端部160Aはアーム162の先端に回転可能に軸支されており、アーム162はフック部材40の基部42の側壁部42Aにおけるシャフト32の外周部に設けられている。なお、アーム162に対して、フック部材40は、図示を省略したワンウエイクラッチ、係合部等によって、第1の使用位置から収納位置の方向(
図8の矢印B方向)のみへ回転可能となっている。このため、第1実施形態と同様に、フック部材40は第1の使用位置から収納位置に回転可能となっている。
【0049】
一方、ねじりコイルばね160の他方の端部160Bは、
図8及び
図9では図示を省略したケース本体14に固定されている。
【0050】
そして、フック部材40を第1の使用位置に停止するためのねじりコイルばね160の付勢力は、第1の使用位置におけるねじりコイルばね50(
図1参照)の付勢力に比べて大きくなっている。このため、フック部材40は、ねじりコイルばね160によってねじりコイルばね50の付勢力に抗して
図8に示す第1の使用位置に停止可能となっている。
【0051】
また、ねじりコイルばね160の付勢力に抗してフック部材40を第1の使用位置から第2の使用位置の方向(
図8の矢印A方向)へ回転した場合には、ねじりコイルばね160がフック部材40を第1の使用位置方向(
図9の矢印B方向)へ付勢するようになっている。
【0052】
図9に示すように、フック部材40が第2の使用位置まで回転すると、ねじりコイルばね160がデッドロック状態になり、フック部材40が第2の使用位置に保持されるようになっている。なお、フック部材40を第2の使用位置から第1の使用位置方向へ僅かに回転操作することで、ねじりコイルばね160のデッドロック状態が解除される。このため、ねじりコイルばね160の付勢力によって、フック部材40が第1の使用位置に戻るようになっている。
【0053】
従って、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、ねじりコイルばね160がデッドロック状態になることによって、フック部材40が第2の使用位置に保持される。このため、従来のごとく物品を引っ掛けるまで指で押さえておかなくてもよくなり、使い勝手を向上できるので、第2の使用位置での使用性能が向上する。
【0054】
(その他の実施形態)
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、第1付勢手段としてねじりコイルばね50を使用したが、第1の付勢手段はねじりコイルばねに限定されず、板ばね等の他の付勢手段でもよい。
【0055】
また、上記各実施形態では、第2の付勢手段としてねじりコイルばね60、160を使用したが、第2の付勢手段はねじりコイルばねに限定されず、板ばね等の他の付勢手段でもよい。
【0056】
また、上記各実施形態では、収納位置保持手段としてロック機構79を使用したが、ロック機構79に代えて、他の収納位置保持手段を使用してもよい。
【0057】
また、上記第2実施形態では、フック部材を第2の使用位置に保持する第2の使用位置保持手段としてねじりコイルばね160を使用した。これに代えて、フック部材を第2の使用位置に保持または保持を解除する手動式のロック機構等の他の第2の使用位置保持手段を使用してもよい。
【0058】
また、上記各実施形態では、収納位置保持手段としてロック機構79で
フック部材40を収納位置に保持し、第1の付勢手段としてのねじりコイルばね50でフック部材40を収納位置から第1の使用位置の方向へ付勢し、第2の付勢手段としてのねじりコイルばね60、160でフック部材40を第1の使用位置に停止すると共に、フック部材40が第1の使用位置から第2の使用位置の方向へ回転した場合に、フック部材40を第1の使用位置方向へ付勢した。これらの収納位置保持手段、第1の付勢手段、第2の付勢手段に代えて、手動でフック部材40を収納位置、第1の使用位置及び第2の使用位置へ移動させる構成としてもよい。
【0059】
また、上記各実施形態では、本発明の収納式フック装置10を被取付部材としての自動車のシート90のシートバッグ92に適用したが、被取付部材は、運転者用のシート以外に、他のシートのシートバッグや車室の側壁等でもよい。また、本発明の収納式フック装置10は自動車以外の車両のシートや、家具等の他の被取付部材にも使用可能である。