(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記常開固定接点と前記常開可動接点とが互いに溶着した場合に、復帰状態で、前記伝達部材が、前記常閉固定接点と前記常閉可動接点との間に、予め定めた寸法の間隙を確保する、請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1〜
図5は、一実施形態による有極電磁継電器10の全体構成を示す。
図6〜
図13は、有極電磁継電器10の種々の構成要素を示す。
【0017】
有極電磁継電器10は、基部12と、基部12に支持される電磁石14と、電磁石14の作用により移動する磁性可動体16と、電磁石14から絶縁されて基部12に支持される接点部18と、電磁石14と接点部18との間に配置され、電磁石14の作用により磁性可動体16と共に移動して接点部18を開閉動作させる伝達部材20とを備える(
図1〜
図4)。
【0018】
基部12は、電磁石14を支持する第1部分22と、接点部18を支持する第2部分24とを備える。
図3の平面図において、基部12は略矩形の輪郭を有し、第1部分22と第2部分24とは、それぞれに略矩形の輪郭を有して、基部12の長手方向へ互いに隣接して配置される。基部12は、例えば電気絶縁性の樹脂材料から射出成形により、全体として一体に成形できる。
【0019】
第1部分22には、電磁石14が載置される底板26が設けられる。第2部分24には、第1部分22の底板26に対して直立する囲壁30が立設され、囲壁30が、接点部18の後述する複数の接点部材を個別に受容する複数の受容穴28を画定する。囲壁30は、電磁石14と接点部18の各接点部材との間の電気的絶縁を確保する。底板26の底面26a及び囲壁30の底面30aは、互いに略同一の平面に沿って配置され、有極電磁継電器10の底面を構成する(
図5)。
【0020】
囲壁30は、第2部分24の輪郭に沿う周壁部分30bと、基部12の長手方向へ延びる中心壁部分30cと、中心壁部分30cに略直交する複数の横断壁部分30dとを有する。複数の受容穴28は、中心壁部分30cの両側に同数ずつ長手方向へ整列して設けられ、かつ中心壁部分30cに対し対称の配列で配置される。なお図では、中心壁部分30cの各側に、底面30aに略直交する方向へ延びる8個(両側で計16個)の大小の凹所が設けられており、これらの凹所のうちの6個(両側で計12個)が受容穴28として機能する(
図11)。
【0021】
電磁石14は、巻枠32と、巻枠32に巻き付けられたコイル34と、巻枠32に受容される鉄心36と、鉄心36に連結されてコイル34の外側に延設される継鉄38とを備えている。電磁石14は、コイル34の中心軸線34aが基部12の底面26a、30aに略平行する姿勢で、かつ中心軸線34aを基部12の長手方向へ向けて、第1部分22の底板26に載置される(
図4)。
【0022】
巻枠32は、中空円筒状の胴部40と、胴部40の長手方向両端に設けられる環状平板状の第1鍔部42及び第2鍔部44とを有する(
図5)。コイル34は、巻枠32の胴部40に導線の所要長さ部分を巻着して形成され、両鍔部42、44の間に固定的に保持される。巻枠32は、例えば電気絶縁性の樹脂材料から、射出成形により、全体として一体に成形できる。巻枠32は、第2鍔部44側に、コイル34を形成する導線の末端がそれぞれに接続される2個のコイル端子45(
図2)を有する。
【0023】
鉄心36は、コイル34の内側に中心軸線34aに沿って配置される円柱状の軸部46と、コイル34の外側で軸部46の軸線方向一端から軸部46の径方向外方へ延長される平板状の頭部48とを有する。軸部46は胴部40に収容され、両端で第1及び第2鍔部42、44から突出する長さを有する(
図5)。頭部48は、第1鍔部42に隙間を空けて対向して配置され、その外縁に沿った一領域48a(
図5で上端側の領域。以下、外縁領域48aと称する。)が第1鍔部42からコイル径方向外方(図で上方)へ僅かに突出する形状及び寸法を有する。鉄心36は、例えば磁性鋼から全体として一体に成形できる。
【0024】
継鉄38は、鉄心36の軸部46の、頭部48とは反対側の軸線方向他端46aに連結されて、コイル34の外側で頭部48に向かって延設される(
図5)。継鉄38は、軸部46に連結されて第2鍔部44に沿って配置される短尺平板状の連結部分50と、連結部分50に略直交して配置され、コイル34の一側方にコイル中心軸線34aに略平行に延びる長尺平板状の主部分52とを有する。継鉄38の主部分52の末端領域52aは、巻枠32の第1鍔部42の側方に位置し、頭部48の外縁領域48aとの間に隙間を介して配置される(
図5)。継鉄38は、例えば磁性鋼から全体としてL字板状に一体に成形できる。鉄心36の軸部46と継鉄38の連結部分50とは、例えばかしめにより互いに固定的に連結される。鉄心36と継鉄38とは、互いに協働してコイル34の周囲に磁路を形成する。
【0025】
電磁石14は、軸部46が胴部40に収容された鉄心36の頭部48がコイル34と接点部18との間に位置するように方向付けされて、基部12に支持される。すなわち、コイル端子45側から見て実質的に、継鉄38の連結部分50、コイル34、鉄心36の頭部48、接点部18の順に配置されている。電磁石14のこのような方向付けにより、鉄心36の頭部48が接点部18から離れた側に位置する逆向きの構成と対比して、接極子54の移動距離と磁気吸引力との関係を有意に変更できる(後でさらに詳述する)。
【0026】
磁性可動体16は、電磁石14の磁路に配置されて電磁石14により駆動される接極子54と、接極子54に取り付けられる単一の永久磁石56とを備えている。接極子54は、それぞれが例えば磁性鋼等の磁性材料から形成される矩形平板状の一対の磁極片58、60を有する。永久磁石56は、直方体形状を有し、側面56a、56bに、それぞれN極及びS極が形成される(
図2)。第1の磁極片58及び第2の磁極片60は、両者間に永久磁石56をその磁化方向(図示のNS極間の磁界の方向)に挟持するとともに、この磁化方向をコイル34の中心軸線34aに平行に方向付けて、頭部48の外縁領域48aに対向して配置される(
図5)。
【0027】
接極子54と永久磁石56とを備えた磁性可動体16は、第1の磁極片58の一部分を、頭部48の外縁領域48aと継鉄38の主部分52の末端領域52aとの間に位置させた状態で、コイル中心軸線34aに平行な方向(
図5の矢印α方向)へ直線往復移動可能に配置される。すなわち、第1及び第2の磁極片58、60は、永久磁石56と一体的に、コイル中心軸線34aに平行な方向へ直線移動可能である。磁性可動体16の往復移動範囲は、第1の磁極片58が、鉄心36の頭部48の外縁領域48aと継鉄38の主部分52の末端領域52aとのそれぞれに当接する位置を、移動限界点として規定される。
【0028】
本実施形態における第1及び第2の磁極片58、60は、コイル中心軸線34aに直交する方向へ互いに異なる寸法を有する。図示構成では、コイル中心軸線34a及び基部12の底面26a、30aに直交する方向へ見て、第1の磁極片58が、第2の磁極片60よりも大きな寸法を有している(
図2、
図5、
図7)。第1及び第2の磁極片58、60のその他の寸法は、互いに略同一である。第1及び第2の磁極片58、60がこのように異なる寸法を有することの効果は、後述する。
【0029】
本実施形態における接点部18は、常開固定接点62を有する第1の固定接点部材64(以下、固定接点端子部材64)と、常開固定接点62に接離可能な常開可動接点66を有するばね性を備えた第1の可動接点部材68(以下、可動接点ばね部材68)との組合せ(以下、常開接点部材セット70と称する。)を、4組備えている(
図6)。また接点部18は、常閉固定接点72を有する第2の固定接点部材74(以下、固定接点端子部材74)と、常閉固定接点72に接離可能な常閉可動接点76を有するばね性を備えた第2の可動接点部材78(以下、可動接点ばね部材78)との組合せ(以下、常閉接点部材セット80と称する。)を、2組備えている(
図6)。
【0030】
有極電磁継電器10が単安定型の構成を有する場合、常開固定接点62と常開可動接点66と(以下、常開接点対と称する。)は、電磁石14が励磁されていないときに開成し、電磁石14が励磁されているときに閉成する。また単安定型の場合、常閉固定接点72と常閉可動接点76と(以下、常閉接点対と称する。)は、電磁石14が励磁されていないときに閉成し、電磁石14が励磁されているときに開成する。これに対し、有極電磁継電器10が双安定型の構成を有する場合には、電磁石14の励磁により常開接点対が閉成しかつ常閉接点対が開成している状態で、電磁石14を無励磁にしても、常開接点対の閉成状態及び常閉接点対の開成状態が維持される。なお、単安定型の構成と双安定型の構成とは、電磁石14及び永久磁石56の磁気力と可動接点ばね部材68、78のばね付勢力との関係を調整することにより、選択できる。
【0031】
上記した計12個の固定接点端子部材64、74及び可動接点ばね部材68、78を具備する接点部18は、囲壁30の周壁部分30bと中心壁部分30cとで画定される受容穴28に、2つの常開接点部材セット70と1つの常閉接点部材セット80とが、中心壁部分30cの各側で基部12の長手方向へ整列するように設置される(
図3)。さらに詳述すると、基部12の第1部分22に近い側から見て、囲壁30の中心壁部分30cの各側に設けられた6個の受容穴28に、1つの常閉接点部材セット80の固定接点端子部材74、同常閉接点部材セット80の可動接点ばね部材78、1つの常開接点部材セット70の可動接点ばね部材68、同常開接点部材セット70の固定接点端子部材64、他の1つの常開接点部材セット70の可動接点ばね部材68、及び同常開接点部材セット70の固定接点端子部材64が、この順序で個別に受容される(
図3、
図11)。これら固定接点端子部材64、74及び可動接点ばね部材68、78は、囲壁30の中心壁部分30cの両側に、互いに同一の配列で設置される。
【0032】
固定接点端子部材64、74及び可動接点ばね部材68、78は、それぞれ、囲壁30の頂面30eから突出して接点を担持する長手方向一端側(図で上側)の領域(以下、上側領域)64a、74a、68a、78aと、底面30aから突出して例えば図示しない回路基板の導体に接続される長手方向他端側(図で下側)の領域(以下、下側領域)64b、74b、68b、78bとを有する(
図11)。各常開接点部材セット70の常開固定接点62と常開可動接点66とは、囲壁30の上方で基部12の長手方向へ互いに対面して配置される。同様に、各常閉接点部材セット80の常閉固定接点72と常閉可動接点76とは、基部12の長手方向へ互いに対面して配置される。
【0033】
常開可動接点66及び常閉可動接点76は、前述した磁性可動体16の直線移動動作に対応して伝達部材20が後述するように移動することにより揺動的に変位して、その揺動方向に対面する常開固定接点62及び常閉固定接点72に対し、一方の接点対が閉成したときに他方の接点対が開成するよう交互的に接点開閉動作できるように構成される。第1の可動接点ばね部材68及び第2の可動接点ばね部材78は、少なくとも上側領域6
8a及び78aを含む部分が、ばね性を有する材料、例えばばね用燐青銅の薄板から打ち抜いて形成され、磁性可動体16と共に移動する伝達部材20から受ける力に応じて、所要のばね付勢力を発揮しながら弾性的に撓む。第1の固定接点端子部材64及び第2の固定接点端子部材74は、全体として例えば同様のばね用燐青銅や他の導電性金属の板材から打ち抜いて形成され、組を成す第1の可動接点ばね部材68及び第2の可動接点ばね部材78から接点閉成時に受ける力に抗して、実質的に撓まない(或いは微少量だけ撓む程度の)剛性を有する。
【0034】
伝達部材20は、磁性可動体16を支持する第1部分82と、第1の可動接点ばね部材68及び第2の可動接点ばね部材78に係合する第2部分84とを備えている(
図1、
図3)。
図3の平面図において、伝達部材20は、基部12よりも小さい略矩形の輪郭を有し、第1部分82と第2部分84とは、伝達部材20の長手方向へ互いに隣接して配置される。伝達部材20は、例えば電気絶縁性の樹脂材料から射出成形により、全体として一体に成形できる。
【0035】
伝達部材20は、その矩形輪郭の長辺を、コイル34の中心軸線34aに平行に向けるとともに、第1部分82を電磁石14に近い側に位置させて、頂面30eに対向するように囲壁30に取り付けられる(
図1)。この状態で、伝達部材20は、基部12の長手方向へ、基部12に対し摺動式に往復移動できる。後述するように伝達部材20は、接極子54の動作を接点部18の第1及び第2の可動接点ばね部材68、78に伝達して、常開可動接点66及び常閉可動接点76を開閉動作させる。
【0036】
伝達部材20の第1部分82には、磁性可動体16を収容する空所86が設けられる(
図7)。空所86には、接極子54の第1及び第2の磁極片58、60とそれら磁極片58、60の間に挟持される永久磁石56とが、永久磁石56の磁化方向を伝達部材20の長手方向(したがって移動方向)へ向けた姿勢で、例えば圧入や接着剤使用により固定される(
図8)。伝達部材20を基部12の囲壁30に取り付けた状態では、第1部分82に支持された接極子54及び永久磁石56と、基部12の第1部分22に支持された電磁石14とが、前述した相対配置(
図5)に位置決めされる。また、第2部分84は、基部12の第2部分24に支持された第1及び第2の可動接点ばね部材68及び78に伝達部材20の動作を伝達する。
【0037】
伝達部材20の第2部分84には、第1の可動接点ばね部材68の上側領域68aをそれぞれに受容する4つの第1空所88と、第2の可動接点ばね部材78の上側領域78aをそれぞれに受容する2つの第2空所90とが、基部12上での第1及び第2の可動接点ばね部材68、78の配置に対応する配置で形成される(
図1)。各第1空所88には、可動接点ばね部材68の上側領域68aの両側縁に係合可能な一対の第1突片92(
図7、
図8)が、伝達部材20の横手ないし短手方向へ互いに離間かつ対向するように設けられる。同様に、各第2空所90には、可動接点ばね部材78の上側領域78aの両側縁に係合可能な一対の第2突片94(
図7、
図8)が、伝達部材20の横手ないし短手方向へ互いに離間かつ対向するように設けられる。各第1空所88にはさらに、伝達部材20の外縁側の第1突片92に隣接して、可動接点ばね部材68の上側領域68aの一側縁を受容するスリット96(
図7、
図8)が設けられる。
【0038】
第2部分84において第1部分82から最も離れた側(
図1及び
図3で右端側)に位置する第1空所88(以下、右端第1空所88a)は、その一対の第1突片92が、伝達部材20の端面となるように形成されている。右端第1空所88aに上側領域68aが受容された可動接点ばね部材68の常開可動接点66は、一対の第1突片92の間隙から伝達部材20の外方へ突出し、同じ常開接点部材セット70の固定接点端子部材64の常開固定接点62に対向して配置される。第2部分84の中間に位置する第1空所88(以下、中間第1空所88b)は、その一対の第1突片92の反対側(右端第1空所88aに近い側)に形成される第3空所98に、それら第1突片92の間隙を介して連通している(
図1、
図3)。第3空所98には、第1の固定接点端子部材64の上側領域64aが受容される。中間第1空所88bに上側領域68aが受容された可動接点ばね部材68の常開可動接点66は、一対の第1突片92の間隙から第3空所98に突出し、第3空所98に受容されている常開固定接点62に対向して配置される。
【0039】
第2空所90は、その一対の第2突片94の反対側(空所86に近い側)に形成される第4空所100に、それら第2突片94の間隙を介して連通している(
図1、
図3)。第4空所100には、第2の固定接点端子部材74の上側領域74aが受容される。第2空所90に上側領域78aが受容された可動接点ばね部材78の常閉可動接点76は、一対の第2突片94の間隙から第4空所100に突出して、常閉固定接点72に対向して配置される。なお、基部12の頂面30eには、第1部分22側に隣接して、第4空所100に受容された常閉固定接点72を支持する壁102が立設される。伝達部材20の第4空所100には、壁102も受容される(
図1、
図3)。
【0040】
伝達部材20は、コイル中心軸線34aの両側に2個ずつ分散配置されて基部12に摺動可能に係合する計4個の爪104を有する(
図1に片側2個のみ示す。)。それら爪104は、コイル中心軸線34aに関して対称な位置で、伝達部材20の両側壁から一方向(図で下方)に延設される。
図9及び
図10に示すように、各爪104には、伝達部材20の内側に向かって突出するフック部分106が形成される。他方、基部12は、囲壁30の頂面30eに隣接して、4個の爪104をコイル中心軸線34aに平行な方向へ案内する一対のガイドレール108を有する(
図1、
図3、
図10)。それらガイドレール108は、コイル中心軸線34aに関して対称な位置で、基部12の長手方向へ直線状に延長される。各ガイドレール108は、片側2個の爪104のフック部分106を摺動自在に受容する。
【0041】
伝達部材20の両側壁に配置される4個の爪104を、基部12に設けられる一対のガイドレール108に係合させる構成により、伝達部材20が基部12に係止されて伝達部材20の脱落が防止され、また伝達部材20が基部12上で安定して往復動作できる。なお、片側2個以上、全体で4個以上の爪104を、コイル中心軸線34aに関して対称に設けることにより、伝達部材20の往復動作の安定性を一層向上させるようにしてもよい。
【0042】
有極電磁継電器10は、電磁石14、磁性可動体16、接点部18及び伝達部材20を収容するケース(図示せず)をさらに備える。ケースは、略直方体の輪郭を有するとともに、直方体輪郭の一面に、電磁石14、磁性可動体16、接点部18及び伝達部材20を内部に挿入するための開口を有する。ケースは、接着剤により基部12に固定できる。ケースは、電気絶縁性の樹脂材料から一体的に成形できる。
【0043】
次に、有極電磁継電器10の動作の一例を説明する。なお、以下の説明は、有極電磁継電器10が単安定型の構成を有する場合のものである。また、以下の説明では、接点部18の常開接点対が閉成しかつ常閉接点対が開成している状態を「動作状態」と称し、常開接点対が開成しかつ常閉接点対が閉成している状態を「復帰状態」と称する。
【0044】
図11(a)は、有極電磁継電器10の復帰状態における接点部18及び伝達部材20の位置を示す。
図11(b)は、有極電磁継電器10の動作状態における接点部18及び伝達部材20の位置を示す。
図12(a)は、有極電磁継電器10の復帰状態における磁性可動体16の位置を示す。
図12(b)は、有極電磁継電器10の動作状態における磁性可動体16の位置を示す。
図13は、接点部18のいずれかの接点(図では常閉接点部材セット80に近接する側の常開接点部材セット70)が溶着したときの接点部18及び伝達部材20の位置を示す。
【0045】
有極電磁継電器10の復帰状態において、接点部18は、各常閉接点部材セット80の常閉固定接点72と常閉可動接点76とが閉成する一方、各常開接点部材セット70の常開固定接点62と常開可動接点66とが開成する(
図11(a))。このとき、電磁石14は無励磁の状態であり、磁性可動体16は、第1の磁極片58が、鉄心36の頭部48の外縁領域48aから離隔し、かつ継鉄38の主部分52の末端領域52aに当接する復帰位置に配置されている(
図12(a))。また伝達部材20は、電磁石14に最も接近する第1の移動限界位置(図で左端位置)に置かれる(
図1、
図3〜
図5)。
【0046】
伝達部材20は、復帰状態では、各第1の可動接点ばね部材68及び各第2の可動接点ばね部材78に、撓みを生じさせる力を加えない。第1の可動接点ばね部材68は、伝達部材20から力を受けていない状態では、撓みを生じることなく、常開可動接点66を対応する常開固定接点62から離隔させる(この形態を以下、第1の可動接点ばね部材68の「初期形態」と称する。)。また第2の可動接点ばね部材78は、伝達部材20から力を受けていない状態では、常閉可動接点76が対応の常閉固定接点72に接触することにより僅かに撓んで、ばね付勢力の下で常閉可動接点76を常閉固定接点72に押し付ける(この形態を以下、第2の可動接点ばね部材78の「初期形態」と称する。)。各第1の可動接点ばね部材68及び各第2の可動接点ばね部材78が初期形態を維持することにより、接点部18は、常開可動接点66が常開固定接点62から離脱し、かつ常閉可動接点76が常閉固定接点72に導通接触する常閉接点閉成位置(
図11(a))に、保持される。なお、復帰状態で、第1の磁極片58と継鉄38の主部分52との間には、永久磁石56による微小な磁気吸引力が作用する。
【0047】
上記した復帰状態から、電磁石14が励磁されると、電磁石14と永久磁石56との磁気力により、磁性可動体16は、第1の磁極片58が継鉄38の主部分52の末端領域52aから離隔しかつ鉄心36の頭部48の外縁領域48aに当接する動作位置に移動する(
図12(b))。ここで、電磁石14の励磁により発生する磁束の向きは、永久磁石56の磁束の向きに対し、第1の磁極片58と継鉄38の主部分52との間に反発力を生じ、かつ第1の磁極片58と鉄心36の頭部48との間に吸引力を生ずる向きである。磁性可動体16が復帰位置から動作位置に移動するときに、磁性可動体16の移動に伴い伝達部材20は、爪104が基部14のガイドレール108に案内されて、磁性可動体16と共に、コイル中心軸線34aに平行な方向へ移動する。磁性可動体16及び伝達部材20のこの直線的な移動動作が、伝達部材20の第1突片92及びスリット96並びに第2突片94を介して、接点部18の第1の可動接点ばね部材68及び第2の可動接点ばね部材78の上側領域68a、78aに伝達され、可動接点ばね部材68、78の上側領域68a、78aが、ばね付勢力を増加させながら弾性的に撓む。つまり、電磁石14の励磁により第1の磁極片58を鉄心36の頭部48の外縁領域48aに当接させる方向へ生ずる磁気力が、可動接点ばね部材68、78の上側領域68a、78aを初期形態から撓ませるに要する力の総計を超えたときに、磁性可動体16の復帰位置から動作位置への移動及びそれに伴う伝達部材20の移動が開始する。
【0048】
磁性可動体16が動作位置に到達すると、伝達部材20は、電磁石14から最も離隔する第2の移動限界位置(図で右端位置)に置かれる(
図11(b))。このとき、接点部18は、各常閉接点部材セット80の常閉固定接点72と常閉可動接点76とが開成し、各常開接点部材セット70の常開固定接点62と常開可動接点66とが閉成する(
図11(b))。このようにして、有極電磁継電器10は動作状態になる。
【0049】
有極電磁継電器10が復帰状態から動作状態に移行したときに、第1の磁極片58と鉄心36の頭部48との間には、電磁石14及び永久磁石56による磁気吸引力が作用する。その結果、接点部18は、可動接点ばね部材68、78のばね付勢力に抗して、常閉可動接点76が常閉固定接点72から離脱しかつ常開可動接点66が常開固定接点62に導通接触する常開接点閉成位置(
図11(b))に、保持される。
【0050】
上記した動作状態で、コイル34の電流を遮断して電磁石14の励磁を止めると、個々の可動接点ばね部材68、78のばね付勢力(すなわち初期形態への弾性復元力)が、上側領域68a、78aから伝達部材20の第1突片92及びスリット96並びに第2突片94に加わることにより、磁性可動体16は、第1の磁極片58が鉄心36の頭部48の外縁領域48aから離隔しかつ継鉄38の主部分52の末端領域52aに当接する復帰位置に移動する(
図12(a))。磁性可動体16が動作位置から復帰位置に移動する間、伝達部材20は、爪104が基部14のガイドレール108に案内されて、磁性可動体16と共に、コイル中心軸線34aに平行な方向へ移動する。
【0051】
磁性可動体16が復帰位置に到達すると、伝達部材20は、電磁石14に最も接近する第1の移動限界位置に置かれる(
図11(a))。このとき、接点部18は、各常閉接点部材セット80の常閉固定接点72と常閉可動接点76とが閉成し、各常開接点部材セット70の常開固定接点62と常開可動接点66とが開成する(
図11(a))。このようにして、有極電磁継電器10は復帰状態になる。
【0052】
有極電磁継電器10が双安定型の構成を有する場合は、
図11(b)及び
図12(b)に示す動作状態で電磁石14の励磁を止めても、磁性可動体16は、永久磁石56の作用により動作位置に保持され、したがって接点部18は常開接点閉成位置に保持される。この状態で、例えば、復帰状態から動作状態に移行させるときとは逆方向の電流をコイル34に流すことにより電磁石14を逆向きに励磁すると、電磁石14と永久磁石56との磁気力により、磁性可動体16は
図12(a)の復帰位置へ移動する。このときに電磁石14に発生する磁束の向きは、永久磁石56の磁束の向きに対し、第1の磁極片58と鉄心36の頭部48との間に反発力を生じ、かつ第1の磁極片58と継鉄38の主部分52との間に吸引力を生ずる向きである。磁性可動体16が動作位置から復帰位置に移動する間、第1の可動接点ばね部材68の上側領域68a及び第2の可動接点ばね部材78の上側領域78aは弾性復元する。つまり、電磁石14の上記した逆向きの励磁により第1の磁極片58を継鉄38の主部分52の末端領域52aに当接させる方向へ生ずる磁気力と、可動接点ばね部材68、78の上側領域68a、78aの弾性復元力との総計が、動作状態で磁性可動体16を動作位置に保持する永久磁石56の磁気力を超えたときに、磁性可動体16の動作位置から復帰位置への移動及びそれに伴う伝達部材20の移動が開始する。復帰状態で、第1の磁極片58と継鉄38の主部分52との間には、電磁石14及び永久磁石56による磁気吸引力が作用する。その結果、接点部18は、常開可動接点66が常開固定接点62から離脱しかつ常閉可動接点76が常閉固定接点72に導通接触する常閉接点閉成位置(
図11(a))に保持される。復帰状態では、電磁石14の逆向きの励磁を止めても、磁性可動体16は、永久磁石56の作用により復帰位置に保持され、したがって接点部18は、常閉接点閉成位置に保持される。
【0053】
上記したように、伝達部材20は、コイル中心軸線34aに平行な方向への接極子54(磁性可動体16)の直線移動に伴い、コイル中心軸線34aに平行な方向へ直線移動して、常開可動接点66と常閉可動接点76とを互いに機械的に連動させて開閉動作させる。このような伝達部材20の構成により、有極電磁継電器10は、動作状態の間に常開接点対が溶着したときに、復帰状態になっても常閉接点対が閉成しないようにする、いわゆるセーフティリレーとして使用できる。セーフティリレーを組み込んだ回路では、常開接点対の溶着を検知することができ、また電力の遮断状態を維持することができる。
【0054】
例えば、
図11(b)の動作状態において、4つの常開接点部材セット70のうち、いずれか1つの常開接点部材セット70の常開固定接点62と常開可動接点66とが溶着した場合を想定する。この動作状態から、前述したように電磁石14を無励磁にして、有極電磁継電器10を復帰状態にする。この復帰状態を
図13に示す。常開固定接点62と常開可動接点66とが溶着した常開接点部材セット70(図では常閉接点部材セット80に近い側の常開接点部材セット70)の、第1の可動接点ばね部材68の上側領域68aは、伝達部材20の対応する第1突片92(及びスリット96(
図7))に係合しているから、溶着した常開接点部材セット70によって伝達部材20の移動が阻害される。したがって復帰状態であっても、
図13に示すように伝達部材20は、第1の移動限界位置と第2の移動限界位置との間の中間位置に保持される。
【0055】
伝達部材20が中間位置にあるときに、残りの3つの常開接点部材セット70はいずれも、常開固定接点62が常開可動接点66から離脱して接点開成状態に置かれる一方、2つの常閉接点部材セット80はいずれも、常閉固定接点72と常閉可動接点76との間に予め定めた寸法の間隙が確保され、やはり接点開成状態に置かれる。復帰状態に制御した有極電磁継電器10において、常閉接点部材セット80が閉成しない(すなわち接点部18が常閉接点閉成位置に移行しない)場合、常閉接点部材セット80が閉成しないことを、接点部18の異常動作として、有極電磁継電器10を組み込んだ回路上で検出できる。そして、接点部18の異常動作の考え得る要因として、いずれかの常開接点部材セット70の常開接点対の溶着を検知できる。なお、このようなセーフティリレーへの適用は、有極電磁継電器10が少なくとも1つの常開接点部材セット70と少なくとも1つの常閉接点部材セット80とを備えることで、可能となる。そして、常開接点部材セット70及び常閉接点部材セット80の個数が増えるほど、セーフティリレーとしての安全性及び信頼性が向上する。
【0056】
上記構成を有する有極電磁継電器10は、電磁石14を、コイル34の中心軸線34aが基部12の底面26a、30aに平行する姿勢で配置したものであり、また電磁石14が、磁性可動体16をコイル34の中心軸線34aに平行な方向へ直線移動させる構成を有するものであるから、継電器全体のコイル径方向への外形寸法を効果的に削減できる利点を有する。また、接極子54を構成する第1及び第2の磁極片58、60が、永久磁石56をその磁化方向に挟持するとともに磁化方向をコイル中心軸線34aに平行に方向付けるように構成されているから、磁性可動体16の構造を単純化及び小形化できる。また、接極子54が、第1及び第2の磁極片58、60の間に永久磁石56を挟持した状態で、伝達部材20に固定して連結されるので、接極子54の移動動作を伝達部材20が効率良く接点部18に伝達できる。
【0057】
このように、有極電磁継電器10は、セーフティリレーとして使用可能な二対以上の接点対、したがって4個以上の接点部材(第1の固定接点端子部材64、第1の可動接点ばね部材68、第2の固定接点端子部材74、第2の可動接点ばね部材78)を有することに加えて、接極子54と永久磁石56とを含む磁性可動体16の移動方向、永久磁石56の磁化方向、並びに伝達部材20の移動方向を、いずれもコイル中心軸線34aに平行な方向としたことにより、容易に小型化(特に低背化)でき、しかも有極の構成としたことにより消費電力を削減できる。
【0058】
上述した有極電磁継電器10では、接極子54の一対の磁極片58、60は、コイル中心軸線34aに略直交する方向へ互いに異なる寸法を有している。ここで、電磁石14の励磁時に接極子54に作用する磁気力は、永久磁石56を取り付けた接極子54の磁極面となる磁極片58、60の表面の寸法に応じて変化する。したがって、一対の磁極片58、60が互いに異なる寸法を有する構成では、寸法の大きな磁極片に作用する磁気力が、寸法の小さな磁極片に作用する磁気力よりも大きくなる。図示構成では、磁気吸引力により鉄心36の頭部48の外縁領域48aと継鉄38の主部分52の末端領域52aとに当接する第1の磁極片58が、第2の磁極片60よりも大きな寸法を有している(
図5)から、第1の磁極片58が第2の磁極片60と同じ寸法を有する構成に比較して、電磁石14の励磁時に接極子54に作用する磁気力を増加させることができる。
【0059】
図14は、接極子54の移動距離と磁気吸引力との関係(吸引力特性)を、第1の磁極片58が第2の磁極片60よりも大きな寸法を有する構成(実施形態1)と、第1及び第2の磁極片58、60が互いに同じ寸法を有する構成(実施形態2)との対比で示している。
図14の横軸は、第1の磁極片58が鉄心36の頭部48の外縁領域48aに当接している位置(
図12(b))を原点とし、第1の磁極片58が継鉄38の主部分52の末端領域52aに接近する方向への接極子54の移動距離を表す。また縦軸は、第1の磁極片58を鉄心36の頭部48の外縁領域48aに吸引する電磁石14及び永久磁石56の磁気吸引力を表す。正の磁気吸引力は、第1の磁極片58を鉄心36の頭部48に吸引する力であり、負の磁気吸引力は、第1の磁極片58を鉄心36の頭部48から遠ざける力(永久磁石56による)である。
【0060】
図14において、実線L1は、実施形態1における感動(動作)アンペアの磁気吸引力と移動距離との関係、実線L2は、実施形態1における開放(復帰)アンペア(零アンペア)の磁気吸引力と移動距離との関係、破線L3は、実施形態2における感動(動作)アンペアの磁気吸引力と移動距離との関係、破線L4は、実施形態2における開放(復帰)アンペア(零アンペア)の磁気吸引力と移動距離との関係を、それぞれ示す。図示のように、実施形態1においては、実施形態2に対比して、接極子54の移動距離の全体に渡り磁気吸引力が増加している。この磁気吸引力の増加は、可動接点ばね部材68、78から伝達部材20を介して接極子54に加わるばね付勢力の大きさに、磁気吸引力を対応させるものであって、有極電磁継電器10の動作特性を最適化するものである。したがって、コイル中心軸線34aに略直交する方向への第1の磁極片58の寸法を調整することにより、ばね付勢力の大きさに応じて有極電磁継電器10の動作特性を適宜調整することができる。
【0061】
上述した有極電磁継電器10では、電磁石14は、鉄心36の頭部48がコイル34と接点部18との間に位置するように方向付けされている。電磁石14のこのような方向付けにより、鉄心36の頭部48が接点部18から離れた側に位置する逆向きの構成と対比して、接極子54の移動距離と磁気吸引力との関係を、以下のように有意に変更できる。なお、接点部18に対する電磁石14の方向付けを逆転することにより、電磁石14及び永久磁石56の磁気力と可動接点ばね部材68、78のばね付勢力との関係が変動し、接極子54の移動距離と磁気吸引力との関係が変化するものと推測される。
【0062】
図15は、接極子54の移動距離と磁気吸引力との関係(吸引力特性)を、鉄心36の頭部48がコイル34と接点部18との間に位置する構成(実施形態3)と、その逆向きの構成(実施形態4)との対比で示している。
図15の横軸及び縦軸は、それぞれ
図14と同様の移動距離及び磁気吸引力を表す。
図15において、実線L5は、実施形態3における感動(動作)アンペアの磁気吸引力と移動距離との関係、実線L6は、実施形態3における開放(復帰)アンペア(零アンペア)の磁気吸引力と移動距離との関係、破線L7は、実施形態4における感動(動作)アンペアの磁気吸引力と移動距離との関係、破線L8は、実施形態4における開放(復帰)アンペア(零アンペア)の磁気吸引力と移動距離との関係を、それぞれ示す。図示のように、実施形態3においては、実施形態4に対比して、特に接極子54の移動距離が少ない領域において磁気吸引力の変化率が減少している。この磁気吸引力の変化率の減少は、可動接点ばね部材68、78から伝達部材20を介して接極子54に加わるばね付勢力の変化率に、磁気吸引力の変化率を近似させるものであって、有極電磁継電器10の動作特性を最適化するものである。したがって、接点部18に対する電磁石14の方向付けとして実施形態3と実施形態4とのいずれかを選択することにより、ばね付勢力の変化率に応じて有極電磁継電器10の動作特性を適宜変更することができる。
【0063】
上述した有極電磁継電器10では、復帰状態で、第1の磁極片58が、鉄心36の頭部48の外縁領域48aから離隔して継鉄38の主部分52の末端領域52aに当接することに加えて、
図12(a)に示すように、第2の磁極片60も、外縁領域48aから離隔されている。換言すると、復帰状態で、第1及び第2の磁極片58、60の双方と外縁領域48aとの間に、隙間が形成されるようになっている。復帰状態での第2の磁極片60と鉄心36の頭部48との間の隙間は、例えば約0.2mmである。この隙間の寸法は、永久磁石56のコイル中心軸線34aに沿った方向への寸法や、鉄心36の頭部48の外縁領域48aと継鉄38の主部分52の末端領域52aとの間の最短距離の選択により、適宜設定できる。
【0064】
復帰状態で第1及び第2の磁極片58、60と鉄心36の外縁領域48aとの間に隙間が形成されるように接極子54が動作することにより、復帰状態で第1の磁極片58が継鉄38の主部分52の末端領域52aに当接すると同時に第2の磁極片60が鉄心36の頭部48の外縁領域48aに当接する構成と対比して、
図15に示す実施形態3と同様に、特に接極子54の移動距離が少ない領域において磁気吸引力の変化率を減少させることができる。また、上記隙間の寸法に応じて、磁気吸引力の変化率を調整できる。なお、上記隙間の有無や寸法変更により、電磁石14及び永久磁石56の磁気力と可動接点ばね部材68、78のばね付勢力との関係が変動し、接極子54の移動距離と磁気吸引力との関係が変化するものと推測される。
【0065】
図16は、上記した有極電磁継電器10の変形例を示す。
図16の変形例では、復帰状態で、接極子54´の第1の磁極片58´が、鉄心36´の頭部48´の外縁領域48a´及び継鉄38´の主部分52´の末端領域52a´の双方から離隔する一方、接極子54´の第2の磁極片60´が、鉄心36´の頭部48´の外縁領域48a´に当接する(
図16(a))。また、動作状態では、第1の磁極片58´が、継鉄38´の主部分52´の末端領域52a´から離隔して鉄心36´の頭部48´の外縁領域48a´に当接する一方、第2の磁極片60´が、鉄心36´の頭部48´の外縁領域48a´から離隔される(
図16(b))。換言すると、復帰状態で、鉄心36´の頭部48´及び継鉄38´の末端領域52a´の双方と第1の磁極片58´との間に、隙間が形成されるようになっている。復帰状態での第1の磁極片58´と継鉄38´の末端領域52a´との間の隙間は、例えば約0.2mmである。この隙間の寸法は、永久磁石56´のコイル中心軸線34a´に沿った方向への寸法や、鉄心36´の頭部48´の外縁領域48a´と継鉄38´の主部分52´の末端領域52a´との間の最短距離の選択により、適宜設定できる。
【0066】
復帰状態で鉄心36´の頭部48´及び継鉄38´の末端領域52a´と第1の磁極片58´との間に隙間が形成されるように接極子54´が動作することにより、復帰状態で第2の磁極片60´が鉄心36´の頭部48´の外縁領域48a´に当接すると同時に第1の磁極片58´が継鉄38´の主部分52´の末端領域52a´に当接する構成と対比して、
図15に示す実施形態3と同様に、特に接極子54´の移動距離が少ない領域において磁気吸引力の変化率を減少させることができる。また、上記隙間の寸法に応じて、磁気吸引力の変化率を調整できる。なお、
図16の変形例の構成は、接極子54´の第1及び第2の磁極片58´、60´が互いに同一の寸法を有するものである。