(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6168834
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】光学フィルムの欠陥判別方法
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20170713BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20170713BHJP
G01N 21/896 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
G06T1/00 300
G01N21/88 H
G01N21/896
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-94023(P2013-94023)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-235579(P2013-235579A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2016年3月23日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0049615
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウン ギュ リ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウー キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジュン ペ
【審査官】
▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−049158(JP,A)
【文献】
特開2009−294087(JP,A)
【文献】
特開2009−244024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 − 7/90
G01N 21/88 − 21/896
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S1)移送される光学フィルムを撮影して異物が存在する領域を選別する段階と、
(S2)前記領域中の異物のうち、移送方向に平行な二辺とそれに垂直な二辺とからなる長方形が最小面積で異物を含む場合に、前記移送方向に平行な辺がそれに垂直な辺より大きい場合、線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階と
を備え
、
前記線状良品性異物と判定されていない異物のうち、異物を含む最小面積の長方形の長辺の長さが30ピクセル以下であり、下記数式1による欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線の短縮長さが3ピクセル以下である場合、直線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【数1】
【請求項2】
前記長方形の長辺の長さが5ピクセル以上であり、短辺の長さが長辺の0.8倍以下の異物である場合、線状良品性異物と判定する、請求項1に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項3】
前記異物の長辺の長さが30ピクセル超過であれば大型欠陥と判定する、請求項1に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項4】
前記異物の長辺の長さが30ピクセル以下であり、前記数式1による欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線映像の短縮長さが3ピクセル超過であれば曲線状欠陥と判定する、請求項1に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項5】
長辺の長さが30ピクセル以下であり、数式1の欠陥密度が40%超過である異物に対して欠陥密度が75%以下の異物は、斜方状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに備える、請求項1に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項6】
欠陥密度が75%超過である異物のうち前記円の内部位置による明度グラフがその勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が2以上存在する異物はエンボス状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含む、請求項5に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項7】
前記グラフの勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が3以上存在する異物は、エンボス状良品性異物と判定する、請求項6に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項8】
前記領域中の異物はクラスター欠陥ではない異物であって、前記クラスター欠陥はいずれか一つの異物を中心に5mm半径の円内に相違する異物が2以上存在すると中心の異物を含む前記異物の集合である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項9】
前記領域中の異物は微細欠陥ではない異物であって、前記微細欠陥は8ピクセル×8ピクセルの正四角形の内部に含まれる異物である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項10】
前記領域中の異物はクラスター欠陥及び微細欠陥ではない異物であって、前記クラスター欠陥はいずれか一つの異物を中心に5mm半径の円内に相違する異物が2以上存在すると中心の異物を含む前記異物の集合であり、前記微細欠陥は8ピクセル×8ピクセルの正四角形の内部に含まれる異物である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項11】
(S1)移送される光学フィルムを撮影して異物が存在する領域を選別する段階と、
(S1-A)前記領域中の異物のうちいずれか一つの異物を中心に5mm半径の円内に相違する異物が2以上存在すると中心の異物を含む前記異物の集合をクラスター欠陥と判別する段階と、
(S1-B)前記クラスター欠陥と判別されていない異物のうち8ピクセル×8ピクセルの正四角形の内部に含まれる異物は微細欠陥と判別する段階と、
(S2)前記微細欠陥と判別されていない異物のうち、移送方向に平行な二辺とそれに垂直な二辺とからなる長方形が最小面積で異物を含む場合に前記移送方向に平行な辺がそれに垂直な辺より大きい場合、線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階と
、
前記線状良品性異物と判定されていない異物のうちその長辺の長さが30ピクセル以下であり、下記数式1の欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線映像の短縮長さが3ピクセル以下である場合、直線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階と、を含む、光学フィルムの欠陥判別方法。
【数2】
【請求項12】
(S2)段階の長方形の長辺の長さが長辺の長さが5ピクセル以上であり、短辺の長さが長辺の0.8倍以下の異物である場合、線状良品性異物と判定する、請求項11に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項13】
前記異物の長辺の長さが30ピクセル超過であれば大型欠陥と判定する、請求項12に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項14】
前記異物の長辺の長さが30ピクセル以下であり、前記数式1による欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線映像の短縮長さが3ピクセル超過であれば曲線状欠陥と判定する、請求項12に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項15】
長辺の長さが30ピクセル以下であり、数式1の欠陥密度が40%超過である異物に対して欠陥密度が75%以下の異物は、斜方状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含む、請求項12に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項16】
欠陥密度が75%超過である異物のうち前記円の内部位置による明度グラフがその勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が2以上存在する異物はエンボス状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含む、請求項15に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項17】
前記部分でグラフの勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が3以上存在する異物はエンボス状良品性異物と判定する、請求項16に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの不良検出方法に関するものである。より詳しくは、光学フィルムに対して、良品に対する不良判定を低減することができる不良検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近来、液晶ディスプレイ、有機発光ディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED)、プラズマ表示パネル(PDP)など、多様な画像表示装置が幅広く開発され用いられている。
【0003】
その一方で、画像表示装置は、市場に出庫される前の製造過程中で多様な不良が発生し得るため、数多くの検査過程を経るようになるが、画像表示装置の中でも最も多く用いられる部品の一つが偏光フィルム、位相差フィルムなどの様々な光学フィルムであり、それ故に、光学フィルムの欠陥は画像表示装置の不良の主な原因の一つである。光学フィルムの欠陥を検出することは、先ず欠陥であるか否かを判別して正確な判定を行い、その後、欠陥と判別されると欠陥の修復(repair)又は廃棄、さらには欠陥原因の除去などが製造工程の生産歩留りの側面から重要な部分であるのに違いない。
【0004】
光学フィルムの製造において、産業における大量生産のためには通常ライン工程を用いる。従って、欠陥の検出は、ラインの特定位置で光学フィルムを連続的に撮影し、撮影された部分で欠陥を判別することによって行われる。
【0005】
欠陥判別に関しては、従来、多様な欠陥を確実に検出することが重要であった。これに関して、韓国公開特許第2010−24753号は、異物を含む閉曲線と異物の面積とを比べてライン状の異物を判別する方法を開示している。
【0006】
しかしながら、最近、光学フィルムも大型化の傾向に伴って部品のコストが上昇することにつれ、より正確な欠陥判別方法が求められており、それ故に、依然として欠陥を正確に判別することができる方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2010−24753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、光学フィルムの欠陥及び非欠陥を正確に判別する方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、本来欠陥ではないが、従来、欠陥と判別されていたものを欠陥ではないものとして判別する光学フィルムの欠陥判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.(S1)移送される光学フィルムを撮影して異物が存在する領域を選別する段階と、
(S2)前記領域中の異物のうち、移送方向に平行な二辺と、それに垂直な二辺とからなる長方形が最小面積で異物を含む場合に、前記移送方向に平行な辺がそれに垂直な辺より大きい場合、線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階と
を備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0011】
2.前記項目1において、前記長方形の長辺の長さが5ピクセル以上であり、短辺の長さが長辺の0.8倍以下の異物である場合、線状良品性異物と判定する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0012】
3.前記項目1において、前記線状良品性異物と判定されていない異物のうち、異物を含む最小面積の長方形の長辺の長さが30ピクセル以下であり、下記数式1による欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線映像の短縮長さが3ピクセル以下である場合、直線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含む、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0013】
【数1】
【0014】
4.前記項目3において、前記異物の長辺の長さが30ピクセル超過であれば大型欠陥と判定する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0015】
5.前記項目3において、前記異物の長辺の長さが30ピクセル以下であり、前記数式1による欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線映像の短縮長さが3ピクセル超過であれば曲線状欠陥と判定する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0016】
6.前記項目3において、長辺の長さが30ピクセル以下であり、数式1の欠陥密度が40%超過である異物に対して欠陥密度が75%以下の異物は、斜方状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含む、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0017】
7.前記項目6において、欠陥密度が75%超過である異物のうち前記円の内部位置による明度グラフがその勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が2以上存在する異物は、エンボス状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含む、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0018】
8.前記項目7において、前記グラフの勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が3以上存在する異物は、エンボス状良品性異物と判定する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0019】
9.前記項目1乃至8のうちいずれか一項において、前記領域中の異物はクラスター欠陥ではない異物であって、前記クラスター欠陥はいずれか一つの異物を中心に5mm半径の円内に相違する異物が2以上存在すると中心の異物を含む前記異物の集合である、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0020】
10.前記項目1乃至8のうちいずれか一項において、前記領域中の異物は微細欠陥ではない異物であって、前記微細欠陥は8ピクセル×8ピクセルの正四角形の内部に含まれる異物である、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0021】
11.前記項目1乃至8うちいずれか一項において、前記領域中の異物はクラスター欠陥及び微細欠陥ではない異物であって、前記クラスター欠陥はいずれか一つの異物を中心に5mm半径の円内に相違する異物が2以上存在すると中心の異物を含む前記異物の集合であり、前記微細欠陥は8ピクセル×8ピクセルの正四角形の内部に含まれる異物である、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0022】
12.(S1)移送される光学フィルムを撮影して異物が存在する領域を選別する段階と、
(S1-A)前記領域中の異物のうちいずれか一つの異物を中心に5mm半径の円内に相違する異物が2以上存在すると中心の異物を含む前記異物の集合をクラスター欠陥と判別する段階と、
(S1-B)前記クラスター欠陥と判別されていない異物のうち8ピクセル×8ピクセルの正四角形の内部に含まれる異物は微細欠陥と判別する段階と、
(S2)前記微細欠陥と判別されていない異物のうち、異物を含む最小面積の長方形が移送方向に平行な二辺とそれに垂直な二辺とからなり、前記移送方向に平行な辺がそれに垂直した辺より大きい場合、線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階と
を備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0023】
13.前記項目12において、(S2)段階の長方形の長辺の長さが5ピクセル以上であり、短辺の長さが長辺の0.8倍以下の異物である場合、線状良品性異物と判定する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0024】
14.前記項目12において、前記線状良品性異物と判定されていない異物のうちその長辺の長さが30ピクセル以下であり、下記数式1の欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線映像の短縮長さが3ピクセル以下である場合、直線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階を備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0025】
【数2】
【0026】
15.前記項目14において、前記異物の長辺の長さが30ピクセル超過であれば大型欠陥と判定する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0027】
16.前記項目14において、前記異物の長辺の長さが30ピクセル以下であり、前記数式1による欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線映像の短縮長さが3ピクセル超過であれば曲線状欠陥と判定する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0028】
17.前記項目14において、長辺の長さが30ピクセル以下であり、数式1の欠陥密度が40%超過である異物に対して欠陥密度が75%以下の異物は、斜方状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含む、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0029】
18.前記項目17において、欠陥密度が75%超過である異物のうち前記円の内部位置による明度グラフが、その勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が2以上存在する異物は、エンボス状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含む、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0030】
19.前記項目18において、前記箇所でグラフの勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が3以上存在する異物はエンボス状良品性異物と判定する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明の光学フィルムの欠陥判別方法は、実際は欠陥ではないが、従来、欠陥と判別されていたものなどを正確に判定することによって、光学フィルムの製造歩留りを顕著に上昇させることができる。
【0032】
なお、本発明の光学フィルムの欠陥判別方法は、製造コストを大幅に減少させることができ、資源のロスも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態として線状良品性異物を判別する方法の概略的なフローチャートである。
【
図3】線状良品性異物の一例を概略的に示す図である。
【
図4】本発明の他の実施形態として線状良品性異物、大型欠陥、直線状良品性異物及び曲線状欠陥を判別する方法の概略的なフローチャートである。
【
図6】本発明の他の実施形態として線状良品性異物、大型欠陥、直線状良品性異物、曲線状欠陥及び斜方状良品性異物を判別する方法の概略的なフローチャートである。
【
図8】本発明の他の実施形態として線状良品性異物、大型欠陥、直線状良品性異物、曲線状欠陥、斜方状良品性異物、点状欠陥、及びエンボス状良品性異物を判別する方法の概略的なフローチャートである。
【
図9】エンボス状良品性異物の多様な類形の映像写真(a)、及びエンボス状良品性異物が発生した場合、離型フィルム内部に存在する欠陥を有する離型フィルムの断面SEM写真(b)である。
【
図10】エンボス状良品性異物の一例(a、b)及び明度グラフ(c)を示す図である。
【
図11】クラスター欠陥の一例を概略的に示す図である。
【
図12】本発明の他の実施形態としてクラスター欠陥、微細欠陥、線状良品性異物、大型欠陥、直線状良品性異物、曲線状欠陥、斜方状良品性異物、点状欠陥、及びエンボス状良品性異物を判別する方法の概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、(S1)移送される光学フィルムを撮影して異物が存在する領域を選別する段階と、(S2)前記領域中の異物のうち、移送方向に平行な二辺とそれに垂直な二辺とからなる長方形が最小面積で異物を含む場合に、前記移送方向に平行な辺がそれに垂直な辺より大きい場合、線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階とを備えることによって、光学フィルムの製造歩留りを顕著に上昇させ、製造コストを大幅に減少させることができる。
【0035】
以下では、図を参照して本発明に関してさらに詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの欠陥判別方法のフローチャートを概略的に示す図である。
【0037】
先ず、移送される光学フィルムを撮影して異物が存在する領域を選別する(S1)。
【0038】
通常光学フィルムの製造は、連続工程、例えばロール・ツ・ーロール(Roll−to−Roll)工程を通じて移送されて行われる。従って、光学フィルムの欠陥を判別するためには、一定方向に移送される光学フィルムの上部で光学フィルムを撮影し、光学フィルムの画像を取得する。取得された画像において異物の存在する領域があれば、これを選別して欠陥であるか否かを判別する工程を開始する。
【0039】
本実施形態では、光学フィルムとして偏光フィルムを用い、検査映像は検査対象試料の偏光フィルムの偏光方向に垂直である他の偏光フィルムを検査対象フィルムの上部に位置させた後、試料の下部に光源を位置させて二つの偏光フィルムを通過する光を撮影して得られたものである。検査対象の偏光フィルムが良品であれば偏光方向が互いに垂直である二つの偏光フィルムを通過する光がなくなるため、黒色の映像が得られるが、検査対象の偏光フィルムに異物が存在するとその部分で偏光の方向が変わるので、その結果、光漏れが生じて明るい部分(すなわち、異物部分)が存在する映像が得られる。
【0040】
本発明において、「異物」とは、光学フィルムの平均的な均一性から逸脱する部分であって、判別結果によって正常範囲内であるものと判定されるか(良品性異物)、或いは製品の不良の原因である「欠陥」であるものと判定され得る部分である。
【0041】
取得された画像から異物が存在する領域を選別することは、光学フィルムの平均的な均一性を設定した後、これを逸脱する部分(異物部分)を含む領域の画像を画像処理ソフトウェアなどを用いて遂行することができる。
【0042】
次いで、前記領域中の異物のうち、移送方向に平行な二辺とそれに垂直な二辺とからなる長方形が最小面積で異物を含む場合に、移送方向に平行な2辺がそれに垂直な辺より大きい場合、線状良品性異物と判定して欠陥から除外する(S2)。
【0043】
光学フィルムの産業における製造の場合、光学フィルムの保管及び移送の便宜のために光学フィルムの両側面に離型フィルムなどを設けて製造するようになるが、欠陥判別過程では、離型フィルムが貼り付けられた状態の光学フィルムを検査するようになるので、光学フィルムの異物のみならず、離形フィルムの損傷、離形フィルム内部の異物又は光学フィルムと離形フィルムとの間の異物も検出するようになる。しかしながら、離形フィルムの損傷やその内部の異物又は光学フィルムと離形フィルムとの間の異物は、光学フィルムが画像表示装置に取り入れられる場合には、離形フィルムと共に除去されるため、実際の欠陥ではない。しかしながら、従来にはこのような離型フィルムにおける欠陥を別途に判別し得る方法が紹介されたことがないため、良品を不良品と誤判別する場合が多かった。このような問題は、それによって製造コストの上昇の原因となり得、とりわけ最近の画像表示装置の大型化の傾向によって光学フィルムも大型化している状況において、このような問題点はさらに深刻になり得る。それ故に、本発明は、離型フィルムにおける欠陥である線状良品性異物を判別することによって、このような問題点が解決される。特に、光学フィルムが製造工程に沿って移送される場合に、移送方向に平行な方向に長い形態を有する損傷が離形フィルムに発生する場合が多い。このような損傷は、離形フィルムの損傷であり、光学フィルムそのものの損傷ではないため、本発明は、このような離型フィルムの損傷を線状良品性異物と判定して、光学フィルムの欠陥から除外することをその特徴とする。
図2には、このような線状良品性異物の例の撮影映像画像写真を示している。
図2に示した映像写真は、上下方向が移送方向である光学フィルムに対して撮影したものである。
【0044】
図3は、線状良品性異物110の判別方法の一具現例を概略的に示す。本発明は、移送方向に平行な二辺とそれに垂直な二辺とからなる長方形が最小面積で異物を含む場合に、前記移送方向に平行な辺の長さがそれに垂直な辺の長さより大きい場合には、これを実際の欠陥ではない線状良品性異物110と判定して欠陥から除外することを特徴とする。好ましくは、前記長方形の長辺(y)の長さが5ピクセル以上であり、短辺(x)の長さが長辺の0.8倍以下であり得る。ピクセルとは、予め定められた解像度の画像での最も基本的な単位画素を意味する。前記長辺の長さが5ピクセル未満であるか、或いは前記短辺の長さが長辺の0.8倍超過である場合には、異物が実際の欠陥となり得る。
【0045】
さらに、必要に応じて、本発明の他の実施形態において、前記線状良品性異物と判定されていない異物のうち異物を含む最小面積の長方形の長辺の長さが30ピクセル以下であり、下記数式1による欠陥密度が40%以下であり、前記異物の中心線映像の短縮長さが3ピクセル以下である場合には、直線状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含むことができる。
【0047】
好ましくは、前記欠陥密度が30%以下であり、前記中心線短縮長さが2ピクセル以下である場合に直線状良品性異物と判定することができる。
【0048】
図4には、直線状良品性異物を判定する概略的なフローチャートを示す。直線状良品性異物の判定段階は、前述した線状良品性異物の判定段階で前記移送方向に平行な辺の長さが、それと垂直な辺の長さと同一又は小さい場合に該当し、線状良品性異物に属しない異物に対して遂行されるさらなる欠陥判定段階である。前述した線状良品性異物は、移送方向に長い形態の異物に限定されたが、実際には、特定方向に関わらず、ある一方向に長い形態の異物は、実質的に離型フィルムに形成された損傷である場合が殆どである。これによって、本発明では、特定方向に関わらず、ある一方向に長い形態の良品性異物を判別する方法をさらに提供することによって、実際の良品をより正確に区別することができ、それによって良品が不良品と誤判別する場合をさらに減少させることができる。
【0049】
具体的には、先ず
図4を参照すると、直線状良品性異物の判定段階において、異物を含む最小面積の長方形の長辺の長さが30ピクセル以下である。30ピクセルを超過するようになると、これは実際の光学フィルムの欠陥と判定することができる(以下、「大型欠陥」と称す)。
【0050】
また、
図5には直線状良品性異物210の判別方法における、異物の中心線を含む短縮を利用する一具現例を概略的に示す。
図5の(a)は異物210の映像であり、(b)は異物210の中心線220の映像である。異物の中心線映像は、当分野に知られている方法で得ることができ、例えばThinning、Skeletonなどの映像処理方法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
図5の(c)は中心線の短縮221を示している。中心線の短縮とは、中心線を成すピクセルにおける任意の二つのピクセル間の距離のうち最も長い距離を成す線を長軸とし、前記長軸から他のピクセル箇所の間の垂直距離のうち最も長いものを短縮と称する。
図5の中心線短縮221は、他の矢印である長軸と垂直関係である。本発明による直線状良品性異物は、中心線の短縮221の長さが3ピクセル以下である。3ピクセルを超過するようになると、これは実際の光学フィルムの欠陥と判定することができる(以下、「曲線状欠陥」と称す)。
【0051】
また、前記欠陥密度が40%超過である場合にも異物が実際の欠陥となり得る。
【0052】
さらに、必要に応じて、本発明のまた他の実施形態において、前記数式1の欠陥密度が40%超過である異物に対して欠陥密度が75%以下の異物は、斜方状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含むことができる。
【0053】
図6には、斜方状良品性異物を判定する概略的なフローチャートを示し、
図7には、欠陥密度が58%である斜方状良品性異物の撮影映像写真を示す。
図7の(a)は斜方状良品性異物の画像であり、(b)は斜方状良品性異物の形態をより分かりやすくする図形を付け加えた画像である。
【0054】
斜方状良品性異物の判定段階は、前述した直線状良品性異物の判定段階で長辺の長さが30ピクセル以下であるが、前記欠陥密度が40%超過である場合に該当し、直線状良品性異物に属しない異物に対して遂行される、さらなる欠陥判定段階であって、このような斜方状良品性異物も離型フィルムに係わる欠陥としてこれをさらに区別することによって良品を不良品と誤判別する場合をさらに減少させることができる。斜方状良品性異物の判定段階では、直線状良品性異物の判定段階の中心線短縮に対する判定基準は用いられなくても関係ない。欠陥密度が75%超過である場合には、異物が実際の欠陥となり得る。
【0055】
さらに、必要に応じて、本発明のさらに他の実施形態において、前記欠陥密度が75%超過である異物のうち前記円の内部位置による明度グラフがその勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が2以上存在する異物はエンボス状良品性異物と判定して欠陥から除外する段階をさらに含むことができる。好ましくは、明度グラフの勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が3以上存在する異物をエンボス状良品性異物と判定することができる。
【0056】
図8には、エンボス状良品性異物を判定する概略的なフローチャートが示されており、エンボス状良品性異物の判定段階は、前述した斜方状良品性異物の判定段階で前記欠陥密度が75%超過である場合に該当し、斜方状良品性異物に属しない異物に対して遂行される、さらなる欠陥判定段階である。このようなエンボス状良品性異物は、離型フィルムの内部に異物が存在して発生する場合が殆どである。
【0057】
図9には、エンボス状良品性異物の多様な類形の映像写真(a)及びエンボス状良品性異物が発生した場合、離型フィルム内部に存在する欠陥を有する離型フィルムの断面SEM写真(b)を示す。
【0058】
故に、エンボス状良品性異物は、離型フィルムの欠陥から発生したものであるため、これをより正確に区別することによって良品が不良品であると誤判別する場合をさらに減少させることができる。
【0059】
図10には、エンボス状良品性異物の一実施形態として異物を含む最小面積の円内部に4個の領域からなる異物310と前記領域に対する明度グラフとが示されている。
図10の(a)はエンボス状良品性異物の画像であり、(b)はエンボス状良品性異物の形態をより分かりやすく線図形を付記した画像である。
【0060】
エンボス状良品性異物であるか否かを判断するためには、異物内部の明度を測定したグラフを参照する。明度グラフは、正常領域に比べて異物領域を明るく表示した映像画像から算出する。明度グラフとして、通常使用可能なグラフはグレーレベル(grey level)グラフであって、グレーレベルは黒(0)から白(255)までを0〜255段階に分けてその明暗の程度を判断する基準である。
【0061】
図10を参照すると、異物310内部の明度変化を正確に判断するために、明度変化が最大の箇所が示される円内部の位置座標軸を定める(A-A’)。定められた座標軸によって異物310内部の明度(グレーレベル)を測定してグラフを作成する場合に、勾配値がプラス(+)からマイナス(−)に転じる部分(上向きの山)が2以上存在すると、エンボス状良品性異物と判断することができる。好ましくは、明度グラフにおいて、明度の閾値(p)を設定して明度の閾値以上の明度値を有するグラフ領域で勾配値がプラス(+)からマイナス(−)に転じる部分が2以上存在する場合をエンボス状良品性異物と判断することができる。明度の閾値(p)は、勾配がプラスからマイナスに転じる各山のうち最も低い山の最大明度値と、勾配がマイナスからプラスに転じる各谷のうち最も高い谷の最小明度値との間にある値であるものと定義することができ、好ましくは勾配がプラスからマイナスに転じる各山のうち最も低い山の最大明度値と、勾配がマイナスからプラスに転じる各谷のうち最も高い谷の最小明度値との間の平均値とすることができる。
【0062】
図8を参照すると、エンボス状良品性異物の判定段階において、グラフの勾配値がプラスからマイナスに転じる箇所が1箇所存在するとこれは実際の欠陥となり得る(以下、「点状欠陥」と称す)。
【0063】
本発明の欠陥判別方法は、前述した良品性異物を判別して欠陥から除外する段階を備えることによって製品化し得る良品を不良品と誤判別する場合を顕著に減少することができ、それによって光学フィルムの製造工程において製造コストの顕著な節減効果を得ることができる。
【0064】
本発明において必要に応じて、前述した良品性異物の判別段階の迅速性及び信頼性を高めるため、良品性異物の判別段階の前に欠陥を判別する段階を追加して予め遂行することができる。
【0065】
例えば、本発明の一実施形態において、前記領域中の異物はいずれか一つの異物を中心に5mm半径の円内に相違する異物が2以上存在すると中心の異物を含む前記異物の集合を欠陥(以下、「クラスター欠陥」と称す)と判断することができ、このようなクラスター欠陥ではない異物に対してのみ良品性異物の判別段階を遂行することができる。前記円は、好ましくは半径が3mm、より好ましくは半径が1mmであり得る。
【0066】
クラスター欠陥の一実施形態を
図11に示す。
図11を参照すると、異物1、2、3は異物2を中心に予め定められる半径の円内部に存在するようになるため、それぞれ隣接する異物が2個存在するようになり、クラスター欠陥に属するようになる。
【0067】
クラスター欠陥は、不良品となる原因である可能性が非常に高いため、これを先に判別して良品性異物の判別段階の対象として含めないことによって、良品性異物の判別段階の迅速性及び信頼性を高めることができる。
【0068】
例えば、本発明の他の実施形態において、前記領域中の異物が8ピクセル×8ピクセルの正四角形の内部に含まれる場合には、欠陥(以下、「微細欠陥」と称す)と判断することができ、このような微細欠陥ではない異物に対してのみ良品性異物の判別段階を遂行することができる。前記正四角形は、好ましくは5ピクセル×5ピクセル、より好ましくは3ピクセル×3ピクセルであり得る。
【0069】
微細欠陥は、不良品となる原因である可能性が非常に高いため、これを先に判別して良品性異物の判別段階の対象として含めないことによって、良品性異物の判別段階の迅速性及び信頼性を高めることができる。
【0070】
本発明において、クラスター欠陥の判別段階及び微細欠陥の判別段階は、それぞれ単独でのみ遂行することができ、好ましくは各段階を順次に全て遂行することができる。全て遂行する場合には、特に手順の制限なしに遂行することができ、好ましくはクラスター欠陥判別の段階を先に遂行した後、微細欠陥判別の段階を遂行することができる。参考として、
図12には良品性異物を判定する前にクラスター欠陥と微細欠陥を判定する概略的なフローチャートを示す。
【0071】
本発明の不良判別方法は、多様な光学フィルムに適用され得る。このような光学フィルムの例としては、偏光フィルム、位相差フィルムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0072】
以上のように、本発明は、限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明はこれによって限定されるものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記特許請求の範囲の均等範囲内において多様な修正及び変形が可能なことは言うまでもない。