【実施例1】
【0028】
図1および図4に示す通り、スパウト1は、2枚のプラスチックフィルム2及び3の周縁2a及び3aを溶着し、内部に内容物を収納するパウチ容器4のスパウト溶着側周縁2b及び3bに溶着して用いられる、上端が閉塞部5により閉塞されたものであって、このスパウト1の下部外周面には、横方向に延びる複数の溶着用リブ6が形成されており、溶着用リブ6は、パウチ容器4を構成する一のプラスチックフィルム2の側、すなわち、周縁2bに溶着される第一溶着用リブ7、パウチ容器4を構成する他のプラスチックフィルム3の側、すなわち、周縁3bに溶着される第二溶着用リブ8とで構成され、この第一溶着用リブ7と第二溶着用リブ8の縦方向断面形状の断面積が同一であり、且つ、外方へ突出する第一溶着用リブ7の
頂部の高さ(H1)は、第二溶着用リブ8の
頂部の高さ(H2)より高く(H1>H2)形成されているものである。よって言うまでもなく、第一溶着用リブ7の幅(W1)は、第二溶着用リブ8の幅(W2)より狭く形成されている。
【0029】
前記パウチ容器4は、2枚のプラスチックフィルム2及び3の上縁を除く周縁2a及び3aを溶着して袋状にし、内容物を収納できるようにして、パウチ容器4の開口している部分の周縁2b及び3bに、スパウト1の下部を溶着してなるものである。そして、パウチ容器4は、その下部が少なくとも内部に内容物が収納された状態で、スタンディングポーズをとることが出来るように形成されている、いわゆるスタンディングパウチと呼ばれる形態で形成されている。すなわち、後に詳述するように、パウチ容器4の内部に内容物を収納する際、パウチ4の底部から充填する必要がないため、パウチ容器4の底部の形状をいかようにも加工できるからである。
【0030】
図2、3に示す通り、前記スパウト1は、上端が閉塞部5によって閉塞される中空の注出筒形状を有しており、その下部がパウチ溶着部となっている。また、スパウト1は、
図2、3の縦断面形状からもわかるように扁平形であり、横断面形状で略楕円形状を有している。
前記スパウト1の閉塞部5は、破断可能な弱化部10を介してスパウト1の注出筒上端に接続した引き剥がし部11であり、その一部に開口用つまみ部12が設けられ、さらに、この開口用つまみ部12には、手指の入る孔12aが設けられている。したがって、開口用つまみ部12の孔12aに手指を差し込み、引き剥がし方向に力を加え弱化部10を破砕して、引き剥がし部11を除去することで、閉塞部5を開口することができる。その結果、パウチ容器4の密封性が保持され、且つパウチ容器4をワンタッチで容易に開口することができる。
【0031】
図2、3に示す通り、前記スパウト1の下部のパウチ溶着部外周面には、その側面に横方向に延在する溶着用リブ6が形成されており、実施例では縦方向に一定間隔をおいて4本並んでいる。この溶着用リブ6は、スパウト1の下部の一側面に一のプラスチックフィルム2の側における周縁2bに溶着される第一溶着用リブ7と、他側面に他のプラスチックフィルム3の側における周縁3bに溶着される第二溶着用リブ8とで構成されている。溶着部の拡大側面図である
図4を参照して理解されるように、第一溶着用リブ7、第二溶着用リブ8は注出筒の約半周分に亘って各々形成されており、上方から見て楕円形状を有する注出筒の楕円長軸の両端側において、第一溶着用リブ7と第二溶着用リブ8との境界が存在している。
【0032】
そして、この溶着用リブ6における第一溶着用リブ7と第二溶着用リブ8とは、既述のとおり、縦方向断面形状の断面積が同一で、且つ第一溶着用リブ7の
頂部の高さ(H1)は、第二溶着用リブ8の
頂部の高さ(H2)より高く(H1>H2)形成されている。
図面を参照して本発明のスパウトをパウチに溶着する工程を説明する。
これにより、
頂部の高さ(H1)の高い第一溶着用リブ7は、(H1−H2)の高さの溶着用リブ部分が初めの溶着(仮溶着)に利用されて、先にプラスチックフィルム2の周縁2bにのみ溶着される(
図6参照)。すると、未溶着の第二溶着用リブ8とプラスチックフィルム3の周縁3bとの間に出来た開口部20(
図7参照)から、パウチ4内に内容物を充填することが出来る(
図8参照)。そのあと、第二溶着用リブ8の高さ(H2)と同じ高さ(H2)となった第一溶着用リブ7は、第二溶着用リブ8と同時にプラスチックフィルム2の周縁2bに再溶着されるが、互いのリブの同じ高さとなっている為、第一溶着用リブ7と第二溶着用リブ8は、均一な加熱がかかることになり、プラスチックフィルム3の周縁2b、3bに安定して溶着されて、開口部20が閉じられることになる。
【0033】
したがって、スパウト1の第一及び第二溶着用リブ7及び8と、プラスチックフィルム2及び3との溶着、すなわち、パウチ4の開口している部分の周縁2b及び3bとの溶着に、時間差を設けても、一方側を再溶着しても、より容易且つ確実に溶着することが可能となる。加えて、パウチ4の周縁2bにスパウト1の第一溶着用リブ7を溶着していても、パウチ4の周縁3bとスパウト1の第二溶着用リブ8とは未溶着であるから開いていて、その開口部20からパウチ4内に内容物を充填出来るため、パウチ4にスパウト1を溶着する際の位置的な制約が無くなる。このため、パウチ4にスパウト1を溶着する位置は、輸送や保管時に邪魔にならない位置(例えば中央部)にすることが出来、パウチの有効充填量が減らない位置とすることなども可能となる。
【0034】
次に、上記構成になるスパウト1をパウチ4に採用した場合の包装体の製造方法について説明する。
まず、例えば、2枚の矩形のプラスチックフィルム2及び3の周縁2a及び3aにおける3辺を溶着し、袋状のパウチ4にする。そのあと、袋状のパウチ4の未溶着のスパウト溶着側周縁2b及び3bの間に、スパウト1の下部を挿入する(
図5参照)。そして、溶着機のヒートシールバー21、22にて、パウチ4の周縁2bに、スパウト1の複数の溶着用リブ6のうち、第一溶着用リブ7のみを加熱溶着する(
図6参照)。その溶着の際、第一溶着用リブ7に対応するヒートシールバー21を加熱状態、第二溶着用リブ8に対応するヒートシールバー22を非加熱状態でスパウトを挟み押圧することで、フィルム3側のみを非溶着状態にすると共に、第一溶着用リブ7における(H1−H2)の
頂部の高さに相当する溶着用リブ部分を溶着材として利用し、パウチ4のフィルム2側にスパウト1を仮付けした状態(仮溶着状態)にする。
【0035】
この状態では、第二溶着用リブ8と袋状のパウチ4の周縁3bとは溶着されていないから、前記開口部20が形成されて(
図7参照)、その開口部20から内容物をパウチ4内に充填でき(
図8参照)、内容物の充填後に、今度はヒートシールバー21、22の両方を加熱状態でスパウトを挟み押圧することにより第一溶着用リブ7、第二溶着用リブ8と袋状のパウチ4の周縁2b、3bとを完全に溶着した状態(本溶着状態)にする。このようにして開口部20を閉じれば(
図9参照)、内容物収納済みの本発明のスパウト1を装着したパウチ4の商品化が完成して(
図10参照)、パウチ4の密封性が高く保持された、輸送や保管が容易な商品として、市場に流通させることが出来る。この商品を手にした消費者は、スパウト1の開口用つまみ部12の孔12aに手指を差し込み、引き剥がし方向に力を加え弱化部10を破砕して、引き剥がし部11を除去することで閉塞部6を開口でき、内容物を利用することも出来る。このように予め、第一溶着用リブ7の高さを第二溶着用リブ8の高さより高く、また両者の断面積を同一にすることで、片面側の仮溶着、両面側の本溶着という二回の溶着行程を経た場合でも安定した溶着が可能となるのである。
【0036】
以上、本発明の実施例1を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更は、適宜可能であることが理解されるべきである。