特許第6168891号(P6168891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6168891
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】生体信号センサシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20170713BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   A61B5/10 310A
   A61B5/02 711C
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-152649(P2013-152649)
(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公開番号】特開2015-20015(P2015-20015A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡林 賞純
(72)【発明者】
【氏名】八田 文吾
【審査官】 荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−014889(JP,A)
【文献】 特開昭57−154702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/03
A61B 5/06−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電シートの一面に第一電極が積層一体化され且つ上記圧電シートの他面に第二電極が積層一体化されていると共に、上記第二電極上に圧力によって弾性復元可能に変形する変形層を介して第三電極が積層一体化されている生体信号センサと、上記第二電極と上記第三電極との間の静電容量を測定する第一測定部と、上記圧電シートで発生する電位を測定する第二測定部と、上記第一測定部で測定された静電容量が予め定められた閾値以上又は上記第一測定部で測定された静電容量の変化量が予め定められた閾値以上である場合には上記第二測定部での上記圧電シートの電位の測定を開始し、上記第二測定部にて周期的な生体信号を検出した場合には上記第二測定部で検出された信号を出力部に出力する制御部とを有することを特徴とする生体信号センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の存在を精度良く認識し、被験者が存在している時だけ被験者の生体信号の出力を行う生体信号センサシステム及びこれを構成する生体信号センサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電シートをセンサとして用いた生体信号センサが知られている。脈波信号、呼吸信号、体動により発生する圧力が圧電シートに加わると、圧電シートから圧力に応じた大きさの電気信号が発生し、この電気信号を利用して生体信号を検出することができる。特許文献1には、臥位における被験者の生体情報を検出することが可能な生体情報検出装置が提案されている。
【0003】
しかしながら、上記生体信号検出装置では、装置を起動させると被験者の有無にかかわらず生体信号の測定を継続してしまうという問題点を有する。被験者が存在するときだけ生体信号の検出を行うためには、着座センサのような被験者の存在を検出するためのセンサを複数併用せざるを得ず、被験者の存在を検出するためのセンサを複数用いることは生体検出装置のコストを増大させてしまうという問題点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−051588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被験者の存在を精度良く認識し、被験者が存在している時に被験者の生体信号の出力を行う生体信号センサシステム及びこれを構成する生体信号センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生体信号センサは、圧電シートの一面に第一電極が積層一体化され且つ上記圧電シートの他面に第二電極が積層一体化されていると共に、上記第二電極上に圧力によって弾性復元可能に変形する変形層を介して第三電極が積層一体化されていることを特徴とする。
【0007】
上記生体信号センサシステムは、圧電シートの一面に第一電極が積層一体化され且つ上記圧電シートの他面に第二電極が積層一体化されていると共に、上記第二電極上に圧力によって弾性復元可能に変形する変形層を介して第三電極が積層一体化されている生体信号センサと、上記第二電極と上記第三電極との間の静電容量を測定する第一測定部と、上記圧電シートで発生する電位を測定する第二測定部と、上記第一測定部で測定された静電容量が予め定められた閾値以上又は上記第一測定部で測定された静電容量の変化量が予め定められた閾値以上である場合には上記第二測定部での上記圧電シートの電位の測定を開始し、上記第二測定部にて周期的な生体信号を検出した場合には上記第二測定部で検出された信号を出力部に出力する制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の生体信号センサシステムは、生体信号センサに荷重が加わると、この荷重によって変形層が変形して第二電極と第三電極との間の距離が変化し、第二電極と第三電極との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出することによって生体信号センサ上に何らかの物体が載置されていることを確認する。
【0009】
第一測定部において測定された静電容量を電気信号として制御部が受信し、制御部が予め定められた閾値と、第二測定部において測定された静電容量とを比較し、静電容量が予め定められた閾値以上である場合、又は、静電容量の変化量が閾値以上である場合には、第二測定部にて生体信号センサの圧電シートにて発生する電位の測定を開始し、この測定された電位に基づき呼吸信号などの周期的な生体信号が含まれているか否かを制御部が判断する。一方、静電容量が閾値未満である場合には、制御部は、第二測定部で測定された、圧電シートにて発生した電位は外部に出力しないことが好ましい。
【0010】
制御部が第二測定部で測定された信号に脈波信号や呼吸信号などの周期的な生体信号が含まれていると判断した場合には、制御部は、生体信号センサ上に被験者が存在していると判断し、第二測定部で測定された、圧電シートにて発生した電位を電気信号として外部装置に出力する。その後も、第二測定部にて生体信号センサの圧電シートにおいて発生する電位の測定を継続して行う。
【0011】
一方、制御部が第二測定部で測定された信号に周期的な生体信号(脈波信号、呼吸信号など)が含まれていないと判断した場合には、制御部は、生体信号センサ上に存在しているものは被験者でない、又は、生体信号センサ上に存在していた生体がいなくなったと判断し、第二測定部において行われている、生体信号センサの圧電シートにて発生する電位の測定を停止し、第一測定部において、第二電極と第三電極との間の静電容量の測定を開始する。制御部は、好ましくは、第二測定部で測定された、圧電シートにて発生した電位は外部に出力しない。第一測定部において、第二電極と第三電極との間の静電容量の測定を開始した後は、上述と同様の要領で測定が継続して行われる。
【0012】
このように、本発明の生体信号センサを用いた生体信号センサシステムは、この生体信号センサシステム上に存在しているものが被験者(生体)であると判断した場合のみ第二測定部において圧電シートにて発生した電位を測定し外部に出力するので、ノイズを除去した上で、被験者の生体信号のみを生体信号センサシステムから得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の生体信号センサを示した断面図である。
図2】本発明の生体信号センサシステムの機能構成を示した図である。
図3】本発明の生体信号センサシステムのハードウエア構成を示した図である。
図4】本発明の生体信号センサシステムの動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の生体信号センサシステムに用いられる生体信号センサの一例を図面を参照しながら説明する。生体信号センサシステムBで用いられている生体信号センサAは、図1に示したように、圧電シート11と、この圧電シート11の一面に積層一体化された第一電極12と、上記圧電シート11の他面に積層一体化された第二電極13と、第二電極13上に積層一体化された変形層14と、変形層14上に積層一体化された第三電極15とを有している。
【0015】
圧電シート11としては、外力が加えられることによって電荷を発生させることができるシートであれば、特に限定されず、例えば、合成樹脂シート(合成樹脂発泡シート又は合成樹脂非発泡シート)に分極を付与した圧電シート、無機系圧電材料を樹脂に分散させた無機系シートに分極を付与した圧電シート、無機系圧電材料を含む無機系シートに分極を付与した圧電シートが挙げられ、脈波信号などの微弱な生体信号を精度良く検出でき、感度が高く、厚み方向の変形で電荷を発生しやすいことから、合成樹脂シート(合成樹脂発泡シート又は合成樹脂非発泡シート)に分極を付与した圧電シートが好ましく、合成樹脂発泡シートに分極を付与した圧電シートがより好ましい。
【0016】
合成樹脂シートを構成する合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリ乳酸、液晶樹脂などが挙げられる。無機系シートを構成する無機材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、リチウムテトラボレート、Ba2NaNb55,Pb2KNb515などが挙げられる。
【0017】
合成樹脂シート又は無機系シートに分極を付与する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)合成樹脂シート又は無機系シートを一対の平板電極で挟持し、帯電させたい表面に接触させている平板電極を高圧直流電源に接続すると共に他方の平板電極をアースし、合成樹脂シート又は無機系シートに直流又はパルス状の高電圧を印加して合成樹脂又は無機材料に電荷を注入して合成樹脂シート又は無機系シートに分極を付与する方法、(2)電子線、X線などの電離性放射線や紫外線を合成樹脂シート又は無機系シートの表面に照射して、合成樹脂シート又は無機系シートの近傍部の空気分子をイオン化することによって合成樹脂又は無機系シートに分極を付与する方法、(3)合成樹脂シート又は無機系シートの一面に、アースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、合成樹脂シート又は無機系シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極又はワイヤー電極を配設し、針状電極の先端又はワイヤー電極の表面近傍への電界集中によりコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極又はワイヤー電極の極性により発生した空気イオンを反発させて合成樹脂又は無機系シートに分極を付与する方法などが挙げられる。
【0018】
圧電シート11の一面にはその全面を被覆するように固定剤層(図示せず)を介して電気絶縁シート16が積層一体化されている。圧電シート11の他面には固定剤層(図示せず)を介して電気絶縁シート17が積層一体化されている。電気絶縁シート17上には変形層14が積層一体化されていると共に、変形層14上には電気絶縁シート18が積層一体化されている。なお、電気絶縁シート16〜18は、電気絶縁性を有しておれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートシート、ポリエチレンナフタレートシート、ポリ塩化ビニルシートなどが挙げられる。
【0019】
固定剤層を構成している固定剤は、反応系・溶剤系・水系・ホットメルト系の接着剤又は粘着剤から構成されており、圧電シート11の感度を維持する観点から、誘電率の低い固定剤が好ましい。
【0020】
電気絶縁シート16における圧電シート11側の面16aの全面には第一電極12が一体的に形成され、電気絶縁シート17における圧電シート11側の面17aの全面には第二電極13が一体的に形成されて、電気絶縁シート18における圧電シート11側の面18aには第三電極15が一体的に形成されている。従って、圧電シート11の一面に固定剤層を介して第一電極12が積層一体化されていると共に、圧電シート11の他面に固定剤層を介して第二電極13が積層一体化されており、第二電極13上には変形層14を介して第三電極15が積層一体化されている。
【0021】
電気絶縁シート上に電極を形成する方法としては、例えば、(1)電気絶縁シート上に、バインダー中に導電性微粒子を含有させてなる導電ペーストを塗布、乾燥させる方法、(2)電気絶縁シート上に蒸着によって電極を形成する方法、(3)電気絶縁シート上に、銅シートなどの金属シートを積層一体化する方法などが挙げられる。
【0022】
上記変形層14は、生体信号センサA上に加わった荷重によって弾性的に復元可能に変形する材料から形成されている。このような材料としては、発泡シート、不織布、織布、編布などが挙げられるが、弾性復元力に優れ、荷重によって容易に変形し且つ荷重が除かれた時には円滑に元の状態に弾性的に復元することから、発泡シートが好ましい。
【0023】
発泡シートとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂発泡シート、ポリエチレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリスチレン系樹脂発泡シート、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)発泡シート、エチレン−酢酸ビニル共重合体発泡シート、フェノール系樹脂発泡シートなどが挙げられる。
【0024】
生体信号センサA上に荷重が加わると、変形層14が圧縮されて変形し、第二電極13と第三電極15との間の距離が変化する。このように第二電極13と第三電極15との間の距離が変化すると、第二電極13と第三電極15との間の静電容量が変化する。第二電極13と第三電極15との間の静電容量は、圧電シート11で発生する電位を第二測定部3において測定している時以外は、常時、後述する第一測定部で測定されており、第一測定部で測定された測定値に基づいて後述する制御部が生体信号センサA上に何らかの物体が存在していることを検知する。
【0025】
上記生体信号センサAを用いて生体信号センサシステムBが構成されている。生体信号センサシステムBは、機能的には、図2に示したように、生体信号センサAと、生体信号センサAの第二電極13と第三電極15との間の静電容量を測定する第一測定部2と、圧電シート11で発生する電位を測定する第二測定部3と、制御部4と、出力部5とを有している。又、生体信号センサシステムBは、物理的には、図3に示したように、生体信号センサAと、CPU(Central Processing Unit)61と、ROM(Read Only Memory)62と、RAM(Random Access Memory)63と、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などの補助記憶装置64と、測定モジュール65と、ディスプレイやプリンタなどの出力モジュール66とを有している。
【0026】
図2において説明した生体信号センサシステムBの各機能は、図3に示したCPU61やRAM63上に所定のプログラムを読み込ませることにより、CPU61の制御のもとで測定モジュール65及び出力モジュール66を作動させると共に、RAM63や補助記憶装置64におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0027】
生体信号センサシステムBの制御部4は、CPU61を備えたものであってROM62などに記憶されているプログラムを実行することで生体信号センサシステムBが具備する各種機能を制御する。
【0028】
生体信号センサAの第二電極13及び第三電極15は、第二電極13と第三電極15との間の静電容量を測定するために、一対として測定モジュール65に導電線を介して電気的に接続されていると共に、生体信号センサAの第一電極12及び第二電極13は、圧電シート11で発生した電位を測定するために、一対として測定モジュール65に導電線を介して電気的に接続されている。生体信号センサAの第二電極13と第三電極15との間の静電容量を測定するために電気的に接続されている測定モジュールと、生体信号センサAの圧電シートで発生する電位を測定するために第一電極12及び第二電極13に接続されている測定モジュールとは、同一であってもよいし相違していてもよい。従って、第二電極13は、第二電極13と第三電極15との間の静電容量を測定する測定モジュールと、圧電シート11で発生した電位を測定する測定モジュールとの双方に電気的に接続されている場合と、第二電極13と第三電極15との間の静電容量及び圧電シート11で発生した電位の双方を測定する一の測定モジュールに電気的に接続されている場合とがある。生体信号センサAの第二電極13と第三電極15との間の静電容量を測定するために用いられる測定モジュールとしては、例えば、静電容量計、LCRメータなどが挙げられる。
【0029】
なお、第一電極12と測定モジュール65とをそれぞれ接続している導電線を途中で二つに分岐させて、一方の分岐線を測定モジュール65に、他方の分岐線においてアースをとることによって、第一電極12を基準電位として第二電極13の電位を測定モジュールによって測定することが、第一電極12が外部からの電磁波を遮蔽するためのシールド層として機能し、圧電シート11で発生した電位を第二電極13を通じてより正確に測定することができるので好ましい。又、第一電極12又は第二電極13の何れか一方を基準となる一定の電位に保持し、これを基準電極とする一方、基準電極ではない他方の電極を通じて圧電シート11で発生した電位を測定するように構成してもよい。
【0030】
生体信号センサシステムBの動作について図4のフローチャートを参照しつつ説明する。先ず、生体信号センサA上に物体が存在しているか否かを検出する〔ステップ1(S1)〕。具体的には、第一測定部2において生体信号センサAの第二電極13と第三電極15との間の静電容量を測定する。生体信号センサA上に物体が存在していると、生体信号センサAの変形層14が物体の荷重によって弾性復元可能に圧縮変形し、その結果、第二電極13と第三電極15との間の距離が狭くなり、第二電極13と第三電極15との間の静電容量が大きくなる。
【0031】
第一測定部2によって測定された静電容量の測定結果は電気信号として制御部4に送られ、制御部4において、予め定められた閾値と、第一測定部2にて測定された静電容量の測定結果とを比較し、第一測定部2にて測定された静電容量の測定結果が閾値以上であった場合、又は、第一測定部2にて測定された静電容量の変化量が閾値以上であった場合には、生体信号センサA上に物体が存在していると判断する。一方、第一測定部2にて測定された測定結果が閾値未満であり且つ第一測定部2にて測定された静電容量の変化量が閾値未満である場合には、生体信号センサA上に物体は存在していないと制御部4において判断する〔ステップ2(S2)〕。なお、第一測定部2は、圧電シート11で発生する電位を第二測定部3において測定している時以外は、常時又は所定の時間間隔毎に、第二電極13と第三電極15との間の静電容量を測定している。
【0032】
制御部4において予め定められている閾値は、生体信号センサシステムBを用いて測定しようとする生体の想定される重量に基づいて設定される。例えば、生体信号センサシステムBを用いて生体信号を測定しようとする生体が大人を想定している場合は、子供であると想定している場合に比べて閾値は大きく設定される。従って、生体信号を測定しようとする生体が大人を想定している場合、子供が生体信号センサA上にのったとしても、制御部4は、子供が生体信号センサA上にのっていないものと判断することから閾値の設定は、想定している生体の重量範囲を考慮した上で設定する必要がある。
【0033】
制御部4が生体信号センサA上に物体は存在していないと判断した場合は、制御部4の指示により、第一測定部2において、第二電極13と第三電極15との間の静電容量を引き続き測定し、制御部4において、第一測定部2で測定された測定値と、予め定められた閾値との大小を継続して比較し続ける。
【0034】
一方、制御部4が生体信号センサA上に物体が存在していると判断した場合は、第二電極13と第三電極15との間の静電容量の第一測定部2による測定を中止すると共に、第二測定部3において、圧電シート11にて発生する電位の測定を開始する〔ステップ3(S3)〕。制御部4は、第二測定部3において検出された信号に基づいて生体信号センサA上にある物体が生体であるか否かを判断する〔ステップ4(S4)〕。
【0035】
生体は呼吸信号や脈波信号などの周期的な生体信号を発することから、制御部4には、生体信号センサシステムBが対象とする生体が発する周期的な生体信号の情報が記憶されており、この記憶された周期的な生体信号の情報に基づいて、制御部4は、第二測定部3から受信した信号が周期的な生体信号を含むか否かを判断する。周期的な生体信号の情報としては、呼吸信号や脈波信号が挙げられるが、生体であれば必ず発生する脈波信号が好ましい。
【0036】
制御部4が第二測定部3から受信した信号が周期的な生体信号を含んでいないと判断した場合、制御部4は、生体信号センサA上にのっている物体は被験者(生体)ではないと判断し、第二測定部3による生体信号センサAでの測定を中止すると共に、第二電極13と第三電極15との間の静電容量の第一測定部2による測定を開始する。〔ステップ5(S5)〕。
【0037】
一方、制御部4が第二測定部3から受信した信号が生体信号を含むと判断した場合、制御部4は、第二測定部3において圧電シートにて発生する電位の測定を継続して行い、第二測定部3にて測定された、生体信号センサAからの生体信号を、ディスプレイ、プリンタ、又は、補助記憶装置74などの出力部5に出力し、必要に応じて記憶する〔ステップ6(S6)〕。生体信号センサシステムBの第二測定部3にて測定される生体信号には、呼吸信号、脈波信号、体動などが含まれる。
【0038】
以上の如く、本発明の生体信号センサシステムBは、第一測定部から得られる第二電極13と第三電極15との間の静電容量の値に基づいて生体信号センサA上に物体がのっているか否かを判断し、更に、圧電シート11にて発生する電位を電気信号として制御部が受信して制御部にて生体信号センサA上の物体が生体(被験者)であるか否かを判断した上で、生体信号センサAの圧電シートから得られる生体信号の測定を行っているので、想定している生体が生体信号センサA上に載置された時に、生体信号センサA上の生体の生体信号を第二測定部にて測定して出力部に出力しており、ノイズの少ない生体信号を測定し得ることができる。
【符号の説明】
【0039】
2 第一測定部
3 第二測定部
4 制御部
5 出力部
11 圧電シート
12 第一電極
13 第二電極
14 変形層
15 第三電極
A 生体信号センサ
B 生体信号センサシステム
図1
図2
図3
図4