(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
系統情報を基に電力の安定供給を行うための安定化の制御演算をする中央装置と、複数の端末装置とをそれぞれ2系列構成として、前記端末装置は、実際に系統事故が発生したことを検出する端末装置と、前記中央装置の制御演算結果に従い系統事故発生時に電源あるいは負荷を遮断制御する端末装置とを含み、系統情報あるいは当該端末装置の不良情報を出力するように構成した系統安定化装置において、
前記系統情報により複数の前記端末装置の正常又は不良を判定すると共に、前記中央装置の正常又は不良を判定する自動監視部と、
前記自動監視部の判定結果に基づいて、各系列内における正常な事故検出用の端末装置の数を算出する算出部と、
両系列の前記中央装置間で相互に交信し、第1の系列における正常な事故検出用の端末装置の数と第2の系列における正常な事故検出用の端末装置の数を比較する比較部と、
両系列の前記中央装置が正常で、且つ第1の系列の正常な事故検出用の端末装置の数が第2の系列の正常な事故検出用の端末装置の数以上のとき第1の系列の制御演算結果を出力許可とし、両系列の前記中央装置が正常の場合で、且つ第2の系列の正常な事故検出用の端末装置の数が第1の系列の正常な事故検出用の端末装置の数より多いとき第2の系列の制御演算結果を出力許可とする出力切換部とを、
各系列にそれぞれ備えたことを特徴とする系統安定化装置。
系統情報を基に電力の安定供給を行うための安定化の制御演算をする中央装置と、複数の端末装置とをそれぞれ2系列構成として、前記端末装置は、実際に系統事故が発生したことを検出する端末装置と、前記中央装置の制御演算結果に従い系統事故発生時に電源あるいは負荷を遮断制御する端末装置とを含み、系統情報あるいは当該端末装置の不良情報を出力するように構成した系統安定化装置において、
前記系統情報により複数の前記端末装置の正常又は不良を判定すると共に、前記中央装置の正常又は不良を判定する自動監視部と、
前記自動監視部の判定結果に基づいて、各系列内における検出可能な系統事故箇所の数を算出する算出部と、
両系列の前記中央装置間で相互に交信し、第1の系列における検出可能な系統事故箇所の数と第2の系列における検出可能な系統事故箇所の数を比較する比較部と、
両系列の前記中央装置が正常で、且つ第1の系列の検出可能な系統事故箇所の数が第2の系列の検出可能な系統事故箇所の数以上のとき第1の系列の制御演算結果を出力許可とし、両系列の前記中央装置が正常の場合で、且つ第2の系列の検出可能な系統事故箇所の数が第1の系列の検出可能な系統事故箇所の数より多いとき第2の系列の制御演算結果を出力許可とする出力切換部とを、
各系列にそれぞれ備えたことを特徴とする系統安定化装置。
系統情報を基に電力の安定供給を行うための安定化の制御演算をする中央装置と、複数の端末装置とをそれぞれ2系列構成として、前記端末装置は、実際に系統事故が発生したことを検出する端末装置と、前記中央装置の制御演算結果に従い系統事故発生時に電源あるいは負荷を遮断制御する端末装置とを含み、系統情報あるいは当該端末装置の不良情報を出力するように構成した系統安定化装置において、
前記系統情報により複数の前記端末装置の正常又は不良を判定すると共に、前記中央装置の正常又は不良を判定する自動監視部と、
前記自動監視部の判定結果に基づいて、各系列内における正常な制御用の端末装置の数を算出する算出部と、
両系列の前記中央装置間で相互に交信し、第1の系列における正常な制御用の端末装置の数と第2の系列における正常な制御用の端末装置の数を比較する比較部と、
両系列の前記中央装置が正常で、且つ第1の系列の正常な制御用の端末装置の数が第2の系列の正常な制御用の端末装置の数以上のとき第1の系列の制御演算結果を出力許可とし、両系列の中央装置が正常の場合で、且つ第2の系列の正常な制御用の端末装置の数が第1の系列の正常な制御用の端末装置の数より多いとき第2の系列の制御演算結果を出力許可とする出力切換部とを、
各系列にそれぞれ備えたことを特徴とする系統安定化装置。
系統情報を基に電力の安定供給を行うための安定化の制御演算をする中央装置と、複数の端末装置とをそれぞれ2系列構成として、前記端末装置は、実際に系統事故が発生したことを検出する端末装置と、前記中央装置の制御演算結果に従い系統事故発生時に電源あるいは負荷を遮断制御する端末装置とを含み、系統情報あるいは当該端末装置の不良情報を出力するように構成した系統安定化装置において、
前記系統情報により複数の前記端末装置の正常又は不良を判定すると共に、前記中央装置の正常又は不良を判定する自動監視部と、
前記自動監視部の判定結果に基づいて、各系列内において制御可能な制御対象の制御可能量を算出する算出部と、
両系列の前記中央装置間で相互に交信し、第1の系列における前記制御可能量と第2の系列における前記制御可能量を比較する比較部と、
両系列の前記中央装置が正常で、且つ第1の系列の前記制御可能量が第2の系列の前記制御可能量以上のとき第1の系列の制御演算結果を出力許可とし、両系列の前記中央装置が正常の場合で第2の系列の前記制御可能量が第1の系列の前記制御可能量より多いとき第2の系列の制御演算結果を出力許可とする出力切換部とを、
各系列にそれぞれ備えたことを特徴とする系統安定化装置。
系統情報を基に電力の安定供給を行うための安定化の制御演算をする中央装置と、複数の端末装置とをそれぞれ2系列構成として、前記端末装置は、実際に系統事故が発生したことを検出する端末装置と、前記中央装置の制御演算結果に従い系統事故発生時に電源あるいは負荷を遮断制御する端末装置とを含み、系統情報あるいは当該端末装置の不良情報を出力するように構成した系統安定化装置において、
前記系統情報により複数の前記端末装置の正常又は不良を判定すると共に、前記中央装置の正常又は不良を判定する自動監視部と、
前記端末装置について優先順位を設定する優先順位設定部と、
前記自動監視部の判定結果及び前記優先順位設定部の設定した優先順位に基づいて、各系列内において正常な端末装置の中で優先順位の高い高優先の端末装置の数を算出する算出部と、
両系列の前記中央装置間で相互に交信し、第1の系列における前記高優先の端末装置の数と第2の系列における前記高優先の端末装置の数を比較する比較部と、
両系列の前記中央装置が正常で、且つ第1の系列の前記高優先の端末装置の数が第2の系列の前記高優先の端末装置の数以上のとき第1の系列の制御演算結果を出力許可とし、両系列の前記中央装置が正常の場合で第2の系列の前記高優先の端末装置の数が第1の系列の前記高優先の端末装置の数より多いとき第2の系列の制御演算結果を出力許可とする出力切換部とを、
各系列にそれぞれ備えたことを特徴とする系統安定化装置。
【背景技術】
【0002】
電力系統内に事故が発生した場合、これを放置すると系統設備の損傷を招くばかりでなく、系統全体の運転維持が困難な事態を生じかねない。このため、電力系統には系統事故発生時に事故設備を系統から迅速に切り離す保護リレーシステムが設置されている。保護リレーシステムは事故除去リレーシステムと事故波及防止リレーシステムに大別される。
【0003】
このうち、事故除去リレーシステムは系統設備毎に設置されるものであり、事故区間を速やかに系統から除去することを目的としている。ただし、事故除去リレーシステムが動作して事故区間を系統から除去したとしても、系統構成の変更といった事故の影響が残ると、潮流の急変や需給アンバランス等を引き起こす。
【0004】
その結果、脱調現象、周波数異常、電圧異常、過負荷等異常現象が系統に発生することがある。これらの異常現象を放置すると、異常現象が系統全体に波及拡大するおそれがある。そこで、異常現象の発生を未然に防ぐために送電線などの設備の拡充やPSSなどの制御装置の導入等により系統自体の強化を図っている。
【0005】
また、発生してしまった異常現象の系統全体への波及防止を目的として、もう1つの保護リレーシステムである事故波及防止リレーシステムが提案されている。事故波及防止リレーシステムは、異常現象が系統全体に波及することを防止し、系統の安定運転の維持を図っている。このため、事故波及防止リレーシステムは系統安定化装置と呼ばれている。
【0006】
このような系統安定化装置では、稼働率の向上を図るべく、常用/待機方式の2系列構成を適用することが一般的である。ここで常用/待機方式の2系列構成の系統安定化装置の構成例について、
図16を用いて説明する。
【0007】
図16に示す2系列構成はA系、B系としており、符号1AがA系の系統安定化装置、符号1BがB系の系統安定化装置である。系統安定化装置1A,1Bは各系ともそれぞれ、中央装置2A,2Bと、複数の端末装置3A,3Bとから構成されている。端末装置3A,3Bと中央装置2A,2Bとは距離が離れて設置されており、伝送路を介して接続されている。
【0008】
端末装置3A,3Bには、実際に系統事故が発生したことを検出するための事故検出端末装置、制御を実施するための制御端末装置、系統情報を収集するための収集端末装置など、様々な端末装置がある。また、事故検出端末装置であっても、事故検出箇所数は装置ごとに違いがあることが多く、制御端末装置であっても、制御対象の数や容量トータルは装置ごとに異なることが多い。これらの端末装置3A,3Bは伝送路を介して中央装置2A,2Bに系統情報を送る。なお、系統情報とは、遮断器の開閉状態を示す情報や電圧値、電流値等である。
【0009】
端末装置3A,3Bは端末装置3A,3B自体に故障が生じると、伝送路を介して中央装置2A,2Bに故障情報を送る。また、端末装置3A,3Bは中央装置2A,2Bから伝送路を介して送られてくる制御指令に従って、該当の制御対象の制御を実施する。制御指令とは、系統事故発生時での発電機あるいは負荷の遮断指令や、調相設備の遮断投入指令等である。
【0010】
中央装置2A,2Bとは、系統情報を基に安定化制御対象とする系統事故に対して電力系統の不安定現象を安定化するための制御演算を行い、対象とする系統事故を検出した時点で制御演算結果に基づいて各端末装置に対して制御指令を出力する装置である。また、中央装置2A,2Bは健全な系列で演算及び制御を実施するために、常用/待機の切換すなわち出力切換を行う。中央装置2A,2Bは、出力する系列情報を相互に受け渡す。
【0011】
中央装置2A,2Bは、端末装置3A,3Bから伝送路を介して送られてくる系統情報を用いて、系統安定化に必要な制御演算を実行すると共に、安定化制御が必要となる系統事故の判定及び制御指令の出力を行う。このような中央装置2A,2Bの構成例について
図17を用いて説明する。
【0012】
図17に示すように、中央装置2A,2Bにはそれぞれ、演算部4A,4B、入力部5A,5B、自動監視部6A,6B、出力切換部7A,7B、出力部8A,8Bが設けられている。なお、
図17において、符号141A,141B、142A,142B、144Bはアンド回路、143Bはノット回路、145Bはオア回路を示している。
【0013】
入力部5A,5Bは、端末装置3A,3Bから送信された系統情報及び端末装置3A,3Bの故障情報を入力する。演算部4A,4Bは、端末装置3A,3Bからの系統情報を入力部5A,5Bを介して入力し、それぞれ系統安定化の制御演算を行って、制御演算結果を制御指令として出力切換部7A,7Bに出力する。演算部4A,4Bでの制御演算は常時一定の周期で実行される。
【0014】
自動監視部6A,6Bは、端末装置3A,3Bからの故障情報を入力部5A,5Bを介して入力し、この故障情報に基づいて端末装置3A,3B中に故障した端末装置3A,3Bがあるかどうかを判定する。また、自動監視部6A,6Bはそれ自身が属する中央装置2A,2Bについても正常か否かを判定する。そして、自動監視部6A,6Bは端末装置3A,3B及び中央装置2A,2Bに関する判定結果を出力切換部7A,7Bに出力する。
【0015】
出力切換部7A,7Bは、自動監視部6A,6Bから判定結果を、演算部4A,4Bから制御指令を、それぞれ入力し、所定のロジックに従って、演算部4A,4Bの制御指令のうちのいずれか一方を、出力部8A,8Bに出力する。出力部8A,8Bは出力切換部7A,7Bからの制御指令を端末装置3A,3Bに出力する。
【0016】
図17はA系を常用系、B系を待機系とした場合の出力切換部7A,7Bのロジックを示すものである。つまり、自動監視部6Aが、A系の中央装置2A及び全ての端末装置3Aが正常であると判断したときは、常用系であるA系を優先する。このとき、出力切換部7Aは演算部4Aの出力である制御指令を、出力部8Aを介して端末装置3Aに出力する。
【0017】
また、B系の中央装置2BはA系の中央装置2AからA系の系列情報を受け取る。このとき、B系の出力切換部7Bは、出力部8Bへの演算部4Bの出力をロックする。また、自動監視部6Bが、B系の中央装置2B及び全ての端末装置3Bが正常であると判断すると、すなわちB系の中央装置2B及び全ての端末装置3Bがともに正常という条件下で、出力切換部7Bは、A系の演算部4Aの制御指令を、出力部8Bを介して端末装置3Bに出力する。
【0018】
一方、自動監視部6Aが、A系の中央装置2Aが正常ではない、または端末装置3Aに故障が発生していると判定した場合、A系の出力切換部7Aは出力切換を行い、出力部8Aへの演算部4Aの出力をロックする。このとき、自動監視部6Bが、B系の中央装置2B及び全ての端末装置3Bが正常であると判断すると、すなわちB系の中央装置2B及び全ての端末装置3Bがともに正常という条件下で、B系の出力切換部7Bは、出力部8Bへの演算部4Bの出力のロックを解除し、B系の演算部4Bの制御指令を、出力部8Bを介して端末装置3Bに出力する。
【0019】
以上のような系統安定化装置1A,1Bでは、中央装置2A,2Bの両方が正常であっても、複数の端末装置3Aのうちの1台でも故障すれば、出力切換部7Aは制御指令を出力せず、出力切換部7Bは演算部4Bの制御指令を出力する。また、中央装置2A,2Bの両方が正常であっても、複数の端末装置3Bのうちの1台でも故障すれば、出力切換部7Aは演算部4Aの制御指令を出力するが、出力切換部7Bは制御指令を出力しない。これは端末装置が1台でも故障すれば当該系列全体が使用できなくなることを意味する。
【0020】
さらに、系統安定化装置1A,1Bでは、中央装置2A,2Bの両方が正常であっても、各系の端末装置3A,3Bがそれぞれ1台でも故障すれば、出力切換部7A,7Bはともに演算部4A,4Bの制御指令を出力することはなく、A,B両系はシステム停止することになる。
【0021】
ところで、従来の系統安定化装置1A,1Bにおいて、自動監視部6A,6Bによる端末装置3A,3Bの故障判定は、故障の程度を斟酌していない。しかし実際には、端末装置3A,3Bに発生した故障の程度としては、装置の誤動作や誤不動作に至らない軽故障と、装置の誤動作や誤不動作に至る重故障とがある。
【0022】
従来の系統安定化装置1A,1Bでは、端末装置3A,3Bに発生した故障が軽故障であり、装置の誤動作や誤不動作に至らなかったとしても、A,B両系がシステム停止となり、稼働率の低下を招いていた。そこで、端末装置の故障の程度まで判定する系統安定化装置が提案されている(例えば特許文献1等)。
【0023】
具体的には、常用系の系統安定化装置に含まれる端末装置が軽故障の場合で、待機系の系統安定化装置に含まれる端末装置が重故障又は軽故障のときは常用系の制御指令を出力許可とする。また、常用系の系統安定化装置に含まれる端末装置が重故障の場合で、待機系の系統安定化装置に含まれる端末装置が軽故障のときは待機系の制御指令を出力許可して出力切換を行う。その結果、故障が両系同時に発生しても、一方の系列の故障が軽故障であるならば、その系列は運用継続可能であると判断することになり、両系のシステム停止には至らず、稼働率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る系統安定化装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、下記の実施形態はいずれも
図16及び
図17に示した従来例と同じく、2系列構成の系統安定化装置である。そのため、下記の実施形態において
図16及び
図17に示した従来例と同一の部分に関しては同一符号を付して、説明は省略する。
【0032】
[第1の実施形態]
(構成)
図1に示すように、中央装置2A,2Bの出力切換部7A,7Bには算出部9A,9Bと比較部10A,10Bが設けられている。なお、
図1において、符号1401A,1401Bはノット回路、1402A,1402B、1407Bはオア回路、1403A,1403B、1404A,1404B、1405B、1406Bはアンド回路を示している。
【0033】
算出部9A,9Bは自動監視部6A,6Bの判定結果に基づいて、各系列内の正常な端末装置3A,3B(
図16に図示、以下同様)の数を算出し、算出結果を比較部10A,10Bに出力する部分である。比較部10A,10Bは、A,B両系の中央装置2A,2B間で相互に交信し、A系における正常な端末装置3Aの数と、B系における正常な端末装置3Bの数とを比較する部分である。
【0034】
なお、第1の実施形態の自動監視部6A,6Bにおいて、端末装置3A,3Bが正常か否かを判定する基準は、端末装置3A,3B毎に故障の種類に応じて、適宜設定可能である。例えば、軽故障を起こしただけの端末装置3A,3Bについては正常であると判定するように設定してもよい。
【0035】
本実施形態では、軽故障が起きた端末装置3A,3Bについても、それらが正常であると判定されることを考慮して、端末装置3A,3Bが正常でない状態にあることを、端末装置3A,3Bの不良と表現することにする。したがって、端末装置3A,3Bの不良状態を示す情報を端末装置3A,3Bの不良情報と呼ぶ。この不良情報は、端末装置3A,3Bが不良となると、端末装置3A,3Bが、伝送路を介して中央装置2A,2Bに不良情報を送る。
【0036】
第1の実施形態に係る出力切換部7A,7Bは、自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、A系の正常な端末装置3Aの数がB系の正常な端末装置3Bの数以上のとき、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。
【0037】
また、出力切換部7A,7Bは、自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、B系の正常な端末装置3Bの数がA系の正常な端末装置3Aの数より多いとき、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0038】
(作用)
中央装置2A,2Bでは、入力部5A,5Bが、端末装置3A,3Bから送信される系統情報及び不良情報を入力する。演算部4A,4Bは複数の端末装置3A,3Bからの系統情報を入力部5A,5Bから入力し、系統安定化のための制御演算を行う。この制御演算結果が制御指令となる。
【0039】
また、自動監視部6A,6Bは端末装置3A,3Bの不良情報を入力部5A,5Bから入力し、この不良情報から各端末装置3A,3Bが正常か不良かを判定する。また、自動監視部6A,6Bはそれ自身が属する中央装置2A,2Bについても正常か不良かを判定する。そして、自動監視部6A,6Bは端末装置3A,3B及び中央装置2A,2Bに関する判定結果を出力切換部7A,7Bに出力する。
【0040】
出力切換部7A,7Bにおいて、算出部9A,9Bでは自動監視部6A,6Bの出力結果から正常な端末装置3A,3Bの数を算出し、算出結果を比較部10A,10Bに出力する。比較部10A,10Bは、中央装置2A,2B間で相互に交信して算出結果を受け渡し、A系の正常な端末装置3Aの数と、B系の正常な端末装置3Bの数を互いに比較する。そして、比較部10Aは、自系であるA系の正常な端末装置3Aの数の方が、他系であるB系の正常な端末装置3Bの数以上の場合に出力する。また、比較部10Bは、自系の正常な端末装置3Bの数が他系の正常な端末装置3Aの数より多い場合に出力する。
【0041】
なお、第1の実施形態では比較部10A,10Bが中央装置2A,2B間で相互に交信することで、系列間にて正常な端末装置3A,3Bの数を受け渡す構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、自動監視部6A,6Bの出力である各端末装置3A,3Bの正常情報を受け渡すようにして、各系列で両系の正常な端末装置3A,3Bの数を数える構成としてもよい。これは、以降の全ての実施形態においてもあてはまることである。
【0042】
出力切換部7A,7Bにおいては、自系の正常な端末装置の数が他系の正常な端末装置の数以上、または他系の中央装置が不良であるという「0」信号をノット回路1401A,1401Bで論理反転した「1」信号を入力とし、この「1」信号を、オア回路1402A,1402Bを経由してアンド回路1403A,1403Bに入力する。
【0043】
アンド回路1403A,1403Bの一方の入力は、自系の中央装置2A,2Bが正常であるという信号を入力して、条件成立により出力=「1」となる。アンド回路1404A,1404Bは、アンド回路1403A,1403Bの出力=「1」と、自系の演算部4A,4Bより制御指令を入力し、条件成立により出力部8A,8Bに出力する。
【0044】
B系のアンド回路1405Bは、A,B両系の中央装置2A,2Bが正常で、他系の正常な端末装置3Aの数が自系の正常な端末装置3Bの数以上で条件成立して、出力=「1」となる。アンド回路1406Bは、アンド回路1405Bの出力=「1」と、他系の演算部4Aよりの制御指令を入力して、条件成立によりオア回路1407Bを経由して出力部8Bに出力する。
【0045】
(系列の選択結果)
上述のような出力切換部7A,7Bの出力のケース、すなわち第1の実施形態における系列の選択結果の例について、
図2のロジックテーブルを用いて説明する。本実施形態による特徴的なケースとは、従来の方式ではA,B両系とも制御指令を出力しなかったNo.4〜9という6つのケースである。
【0046】
また、No.2のケースについても従来の方式と全く同じではなく、従来の方式と全く同じケースは、A,B両系が全て健全であるNo.1と、No.3のケースである。No.1のケースでは、A,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であり、且つA,B両系の全端末装置3A,3Bが正常であると、自動監視部6A,6Bが判定した場合であり、出力切換部7A,7BはA,B両系ともA系の制御指令を出力する。
【0047】
No.3のケースはA,B両系の中央装置2A,2Bが正常で、B系の全端末装置3Bが正常で、A系に不良の端末装置3Aが有ると、自動監視部6A,6Bが判定した場合である。この場合、B系の中央装置2BがB系の制御指令を出力する。
【0048】
No.2のケースはA,B両系の中央装置2A,2Bが正常で、A系の全端末装置3Aが正常で、B系に不良の端末装置3Bが有ると、自動監視部6A,6Bが判定した場合である。本実施形態では、比較部10A,10BはA,B両系の中央装置2A,2B間で相互に交信するので、従来の系統安定化装置のようにA系の中央装置2AのみがA系の制御指令を出力するだけではなく、B系の中央装置2BもまたA系の制御指令を出力することができる。つまり、本実施形態においてはA,B両系の中央装置2A,2Bが共に正常であれば、出力切換部7A,7BはA,B両系ともA系の制御指令を出力可能である。
【0049】
No.4、5のケースはA,B両系の中央装置2A,2Bが正常で、A,B両系ともに不良の端末装置3A,3Bが有ると、自動監視部6A,6Bが判定した場合である。このうち、No.4のケースは、比較部10A,10Bの比較結果が、正常な端末装置3Aの数の方がB系よりも多い場合あるいは正常な端末装置の数がA,B両系で等しい場合である。このとき、制御指令出力はA系優先となり、出力切換部7A,7BはA,B両系ともA系の制御指令を出力する。
【0050】
一方、No.5のケースは、比較部10A,10Bの比較結果が、正常な端末装置の数はB系の方がA系よりも多い場合である。このとき、制御指令出力はB系優先となり、B系の出力切換部7BのみがB系の演算結果による制御指令を出力する。
【0051】
No.6〜9のケースでは中央装置2A,2Bのいずれか一方が正常、他方が不良であり、且つ端末装置に関してはA,B両系ともに不良の端末装置3A,3Bが有ると、自動監視部6A,6Bが判定した場合である。このうち、No.6、7ケースはA系の中央装置2Aが正常、B系の中央装置2Bが不良で、A,B両系ともに不良の端末装置3A,3Bが有る。これらのケースでは、比較部10A,10Bの比較結果に関係なく、A系の出力切換部7AのみがA系の演算結果による制御指令を出力し、B系の出力切換部7Bは中央装置2Bが不良のため制御指令を出力しない。
【0052】
また、No.8、9のケースはA系の中央装置2Aが不良、B系の中央装置2Bが正常で、A,B両系に不良の端末装置3A,3Bが有る。これらのケースでは、比較部10A,10Bの比較結果に関係なく、B系の出力切換部7BのみがB系の制御指令を出力し、A系の出力切換部7Aは中央装置2Aが不良のため制御指令を出力しない。また、No.10、11のケースはA,B両系の中央装置2A,2Bが共に不良なので、A,B両系の出力切換部7A,7Bとも、制御指令を出力しない。
【0053】
(効果)
上記のような第1の実施形態によれば、自系列の状態についての情報を、正常な端末装置3A,3Bの数という情報にして系列間で受け渡すことにより、A,B両系で端末装置3A,3Bに不良や故障が発生しても、より正常な端末装置3A,3Bの数が多い方の系列で運用を継続することが可能となり、システム全体の停止に至ることがない。したがって、端末装置3A,3Bが多数存在しても、システム停止のリスクが高まることがなく、稼働率が向上する。
【0054】
[第2の実施形態]
(構成)
図3を参照して、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態が上記第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態における算出部9A,9Bに代えて、算出部11A,11Bを有する点にある。第2の実施形態の算出部11A,11Bは、自動監視部6A,6Bの判定結果から、正常な事故検出端末装置の数を算出し、算出結果を比較部10A,10Bに出力する部分である。
【0055】
比較部10A,10Bの比較対象は、算出部11A,11Bから導かれる算出結果である。すなわち、第2の実施形態の比較部10A,10Bでは、A系における正常な事故検出端末装置の数と、B系における正常な事故検出端末装置の数とを比較する。なお、下記の第2〜第7の実施形態は、いずれも算出部に特徴があり、算出部以外の構成は上記第1の実施形態と同じである。そのため、同一符号を付して説明は省略する。
【0056】
(作用)
第2の実施形態では、自動監視部6A,6Bの判定結果から、算出部11A,11Bが、正常な事故検出端末装置の数を算出する。そして、この算出結果をA,B両系間で受け渡して、比較部10A,10Bが算出部11A,11Bの算出結果を比較する。
【0057】
自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、A系の正常な事故検出端末装置の数がB系の正常な事故検出端末装置の数以上のとき、出力切換部7A,7Bは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。
【0058】
また、自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、B系の正常な事故検出端末装置の数の方が、A系の正常な事故検出端末装置の数より多いとき、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。したがって、第2の実施形態の出力切換部7A,7Bでは、中央装置2A,2Bが正常であれば、且つ正常な事故検出端末装置の数が多い方の系列で、制御指令を出力する。
【0059】
(効果)
このような第2の実施形態によれば、A,B両系の端末装置3A,3Bに不良や故障が発生しても、正常な事故検出端末装置が多い方の系で安定化制御を行うことができ、運用を継続することが可能となる。したがって、第1の実施形態と同じく、システム停止のリスクを低減することができ、稼働率が向上する。しかも、事故検出は安定化制御を起動する条件であり、第2の実施形態では、安定化制御対象となる想定事故ケースを、より広く検出することが可能となるため、実際に安定化制御対象の系統事故発生時に安定化制御が実施されないケースを減らすことができる。
【0060】
[第3の実施形態]
(構成)
図4を参照して、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の特徴は、第1の実施形態における算出部9A,9Bに代えて、検出可能な系統事故箇所数の算出部21A,21Bを有することにある。
【0061】
算出部21A,21Bは、自動監視部6A,6Bの判定結果による各事故検出端末装置の装置状態と、各事故検出端末装置が検出対象とする系統事故の箇所数から、検出可能な系統事故箇所数の合計を算出し、算出結果を比較部10A,10Bに出力する。第3の実施形態の比較部10A,10Bは、A系における検出可能な系統事故箇所数と、B系における検出可能な系統事故箇所数とを比較する。
【0062】
(作用)
このような第3の実施形態において、中央装置2A,2Bの出力切換部7A,7Bでは、自動監視部6A,6Bの判定結果から、算出部21A,21Bが検出可能な系統事故箇所数を算出して、算出結果をA,B両系間で受け渡す。そして、A,B両系の比較部10A,10Bが算出部21A,21Bの算出結果を比較する。
【0063】
自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、A系における検出可能な系統事故箇所数がB系における検出可能な系統事故箇所数以上のとき、出力切換部7A,7Bでは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。
【0064】
また、自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、B系の検出可能な系統事故箇所数がA系の検出可能な系統事故箇所数より多いとき、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0065】
(効果)
以上の第3の実施形態によれば、A,B両系の端末装置3A,3Bに不良や故障が発生しても、中央装置2A,2Bが正常であれば、検出可能な系統事故箇所数が多い方の系列で制御指令の出力が可能であり、運用を継続することができる。したがって、第1の実施形態と同じく、システム停止のリスクを低減することができ、稼働率が向上する。
【0066】
通常、事故検出端末装置は設置箇所によって事故検出箇所数に違いがある。よって、第3の実施形態においては、正常な事故検出端末装置の数を比較するのではなく、事故検出端末装置による検出可能な系統事故の箇所数を比較して系列を選択することができる。したがって、第3の実施形態は、上記第2の実施形態に比べて、安定化制御対象となる想定事故ケースをいっそう広く検出可能であり、安定化制御が実施可能なケースをさらに増やすことができる。
【0067】
[第4の実施形態]
(構成)
図5を参照して第4の実施形態について説明する。第4の実施形態が前記第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態の算出部9A,9Bの代わりに、正常な制御端末装置の数を算出する算出部12A,12Bを有することである。なお、第4の実施形態の比較部10A,10Bは、A系における正常な制御端末装置の数と、B系における正常な制御端末装置の数とを比較する。
【0068】
(作用)
第4の実施形態において、中央装置2A,2Bの出力切換部7A,7Bでは、自動監視部6A,6Bの判定結果から、算出部12A,12Bが正常な制御端末装置の数を算出して、算出結果をA,B両系間で受け渡す。そして、この算出結果をA,B両系間で受け渡して、比較部10A,10Bが算出部12A,12Bの算出結果を比較する。
【0069】
自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、A系における正常な制御端末装置の数の方がB系における正常な制御端末装置の数以上のとき、出力切換部7A,7Bでは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。
【0070】
また、自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、B系の正常な制御端末装置の数がA系の正常な制御端末装置の数より多いとき、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0071】
(効果)
このような第4の実施形態においては、中央装置2A,2Bが正常であれば、A,B両系の端末装置3A,3Bに不良や故障が発生しても、正常な制御端末装置の数が多い方の系列で、制御指令を出力することが可能になる。しかも、第4の実施形態では、制御端末装置の数が多い系列を利用するため、より多くの制御量を容易に確保することができ、安定化制御を行ううえで有利である。したがって、A,B両系の端末装置3A,3Bに不良や故障が発生しても、系統事故発生により安定化制御を実施した際に、より多くのケースで系統の安定運転の維持を図ることができる。
【0072】
[第5の実施形態]
(構成)
図6に示すように、第5の実施形態では、第1の実施形態における算出部9A,9Bに代えて、制御可能量の算出部22A,22Bを有する点が特徴である。算出部22A,22Bは自動監視部6A,6Bの判定結果による各制御端末装置の装置状態と、各制御端末装置の制御対象の容量から、系列内での制御可能量を算出し、これを比較部10A,10Bに出力する。第5の実施形態における比較部10A,10Bでの比較対象は、A系及びB系における制御可能量である。
【0073】
(作用)
第5の実施形態においては、自動監視部6A,6Bの判定結果から、算出部22A,22Bが各系における制御可能量を算出して、算出結果をA,B両系間で受け渡す。そして、A,B両系の比較部10A,10Bが算出部22A,22Bの算出結果を比較する。
【0074】
自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、A系における制御可能量がB系における制御可能量以上のとき、出力切換部7A,7Bでは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。また、自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、B系の制御可能量がA系の制御可能量より多いとき、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0075】
(効果)
以上の第5の実施形態では、中央装置2A,2Bが正常であれば、A,B両系で端末装置3A,3Bに不良や故障が発生しても、制御可能量が多い系列で制御指令を出力することが可能であるため、安定化のための必要制御量に対して不足制御になる最悪の事態を回避できる可能性がある。通常、制御端末装置は、装置ごとに制御対象の数や容量トータルが異なる。つまり、第5の実施形態によれば、単に、正常な制御端末装置の数を比較するのではなく、制御端末装置における制御可能な制御量のトータルを比較して系列を選択する。これにより、第5の実施形態においては上記第4の実施形態に比べて制御可能量の多い方の系列で、制御量の面で裕度を持った安定化制御を実施できる。
【0076】
[第6の実施形態]
(構成)
図7を参照して第6の実施形態について説明する。第6の実施形態の特徴は、正常な事故検出端末装置の数を算出する算出部11A,11Bと、正常な制御端末装置の数を算出する算出部12A,12Bの両方を有することである。
【0077】
第6の実施形態では、A,B両系のそれぞれに2種類の算出部11A,11B、12A,12Bを備えたので、それに対応して、A,B両系のそれぞれに2つずつ比較部10A,10Bを有している。すなわち、A系の比較部10Aのうちの一方は事故検出端末装置の数を比較し、他方は制御端末装置の数を比較する。また、B系の比較部10Bのうちの一方が事故検出端末装置の数を比較し、他方が制御端末装置の数を比較する。
【0078】
(作用)
以上のような第6の実施形態において、中央装置2A,2Bの出力切換部7A,7Bでは、自動監視部6A,6Bの判定結果から、算出部11A,11Bが正常な事故検出端末装置の数を算出し、算出部12A,12Bが正常な制御端末装置の数を算出する。そして、これらの算出結果をA,B両系間で受け渡して、比較部10A,10Bが算出結果を比較する。
【0079】
比較部10A,10Bでは、まず算出部11A,11Bの算出結果に基づいて、A,B両系の正常な事故検出端末装置の数を比較し、自系の正常な事故検出端末装置の数が多い場合及びA,B両系の正常な事故検出端末装置の数が等しい場合、それぞれ出力する。
【0080】
同様に、比較部10A,10Bでは、算出部12A,12Bの出力よりA,B両系の正常な制御端末装置の数を比較し、自系の正常な制御端末装置が多い場合及びA,B両系の正常な制御端末装置が等しい場合それぞれ出力する。
【0081】
図7に示すように、第6の実施形態にはオア回路1408A、1410A、1412B、アンド回路1409A、1411Bを有している。アンド回路1409Aは、自系の正常な制御端末装置の数が他系より多い、またはA,B両系の制御端末装置の数が等しいとき、オア回路1408Aを経由して入力される。
【0082】
アンド回路1409Aのもう一方の入力は正常な事故検出端末装置の数が両系で等しい場合で、条件成立のとき出力=「1」となる。自系の正常な事故検出端末装置の数が他系よりも多い場合またはアンド回路1409Aの出力が「1」のとき、オア回路1410A及び第1の実施形態に記載の回路と同等の回路を経由し、出力部8A,8Bを介して出力がなされる。
【0083】
アンド回路1411Bは、自系の正常な制御端末装置数が他系より多い、または両系の制御端末装置数が等しいとき、出力=「1」となる。自系の正常な事故検出端末装置数が他系より多い、またはアンド回路1411Bの出力が「1」のとき、オア回路1412B及び第1の実施形態に記載の回路と同等の回路を経由し、出力部8A,8Bを介して出力がなされる。
【0084】
(系列選択処理)
第6の実施形態の系列選択処理について
図8のフローチャートを参照して説明する。まず算出部11A,11Bが正常な事故検出端末装置の数を算出し(S101)、算出部12A,12Bが正常な制御端末装置の数を算出し(S102)、これらの数をA,B両系間で受け渡す。
【0085】
正常な事故検出端末装置の数がB系よりもA系が多い場合は(S103のyes)、A系の演算部4Aの演算結果を選択し(S104)、出力切換部7A,7Bは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。正常な事故検出端末装置の数がB系よりもA系が多くなく(S103のno)、且つ正常な事故検出端末装置の数がA系よりもB系が多い場合は(S105のyes)、B系の演算部4Bの演算結果を選択する(S106)。つまり、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0086】
正常な事故検出端末装置の数がB系よりもA系が多くなく(S103のno)、且つ正常な事故検出端末装置の数がA系よりもB系が多くない場合とは(S105のno)、正常な事故検出端末装置の数がA,B両系で等しい場合であり、この場合はS107に進む。
【0087】
S107において、正常な制御端末装置の数はA系がB系以上の多い場合は(S107のyes)、A系の演算結果を選択し(S104)、出力切換部7A,7Bは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。一方、正常な制御端末装置の数がA系よりもB系が多い場合には(S107のno)、B系の演算結果を選択し(S106)、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0088】
(効果)
以上のような第6の実施形態では、まず、正常な事故検出端末装置の数を比較し、この数に違いがあれば、正常な事故検出端末装置の数の多い方の系列を選択して、より広く事故検出可能な系列で安定化制御を実施する。そして、事故検出端末装置の数が同数であれば、つまり事故検出の広さに関する条件が同等であれば、制御端末装置の数を比較し、正常な制御端末装置の数の多い方の系列を選択して、より多くの制御可能量を有する系列で、安定化制御を実施することができる。
【0089】
上記のように、第6の実施形態においては、中央装置2A,2Bが正常であれば、A,B両系で何れかの端末装置3A,3Bに不良や故障が発生しても、端末装置3A,3Bの正常な数について、事故検出端末と制御端末の内訳に基づいて優先付けて判定し、最適な系列を選択することが可能である。したがって、単純に、正常な端末装置3A,3Bの数が多い方の系列で、運用を継続する場合と比べて、系列の状態をより正確に把握した上で、系列を選択することができ、より安定化制御を有効に実施することが可能である。すなわち、安定化制御が必要な系統事故発生時に、安定化制御を実施することが可能であり、さらに安定化制御の結果、系統の安定運転を維持できる可能性を高めることができる。
【0090】
[第7の実施形態]
(構成)
図9に示すように、第7の実施形態は、前記第6の実施形態と同じく、2つの算出部を有している。第7の実施形態が有する2つの算出部とは、検出可能な系統事故箇所数の算出部21A,21Bと、制御可能量の算出部22A,22Bである。
【0091】
また、第7の実施形態でも、前記第6の実施形態と同じように、A,B両系のそれぞれに2つずつ比較部10A,10Bを有している。A系の比較部10Aのうちの一方は検出可能な系統事故箇所数を比較し、他方は制御可能量を比較する。また、B系の比較部10Bのうちの一方が検出可能な系統事故箇所数を比較し、他方が制御可能量を比較する。
【0092】
(作用)
以上のような第7の実施形態において、中央装置2A,2Bの出力切換部7A,7Bでは、自動監視部6A,6Bの判定結果から、算出部21A,21Bが検出可能な系統事故箇所数を算出し、算出部22A,22Bが制御可能量を算出する。そして、これらの算出結果をA,B両系間で受け渡して、比較部10A,10Bが算出結果を比較する。
【0093】
比較部10A,10Bでは、まず算出部21A,21Bの算出結果に基づいて、A,B両系における検出可能な系統事故箇所数を比較し、自系の検出可能な系統事故箇所数が多い場合及びA,B両系の検出可能な系統事故箇所数が等しい場合、それぞれ出力する。同様に、比較部10A,10Bでは、算出部22A,22Bの出力よりA,B両系の制御可能量を比較し、自系の制御可能量が多い場合及びA,B両系の制御可能量が等しい場合それぞれ出力する。
【0094】
(系列選択処理)
第7の実施形態の系列選択処理について
図10のフローチャートを参照して説明する。まず算出部11A,11Bが各系列における検出可能な系統事故箇所数を算出し(S201)、算出部21A,21Bが各系列における制御可能量を算出し(S202)、これらの数をA,B両系間で受け渡す。
【0095】
検出可能な系統事故箇所数がB系よりもA系が多い場合は(S203のyes)、A系の演算結果を選択し(S204)、出力切換部7A,7Bは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。検出可能な系統事故箇所数がB系よりもA系が多くなく(S203のno)、且つ検出可能な系統事故箇所数がA系よりもB系が多い場合は(S205のyes)、B系の演算結果を選択し(S206)、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0096】
検出可能な系統事故箇所数がB系よりもA系が多くなく(S203のno)、且つ検出可能な系統事故箇所数がA系よりもB系が多くない場合とは(S205のno)、検出可能な系統事故箇所数がA,B両系で等しい場合であり、この場合はS207に進む。S207において、A系の制御量がB系の制御量以上の多い場合は(S207のyes)、A系の演算結果を選択し(S204)、出力切換部7A,7Bは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。一方、A系の制御量よりもB系の制御量が多い場合には(S207のno)、B系の演算結果を選択し(S206)、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0097】
(効果)
以上のような第7の実施形態では、中央装置2A,2Bが正常で、A,B両系で系統事故箇所数がA,B両系で等しい場合に、制御可能量を比較して、系列を選択することができる。すなわち、検出可能な系統事故箇所数がA,B両系で等しければ、A系の制御可能量がB系以上のときはA系の演算結果を選択し、B系の制御可能量の数がA系よりも多い場合はB系の演算結果を選択する。
【0098】
このように、第7の実施形態においては、検出可能な系統事故箇所数の比較を優先し、より広く事故検出可能な系列を選択することができる。また、検出可能な系統事故箇所数が同数で、事故検出の広さに関する条件が同等であれば、より多くの制御可能量を有する系列を選択することができる。
【0099】
[第8の実施形態]
(構成)
図11を参照して第8の実施形態について説明する。第8の実施形態では、優先順位テーブル13A,13Bが設けられている。優先順位テーブル13A,13Bは端末装置3A,3Bの優先順位の整定値を格納するものである。
【0100】
出力切換部7A,7Bには優先順位判定部15A,15Bが設置されている。優先順位判定部15A,15Bは、自動監視部6A,6BによるA,B両系の各端末装置3A,13の装置状態と、優先順位テーブル13A,13Bを入力として、自系列の演算結果を選択するための自系選択信号を出力する。つまり、優先順位判定部15A,15Bは、優先順位の高い端末装置3A,3Bが正常である系列を優先して選択するように設定されている。
【0101】
(作用)
以上のような第8の実施形態において、中央装置2A,2Bの出力切換部7A,7Bでは、自動監視部6A,6Bの判定結果をA,B両系間で受け渡す。優先順位判定部15A,15Bは、優先順位テーブル13A,13Bにしたがって、優先順位の高い端末装置3A,3Bが正常である系列を優先して選択する。
【0102】
(判定処理)
ここで、優先順位判定部15A,15Bの判定処理について、
図12のフローチャートを参照して説明する。まず、最優先の優先順位1から処理を開始するためiに1を代入し(S301)、優先順位iが優先順位の最大値を超えていないかどうかを確認する(S302)。
【0103】
そして、優先順位iが優先順位の最大値以下であり(S302のyes)、優先順位iの正常な端末装置3A,3Bの数がB系よりもA系が多い場合は(S303のyes)、A系の演算結果を選択し(S304)、出力切換部7A,7Bは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。
【0104】
また、優先順位iの正常な端末装置3A,3Bの数がB系よりもA系が多くなく(S303のno)、且つ優先順位i(=1)の正常な端末装置の数がA系よりもB系が多い場合は(S305のyes)、B系の演算結果を選択し(S306)、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0105】
優先順位iの正常な端末装置3A,3Bの数がB系よりもA系が多くなく(S303のno)、且つ優先順位i(=1)の正常な端末装置の数がA系よりもB系が多くなければ(S305のno)、優先順位i(=1)の正常な端末装置の数が両系で等しい状態となり、次の優先順位i+1(=2)について処理するためiに1を加算して(S307)、S302に戻る。
【0106】
優先順位i(=2)が優先順位の最大値以下の場合、A系またはB系の演算結果を選択するか、またはiが優先順位の最大値より大きくなるまで前述と同じ処理を繰り返す。iが優先順位の最大値より大きい場合は(S302のno)、全優先順位について処理を完了し、A系とB系で正常な端末装置の内訳が等しいことを意味するので、A系の演算結果を選択する。
【0107】
(系列の選択結果)
第8の実施形態における系列の選択結果の例について、
図13を参照して説明する。
図13の(a)は優先順位テーブルの例、
図13の(b)は優先順位テーブルが(a)の場合の選択結果の例である。
図13の(a)に示すように、端末装置1は優先順位1、端末装置2,3は共に優先順位2、端末装置4は優先順位3、端末装置5は優先順位4である。
【0108】
図13(b)のNo.1のケースはA,B両系の中央装置2A,2Bが正常で、優先順位1の端末装置1はA系が不良でB系が正常である。また、B系では優先順位2の端末装置2と、優先順位3の端末装置4が共に不良である。一方、A系の端末装置2〜5は全て正常である。この場合、正常な端末装置の数に関しては、A系が4台でB系が3台であるが、第8の実施形態においては優先順位1である端末装置1が正常であるB系を選択し、中央装置2BだけがB系の演算結果による制御指令を出力する。
【0109】
図13(b)のNo.2のケースは、A系の端末装置の装置状態がNo.1のケースと異なり、A系の優先順位4の端末装置5が不良の場合である。また、優先順位1の端末装置1はA,B両系ともに正常である。このため、優先順位2の端末装置2,3の状態を比較し、A系は2つの端末装置2,3ともに正常であるが、B系は端末装置2が不良である。したがって、A,B両系ともA系の演算結果による制御指令を出力する。
【0110】
図13(b)のNo.3のケースは、A系の端末装置の装置状態がNo.1のケースと異なり、A系の優先順位2の端末装置3が不良の場合である。このとき、優先順位1の端末装置1はA,B両系でともに正常であり、優先順位2の端末装置については、A系では端末装置3が不良、B系では端末装置2が不良なので、ともに1台不良となる。そのため、優先順位3の端末装置4の状態をA,B両系で比較し、A系が正常でB系が不良なので、両系ともA系の演算結果による制御指令を出力する。
【0111】
(効果)
以上のような第8の実施形態では、使用可能な端末装置の内訳に応じて、運用者が端末装置3A,3Bに関しての優先順位を適宜設定することが可能であり、設定した優先順位に沿って系列を選択することができる。端末装置3A,3Bによって、機能、事故検出箇所や制御対象の数、制御量トータルには違いがある。
【0112】
前述したように、端末装置3A,3Bには、事故検出端末装置や制御端末装置、事故検出機能や制御機能を実装しない収集端末装置のほかに、事故検出機能と制御機能を兼ね備えている端末装置もある。安定化制御を有効に行うためには、まず安定化制御の起動条件となる事故検出機能を持つ端末装置を最優先にし、次に系統安定化が成功するために制御機能を持つ端末装置を優先させることが効果的である。なお、収集端末装置は制御の要否判定や制御量の演算に使われるので、制御機能を持つ端末装置と収集端末装置との優先順位は収集する系統情報の重要度に依存する。
【0113】
また、系統事故に関しては事故検出箇所数の多さで端末装置の優先順位を決めるようにしてもよい。さらに、系統事故は事故点の系統上の位置および事故様相により安定度を与える影響は異なるため、安定度上より厳しい系統事故を検出することができる端末装置の優先順位を高めることが有用である。
【0114】
一方、制御箇所によっても制御効果が異なる。例えば、制御量を多く確保できる制御端末装置や、制御の効果が大きい制御対象を持つ制御端末装置は、その優先順位を高くすることが効果的である。他にも、切替条件などシステムにとって重要な条件がある箇所の端末装置については優先順位を高くすることが望ましい。
【0115】
さらに制御量トータルが同じでも制御対象の数が違う場合、制御対象が多い方が必要制御量に対して細やかな精度の高い制御ができるため、過剰制御を防ぐことができる。よって、以上のような第8の実施形態では、使用可能な端末装置の内訳に応じて、運用者が端末装置3A,3Bに任意の優先順位を設定しておくことで、中央装置2A,2Bが正常であれば、最善の系列を選択して制御出力することが可能である。
【0116】
[第9の実施形態]
(構成)
図14を参照して第9の実施形態について説明する。第9の実施形態は、上記第1の実施形態と前記第8の実施形態とを組み合わせた実施形態であり、正常な端末装置3A,3Bの数を算出する算出部9A,9Bと、優先順位テーブル13A,13Bと、優先順位判定部15A,15Bを有する点に特徴がある。
【0117】
(作用)
以上のような第9の実施形態において、中央装置2A,2Bの出力切換部7A,7Bでは、自動監視部6A,6Bの判定結果から、算出部9A,9Bが正常な端末装置数を算出して、算出結果をA,B両系間で受け渡す。自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、A系における正常な端末装置3Aの数がB系における正常な端末装置3Bの数以上のとき、出力切換部7A,7Bでは、A系の演算部4Aの制御指令を出力許可とする。
【0118】
また、自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、B系の正常な端末装置3Bの数がA系の正常な端末装置3Aの数より多いとき、出力切換部7A,7Bは、B系の演算部4Bの制御指令を出力許可とする。
【0119】
自動監視部6A,6BがA,B両系の中央装置2A,2Bは共に正常であると判定し、且つ比較部10A,10Bの比較結果が、正常な端末装置3A,3Bの数が両系で等しい場合は、優先順位判定部15A,15Bで、予め整定により端末装置の優先順位を決めて優先順位の整定値を格納していた優先順位テーブル13A,13Bと自動監視部6A,6Bの出力結果から優先する系列を選択する。
【0120】
(効果)
上記の第9の実施形態では、第1の実施形態及び第8の実施形態の持つ効果を併せ持つ。すなわち、A,B両系で何れかの端末装置3A,3Bに不良が発生し、且つ正常な端末装置3A,3Bの数が同じ場合、運用者が端末装置3A,3Bに任意の設定しておいた優先順位にしたがって、より制御効果が得られる系列で安定化制御を実施できる。
【0121】
前記第8の実施形態は端末装置毎に付加した優先順位による判定であるため、必ずしも最適な系列選択が行えるとは限らない。選択した系列の事故検出箇所や制御可能量の方が、選択しなかった系列のそれよりもトータルで見て少ないという場合も考えられる。その改良として第9の実施形態では、第1の実施形態の適用により正常な端末装置の数でトータル量を確保し、正常な端末装置数が両系で同じ場合に限り、第8の実施形態を適用して優先順位の高い端末が使用できる系列を選択する方法である。
【0122】
(第9の実施形態の変形例1)
図示はしないが、第9の実施形態の変形例として、第9の実施形態における算出部9A,9Bに代えて、第2〜第7の実施形態に示した算出部を用いてもよい。例えば、算出部9A,9Bに代えて、前記第3の実施形態に示した検出可能な系統事故箇所数の算出部21A,21Bを採用した場合、検出可能な系統事故箇所数がB系よりもA系が多ければ、A系の演算結果を選択する。一方、検出可能な系統事故箇所数がA系よりもB系が多ければ、B系の演算結果を選択する。
【0123】
また、検出可能な系統事故箇所数がA,B両系で等しい場合、優先順位判定部15A,15Bによって、検出可能な系統事故の優先順位の整定値を格納した優先順位テーブル13A,13Bと自動監視部6A,6Bの出力結果から、優先する系列を選択する。一般的に系統事故の発生箇所の安定度は、発生箇所ごとに異なるので、このような実施形態によれば、前記第3の実施形態に比べて安定度上、より厳しい事故を検出し制御できる系列で安定化制御を実施できる。
【0124】
(第9の実施形態の変形例2)
算出部9A,9Bに代えて、前記第5の実施形態に示した制御可能量の算出部22A,22Bを採用した場合では、制御可能量がB系よりもA系が多ければ、A系の演算結果を選択する。一方、制御可能量がA系よりもB系が多ければ、B系の演算結果を選択する。
【0125】
制御可能量がA,B両系で等しい場合、優先順位判定部15A,15Bで、制御対象の優先順位の整定値を格納した優先順位テーブル13A,13Bと自動監視部6A,6Bの出力結果から、優先する系列を選択する。このような実施形態によれば、運用者が制御対象に任意の優先順位を設定することにより、より制御効果の大きい制御対象を有する系列で安定化制御を実施できる。
【0126】
[第10の実施形態]
(構成)
図15を参照して第10の実施形態について説明する。第10の実施形態の基本的な構成は前記第1の実施形態のそれと同一であり、異なる点は、第10の実施形態では、中央装置2A,2Bの出力切換部7Aが、ノット回路1413A、アンド回路1414A、1415A、オア回路1416Aを有する点である。
【0127】
(作用)
第10の実施形態の各部の機能は、第1の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略し、出力切換部7Aにおける第10の実施形態の特徴的な作用について説明する。出力切換部7Aにおいて、A系のアンド回路1414Aは、A,B両系の中央装置2A,2Bが正常で、且つ他系の正常な端末装置3A,3Bの数が自系の正常な端末装置3A,3Bの数より多いとき条件成立して出力=「1」となる。
【0128】
アンド回路1415Aは、アンド回路1414Aの出力=「1」と他系の演算部4Bよりの制御指令が入力され、条件成立によりオア回路1416Aを経由して出力部8Aに出力される。本実施形態によって性能が向上するケースは
図2のNo.3及びNo.5のケースである。No.3のケースはA,B両系の中央装置2A,2Bが正常で、B系の全端末装置3A,3Bが正常で、A系に不良の端末装置3Aが有る場合である。上記の第1の実施形態では、B系の中央装置2Bからしか、B系の制御指令を出力できないが、第10の実施形態ではA,B両系からB系の演算結果による制御指令を出力することが可能である。
【0129】
(効果)
第10の実施形態によれば、B系選択時にA,B両系からB系の演算結果による制御指令を出力することが可能となる。これにより、中央装置が正常である限り、中央装置から端末装置への制御指令送信ルートが2ルート確保できるため、システムの信頼性がいっそう向上する。
【0130】
[他の実施形態]
なお、上記の実施形態は、本明細書において一例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図するものではなく、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことも可能である。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0131】
例えば、上記の実施形態では、情報の具体的な内容、数値は自由であって、特定の内容、数値には限定されない。実施形態において、閾値に対する大小判断、一致不一致の判断などにおいては以上、以下として値を含めるように判断するか、より大きい、より小さい、超える、超えないとして値を含めないようにするかも自由である。したがって、例えば値の設定によっては、「以上」を「より大きい」、「以下」を「より小さい」と読み替えても実質的には同じである。
【0132】
また、上記の実施形態では、A,B両系の中央装置2A,2Bの不良情報及び端末装置3A,3Bの不良情報を系列間で受け渡すとしているが、自系列の状態を示す情報であれば、どのような情報でもよく、各装置の不良情報に限らず、伝送路の不良や各系における装置ロック情報、制御対象の制御可否情報等も包含する。また、端末装置3A,3Bから直接A,B両系の中央装置2A,2Bに不良情報を受け渡す場合も包括する。出力系列を切替える際の優先順位の項目もまた、端末装置の種類や系列の状態に限らず、適宜変更可能である。