【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するための本発明に係る混焼システムは、
燃料ガスを燃焼させて作動すると共に当該燃料ガスの供給量調整により出力が制御される燃焼装置と、
主燃料ガス流入部から取り入れた主燃料ガスを燃料ガス流出部に導く主管路と、バイオガス流入部から取り入れたバイオガスを前記主管路に開口するバイオガス導入孔に導くバイオガス管路と、を備えて、前記燃料ガス流出部から流出する燃料ガスを前記燃焼装置に供給する混合機構部と、を備えた混焼システムであって、
その特徴構成は、
前記混合機構部が、
前記主管路における前記バイオガス導入孔よりも上流側に配置され、当該主管路における前記主燃料ガス流入部へ向かうガス流を阻止する逆止弁と、
前記バイオガス管路に配置され、均圧部と出口側との圧力バランスを維持するように開度が変動する均圧弁と、
前記主管路における前記逆止弁と前記バイオガス導入孔との間に配置され、当該主管路におけるガス流に圧力損失を付加する圧力損失付加部と、を備えて構成されている点にある。
【0009】
本特徴構成を有する混焼システムによれば、バイオガス導入孔と主燃料ガス流入部との間に上記逆止弁が配置されて、当該主管路における主燃料ガス流入部へ向かうガス流が阻止されるので、バイオガス導入孔から主管路に流入したバイオガスが主燃料ガス流入部を介してガス導管などの主燃料ガス供給元側に逆流することを防止することができる。
更に、バイオガス導入孔と主燃料ガス流入部との間に配置された上記逆止弁では、燃料ガス流出部に向かう主燃焼ガスの流れが許容されると共に、その主燃料ガスの流れに対して流量に応じた圧力損失が付加される。よって、主管路におけるバイオガス導入孔付近の圧力は主燃料ガスの流量が増加するほど低くなる傾向で低下し、そのバイオガス導入孔と連通するバイオガス管路における均圧弁の出口側圧力も同様に低下する。
すると、バイオガス管路に配置された均圧弁では、そのように主燃料ガスの流量の増加に伴って低下する出口側圧力について、略均一に保たれた均圧部の圧力に対する圧力バランスが維持されるように、その開度が主燃料ガスの流量が増加するほど拡大する傾向で自動的に変化する。よって、その均圧弁からバイオガス導入孔を介して主管路を通流する主燃料ガスに混合されるバイオガスの流量は、主燃料ガスの流量が増加するほど増加する傾向で自動的に変化することになる。
従って、かかる混合機構部を備えた本発明に係る混焼システムによれば、燃焼装置側との間で燃焼装置の出力等に関する通信を行うことなく、燃焼装置に供給される燃料ガスにおける主燃料ガスに対するバイオガスの混合率を安定したものに維持することができ、結果、燃焼装置の安定運転を確保しながら運転コストの削減効果を享受することができる。
また、本特徴構成を有する混焼システムによれば、主管路を通流する主燃料ガスの流れに対して、逆止弁に加えて圧力損失付加部により、比較的大きな圧力損失が付加されるので、その下流側のバイオガス導入孔に連通するバイオガス管路における均圧弁の出口側圧力は、主燃料ガスの流量の増加に伴って比較的大幅に低下する。すると、主管路における主燃料ガスの流量の増加に伴って、バイオガス管路に配置された均圧弁における均圧部に対する出口側の圧力差が比較的大幅に拡大する。
よって、バイオガスが通流するバイオガス管路に配置された均圧弁の開度が、主燃料ガスの流量変化に伴い正確に変動し、結果、主燃料ガスに対するバイオガスの混合率が一層安定したものに維持される。
【0010】
本発明に係る混焼システムの更なる特徴構成は、
前記均圧弁の均圧部が、前記主管路における前記逆止弁よりも上流側に接続されている点にある。
【0011】
本特徴構成を有する混焼システムによれば、均圧弁の均圧部を、比較的安定して高圧に維持された主管路における逆止弁の上流側に接続することで、燃焼装置に供給される燃料ガスにおける主燃料ガスに対するバイオガスの混合率を一層安定したものに維持することができる。
即ち、主管路における逆止弁の上流側の圧力は、その箇所が圧力管理を施されたガス導管などの主燃料ガス供給元に連通することにより、安定したものとなる。更に、主管路における逆止弁の上流側の圧力は、当該逆止弁が主燃料ガスの流れに対して付加する圧力損失により、その逆止弁の下流側のバイオガス導入孔に連通するバイオガス管路における均圧弁の出口側圧力に対して比較的高い状態となる。
そして、バイオガス管路に配置された均圧弁では、その主管路における逆止弁の上流側に接続された均圧部の圧力が比較的安定して高圧に維持されることで、その均圧部と出口側との圧力差が比較的大きくなるので、主燃料ガスの流量変化に伴う出口側圧力の変化が比較的大きな圧力差の変化として明確に捉えられることになる。
よって、バイオガスが通流するバイオガス管路に配置された均圧弁の開度が、主燃料ガスの流量変化に伴い正確に変動することになるので、結果、主燃料ガスに対するバイオガスの混合率が一層安定したものに維持される。
【0014】
本発明に係る混焼システムの更なる特徴構成は、
前記バイオガス管路における前記均圧弁と前記バイオガス導入孔との間に配置され、開度調整可能な調整弁を備えた点にある。
【0015】
本特徴構成を有する混焼システムによれば、バイオガス管路において均圧弁とバイオガス導入孔との間に配置された上記調整弁の開度を調整することにより、バイオガス導入孔を介して主管路を通流する主燃料ガスに混合されるバイオガスの流量を調整することができ、結果、バイオガス管路に配置された均圧弁により安定したものに維持される主燃料ガスに対するバイオガスの混合率を、所望の混合率に調整することができる。
【0016】
本発明に係る混焼システムの更なる特徴構成は、
バイオガス供給元から前記バイオガス流入部へのバイオガスの供給を断続可能な切替弁を備え、
前記燃焼装置が、前記切替弁を閉弁して前記燃焼装置に主燃料ガスのみを供給して燃焼させる専焼モードと、前記切替弁を開弁して前記燃焼装置に主燃料ガスとバイオガスとを混合してなる混合ガスを供給して燃焼させる混焼モードとの間で、燃焼モードを切り替え自在に構成されている点にある。
【0017】
本特徴構成を有する混焼システムによれば、バイオガス供給元側に配置された切替弁を開閉操作するだけで、燃焼装置の燃焼モードを上記専焼モードと上記混焼モードとの間で切り替えることができる。
即ち、上記切替弁を開弁することで、バイオガス供給元から混合機構部のバイオガス管路へのバイオガスの供給が継続され、その混合機構部において安定した混合率で混合された主燃料ガスと副燃料ガスとの混合ガスが燃料ガス流出部から流出する。よって、その混合ガスが燃焼装置に供給され燃焼する所謂混焼モードでの運転が実行されることになる。一方、上記切替弁を閉弁することで、バイオガス供給元から混合機構部のバイオガス管路へのバイオガスの供給が停止され、その混合機構部において主燃料ガスがそのまま燃料ガス流出部から流出する。よって、その主燃料ガスが燃焼装置に供給され燃焼する所謂専焼モードでの運転が実行されることになる。
更に、バイオガス供給元におけるバイオガスの貯留量が多い場合には、バイオガスの積極的な利用を図るべく、燃焼装置の燃焼モードを混焼モードに切り替え、逆に、バイオガス供給元におけるバイオガスの貯留量が少ない場合には、バイオガス供給元でのバイオガスの貯留量確保を優先して、燃焼装置の燃焼モードを専焼モードに切り替えるなど、状況に応じて燃焼モードを自動的に切り替えるように構成しても構わない。
【0018】
本発明に係る混焼システムの更なる特徴構成は、
前記燃焼装置が、発電機駆動用のガスエンジンである点にある。
【0019】
本特徴構成を有する混焼システムによれば、燃焼装置が発電機駆動用のガスエンジンとした場合でも、上述したようにガスエンジンに供給される燃料ガスにおける主燃料ガスに対するバイオガスの混合率を安定したものに維持できるので、ガスエンジンの安定運転を確保して発電電力の安定した供給を実現すると共に、バイオガスの利用促進による発電コストの削減効果を享受することができる。
【0020】
本発明に係る混焼システムの更なる特徴構成は、
前記主管路に配置され、前記主管路を縮径する絞り部に前記バイオガス導入孔を設けてなるベンチュリー式ミキサを備えた点にある。
【0021】
本特徴構成を有する混焼システムによれば、主管路に当該主管路を縮径する絞り部を有するベンチュリー式ミキサを設け、バイオガス導入孔をそのベンチュリー式ミキサの絞り部に設けることで、絞り部を高速で通過する主燃料ガスの速度エネルギにより吸引力が発生してバイオガス導入孔からバイオガスが誘引されるので、そのバイオガス導入孔に連通するバイオガス管路における均圧弁の出口側圧力が一層低下する。すると、主管路における主燃料ガスの流量の増加に伴って、バイオガス管路に配置された均圧弁における均圧部に対する出口側の圧力差が比較的大幅に拡大する。
よって、バイオガスが通流するバイオガス管路に配置された均圧弁の開度が、主燃料ガスの流量変化に伴い正確に変動し、結果、主燃料ガスに対するバイオガスの混合率が一層安定したものに維持される。
【0022】
この目的を達成するための本発明に係る燃料ガス混合ユニットは、
燃料ガスを燃焼させて作動すると共に当該燃料ガスの供給量調整により出力が制御される燃焼装置に対して装備され、
主燃料ガス流入部から取り入れた主燃料ガスを燃料ガス流出部に導く主管路と、バイオガス流入部から取り入れたバイオガスを前記主管路に開口するバイオガス導入孔に導くバイオガス管路と、を備えて、前記燃料ガス流出部から流出する燃料ガスを前記燃焼装置に供給する燃料ガス混合ユニットであって、
その特徴構成は、
これまで説明した本発明に係る混焼システムを構成する前記混合機構部をユニット化して構成されている点にある。
【0023】
本特徴構成を有する燃料ガス混合ユニットによれば、これまで説明した本発明に係る混焼システムが備える混合機構部として構成されているので、燃焼装置側との間の通信インターフェースを設けるという煩雑で高額な改造を必要とせずに、燃焼装置に対して装備することができ、更に、このように燃焼装置に対して装備することで、燃焼装置に供給される燃料ガスにおける主燃料ガスに対するバイオガスの混合率を安定したものに維持して、燃焼装置の安定運転を確保しながら運転コストの削減効果を享受することができる。