(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記現像再開前処理制御部は、中断した前回の前記現像処理における印字率が低い場合よりも高い場合の方が前記現像剤の送り出し量がより増える動作条件で前記中間横搬送部を動作させる、請求項1に記載の現像装置。
前記現像処理が行われているときに前記現像剤補給処理が行われた場合に、前記現像処理が完了した後も前記中間横搬送部および前記循環搬送部を継続して動作させた後に停止させる現像後処理制御部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0017】
[画像形成装置10の構成]
まず、
図1,2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る現像装置43およびそれを備える前記画像形成装置10の構成について説明する。前記画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置である。
図1が示すように、前記画像形成装置10は、筐体100内にシート供給部2、シート搬送部3、画像形成部4、光走査部5、定着部6、現像剤量センサー800および制御部8などを備える。
【0018】
なお、前記画像形成装置10は、例えば、プリンター、コピー機、ファクシミリまたは複合機などである。前記複合機は、前記プリンターの機能および前記コピー機の機能などを併せ持つ。
【0019】
前記シート供給部2は、シート受部21およびシート送出部22を備えている。前記シート受部21は、複数の記録シート9を重ねて載置可能に構成されている。前記記録シート9は、紙、コート紙、ハガキ、封筒、およびOHPシートなどのシート状の画像形成媒体である。
【0020】
前記シート送出部22は、前記記録シート9に接して回転することにより前記記録シート9を前記シート受部21から搬送路30へ向けて送り出す。
【0021】
前記シート搬送部3は、搬送ローラー31を備える。前記搬送ローラー31は、前記シート供給部2から供給される前記記録シート9を前記画像形成部4へ向けて搬送し、さらに、画像形成後の前記記録シート9を前記搬送路30の排出口から排出トレイ101上へ排出する。
【0022】
前記画像形成部4は、前記シート送出部22から供給されて前記搬送路30を移動中の前記記録シート9の表面に画像を形成する。前記画像形成部4は、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43、転写装置45、除電装置46およびクリーニング装置47などを備える。なお、前記感光体41は像担持体の一例である。
【0023】
前記感光体41が回転し、前記帯電装置42が前記感光体41の表面を一様に帯電させる。さらに、前記光走査部5がレーザー光を走査することにより帯電した前記感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
【0024】
また、前記現像装置43が前記感光体41の前記静電潜像を現像剤によって現像する。さらに、前記転写装置45が、前記感光体41表面の画像(現像剤の像)を、前記搬送路30を移動中の前記記録シート9に転写する。例えば、前記現像剤は、トナーを含む1成分現像剤、またはトナーおよびキャリアを含む2成分現像剤である。
【0025】
また、前記除電装置46が画像転写後の前記感光体41の表面を除電し、さらに、前記クリーニング装置47が前記感光体41表面に残存する前記現像剤を除去する。
【0026】
前記定着部6は、ハロゲンヒーターなどのヒーター610を内包する定着ローラー61と加圧ローラー62との間に画像が形成された前記記録シート9を挟み込み、後工程へ送り出す。これにより、前記定着部6は、前記記録シート9上の前記現像剤の像を加熱し、前記記録シート9上に画像を定着させる。
【0027】
[現像装置の詳細]
前記現像装置43は、現像剤補給部11、現像剤中間搬送部12および現像部13を備える。なお、本実施形態において、前記現像装置43は、前記制御部8における前記現像剤補給部11、前記現像剤中間搬送部12および前記現像部13を制御する部分も含む。
【0028】
図1が示すように、前記現像部13は、現像槽130、現像ローラー131および循環搬送部132を有している。前記現像槽130は、前記現像剤補給部11から前記現像剤中間搬送部12を介して供給される前記現像剤を溜める容器である。
【0029】
前記現像部13は、前記現像槽130内の前記現像剤を前記感光体41に供給することによって前記感光体41の静電潜像を現像する。前記循環搬送部132は、前記現像槽130内で回転することにより、前記現像剤を前記現像槽130内で循環させつつ前記現像ローラー131周辺へ搬送する。前記循環搬送部132は、前記現像槽130内で前記現像剤を撹拌する撹拌部でもある。例えば、前記循環搬送部132は、それぞれ回転軸部およびその回転軸部の周囲に形成された螺旋状の羽根部を有する回転体である複数のスクリュー型搬送部材を含む。
【0030】
画像形成ジョブが実行される際、前記現像ローラー131は、前記現像剤を前記感光体41の表面へ供給することにより、前記感光体41表面の静電潜像を前記現像剤によって現像する。なお、前記現像ローラー131は、現像スリーブと称される場合もある。
【0031】
前記現像剤補給部11は、前記現像部13を含む前記画像形成装置10の本体部(前記筐体100内)に対して取り外し可能に装着されている。
【0032】
前記現像剤補給部11は、補給容器110および現像剤送出部111を有している。前記補給容器110は、前記現像剤を収容する容器である。前記現像剤送出部111は、回転することにより前記現像剤を前記補給容器110内から前記現像剤中間搬送部12へ送り出す。
【0033】
例えば、前記現像剤送出部111が、回転軸部およびその回転軸部の周囲に形成された螺旋状の羽根部を有する回転体であるスクリュー型搬送部材であることが考えられる。
【0034】
前記現像剤中間搬送部12は、中間横搬送部121を有する。前記中間横搬送部121は、前記現像剤補給部11から送り出される前記現像剤を横方向に延びる横搬送路120に沿ってその横搬送路120の出口1201へ搬送する。前記横搬送路120の入口1200と前記現像剤補給部11の出口1101とが上下方向において連通している。同様に、前記横搬送路120の出口1201と前記現像部13の入口1300とが上下方向において連通している。
【0035】
なお、前記現像剤補給部11の出口1101は、前記補給容器110における前記現像剤の出口である。前記現像部13の入口1300は、前記現像槽130における前記現像剤の入口である。
【0036】
前記横搬送路120は、中心線が前記横方向に沿う状態で支持された筒状部材によって形成されている。なお、前記横方向は、水平方向(真横の方向)および水平方向に対して僅かに傾斜した方向、例えば、水平方向に対して45度未満の鋭角を成す方向(斜め横方向)を含む。
【0037】
前記中間横搬送部121は、前記横搬送路120内で回転することによって前記現像剤を横方向へ搬送する。前記中間横搬送部121は、前記現像剤を前記横搬送路120の入口1200側から出口1201へ搬送する。即ち、前記現像剤補給部11は、前記補給容器110から前記現像剤中間搬送部12を介して前記現像槽130へ前記現像剤を補給する。
【0038】
例えば、前記中間横搬送部121が、回転軸部およびその回転軸部の周囲に形成された螺旋状の羽根部を有する回転体であるスクリュー型搬送部材であることが考えられる。
【0039】
前記感光体41、前記現像ローラー131、前記循環搬送部132および前記中間横搬送部121は、現像駆動部14によって回転駆動される。例えば、前記現像駆動部14は、モーターおよびそのモーターの回転力を前記感光体41、前記現像ローラー131、前記循環搬送部132および前記中間横搬送部121へ伝達するギア機構などを有している。
【0040】
前記現像剤補給部11の前記現像剤送出部111は、補給駆動部15によって駆動される。例えば、前記補給駆動部15は、前記現像駆動部14の駆動源(モーター)の回転力を前記現像剤送出部111へ伝達するギア機構、さらにそのギア機構および前記駆動源の連結を解除可能なクラッチなどを有している。
【0041】
前記現像剤量センサー800は、前記現像槽130内における前記現像剤の量の大小を検出するセンサーである。例えば、前記現像剤量センサー800が、前記現像槽130内の前記現像剤の量に応じて変化する磁気を検出する透磁率センサーであることが考えられる。また、前記現像剤量センサー800が、近傍に存在する前記現像剤(粉体)の量に応じて変化する信号を出力する圧電振動式センサーであることも考えられる。また、前記現像剤量センサー800が、透過式の光センサーであることも考えられる。
【0042】
前記制御部8は、前記画像形成装置10が備える各種の機器を制御する。例えば、前記制御部8は、前記現像剤量センサー800の検出結果に応じて前記補給駆動部15を制御し、画像形成ジョブの状況に応じて前記現像駆動部14を制御する。本実施形態において、前記制御部8における少なくとも前記現像駆動部14および前記補給駆動部15を制御する部分は、前記現像装置43の一部を成している。
【0043】
図2が示すように、前記制御部8は、MPU(Micro Processor Unit)81、メモリー82、信号インターフェイス83および駆動回路84などを備えている。
【0044】
前記MPU81は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記制御部8は、前記MPU81が前記メモリー82に予め記憶された各種の制御プログラムPr1〜Pr4を実行することにより前記画像形成装置10を統括的に制御する。
【0045】
前記メモリー82は、前記MPU81に各種の処理を実行させるための前記制御プログラムPr1〜Pr4などの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。さらに、前記メモリー82は、前記MPU81による各種データD1,D2の読み書きが可能な記憶部でもある。なお、前記制御プログラムPr1〜Pr4を記憶するメモリーと前記データD1,D2が記録されるメモリーとが個別に設けられることも考えられる。
【0046】
前記信号インターフェイス83は、前記MPU81とセンサーおよび制御対象機器との間の信号の受け渡しを中継するインターフェイス回路である。前記MPU81は、前記信号インターフェイス83を介して前記現像剤量センサー800を含む各種センサーの検出信号(計測信号)を入力する。
【0047】
また、前記MPU81は、前記信号インターフェイス83を通じて前記駆動回路84に制御信号を出力することにより、前記現像駆動部14、前記補給駆動部15、前記帯電装置42および前記除電装置46などを制御する。前記駆動回路84は、前記MPU81からの制御信号に従って、前記現像駆動部14および前記補給駆動部15などの制御対象機器を動作させたり停止させたりする。
【0048】
ところで、前記現像装置43において、現像品質の安定化のため、前記現像剤を前記補給容器110から前記現像槽130へ補給する現像剤補給処理は、毎回、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留していない一定の初期状態の下で開始することが望ましい。
【0049】
一方、前記現像装置43において、現像処理が行われているときに前記現像剤補給部11が動作し、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留した状態のまま前記中間横搬送部121が停止するおそれがある。
【0050】
例えば、前記現像装置43において、前記感光体41の静電潜像を現像する現像処理と前記現像剤補給処理とが並行して行われているときに、何らかの要因によって前記現像処理および前記現像剤補給処理が完了せずに中断する場合がある。中断の要因は、例えば、前記記録シート90の詰まりなどのエラーが発生したこと、または、電源OFFなどの強制停止操作が行われたことなどである。
【0051】
前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断すると、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留した状態のまま前記中間横搬送部121が停止する。この場合、前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断した後に最初に開始したときに、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留している。これは、現像品質の安定化にとって好ましくない。
【0052】
しかしながら、前記現像剤補給部11の出口1101から送り出される前記現像剤が横方向に延びる前記横搬送路120に沿って前記現像部13の入口1300側へ搬送される場合において、前記制御部8が後述する現像再開前処理制御工程を実行することが考えられる。これにより、前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断した後に、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留しない初期状態の下で、前記現像処理および前記現像剤補給処理を開始することができる。
【0053】
また、前記現像処理および前記現像剤補給処理が完了した場合でも、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留した状態のまま長時間が経過するおそれがある。この場合、前記横搬送路120内で前記現像剤の凝集または帯電不良が生じ、これが前記現像剤の搬送路の詰まりおよび現像不良を引き起こすおそれがある。
【0054】
しかしながら、前記現像剤補給部11の出口1101から送り出される前記現像剤が横方向に延びる前記横搬送路120に沿って前記現像部13の入口1300側へ搬送される場合において、前記制御部8が後述する現像後処理制御工程を実行することが考えられる。これにより、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留することを防止できる。
【0055】
以下、
図3〜
図6のフローチャートを参照しつつ、前記現像装置43の制御方法の一例について説明する。以下の説明において、S1,S2,・・・は、処理手順の識別符号を表す。なお、以下に示される前記制御部8の処理は、前記MPU81が前記メモリー82に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。
【0056】
[現像実行制御工程]
まず、
図3を参照しつつ、前記現像実行制御工程の一例について説明する。
図3は、前記制御部8が実行する前記現像実行制御工程の一例を示すフローチャートである。前記制御部8は、画像形成ジョブが発生したとき、および画像形成ジョブの処理が中断した後に再開したときに、
図3が示す前記現像実行制御工程を実行する。
【0057】
<工程S1>
前記現像実行制御工程において、まず、前記制御部8は、現状態が、前回の前記現像実行制御工程が途中で中断し、これによって前回の前記現像剤補給処理が途中で中断した後の状態であるか否かを判定する。即ち、前記制御部8は、現状態が、前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断した後に最初に前記現像処理を開始する状態であるか否かを判定する。
【0058】
工程S1において、前記制御部8は、前記メモリー82に記録される補給実績データを参照することにより、前回の前記現像剤補給処理が途中で中断したか否かを判定する。前記補給実績データについては後述する。
【0059】
そして、前回の前記現像剤補給処理が中断していない場合、前記制御部8は、次の工程S2をスキップして処理を後述する工程S3へ移行させる。
【0060】
<工程S2>
前回の前記現像剤補給処理が中断している場合、前記制御部8は、後述する現像再開前処理制御工程が終了するまで待った後に処理を後述する工程S3へ移行させる。
【0061】
<工程S3>
工程S3において、前記制御部8は、前記現像駆動部14を動作させるとともに、前記除電装置46および前記帯電装置42を動作させる。このとき、前記制御部8は、前記光走査部5を制御することによって前記感光体41に前記静電潜像を書き込む処理も実行する。これにより、前記循環搬送部132、前記現像ローラー131および前記感光体41が作動し、前記画像形成ジョブの内容に応じた前記現像処理が開始する。なお、本実施形態においては、前記循環搬送部132が動作すると、これに連動して前記中間横搬送部121も動作する。
【0062】
<工程S4,S5>
さらに、前記制御部8は、前記現像処理における予め定められた単位毎に印字率を算出し、その算出結果を一時記憶する(S4)。例えば、前記制御部8は、1枚の前記記録シート9への画像形成ごとの前記印字率を算出する。前記印字率は、画像形成範囲の面積に対する実際に現像された部分の面積の比率である。前記制御部8は、前記画像形成ジョブに対応する前記現像処理が終了するまで、予め定められた単位毎に前記印字率の算出を繰り返す(S5)。
【0063】
<工程S6>
そして、前記画像形成ジョブに対応する前記現像処理が終了すると、前記制御部8は、工程S4で算出した前記印字率から制御用印字率を算出する。さらに、前記制御部8は、算出した前記制御用印字率D1を前記メモリー82に記録する。
【0064】
前記制御用印字率D1は、前記画像形成ジョブに対応する一連の前記現像処理における単位面積毎の前記印字率の代表値である。例えば、前記制御用印字率D1は、工程S4で算出される複数の前記印字率の平均値または積算値などである。
【0065】
以上に示される工程S1〜S6が、前記循環搬送部132および前記現像ローラー131を動作させることにより前記感光体41(像担持体)の静電潜像を現像する前記現像処理を実行する前記現像実行制御工程の一例である。前記現像実行制御工程は、前記MPU81が現像実行制御プログラムPr1を実行することによって実現される。前記現像実行制御プログラムPr1を実行する前記MPU81が現像実行制御部の一例である。
【0066】
<工程S7>
前記画像形成ジョブに対応する前記現像処理が終了すると、前記制御部8は、さらに後述する現像後処理制御工程を実行する。なお、前記現像後処理制御工程において、前記制御部8は、前記現像駆動部14を停止させる。
【0067】
[現像剤補給制御工程]
次に、
図4を参照しつつ、前記現像剤補給制御工程の一例について説明する。
図4は、前記制御部8が実行する前記現像剤補給制御工程の一例を示すフローチャートである。例えば、前記制御部8は、前記画像形成ジョブが発生したとき、および前記画像形成ジョブの処理が中断した後に再開したときに、
図4が示す前記現像剤補給制御工程を実行する。この場合、前記現像実行制御工程(S1〜S6)と前記現像剤補給制御工程とは並行して実行される。
【0068】
<工程S11>
前記現像剤補給制御工程において、前記制御部8は、工程S1と同様に、現状態が、前回の前記現像剤補給処理が途中で中断した後の状態であるか否かを判定する。即ち、前記制御部8は、現状態が、前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断した後に最初に前記現像処理および前記現像剤補給処理を開始する状態であるか否かを判定する。
【0069】
そして、前回の前記現像剤補給処理が中断していない場合、前記制御部8は、次の工程S12をスキップして処理を後述する工程S13へ移行させる。
【0070】
<工程S12>
前回の前記現像剤補給処理が中断している場合、前記制御部8は、後述する前記現像再開前処理制御工程を実行した後に処理を後述する工程S13へ移行させる。
【0071】
<工程S13>
工程S13において、前記制御部8は、前記現像剤量センサー800の検出結果が予め定められた不足条件を満たすか否かの判定を随時実行する。
【0072】
例えば、前記不足条件は、前記現像剤量センサー800が予め定められた適正下限量未満を検出していることである。前記不足条件が成立している状態は、前記現像槽130内の前記現像剤の量が適正な現像を行うのに必要な最低限の量に至った状態である。
【0073】
なお、前記現像剤量センサー800が前記適正下限量未満を検出している状態が予め定められた期間継続することなどが、前記不足条件として採用されることも考えられる。
【0074】
<工程S14>
前記現像剤量センサー800の検出結果が前記不足条件を満たすと、前記制御部8は、前記メモリー82に記録された前記制御用印字率D1を参照する。さらに、前記制御部8は、前記制御用印字率D1に応じた補給時間を設定する。
【0075】
工程S14において、前記制御部8は、前記制御用印字率が低い場合よりも高い場合の方が前記補給時間をより長い時間に設定する。例えば、前記制御部8は、前記制御用印字率D1に対して正の線形相関を有する前記補給時間を設定する。
【0076】
<工程S15>
さらに、前記制御部8は、前記現像剤補給処理が実施的に"開始"されたことを表す補給実績データD2を前記メモリー82に記録する。後述するように、前記補給実績データD2は、前記現像剤補給処理が完了したか途中で中断したかを示すデータである。
【0077】
<工程S16>
さらに、前記制御部8は、前記補給駆動部15を動作させ、前記補給時間が経過するまでその動作を継続させる。これにより、前記不足条件が成立してから前記補給時間が経過するまで前記現像剤補給部11が動作する。この工程S16は、前記現像実行処理工程における工程S3〜S5と並行して実行される。そのため、工程S16において、前記制御部8は、前記現像剤補給部11を動作させるとともに、前記中間横搬送部121、前記循環搬送部132および前記現像ローラー131も動作させる。
【0078】
<工程S17,S18>
前記補給時間が経過すると、前記制御部8は前記補給駆動部15を停止させ(S17)、さらに、前記現像剤補給処理が"完了"したことを表す前記補給実績データD2を前記メモリー82に記録(更新)する。これにより、前記現像剤補給制御工程が終了する。
【0079】
前記現像処理の開始時において前記補給実績データD2の記録内容が"完了"であることは、前回の前記現像処理が行われているときに前記現像剤補給処理が実行され、その現像剤補給処理が完了したことを示す。一方、前記現像処理の開始時において前記補給実績データD2の記録内容が"開始"であることは、前回の前記現像処理が行われているときに前記現像剤補給処理が実行され、その現像剤補給処理が中断したことを示す。
【0080】
従って、前述の工程S1,S11において、前記制御部8は、前記補給実績データD2を参照することにより、前回の前記現像剤補給処理が中断したか否かを判定する。
【0081】
以上に示される工程S13〜S18が、前記現像剤補給制御工程の一例である。前記現像剤補給制御工程は、前記MPU81が現像剤補給制御プログラムPr2を実行することによって実現される。前記現像剤補給制御プログラムPr2を実行する前記MPU81が現像剤補給制御部の一例である。
【0082】
前記現像剤補給制御工程において、前記制御部8(前記現像剤補給制御部)は、前記現像剤量センサー800の検出結果が前記不足条件を満たすときに前記現像剤補給部11を動作させる(S13,S14)。
【0083】
前記現像剤補給制御工程において、前記制御部8(前記現像剤補給制御部)は、前記印字率の大小を表す前記制御用印字率が低い場合よりも高い場合の方が前記現像剤補給部11および前記中間横搬送部121をより長い時間動作させる(S14,S16)。この場合、前記現像剤補給部11(前記現像剤送出部111)の動作速度は一定である。
【0084】
即ち、前記制御部8(前記現像剤補給制御部)は、前記現像処理における前記印字率が低い場合よりも高い場合の方が前記現像剤の送り出し量がより増える動作条件で前記現像剤補給部11を動作させる(S14,S16)。これにより、前記現像剤量センサー800の検出精度がそれほど高くない場合でも、前記現像槽130内の前記現像剤の量を安定的に適正範囲に維持することができる。
【0085】
[現像後処理制御工程]
次に、
図5を参照しつつ、前記現像後処理制御工程(S7)の一例について説明する。
図5は、前記制御部8が実行する前記現像後処理制御工程の一例を示すフローチャートである。前記現像後処理制御工程は、前記現像実行制御工程(S1〜S6)に引き続き実行される。
【0086】
<工程S21>
前記現像後処理制御工程において、まず、前記制御部8は、前記メモリー82に前記補給実績データD2が記録されているか否かを判定する。前記制御部8は、前記補給実績データD2が記録されている場合に処理を工程S22へ移行させ、それが記録されていない場合に処理を工程S25へ移行させる。
【0087】
前記補給実績データD2が前記メモリー82に記録されていることは、前記現像処理が行われているときに前記制御部8が前記現像剤補給部11を動作させたことを表す。従って、前記補給実績データD2が記録されていないことは、前記現像処理が行われているときに前記現像剤補給部11(前記現像剤送出部111)が動作しなかったことを表す。
【0088】
<工程S22>
前記補給実績データD2が記録されている場合、前記制御部8は、前記メモリー82に記録された前記制御用印字率D1を参照する。さらに、前記制御部8は、前記制御用印字率D1に応じた延長時間を設定する。
【0089】
工程S22において、前記制御部8は、前記制御用印字率が低い場合よりも高い場合の方が前記延長時間をより長い時間に設定する。例えば、前記制御部8は、前記制御用印字率D1に対して正の線形相関を有する前記延長時間を設定する。
【0090】
<工程S23>
そして、前記制御部8は、前記延長時間が経過するまで、前記現像実行制御工程に引き続いて前記現像駆動部14の動作を継続させるとともに、前記除電装置46および前記帯電装置42の動作を継続させる。
【0091】
<工程S24>
そして、前記延長時間が経過すると、前記制御部8は前記メモリー82の前記補給実績データD2を消去する。
【0092】
<工程S25>
また、前記延長時間が経過した場合(S23のYES)、前記制御部8は、前記現像駆動部14を停止させるとともに、前記除電装置46および前記帯電装置42を停止させる。これにより、前記中間横搬送部121、前記現像部13および前記感光体41が停止し、前記現像後処理制御工程(S5:S21〜S25)が終了する。また、前記制御部8は、前記補給実績データD2が記録されていなかった場合(S21のNO)、前記延長時間の経過を待たずに速やかに前記現像駆動部14、前記除電装置46および前記帯電装置42を停止させる。
【0093】
以上に示される工程S21〜S25が、前記現像後処理制御工程の一例である。前記現像後処理制御工程は、前記MPU81が現像後処理制御プログラムPr3を実行することによって実現される。前記現像後処理制御プログラムPr3を実行する前記MPU81が現像後処理制御部の一例である。
【0094】
前記現像後処理制御工程において、前記制御部8(前記現像後処理制御部)は、前記現像処理が完了した後も前記中間横搬送部121および前記現像部13を継続して動作させた後に停止させる(S23,S25)。これにより、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留することを防止できる。その結果、前記現像剤の凝集または帯電不良などの不都合の発生を防止でき、ひいてはそれら不都合に起因する前記現像剤の搬送路の詰まりおよび現像不良を防止できる。
【0095】
また、前記制御部8(前記現像後処理制御部)は、前記印字率の大小を表す前記制御用印字率が低い場合よりも高い場合の方が前記現像処理の終了後においてより長い時間が経過するまで前記中間横搬送部121および前記現像部13を継続して動作させる(S22,S23,S25)。この場合、前記現像剤補給部11(前記現像剤送出部111)の動作速度は一定である。
【0096】
即ち、前記制御部8(前記現像後処理制御部)は、前記現像処理における前記印字率が低い場合よりも高い場合の方が、前記現像処理の終了後において前記現像剤の送り出し量がより増える動作条件で前記中間横搬送部121を動作させる。これにより、前記現像剤補給部11からの前記現像剤の送り出し量が前記印字率に応じて制御される場合に、前記中間横搬送部121および前記現像部13の動作の延長処理(S23)が過不足なく実行される。
【0097】
さらに、前記制御部8(前記現像後処理制御部)は、前記現像処理が行われているときに前記現像剤補給制御工程によって前記現像剤補給部11が動作した場合にのみ、前記現像処理が完了した後も前記中間横搬送部121および前記現像部13を継続して動作させた後に停止させる(S21,S23,S25)。これにより、前記中間横搬送部121および前記現像部13の動作の延長処理(S23)が必要以上に実行されることに起因する前記現像剤の劣化および無駄な電力消費を防止できる。
【0098】
[現像再開前処理制御工程]
次に、
図6を参照しつつ、前記現像再開前処理制御工程(S12)の一例について説明する。
図6は、前記制御部8が実行する前記現像再開前処理制御工程の一例を示すフローチャートである。前記現像再開前処理制御工程は、前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断した後に最初に開始する前に実行される(S12)。
【0099】
<工程S31>
前記現像再開前処理制御工程において、前記制御部8は、前記メモリー82に記録された前記制御用印字率D1を参照する。この時点で前記メモリー82に記録されている前記制御用印字率D1は、中断した前回の前記現像処理における印字率を表す。さらに、前記制御部8は、前記制御用印字率D1に応じた前処理時間を設定する。
【0100】
工程S32において、前記制御部8は、前記制御用印字率が低い場合よりも高い場合の方が前記前処理時間をより長い時間に設定する。例えば、前記制御部8は、前記制御用印字率D1に対して正の線形相関を有する前記前処理時間を設定する。
【0101】
<工程S32>
さらに、前記制御部8は、前記現像駆動部14を動作させ、前記前処理時間が経過するまでその動作を継続させる。これにより、前記中間横搬送部121および前記循環搬送部132が動作する。そのため、前記横搬送路120内に残留している前記現像剤は、前記現像槽130内へ搬送され、さらに前記現像槽130内で撹拌される。
【0102】
工程S32において、前記制御部8は、前記感光体41に前記静電潜像を書き込む処理を実行しない。さらに、工程S32において、前記制御部8は、前記補給駆動部15を動作させない。そのため、工程S32は、前記現像処理および前記現像剤補給処理が行われる前に実行される。
【0103】
なお、本実施形態では、工程S32において、前記感光体41が回転することにより、前記クリーニング装置47が前記感光体41に残存した前記現像剤を除去する。さらに、本実施形態では、工程S32において、前記現像ローラー131が回転するが、前記静電潜像の書き込みが行われないため前記現像処理は実行されない。
【0104】
<工程S33>
そして、前記前処理時間が経過すると、前記制御部8は前記メモリー82の前記補給実績データD2を消去する。
【0105】
<工程S34>
また、前記前処理時間が経過した場合、前記制御部8は、前記現像駆動部14を停止させる。これにより、前記中間横搬送部121および前記循環搬送部132が停止し、前記現像再開前処理制御工程(S12:S31〜S34)が終了する。なお、前記感光体41および前記現像ローラー131も停止する。
【0106】
以上に示される工程S31〜S34が、前記現像再開前処理制御工程の一例である。前記現像再開前処理制御工程は、前記MPU81が現像再開前処理制御プログラムPr4を実行することによって実現される。前記現像再開前処理制御プログラムPr4を実行する前記MPU81が現像再開前処理制御部の一例である。
【0107】
前記現像再開前処理制御工程において、前記制御部8は、前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断した後に最初に開始する前に、前記中間横搬送部121および前記循環搬送部132を動作させる(S32)。これにより、前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断した場合でも、その後、前記現像剤が前記横搬送路120内に残留しない初期状態の下で、前記現像処理および前記現像剤補給処理を開始することができる。その結果、現像品質が安定する。
【0108】
また、前記制御部8は、中断した前回の前記現像処理における前記印字率(前記制御用印字率D1)が低い場合よりも高い場合の方が前記現像剤の送り出し量がより増える動作条件で前記中間横搬送部121を動作させる(S31,S32)。
【0109】
より具体的には、前記制御部8は、中断した前回の前記現像処理における前記印字率が低い場合よりも高い場合の方が、前記現像処理および前記現像剤補給処理が中断した後に最初に開始する前において、前記中間横搬送部121および前記循環搬送部132をより長い時間動作させる(S31,S32)。この場合、前記中間横搬送部121および前記循環搬送部132の動作速度は一定である。
【0110】
前記現像剤補給部11からの前記現像剤の送り出し量が前記印字率に応じて制御される場合に、前記前処理時間が前記印字率に応じて設定されることにより、前記現像再開前処理制御工程における前記中間横搬送部121および前記循環搬送部132の動作(S32)が過不足なく実行される。その結果、前記中間横搬送部121および前記循環搬送部132の動作が必要以上に実行されることに起因する前記現像剤の劣化および無駄な電力消費を防止できる。
【0111】
また、本実施形態では、前記現像剤補給部11(前記現像剤送出部111)、前記中間横搬送部121および前記循環搬送部132における前記現像剤の送り量が、動作速度ではなく動作時間によって制御される。この場合、簡易な機構で構成された前記現像駆動部14および前記補給駆動部15によって前記現像剤の送り量を調節することができる。
【0112】
[その他の応用例]
前記印字率に応じて調節される前記現像剤補給部11および前記中間横搬送部121における前記現像剤の送り量が、前記現像剤補給部11および前記中間横搬送部121各々の動作速度の変更によって調節されることが考えられる。
【0113】
前記現像剤補給制御工程(S13〜S17)において、前記制御部8が、前記現像剤補給部11の動作時間を前記メモリー82に記録することが考えられる。そして、工程S22において、前記制御部8が、記録された前記動作時間に相当する前記延長時間を設定することが考えられる。同様に、工程S31において、前記制御部8が、記録された前記動作時間に相当する前記前処理時間を設定することが考えられる。
【0114】
前記現像装置43が、前記中間横搬送部121を駆動する中間搬送駆動部と、前記感光体41、前記現像ローラー131および前記循環搬送部132を駆動する現像駆動部とを個別に備えることが考えられる。この場合、前記制御部8は、工程S3において前記現像駆動部を動作させ、工程S25において前記現像駆動部を停止させる。さらに、前記制御部8は、工程S16において前記補給駆動部15および前記中間搬送駆動部を動作させ、工程S17において前記補給駆動部15および前記中間搬送駆動部を停止させる。さらに、前記制御部8は、工程S32において前記中間搬送駆動部および前記現像駆動部を動作させ、工程S34において前記中間搬送駆動部および前記現像駆動部を停止させる。
【0115】
また、前記現像装置43が、前記中間横搬送部121を駆動する前記中間搬送駆動部と、前記循環搬送部132を駆動する循環搬送駆動部と、前記感光体41および前記現像ローラー131を駆動する現像駆動部とを個別に備えることが考えられる。この場合、前記制御部8が、工程S3において前記循環搬送駆動部および前記現像駆動部を動作させ、工程S25において前記循環搬送駆動部および前記現像駆動部を停止させる。さらに、前記制御部8は、工程S16において前記補給駆動部15および前記中間搬送駆動部を動作させ、工程S17において前記補給駆動部15および前記中間搬送駆動部を停止させる。さらに、前記制御部8が、工程S32において前記中間搬送駆動部および前記循環搬送駆動部を動作させ、工程S34において前記中間搬送駆動部および前記循環搬送駆動部を停止させることも考えられる。
【0116】
前記画像形成装置10が、前記感光体41の画像が転写される中間転写ベルトと、その中間転写ベルトに残存する前記現像剤を除去するベルトクリーニング装置とを備えることも考えられる。この場合、前記現像再開前処理工程において、前記中間転写ベルトが回転し、前記ベルトクリーニング装置が前記中間転写ベルトに残存する前記現像剤を除去する。
【0117】
なお、本発明に係る現像装置、画像形成装置および現像装置の制御方法は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。