(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169142
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】ホイールの電気的動力化システム
(51)【国際特許分類】
B64C 25/36 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
B64C25/36
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-180042(P2015-180042)
(22)【出願日】2015年9月11日
(62)【分割の表示】特願2012-543884(P2012-543884)の分割
【原出願日】2010年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-28951(P2016-28951A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】0959145
(32)【優先日】2009年12月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】510286488
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】エッシンガー オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】スタッチ チェーザレ
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−541142(JP,A)
【文献】
米国特許第03762670(US,A)
【文献】
特開2004−068964(JP,A)
【文献】
米国特許第03977631(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第02323345(GB,A)
【文献】
英国特許出願公開第02210833(GB,A)
【文献】
米国特許第03850389(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 25/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機を地上で動き回らせることができるよう前記航空機の懸架装置と関連した車輪(2)に動力供給する動力化システムであって、モータユニット(4,104)、前記車輪(2)に固定された駆動部材(6)及び前記モータユニット(4,104)の出力シャフト(8)を前記駆動部材(6)に連結するクラッチ装置(7)を有する、動力化システムにおいて、前記モータユニット(4,104)は、電気モータ(11)を含み、前記モータユニットは、サスペンション支柱(3)のアンスプラング部分によって支持され、前記出力シャフトと前記駆動部材との間に位置する伝動装置が確動伝動装置である、動力化システムを2つ含む動力化システムの組立体であって、
前記2つのモータユニット(4,104)は、互いに固定されると共に2本の車輪(2)に共通の前記サスペンション支柱(3)の前記アンスプラング部分に固定されており、
前記組立体は、両方の動力化システムに共通である、各車輪(2)の前記モータユニット(4,104)を同時に係合解除する単一の前記クラッチ装置(7)を有する
動力化システムの組立体。
【請求項2】
前記モータユニット(4,104)は、前記車輪(2)のアクスルクロスメンバ(5)によって支持されている、請求項1記載の動力化システムの組立体。
【請求項3】
前記モータユニット(4,104)は、前記モータ(11)の前記出力シャフト(13)を前記駆動部材(6)に連結する減速システム(12,112)を含む、請求項1又は2記載の動力化システムの組立体。
【請求項4】
前記減速システム(12,112)は、前記モータ(11)に固定されている、請求項3記載の動力化システムの組立体。
【請求項5】
前記クラッチ装置(7)は、前記モータユニット(4,104)を前記モータユニット(4,104)が前記駆動部材(6)に連結される係合位置及び前記モータユニット(4,104)が前記駆動部材(6)から分離される係合解除位置に動かすことができるよう構成されている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の動力化システムの組立体。
【請求項6】
前記クラッチ装置(7)は、前記モータユニット(4,104)が前記アクスルクロスメンバ(5)に対して水平ピボット軸線(226)回りに回動するよう設けられるような構成になっている、請求項5が請求項2に従属する場合における請求項5記載の動力化システムの組立体。
【請求項7】
前記クラッチ装置(7)は、前記モータユニット(4,104)が前記アクスルクロスメンバ(5)に対して垂直のピボット軸線(220)回りに回動するよう設けられるような構成になっている、請求項5が請求項2に従属する場合における請求項5又は6記載の動力化システムの組立体。
【請求項8】
前記クラッチ装置(7)は、前記モータユニット(4,104)をその2つの係合及び係合解除位置のうちの一方から他方に動かすことができる移動システム(152)を有する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の動力化システムの組立体。
【請求項9】
前記移動システム(152)は、前記モータユニット(4,104)が前記係合位置のままであるようにするために必要な制限値よりも大きな力を前記モータユニット(4,104)に加えるよう設計されている、請求項8記載の動力化システムの組立体。
【請求項10】
前記移動システム(152)は、前記駆動部材(6)によって前記モータユニットの前記出力シャフトに加えられた所定値よりも大きな機械的力の作用を受けて前記モータユニットを係合解除するよう設計されている、請求項8又は9記載の動力化システムの組立体。
【請求項11】
前記移動システム(152)は、駆動要素(154)を有する、請求項8、9又は10記載の動力化システムの組立体。
【請求項12】
前記駆動要素(154)は、作動ジャッキ(154)で形成されている、請求項11記載の動力化システムの組立体。
【請求項13】
前記作動ジャッキ(154)の一端部は、前記アクスルクロスメンバ(5)に固定された固定部品(151)に回転可能に取り付けられ、前記作動ジャッキ(154)の他端部は、2本のリンク(156,157)に回転可能に取り付けられ、前記リンク(156,157)のうちの一方(156)は、前記固定部品(151)に回転可能に取り付けられ、他方のリンク(157)は、前記モータユニット(4,104)に回転可能に取り付けられている、請求項8が請求項2に従属する場合における請求項12記載の動力化システムの組立体。
【請求項14】
前記モータユニット(4,104)は、それ自体の重量の作用を受けて自然に係合解除位置に駆動されるよう配置されている、請求項11〜13のうちいずれか一に記載の動力化システムの組立体。
【請求項15】
前記クラッチ装置(7)は、前記モータユニット(4,104)の係合解除位置を定める被案内リンク(153)を有する、請求項1〜14のうちいずれか一に記載の動力化システムの組立体。
【請求項16】
前記駆動部材(6)は、前記車輪(2)のリム(9)により支持されると共に前記モータユニット(4,104)がその係合位置にあるとき、前記モータユニット(4,104)の出力歯車(10)と噛み合い関係をなすよう設計された輪歯車(6)である、請求項1〜15のうちいずれか一に記載の動力化システムの組立体。
【請求項17】
前記出力歯車(10)の噛み合い位置は、前記輪歯車(6)によって支持された2つの転動リップ(15)によって定められ、前記転動リップ(15)は、出力歯車(10)によって支持された2つのランウェイ軌道(16)を摺動させることなく前記転動リップに沿って転動させるよう設計されている、請求項16記載の動力化システムの組立体。
【請求項18】
前記転動リップ(15)及び前記ランウェイ軌道(16)は、円筒形の支承面を有する、請求項17記載の動力化システムの組立体。
【請求項19】
前記出力歯車(10)は、半径方向荷重を受けて動作する定速度継手によって前記モータユニット(4,104)に連結されている、請求項16〜18のうちいずれか一に記載の動力化システムの組立体。
【請求項20】
前記2つのモータユニット(4,104)は、前記2本の車輪(2)相互間に配置されている、請求項1から請求項19のうちいずれか一に記載の動力化システムの組立体。
【請求項21】
前記2つのモータユニット(4,104)は、前記アクスルクロスメンバ(5)を支持したサスペンション支柱(3)の背後に配置されている、請求項20が請求項2に従属する場合における請求項20記載の動力化システムの組立体。
【請求項22】
各車輪の前記出力歯車と前記駆動部材(6)は、前記車輪の軸線と同一の高さ位置で互いに噛み合っている、請求項16記載の動力化システムの組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機が地上を動き回ることができるようにするために航空機の車輪を動力化するシステムであって、例えば飛行機に利用されるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上における航空機の運動を動力化するという概念は、飛行機が離陸する前に走行し又は飛行機が空港で着陸した後に走行するように航空機が自律的に、しかしながら低速で動き回ることができるようにすることを意味しており、これは、「地上走行」と通称されている運動である。したがって、この動力化という概念は、本明細書においては、先行技術において既に提案されているように車輪を走行速度と一致した速度に至らせるために車輪を動力化することを意味しているわけではない。
【0003】
懸架装置(サスペンション)と関連した車輪に動力供給する公知の動力化システムは、モータユニット、車輪に固定された駆動部材及び前記モータユニットの出力シャフトを駆動部材に連結するクラッチ装置を有する形式のものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかるシステムは、懸架装置及び車輪又はホイールリムの受ける変形とは幾分相いれない場合が多く、かかる変形は、地上における種々の操縦中、例えば旋回又は制動の際に生じる。
【0005】
本発明は、サスペンション支柱及び車輪自体の変形に容易に耐えることができる動力化システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上述した形式の動力化システムにおいて、モータユニットは、電気モータを含み、このモータユニットは、サスペンション支柱のアンスプラング部分によって支持される。
【0007】
かくして、動力化システム全体は、サスペンション支柱のアンスプラング部分によって支持され、一方において、駆動部材は、車輪によって支持され、他方において、モータユニット及びクラッチ装置は、アクスルクロスメンバによって支持され、それにより動力化システムは、一体化するのが容易になる。さらに、この構成に鑑みて、モータユニットの出力シャフトを駆動部材に連結する際に懸架装置ショックアブソーバの運動を考慮に入れる必要はもはや存在しない。
【0008】
第1の変形形態によれば、モータユニットは、車輪のアクスルクロスメンバによって支持されている。
【0009】
第2の変形形態によれば、モータユニットは、モータの出力シャフトを駆動部材に連結する減速システムを含む。
【0010】
第3の変形形態によれば、減速システムは、モータに固定されている。
【0011】
第4の変形形態によれば、クラッチ装置は、モータユニットをモータユニットが駆動部材に連結される係合位置及びモータユニットが駆動部材から分離される係合解除位置に動かすことができるよう構成されている。
【0012】
第5の変形形態によれば、クラッチ装置は、モータユニットがアクスルクロスメンバに対して水平ピボット軸線回りに回動するよう設けられるような構成になっている。
【0013】
第6の変形形態によれば、クラッチ装置は、モータユニットをその2つの係合及び係合解除位置のうちの一方から他方に動かすことができる移動システムを有する。
【0014】
第7の変形形態によれば、移動システムは、モータユニットが係合位置のままであるようにするために必要な制限値よりも大きな力をモータユニットに加えるよう設計されている。
【0015】
第8の変形形態によれば、移動システムは、駆動要素を有する。
【0016】
第9の変形形態によれば、駆動要素は、作動ジャッキで形成されている。
【0017】
第10の変形形態によれば、作動ジャッキの一端部は、クロスメンバに固定された固定部品に回転可能に取り付けられ、作動ジャッキの他端部は、2本のリンクに回転可能に取り付けられ、リンクのうちの一方は、固定部品に回転可能に取り付けられ、他方のリンクは、モータユニットに回転可能に取り付けられている。
【0018】
第11の変形形態によれば、モータユニットは、それ自体の重量の作用を受けて自然に係合解除位置に駆動されるよう配置されている。
【0019】
第12の変形形態によれば、クラッチ装置は、モータユニットの係合解除位置を定める被案内リンクを有する。
【0020】
第13の変形形態によれば、被案内リンクは、ロッドを有し、ロッドは、一方において、クロスメンバに固定された固定部品に回転可能に取り付けられ、他方において、モータユニットにより支持されたピボットに対して摺動可能に設けられている。
【0021】
第14の変形形態によれば、モータユニットの衝撃を吸収することができる衝撃吸収ユニットがピボットとロッドの自由端部との間に配置されている。
【0022】
第15の変形形態によれば、衝撃吸収ユニットは、ロッドの自由端部に固定された固定端停止部、ロッドの自由端部とピボットとの間でロッドに沿って摺動するよう設けられた可動端停止部及びモータユニットが係合解除位置にないとき、2つの端停止部相互間で予荷重を受けるよう2つの端停止部相互間に配置された弾性部材で形成されている。
【0023】
第16の変形形態によれば、駆動部材は、車輪のリムにより支持されると共にモータユニットがその係合位置にあるとき、モータユニットの出力歯車と噛み合い関係をなすよう設計された輪歯車である。
【0024】
第17の変形形態によれば、出力歯車の噛み合い位置は、輪歯車によって支持された2つの転動リップによって定められ、転動リップは、出力歯車によって支持された2つのランウェイ軌道を摺動させることなく転動リップに沿って転動させるよう設計されている。
【0025】
本発明は又、本発明の第1の観点としての動力化システムを2つを含む組立体であって、2つのモータユニットは、互いに固定されると共に2本の車輪に共通のサスペンション支柱のアンスプラング部分に固定されていることを特徴とする2つの動力化システムの組立体に関する。
【0026】
第1の変形形態によれば、2つのモータユニットは、2本の車輪相互間に配置されている。
【0027】
第2の変形形態によれば、2つのモータユニットは、アクスルクロスメンバを支持したサスペンション支柱の背後に配置されている。
【0028】
第3の変形形態によれば、2つの動力化システムの組立体は、両方の動力化システムに共通のたった1つのクラッチ装置を含む。
【0029】
かかる動力化システム又は2つの動力化システムの組立体は、状況により、有利には、航空機の主着陸装置を動力化するために用いられる。
【0030】
本発明の他の特徴及び他の利点は、非限定的な例として与えられ、添付の図面に示されている実施形態から明らかになろう。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、サスペンション支柱及び車輪自体の変形に容易に耐えることができる動力化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の実施形態としての2つの車輪動力化システムの組立体を搭載した飛行機着陸装置の背面側斜視図であり、組立体が車輪に係合している状態を示す図である。
【
図2】
図1の着陸装置の車輪の軸線に垂直な平面における断面図であり、2つのシステムの組立体が係合位置にある状態を示す図である。
【
図3】
図2に類似した図であり,2つの動力化システムの組立体が係合解除位置にある状態を示す図である。
【
図4】2つの動力化システムの組立体のクラッチ装置の移動システムの断面図である。
【
図5】2つの動力化システムの組立体のクラッチ装置の被案内リンクの図である。
【
図6A】車輪と対応のモータユニットの出力シャフトとの協調関係を説明する図である。
【
図6C】
図6Bに類似した斜視図であるが、内部定速度継手を示すために着陸装置が省かれている図である。
【
図7】モータユニットの出力歯車を省いた状態のモータユニットの軸方向断面図である。
【
図8】
図1に類似した図であり、本発明の第2の実施形態を示す図である。
【
図9】第2の実施形態として2つの動力化システムの組立体の
図2に類似した図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態としての2つの車輪動力化システムの組立体を搭載した飛行機着陸装置の斜視図であり、組立体が車輪に係合し、最も近くに位置する車輪がそのタイヤ又はそのリムなしで示されている図である。
【
図11】
図10の着陸装置のホイールの軸線に垂直な平面で見た断面図であり、2つのシステムの組立体が係合位置にある状態を示す図である。
【
図12】
図11に類似した図であり、2つのシステムの組立体が係合解除位置にある状態を示す図である。
【
図13】2つのシステムの組立体のクラッチ装置の斜視図である。
【
図14】第2の実施形態の減速ギヤボックスユニット内の歯車軸線を含む平面で見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1及び
図8は、飛行機の主着陸装置1,101を示しており、この着陸装置は、2本の同軸車輪2及びこれら2本の車輪を支持したサスペンション支柱3を有している。この着陸装置1,101は、2つの動力化システム、即ち、1本の車輪2につき1つのシステムを含む組立体を更に有する。各車輪2に1つの動力化システムを設けることにより、差動装置を追加する必要がなく、しかもカーブにおいて車輪2の速度を適合させることができる。また、それにより、懸架装置及び車輪動力化システムに加わる荷重を部分的に均等化することができる。加うるに、それにより、荷重がタイヤ全体に分布され、従って、均等化され、かくしてタイヤの摩耗が制限される。
【0034】
本発明の動力化システムは、車輪2のアクスルクロスメンバ5に固定されたモータユニット4,104、車輪2に固定された駆動部材6及びモータユニット4,104の出力シャフト8を駆動部材6に連結することができるクラッチ装置7を有する。具体的に説明すると、モータユニット4,104及びクラッチ装置7は、クロスメンバ5の外部の外側に配置された状態で互いに連結されており、それと同時に、このクロスメンバから片持ちされている。
【0035】
かくして、動力化システム全体は、サスペンション支柱3のアンスプラング部分3aによって支持され、モータユニット4,104及びクラッチ装置7は、アクスルクロスメンバ5によって支持され、駆動部材6は、車輪2によって支持されている。
【0036】
これら実施形態では、これら実施形態では、車輪2に固定された駆動部材6は、この車輪2のリム9により支持された輪歯車6で形成され、この輪歯車6は、モータユニット4,104がその係合位置にあるとき、モータユニット4,104の出力歯車10と噛み合う。この種の歯車及び歯付きホイールを介する伝動装置は、摩擦伝動システム、例えば摩擦ローラを含むシステムとは対照的に、「確動(positive)」伝動装置に分類される。確動伝動装置は、摩擦係数には依存せず、従って、例えば、天候条件又は採用されている要素の摩耗の度合いの影響を受けない。したがって、歯付きベルトを含むシステムも又、確動伝動装置に分類され、これに対し、プレーン(平又はV)ベルトは、摩擦伝動システムに分類される。
【0037】
さらに、本実施形態では、モータユニット4,104は、モータ11(具体的に言えば、この場合、ブラシレス同期電動機である電気モータ)及びモータ11の出力シャフト13を駆動部材6に連結することができる減速システム12,112を有している。この場合、減速システム12,112は、モータ11に固定される。このようにして配置された電気モータ11を周囲空気によって容易に冷却することができる(この冷却は、航空機が動いている速度に依存する)。
【0038】
図7に示されているように、第1の実施形態の減速システム12は、この場合、エピサイクリック歯車列で形成された段を有している。さらに、動力化システムは、モータユニット4の出力歯車10(特に、減速システム12の出力歯車10)及び車輪2によって支持された輪歯車6によって形成されている第2の減速段を有する。
具体的に説明すると、第1の実施形態の減速システム12は、モータ11の出力シャフト13によって支持された対応歯車13aと遊星枠14によって支持された遊星歯車14aの噛み合いによって形成される。減速比は、好ましくは、5を越える(この場合、減速比は、7.5である)。第2の段(モータユニットの外部)は、遊星枠14によって支持されたモータユニット4の出力歯車10と車輪2によって支持された輪歯車6の噛み合わせによって形成されている(減速比は、この場合、6.8である)。かくして、この場合、全減速比は、51である。この場合、減速システム12は、モータ11と整列し、このことは、モータ11の出力シャフト13が減速システム12の出力シャフト8と同軸である(この出力シャフト8は、モータユニット4の出力シャフト8でもある)ことを意味している。
【0039】
図1〜
図3、
図8及び
図9に示されている2つの動力化システムの組立体では、2つのモータユニット4,104は、互いに固定されている。コンパクトさを得る理由で、2つのモータユニット4,104は、2本の車輪2相互間に配置される。さらに、特に着陸時及び離陸時における外部物体(又は鳥)との衝突の際の危険を制限するため、2つのモータユニット4,104は、サスペンション支柱3の背後に配置される。この場合、2つのモータユニット4,104は、互いに連続して並んだ状態で配置されている。
【0040】
第1の実施形態では、モータユニット4の出力シャフト10は、互いに平行である。
【0041】
モータユニット4,104の噛み合い位置(又は具体的に言えば、出力歯車10の噛み合い位置)を定めるため(
図6A参照)、輪歯車6は、2つの円筒形転動リップ15を支持し、これら転動リップは、モータユニット4,104の出力歯車10によって支持された2つのランウェイ軌道16を摺動させることなく転動リップに沿って転動させるよう設計されている。転動リップ15及びランウェイ軌道16の転動直径は、歯車6,10のピッチ円直径に一致しているからである。
【0042】
最後に、荷重を受けた着陸装置の変形によって生じる恐れのあるモータユニット4,104の出力歯車8と車輪2の輪歯車6との間の角度差を補償するために、歯車10は、定速度継手250(
図6CT参照)を介してモータユニット4,104の出力シャフト8によって支持され、定速度継手250は、角度変形を許容すると同時に速度の変化なく駆動トルクを伝達する。この定速度継手は、例えば、これ又軸方向運動を可能にするために伸縮三脚継手又はプランジング玉継手であるのが良い。定速度継手のこの使用は、常套的であるというわけではない。確かに、定速度継手の従来使用は、カルダン継手の使用と同じであり、このことは、この継手が純粋捩り状態で働くことを意味し、シャフトを支持した軸受によって半径方向及び軸方向荷重に対する反作用が生じる。しかしながら、この使用では、定速度継手は、半径方向荷重(クラッチ装置の支承力)及び接線方向荷重(原動力)を伝達するために用いられる。したがって、この継手は、減速歯車と車輪との間の位置合わせ不良を吸収することができる。
【0043】
加うるに、噛み合い中心間距離及び定速度継手の位置を定めるランウェイ軌道は、使用上、装置を補完し、減速装置に対する車輪の激しい変形下において、例えば、数度(例えば、±5°のオーダ)の角度的変形下において動作する噛み合い伝動を生じさせることができる。
【0044】
さらに、動力化システムのクラッチ装置7は、モータユニット4,104をこのモータユニット4,104が駆動部材6(
図2及び
図9に示されているように車輪2の輪歯車6と噛み合い状態にある減速システム12,112の出力歯車10)に連結された係合位置とこのモータユニット4,104が駆動部材6(
図3に示されているように輪歯車6と噛み合い状態にはない歯車10)から分離された係合解除位置との間で動かすことができるよう構成されている。この実施形態では、2つのモータユニット4,104を2本の車輪2に同時に係合させるようにするため、2つのモータユニット4,104が互いに結合されているので、2つの動力化システムの組立体は、クラッチ装置7を1つだけ有する。
【0045】
これら実施形態では、クラッチ装置7は、モータユニット4,104が水平ピボット軸線回りに回転する(アクスルクロスメンバ5に対して)よう構成されている。具体的に説明すると、モータユニット4,104は、ピボット150によってサスペンション支柱3のアンスプラング部分3aに回動的に連結されている(モータユニット4,104のこの回動連結は、アクスルクロスメンバ5によって支持された固定部品151について実施される)。かくして、クラッチ係合(噛み合い)は、前方及び上方のモータユニット4,104の運動に対応し、クラッチの係合解除は、後方及び下方の運動に対応している。
【0046】
クラッチ装置7と関連して、電子制御スピードマッチングシステムが設けられる。このシステムは、車輪2の速度を測定してモータ11の対応の回転速度を指令するセンサを有する。
【0047】
この実施形態では、
図2〜
図5及び
図9に示されているように、クラッチ装置7は、モータユニット4,104をその2つの係合及び係合解除位置のうちの一方から他方に動かすことができる移動システム152及びモータユニット4,104の係合解除位置を定める被案内リンク153を有している。
【0048】
図4に示されているように、移動システム152は、モータユニット4,104に連結されると共にサスペンション支柱3のアンスプラング部分3aに連結された作動ジャッキ154を有している。具体的に説明すると、作動ジャッキ154(この場合、ジャッキ155)の一端部は、水平軸線回りに回転可能にRDL部品151に取り付けられている。他方の端部は、2本の水平軸線回りに回転可能に2本のリンク156,157に取り付けられており、これらリンクのうちの一方156は又、水平軸線回りに回転可能に固定部品151に取り付けられ、他方のリンク157は、水平軸線回りに回転可能にモータユニット4,104に取り付けられている。この場合、作動ジャッキ154は、電気作動ジャッキである。具体的に説明すると、この作動ジャッキ154は、ジャッキ155の内部に配置された駆動モータ、2本のリンク156,157が連結されたナット158及びねじ(例えば、循環式ボール又はローラねじ)を有している。
【0049】
クラッチ装置7(具体的に言えば、関連のトグル継手システム156,157を備えた移動システム152)は、モータユニット4,104の出力歯車10,110を輪歯車6と噛み合い関係に保つのに十分な力を出力歯車10,110に加えることができる。モータユニット4,104の相対位置に鑑みて、これらユニットは、これら自体の重量により係合解除位置に自然に駆動される。その結果、作動ジャッキ154が力を全く加えない場合(駆動モータへの電力供給が切断されるやいなや)、モータユニット4,104は、これらの係合解除位置に動く。
【0050】
被案内リンク153は、それ自体、モータユニット4,104の係合解除位置を定める。
図5に示されているように、被案内リンク153は、ロッド159を有し、このロッドは、固定水平ピボット軸線回りに回転するよう(第1の端部を介して)固定部品151に取り付けられている。ロッド159は、モータユニット4,104によって支持されているピボット160を通って摺動するよう設けられている。ロッド159の自由端部には着陸装置に加わる衝撃を吸収することができる衝撃吸収ユニット161が配置されている。この場合、この衝撃吸収ユニット161は、ロッド159の自由端部に固定された固定端停止部162(この場合、2つのナット162a,162b)、ロッド159の自由端部に沿って摺動するよう設けられた可動端停止部163(この場合、ワッシャ163)及び固定端停止部162と可動端停止部163との間に配置された弾性部材164(この場合、ばねワッシャのスタック)で形成されている。かくして、モータユニット4,104がその係合位置からその係合解除位置に動くと、モータユニット4,104に対して自由に回転するよう設けられたピボット160は、ロッド159を回転させると共に摺動させる。モータユニット4,104が係合位置から係合解除位置に動いているとき、可動端停止部163は、ロッド159の端部の肩に当接し(可動端停止部163は、ロッド159の長さ全体にわたって摺動することができない)、それにより弾性部材164に加わる予荷重を保証する。
【0051】
その結果、モータユニット4,104が係合解除位置にあるとき、可動端停止部163は、ピボット160に圧接され、従って、弾性部材164を圧縮する。かくして、弾性部材は、着陸の際に衝撃を吸収することができる。
【0052】
制動、着陸、離陸又はモータユニットを係合位置に戻す傾向のある加速度を生じさせる場合のある任意他の動作中、クラッチ係合を回避するため、移動システム152は、モータユニット4,104をこれらの係合解除位置に付勢する戻しばね(図示せず)を更に有するのが良く、作動ジャッキ154は、これがモータユニット4,104を係合位置に駆動する際、この戻しばねの作用に抗して作用する。
【0053】
移動システム152は、モータユニット4,104が係合位置のままであるようにするのに(歯車10と輪歯車が互いに噛み合い状態のままであるようにするために)必要な制限値よりも大きな力をモータユニット4,104に(歯車10に)加えるよう設計されている。この力は、一定であるのが良く、或いは、他方、駆動又は制動トルクの伝達を可能にするのに必要な力に合わせられた値に設定されるのが良い。
【0054】
動力化システムの幾何学的形態が所与の場合、噛み合い力は、飛行機が前方に動いているときには噛み合い解除を促進し、飛行機が後方に動いているときには噛み合いを促進する。その結果、前方に動いているとき、作動ジャッキ154は、係合状態を維持するのに十分強力でなければならない。モータユニット4,104を固定部品151に連結しているピボット150の位置の後方シフトにより、後方に動いているとき及び前方に動いているときに自己係合解除を行うシステムの実現が可能になる。
【0055】
次に、動力化システムの第2の実施形態について説明する。図中、両方の実施形態において同一又は類似の部分は、一方の実施形態と他方の実施形態において同一の参照符号で示されている。
【0056】
図10は、飛行機の主着陸装置1を示しており、この着陸装置の2本の車輪2のうちの一方は、分かりやすくするためにそのタイヤ又はそのリムなしで示されている。同軸である2本の車輪2及びこれら2本の車輪2を支持しているサスペンション支柱3とは別に、着陸装置1は、2つの車輪動力化システムの組立体を更に有し、即ち、1本の車輪につき1つのシステムが設けられている。
【0057】
本発明の第2の実施形態としての動力化システムは、サスペンション支柱3のアンスプラング部分3aによって支持されたモータ/減速歯車ユニット4,104を有している。第1の実施形態の場合と同様な仕方で、動力化システムは、車輪2に固定されている駆動部材6及び駆動部材6をモータユニット4の出力シャフト8に固定された歯車10に連結することができるクラッチ装置7(
図10では見えない)を更に有している。
【0058】
上述したように、モータユニット4は、モータ11及びモータ11の出力シャフト13を駆動部材6に連結することができる減速システム12,112を有している。この場合、減速システム12,112は、モータ11に固定されている。このように構成された動力化システム組立体を航空機の車輪回りに流れている周囲空気によって容易に冷却することができる。
【0059】
図14に示されているように、減速システム12,112は、直列に配置された2つの段を有する。この場合、各段は、単一の歯車装置で形成されている。さらに、動力化システムは、モータユニットの出力歯車(特に、減速システム12の出力歯車10)及び車輪2によって支持された輪歯車6で形成された第3の減速段を有している。
【0060】
具体的に説明すると、減速システム12の第1段は、モータ11の出力シャフトによって支持された第1の駆動歯車201と第1の大歯車203の噛み合いによって形成されている(減速比は、この場合、3である)。第2段は、第1の大歯車203によって支持された第2の歯車205と第2の大歯車207の噛み合わせによって形成されている(減速比は、この場合、2.5である)。第3の段(モータユニットの外側に位置する)は、第2の大歯車207に固定された出力シャフト8によって支持されたモータユニット4の出力歯車10と車輪2によって支持された輪歯車6の噛み合わせによって形成されている(減速比は、この場合、7である)。
【0061】
図10に示されている2つの動力化システムの組立体では、2つのモータユニット4,104は、互いに固定されている(この場合、これらモータは、同一のケーシングによって外部から保護される)。コンパクトさを得る理由で、2つのモータユニット4,104は、2本の車輪2相互間に配置される。さらに、特に着陸時及び離陸時における外部物体(又は鳥)との衝突の際の危険を制限するため、2つのモータユニット4,104は、サスペンション支柱3の背後に配置される。
【0062】
加うるに、2つのモータユニットは、出力シャフト8及びかくして歯車10が
図8と同様に、同一軸線上に位置するよう互いに対してV字形に配置されている。これにより、対称作動が可能であり、それにより良好な噛み合い有効性が与えられる。
【0063】
加うるに、このV字形形態により、モータユニット4,104は、タイヤがバーストした場合でも着陸時に地面に接触しないということが可能であり、第2のモータは、衝撃(鳥等)から保護される。Vの最も下の点は、2つの減速システム12,112の2本の出力シャフト8の共通軸線に一致し、Vの各上端は、モータ11の軸線に一致している。加うるに、減速歯車装置のこのV字形配置は、歯車潤滑にとって有利である。作動中、歯車により、油(休止状態ではVの先端に位置したリザーバ内に存在する)が第1段まで循環し、これにより歯車装置全ての潤滑を行うことができる。
【0064】
また、注目されるべきこととして、歯車と大歯車の噛み合いは、本発明のこの実施形態では、車輪の軸線と実質的に同一の高さ位置にあり(
図11参照)、それによりクロスメンバ又は車輪の変形に対応するのが容易である。「〜と実質的に同一の高さ位置」と言う表現は、この前後関係において、噛み合いが正確に同一高さ位置に位置決めされ又は水平の下方20°から水平の上方20°までの角度範囲内に位置決めされているものと解されるべきである。
【0065】
さらに、動力化システムのクラッチ装置7は、モータユニット4をこのモータユニット4が駆動部材6(
図11に示されているように車輪2の輪歯車6と噛み合い状態にある出力歯車10)に連結される係合位置とこのモータユニット4が駆動部材6(
図12に示されているように輪歯車6から離脱状態にある歯車10)から分離される係合解除位置との間で動かすことができるよう構成されている(
図11及び
図12)。先の実施形態の場合と同様、2つのモータユニット4と2本の車輪2との同時噛み合いを行うようにするため、2つのモータユニット4が互いに結合されているので、2つの動力化システムの組立体は、クラッチ装置7を1つしか備えていない。しかしながら、歯車10の速度と輪歯車6の速度は、各車輪2/モータユニット4の対について別々に同期される。
【0066】
クラッチ装置7は、モータユニット4が水平ピボット軸線226回りに回転可能に(サスペンション支柱3のアンスプラング部分に対して)設けられるよう構成されている。かくして、クラッチの係合又は噛み合いは、上方及び前方のモータユニット4の運動に対応し、係合解除は、下方及び後方の運動に対応している。
【0067】
加うるに、
図13では、着陸装置の変形が生じた場合に減速歯車装置の相対的水平運動について或る特定の自由度の実現を可能にし、かくして、各車輪に加わる力が互いにほぼ等しいようにするために、減速ユニットは、実質的に垂直のピボットピン220によりクラッチに取り付けられる。
【0068】
この実施形態では、
図13に示されているように、クラッチ装置7は、サスペンション支柱のアンスプラング部分3aに固定されると共に車輪に平行な2つの平面を形成する2枚の固定板222,224を有する。これら2枚の板は、これら端部のうちの一方のところに、水平シャフト226が固定されている垂直のピボット軸線220を備えている。モータユニット4は、この水平シャフトを中心として回動するよう固定されている。モータユニットは、更に、トグル継手の第1の脚部を構成するリンク228の一端部に固定されている。かくして、モータユニットは、リンク228の作用を受けて水平シャフト226回りに回動する。
【0069】
このリンク228は、Vの形をしており、このVの頂点は、モータユニットが玉継手によって固定されている端部に相当している。その他端部には2本の他のリンク230,232が固定されており、これらリンクの反対側の端部は、これらリンクが水平ピボット軸線回りに回転することができるよう設けられた状態で固定板222,224の頂部のうちの1つに固定されている。リンク228とリンク230,232との間の関節運動は、水平ピボット軸線回りの回転運動であり、垂直運動が移動システム236を支持した垂直板に設けられているスロット234内におけるピボットピン233の摺動によって制限され、このピン233は、トグル継手のピボット軸線に相当している。
【0070】
移動システム236は、作動ジャッキ238を有し、この作動ジャッキは、トグル継手のピボットピン233及びサスペンション支柱3のアンスプラング部分に板222,224を介してヒンジ箇所240によって連結されている。
【0071】
クラッチ装置7(具体的に言えば、移動システム236)は、モータユニット4の出力歯車10を輪歯車6と噛み合い関係に保つのに十分な力を出力歯車10に加えることができる。
【0072】
この例では、移動システム236の駆動モータへの電力供給が切断されるやいなやモータユニット4が係合解除するようにするために、移動システム236は、この場合、作動ジャッキ238を包囲している戻しばね242を有している。かくして、作動ジャッキ238は、モータユニット4をその噛み合い位置に駆動するために用いられ、ばね242は、モータユニット4をその非噛み合い位置に駆動するために用いられる。ばね242は又、着陸時に歯車10と大歯車6との噛み合い状態が生じないようにする。
【0073】
移動システム236は、モータユニット4が係合位置のままであるようにするのに(歯車10と輪歯車が互いに噛み合い状態のままであるようにするために)必要な制限値よりも大きな力をモータユニット4に(歯車10に)加えるよう設計されている。この力は、一定であるのが良く、或いは、他方、駆動又は制動トルクの伝達を可能にするのに必要な力に合わせられた値に設定されるのが良い。
【0074】
これは、車輪のうちの一方又はモータのうちの一方が万一ロックアップした場合に、飛行機が走行している方向とは無関係に、歯車装置により生じる荷重がいったん係合システムの荷重をよりも大きくなると、自動係合解除するシステムでもある。かくして、係合解除は、制限支承力に達したときにモータユニットに加わる歯車装置の力の機械的作用効果によって強制的に行われる。これは又、システムの他の或る要素によって、例えば、所与の駆動トルクレベルに達することによって出される警報に続き、指令されるのが良い。
【0075】
さらに、第2の実施形態では、モータユニット104の2つの出力歯車10が同軸であるということは、システムをより柔軟性の高い関節連結部に取り付けることができ又は柔軟性をシステムそれ自体に導入することができることを意味しており、このことは、遭遇する変形、例えば車輪2の変形に対応することができることを意味しており、2本の車輪2の2つの輪歯車6に加わるよう生じる荷重は、同等である。しかしながら、荷重は、路面に対する着陸装置の各車輪のグリップ係数が互いに異なっている場合、かなり異なっていても良い。
【0076】
飛行機への本発明の利用に当たり、この動力化システムは、例えば、離陸に先立つ段階、着陸後の段階の際、即ち、速度が最大指定地上走行速度よりも低い限り、地上におけるどのような運動でも可能にするよう用いられる。したがって、これらの段階中、飛行機主エンジンを用いないようにすることが可能であり、かくして燃料消費量が節約され、従ってコストが節約されると共に汚染物質放出量及びCO
2放出量が減少する。飛行機の主エンジンをオフに切り替えた場合のもう1つの結果として、騒音公害を減少させることができる。
【0077】
この動力化システムは、着陸及び離陸段階中及び飛行中、モータユニットが係合解除位置にあるように電子的に制御される。
【0078】
本発明は、この実施形態には限定されない。
【0079】
さらに、サスペンション支柱は、特に飛行機のサイズに従って異なる本数の車輪(1本の車輪から8本の車輪まで)を支持することができる。また、車輪1本当たり数個のシステムを設けても良い(1本の車輪が数個のモータによって駆動される)。また、或る特定の本数の車輪を(又は、それどころか1本だけを)動力化することも可能な場合がある。