【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社カプコンが、平成24年10月2日および平成24年10月4日からアメリカ合衆国、ヨーロッパ、日本、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、韓国において、田岡次郎および福島淳史が発明したゲームプログラムに関する「RESIDENTEVIL6」および「BIOHAZARD6」を販売した。
【文献】
Xbox360 BOOKS ロストオデッセイ 公式完全攻略ガイド 初版 LOST ODYSSEY OFFICIAL PERFECT GUIDE,ソフトバンククリエイティブ株式会社 新田 光敏,2008年 2月 4日,第1版
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0013】
(ゲームシステム)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るゲームプログラムを実行するゲームシステム100を説明する。ゲームシステム100は、ゲーム装置(コンピュータ)1と、外部機器であるモニタ138、外部メモリ145、スピーカ144および記録媒体115とを備える。
【0014】
ゲーム装置1は、コントローラ120、CPU131、RAM132、バス133、GPU134、デコーダ137、I/Oポート139、DRV140、サウンドプロセッサ142、増幅器143、ROM146および通信制御部147などを備える一般的なゲーム装置である。CPU131は、全体の動作を制御する。RAM132は、ゲームの進行に応じて各種のデータを記憶する。ROM146は、このゲーム装置1を起動するとともに、基本的な機能を実現するためのシステムプログラムを記憶する。
【0015】
本発明の実施の形態において、ゲームプログラムはゲーム装置1で実行される場合について説明するが、これに限られない。ゲームプログラムは、CPU、メモリなどを備えるコンピュータであればどのような装置で実行されても良い。
【0016】
本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、記録媒体(プログラム記憶部)115に記録される。ゲーム装置1は、この記録媒体115からゲームプログラムを読み出して実行することにより、モニタ138にゲーム空間などを描画するとともに、効果音などをスピーカ144に出力する。ここで記録媒体115は、DVD、CD、ハードディスクなどが考えられる。ゲーム装置1が通信ネットワークに接続されている場合、記録媒体115は、通信ネットワーク上の記録媒体であっても良い。
【0017】
コントローラ120は、ゲーム装置1に接続する。プレイヤが、コントローラ120の操作ボタンやスティックなどを操作すると、CPU131は、IOポート121および139などを介して、プレイヤの操作情報を取得し、その操作情報に基づいて、プレイヤオブジェクト、ゲーム空間などを制御する。プレイヤの操作情報は例えば、歩く、銃を構える、振り向く、アイテムを取得するなどの、プレイヤオブジェクトの動作に関する指示や、プレイ対象チャプターの選択などの、ゲームの進行に関する指示である。
【0018】
なお、ゲームは、ゲームプログラムおよびゲーム装置1で構成されるゲームシステム100が、ユーザの操作に応じた処理を実行することで進行する。以下の説明では、ゲーム装置1の処理の内容によっては、プレイヤオブジェクトを主語とし、プレイヤオブジェクトの動作としてゲームを説明する場合がある。
【0019】
(ゲームプログラム)
次にこのゲーム装置1により実行されるゲームプログラムについて説明する。本発明の実施の形態に係るゲームプログラムが提供するゲームは、例えば、プレイヤが操作するプレイヤオブジェクトが、予め定められたシナリオに従って、仮想のゲーム空間内を移動し、敵キャラクタを倒してシナリオを完結するアクションゲームである。
【0020】
本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、シナリオ、プレイヤオブジェクトの位置、操作情報、そのほかの条件などに従って、数々のイベントを提供する。これらのイベントは、例えば、敵オブジェクトとの戦闘や、戦闘に用いる武器アイテムの取得、戦闘などにより減少したプレイヤオブジェクトの体力回復アイテムの取得などである。
【0021】
本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、シナリオが定めた所定のシナリオ区間で発生しなかったイベントを、そのシナリオ区間後に、提供する。
【0022】
(ゲーム装置の機能ブロック)
図2を参照して、本発明の実施の形態に係るプログラムによりゲーム装置1のCPU131に構成される機能ブロックを説明する。CPU131は、操作検出手段10、ゲーム進行制御手段30および描画処理手段50を備える。
【0023】
操作検出手段10は、コントローラ120からプレイヤが入力した各種操作情報を検出して、ゲーム進行制御手段30に伝達する。
【0024】
ゲーム進行制御手段30は、予め定められたシナリオやプレイヤの操作に応じて、ゲーム空間の変化、イベントの提供などを制御して、ゲームを進行させる。このシナリオには、プレイヤオブジェクトの活動する仮想空間の情報、イベントを発生する条件などが含まれる。ここで、イベントを発生する条件は、シナリオの進行を示すタイミング、仮想空間中のプレイヤオブジェクトの位置、プレイヤによって入力された操作情報、プレイヤオブジェクトの活動実績などである。
【0025】
図3に示すように、シナリオSは、複数のシナリオ区間sを備える。シナリオSは複数のチェックポイントを含み、シナリオ区間sは、任意の2つのチェックポイントで特定される区間である。シナリオ区間sは、典型的には、ゲームを構成するチャプターであるが、複数のチャプターをひとつのシナリオ区間に設定してもよいし、ひとつのチャプターに複数のシナリオ区間を設定してもよい。
【0026】
ゲーム進行制御手段30は、ゲーム空間制御手段31、イベントオブジェクト制御手段34、プレイヤオブジェクト制御手段37、ノンプレイヤオブジェクト制御手段38およびシナリオ区間制御手段39を備え、これらは相互にデータを授受できる。
【0027】
ゲーム空間制御手段31は、予め定められたシナリオに従って、仮想のゲーム空間を生成する。ゲーム空間制御手段31は、シナリオゲーム空間制御手段32と、非シナリオゲーム空間制御手段33を備える。
【0028】
シナリオゲーム空間制御手段32は、シナリオの進行に伴って生成されるシナリオゲーム空間を制御する。シナリオゲーム空間は、例えば
図4に示すような、プレイヤが操作するプレイヤオブジェクトPOが活動する仮想空間である。
【0029】
非シナリオゲーム空間制御手段33は、シナリオの進行に関与しない非シナリオゲーム空間を生成し、制御する。非シナリオゲーム空間は、シナリオ区間の終了時に生成される。非シナリオゲーム空間は、例えば
図5(a)に示すような、シナリオ区間をプレイした後、そのシナリオ区間の結果をプレイヤに表示するための空間である。
【0030】
ここで
図3を参照して、シナリオゲーム空間と非シナリオゲーム空間が提供されるタイミングを説明する。
図3におけるプレイヤがシナリオ区間s(n)をプレイ中、シナリオゲーム空間が生成され、プレイヤはプレイヤオブジェクトPOを操作する。シナリオ区間s(n)の終了時であって、次のシナリオ区間s(n+1)を開始する前、非シナリオゲーム空間が生成される。
【0031】
イベントオブジェクト制御手段34は、操作情報が所定のイベント発生条件を満たすと、そのイベント発生条件に対応するイベントについてイベントオブジェクトをゲーム空間内に提供して、ゲーム空間でイベントが発生するように制御する。イベントオブジェクト制御手段34は、イベントオブジェクトの提供に伴って、プレイヤオブジェクトの所持アイテムや体力値などのパラメータを更新するように制御する。イベントオブジェクト制御手段34は、シナリオ区間s(n)でイベントを提供する場合と、シナリオ区間s(n)後にイベントを提供する場合とがある。
【0032】
まずイベントオブジェクト制御手段34が、シナリオ区間s(n)内でイベントを提供する場合を説明する。イベントオブジェクト制御手段34は、シナリオ区間s(n)で、プレイヤが入力した操作情報などが所定の条件を満たした場合、イベントオブジェクトを生成して、ゲーム空間内のシナリオゲーム空間に提供する。
【0033】
例えば、プレイヤオブジェクトが、シナリオにおいて武器を提供するイベントが発生する場所に位置し、プレイヤが、武器を入手するための操作を入力する。この場合、イベントオブジェクト制御手段34は、このプレイヤオブジェクトに武器を与えるイベントをシナリオゲーム空間に提供する。イベントオブジェクトは、ノンプレイヤオブジェクトと、プレイヤオブジェクトとの接触や、動画の再生に関するイベントオブジェクトであっても良い。ここで接触は、例えば、シナリオの完結に関係のない会話や戦闘などである。
【0034】
次に、イベントオブジェクト制御手段34が、シナリオ区間s(n)後にイベントを提供する場合を説明する。本発明の実施の形態においてイベントオブジェクト制御手段34は、シナリオ区間s(n)でイベントオブジェクトが提供されなかった場合、後述するシナリオ区間制御手段39の制御に従って、シナリオ区間s(n)後に、イベントオブジェクトを提供する。ここで、「シナリオ区間s(n)後」とは、シナリオ区間s(n)の直後のシナリオ区間終了時以降であって、具体的には、シナリオ区間s(n)の直後のシナリオ区間終了時、シナリオ区間s(n+1)、シナリオ区間s(n+1)の直後のシナリオ区間終了時、シナリオ区間s(n+2)などを含む。どのようなタイミングでイベントを提供するかは、ゲームプログラムのシナリオで定められても良いし、ランダムに定められても良い。
【0035】
シナリオ区間s(n)でアイテムを提供するイベントを、シナリオ区間s(n)終了時の非シナリオゲーム空間に提供する場合を考える。シナリオ区間s(n)終了時、ゲーム装置1は、
図5(a)に示すシナリオ区間結果表示画面P201をモニタ138に表示する。ここで、イベントオブジェクト制御手段36は、イベントが発生しないままシナリオ区間s(n)が終了した場合、操作情報が条件を満たしているか否かに関わらず、
図5(a)に示す画面が表示された後、
図5(b)に示すイベント提供画面P202を表示するよう制御する。イベント提供画面P202は、
図5(a)に示すシナリオ区間結果表示画面P201に、シナリオ区間s(n)で発生しなかったイベントを発生させるための画面をポップアップ表示した画面である。さらにイベントオブジェクト制御手段34は、プレイヤオブジェクトの所持するアイテムに、イベントにより提供されるアイテムを追加する処理をする。
【0036】
ここで、イベントオブジェクト制御手段36は、シナリオ区間s(n)内でイベントを提供する場合と、シナリオ区間s(n)終了時にイベントを提供する場合とで、その演出を変えても良い。例えば、シナリオ区間内でシナリオゲーム空間にイベントを提供する場合、イベントオブジェクト制御手段34は、プレイヤオブジェクトやアイテムなどをアニメーションする演出がなされても良い。これに対し、シナリオ区間s(n)終了時にイベントを提供する場合、イベントオブジェクト制御手段34は、プレイヤオブジェクトやアイテムなどをアニメーションしなくとも良い。イベントオブジェクト制御手段34は、
図5に示すように、ゲームシステムが提供する無機質な非シナリオゲーム空間に、イベントを提供してもよい。
【0037】
プレイヤオブジェクト制御手段37は、ゲーム空間のシナリオゲーム空間にプレイヤオブジェクトを生成するとともに、プレイヤが入力した操作情報に基づいてプレイヤオブジェクトをシナリオゲーム空間内で活動させる。プレイヤオブジェクト制御手段37はさらに、プレイヤオブジェクトが有している武器の種類や数、回復アイテムの種類や数、ステータスなどの情報を保持し、シナリオや操作情報などに基づいて適宜更新する。
【0038】
ノンプレイヤオブジェクト制御手段38は、ゲーム空間のシナリオゲーム空間で、ノンプレイヤオブジェクトを、活動させる。ノンプレイヤオブジェクトは、プレイヤの操作に依らずシナリオに従って制御される。
【0039】
シナリオ区間制御手段39は、所定のシナリオ区間でイベントオブジェクトを提供しなかったと判定した場合、所定のシナリオ区間後、イベントオブジェクトを提供する制御をする。シナリオ区間制御手段39は、シナリオ区間制御手段39は、所定のシナリオ区間後のシナリオ区間で操作情報が条件を満たした場合、イベントオブジェクトをシナリオ空間内に提供し、所定のシナリオ区間後のシナリオ区間で条件を満たさなかった場合、イベントオブジェクトを非シナリオゲーム空間に提供してもよい。
【0040】
ここで、シナリオ区間制御手段39は、シナリオ区間中に提供されなかったすべてのイベントを、ゲーム空間に提供しなくとも良い。例えば、アイテムの中でも、特に有効なアイテムの提供に関するイベントに限っても良いし、武器の提供に関するイベントに限っても良い。シナリオ区間制御手段39が、シナリオ終了後に提供するイベントは、適宜設定されても良い。
【0041】
シナリオ区間制御手段39は、所定のイベント提供シナリオ区間で提供するべきイベントが提供されなかった場合、そのイベント提供シナリオ区間後にどのようにイベントを提供するかを、適宜決定しても良い。例えば、
図3に示す例で、所定のイベント提供シナリオ区間s(n)でイベント発生条件を満たさずイベントが提供されなかった場合、シナリオ区間制御手段39は、その次のシナリオ区間s(n+1)でイベントを提供するために新たなイベント発生条件を設定する。この新たなイベント発生条件は、シナリオ区間s(n+1)のシナリオに適する条件であって、シナリオ区間s(n)におけるイベント発生条件と異なっても良い。そのシナリオ区間s(n+1)においても新たなイベント発生条件を満たさずイベントが提供されなかった場合、シナリオ区間制御手段39は、そのシナリオ区間s(n+1)の終了時の非シナリオ空間で、イベントを提供するように制御しても良い。
【0042】
シナリオ区間制御手段39が、イベントが提供されたか否かを判定する方法は、所持アイテムの数をカウントする、イベントが提供されたか否かのログを参照するなど、様々な方法が考えられる。
【0043】
イベントオブジェクト描画手段51は、イベントオブジェクト制御手段34の制御によって提供されるイベントオブジェクトを描画する。イベントオブジェクト描画手段51は、処理結果を、シナリオゲーム空間合成手段55または非シナリオゲーム空間合成手段57に出力する。イベントオブジェクト描画手段51は、シナリオの進行中に、プレイヤの操作によってイベントオブジェクトが発生した場合、処理結果をシナリオゲーム空間合成手段55に出力する。一方、シナリオ区間後にシナリオ区間制御手段39によってイベントオブジェクトが発生した場合、処理結果を非シナリオゲーム空間合成手段57に出力する。
【0044】
プレイヤオブジェクト描画手段53は、プレイヤオブジェクトを描画する。ノンプレイヤオブジェクト描画手段54は、ノンプレイヤオブジェクトを描画する。プレイヤオブジェクト描画手段53およびノンプレイヤオブジェクト描画手段54は、処理結果を、シナリオゲーム空間合成手段55に出力する。
【0045】
シナリオゲーム空間合成手段55は、シナリオゲーム空間描画手段56を備える。シナリオゲーム空間描画手段56は、シナリオゲーム空間制御手段32によって制御されるシナリオゲーム空間を描画する。シナリオゲーム空間合成手段55は、シナリオゲーム空間に、イベントオブジェクト描画手段51、プレイヤオブジェクト描画手段53およびノンプレイヤオブジェクト描画手段54の処理結果を、それぞれ対応する位置に重畳し、
図4に示すようなシナリオゲーム空間表示画面P101を生成する。このシナリオ空間表示画面P101は、モニタ138で表示される。
【0046】
非シナリオゲーム空間合成手段57は、非シナリオゲーム空間描画手段58を備える。非シナリオゲーム空間描画手段58は、非シナリオゲーム空間制御手段33によって制御される非シナリオゲーム空間を描画する。非シナリオゲーム空間合成手段57は、ゲーム進行制御手段30から取得した情報などに基づいて、
図5(a)に示すシナリオ区間のプレイ結果を表示するためのシナリオ区間結果表示画面P201を生成する。また非シナリオゲーム空間合成手段57は、非シナリオゲーム空間に、イベントオブジェクト描画手段51の出力結果を、対応する位置に重畳し、
図5(b)に示すイベント提供画面P202を生成する。シナリオ区間結果表示画面P201およびイベント提供画面P202は、モニタ138で表示される。
【0047】
(処理)
図6を参照して、所定のシナリオ区間について、ゲームを進行する場合のゲーム装置1の処理を説明する。
【0048】
まずシナリオ区間の終了条件を満たすまで、ステップS101ないしステップS104の処理が繰り返される。ステップS101においてゲーム装置1は、所定のシナリオ空間のシナリオゲーム空間、プレイヤオブジェクト、ノンプレイヤオブジェクトなどを描画し、重畳する。ステップS102においてゲーム装置1は、プレイヤの操作情報の入力を待機する。操作情報が入力されると、入力された操作情報や、進行中のシナリオなどに基づいて、イベントの発生条件を満たすか否かが判定される。イベントの条件を満たさない場合、ステップS101に戻り、プレイヤオブジェクトの位置を変更するなどして、画面を描画する。一方、イベントの発生条件を満たすと判定されると、ステップS104においてイベントをシナリオゲーム空間に提供する。
【0049】
シナリオ区間の終了条件を満たすと、ステップS105に進む。ステップS105においてゲーム装置1は、
図5(a)に示すように、シナリオ区間の結果を、非シナリオゲーム空間に表示する。ステップS106においてゲーム装置1は、このシナリオ区間のイベントのうち、このシナリオ区間で提供されなかったイベントがあるか否かを判定する。ない場合はそのまま処理を終了し、次のシナリオ区間について処理する。一方、このシナリオ区間で提供されなかったイベントがある場合、ステップS107においてゲーム装置1は、このシナリオ区間後に、イベントを提供するように制御する。例えば、非シナリオゲーム空間でイベントを提供する場合、
図5(b)に示すように、非シナリオゲーム空間に、イベントを提供する。また、次のシナリオ区間でイベントを提供する場合、ゲーム装置1は、次のシナリオ区間において、イベントを提供可能なシナリオゲーム空間を提供するよう制御する。
【0050】
本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、シナリオが定めた所定のシナリオ区間で発生しなかったイベントを、シナリオ区間後に発生させる。これにより、発生しなかったイベントを発生させるために、プレイヤが、一度プレイしたシナリオを再度プレイすることを回避し、プレイヤに一貫したシナリオを楽しませることができる。
【0051】
ここで、イベントの一例として、所定のチャプターXで、強力な武器を取得するイベントについて考える。このチャプターXをプレイ中に強力な武器を取得できなかったプレイヤAと、取得できたプレイヤBを比較する。
【0052】
従来のゲームプログラムにおいて、チャプターXのプレイ中に強力な武器を取得できなかったプレイヤAのプレイヤオブジェクトは、その後のチャプターにおいて弱い武器を使って敵オブジェクトと戦闘しなければならない。従ってプレイヤAは、シナリオを完結できるものの、ゲームに要する時間が増えたり、より高度な操作技術が求められたりするなど、プレイヤBと比べて、不利な状態が発生していた。
【0053】
これに対し本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、チャプターXの終了後に、イベントを発生させ、強力な武器をプレイヤAのプレイヤオブジェクトに提供する。これにより、プレイヤAは、このイベントが発生した後、プレイヤBと同じ条件でプレイすることができる。
【0054】
また本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、相互に関連する複数のチャプターにより一つのシナリオを形成する場合に好適である。このようなゲームプログラムは、チャプター毎に、プレイヤが操作するプレイヤオブジェクトが異なったり、ゲーム空間の場面が異なったりと、異なる疑似空間を提供する。このようなゲームプログラムにおいては、各チャプターの独立性を担保するため、既にプレイしたチャプターの冒頭からのみ、プレイを開始することができるように制御される場合がある。従って、チャプターXの終了後、イベントが発生していないことに気づいたプレイヤAが、このイベントを発生させようとすると、現在のプレイを中断してチャプターXの冒頭に戻り、イベントが発生する位置までシナリオを進める必要があった。このようなプレイは、一貫したシナリオを提供できないのみならず、各チャプターのシナリオが提供する擬似空間の独立性を壊してしまい、エンターテイメント性が低下してしまう恐れがあった。
【0055】
これに対し本発明の実施の形態に係るゲームプログラムはチャプターXの終了後に、強力な武器をプレイヤAのプレイヤオブジェクトに提供するので、プレイヤがチャプターを越えてプレイをすることを回避する。これによりゲームプログラムは、一貫したシナリオを提供するとともに、各チャプターのシナリオが提供する擬似空間の独立性を担保し、エンターテイメント性を確保することができる。
【0056】
このようなゲームプログラムは、シナリオの完結に必須でない任意のイベントにも好適である。任意イベントは、プレイヤの注意力や探究心を惹起し、ゲームの擬似空間に集中させるために設けられる側面もある。従って、任意イベントに自ら気づいたプレイヤBが、任意イベントに気づかなかったプレイヤAより、有利にプレイできるように、また、有利になりすぎないように、制御されることが好ましい。
【0057】
これに対し本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、チャプターXの終了後に、強力な武器をプレイヤAのプレイヤオブジェクトに提供する。従って、チャプターXのプレイ中に強力な武器を取得したプレイヤBは、その武器を取得後、チャプターXを終了するまでの間、プレイヤAよりも有利にプレイができる。このように、チャプターXにおける任意イベントの発生の有無で異なる結果をもたらすことにより、プレイヤ間の均衡を損なうこともない。
【0058】
本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、意外性や謎解き要素などを駆使するゲームにも好適である。このようなゲームには、例えば、鍵の場所を探す、急に登場する敵オブジェクトを倒すなど、新鮮なシナリオだからこそ得られるエンターテイメント性が期待される。従って、このようなゲームで、同じシナリオを再度プレイすることは、プレイヤに作業的なプレイを強いることになり、エンターテイメント性の低下のおそれがあった。
【0059】
これに対し本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、チャプターXの終了後に、強力な武器をプレイヤAのプレイヤオブジェクトに提供する。従って、プレイヤAは、作業的なプレイを強いられることなく、シナリオが提供する擬似空間を堪能することができる。
【0060】
このように、本発明の実施の形態に係るゲームプログラムは、エンターテイメント性をより高めることができる。
【0061】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0062】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。