(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記起動装置が、前記位置決め装置の前記フレームと一体化された固定子、及び前記第1接続ロッド(11)と一体化されたローターを含む回転モーターである、請求項1に記載の装置。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の角度位置決め装置(10、30、40、50、60)を含む光学機器用較正システムであって、前記光学機器の要素を前記第3接続ロッド(13)に固定することが可能な光学機器用較正システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機械的位置決め装置の挙動に影響を及ぼす要素の一つがアクチュエータであることが理解されよう。一般に、これは電気モーターである。異なる種類の電気モーターを用いることができる。「音声コイル」モーターとして知られる可動コイルモーターは高い精度を有している。しかし、これらは閉ループ内のサーボ制御による制御を必要とし、所与の位置での保持には永久的な電力供給を必要とする。圧電アクチュエータもまた高い精度を有している。しかし、これらもまた閉ループ内のサーボ制御により制御されなければならない。これらはまた、進行方向に比較的弱い力が生じる。従って実際には、寸法が大きい圧電アクチュエータを使用する必要がある。ステップモーターには、閉ループなしで制御可能であるという利点があり、電力供給を必要とせずに位置の保持が可能である。一方、角度精度は一般に不十分である。一つの解決策は、ステップモーターに減速器を関連付けるものである。減速器により、出力側における角度変位をモーターの角度変位に対して減らすことが可能になる。従って、モーターの各ステップ毎に、出力側における角度変位は、当該ステップの途中を表す。減速器は、例えばギア付きの装置の形式であってよい。しかし、例えば約100分の1という低い伝達率を得るために、当該装置は多数の歯車を含んでいなければならない。複雑さと大きさの問題に加え、この種の減速器は、遊び及び抵抗トルクをもたらす。遊びを除去する装置は存在するが、更なるトルクをもたらす。別の減速器解決策は、2本の接続ロッドによりモーターにより回転するアームの使用に基づくものである。当該アームは、フレームにピボット接続されている。第1接続ロッドは、モーターにより回転する。第2接続ロッドは、第1のピボット接続により第1接続ロッドに接続しており、且つ第2のピボット接続により当該アームに接続している。これらの2個のピボット接続の軸がモーターの回転軸と同一平面にある場合、2個の接続ロッドは死点、即ちアームの回転動作が反転される構成を生成する。この反転には、アームの角度変位とローターの角度変位の間の伝達率の局所化された減少を伴う。しかし、この種の装置は2個の死点だけを含んでいて、3個の異なる位置に従う角度位置決めには適していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は特に、3個の異なる角度位置に低い伝達率を提供可能な減速器を提供することである。このため、本発明の目的は、
・第1軸に従って角度位置決め装置のフレームにピボット接続された第1接続ロッド、
・第1軸に従って第1接続ロッドを回転可能な起動装置、
・第2軸に従って第1接続ロッドにピボット接続された第2接続ロッド、
・第3軸に従ってフレームにピボット接続された第3接続ロッド、
・第4軸に従ってフレームにピボット接続され、且つ第5軸に従って第2接続ロッドにピボット接続された第4接続ロッド、及び
・第6軸に従って第3接続ロッドにピボット接続され、且つ第7軸に従って第2または第4接続ロッドにピボット接続された第5接続ロッドを含み、
第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7軸が互いに平行であって、
角度位置決め装置は、第3接続ロッドが3個の異なる角度位置を占め、その各々について互いにピボット接続された接続ロッドのうち2本が角度位置決め装置内に死点を形成できるように構成された角度位置決め装置である。
【0005】
起動装置は例えば、位置決め装置のフレームと一体化された固定子、及び第1接続ロッドと一体化されたローターを含む回転モーターである。
【0006】
死点が形成される第3接続ロッドの角度位置の少なくとも1つは、第1及び第5軸を含む平面と第2軸との一致に対応していてよい。
【0007】
特定の実施形態によれば、第5接続ロッドは、第2接続ロッドにピボット接続されている。本実施形態において、死点が形成される第3接続ロッドの角度位置の少なくとも1つは、第4及び第7軸を含む平面と第5軸の一致に対応していてよい。
【0008】
別の特定の実施形態によれば、第5接続ロッドは、第4接続ロッドにピボット接続されている。本実施形態において、死点が形成される第3接続ロッドの角度位置の少なくとも1つは、第4及び第6軸を含む平面と第7軸の一致に対応していてよい。
【0009】
特定の実施形態によれば、ピボット接続の第5及び第7軸は結合されている。
【0010】
本発明の目的はまた、上述のような角度位置決め装置を含む光学機器用較正システムであって、光学機器の要素を第3接続ロッドに固定することが可能である。
【0011】
本発明は特に、関心対象の角度位置周辺で低い伝達率、及びこれらの位置の外側でより高い伝達率の両方が得られる利点があり、異なる位置間の通過速度を増大することが可能になる。
【0012】
添付の図面に関する以下の記述を読めば本発明への理解が深まると共に、他の利点も明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般に、角度位置決め装置は、接続ロッドのアセンブリー、及び接続軸が互いに平行であるピボット接続のアセンブリーを含んでいる。第1の入力側接続ロッド、第2の出力側接続ロッド及び第3接続ロッドが当該装置のフレームにピボット接続されている。第4及び第5接続ロッドは、2個のピボット接続により装置の他の2本の接続ロッドに各々接続されている。入力側接続ロッドは、モーターにより回転可能である。角度位置決め装置は、出力側接続ロッドが3個の異なる角度位置を占め、その各々について互いにピボット接続された2本の接続ロッドが当該装置内に死点を形成することができるように構成されている。
【0015】
図1は、第1の実施形態による角度位置決め装置の例を運動図の形示で示す。角度位置決め装置10は、参照番号11〜15を付した5本の接続ロッドのアセンブリー、及び各々回転軸として軸X
1〜X
7を有する参照番号21〜27を付した7個のピボット接続のアセンブリーを含んでいる。第1接続ロッド11は、軸X
1に従って装置10のフレームにピボット接続されている。第2接続ロッド12は、軸X
1に平行な軸X
2に従って第1接続ロッド11にピボット接続されている。第3接続ロッド13は、軸X
1及びX
2に平行な、軸X
3に従って装置10のフレームにピボット接続されている。第4接続ロッド14は、軸X
4に従って装置10のフレームにピボット接続され、且つ軸X
5に従って第2接続ロッド12にピボット接続されている。軸X
4及びX
5は、軸X
1〜X
3に平行である。最後に、第5接続ロッド15は、軸X
6に従って第3接続ロッド13にピボット接続され、且つ軸X
7に従って第2接続ロッド12にピボット接続されている。軸X
6及びX
7は、軸X
1〜X
5に平行である。本実施形態において、ピボット接続24、25及び27は同一軸上に整列配置され、ピボット接続25はピボット接続24と27の間に存在する。換言すれば、ピボット接続24、25及び27は、それらの軸X
4、X
5及びX
7が同一平面に含まれるように接続ロッド14に配置されていて、軸X
5は軸X
4とX
7の間に存在する。しかし、軸X
4、X
5及びX
7が同一平面に含まれない場合でも本発明は同様にうまく機能できる。装置10はまた、フレームに対して第1接続ロッド11を軸X
1の回りに回転可能な図示しないステップモーターを含んでいる。第1接続ロッド11はこのように入力側接続ロッドを形成する。これが、ステップモーターにより入力側に生じた回転動作を伝える接続ロッドである。第3接続ロッド13は出力側接続ロッドを形成する。この接続ロッドは、第1接続ロッド11の角度変位に相対的に低い角度変位で、3個の異なる角度位置を占めることができなければならない。
【0016】
再び運動図の形式で、
図2に第1の実施形態による角度位置決め装置30の別の例を示す。
図1の例に対して、接続ロッド14、15を接続するピボット接続27の軸X
7は、各々接続ロッド14をフレーム及び接続ロッド12に接続するピボット接続の軸X
4とX
5の間に存在する。
【0017】
図3に、
図1の角度位置決め装置を、互いにピボット接続された2本の接続ロッドが当該装置内に第1の死点を形成する個別特定位置にある第1の構成で示す。死点とは、2本の接続ロッドにおいて、これらの接続ロッドの一方にピボット接続された当該または他方の接続ロッド(複数可)が、当該位置を通る間に動作の反転を受ける個別特定位置を意味する。当該動作は回転または並進動作であってよい。この場合、接続ロッド14、15は、これら2本の接続ロッドを接続するピボット接続27の軸X
7が、軸X
4及びX
6を通る平面に一致するような個別位置にある。この位置は、接続ロッド13の第1の死点を画定する。当該第1の死点を通る間に、接続ロッド13の軸X
3回りの回転は方向を変える。即ち三角法方向から時計回り方向に移る。接続ロッド13のこの方向の変化は、接続ロッド13の角度位置θ
1において生じ、接続ロッド11の対応する角度変位に比べて角度変位が極めて低い。従って、死点を通る間、接続ロッド13の角度変位と接続ロッド11の角度変位の間の伝達率は極めて低い。より具体的には、死点に近づくにつれて、伝達率は減少し、死点を通る間に相殺され、次いで死点から遠さかるにつれて再び次第に増大する。
【0018】
図4に、
図2の角度位置決め装置を、他の2本の接続ロッドが当該角度位置決め装置の第2の死点を形成する個別位置にある第2の構成で示す。第1と第2の構成の間で、ステップモーターは接続ロッド11を時計回りに回転させている。当該構成において、接続ロッド11、12は、これらの2本の接続ロッドを接続するピボット接続22の軸X
2が、軸X
1及びX
5を通る平面に一致するように、個別位置にあり、軸X
1は軸X
2とX
5の間にある。この位置は、接続ロッド14に死点を形成する。この死点を通る間に、接続ロッド14の軸X
4回りの回転は方向を変える。この回転方向の変化により、接続ロッド15の瞬間回転中心回りの回転方向の変化が生じ、次いでロッド13の軸X
3回りの回転方向の変化を引き起こす。接続ロッド13の回転は従って、第2の角度位置θ
2において時計回り方向から三角法方向に移るが、接続ロッド11の対応する角度変位に比べて角度変位が極めて低い。一般に、所与の接続ロッドに生じた死点は、動作伝達の下流にある各々の接続ロッドに伝播する。この場合、接続ロッド14の死点は、接続ロッド15、次いで接続ロッド13に伝播する。
【0019】
図5に、
図2の角度位置決め装置を、2本の接続ロッド14、15が再度第1の死点を形成する位置にある第3の構成で示す。第2と第3の構成の間で、ステップモーターは、接続ロッド11を時計回りに回転させている。当該構成において、接続ロッド14、15は、同一の個別位置に復帰しており、即ち、軸X
7は、軸X
4及びX
6を通る平面に一致する。接続ロッド13の軸X
3回りの回転方向は、角度位置θ
1において再度反転される。即ち、角度位置θ
1で三角法方向から時計回り方向に移る。
【0020】
図6に、
図2の角度位置決め装置を、接続ロッド11、12が当該装置の第3の死点を形成する個別位置にある第4の構成で示す。第3と第4の構成の間で、ステップモーターは接続ロッド11を再度時計回り方向の回転させている。当該構成において、接続ロッド11、12は、軸X
2が軸X
1及びX
5を通る平面に一致するような個別位置にある。しかし、第2の構成に比べて、軸X
2は軸X
1とX
5の間にある。当該第3の死点を通る間に、接続ロッド14の軸X
4回りの回転は方向を変える。この回転方向の変化により、接続ロッド15の瞬間回転中心回りの回転方向の変化が生じ、次いで接続ロッド13の軸X
3回りの回転方向の変化を引き起こす。接続ロッドの回転は従って、接続ロッド13の第3の角度位置θ
3において時計回り方向から三角法方向に移る。この方向の変化もまた、接続ロッド11の角度変位に対して極めて低い角度変位で生じる。
【0021】
ステップモーターは、接続ロッド11を、
図3に示す接続ロッド13が角度位置θ1を占める第1の構成まで再度回転させることができる。従って、接続ロッド11を一周回転させる場合、接続13ロッドは角度位置θ
1、θ
2、θ
1、θ
3及びθ
1、即ち3個の異なる角度位置を連続的に占める。接続ロッド13の最大角度間隔、即ち角度位置θ
1とθ
2の間角が、完全な一回転の一部、この場合は約50°、にしか対応していないため、接続ロッド13の角度変位と接続ロッド11の角度変位の間の平均伝達率が1未満であることは明らかである。特に、上述のように、3つの死点を通ることにより局所的に伝達率の大幅な減少が生じる。
【0022】
図7に、第2の実施形態による角度位置決め装置の第1例を運動図の形式で示す。当該第2の実施形態による装置40は、接続ロッド15が接続ロッド14ではなく接続ロッド12にピボット接続されている点で第1の実施形態による装置10及び30から区別される。この接続は、軸X
8とのピボット接続28により行われる。軸X
8は、ピボット接続21〜26の軸X
1〜X
6に平行である。本実施形態において、ピボット接続22、25及び28は、それらの軸X
2、X
5及びX
8が同一平面に含まれるように、接続ロッド12に配置され、軸X
5は軸X
2とX
8の間に存在する。本発明はまた、軸X
5が軸X
2及びX
8の平面に含まれていなくても機能することができる。本実施形態において、死点は、接続ロッド11、12の個別特定位置、接続ロッド12、14の個別特定位置、並びに接続ロッド12、15の個別特定位置において生じさせることが可能である。これらの個別位置は、装置の構成、特にピボット接続された間の距離に応じて得らたり得られなかったりする。
【0023】
再び運動図の形式で、
図8に、第2の実施形態による角度位置決め装置50の第2例を示す。
図7の実施形態に比べて、接続ロッド12と15を接続するピボット接続28の軸X
8は、接続ロッド12を接続ロッド11及び接続ロッド14に各々接続するピボット接続の軸X
2とX
5の間に存在する。
【0024】
図9に、第3の実施形態による角度位置決め装置の例を運動図の形式で示す。当該装置60は、実際には第1及び第2の実施形態の組合せに対応する。従って、接続ロッド15は、同一の軸に従って接続ロッド12及び接続ロッド14両方にピボット接続されている。換言すれば、軸X
5、X
7及びX
8は結合されている。本実施形態は、サイズの面で利点があると言える。
【0025】
図10に、
図9の角度位置決め装置60の入力側接続ロッド11の角度位置に対する出力側接続ロッド13の角度位置の変化をグラフ形式で示す。各々の角度位置は、基準位置に相対的な位置にある。基準位置は、この場合、死点が形成される個別位置に2本の接続ロッドがある構成の一つに対応している。
図1の装置10の類推から、例えば接続ロッド13の基準位置が角度位置θ
3であるのものと考えられる。接続ロッド11が軸X
1の回りを時計回りに回転するのに伴い、接続ロッド13は角度位置θ
1に向かって三角法方向に回転する。接続ロッド14と15が第1の死点を形成する場合、接続ロッド13は位置θ
1にあって、回転方向の反転を受ける。接続ロッド11が回転動作を続けたならば、接続ロッド13は次いで位置θ
2まで時計回りに回転する。この位置において、接続ロッド11、12は第2の死点を形成する。接続ロッド13は、再度回転の動作方向の反転を受ける。接続ロッド11が更に回転動作を続けたならば、接続ロッド13は従って角度位置θ
1まで三角法方向に回転する。この位置において、接続ロッド14、15は再度第3の死点の位置にある。接続ロッド13は、再度回転方向の反転を受ける。接続ロッド11の回転動作を基準位置まで続けることにより、接続ロッド13は角度位置θ
3まで時計回りに回転する。
【0026】
角度位置決め装置の異なる実施形態において、接続ロッドの相互の、または装置のフレームに相対的な関節構造はピボット接続により保証されるものと考えられてきた。これらの関節構造が、検討対象である軸の回りに回転の自由度を含む任意の種類の接続により保証できる。特に、各々のピボット接続は、同じ回転軸とのスライドピボット接続により、またはボールジョイント接続により代替可能である。また、上の実施形態は、異なるピボット接続の回転軸の互いに相対的な位置決めの観点から、従って接続ロッドの長さの観点から特定の構成により表されている。本発明が、他の構成にも、その各々が装置に少なくとも3個の死点を形成する前提で、適用できることが理解されよう。
【0027】
本発明による角度位置決め装置の機能について、出力側接続ロッド13の向きを異なる角度位置θ
1、θ
2及びθ
3に合わせるために、入力側接続ロッド11が常に同じ方向に駆動されることを考慮しながら記述してきた。接続ロッド11が両方の回転方向に駆動できることが理解されよう。