(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示装置は、前記成形条件表示部と前記操作支援情報表示部とを並べて表示する、または、前記成形条件表示部と前記操作支援情報表示部とを重ねて表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置。
前記成形条件指定部選択手段は、前記表示装置が備えるタッチパネルまたはポインティングデバイスによって選択された、前記操作支援情報表示部を構成する文字情報または図形情報の一部である前記成形条件指定部を特定することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置。
前記成形条件表示部は、入力待ち状態となった成形条件設定項目を指示するマークを前記成形条件設定項目の周囲に表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置。
前記成形条件表示部は、入力待ち状態となった成形条件設定項目の周囲に、前記成形条件設定項目に係わる所定のガイダンスメッセージを表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置。
成形条件設定装置に外部記憶媒体を装着することによって、前記操作支援情報に含まれる前記成形条件指定部と前記成形条件設定項目とを含む電子情報ファイルを前記外部記憶媒体に出力または入力する手段を有することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の運転を行う前には、射出成形機に金型を組み付け、金型温調機や樹脂乾燥機等の周辺装置を接続するなど、運転に必要な機材を物理的に準備する作業が必要であり、さらに、射出成形機の成形条件設定装置が有する表示装置の表示部に形成された操作画面や成形条件の入力手段を使用して、各種成形条件を成形条件設定装置に設定する必要がある。各種成形条件としては、射出成形機の運転に必要な型開閉条件、射出条件、計量条件、シリンダ加熱条件等といった成形条件がある。ここで、近年、射出成形機の性能向上に伴って成形条件の設定項目の数が増加し、成形条件の設定に関する作業が複雑かつ煩雑になる傾向がある。そのため、作業者には成形条件の設定に関する豊富な知識と作業経験とが要求され、作業者の負担が増大している。
【0003】
一般に、射出成形機の運転に係わる成形条件を設定するには、成形条件設定装置が備える入力手段である電気式の操作キーあるいは表示装置上の表示部が備えるタッチパネルを押下する。その際には、表示部に表示される複数の操作画面より所定の操作画面を選択し、操作画面上にて操作対象とする成形条件設定項目にカーソルを移動させて入力待ち状態とし、そこで新しい設定値を入力する。ここで、成形条件設定項目は複数の操作画面に配置されるので、複数の操作画面に散在する多くの成形条件設定項目から操作対象とする成形条件設定項目を見つけ出すことは、操作が煩雑となり、結果として作業時間が長くなり、作業効率も悪くなる。
【0004】
特許文献1には、射出成形機の成形条件設定において、段取り作業を支援して作業の操作性を改善するために、複数の成形条件設定項目を段取り工程毎にグループ分けした操作ボタンを作業工程順に操作画面に配置する技術が開示されている。これにより、作業者が、操作ボタンを選択して操作画面に順次表示されるガイダンスを目視確認することによって、予め定義された作業手順に添って成形条件を設定することができる。
【0005】
特許文献2には、特許文献1と同様に、段取り作業を支援して作業の操作性を改善するために、複数の成形条件設定項目を段取り工程毎にグループ分けした操作ボタンを作業工程順に操作画面に配置した上で、操作ボタンの近辺に段取り作業の進捗状態を表示する技術が開示されている。これにより、作業全体の進捗を把握することができ、成形条件の設定漏れや重複作業を防止する効果がある。さらに、操作対象となる成形条件設定項目の近辺に所定のガイダンスを記したウィンドウを表示することによって、作業者が設定項目の入力範囲や設定内容を把握することを実現している。
【0006】
特許文献3には、射出成形機の成形条件設定において、設定項目に触れることによって、成形条件の設定操作に有用なガイダンス情報が記載された案内画面が表示される技術が開示されている。
【0007】
特許文献4には、成形不良対策を記したガイダンス情報を画面に表示し、装置に固定して付設された参照ボタンを操作することによって、より詳細なガイダンス情報を画面に表示する技術が開示されている。
【0008】
特許文献5には、作業者が設定した、複数の連続する設定項目からなる成形条件を移行パターンとして学習して記録しておき、次回以降の操作では記録した移行パターンを参照して、次に操作すべき成形条件設定項目を入力待ち状態とする技術が開示されている。これにより、予め記録された操作手順に従って成形条件を設定する場合はカーソル移動に関する操作支援を受けることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1及び2に開示されている技術は、ガイダンスの目視確認によって、予め定義された作業手順に沿って成形条件を設定することが可能であるが、具体的な成形条件の設定操作まで指示するわけではなく、予め定義された作業手順から外れた操作を行う場合はガイダンス等の支援を受けられないので、作業者が設定操作に迷うおそれがある。
特許文献3に開示されている技術は、成形条件の設定操作に有用なガイダンス情報を記載した案内画面の表示をするものの、その表示と具体的な設定操作箇所との間に関連性がないため、作業者が実際の設定操作に迷うおそれがある。
【0011】
特許文献4に開示されている技術は、参照ボタンの操作によって、詳細なガイダンス情報が画面に表示されるが、これについてもガイダンス情報と具体的な設定操作箇所との間に関連性がないため、作業者が実際の設定操作に迷うおそれがある。
【0012】
特許文献5に開示されている技術は、2回目以降の操作において、初回に記録した移行パターンを参照して、次に操作すべき成形条件設定項目を入力待ち状態としているため、予め記録された操作手段に従って成形条件を設定する場合には操作支援が行われて、次回に操作する箇所を確認することができるが、それとは異なる成形条件を設定する場合には、操作支援が行われるわけではないため、同じように作業者が実際の設定操作に迷うおそれがある。
【0013】
そこで本発明は、射出成形機における成形条件設定にかかわる操作を簡素化し、作業者の負担を軽減して作業効率を高め、作業経験が少ない作業者であっても容易かつ確実に成形条件の設定操作を行うことができる射出成形機の成形条件設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の請求項1に係る発明では、射出成形機の運転に係わる成形条件設定項目の設定操作を支援する射出成形機の成形条件設定装置であって、表示装置と、関連情報記憶手段と、成形条件指定部選択手段と、入力支援手段とを備え、前記表示装置は、前記成形条件設定項目を表示する成形条件表示部と、
射出成形機の操作方法を示唆する文字情報である所定の文
章で構成さ
れ、かつ前記成形条件表示部で入力する成形条件設定項目を指定する成形条件指定部を含む操作支援情報を表示する操作支援情報表示部とを備え、前記関連情報記憶手段は、前記成形条件設定項目と前記成形条件指定部とを関連づけた関連情報として記憶し、前記成形条件指定部選択手段は、前記操作支援情報表示部に表示された成形条件指定部から、選択された成形条件指定部を特定し、前記入力支援手段は、前記成形条件指定部選択手段により特定された成形条件指定部に対応する成形条件設定項目を、前記関連情報に基づいて特定し、前記成形条件表示部に表示されている操作画面を、前記成形条件指定部が指定する前記成形条件設定項目を有する操作画面に切り換えて表示し、前記操作画面に表示される前記成形条件設定項目を入力待ち状態とすることを特徴とする射出成形機の成形条件設定装置が提供される。
【0015】
請求項1に係る発明は、射出成形機の成形条件設定装置が備える表示装置の表示領域を成形条件表示部と操作支援情報表示部とで構成し、成形条件の設定操作を支援する所定の支援情報を記した支援画面を操作支援情報表示部に予め表示しておき、作業者が支援画面の成形条件指定部をタッチすることによって、成形条件表示部に表示する操作画面を自動的に支援画面でタッチされた成形条件指定部が指定する成形条件設定項目を有する操作画面に切り換えて表示するとともに、操作画面上の成形条件設定項目にカーソルを移動して入力待ち状態とすることによって、作業者が成形条件の設定箇所を特定することが可能となる。
また、一例として操作支援情報表示部として所定の文章からなる文字情報で構成し、成形条件指定部としてその文章に含まれる用語を用いるなど、関連情報記憶手段が、操作支援情報表示部を構成する文字情
報の一部として成形条件指定部を記憶することによって、例えば記憶させる成形条件指定部を、射出成形機の取扱説明書や操作説明書に記載されている文字情
報と一致させることによって、作業者が操作支援情報を容易に理解することが可能となる。
【0016】
本願の請求項2に係る発明では、前記表示装置は、前記成形条件表示部と前記操作支援情報表示部とを並べて表示する、または、前記成形条件表示部と前記操作支援情報表示部とを重ねて表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置が提供される。
請求項2に係る発明では、成形条件表示部と操作支援情報表示部とを並べて表示するか、または重ねて表示することによって、両表示部をわかりやすく表示することが可能となる。
【0018】
本願の請求項
3に係る発明では、前記成形条件指定部選択手段は、前記表示装置が備えるタッチパネルまたはポインティングデバイスによって選択された、前記操作支援情報表示部を構成する文字情報または図形情報の一部である前記成形条件指定部を特定することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置が提供される。
また、本願の請求項
4に係る発明では、前記操作支援情報表示部は、成形条件指定部を強調して表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置が提供される。
【0019】
請求項
3及び
4に係る発明では、成形条件の指定をタッチパネルやポインティングデバイスで行ったり、成形条件指定部を強調して表示したりすることによって、作業者による操作をわかりやすくすることが可能となる。
【0020】
本願の請求項
5に係る発明では、前記成形条件表示部は、入力待ち状態となった成形条件設定項目を強調して表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置が提供される。
本願の請求項
6に係る発明では、前記成形条件表示部は、入力待ち状態となった成形条件設定項目を指示するマークを前記成形条件設定項目の周囲に表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置が提供される。
本願の請求項
7に係る発明では、前記成形条件表示部は、入力待ち状態となった成形条件設定項目の周囲に、前記成形条件設定項目に係わる所定のガイダンスメッセージを表示することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置が提供される。
【0021】
請求項
5〜
7に係る発明では、成形条件表示部が入力待ち状態となった成形条件設定項目に対し、異なる配色を用いたり、アンダーラインを付加するなどして強調して表示したり、矢印などの設定項目を指示するマークを表示したり、設定項目の周囲にガイダンスメッセージを表示したりすることによって、作業者は成形条件設定項目を容易に識別することができるとともに、確実に成形条件の設定操作を行うことが可能となる。
【0022】
本願の請求項
8に係る発明では、成形条件設定装置に外部記憶媒体を装着することによって、前記操作支援情報に含まれる前記成形条件指定部と前記成形条件設定項目とを含む電子情報ファイルを前記外部記憶媒体に出力または入力する手段を有することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の成形条件設定装置が提供される。
【0023】
請求項
8に係る発明では、操作支援情報を外部記憶媒体に記憶させることができるようになるため、パソコン等の外部の情報機器で操作支援情報を確認したり、操作支援情報の内容を編集することが可能となる。また、パソコン等の外部の情報機器によって、既存の操作支援情報に作業ノウハウや注意事項といったことを追加してカスタマイズすることも可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、射出成形機における成形条件設定にかかわる操作を簡素化し、作業者の負担を軽減して作業効率を高め、作業経験が少ない作業者であっても容易かつ確実に成形条件の設定操作を行うことができる射出成形機の成形条件設定装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における射出成形機と成形条件設定装置の構成を示した図であり、
図1(a)は射出成形機の全体図、
図1(b)は成形条件設定装置100付近の拡大図である。本実施形態の射出成形機は、機台10上に射出部11と型締部13が設置されている。射出部11は、加熱シリンダ12、ホッパ14、射出用モータ16、射出装置可動レール18とから主に構成されており、ホッパ14内に貯留された樹脂材料が、加熱シリンダ12内に供給され、加熱シリンダ12内の図示しないスクリュが射出用モータ16によって駆動されることによって、樹脂材料が型締部13に送り込まれる。
【0027】
型締部13には、図示しない金型が配置されており、加熱シリンダ12から送り込まれてきた樹脂材料が金型内に送り込まれ、その後型締が行われることによって成形が行われる。型締部13には、
図1に示されているように、安全のために安全扉20や型締装置カバー22が設けられている。
射出成形機の中央部付近には、
図1(a)に示されているように成形条件設定装置100が設けられている。
図1(b)は、成形条件設定装置100の拡大図である。
図1(b)に示されているように、成形条件設定装置100は、中央に、操作/支援画面を表示したり、タッチパネルによる操作を受けつける表示装置102と、カーソルキーやエンターキーを含む電気式の操作キー104と、後述する外部記憶媒体の挿入部106を備えている。
【0028】
図2は、成形条件設定装置100の内部の構成を示した図である。成形条件設定装置100内には、CPU50と、表示装置(CRT/MDI)102を駆動する表示回路60と、データ保存用メモリ70と、外部記憶I/F80を介して外部入出力端子82とが接続されている。また、CPU50にはROM52とRAM54とが接続されている。外部入出力端子82には、外部記憶媒体90が装着可能であり、外部記憶媒体90に対して操作支援情報の入出力を行うことが可能である。
また、成形条件設定装置100の外部には、サーボアンプ34及びモータ32と、温度アンプ38及びヒータ36も接続されている。
【0029】
図3及び
図4は、本実施形態における成形条件表示部110の操作画面120と操作支援情報表示部150の支援画面152とが並べて表示されている様子を示した図である。
操作支援情報表示部150の支援画面152には、成形条件指定部160が表示されており、
図3は成形条件指定部160をタッチする前、
図4は成形条件指定部160をタッチした後を示している。
図3においては、成形条件設定装置100の表示装置102の上側約3分の2の領域に操作画面120が表示され、下側約3分の1の領域に支援画面152が表示されている。
また、作業者にとって両者の区別が容易となるように、操作画面120と支援画面152の背景色を異ならせるようにすることもできる。
【0030】
なお、
図3及び
図4においては、操作画面120と支援画面152とを上下方向に並べて表示しているが、左右方向に並べて表示してもよい。
また、操作画面120や支援画面152に係る所定の描画内容は、予めデータ保存用メモリ70に記憶させておくことができる。例えば、射出成形機の取扱説明書や操作説明書に記載されている文字情報または図形情報を電子情報としてデータ保存用メモリ70に記憶させておくことができる。
【0031】
操作画面120としては、「型動作エジェクト」、「型動作オプション」、「AI金型保護」といった複数の操作画面120が備えられており、これらの複数の操作画面120が重なった状態で表示されている。
図3に示された状態では、その複数の操作画面120のうちの「型動作エジェクト」画面が最前面になるように表示されている。
操作画面120の「型動作エジェクト」画面には、成形条件設定項目130として、型閉130a、型開130b、エジェクタ130cが表示されている。そして、それぞれの成形条件設定項目130として、型閉130aに位置、速度、型開130bに位置、速度、エジェクタ130cに後退、前進それぞれの位置、速度、停止が表示されている。
【0032】
なお、図示しない他の成形条件設定項目130としては、例えば成形材料をシリンダ内で加熱溶融する温度、シリンダ内で溶融した樹脂を金型内に射出する速度、溶融した樹脂が金型内で固化するまで待機する時間、金型を開閉する位置等の射出成形機の運転に係わる項目がある。
【0033】
また、表示装置102の全体は作業者がタッチすることで操作可能なタッチパネルで構成されており、操作画面120に表示された成形条件設定項目130をタッチして選択すると、成形条件設定項目130が入力待ち状態となり、新たな設定値である数字や文字を入力することによって、成形条件設定項目130の修正等を行うことができる。なお、入力待ち状態となった成形条件設定項目130は、他の成形条件設定項目130とは異なる背景色で表示することができる。さらに、タッチパネル上に表示したテンキーを押下することによって入力待ち状態となった成形条件設定項目130から、他の成形条件設定項目130にカーソルキーを移動することもできる。
【0034】
操作支援情報表示部150には、支援画面152を構成する文字情報として、データ保存用メモリ70に記憶された所定の文章が表示されている。また、支援画面152を構成する文字情報として、成形条件指定部160が含まれており、作業者にわかりやすく強調して表示するために、成形条件指定部160は四角で囲まれて表示されている。なお、成形条件指定部160を強調して表示する別の表示態様として、例えば他の描画内容とは異なる配色で成形条件指定部160を表示してもよいし、アンダーラインを付加するなどして表示してもよい。また、成形条件指定部160を選択するには、作業者がタッチパネルをタッチすることによって実現される。
【0035】
また、支援画面152の下側及び右側には、それぞれスクロールバー(171,172)が表示されており、操作支援情報表示部150に支援画面152の表示内容が収まらない場合には、これらのスクロールバー(171,172)を操作することによって、支援画面152を左右及び上下方向にスクロール移動させることが可能である。なお、スクロールバー(171,172)の代わりに、支援画面152上に、支援画面152の表示内容を左右または上下方向に移動させるページ切換え用のボタンを支援画面152上に配置し、このページ切換え用のボタンをタッチすることによって、支援画面152を左右または上下方向に切換えて表示してもよい。
【0036】
図4は、
図3の支援画面152に表示されている成形条件指定部160のうちの1つである同期昇温160bを選択した際の画面を示している。作業者が支援画面152上に配置されている成形条件指定部160のうちの同期昇温160bをタッチして選択すると、後述する支援情報変換テーブル180に記憶された関連情報に基づいて、選択された成形条件指定部160に関連づけられた操作画面120と成形条件設定項目130を読み出し、対応する操作画面120と成形条件設定項目130にジャンプする。
図4に示された例では、成形条件指定部160である同期昇温160bが選択された際に、操作画面120を「型動作エジェクト」画面から、同期昇温160bに関連づけられた「温度」画面に切り換え、さらに「温度」画面に配置された成形条件設定項目130である同期昇温130eを黒白反転させて表示させた上で、成形条件設定項目130である同期昇温130eを入力待ち状態とする。なお、成形条件設定項目130を入力待ち状態とするのは、作業者が直ぐに成形条件設定項目130の変更動作をできるように備えておくためである。
【0037】
図5は、関連情報記憶手段がデータ保存用メモリ70に記憶する支援情報変換テーブル180の一例を示した図である。支援情報変換テーブル180は、支援画面152を構成する文字情報または図形情報の一部である成形条件指定部160と、操作画面120上に表示される成形条件設定項目130とを関連づけたテーブルとして、予めデータ保存用メモリ70に記憶させておく。
図5に示した支援情報変換テーブル180では、支援画面152における各成形条件指定部160に識別IDを付与し、識別IDごとに、成形条件指定部160に対応する成形条件設定項目130と、その成形条件設定項目130が配置されている操作画面120とを関連づけたテーブルとしてデータ保存用メモリ70に記憶する。
【0038】
ここで、
図5においては成形条件指定部160の識別IDと、成形条件設定項目130と操作画面120の三者を関連づけて記憶しているが、成形条件設定項目130から操作画面120を特定できる場合には、支援情報変換テーブル180から操作画面120を省略することも可能である。例えば、予め支援情報変換テーブル180とは別に操作画面120の描画情報をデータ保存用メモリ70に記憶しておき、描画情報より成形条件設定項目130を含む操作画面120を特定できる場合は、支援情報変換テーブル180から操作画面120を省略することができる。
また、
図5の例では、成形条件指定部160と成形条件設定項目130とが1対1で関連づけられているが、1つの成形条件指定部160に対して複数の成形条件設定項目130を関連づけた支援情報変換テーブル180を作成して、データ保存用メモリ70に記憶しても良い。この場合、支援画面152の成形条件指定部160をタッチすると、操作画面120上に配置された複数の成形条件設定項目130が入力待ち状態となる。
【0039】
図6は、本実施形態の変形例として、成形条件表示部110の操作画面120の上に、操作支援情報表示部150の支援画面152を重ねて表示した例を示した図である。本変形例においても、操作画面120と支援画面152とを並べて表示された
図3及び
図4の例と同様に、支援画面152上に表示されている成形条件指定部160を選択した際には、支援情報変換テーブル180に記憶された関連情報に基づいて、操作画面120を成形条件指定部160に関連づけた所定の操作画面120に切り換えて、成形条件指定部160に対応する成形条件設定項目130を黒白反転するなどして強調して表示した上で、かかる成形条件設定項目130を入力待ち状態とする。
【0040】
なお、操作画面120の上に支援画面152を重ねて表示する際は、成形条件表示部110と操作支援情報表示部150とを含んだ表示装置102の表示部の全体にわたって表示してもよい。また、支援画面152の表示装置102への表示は、常に操作画面120とともに表示装置102に表示しておいてもよいし、表示装置102の電気式の操作キー104に割り当てた図示しない支援画面起動ボタンを操作することによって初めて表示するようにしてもよい。
【0041】
図7は、本実施形態の変形例として、支援画面152上に表示されている成形条件指定部160を選択した際に、対応する成形条件設定項目130を黒白反転して表示させることに加えて、成形条件設定項目130を指示するマーク142として、矢印を表示させるようにした例を示した図である。これにより、成形条件設定項目130の表示態様が小さい場合など、黒白反転のみでは作業者が認識しにくい場合であっても、別途矢印などの成形条件設定項目130を指示するマーク142を表示させることで、作業者が成形条件設定項目130を認識することが容易となる。本変形例のマーク142の表示は、成形条件指定部160として温度制御160aを選択した場合など、操作画面120上に複数の同類の成形条件設定項目130が存在する場合に、選択した時点での成形条件設定項目130の所在を指示する際などに、特に有用である。
【0042】
また、成形条件設定項目130を指示するマーク142の表示は、作業者が電気式の操作キー104の操作によって、マーク142の表示/非表示を切り換えることもできるし、支援情報変換テーブル180において、成形条件指定部の識別IDに対応させてマーク142の表示/非表示を併せて記憶しておき、マーク142を表示する際に支援情報変換テーブル180を参照してマーク142の表示/非表示を切り換えることもできる。一例として、前述のように成形条件指定部160が温度制御160aの場合は、成形条件指定部160に関連づけられた成形条件設定項目130である温度制御(130d、130f)が複数あり、作業者が入力箇所を間違いやすいためマークを表示するように設定しておき、同期昇温の場合は、設定項目の入力箇所が1か所のみであって作業者が入力箇所を間違えることが少ないと判断される場合には、非表示に設定しておくといったことが可能である。
【0043】
図8は、本実施形態の変形例として、支援画面152上に表示されている成形条件指定部160を選択した際に、操作画面120で入力待ち状態となった成形条件設定項目130のガイダンス140を別ウインドウで背景赤色で表示した状態を示した図である。ガイダンス140の内容については、支援情報変換テーブル180において、成形条件指定部の識別IDに対応させて併せて記憶しておく。
【0044】
また、ガイダンス140の表示についても、作業者が電気式の操作キー104を操作することによって、ガイダンス140の表示/非表示を切り換えることもできるし、成形条件指定部160の項目毎に、ガイダンス140の表示/非表示を支援情報変換テーブル180に併せて記憶しておくこともできる。この場合、作業者が操作を間違いやすい成形条件設定項目130についてガイダンス140を表示するように設定しておくことが好ましい。さらに、ガイダンス140の表示と入力待ち状態となった成形条件設定項目130を指示するマーク142の表示の双方を表示するように構成することも可能である。
【0045】
なお、本実施形態においては、支援画面152において表示される操作支援情報部として、文字情報である所定の文章による表示の例で説明したが、文字情報に代えて図形情報を用いて操作支援情報部を構成することもできる。一例として、
図4の操作画面110に表示されているヒータの図形を、支援画面152に表示させ、ヒータの図面内の該当箇所や、ヒータの下にヒータ内の箇所を示す、N、B1、B2、B3、Hと記載された文字の部分を成形条件指定部160として、作業者が選択可能とするように構成することも可能である。このように図形情報を用いて、操作支援情報部を構成すると、文字情報で構成した場合と比較して、作業者が直感的に成形条件指定部160を把握することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態においては、表示装置102をタッチパネルで構成した場合を示したが、ポインティングデバイスや電気式の操作キー等を用いて成形条件設定項目130または成形条件指定部160を選択及び操作をするように表示装置102を構成してもよい。
例えば、電気式の操作キーにより成形条件設定項目130を選択する場合などは、電気式の操作キーとして配置したカーソルキーによって成形条件設定項目130を選択し、エンターキーによって選択した成形条件設定項目130の選択を確定するものであってもよい。
【0047】
図9は、本実施形態における動作の流れを示すフローチャートである。以下、ステップ毎に説明する。
・(ステップSA1)操作画面120に、予めデフォルトで設定されている操作画面1、成形条件設定項目1を表示する。
・(ステップSA2)支援画面152を表示する。
・(ステップSA3)支援画面152において、作業者が選択した成形条件指定部を特定する。
【0048】
・(ステップSA4)支援情報変換テーブルに基づいて、特定された成形条件指定部に対応する操作画面2、成形条件設定項目2を抽出する(作業者が、操作画面2に存在する成形条件設定項目2に対応する成形条件指定部を選択した場合)。
・(ステップSA5)成形条件表示部110の操作画面120を、操作画面1から操作画面2に切り換えて表示する。
・(ステップSA6)操作画面2において、抽出した成形条件設定項目2を入力待ち状態とする。
【0049】
・(ステップSA7)作業者の電気式の操作キー等の設定や、成形条件指定部の項目ごとの設定により、成形条件設定項目を指示するマークを表示する設定とされているかどうかを判定する。表示設定となっている場合(YES)は、ステップSA8に進み、非表示設定となっている場合(NO)は、ステップSA9に進む。
・(ステップSA8)入力待ち状態となっている成形条件設定項目2の周囲に、成形条件設定項目を指示するマークを表示し、ステップSA9に進む。
・(ステップSA9)作業者の電気式の操作キー等の設定や、成形条件指定部の項目ごとの設定により、成形条件設定項目のガイダンスを表示する設定とされているかどうかを判定する。表示設定となっている場合(YES)は、ステップSA10に進み、非表示設定となっている場合(NO)は、そのまま終了する。
・(ステップSA10)入力待ち状態となっている成形条件設定項目2の周囲に、成形条件設定項目のガイダンスを表示して終了する。
【0050】
本実施形態のさらなる変形例として、
図1における外部記憶媒体の挿入部106に、メモリカード等の外部記憶媒体90を挿入し、成形条件設定装置内のデータ保存用メモリに記憶された支援画面の構成に必要な操作支援情報をメモリカード等の外部記憶媒体90に入力あるいは出力するように構成することもできる。このように構成することによって、操作支援情報をメモリカード等の外部記憶媒体90にコピーすることが可能となり、コピーされた操作支援情報を、パソコン等の外部の情報機器で確認することや、支援情報の内容を編集することが可能となる。
【0051】
これにより、メモリカードに出力された操作支援情報を、パソコン上の編集ソフトウェアを使用することにより、既存の操作支援情報に作業ノウハウや注意事項等を追加してカスタマイズすることが可能となる。また、カスタマイズした操作支援情報を、パソコンからメモリカードにコピーし、メモリカードを成形条件設定装置100の外部記憶媒体の挿入部106に装着することによって、カスタマイズした操作支援情報をメモリカードからデータ保存用メモリにコピーすることもできる。
【0052】
このようにして、カスタマイズした操作支援情報を成形条件設定装置100に反映することによって、射出成形機を異なる作業者で用いる場合であっても、カスタマイズされた操作支援情報を共有することが可能となる。
【0053】
本実施形態及び変形例によれば、成形条件表示部に表示される操作画面が複数あり、成形条件設定項目は複数の操作画面に分かれて配置されているため、通常は作業者が成形条件設定項目を適切に発見することが困難であっても、作業者は支援画面に配置された成形条件指定部をタッチするだけで、所望の成形条件設定項目を入力待ち状態とすることが可能となる。そのため、作業者が操作画面を切り換えて、成形条件設定項目にカーソル等を移動させる作業が不要となり、簡単な操作で成形条件の設定作業を進めることができ、作業効率や利便性が向上する。
【0054】
また、作業経験が少なく、成形条件に関する知識が不十分な作業者であっても、作業者が支援画面を操作するだけで、自動的に操作画面を切り換え、所定の成形条件設定項目にカーソルを移動して入力待ち状態とするため、作業者は容易にかつ確実に成形条件を設定することが可能となる。
なお、本実施形態及び変形例では、既存の成形条件設定装置が備える設備のみを使用し、新たな設備を追加する必要はないため、安価に構成することが可能となる。