(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一定回転数で回転制御されるエンジンと、該エンジンをアシストする電動発電機と、前記電動発電機の駆動を制御する制御部と、前記エンジンで駆動される油圧ポンプと、を有するハイブリッドショベルの制御方法であって、
前記油圧ポンプの負荷により前記エンジンの回転数が前記一定回転数より低下したときに前記電動発電機で前記エンジンをアシストし、前記電動発電機の目標回転数を前記一定回転数に対応する回転数より低い値に設定することにより、前記エンジンの回転数が前記一定回転数へ復帰する前に、前記電動発電機による前記エンジンのアシスト出力を低減することを特徴とする、
ハイブリッドショベルの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は本発明が適用されるショベルの側面図である。
【0014】
図1に示すショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端に、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にバケット6が取り付けられている。ブーム4,アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。
【0015】
図2は、
図1に示すショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。
図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示されている。
【0016】
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、変速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続されている。変速機13の出力軸には、油圧ポンプとしてメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。メインポンプ14は可変容量式油圧ポンプであり、斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量を制御することができる。
【0017】
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)、1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。
【0018】
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電器を含む蓄電系120が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26Cを含む。レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。
【0019】
図2に示すショベルは旋回機構2を電動にしたもので、旋回機構2を駆動するために旋回用電動機21が設けられている。電動作業要素としての旋回用電動機21は、インバータ20を介して蓄電系120に接続されている。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回変速機24が接続される。旋回用電動機21と、インバータ20と、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、旋回変速機24とで負荷駆動系が構成される。
【0020】
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
【0021】
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるために操作装置26を操作した場合の操作量を表す信号に相当する。
【0022】
コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧制御部としての昇降圧コンバータ100(
図3参照)を駆動制御することによるキャパシタ19の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。また、コントローラ30は、蓄電器電圧検出部によって検出される蓄電器電圧値に基づいて、蓄電器(キャパシタ)の充電率SOCを算出する。
【0023】
エンジン11には回転数を検出する回転計11aが設けられており、回転計11aの検出値(回転数値)がコントローラ30に供給される。コントローラ30は、回転計11aの検出値を常時監視し、後述のように回転計11aの検出値に基づいて電動発電機12の駆動を制御する。なお、本実施形態では、一つの制御部によってエンジンと電動発電機が制御される事例を示したが、エンジン用の制御部と電動発電機用の制御部をそれぞれ別のコントローラにより構成しても、エンジン用の制御部と電動発電機用の制御部は、本願発明の制御部に含まれる。
【0024】
図3は、蓄電系120の回路ブロック図である。蓄電系120は、蓄電器としてのキャパシタ19と、昇降圧コンバータ100と、DCバス110とを含む。DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ電圧値を検出するためのキャパシタ電圧検出部112と、キャパシタ電流値を検出するためのキャパシタ電流検出部113が設けられている。キャパシタ電圧検出部112とキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電圧値とキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
【0025】
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。DCバス110は、インバータ18A、及び20と昇降圧コンバータ100との間に配設されており、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を行う。
【0026】
昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部によって検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112によって検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電流値に基づいて行われる。
【0027】
以上のような構成において、アシストモータである電動発電機12が発電した電力は、インバータ18Aを介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。旋回用電動機21が回生運転して生成した回生電力は、インバータ20を介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。
【0028】
キャパシタ19は、昇降圧コンバータ100を介してDCバス110との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、本実施形態では、蓄電器としてキャパシタ19を用いているが、キャパシタ19の代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、リチウムイオンキャパシタ、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いてもよい。
【0029】
上述のような構成のショベルでは、作業中において、エンジン11に負荷がかかっているときもかかっていないときも、エンジン11の回転数を予め設定された一定の回転数に維持するような制御(定回転数制御)が行なわれている。このエンジン11の定回転数制御は、通常、エンジン11のコントロールユニット(ECU)が行なう。本実施形態では、このエンジン11が維持する一定の回転数をRE1(例えば、1800rpm)とする。そして、本実施形態では、エンジン11の回転数が負荷の増大により所定の回転数RE2(例えば、1750rpm)以下に低下した際に、電動発電機12を電動運転してエンジン11をアシストし、エンジン11の回転数が一定の回転数RE1に戻るように制御する。なお、本実施形態において、以下に説明する制御方法は、ショベルの全体を制御するコントローラ30が行うものであるが、コントローラ30に限られず、専用の制御部を設けることとしてもよい。
【0030】
本実施形態では、エンジン11の回転数が一定の回転数RE1に戻るように制御する際、エンジン11をアシストするときの電動発電機12の目標回転数RM1を、エンジン11の一定の回転数(目標回転数)RE1に対応する回転数より低く設定し、電動発電機12を電動運転する。例えば、変速機13における電動発電機12の回転数とエンジン11の回転数との比が1:Nであれば、電動発電機12の目標回転数RM1を、エンジン11の一定の回転数(目標回転数)RE1にNを乗じて求めた回転数以下に設定すればよい。また、変速機13における電動発電機12の回転数とエンジン11の回転数の比が1:1であれば、電動発電機12の目標回転数RM1を、エンジン11の一定の回転数(目標回転数)RE1以下に設定すればよい。本実施形態では、変速機13における電動発電機12の回転数とエンジン11の回転数の比が1:1であると仮定して説明する。
【0031】
電動発電機12の目標回転数RM1を、エンジン11の一定の回転数(目標回転数)RE1以下に設定するということは、エンジン11の目標回転数RE1と電動発電機12の目標回転数RM1との間に差を設けることである。エンジン11と電動発電機12との目標回転数に差を設けることで、エンジン11の回転数が目標回転数RE1から一旦低下してから、エンジン回転数を目標回転数RE1に戻すのに必要なトルクの全てを、電動発電機12の出力トルクで賄うのではなく、エンジン11自らがトルクを増大させることで、目標回転数RE1に戻るようにし向けることができる。
【0032】
以上のような本実施形態によるアシスト制御はショベルの駆動を制御する上述のコントローラ30が電動発電機12の駆動を制御することで達成される。以下、本実施形態に係るコントローラ30によるアシスト制御の一例について説明をする。具体的には、上述のアシスト制御を行なった場合のエンジン11及び電動発電機12の動作について、
図4を参照しながら説明する。
図4はエンジン11の回転数が低下したときに電動発電機12によるアシストを行なってエンジン11の回転数が元の一定の回転数に戻るまでの、エンジン11の回転数、電動発電機12のトルク、及びエンジン11のトルクの変化の一例を示すタイムチャートである。
【0033】
図4(a)はエンジン11の回転数の変化を示すタイムチャートであり、本例によるアシスト制御を行なった場合のエンジン回転数の変化が実線で示され、本例によるアシスト制御を行なわない場合のエンジン回転数の変化が点線で示されている。
図4(b)は電動発電機12のトルクの変化を示すタイムチャートである。
図4(c)はエンジン11のトルクの変化を示すタイムチャートであり、本例によるアシスト制御を行なった場合のエンジントルクの変化が実線で示され、本例によるアシスト制御を行なわない場合のエンジントルクの変化が点線で示されている。
【0034】
まず、時刻t1までは、エンジン11の負荷は小さく、エンジン11は一定の回転数(目標回転数RE1(例えば、1800rpm))に維持されている。したがって、時刻t1までは、
図4(c)に示すようにエンジン11のトルクは小さい。また、電動発電機12によるアシストは行なう必要が無いので、電動発電機12はアシスト運転を行なっておらず、
図4(b)に示すように電動発電機12のトルクはゼロである。
【0035】
時刻t1において、油圧ポンプ(メインポンプ14)を駆動するための負荷がエンジン11に加わったため、
図4(a)に示すように、エンジン回転数が低下し始める。エンジン11に加わる負荷が大きいため、エンジン回転数は低下し続け、時刻t2において、予め設定されている設定回転数RE2(例えば、1750rpm)まで低下している。すると、本実施形態では、上述のアシスト制御が開始される。具体的には、コントローラ30は、回転計11aから供給されるエンジン11の回転数値を監視しており、エンジン11の回転数値が設定回転数RE2以下になったと判断すると、電動発電機12を電動運転してアシスト制御を開始する。
【0036】
時刻t2において電動発電機12が電動運転(アシスト運転)されるので、
図4(b)に示すように、電動発電機12のトルクは時刻t2から急激に上昇する。この電動発電機12のトルクがエンジン11のトルクに加わり、エンジン11の駆動がアシストされるため、負荷に負けて低下し続けていたエンジン11の回転数の低下は止まり、エンジン回転数は上昇に転じる。一方、本実施形態によるアシスト制御を行なわない場合、
図4(a)の点線で示すように、時刻t2を過ぎてもエンジン11の回転数は上昇に転じることなく大きく低下していく。
【0037】
時刻t2において本例によるアシスト制御が開始されると、エンジン回転数は上昇に転じ、上述のアシスト制御を開始したときの設定回転数RE2(例えば、1750rpm)まで回復する。ここで、本例では、アシスト制御における電動発電機12の目標回転数RM1が、上述のエンジン11の設定回転数RE2に対応する回転数に設定されている。本例ではエンジン11の回転数と電動発電機の回転数の比を1:1としているので、電動発電機12の目標回転数RM1は、エンジン11の設定回転数RE2に等しい回転数に設定される。
【0038】
時刻t2を過ぎてからエンジン11の回転数が上昇に転じると、それ以降も、エンジン11が常にトルクを出力し続けるようにするため、
図4(b)に示すように、電動発電機12のトルクは減少に転じる。このように、電動発電機12によるアシストを弱めることで、エンジン11に意図的に負荷を与えることができる。その結果、エンジン11は継続してトルクを出力し続ける。そして、エンジン11の回転数が、電動発電機12の目標回転数RM1に対応する回転数である設定回転数RE2まで上昇すると、電動発電機12はその回転数を維持するようにトルクを出力する運転を行なう。このように、エンジン11の回転数が、エンジンの目標回転数RE1へ復帰する前に、電動発電機12のアシスト力を低減することで、エンジン11が常にトルクを出力し続けることができる。
【0039】
エンジン11の回転数が設定回転数RE2に維持されている間にも、エンジン11の定回転数制御が行なわれているので、
図4(c)に示すように、エンジン11自体のトルクは次第に大きくなっていく。これに伴い、電動発電機12でのアシストは不要になるので、電動発電機12のトルクは小さくなり、時刻t3において電動発電機12のトルクはゼロになる。すると、本例によるアシスト制御は終了し、電動発電機12の電動運転(アシスト運転)は停止される。
【0040】
時刻t3ではエンジン11の回転数は未だ設定回転数RE2であり、目標回転数RE1より低い回転数であるので、エンジン11の定回転数制御が働き、エンジン11のトルクはなおも上昇する。これによりエンジン11の回転数は時刻t3以降も上昇し、目標回転数RE1まで到達する。すなわち、エンジン11の回転数は、電動発電機12によるアシストが終了した時刻t3以降、エンジン11に対して行われている定回転数制御のみにより目標回転数RE1まで上昇する。このように、エンジン11の回転数が、エンジン11の目標回転数RE1へ復帰する前に、電動発電機12のアシスト力を低減することで、エンジン11が常にトルクを出力し続けることができる。
【0041】
エンジン回転数が目標回転数RE1に到達すると、その後は目標回転数RE1を維持するためだけのトルクを出せば良いので、
図4(c)に示すように、時刻t3以降に上昇したトルクは僅かに減少し、その後一定のトルクとなる。
【0042】
なお、時刻t3を過ぎてエンジン回転数が設定回転数RE2より高くなると、電動発電機12の回転数も目標回転数RM1より高くなる。このように電動発電機12の回転数が目標回転数RM1より高くなると、電動発電機12が発電運転を行なうように制御されるおそれがある。電動発電機12が発電運転を行なうと、エンジン11への負荷が増えることとなり、エンジン回転数をさらに目標回転数RE1まで上昇させようとしているのにブレーキをかけることとなってしまう。そこで、本例では、エンジン回転数が設定回転数RE2より高くなったら(すなわち、電動発電機12の回転数が目標回転数RM1より高くなったら)、電動発電機12の発電運転を禁止することで、エンジン回転数が設定回転数RE2から目標回転数RE1まで迅速に上昇できるようにしている。
【0043】
本例によるアシスト制御を行なわない場合では、
図4(a)に示すように、時刻t2以降もエンジン回転数は低下し続け、時刻t3付近でようやく定回転制御による燃料噴射量の増大の効果が現れてきて、エンジン回転数の低下は止まる。すなわち、エンジン11の燃料噴射量を増大することによるトルクの増大は、応答性が良くないので、時刻t1を過ぎてから定回転数制御が働いても、時刻t3までエンジン回転数は低下してしまう。一方、エンジン11に比較して電動発電機12は応答性が高く、エンジン回転数が設定回転数RE2に低下したら、短時間で電動発電機12のトルクがエンジン11に加わるので、エンジン回転数はすぐに上昇に転じる。
【0044】
本例によるアシスト制御を行なわない場合では、時刻t3を過ぎてからようやくエンジン回転数が上昇に転じ、時刻t4において目標回転数RE1まで復帰する。本例によるアシスト制御を行なわない場合、
図4に示す例では、時刻t3を過ぎてからエンジン回転数が上昇しているが、エンジン11にかかる負荷が大きいと、エンジン回転数が低下し続けて、最悪の場合にはエンジン11が停止してしまうおそれがある。
【0045】
そこで、本例によるアシスト制御では、エンジン11の回転数が低下したときに電動発電機12を電動運転(アシスト運転)することで、エンジン回転数の低下を抑制する。本例によるアシスト制御では、エンジン11の目標回転数RE1より低い設定回転数RE2までエンジン11の回転数が復帰すると、そこで電動発電機12によるアシストを停止してしまう。これにより、設定回転数RE2から目標回転数RE1までの間は、エンジン11自らのトルクにより回転数を上昇させることとなり、エンジン11の定回転数制御を適切に働かせることができる。
【0046】
一方、例えば、アシスト制御による電動発電機12のアシストで、エンジン回転数を目標回転数RE1まで上昇させてしまうと、エンジン11の定回転数制御を働かせる必要がなくなってしまう。この場合、エンジン回転数を目標回転数RE1まで上昇させた後も、目標回転数RE1を維持するために、電動発電機12によりアシストし続けなければならず、また、エンジン11の定回転数制御を適切に行なうことができない。
【0047】
そこで、本例によるアシスト制御では、エンジン11の目標回転数RE1より低い設定回転数RE2までエンジン回転数が上昇するまで電動発電機12でアシストし、それ以降はアシストを停止する。これにより、目標回転数RE1を維持しようとする定回転数制御が適切に働き、エンジン11自らのトルクで目標回転数RE1までエンジン回転数を上昇させて目標回転数RE1を維持することができる。
【0048】
また、
図4で示したアシスト制御の一例では、エンジン11の回転数が低下から上昇に転じた後も電動発電機12によるアシストが継続されている。具体的には、電動発電機12の目標回転数RM1に対応するエンジン回転数である設定回転数RE2に回復するまでエンジン回転数を上昇させるアシストが行われる。しかしながら、電動発電機12を用いたアシストによりエンジン回転数を所定回転数以下に低下しないように保持し、エンジン11の定回転数制御により該所定回転数から目標回転数RE1へのエンジン回転数の復帰が行われてもよい。即ち、電動発電機12は、エンジン回転数の低下を抑止する作用のみを果たし、エンジン11の回転数上昇は、エンジン11の定回転数制御により行われてよい。以下、コントローラ30によるアシスト制御の他の例について説明をする。
【0049】
図5は、エンジン11の回転数が低下したときに電動発電機12によるアシストを行なってエンジン11の回転数が元の一定の回転数に戻るまでの、エンジン11の回転数、電動発電機12のトルク、及びエンジン11のトルクの変化の他の例を示すタイムチャートである。
【0050】
図5(a)はエンジン11の回転数の変化を示すタイムチャートであり、本例によるアシスト制御を行なった場合のエンジン回転数の変化が実線で示され、本例によるアシスト制御を行なわない場合のエンジン回転数の変化が点線で示されている。
図5(b)は電動発電機12のトルクの変化を示すタイムチャートである。
図5(c)はエンジン11のトルクの変化を示すタイムチャートであり、本例によるアシスト制御を行なった場合のエンジントルクの変化が実線で示され、本例によるアシスト制御を行なわない場合のエンジントルクの変化が点線で示されている。
【0051】
まず、時刻t1までは、
図4に示したアシスト制御の一例と同様である。即ち、エンジン11の負荷は小さく、エンジン11は一定の回転数(目標回転数RE1(例えば、1800rpm))に維持されている。したがって、時刻t1までは、
図5(c)に示すようにエンジン11のトルクは小さい。また、電動発電機12によるアシストは行なう必要が無いので、電動発電機12はアシスト運転を行なっておらず、
図5(b)に示すように電動発電機12のトルクはゼロである。
【0052】
また、時刻t1から時刻t2までについても、
図4に示したアシスト制御の一例と同様である。即ち、時刻t1において、油圧ポンプ(メインポンプ14)を駆動するための負荷がエンジン11に加わったため、
図5(a)に示すように、エンジン回転数が低下し始める。エンジン11に加わる負荷が大きいため、エンジン回転数は低下し続け、時刻t2において、予め設定されている設定回転数RE2(例えば、1750rpm)まで低下している。すると、本例では、上述したアシスト制御が開始される。具体的には、コントローラ30は、回転計11aから供給されるエンジン11の回転数値を監視しており、エンジン11の回転数値が設定回転数RE2以下となったと判断すると、電動発電機12を電動運転してアシスト制御を開始する。
【0053】
時刻t2において電動発電機12が電動運転(アシスト運転)されるので、
図5(b)に示すように、電動発電機12のトルクは時刻t2から上昇する。そして、所定のトルクまで上昇する。この電動発電機12のトルクがエンジン11のトルクに加わり、エンジン11の駆動がアシストされるため、エンジン11の回転数の低下は抑止される。一方、本例によるアシスト制御を行なわない場合、
図5(a)の点線で示すように、時刻t2を過ぎてもエンジン11の回転数は大きく低下していく。
【0054】
時刻t2において本例によるアシスト制御が開始されると、電動発電機12のトルクは上昇し、所定のトルクに達すると、電動発電機12は、略一定のトルクでエンジン11の駆動アシストを行う。これにより、エンジン11の回転数の低下が止まり、エンジン11の回転数は、設定回転数RE2よりも低い所定回転数にて略一定に維持される。即ち、電動発電機12は、エンジン11の回転数が低下し、所定回転数に到達した場合において、エンジン11の回転数を該所定回転数で保持するのに必要なトルクでエンジン11の駆動アシストを行ってよい。
【0055】
ここで、時刻t2を過ぎて、エンジン11の回転数の低下が止まり、エンジン11の回転数が略一定に維持された状態においても、エンジン11の定回転数制御が行なわれている。そのため、
図5(c)に示すように、エンジン11自体のトルクは、引き続き上昇していく。このように、エンジン回転数の低下を所定回転数までに抑止し、エンジン回転数を該所定回転数に保持するようにアシスト制御が行われることにより、エンジン11に意図的に負荷を与えることができる。その結果、エンジン11のトルクは継続して上昇し続け、上昇したエンジン11のトルクにより、エンジン11の回転数は上昇し始める。
【0056】
また、エンジン11の回転数が上昇し始めると、エンジン11の定回転数制御によりエンジン11の回転数を目標回転数RE1に戻すためのトルクがエンジン11から出力され続けるため、電動発電機12によるアシストは不要となる。そのため、電動発電機12のトルクは小さくなり、時刻t3において電動発電機12のトルクはゼロになる。すると、本例によるアシスト制御は終了し、電動発電機12の電動運転(アシスト運転)は停止される。
【0057】
このように、コントローラ30が、エンジン回転数の低下を所定回転数までに抑止し、エンジン回転数を該所定回転数に保持するように電動発電機12を用いたアシスト制御を行うことにより、エンジン11は継続してトルクを出力し続けることができる。
【0058】
本例によるアシスト制御の終了後、エンジン回転数は、エンジン11の定回転数制御により上昇し続け、時刻t3を過ぎた後に、目標回転数RE1に達する。エンジン回転数が目標回転数RE1に到達すると、その後は目標回転数RE1を維持するためのトルクを出せば良いので、
図5(c)に示すように、時刻t3以降にトルクは僅かに減少し、その後一定のトルクとなる。
【0059】
なお、
図4に示したアシスト制御の一例と同様、エンジン回転数が設定回転数RE2より高くなると、電動発電機12の回転数も目標回転数RM1より高くなる。そのため、本例においても、エンジン回転数が設定回転数RE2より高くなったら(すなわち、電動発電機12の回転数が目標回転数RM1より高くなったら)、電動発電機12の発電運転を禁止するとよい。これにより、エンジン回転数が設定回転数RE2から目標回転数RE1まで迅速に上昇することができる。
【0060】
本例によるアシスト制御を行なわない場合では、
図5(a)に示すように、時刻t2以降もエンジン回転数は低下し続け、時刻t3付近でようやく定回転制御による燃料噴射量の増大の効果が現れてきて、エンジン11の回転数の低下は止まる。すなわち、エンジン11の燃料噴射量を増大することによるトルクの増大は、応答性が良くないので、時刻t1を過ぎてから定回転数制御が働いても、時刻t3までエンジン回転数は低下してしまう。一方、エンジン11に比較して電動発電機12は応答性が高く、エンジン回転数が設定回転数RE2に低下したら、短時間で電動発電機12のトルクがエンジン11に加わるので、エンジン回転数の低下をすぐに抑止することができる。
【0061】
本例によるアシスト制御を行なわない場合では、時刻t3を過ぎてからようやくエンジン回転数が上昇に転じ、時刻t4において目標回転数RE1まで復帰する。本例によるアシスト制御を行なわない場合、
図5に示す例では、時刻t3を過ぎてからエンジン回転数が上昇しているが、エンジン11にかかる負荷が大きいと、エンジン11の回転数が低下し続けて、最悪の場合にはエンジン11が停止してしまうおそれがある。
【0062】
そこで、本例によるアシスト制御では、エンジン11の回転数が低下したときに電動発電機12を電動運転(アシスト運転)することで、エンジン回転数の低下を抑止する。また、本例によるアシスト制御では、エンジン回転数が所定回転数まで低下した場合において、該所定回転数で略一定に保持されるように、電動発電機12のトルクが制御される。そして、エンジン11による定回転数制御によりエンジン11の回転数が上昇し始めると、電動発電機12によるアシストを停止する。これにより、上記所定回転数から目標回転数RE1までの間は、エンジン11自らのトルクによりエンジン回転数を上昇させることとなり、エンジン11の定回転数制御を適切に働かせることができる。
【0063】
一方、例えば、アシスト制御による電動発電機12のアシストで、エンジン回転数を目標回転数RE1まで上昇させてしまうと、エンジン11の定回転数制御を働かせる必要がなくなってしまう。この場合、エンジン回転数を目標回転数RE1まで上昇させた後も、目標回転数RE1を維持するために、電動発電機12によりアシストし続けなければならず、また、エンジン11の定回転数制御を適切に行なうことができない。
【0064】
そこで、本例によるアシスト制御では、エンジン回転数が目標回転数RE1よりも低い所定回転数まで低下した場合にエンジン回転数を該所定回転数で保持するように、エンジン11をアシストする。そして、エンジン11の定回転数制御によりエンジン回転数が上昇し始めた後は、アシストを停止する。これにより、目標回転数RE1を維持しようとする定回転数制御が適切に働き、エンジン11自らのトルクで目標回転数RE1まで回転数を上昇させて目標回転数RE1を維持することができる。
【0065】
なお、上述した
図4、
図5に示すアシスト制御の各例において、設定回転数RE2は、エンジン11の定回転数制御が働く回転数であれば、目標回転数RE1より低い任意の回転数として適宜決定すればよい。また、上述した各例では、エンジン11の回転数が低下し始めてから設定回転数RE2以下となったとき(時刻t2)にアシスト制御を開始することとしているが、必ずしも設定回転数RE2を基準にする必要はない。例えば、設定回転数RE2より低い回転数を基準としてアシスト制御の開始を判断してもよい。
【0066】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0067】
例えば、上述の実施形態では旋回機構2が電動式であったが、旋回機構2が電動ではなく油圧駆動の場合がある。
図6は
図2に示すショベルの旋回機構を油圧駆動式とした場合の駆動系の構成を示すブロック図である。
図6に示すショベルでは、旋回用電動機21の代わりに、旋回油圧モータ2Aがコントロールバルブ17に接続され、旋回機構2は旋回油圧モータ2Aにより駆動される。このような構成のショベルであっても、上述の実施形態のようにして、目標回転数RE1を維持しようとする定回転数制御が適切に働き、エンジン11自らのトルクで目標回転数RE1まで回転数を上昇させて目標回転数RE1を維持することができる。
【0068】
なお、本願は、2012年11月8日に出願した日本国特許出願2012−246576号に基づく優先権を主張するものであり、その日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。