(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パルス発生機構が、前記消毒放射線供給源の前記1つ又は2つ以上に、前記保管区画内に保管されたレンズの表面にわたる放射線のパターンを生成させる、請求項9に記載のシステム。
前記眼用レンズ保管区画が、消毒放射線を、コンタクトレンズの周辺縁部にわたる平面と本質的に直交する角度で受けるように、該コンタクトレンズを位置合わせするための位置合わせ加工構造を備える、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
前記眼用レンズ保管区画が、紫外放射線を透過する保管ケースを備え、紫外放射線は、該保管ケースの底部及び頂部の一方又は両方にわたる平面と本質的に直交する角度で方向付けられる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
前記眼用レンズ保管区画が、磁石を更に備え、前記ベース部が、磁気パルスの供給源を更に備え、該磁気パルスが、前記眼用レンズ保管区画を振動させる、請求項1〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンタクトレンズの消毒は、従来、容器又はケース内にコンタクトレンズを入れ、コンタクトレンズを化学消毒液に曝すことによって行われている。しかしながら、化学消毒液は、必ずしも所望されるほど効果的ではない。
【0005】
また、コンタクトレンズの取り扱い中に清潔な環境を維持することは、概して、良好な眼の状態に不可欠であると考えられている。十分に考慮されないことの多い清潔さの1つの観点は、コンタクトレンズケースの清潔な外面である。コンタクトレンズ取り扱い者が入念に手を洗い、レンズ用溶液を適切に使用したとしても、このような行為の有効性は、バクテリア及び菌類など病原体が、コンタクトレンズの保管に用いられるコンタクトレンズケースの外面に存在し得る場合に、限定される。
【0006】
その結果、往々にして、バクテリア、カビ、菌類、又は他の種類の有害な生命体を有するコンタクトレンズが、ユーザーの眼の中に再挿入され、その結果として疾病眼となる。更に、最も効果的な消毒溶液は、高価であり、視力矯正又は美容増進のためにコンタクトレンズを使用する総費用を増大させる傾向がある。したがって、コンタクトレンズを消毒するための新たな方法及び手法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、1つ又は2つ以上の眼用レンズを保管するための眼用レンズ保管ケースのためのベース部に関する。ベース部は、1つ又は2つ以上のレンズを保管可能な眼用レンズ保管ケースを受容するための収容部と、保管ケースに近位の消毒放射線の供給源と、消毒放射線供給源と眼用レンズ保管ケース内のレンズとの間の拡散材と、を備える。このレンズ保管ケースは、コンタクトレンズ上の、厄介なバクテリア、ウイルス、カビ、菌類などを死滅させるために好適な波長及び強度で、消毒放射線を受けることが可能である。このベース部は、コンタクトレンズ上の、厄介なバクテリア、ウイルス、カビ、菌類などを死滅させるために好適な、1つ又は2つ以上の波長及び強度、持続時間で、制御された消毒放射線を供給することが可能である。
【0008】
拡散材は、フルオロポリマーを含み得る。
【0009】
拡散材は、ケースの形状を包み込む形状であり得る。
【0010】
ベース部は、眼用レンズ保管区画に向けて消毒放射線を反射するための、反射表面を更に含むことができ、反射表面が、テフロン、アルミニウム、酸化マグネシウム、及び酸化ジルコニウムのうちの1つ又は2つ以上を含む。
【0011】
ベース部は、拡散材の少なくとも一部に放射線を集束させることができる光学品質材を、更に備え得る。
【0012】
消毒放射線供給源は、紫外放射線を放出する1つ又は2つ以上の発光ダイオードを備え得る。
【0013】
消毒放射線供給源は、1つ又は2つ以上の殺菌球を備え得る。
【0014】
殺菌球は、レンズ保管ケースの1つ又は2つ以上の保管区画を循環する形状を有し得る。
【0015】
ベース部は、消毒供給源の1つ又は2つ以上に紫外放射線のパルス発生をさせるための機構を更に備え、パルス発生機構が、電子回路を備える。
【0016】
パルス発生機構は、消毒放射線供給源の1つ又は2つ以上に、保管区画内に保管されたレンズの表面にわたる放射線のパターンを生成させる。
【0017】
ベース部は、ソフトウェアを実行するプロセッサを更に含み、生成される放射線のパターンは、ソフトウェア内に含まれる命令に基づく。
【0018】
発光ダイオードは、約50マイクロワット〜5ワットの電力を放出し得る。
【0019】
消毒放射線供給源は、250ナノメートル〜280ナノメートルの波長で、放射線を放出することができる。
【0020】
殺菌球の一方又は両方によって放出される消毒放射線は、保管区画内に保管された眼用レンズ上の微生物を死滅させるために、ベース部に近位の保管区画に対する十分な強度及び曝露時間の長さを含み得る。
【0021】
プロセッサは、消毒放射線の生成を制御するために使用してもよい。
【0022】
消毒放射線供給源によって消毒放射線が供給される時間は、プロセッサによって生成されるロジック制御信号に基づき得る。
【0023】
消毒放射線が供給される強度は、プロセッサによって生成される論理制御信号に基づき得る。
【0024】
ベース部は、消毒放射線の供給源の動作に基づいて音響信号を提供するよう稼働する音響構成要素を、更に備え得る。
【0025】
ベース部は、消毒放射線が拡散材を通過した後に、消毒放射線を測定するためのフィードバックループシステムを、更に含み得る。
【0026】
ベース部は、フィードバックループシステムの強度値を検出することができる拡散材に近接して位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサーを、更に含み得る。
【0027】
ベース部は、プロセッサによって伝送されるデジタルデータに基づいて、消毒プロセスの状況を表示するためのディスプレイを、更に含み得る。
【0028】
ベース部は、消毒プロセスに関する情報を記憶するためのデジタル記憶装置を、更に含み得る。
【0029】
ベース部は、保管ベース部内に定置された保管ケースに機械的運動を供給するための振動発生装置を、更に含み得る。
【0030】
振動発生装置は、圧電機構を備え得る。
【0031】
圧電機構は、プロセッサにより生成された論理信号に基づいて稼働し得る。
【0032】
ベース部は、プロセッサ及びデジタル記憶装置の一方又は両方と個人用処理装置との間に、論理通信を提供するためのユニバーサルシリアルバスコネクタを、更に含み得る。
【0033】
ベース部は、保管ベース部を動作させるための電流を提供するための、ユニバーサルシリアルバスコネクタを更に含み得る。
【0034】
ベース部は、保管ベース部を稼働させるための電力を蓄積する蓄電装置を、更に備え得る。
【0035】
蓄電装置は、1つ又は2つ以上の充電式電池を備え得る。
【0036】
蓄電装置は、1つ又は2つ以上のリチウムイオン電池を備え得る。
【0037】
眼用レンズ保管区画は、消毒放射線を、コンタクトレンズの周辺縁部にわたる平面と本質的に直交する角度で受けるように、コンタクトレンズを位置合わせするための、位置合わせ加工構造を含み得る。
【0038】
眼用レンズ保管区画は、紫外放射線を透過する保管ケースを含んでもよく、紫外放射線が、保管ケースの底部及び頂部の一方又は両方にわたる平面と本質的に直交する角度で、方向付けられる。
【0039】
眼用レンズ保管区画は、磁石を更に含んでもよく、ベース部は、磁気パルスの供給源を更に含み、磁気パルスが、眼用レンズ保管区画を振動させる。
【0040】
消毒放射線強度と、波長と、方向と、コントラストと、拡散を制御するために、1つ又は2つ以上の放射線拡散材の種類を含み得る。例えば、拡散材が、フッ素化エチレンプロピレン「FEP」などのフルオロポリマーである場合が該当する。
【0041】
コンタクトレンズに送られる放射線の強度を変化させ、かつ放射線をコンタクトレンズの全領域にわたって均一に分散させるために、特定の形状及び幾何学的形状を使用してもよい。
【0042】
消毒放射線ベース部は、その消毒放射線ベース部内に載置された保管ケース内に保管される眼用レンズに向けて、消毒放射線を反射するための鏡などの1つ又は2つ以上の反射表面を、含み得る。
【0043】
消毒ベース部は、特定の微生物に必要な消毒液の量を特に目標として送られるUV線量を、測定かつ制御する機構を、更に備え得る。
【0044】
このベース部は、死滅した微生物を効果的に移動させ、死滅していない微生物の消滅放射線への曝露を増加させるのに機械的に十分な振動周波数を、提供してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の項において、本発明の1つ又は2つ以上の実施形態を、より詳細に説明する。好ましい実施形態及び代替的実施形態の説明は、いずれも、あくまで例示的な実施形態に過ぎないものであって、当業者にとって、変形、改変、及び変更が明らかとなり得ることは、理解される。したがって、これらの例示的な実施形態が、基礎をなす発明の範囲を限定するものではない点は、理解されるはずである。
【0047】
用語
本発明を対象としたこの説明及び特許請求の範囲においては、以下の定義が適用される様々な用語を用いることができる。
拡散材:本明細書で使用するとき、消毒放射線への曝露により著しく劣化することなく、材料の組成により、あるいは、コーティングの使用により、消毒放射線を拡散可能な材料を指し、拡散材は、消毒放射線を少なくとも部分的に透過する。例えば、拡散材は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)材料又はコーティングなどのフルオロポリマーを含み得る。
【0048】
消毒放射線:本明細書で使用するとき、消毒放射線量を受ける生命体の、期待寿命を減少させるのに十分な、放射線の周波数及び強度を指す。
【0049】
消毒放射線量:本明細書で使用するとき、生物の量を、対数目盛上で少なくとも2の対数、好ましくは3の対数以上で低減する、放射線の量を指し、その生物としては、少なくとも、バクテリア、ウイルス、カビ、及び菌類が挙げられる。
【0050】
レンズ:眼の内部又は眼の上に置かれる任意の眼用装置のことを指す。これらの装置は、光学的補正を与えるものであってもよく、あるいは美容的なものであってもよい。例えば、レンズなる用語は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼球インサート、光学インサート、又はそれによって視力が矯正若しくは改変されるか又はそれによって眼の生理機能が視力を妨げることなく美容的に高められる(例えば虹彩の色)ような他の同様の装置のことを指し得る。レンズは、シリコーンエラストマー又はハイドロゲルから作製されるソフトコンタクトレンズであってもよく、それらのシリコーンエラストマー又はハイドロゲルとしては、シリコーンハイドロゲル及びフルオロハイドロゲルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
ここで
図1を参照すると、放射線消毒ベース部101と、放射線消毒保管ケース102と、消毒放射線供給源103と、を含む、眼用レンズ消毒システム100が示されている。本発明によれば、放射線消毒保管ケース102は、放射線消毒供給源103からの放射の経路の範囲内に位置決めされることにより、放射線消毒保管ケース102内部に保管された1つ又は2つ以上の眼用レンズが、放射線消毒供給源103から発せられる放射に曝露され、眼用レンズ上又は眼用レンズの近位に存在する生命体が、放射線消毒供給源によって提供される消毒放射に曝露されて死滅し、その眼用レンズを本質的に消毒する。
【0052】
図示のように、放射線消毒保管ケース102は、放射線消毒ベース部101及び蓋106と共に、開放状態で位置決めされる。放射線消毒保管ケース102は、消毒放射線供給源103と放射線消毒保管ケース102とを位置合わせするための、位置決め加工構造105を含み得る。図示されるように、位置決め加工構造105は、消毒放射線供給源103の環状配置を受容するための環状凹部を備える。位置決め加工構造105には、ほぼすべての多角形状凹部が含まれてもよい。加えて、又は代わりに、ケースは、1つ又は2つ以上の位置合わせピンを備え得る。位置決め加工構造105としては、スナップ、ネジ式接合、又は他の着脱可能に固定される種類の接合を、挙げることができる。
【0053】
位置決め加工構造105は、放射線消毒保管ケース102内部に保管されるコンタクトレンズの頂点と概ね直交する位置に、放射線消毒放射線供給源103を位置合わせしてもよい。加えて、又は代わりに、位置決め加工構造105は、コンタクトレンズの底部周辺にわたって延在する平面と概ね直交する位置に、放射線消毒放射線供給源103を位置合わせしてもよい。
【0054】
放射線消毒ベース部101から、放射線消毒保管ケース102に、また最終的には、放射線消毒保管ケース102内部に保管されたレンズに、振動周波数を伝送することが可能な場合もある。この振動周波数は、死滅した生命体を、死滅していない生命体への放射線の経路の範囲内から移動させることが可能な周波数とすることができる。死滅した生命体を移動させると、より多くの死滅していない生命体を放射線の直接経路に曝露することによって、より有効な消毒が可能になる。
【0055】
放射線消毒放射線供給源103は、1つ又は2つ以上の発光ダイオード(LED)を含み得る。LEDとして、紫外線(UV)放出LEDを挙げることができ、紫外線(UV)放出LEDは、約250ナノメートルの光放射〜約280ナノメートルの光放射の波長で、光放射を放出し得る。好ましくは、その波長は、250ナノメートル〜275ナノメートル、最も好ましくは、254ナノメートルである。
【0056】
放射線消毒保管ケース102の上方の蓋領域内に、反射表面107を設けてもよい。反射表面108もまた、放射線消毒保管ケース102の下方の領域内に、含めることができる。反射表面としては、非限定的な例として、テフロン(登録商標)PTF−E、アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及びAlzak(登録商標)を挙げることができる。
【0057】
ここで
図2を参照すると、ブロック図は、UVスペクトルでの消毒放射線202を、コンタクトレンズ201に向けて放射する、1つ又は2つ以上のUV−LEDなどの放射線消毒供給源200の、位置合わせを示す。UV−LEDは、放射線消毒保管ケースが、コンタクトレンズ201に関連する特定の位置で位置合わせされるように、配置構成することができる。この位置合わせは、位置合わせ加工構造を用いて保持される。放射線消毒保管ケースは、UV放射線202を、放射線消毒保管ケース内に保定されるコンタクトレンズ201の頂点204に接する平面203と、本質的に直交する角度で方向付けるように、位置合わせすることができる。
【0058】
加えて、又は代わりに、放射線消毒保管ケースは、1つ又は2つ以上のUV放出LED200Aからの消毒放射線202Aを、コンタクトレンズ201の周辺縁部207にわたる平面205と、本質的に直交する角度で方向付けるように、位置合わせすることができる。
図12及び
図13に記載の通り、放射線は、コントラスト及び強度などのものにおける均一性を保証するために、拡散材を使用することにより、更に制御し得る。
【0059】
1つ又は2つ以上の光学素子208を使用して、消毒放射線保管ケース内に保管されたレンズ上に、消毒放射線を集束させることができる。光学素子は、ベース部又は保管ケースの一部に含まれてもよい。
【0060】
ここで
図3を参照すると、例示の放射線消毒保管ケース300が示されている。放射線消毒保管ケース300は、1つ又は2つ以上のレンズ保管区画301を備える。保管区画301は、コンタクトレンズなど1つ又は2つ以上の眼用レンズを受容し、かつ保管できる。
【0061】
保管区画301に保管された眼用レンズの位置を合わせる1つ又は2つ以上のレンズ位置合わせ機構302は、放射線消毒保管ケース300に含まれ得る。レンズ位置合わせ機構302として、例えば、眼用レンズの内寸と概ね同様の寸法及び形状の弓状表面を備える台が挙げられてもよい。凸面には、放射線消毒保管ケース300内に保管される眼用レンズの凹面の弧と概ね等しい弧が含まれてもよい。レンズ位置合わせ機構306は、眼用レンズの外寸と概ね同様の寸法及び形状のくぼみを備え得る。
【0062】
位置決めにより、保管されるレンズを、消毒放射線の直接経路内に位置合わせし得る。しかし、1つ又は複数の反射表面306又は放射線拡散材を設けてもよい。反射表面306には本質的にミラーが含まれ、消毒放射線を所望の方向に反射させる機能を有する、ガラス、プラスチック、金属、又はコーティングから形成されてもよい。概して、この方向は、ベース部に位置決めされた保管ケース300に保管されたレンズに向かっている。反射表面306は、保管されるレンズの表面に、概ね近位であり、かつ/あるいは概ね平行とすることができる。加えて、又は代わりに、ケースは、保管されたレンズの周辺の概して周囲の反射表面306を備え得る。
【0063】
保管区画301には、1つ又は2つ以上の放射線窓303〜304が備えられる。放射線窓303〜304は、消毒放射線の波長を少なくとも部分的に透過する放射線消毒保管ケースの一部分をもたらす。好ましくは、放射線窓303〜304は、保管区画301に伝送される消毒放射線を、可能な限り100%に近く透過する。射出成形可能なプラスチックは、UV放射線を90%以上、あるいは、98%以上さえも透過し得る。特定の波長には、約254ナノメートル〜280ナノメートルが含まれてもよい。
【0064】
放射線窓は、保管区画301に保管された眼用レンズの領域に向けて消毒放射線を方向付けるための光学素子を備えてもよい。ケース全体は、放射線がレンズを通過し、したがってレンズに到達することを可能にする透明材料からなり得る。
【0065】
放射線窓303〜304が形成され得る材料の例としては、例えば、環状オレフィン、TOPAS、ZEONOR(登録商標)、又は他の射出成形可能なプラスチックが挙げられる。他のプラスチック又はガラスも、放射線窓303〜304の材料として用いてもよい。放射線窓303〜304の領域は、保管区画301に保管された眼用レンズ上に存在する生命体を死滅させるのに十分な消毒放射線を保管区画にもたらすのに、十分である必要がある。
【0066】
放射線消毒保管ケースの製造の方法は、射出成形プロセスを含む。他の方法としては、例えば、旋盤加工、ステレオリソグラフィー、及び三次元印刷が挙げられる。
【0067】
放射線消毒保管ケース300は、キャップ306の固定、及び保管区画307からのキャップ306の取り外しを行うための締結機構305A〜305Bを備えてもよい。締結機構305A〜305Bは、ネジ付き部分、スナップ、及び使用者の裁量により、キャップ308をケースに取り外し可能に固定するための、他の機構のテーパ形状接合部を備えてもよい。キャップ308が保管区画307に固定されている間、キャップは、保管区画307から雰囲気を遮断し、同時に区画307内に眼用レンズ、及び任意で、例えば食塩水などの溶液を収容する。
【0068】
ここで
図4を参照すると、放射線消毒ベースユニット400が、複数の消毒放射線供給源LED 401〜402と共に示されている。図示されるように、消毒放射線供給源LED 401〜402は、天井部の消毒放射線供給源LED 401及び下方の消毒放射線供給源LED 402の一方又は両方を備えてもよい。天井部の消毒放射線供給源LED 401及び下方の消毒放射線供給源LED 402に加えて、ベースユニットは、放射線消毒ベース部400に関連する様々な側面を制御するための制御電子回路を有するプロセッサボード403を備えてもよい。
【0069】
プロセッサボード403は、デジタル記憶装置408に接続してもよい。デジタル記憶装置は、コマンドに応じて、あるいは放射線消毒ベースユニット400の動作時に自動的に実行可能である実行可能ソフトウェアを含んでもよい。デジタル記憶装置408は、放射線消毒ケース400の動作に関連するデータを記憶してもよい。動作データとしては、例えば、放射線消毒ベースユニット400の稼働期間、消毒されたレンズのシリアル番号、レンズの使用期間、又は他の情報が挙げられる。放射線消毒ベースユニット400は、スキャナー409又は放射線消毒ベースユニット400に保管されたレンズに関連する識別番号を入力するための他の入力手段を備えてもよい。例えば、スキャナー409は、バーコード又はレンズパッケージ上の他の記号をスキャンし、バーコード番号又は記号に関連する消毒情報を記録してもよい。記録され得る情報としては、例えば、レンズが消毒放射線に曝露された時間数及びレンズが使用された日数が挙げられる。
【0070】
1つ又は2つ以上の消毒放射線供給源LED 401〜402は、統合型のLEDセンサーを含み得る。あるいは、ベースユニットは、消毒放射線供給源LED 401〜402からは分離している、天井部のLEDセンサー及び下部のLEDセンサーの一方又は両方を含み得る。LEDセンサーは、デジタル記憶装置408内にデータを記憶することができるプロセッサボード403と、論理通信することができる。
【0071】
天井部のCCD画像センサー410又は下部のCCD画像センサー411の1つ又は2つ以上を、放射線消毒ベースユニット400内に含めることができる。CCD画像センサー410〜411は、デジタル記憶装置408内にデータを記憶することができるプロセッサボード403と、論理通信することができる。
【0072】
プロセッサボード403は、LEDセンサーのデータ及びCCD画像センサーのデータの一方又は両方を分析することができ、その分析の目的としては、消毒放射線供給源LED 401〜402が機能するか否かを検知することと、消毒放射線供給源LED 401〜402が許容可能なレベルで動作しているか否かを検知することと、放射線消毒保管ケースが放射線消毒ベースユニット400内に存在するか否かを検知することと、コンタクトレンズが放射線消毒保管ケースの内部に存在するか否かを検知することと、コンタクトレンズの清潔度を検知することと、以前のレンズの清潔度のデータと現在のレンズの清潔度のデータとの比較に基づいて、新たなコンタクトレンズが放射線消毒保管ケース内に挿入されているか否かを判定することと、ユーザーが2つの異なるレンズ倍率を装用する場合に、放射線消毒保管ケース内部での左右のコンタクトレンズの正しい配置を検知することと、異なるレンズ銘柄に関するプロファイル特徴に対する、2つのUV示度の比較に基づいて、レンズ銘柄を検知することと、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
電気通信コネクタ404もまた、放射線消毒ベースユニット400内に含めることができる。電気通信コネクタ404には、ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタ又は他の種類のコネクタが含まれてもよい。このコネクタは、データ及び電力の一方又は両方を伝達するための端子を備えてもよい。電気通信コネクタ404は、放射線消毒ベースユニット400を稼働させるための電力を供給してもよい。ベースユニットは、1つ又は2つ以上の電池405又は他の蓄電装置を備えてもよい。バッテリー405としては、1つ又は2つ以上のリチウムイオン電池、又は他の再充電式装置が挙げられる。蓄電装置は、電気通信コネクタ404を用いて充電電流を受容できる。好ましくは、放射線消毒ベースユニット400は、電池405に蓄えられた電力を用いて稼働する。
【0074】
電気通信コネクタ404は、AC電流又はDC電流の単純供給源を含み得る。
【0075】
ベースユニットは、振動発生装置406などの機械的動作の供給源を備えてもよい。振動発生装置406としては、例えば圧電変換器が挙げられる。圧電変換器は、低電力の信頼性の高い装置を提供して、機械的運動又は振動運動をもたらす。
【0076】
この振動運動は、放射線消毒ベースユニット400内の保管ケース内部に保管された死滅した微生物を、効果的に移動させる周波数に調整し得る死滅した生物を移動させることにより、この移動が無ければ消毒放射線から保護されていたであろう生存微生物が曝露される。振動運動は、放射線消毒ケース内部に保管されたコンタクトレンズから、効果的にタンパク質を除去する周波数に調整してもよい。タンパク質除去は、微生物除去と同じ振動周波数で、又は異なる周波数で実施することができる。
【0077】
プロセッサボード403又は他の電子回路は、消毒放射線供給源LED 401〜402によって放出される、光又は放射線のパターンを制御することができる。この光のパターンとしては、例えば、設定周波数又は可変周波数の一方又は両方の、パルスUV、あるいは他の形態のストロボ放射線を挙げることができ、その周波数の少なくとも一部は、微生物を消毒するために好適である。実施例は、持続波の周期、持続方形波の周期、可変波の周期、及び可変方形波の周期のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。
【0078】
消毒放射線供給源LED 401〜402は、50マイクロワット〜5ワットの範囲の電力を供給する。長期間にわたる持続的な低い電力を使用して、又は高い電力の短い突発波が、時間と共に、最も好ましくは持続的UVで使用されるよりも短い期間にわたって、分散されるパルスUVを使用して、等価の消毒放射線の線量を適用することができる。パルスUVを使用して、等価のUV線量又はより少ないUV線量を使用する持続的UVよりも、効果的な微生物の根絶を達成することができる。
【0079】
プロセッサボード403又は他の電子回路は、光のパターンと、消毒の周期時間と、消毒強度と、を、諸因子に基づいて更に調整することができ、それらの因子としては、レンズが消毒された回数、レンズが最初に消毒されてからの時間の量、感知されたレンズの清潔度、及び現在のバルブの性能が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
ベースユニットはまた、ディスプレイ407を備えてもよい。ディスプレイ407は、プロセッサボード403と論理通信を行っており、人間が読み取れる形態で、放射線消毒ベースユニット400の動作に関するデータを伝えるために用いられる。
【0081】
ここで
図5を参照すると、放射線消毒ベースユニット500は、閉鎖位置で示されている。放射線消毒ベース部501は、蓋502によって覆われており、蓋502は、放射線消毒ベース部501とヒンジ結合して、放射線消毒ベース部501の上面を覆って折り重ねられる。図示のように、ディスプレイ503を、蓋502内に位置させることができ、放射線消毒ベースユニット500によって実行されている消毒周期又は手順の指示を提供することができる。
【0082】
ここで
図6Aを参照すると、消毒放射線供給源殺菌球601Aとともに、放射線消毒ベースユニット600Aの一部分の切り欠き図が示される。図示のように、殺菌球601Aは、放射線消毒保管ケース602Aを収容する区画を概して取り囲む放射線消毒ベースユニット600A内部に、収容することができる。ベースユニットは、放射線消毒保管ケース602Aの上方の蓋領域内に、反射表面603Aを含み得る。反射表面604Aもまた、放射線消毒保管ケース602Aの下方の領域内に、含めることができる。更に、殺菌球空洞605Aは、反射表面を組み込むことができる。反射表面としては、非限定的な例として、テフロン(登録商標)PTF−E、アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及びAlzak(登録商標)を挙げることができる。
【0083】
図6Bは、放射線消毒保管ケース602Aを収容する区画の下方に位置決めされた消毒放射線供給源殺菌球601Bを有する、放射線消毒ベースユニット600Bの一部分の切り欠き図を示す。反射表面603B及び604Bは、それぞれ、放射線消毒保管ケース602Bの上方及び下方、並びに殺菌球空洞605B内に存在し得る。
【0084】
殺菌球は、放射線消毒ベースユニットの蓋の内部に収容することができる。ベースユニットは、ベースユニットの下側部分、蓋部分、又は両方を含めた複数の殺菌球を、含み得る。殺菌球は、先行の図で説明されたUV−LEDバルブの代わりに、あるいはそれに加えて、放射線消毒ベースユニット内に存在し得る。
【0085】
殺菌球としては、非限定的な例として、低圧水銀蒸気バルブ、又は中圧水銀蒸気バルブを挙げることができる。殺菌球は、紫外線放射を放出し得る。殺菌球は、約250ナノメートルの光放射〜約280ナノメートルの光放射の波長で、紫外線(UV)放射を放出し得る。好ましくは、その波長は、約250ナノメートル〜275ナノメートル、最も好ましくは、約260ナノメートルである。
【0086】
先行の図で説明された、LED以外の構成要素(位置決め加工構造、反射表面、振動発生装置、放射線を集束させるための光学素子、プロセッサボード、デジタル記憶装置、スキャナー、電気コネクタ、電池、及びディスプレイが挙げられるが、これらに限定されない)を、殺菌球を有する消毒ベースユニット内に含めることができる。
【0087】
パルスUV法は、殺菌球に関しては好ましくない場合があるが、放射線消毒ベースユニット600A又は放射線消毒ベースユニット600B内に含まれる、プロセッサボード若しくは他の電子回路が、光のパターン、消毒の周期時間、及び消毒強度を、諸因子に基づいて調整することができ、それらの因子としては、レンズが消毒された回数、レンズが最初に消毒されてからの時間の量、及び感知されたレンズの清潔度が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
ここで
図7を参照すると、ブロック図は、UVスペクトルでの消毒放射線702を、コンタクトレンズ701に向けて放射する、1つ又は2つ以上の殺菌球などの放射線消毒供給源700の位置合わせを示す。殺菌球は、放射線消毒保管ケースが、コンタクトレンズ701に関連する特定の位置で位置合わせされるように、配置構成される。この位置合わせは、位置合わせ加工構造を用いて保持される。放射線消毒保管ケースは、UV放射線702を、放射線消毒保管ケース内に保定されるコンタクトレンズ701の頂点704に接する平面703と本質的に直交する角度で方向付けるように、位置合わせすることができる。
【0089】
あるいは、放射線消毒保管ケースは、1つ又は2つ以上のUV放出殺菌球700Aからの消毒放射線702Aを、コンタクトレンズ701の周辺縁部707にわたる平面705と本質的に直交する角度で方向付けるように、位置合わせすることができる。
【0090】
1つ又は2つ以上の光学素子708を使用して、消毒放射線保管ケース内に保管されたレンズ上に、消毒放射線を集束させることができる。光学素子は、放射線の経路の範囲内の様々な位置に含めることができ、一部の例示的な場所としては、ベース部内、保管ケースの一部分内、及びLED若しくはバルブなどの放射線供給源の一部分としての場所を挙げることができる。
【0091】
ここで
図8を参照すると、ブロック図は、UVスペクトルでの消毒放射線802を、コンタクトレンズ保管ケース801に向けて放射する、1つ又は2つ以上の殺菌球などの放射線消毒供給源800の位置合わせを示す。殺菌球は、放射線消毒保管ケースが、コンタクトレンズ保管ケース801に関連する特定の位置で位置合わせされるように、配置構成してもよい。この位置合わせは、位置合わせ加工構造を用いて保持される。
【0092】
放射線消毒保管ケースは、UV放射線802を、コンタクトレンズ保管ケース801の頂部部分にわたる平面803と本質的に直交する角度で方向付けるように、位置合わせしてもよい。
【0093】
あるいは、放射線消毒保管ケースは、1つ又は2つ以上のUV放出殺菌球800Aからの消毒放射線802Aを、コンタクトレンズ保管ケース801の底部及び頂部の一方又は両方にわたる平面805と本質的に直交する角度で方向付けるように、位置合わせすることができる。
【0094】
1つ又は2つ以上の光学素子804を使用して、消毒放射線保管ケース801上に消毒放射線を集束させることができる。光学素子は、ベース部又は保管ケースの一部に含まれてもよい。
【0095】
ここで
図9を参照すると、交換標識を有する例示的な放射線消毒保管ケース900が示される。交換標識を有する放射線消毒保管ケース900は、1つ又は2つ以上のレンズ保管区画901を備える。保管区画901は、コンタクトレンズなどの、1つ又は2つ以上の眼用レンズを受容して、かつ保管することが可能である。図示のように、交換標識902は、概して、2つのレンズ保管区画901の間の、交換標識を有する放射線消毒保管ケース900の棚部上に含めることができる。交換標識902としては、一方又は両方のレンズ保管区画901を取り囲むリング、レンズ保管区画キャップ903上の領域、交換標識を有する放射線消毒保管ケース900上の領域若しくは完全に取り囲む領域、又は交換標識を有する放射線消毒保管ケース900若しくはレンズ保管区画キャップ903の内部の他の場所を挙げることができる。
【0096】
交換標識902は、交換標識を有する放射線消毒保管ケース900若しくはレンズ保管区画キャップ903を作製する、プラスチック又は他の材料の内部、若しくはそれらの上の染料から構成することができる。加えて、又は代わりに、交換標識902は、交換標識を有する放射線消毒保管ケース900若しくはレンズ保管区画キャップ903内に埋め込むか、又はそれらに付着させることができる材料であり得る。
【0097】
交換標識902の染料又は材料は、色又は質感を、あるいは色及び質感の両方を変化させて、ユーザーが現在の交換標識を有する放射線消毒保管ケース900を廃棄して、新たなケースの使用を開始するべきであることを、表示する。交換標識902の色又は質感は、交換標識を有する放射線消毒保管ケース900を廃棄するべき指標として、ユーザーによって一般的に認識される状態に到達するまで、一定の期間にわたって徐々に変化し得る。
【0098】
ここで
図10を参照すると、LEDセンサー1001、スキャナー1002、及びカメラ1003のうちの1つ又は2つ以上を有する放射線消毒ベースユニット1000が示されている。LEDセンサー1001、スキャナー1002、又はカメラ1003は、
図9で説明されるような、放射線消毒保管ケース上の交換標識の状態についての情報を捕捉する。
【0099】
プロセッサボード1004に取り付けられるか、あるいは他の方法でプロセッサボード1004と論理通信することができる、デジタル記憶装置1005は、交換標識のデータを記憶することができる。プロセッサボード1004は、その交換標識のデータと、以前に記憶された交換標識のデータとを比較して、そのデータの変化の大きさを特定し得る。指定の大きさの変化により、放射線消毒保管ケースを交換する時期であることが判定される。加えて、又は代わりに、プロセッサボード1004は、現在の交換標識のデータと、記憶された対象データとを比較して、放射線消毒保管ケースを交換するべき時期を判定する。プロセッサボード1004の論理が、放射線消毒保管ケースを交換するべきであることを判定すると、プロセッサボード1004は、ディスプレイ1006上で、ユーザーに対してメッセージを表示させる。
【0100】
プロセッサボード1004及びデジタル記憶装置1005を有する放射線消毒ベースユニット1000を使用して、放射線消毒保管ケースに関連する、経時、使用量、又は他の評価基準を追跡し得る。例えば、新たな放射線消毒保管ケースが、放射線消毒ベースユニット1000内に挿入された日付に基づいて、経時を追跡することができる。使用量は、新たな放射線消毒保管ケースが挿入されてから実施された、消毒周期の数に基づいて、判定することができる。プロセスボード1004の論理が、経時、使用量、又は他の評価基準に基づいて、放射線消毒保管ケースを交換するべきであることを判定すると、適切なユーザーメッセージが、ディスプレイ1006上に含まれる。
【0101】
プロセッサボード1004の論理は、非限定的な例として、交換標識のデータ、経時記録、使用量の計数、又は他の関連情報を含めた、放射線消毒保管ケースに関する複数の変数を分析し得る。プロセッサボード1004の論理は、放射線消毒保管ケースを交換するべきであることを指示する、変数の組み合わせを特定するための、アルゴリズムを含む。次いで、プロセッサボード1004は、放射線消毒保管ケースを交換する時期であることをユーザーに通知するメッセージを、ディスプレイ1006上に提示させる。
【0102】
ここで
図11Aを参照すると、ベースユニットの下側部分内に電磁石1101Aを有する放射線消毒ベースユニット1100Aが示されている。あるいは、電磁石1101Aは、放射線消毒ベースユニット1100Aの蓋内に定置することができる。
【0103】
ここで
図11Bを参照すると、放射線消毒保管ケース1100Bは、永久磁石1101Bを備える。永久磁石1101Bを有する放射線消毒保管ケース1100Bが、放射線消毒ベースユニット1100A内に存在する場合、電流を、電磁石1101Aに印加し、かつ電磁石1101Aから除去して、永久磁石1101Bの引力及び斥力を引き起こし、結果として放射線消毒保管ケース1100Bの振動を生じさせることができる。電磁石1101Aに印加される電流の調整により、振動の周波数及び振幅のうちの1つ又は2つ以上の制御が可能になる。非磁性金属領域を、永久磁石1101Bの代わりに実装することができ、この非磁性金属領域を、電磁石1101Aによって引き付けて、結果として放射線消毒保管ケース1100Bの振動を生じさせることができる。
【0104】
この振動運動は、放射線消毒保管ケース1100B内部に保管された死滅した微生物を、そのケース内に収容されたコンタクトレンズから、効果的に移動させる周波数に調整し得る。死滅した生物を移動させることにより、この移動が無ければ消毒放射線から保護されていたであろう生存微生物が曝露される。振動運動は、放射線消毒ケース内部に保管されたコンタクトレンズから、効果的にタンパク質を除去する周波数に調整してもよい。タンパク質除去は、微生物除去と同じ振動周波数で、又は異なる周波数で実施することができる。
【0105】
消毒LED又は殺菌球などの消毒放射線供給源の1つまたは2つ以上、又は組み合わせを使用するとともに、拡散材を使用してもよい。適切な消毒の結果を確保することが重要であり得るため、拡散材により、消毒中のレンズが、均一に分散された放射線を確実に受容することができる。例えば、フルオロポリマーなどの拡散材は、放射線を著しく劣化させることなく分散させることが可能であり、消毒放射線を少なくとも部分的に透過することができ、したがって、消毒放射線は、レンズのすべての部分に到達し得る。フルオロポリマーは、均一な消毒を妨げるコントラストの問題を最小化し得る。例えば、FEPなどのフルオロポリマーは、射出成型され、ケースを包み込むことができる幾何学的形状になり得る。これにより、前記拡散材をベース部に容易に組み込むことができる。
【0106】
ここで
図12を参照すると、消毒ベース部1200内の放射線拡散材の例示的な幾何学的形状及び構成の断面図が示されている。1201において、循環する殺菌球を示している。殺菌球1201の周囲で、拡散材1225を使用してもよい。1215において、バルブの導線を示している。
【0107】
拡散材とともに放射線の分散を支援し、かつ装置の効率を上げるため、反射表面1205を使用してもよい。特定域のレンズに送られている放射線を測定する助けとするため、1230において、拡散材に1つ又は2つ以上のセンサーを定置してもよい。このことは、当該技術分野において既知のプロセッサ及びフィードバックループシステムを使用して、達成し得る。分散した放射線を測定することにより、プロセッサは、消毒放射線の強度又は時間を増減することができる。
【0108】
プロセッサ用回路基板1210は、反射材1205の下に定置してもよい。消毒を確実に向上させるため、先に述べたカメラ、集光光学レンズ、位置合わせ加工構造、及び振動構成要素などの他の構成要素を備えてもよい。加えて、ベース部の幾何学的形状は、拡散材が消毒ケースを包み込むことにより、レンズの全領域にわたって、より均一な消毒放射線を供給することができる形状であってもよい。また、拡散材は、所望に応じて、ケースの少なくとも一部に含まれていてもよい。
【0109】
図13は、UV拡散材と、反射表面と、を備える蓋を有する例示的な消毒ベース部1300を示す。1310、1315、及び1320において、拡散材を示す。具体的には、1320は、ケースを包み込み、かつケースがベース部内に定置されたとき、ケースの位置合わせをするために使用し得る幾何学的形状を示す。1305において、磁石又は何らかの柔らかいパッド材を蓋1301内に定置して、装置内の任意の振動による摩擦からの厄介な雑音を回避し得る。加えて、パッド材は、放射線を封じ込める助けとなることにより、所望により、ベース部とベース部蓋との間に形成された溝を通して見えることを防止する。また、タッチスクリーンディスプレイを界面として使用する場合、パッド材1305は、放射線を反射するか、あるいは封じ込めて、放射線による劣化からディスプレイを守ることができる。
【0110】
〔実施の態様〕
(1) 1つ又は2つ以上の眼用レンズを保管するための眼用レンズ保管ケースを受容するためのベース部であって、
1つ又は2つ以上のレンズを保管可能な該眼用レンズ保管ケースを受容するための収容部と、
該保管ケースに近接した、消毒放射線の供給源と、
該消毒放射線供給源と該眼用レンズ保管ケース内の該レンズとの間の拡散材と、を備える、ベース部。
(2) 前記拡散材が、フルオロポリマーを含む、実施態様1に記載のベース部。
(3) 前記拡散材が、前記ケースの形状を包み込む形状である、実施態様1又は2に記載のベース部。
(4) 眼用レンズ保管区画に向けて消毒放射線を反射するための反射表面を更に備え、該反射表面が、テフロン、アルミニウム、酸化マグネシウム、及び酸化ジルコニウムのうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様1〜3のいずれかに記載のベース部。
(5) 前記拡散材の少なくとも一部に前記放射線を集束させることができる光学品質材を更に備える、実施態様1〜4のいずれかに記載のベース部。
【0111】
(6) 前記消毒放射線供給源が、紫外放射線を放出する1つ又は2つ以上の発光ダイオードを備える、実施態様1〜5のいずれかに記載のベース部。
(7) 前記消毒放射線供給源が、1つ又は2つ以上の殺菌球を備える、実施態様1〜6のいずれかに記載のベース部。
(8) 前記1つ又は2つ以上の殺菌球が、前記レンズ保管ケースの1つ又は2つ以上の保管区画を循環する形状を有する、実施態様7に記載のベース部。
(9) 前記消毒供給源の前記1つ又は2つ以上に紫外放射線をパルス発生させる(pulse)ための機構を更に含み、該パルス発生機構が、電子回路を備える、実施態様1〜8のいずれかに記載のベース部。
(10) 前記パルス発生機構が、前記消毒放射線供給源の前記1つ又は2つ以上に、前記保管区画内に保管されたレンズの表面にわたる放射線のパターンを生成させる、実施態様9に記載のベース部。
【0112】
(11) ソフトウェアを実行するプロセッサを更に含み、前記生成される放射線のパターンが、該ソフトウェア内に含まれる命令に基づく、実施態様1〜10のいずれかに記載のベース部。
(12) 前記発光ダイオードが、約50マイクロワット〜5ワットの電力を放出する、実施態様6に記載のベース部。
(13) 前記消毒放射線供給源が、250ナノメートル〜280ナノメートルの波長で放射線を放出することができる、実施態様7に記載のベース部。
(14) 前記殺菌球の1つ又は2つ以上によって放出される前記消毒放射線が、前記ベース部に近接した保管区画に対する曝露の十分な強度及び時間の長さを含み、前記保管区画内に保管された眼用レンズ上の微生物を死滅させる、実施態様7に記載のベース部。
(15) 前記消毒放射線が前記拡散材を通過した後に、前記消毒放射線を測定するためのフィードバックループシステムを更に含む、実施態様11に記載のベース部。
【0113】
(16) 前記フィードバックループシステムの強度値を検出することができる、前記拡散材に近接して位置決めされた、1つ又は2つ以上のセンサーを更に備える、実施態様15に記載のベース部。
(17) 前記眼用レンズ保管区画が、消毒放射線を、コンタクトレンズの周辺縁部にわたる平面と本質的に直交する角度で受けるように、該コンタクトレンズを位置合わせするための位置合わせ加工構造を備える、実施態様1〜16のいずれかに記載のベース部。
(18) 前記眼用レンズ保管区画が、紫外放射線を透過する保管ケースを備え、紫外放射線は、該保管ケースの底部及び頂部の一方又は両方にわたる平面と本質的に直交する角度で方向付けられる、実施態様1〜16のいずれかに記載のベース部。
(19) 前記眼用レンズ保管区画が、磁石を更に備え、前記ベース部が、磁気パルスの供給源を更に備え、該磁気パルスが、前記眼用レンズ保管区画を振動させる、実施態様1〜18のいずれかに記載のベース部。