特許第6169622号(P6169622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169622
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】生検装置バルブ組立体
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
   A61B10/02 110K
   A61B10/02 110J
【請求項の数】18
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-557735(P2014-557735)
(86)(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公表番号】特表2015-510435(P2015-510435A)
(43)【公表日】2015年4月9日
(86)【国際出願番号】US2013025853
(87)【国際公開番号】WO2013122992
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2016年1月7日
(31)【優先権主張番号】61/598,939
(32)【優先日】2012年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511148271
【氏名又は名称】デビコー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Devicor Medical Products, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フィービッグ・ケビン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ヒブナー・ジョン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ノック・アンドリュー・ピー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリセク・ジョン・アール
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−104317(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0074346(US,A1)
【文献】 特開2008−194451(JP,A)
【文献】 特開2006−239433(JP,A)
【文献】 特表平10−513384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検システムにおいて、
(a)生検装置であって、
(i)本体、
(ii)前記本体から遠位に延びる針であって、側方組織受容孔を画定する、針、および、
(iii)前記針に対して並進運動可能なカッターであって、前記針の前記側方組織受容孔を選択的に閉じるように構成された、カッター、
を含む、生検装置と、
(b)真空源と、
(c)生理食塩水源と、
(d)前記生検装置の前記針と流体連通するバルブ組立体であって、
(i)第1の入力ポート、第2の入力ポート、第1の出力ポート、および第1の通気ポート、を含む第1のバルブであって、前記第1のバルブは前第1の通気ポートを介して大気の通気を選択的にもたらすように動作可能であり、前記第1のバルブは前記第1の出力ポートを介して前記針に真空と大気の通気を選択的に供給するようにさらに動作可能である、第1のバルブ、
(ii)第の入力ポート、第2の出力ポート、および第2の通気ポート、を含む第2のバルブであって、前記第2のバルブは前記第2の通気ポートを介して大気の通気を選択的にもたらすように動作可能であり、前記第2のバルブは前記第出力ポートを介して前記針に真空と大気の通気を選択的に供給するように動作可能である、第2のバルブ、および、
(iii)一体の導管部であって、前記導管部は前記真空源と連結された第1の導管と、前記生理食塩水源と連結された第2の導管とを含み、前記導管部は、前記第1の導管の互いに反対の端部に位置する第1のコネクタおよび第2のコネクタを含み、前記第1のコネクタは、前記第1のバルブの前記第1の入力ポートと連結され、前記第2のコネクタは、前記第2のバルブの前記第の入力ポートと連結され、前記第1の導管は、前記第1のバルブと第2のバルブとの間において前記第1のコネクタおよび前記第2のコネクタを通る連続する流体経路を定め、前記第1の導管は、前記第1および第2のバルブに真空を供給するように動作可能であり、前記第2の導管は、前記第1のバルブの前記第2の入力ポートに連結された第3のコネクタを含み、前記第2の導管は前記第1のバルブに生理食塩水を供給するように動作可能である、導管、
を含む、バルブ組立体と、
を含む、生検システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記針は、第1の内腔および第2の内腔を画定し、
前記カッターは、前記針の前記第1の内腔内部で並進運動可能であり、
前記カッターは、カッター内腔を画定する、生検システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生検システムにおいて、
前記第1のバルブは、前記針の前記第2の内腔と流体連通しており、前記第2のバルブは、前記カッターの前記カッター内腔と流体連通している、生検システム。
【請求項4】
請求項3に記載の生検システムにおいて、
前記バルブ組立体は、前記第1のバルブと連結された第1のアクチュエータ、および前記第2のバルブと連結された第2のアクチュエータを含む、生検システム。
【請求項5】
請求項4に記載の生検システムにおいて、
前記第1および第2のアクチュエータは、前記カッターの位置に応じて前記第1および第2のバルブを作動させるように構成される、生検システム。
【請求項6】
請求項5に記載の生検システムにおいて、
前記第1および第2のバルブは、前記カッターが前記側方組織受容孔を実質的に閉じるように位置付けられると、密封されるように構成される、生検システム。
【請求項7】
請求項5に記載の生検システムにおいて、
前記第1および第2のバルブは、前記カッターが前記側方組織受容孔を実質的に開くように並進運動させられると、前記針に真空を供給するように構成される、生検システム。
【請求項8】
請求項5に記載の生検システムにおいて、
前記カッターは、開位置から閉位置まで並進運動するように構成され、
前記カッターは、前記閉位置において前記側方組織受容孔を実質的に閉じるように構成される、生検システム。
【請求項9】
請求項8に記載の生検システムにおいて、
前記第1のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記針に通気をもたらすように構成され、
前記第2のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記針に真空を供給するように構成される、生検システム。
【請求項10】
請求項9に記載の生検システムにおいて、
前記第1のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記針の前記第2の内腔に食塩水を選択的に供給するように動作可能であり、
前記第2のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記カッターの前記カッター内腔に真空を供給するように構成される、生検システム。
【請求項11】
請求項8に記載の生検システムにおいて、
前記第1および第2のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記針に通気をもたらすように構成される、生検システム。
【請求項12】
請求項8に記載の生検システムにおいて、
前記第1のバルブは、前記カッターが前記側方組織受容孔を開くように並進運動されると、前記針に真空を供給するように構成され、
前記第2のバルブは、前記カッターが前記側方組織受容孔を開くように並進運動されると、前記針に通気をもたらすように構成される、生検システム。
【請求項13】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記バルブ組立体は、ルアーコネクタを含み、
前記ルアーコネクタは、前記バルブ組立体を前記生検装置と選択的に連結するように動作可能である、生検システム。
【請求項14】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
制御ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットは、前記バルブ組立体を作動させるように動作可能である、生検システム。
【請求項15】
請求項14に記載の生検システムにおいて、
前記制御ユニットは、バルブ組立体レセプタクルを含み、
前記バルブ組立体レセプタクルは、前記バルブ組立体の近位端部を受容するように構成される、生検システム。
【請求項16】
請求項14に記載の生検システムにおいて、
前記真空源は、前記制御ユニット内部に位置付けられる、生検システム。
【請求項17】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記生検装置の前記本体は、プローブ、および前記プローブと連結可能なホルスターを含み、
前記生検装置は、前記本体の近位部分に組織標本ホルダーをさらに含む、生検システム。
【請求項18】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記導管は、管状部材を含み、
前記第1および第2のコネクタは、前記管状部材から横方向に延びる、生検システム。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔優先権〕
本出願は、「Biopsy Device Valve Assembly」の名称で、2012年2月15日に出願された米国仮特許出願第61/598,939号の優先権を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔背景〕
生検標本は、さまざまな装置を使用した種々の医療処置においてさまざまな方法で入手されてきた。生検装置は、定位固定誘導、超音波誘導、MRI誘導、PEM誘導、BSGI誘導、またはその他の下で、使用され得る。例えば、一部の生検装置は、ユーザーが片手で十分に操作可能であり、1回の挿入で、患者から1つまたは複数の生検標本を捕捉することができる。さらに、一部の生検装置は、例えば流体(例えば、加圧空気、食塩水、大気、真空など)の連通のため、電力の伝達のため、および/またはコマンドなどの通信のために、真空モジュールおよび/または制御モジュールにつながれることができる。他の生検装置は、別の装置とつながれたり、別様に接続されたりせずに、完全に、または少なくとも部分的に動作可能とすることができる。
【0003】
単に例示的な生検装置が、以下に開示されている:「Method and Apparatus for Automated Biopsy and Collection of Soft Tissue」の名称で1996年6月18日に発行された米国特許第5,526,822号;「Control Apparatus for an Automated Surgical Biopsy Device」の名称で2000年7月11日に発行された米国特許第6,086,544号;「MRI Compatible Surgical Biopsy Device」の名称で2003年9月11日に発行された米国特許第6,626,849号;「Remote Thumbwheel for a Surgical Biopsy Device」の名称で2008年10月8日に発行された米国特許第7,442,171号;「Clutch and Valving System for Tetherless Biopsy Device」の名称で2010年12月1日に発行された米国特許第7,854,706号;「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号;「Biopsy Device with Replaceable Probe Incorporating Static Vacuum Source Dual Valve Sample Stacking Retrieval and Saline Flush」の名称で2010年2月16日に発行された米国特許第7,662,109号;「Biopsy Apparatus and Method」の名称で2006年4月6日に公開された米国特許出願公開第2006/0074345号;「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」の名称で2008年9月4日に公開された米国特許出願公開第2008/0214955号;現在は米国特許第8,118,755号として特許されている、「Biopsy Sample Storage」の名称で2008年9月11日に公開された米国特許出願公開第2008/0221480号;「Hand Actuated Tetherless Biopsy Device with Pistol Grip」の名称で2010年6月17日に公開された米国特許出願公開第2010/0152610号;「Biopsy Device with Central Thumbwheel」の名称で2010年6月24日に公開された米国特許出願公開第2010/0160819号;現在は米国特許第8,206,316号として特許されている、「Tetherless Biopsy Device with Reusable Portion」の名称で2010年12月16日に公開された米国特許出願公開第2010/0317997号;米国特許出願公開第2012/0109007号として2012年5月3日に公開されている、「Handheld Biopsy Device with Needle Firing」の名称で2010年11月24日に出願された米国非仮特許出願第12/953,715号;米国特許出願公開第2012/0265095号として2012年10月18日に公開されている、「Biopsy Device with Motorized Needle Firing」の名称で2011年4月14日に出願された米国非仮特許出願第13/086,567号;米国特許出願公開第2012/0310110号として2012年12月6日に公開されている、「Needle Assembly and Blade Assembly for Biopsy Device」の名称で2011年6月1日に出願された米国非仮特許出願第13/150,950号;「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」の名称で2011年8月8日に出願された米国非仮特許出願第13/205,189号;「Biopsy Device Tissue Sample Holder with Bulk Chamber and Pathology Chamber」の名称で2011年8月26日に出願された米国非仮特許出願第13/218,656号;「Biopsy System with Graphical User Interface」の名称で2012年11月19日に出願された米国仮特許出願第61/727,889号。前記に列挙した米国特許、米国特許出願公開、米国非仮特許出願、および米国仮特許出願それぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
いくつかのシステムおよび方法が、生検標本を入手するために作られ使用されてきたが、発明者より前に、請求項に記載する発明を行うか、または使用した者はいないと考える。
【0005】
本明細書は、発明を具体的に指し示し明白に主張する請求項で締めくくられるが、本発明は、添付図面と共に理解される特定の実施例に関する以下の説明から、よりよく理解されると考えられる。添付図面では、同様の参照符号が、同じ要素を特定している。図面では、いくつかの構成要素、または構成要素の一部が、破線で描かれるように透視図で示されている。
【0006】
図面は、限定的とすることを決して意図しておらず、発明のさまざまな実施形態が、図面には必ずしも描かれていないものを含め、さまざまな他の方法で実行され得ることを企図している。本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付図面は、本発明のいくつかの態様を示しており、説明と共に、発明の原理の説明に役立つものであるが、この発明は、図示する厳密な構成に限定されないことが理解される。
【0007】
〔詳細な説明〕
本発明の特定の実施例に関する以下の説明は、本発明の範囲を制限するために使用されるべきではない。この発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、および利点が、以下の説明から当業者には明らかとなるであろう。以下の説明は、例として、この発明を実施するために企図される最良の方式のうちの1つである。認識されるであろうが、本発明は、この発明から逸脱しない、他の異なる明らかな態様が可能である。したがって、図面および説明は、例示的な性質のものとみなされるべきであり、限定的なものではない。
【0008】
I.例示的な生検装置の概要
図1は、例示的な生検装置(10)、例示的な制御ユニット(20)、例示的なバルブ組立体ユニット(100)、および食塩水バッグ(50)を描いたものである。食塩水バッグ(50)は、バルブ組立体ユニット(100)に流体連結されて、生検装置(10)への食塩水の供給源を提供するものであるが、これは単にオプションである。この実施例の生検装置(10)は、プローブ(12)およびホルスター(14)を含む。針(16)が、プローブ(12)から遠位に延びており、組織標本を入手するために患者の組織に挿入される。組織標本は、プローブ(12)の近位端部にある組織標本ホルダー(18)内に堆積される。「ホルスター」という用語を本明細書で使用することは、プローブ(12)の任意の部分が、ホルスター(14)の任意の部分に挿入されることを必要とするものとして読むべきではないことも、理解されたい。例えば、プローブ(12)は、さまざまな構造体、構成要素、特徴部など(例えば、差込ピン取付台(bayonet mounts)、ラッチ、突起、クランプ、クリップ、スナップフィット(snap fittings)など)によって、ホルスター(14)に取り外し可能に固定され得る。さらに、一部の生検装置(10)では、プローブ(12)およびホルスター(14)は、一体的または統合された構造のものであってよく、これら2つの構成要素は、分離できないようになっている。ほんの一例として、プローブ(12)およびホルスター(14)が分離可能な構成要素として設けられるバージョンでは、プローブ(12)は、使い捨て構成要素として提供されてよく、ホルスター(14)は、再利用可能な構成要素として提供されてよい。プローブ(12)とホルスター(14)との間のさらに他の適切な構造的および機能的関係は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0009】
本実施例の針(16)は、図2に示すように、組織貫通先端部(32)、側方孔(34)、第1の内腔(36)、および第2の内腔(38)を備えた、カニューレ(31)を含む。組織貫通先端部(32)は、多量の力を必要とせず、また先端部(32)の挿入前に組織に開口部を予め形成することも必要とせず、組織を貫通し穿通するように構成される。カッター(50)が、第1の内腔(36)の中に配されており、第1の内腔(36)内部で回転および並進運動するように動作可能である。側方孔(34)は、先端部(32)より近位に位置し、第1の内腔(36)と流体連通しており、また、針(16)が生検部位に挿入されたときおよびカッター(50)が後退したときに、組織を受容するように構成されている。複数の開口部(37)が、第1の内腔(36)と第2の内腔(38)との間に流体連通をもたらす。本実施例のカッター(50)は、実質的に中空であり、カッター(50)は、カッター内腔(52)を画定している。カッター(50)は、実質的に鋭利な遠位エッジ(51)も有しており、カッター(50)は、針(16)の側方孔(34)を通って突出する組織から生検標本を切断するように動作可能である。
【0010】
生検装置(10)は、「Method and Apparatus for Automated Biopsy and Collection of Soft Tissue」の名称で1996年6月18日に発行された米国特許第5,526,822号;「Control Apparatus for an Automated Surgical Biopsy Device」の名称で2000年7月11日に発行された米国特許第6,086,544号;「MRI Compatible Surgical Biopsy Device」の名称で2003年9月11日に発行された米国特許第6,626,849号;「Remote Thumbwheel for a Surgical Biopsy Device」の名称で2008年10月8日に発行された米国特許第7,442,171号;「Clutch and Valving System for Tetherless Biopsy Device」の名称で2010年12月1日に発行された米国特許第7,854,706号;「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号;「Biopsy Apparatus and Method」の名称で2006年4月6日に公開された米国特許出願公開第2006/0074345号;「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」の名称で2008年9月4日に公開された米国特許出願公開第2008/0214955号;現在は米国特許第8,118,755号として特許されている、「Biopsy Sample Storage」の名称で2008年9月11日に公開された米国特許出願公開第2008/0221480号;「Hand Actuated Tetherless Biopsy Device with Pistol Grip」の名称で2010年6月17日に公開された米国特許出願公開第2010/0152610号;「Biopsy Device with Central Thumbwheel」の名称で2010年6月24日に公開された米国特許出願公開第2010/0160819号;現在は米国特許第8,206,316号として特許されている、「Tetherless Biopsy Device with Reusable Portion」の名称で2010年12月16日に公開された米国特許出願公開第2010/0317997号;2012年5月3日に米国特許出願公開第2012/0109007号として公開されている、「Handheld Biopsy Device with Needle Firing」の名称で2010年11月24日に出願された米国非仮特許出願第12/953,715号;2012年10月18日に米国特許出願公開第2012/0265095号として公開された、「Biopsy Device with Motorized Needle Firing」の名称で2011年4月14日に出願された米国非仮特許出願第13/086,567号;2012年12月6日に米国特許出願公開第2012/0310110号として公開された、「Needle Assembly and Blade Assembly for Biopsy Device」の名称で2011年6月1日に出願された米国非仮特許出願第13/150,950号;「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」の名称で2011年8月8日に出願された米国非仮特許出願第13/205,189号;「Biopsy Device Tissue Sample Holder with Bulk Chamber and Pathology Chamber」の名称で2011年8月26日に出願された米国非仮特許出願第13/218,656号;「Biopsy System with Graphical User Interface」の名称で2012年11月19日に出願された米国仮特許出願第61/727,889号、の教示の少なくとも一部に従ってさらに構築され得る。前述の米国特許、米国特許出願公開、米国非仮特許出願、および米国仮特許出願それぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。当然、生検装置(10)は、本明細書の教示を鑑みて当業者に明らかとなるような、任意の他の方法で構築されてもよい。
【0011】
II.例示的な制御ユニットの概要
再び図1を参照すると、本実施例の制御ユニット(20)は、バルブ組立体レセプタクル(22)、一対のバルブアクチュエータ(24)、および真空キャニスター(26)を含む。バルブ組立体レセプタクル(22)は、以下でさらに詳細に説明するように、バルブ組立体ユニット(100)のバルブ組立体(200)の近位端部(206)を受容するように構成される。本実施例のレセプタクル(22)は、バルブ組立体(200)がレセプタクルに挿入されるとバルブ組立体(200)を制御ユニット(20)に長さ方向に固定する下方の出っ張り(不図示)を有する実質的に矩形の中心部分(不図示)を含む。さらに、レセプタクル(22)のための一対の円筒形レセプタクル(不図示)が、対応するバルブアクチュエータ(24)と軸方向に整列される。バルブ組立体(200)がレセプタクル(22)に挿入されると、各アクチュエータ(24)のシャフトが、バルブ(210、300)の対応するバルブスプール(214、314)のキースロット(228、328)に挿入されるように、キー留めされ(keyed)、アクチュエータ(24)の一方または両方のシャフトの回転により、対応するバルブスプール(214、314)が回転する。本実施例では、アクチュエータ(24)は、ステッパーモーターを含むが、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、バルブスプール(214、314)を回転させる他のモーターまたは制御装置を使用してもよいことを、理解されたい。
【0012】
アクチュエータ(24)は、生検処置中にバルブ組立体(200)を通る流体の流れを制御するために1つまたは複数のシーケンスに従って、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)を駆動する。生検装置(10)を制御するための単に例示的なシーケンスは、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号;2012年5月3日に米国特許出願公開第2012/0109007号として公開された、「Handheld Biopsy Device with Needle Firing」の名称で2010年11月24日に出願された米国非仮特許出願第12/953,715号に開示されたもののように、かつ/または、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるような任意の他の方法で、構成されてよい。本実施例のシーケンスは、以下でさらに詳細に説明するように、負の(真空)圧力、周囲圧力(大気圧)(例えば通気)、デッドヘッド(dead head)、および/または食塩水供給のいずれかが、ライン(102、104、106)に、そして生検装置(10)に供給されるように、制御ユニット(20)内に予めプログラムされる。いくつかのバージョンでは、シーケンスは、ボタン、ノブ、タッチスクリーンアイコン、制御ユニット(20)に付随する他の構成要素を通じて、手動で制御され得る。さらに、または、代わりに、シーケンスは、生検装置(10)の内蔵回路またはボタンを通じるなどして、生検装置(10)により予めプログラムされるか、または制御されることができる。さらに別のバージョンでは、シーケンスは、遠隔制御装置によって、または、制御ユニット(20)および/もしくは生検装置(10)に動作可能に連結されたコンピュータによって、制御され得る。当然、さらなる構成が、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。制御ユニット(20)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Fluid Collection Apparatus for a Surgical Device」の名称で2000年12月19日に発行された米国特許第6,162,187号の教示の少なくとも一部に従って、または、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるような、任意の他の方法に従って、さらに構成されてよい。
【0013】
制御ユニット(20)は、真空キャニスター(26)も含み、これを通って真空が生検装置(10)に供給される。真空キャニスター(26)は、真空が生検装置に供給される間に、生検装置(10)からの流体が真空キャニスター(26)内部に入るように構成される。真空キャニスターは、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Deployment Device Interface for Biopsy Device」の名称で2009年8月18日に発行された米国特許第7,575,556号および/または「Biopsy System with Vacuum Control Module」の名称で2008年6月19日に公開された米国特許出願公開第2008/0146962号の教示の少なくとも一部に従って、さらに構成され得る。真空キャニスター(26)は制御ユニット(20)内部に示されているが、真空キャニスター(26)は、制御ユニット(20)の外側の別個の構成要素であってよいか、または、いくつかのバージョンでは、真空キャニスター(26)は生検装置(10)に統合されてよいことを、理解されたい。当然、真空キャニスター(26)のさらなる構造および/または構成が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。
【0014】
III.例示的なバルブ組立体ユニット
図1および図3に示すように、バルブ組立体ユニット(100)は、バルブ組立体(200)、およびバルブ組立体(200)と流体連通している複数のチューブ(102、104、106、130、140)を含む。チューブ(102、104、106、130、140)は、バルブ組立体(200)と予め組み立てられて提供され得るか、または、使用者により別々にバルブ組立体(200)と組み立てられ得る。生検装置(10)は、複数のチューブ(102、104、106)によりバルブ組立体(200)に流体連結される。本実施例では、3本のチューブ(102、104、106)が、生検装置(10)をバルブ組立体(200)に流体連結している。当然、2本のチューブ、1本のチューブ、または4本以上のチューブを使用して生検装置(10)をバルブ組立体(200)に流体連結してよいことを、理解されたい。本実施例では、チューブ(102、104、106)は、第1のチューブ(102)、第2のチューブ(104)、および第3のチューブ(106)を含む。図3に示すように、チューブ(102、104、106)は、対応するルアーコネクタ(108、110、116)で終端し、チューブ(102、104、106)を生検装置(10)および/または他のチューブに対して選択的に連結および分離する。本実施例では、第1のチューブ(102)は、第1のバルブ(210)を生検装置(10)に流体連結して、負の側方(真空)圧力を提供する。ほんの一例として、生検装置(10)に連結されたコネクタが、針(16)の第2の内腔(38)と流体連通していてよく、また、第1のチューブ(102)に連結されるように構成されてよく、第1のチューブ(102)は、針(16)に流体連結されて、第2の内腔(38)に側方真空(lateral vacuum)を提供する。これにより、側方真空は、開口部(37)を通って針(16)の側方孔(34)に伝えられる。第2のチューブ(104)は、第2のバルブ(300)を生検装置(10)に流体連結して、負の軸方向(真空)圧力を提供する。ほんの一例として、生検装置(10)に連結されたコネクタが、針(16)のカッター内腔(52)と流体連通していてよく、また、第2のチューブ(104)に連結されるように構成されてよく、第2のチューブ(104)は、針(16)に流体連結されて、カッター内腔(52)を通じて軸方向真空を提供する。第3のチューブ(106)は、食塩水コネクタ(190)を生検装置(10)に流体連結し、食塩水の供給源が、生検装置(10)に対して選択的に提供され得る。ほんの一例として、生検装置(10)に連結されたコネクタは、第2の内腔(38)および/または針(16)の他の部分と流体連通してよく、また、第3のチューブ(106)が針(16)に流体連結されて食塩水を針(16)に提供するよう、第3のチューブ(106)に連結されるように構成されてよい。当然、チューブ(102、104、106)が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるような、他の方法で、かつ/または他の目的で、生検装置(10)および/またはバルブ組立体(200)に連結され得ることを、理解されたい。
【0015】
本実施例では、第2のチューブ(104)は、第2のチューブ(104)とルアーコネクタ(110)との間にT字型バルブ(112)を含む。T字型バルブ(112)は、別の流体供給源または他のアイテムに選択的に流体連結され得る、ルアーコネクタ(114)を含む。ほんの一例として、ルアーコネクタ(114)は、生検処置中に使用されるように、リドカインなどの薬剤の供給源に連結され得る。T字型バルブ(112)は、ルアーコネクタ(110)を、第2のチューブ(104)に流体連結される状態から、薬剤の供給源に流体連結される状態に切り替えるのに使用されるが、これは単にオプションである。チューブ(102、104、106)、ルアーコネクタ(108、110、114、116)、および/またはT字型バルブ(112)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。
【0016】
バルブ組立体(200)を生検装置(10)に流体連結するチューブ(102、104、106)に加え、チューブ(130、140)が、図1に示す真空キャニスター(26)および食塩水バッグ(50)にバルブ組立体(200)を流体連結する。第4のチューブ(130)は、真空キャニスター(26)と流体連通する。第5のチューブ(140)は、食塩水バッグ(50)と流体連通する。本実施例では、第4のチューブ(130)および第5のチューブ(140)は、管状部材(150)に接合され、管状部材(150)と流体連通するが、第4のチューブ(130)および第5のチューブ(140)は互いと流体連通していないことに注目されたい。管状部材(150)は、長さ方向部分(152)およびL字型部分(160)を含む。図4に最もよく示されているように、長さ方向部分(152)およびL字型部分(160)は、単に物理的に互いに接合されて、管状部材(150)を形成しており、流体連通していない。図4図5A図6Aに示すように、長さ方向部分(152)は、バルブ組立体(200)の第1のバルブ(210)の第1のコネクタ(240)および第2のバルブ(300)のコネクタ(340)のそれぞれに第4のチューブ(130)を流体連結させるように構成された一対の横方向コネクタ(154、156)を有する、長さ方向チューブを含む。管状部材(150)の第1の端部(151)にある長さ方向コネクタ(158)が、第4のチューブ(130)に流体連結され、第4のチューブ(130)を管状部材(150)に固定する。L字型部分(160)は、横方向コネクタ(162)および長さ方向コネクタ(164)を含む。横方向コネクタ(162)は、図5Aに最もよく示されているように、第1のバルブ(210)の第2のコネクタ(246)に流体連結される。長さ方向コネクタ(164)が、管状部材(150)の第1の端部(151)から延び、第5のチューブ(140)に流体連結され、第5のチューブ(140)を管状部材(150)に固定する。当然、L字型部分(160)および長さ方向部分(152)は分離された別個の部品であってよいことを、理解されたい。管状部材(150)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。
【0017】
本実施例のバルブ組立体(200)は、図4に示す、第1の軸(211)を有する第1のバルブ(210)、第1の軸(211)に平行な第2の軸(302)を有する第2のバルブ(300)を含む。第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)は、バルブフレーム(202)上に平行に整列して取り付けられる。バルブフレーム(202)は、バルブフレームハンドル(203)、ラッチレバー(204)、近位端部(206)、および遠位端部(208)を含む。本実施例では、ラッチレバー(204)は、バルブフレーム(202)に片持ち梁風に(cantileverly)取り付けられ、第1のバルブ(210)と第2のバルブ(300)との間に配される。ラッチレバー(204)は、ラッチ特徴部(205)を含み、弾性的に付勢されており、バルブ組立体(200)が制御ユニット(20)のレセプタクル(22)に挿入されると、ラッチ特徴部(205)は、前述のように、バルブ組立体(200)をレセプタクル(22)に選択的に固定する。当然、接着剤、ねじ、ボルト、クリップ、クランプ、フック、およびループコネクタなどの他の固定特徴部を用いて、バルブ組立体(200)を制御ユニット(20)に選択的に連結し得ることを、理解されたい。
【0018】
A.例示的な第1のバルブ
第1のバルブ(210)は、第1のバルブハウジング(212)に回転可能に挿入される第1のバルブスプール(214)を含む。図5A図5Dに示すように、第1のバルブスプール(214)は、第1のバルブ部分(216)、第2のバルブ部分(220)、近位端部(224)、および第1のバルブスプール(214)の近位端部(224)内部に位置するキースロット(228)を有する、円筒形部材を含む。一対のOリング(230)が、第1のバルブ部分(216)と第2のバルブ部分(220)との間、および第2のバルブ部分(220)と近位端部(224)との間に位置する。本実施例では、Oリング(230)は、各バルブ部分(216、220)をバルブハウジング(212)内部で実質的に密封し、各バルブ部分(216、220)を他方のバルブ部分(216、220)から流体分離(fluidly isolate)させる。バルブハウジング(212)の遠位端部が第1のチューブ(102)に対して流体連結および密封されており、第1のバルブスプール(214)が第1のバルブハウジング(212)に挿入されたときに第1のバルブ部分(216)がOリング(230)により流体密封されるようになっていることを、理解されたい。第1のバルブスプール(214)は、第1のバルブスプール(214)の近位端部において半径方向外側に延びる、図4に示すインジケータ(226)をさらに含み、以下で詳細に説明する、穴(218)の向きを示す。インジケータ(226)は単にオプションであり、省略され得ることを、理解されたい。第1のバルブハウジング(212)は、中空円筒形部材を含み、中空円筒形部材は、第1のコネクタ(240)、第2のコネクタ(246)、第1の通気孔コネクタ(250)、および食塩水コネクタ(190)に連結され、かつこれらと流体連通している。本実施例では、第2のコネクタ(246)および食塩水コネクタ(190)は、第1の軸(211)を含む垂直平面に対しオフセットしているがこれに平行な平面内にある。したがって、第1のバルブスプール(214)の半円筒形部分(222)は、以下でさらに詳細に説明するように、第2のコネクタ(246)および食塩水コネクタ(190)の双方を選択的に遮断することができるか、または、第2のコネクタ(246)と食塩水コネクタ(190)との間の流体連通を可能にすることができる。第1の通気孔(252)が、第1の通気孔コネクタ(250)に流体連結される。本実施例の第1の通気孔(252)は、大気を第1の通気孔コネクタ(250)に出入りさせることができる、半透過性フィルターメッシュを含む。
【0019】
本実施例では、第1のバルブ部分(216)は、開いた遠位端部(217)および横向き穴(218)を有する中空円筒形部材を含む。穴(218)は、第1のバルブハウジング(212)の第1のコネクタ(240)と、第1の通気孔コネクタ(250)と、選択的に整列し、かつ/または、第1のバルブスプール(214)の向きに応じて第1のバルブ部分(216)の内部を実質的に流体分離させるように、構成される。したがって、アクチュエータ(24)がキースロット(228)に連結されると、アクチュエータ(24)は、第1のコネクタ(240)、第1の通気孔コネクタ(250)、および/またはその他に対して、穴(218)の向きを制御することができる。よって、アクチュエータ(24)は、第1のバルブ(210)が、第1の通気孔(252)を通じて第1のチューブ(102)を大気に対して通気するか、または、管状部材(150)および第4のチューブ(130)を通じて第1のチューブ(102)に真空を供給するかを、制御するように動作可能である。
【0020】
第2のバルブ部分(220)は、図4に最もよく示される、軸方向半円筒形部分(222)を含み、反対側の半円筒形空間が、第1のバルブハウジング(212)内部に形成される。この構成では、半円筒形部分(222)は、第2のコネクタ(246)および食塩水コネクタ(190)が流体連通するよう選択的に整列するように、または、第1のバルブスプール(214)の向きに応じて食塩水コネクタ(190)に対して第2のコネクタ(246)を実質的に流体分離するように、構成される。したがって、アクチュエータ(24)がキースロット(228)に連結されると、アクチュエータ(24)は、第2のコネクタ(246)および食塩水コネクタ(190)に対して半円筒形部分(222)の向きを制御することができる。よって、アクチュエータ(24)は、第1のバルブ(210)が、第3のチューブ(106)および食塩水バッグ(50)と流体連通している食塩水コネクタ(190)に、第5のチューブ(140)を流体連結させるかどうかを制御するように動作可能である。当然、第1のバルブ(210)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。
【0021】
B.例示的な第2のバルブ
第2のバルブ(300)は、第1のバルブハウジング(312)に回転可能に挿入される第2のバルブスプール(314)を含む。図6A図6Cに示すように、第2のバルブスプール(314)は、第1のバルブ部分(316)、近位端部(324)、および第2のバルブスプール(314)の近位端部(324)内部に位置するキースロット(328)を有する、円筒形部材を含む。Oリング(330)が、第1のバルブ部分(316)と近位端部(324)との間に位置する。本実施例では、Oリング(330)は、バルブハウジング(312)内部で第1のバルブ部分(316)を実質的に密封し、また、第1のバルブ部分(316)を近位端部(324)から流体分離する。バルブハウジング(312)の遠位端部が第2のチューブ(104)に流体連結および密封され、第2のバルブスプール(314)が第2のバルブハウジング(312)に挿入されたときに第1のバルブ部分(316)がOリング(330)により流体密封されるようになっていることを、理解されたい。第2のバルブスプール(314)は、第2のバルブスプール(314)の近位端部で半径方向外側に延びるインジケータ(326)をさらに含み、以下でさらに詳細に説明する、穴(318)の向きを示す。インジケータ(326)は単にオプションであり、省略され得ることを、理解されたい。第2のバルブハウジング(312)は、中空円筒形部材を含み、中空円筒形部材は、コネクタ(340)および第2の通気孔コネクタ(350)に連結され、かつこれらと流体連通している。第2の通気孔(352)が、第2の通気孔コネクタ(350)に流体連結される。第2の通気孔(352)は、第2の通気孔コネクタ(350)に大気を出入りさせることができる、半透過性フィルターメッシュを含む。
【0022】
本実施例では、第1のバルブ部分(316)は、開いた遠位端部(317)および横向き穴(318)を有する、中空円筒形部材を含む。穴(318)は、第2のバルブハウジング(312)のコネクタ(340)と、また、第2の通気孔コネクタ(350)と、選択的に整列され、かつ/または、第2のバルブスプール(314)の向きに応じて第1のバルブ部分(316)の内部を実質的に流体分離するように、構成される。したがって、アクチュエータ(24)がキースロット(328)に連結されると、アクチュエータ(24)は、コネクタ(340)、第2の通気孔コネクタ(350)、および/またはその他に対して、穴(318)の向きを制御することができる。よって、アクチュエータ(24)は、第2のバルブ(300)が、第2の通気孔(352)を通じて第2のチューブ(104)を大気に通気するか、または、管状部材(150)および第4のチューブ(130)を通じて第2のチューブ(104)に真空を供給するかを、制御するように動作可能である。
【0023】
本実施例では、バルブフレーム(202)、第1のバルブ(210)、第2のバルブ(300)、ラッチレバー(204)、およびバルブハンドル(203)は、ポリカーボネートなど、医療グレードで剛性の射出成形プラスチックから作られてよい。バルブ組立体(200)について記載された流体を運ぶチューブすべて(第1のチューブ(102)、第2のチューブ(104)、第3のチューブ(106)、第4のチューブ(130)、および/または第5のチューブ(150)を含む)は、ポリ塩化ビニル(PVC)など、経済的で可撓性の医療グレード材料で作られてよい。第1のバルブスプール(214)および第2のバルブスプール(314)は、好ましくは、ポリエチレンなど、剛性の医療グレードプラスチックから作られる。
【0024】
本実施例では、アクチュエータ(24)がバルブスプール(214、314)と整列し、これらに連結されるように、バルブ組立体(200)がバルブ組立体レセプタクル(22)に正しく挿入されると、前述したように、第1の軸(202)は、第1の円筒形レセプタクルと整列され、第2の軸(302)は、第2の円筒形レセプタクルと整列される。第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)は回転バルブとして記載されているが、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、他のタイプのバルブを使用することもできる。
【0025】
C.第1のバルブおよび第2のバルブの例示的な動作状態
図5A図6Cに示すように、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)は、異なる動作状態のために、アクチュエータ(24)を通じて制御される。図7は、カッター(50)の位置および時間に対する、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)の状態を示す、例示的な動作プロセスを描いている。この動作プロセスは、単一の組織標本を取得するためのカッター(50)の単一の切断ストロークを構成することができ、かつ、要望される数の組織標本を入手するために要望される回数ほど反復されてよい。第1の状態では、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)の双方が、「デッドヘッド」または密封状態にあり、チューブ(102、104、106)を通じて流体は供給されない。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、穴(218)が図5Aに示すように第1のコネクタ(240)または第1の通気孔コネクタ(250)のいずれとも整列しないように回転し、第1のチューブ(102)は、通気孔(252)または第4のチューブ(130)のいずれとも流体連通しない。さらに、第1のバルブスプール(214)は、半円筒形セクション(222)が第2のコネクタ(246)から食塩水コネクタ(190)への流体移動を実質的に阻止し、食塩水バッグ(50)からの食塩水が第3のチューブ(106)に送達されないように、方向付けられる。前述したように、図5Aに示す断面図は、軸(202)から離れて設定されて、軸方向にオフセットしたコネクタ(190、246)を示していることを、理解されたい。この第1の状態では、第2のバルブスプール(314)は、穴(318)が図6Aに示すようにコネクタ(340)または第2の通気孔コネクタ(350)のいずれとも整列されないように回転し、第2のチューブ(104)は、通気孔(352)または第4のチューブ(130)のいずれとも流体連通しない。よって、バルブ組立体ユニット(100)は、生検装置(10)に対して実質的に流体を供給しない。図7に示すように、最初に双方のバルブ(210、300)は、針(16)の側方孔(34)が閉じるようにカッター(50)が位置1まで前進された、この状態で始まる。
【0026】
第2の状態では、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)の双方は、真空状態にあり、負の(真空)圧力が、第1のチューブ(102)および第2のチューブ(104)を通じて供給される。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、穴(218)が図5Bに示すように第1のバルブハウジング(212)の第1のコネクタ(240)と整列されるように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。したがって、第4のチューブ(130)からの真空は、第1のチューブ(102)と流体連通し、側方真空が、生検装置(10)の第2の内腔(38)に供給される。この向きでは、第1のバルブスプール(214)の半円筒形部分(222)は、食塩水コネクタ(190)が第1のバルブハウジング(212)の第2のコネクタ(246)と流体連通しないように、位置付けられることを、理解されたい。したがって、食塩水バッグ(50)および第5のチューブ(140)からの食塩水は、第3のチューブ(106)と流体連通しない。また、この状態では、第2のバルブスプール(314)は、穴(318)が図6Bに示すように第2のバルブハウジング(312)のコネクタ(340)と整列するように、対応するアクチュエータ(24)によって回転させられる。したがって、第4のチューブ(130)からの真空は、第2のチューブ(104)とも流体連通し、軸方向の真空が、生検装置(10)のカッター内腔(52)に供給される。図7に示すように、カッター(50)が針(16)の側方孔(34)を開くように後退させられると、双方のバルブ(210、300)が回転してこの状態になる。双方のバルブ(210、300)はこの状態でとどまり、カッター(50)が後退された後、および、カッター(50)が前進して組織を切断する際に所定の期間にわたり、組織は、生検装置(10)の針(16)の側方孔(34)に引き込まれ得る。
【0027】
第3の状態では、第1のバルブ(210)は、大気圧が第1のチューブ(102)を通して供給されるように、通気位置まで回転し、一方、第2のバルブ(300)は、負の(真空)圧力が、第2のチューブ(104)を通して供給されるように、真空状態にとどまる。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、図5Cに示すように、穴(218)が第1の通気孔コネクタ(250)と整列し、第1のチューブ(102)が第1の通気孔(252)と流体連通するように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。この向きにおいて、第1のバルブスプール(214)の半円筒形部材(222)は、食塩水コネクタ(190)が第1のバルブハウジング(212)の第2のコネクタ(246)と流体連通しないように位置付けられることを、理解されたい。したがって、食塩水バッグ(50)および第5のチューブ(140)からの食塩水は、第3のチューブ(106)と流体連通していない。この第3の状態では、第2のバルブスプール(314)は、図6Bに示し前述した位置にとどまり、軸方向真空が第2のチューブ(104)を通じて供給される。この状態では、切断された組織標本は、組織標本ホルダー(18)に向けて生検装置(10)を通って軸方向に引っ張られ続けることができ、または、いくつかのバージョンでは、針(16)内部の任意の組織破片が、軸方向真空により、針の中から取り除かれる。
【0028】
第4の状態では、第1のバルブ(210)は、食塩水が食塩水バッグ(50)から第1のチューブ(102)を通って供給されるように、食塩水位置(saline position)まで回転され、一方、第2のバルブ(300)は、負の(真空)圧力が第2のチューブ(104)を通して供給されるように、真空状態のままである。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、半円筒形部分(222)が、図5Dに示すように、食塩水コネクタ(190)から第1のバルブハウジング(212)の第2のコネクタ(246)への流体の流れを妨げないように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。したがって、食塩水バッグ(50)および第5のチューブ(140)からの食塩水は、第3のチューブ(106)を介して生検装置(10)と流体連通する。この向きにおいて、第1のバルブスプール(214)の穴(218)は、第1のコネクタ(240)も第1の通気孔コネクタ(250)も、第1のチューブ(102)と流体連通しないように、位置付けられることを、理解されたい。この状態では、第2のバルブスプール(314)は、図6Bに示し前述した位置にとどまり、軸方向真空が、第2のチューブ(104)を通じて供給される。したがって、第2のチューブ(104)により供給される軸方向真空が、生検装置(10)において使用されて、第3のチューブ(106)を通して食塩水をくみ出し、かつ切断された組織標本を、生検装置(10)を通して組織標本ホルダー(18)に向けて、軸方向に引っ張る。いくつかのバージョンでは、この状態は、生検装置(10)のカッター(50)が70%閉じた状態と完全に閉じた状態との間(これらの状態を含めて)にあるときに、生じ得る。当然、この状態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、カッター(50)の他の位置でも生じ得る。図7に示すように、第1のバルブスプール(214)は、大気に通気される第3の状態と、生検装置(10)の針(16)の第2の内腔(38)への大気および食塩水の供給を交互に行うように食塩水を供給する第4の状態と、の間で回転し得る。食塩水と大気とを交互に供給すること(alternation)は、切断された組織標本を組織標本ホルダー(18)に流し込むこと、および/または生検装置(10)から破片を取り除くことを助けるのに使用され得る。図7に示す動作プロセスでは、第1のバルブ(210)は、カッター(50)がいったん所定の期間にわたり完全に閉じられたら、食塩水位置まで回転し、その後、前述した通気位置まで回転して戻る。
【0029】
第5の状態では、大気圧が第1のチューブ(102)および第2のチューブ(104)の双方に供給されるように、第1のバルブ(210)は通気位置まで回転し、第2のバルブ(300)は通気位置まで回転する。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、図5Dに示し前述した位置まで回転する。第2のバルブスプール(314)は、図6Cに示すように、穴(318)が第2のバルブハウジング(312)の第2の通気孔コネクタ(350)と整列し、第2のチューブ(104)が、第2の通気孔(352)と流体連通するように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。この状態では、生検装置(10)およびチューブ(102、104)は、大気に対して通気されて、それらの内部の残りの圧力を取り去る。いくつかのバージョンでは、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)は、新たな生検処置の前に、前述した第1の状態、すなわち「デッドヘッド」状態へと、回転して戻ることができる。例えば、図7に示すように、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)は双方、通気位置まで回転して、残りの圧力を軽減し、その後、「デッドヘッド」状態まで回転する。
【0030】
オプションの第6の状態では、第1のバルブ(210)は、第2のバルブ(300)が通気位置まで回転する間に、食塩水位置まで回転することができ、大気圧が第2のチューブ(104)を通じて供給される。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、前述し図5Cに示した食塩水状態(saline state)にとどまる。第2のバルブスプール(314)は、図示し、図6Cを参照して説明したように、通気位置まで回転する。したがって、食塩水は、軸方向真空を供給することなく、生検装置(10)に供給される。いくつかのバージョンでは、T字型バルブ(112)は、第2のチューブ(104)が通気される間に、ルアーコネクタ(114)に連結された供給源から薬剤を供給するように動作され得る。当然、このような状態は、単にオプションである。
【0031】
場合によっては、生検装置(10)と共に生検部位でマーカーを挿入して、組織標本が採取された場所の視覚的表示を提供するのが望ましいことがあり得る。例えば、マーカーアプライヤが、カッター(50)のカッター内腔(52)を通って挿入されて、マーカーアプライヤを、針(16)内部で側方孔(34)に隣接させて位置付けることができる。カッター(50)が後退位置にある状態で、使用者は、生検部位において配備されるように、マーカーアプライヤから針(16)の側方孔(34)を通してマーカーを放出することができる。マーカーは、何らかの撮像モダリティー(例えば、X線、超音波、MRI、PEM、BSGIなど)の下で、後から見えるようになってもよく(または、後から見えるようになる何かを有してよく)、医師が、後で生検部位を再び突き止める(relocate)ことを可能にする。ほんの一例として、マーカーおよび/またはマーカーアプライヤは、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」の名称で2011年8月8日に出願された米国特許出願第13/205,189号;および/または、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Biopsy System with Graphical User Interface」の名称で2012年11月19日に出願された米国特許出願第61/727,889号の教示の少なくとも一部に従って構成されてよい。
【0032】
マーカーアプライヤは、少なくとも2つの異なる方法で、カッター内腔(52)を通して挿入され得る。一実施例では、組織標本ホルダー(18)は、マーカーアプライヤが挿入されたときにプローブ(12)と連結されたままである。例えば、組織標本ホルダー(18)は、カッター(50)により切断された組織標本を受容するための複数のチャンバを含んでよく、また、マーカーアプライヤを受容する専用チャンバを有することができる。組織標本ホルダー(18)の専用チャンバは、カッター(50)と整列されてよく、マーカーアプライヤは、組織標本ホルダー(18)の専用チャンバを通して、かつカッター(50)のカッター内腔(52)を通して、遠位に挿入され得る。別の実施例では、使用者は、まず、組織標本ホルダー(18)をプローブ(12)から取り外して、その後、マーカーアプライヤが側方孔(34)に関連する長さ方向位置に到達するまでカッター(50)の近位端部を通してマーカーアプライヤを挿入することができる。組織標本ホルダー(18)の専用チャンバがカッター内腔(52)に対して割出しされるとき、および/またはマーカーを生検部位にて配備するために組織標本ホルダー(18)がプローブ(12)から取り外されるとき、新たな空気圧状態(pneumatic state)が活性化され得る。
【0033】
マーカーが取り付けられる前、バルブ組立体(200)は、カッター(50)の位置および時間に対する第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)の状態の例示的な動作プロセスを示す図8に従って、作動され得る。第7の状態では、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)の双方は、組織標本が生検装置(10)で採取された後は、「デッドヘッド」状態にある。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、図5Aに示すように、穴(218)が第1のコネクタ(240)または第1の通気孔コネクタ(250)のいずれとも整列しないように、回転させられ、第1のチューブ(102)は、通気孔(252)または第4のチューブ(130)のいずれとも流体連通しない。さらに、第1のバルブスプール(214)は、半円筒形セクション(222)が第2のコネクタ(246)から食塩水コネクタ(190)への流体移動を実質的に阻止して、食塩水バッグ(50)からの食塩水が第3のチューブ(106)に送達されないように、方向付けられる。この第7の状態では、第2のバルブスプール(314)は、図6Aに示すように、穴(318)がコネクタ(340)または第2の通気孔コネクタ(350)のいずれとも整列しないように回転され、第2のチューブ(104)は、通気孔(352)または第4のチューブ(130)のいずれとも流体連通しない。よって、バルブ組立体ユニット(100)は、生検装置(10)に実質的に流体を供給しない。図8に示すように、双方のバルブ(210、300)は、針(16)の側方孔(34)が閉じるようにカッター(50)が位置1まで前進した、この状態にある。
【0034】
第8の状態では、第1のバルブ(210)は、真空状態にあり、第2のバルブ(300)は、通気状態にある。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、穴(218)が、図5Bに示すように第1のバルブハウジング(212)の第1のコネクタ(240)と整列するように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。したがって、第4のチューブ(130)からの真空は、第1のチューブ(102)と流体連通し、側方真空が、生検装置(10)の針(16)の第2の内腔(38)に供給される。この向きにおいて、第1のバルブスプール(214)の半円筒形部分(222)は、食塩水コネクタ(190)が第1のバルブハウジング(212)の第2のコネクタ(246)と流体連通しないように、位置付けられることを理解されたい。したがって、食塩水バッグ(50)および第5のチューブ(140)からの食塩水は、第3のチューブ(106)と流体連通しない。また、この状態では、第2のバルブスプール(314)は、図6Cに示すように、穴(318)が第2のバルブハウジング(312)の第2の通気孔コネクタ(350)と整列され、第2のチューブ(104)が第2の通気孔(352)と流体連通するように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。したがって、大気が、カッター(50)のカッター内腔(52)に供給され、軸方向の通気が、生検装置(10)にもたらされる。図8に示すように、カッター(50)が針(16)の側方孔(34)を開くように後退されると、双方のバルブ(210、300)は回転して、この状態になる。カッター(50)が後退した後で生検装置(10)の針(16)の側方孔(34)を通して生検部位へとマーカーが配備され得るように、双方のバルブ(210、300)はこの状態にとどまる。カッター(50)は次に、前進して、針(16)の側方孔(34)を再び閉じることができる。
【0035】
第9の状態では、第1のバルブ(210)は通気位置まで回転され、第2のバルブ(300)は通気位置にとどまり、大気圧が、第1のチューブ(102)および第2のチューブ(104)の双方に供給される。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、図5Dに示し前述した位置まで回転する。第2のバルブスプール(314)は、図6Cに示すように、穴(318)が第2のバルブハウジング(312)の第2の通気孔コネクタ(350)と整列され、第2のチューブ(104)が第2の通気孔(352)と流体連通するように、通気位置を維持する。この状態では、生検装置(10)およびチューブ(102、104)は、大気に通気されて、それらの中の残りの圧力を取り去る。いくつかのバージョンでは、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)は、新たに生検標本を取得する前に、前述した第1の状態、すなわち「デッドヘッド」状態まで回転して戻ることができる。例えば、図8に示すように、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)の双方は、通気位置まで回転して、残りの圧力を軽減し、その後、「デッドヘッド」状態まで回転する。
【0036】
場合によっては、カッター(50)のカッター内腔(52)内で組織が詰まった場合には、クリアプローブアルゴリズム(clear probe algorithm)を開始することができる。ほんの一例として、オペレーターがカッター(50)で(例えば図7に描いたプロセスに従って)完全な切断ストロークを完了したが、切断された組織標本が組織標本ホルダー(18)内部にまだ現れてこない場合には、オペレーターは、組織がカッター内腔(52)内で詰まったと判断することができる。本実施例のクリアプローブアルゴリズムでは、図9に示すように、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)の双方は、カッター(50)の後退および前進の間「デッドヘッド」状態にあり、チューブ(102、104、106)を通して流体は供給されない。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、穴(218)が、図5Aに示すように、第1のコネクタ(240)または第1の通気孔コネクタ(250)のいずれとも整列せず、第1のチューブ(102)が、通気孔(252)または第4のチューブ(130)のいずれとも流体連通しないように、回転される。さらに、第1のバルブスプール(214)は、半円筒形セクション(222)が、第2のコネクタ(246)から食塩水コネクタ(190)への流体移動を実質的に阻止し、食塩水バッグ(50)からの食塩水が第3のチューブ(106)に送達されないように、方向付けられる。この状態では、第2のバルブスプール(314)は、穴(318)が、図6Aに示すように、コネクタ(340)または第2の通気孔コネクタ(350)のいずれとも整列せず、第2のチューブ(104)が通気孔(352)または第4のチューブ(130)のいずれとも流体連通しないように、回転される。よって、バルブ組立体ユニット(100)は、生検装置(10)に実質的に流体を供給しない。カッター(50)は、図9に示すように、再び前進する前に、わずかに後退するにすぎないことを、理解されたい。場合によっては、カッター(50)の後退は、非常にわずかで、カッター(50)は、再び前進する際にさらなる組織標本を切断しない。言い換えれば、カッター(50)は、組織がカッター(50)により切断されるように側方孔(34)内に突出するのに十分なほど、針(16)の側方孔(34)を有効に開口させない。
【0037】
カッター(50)が前進して最遠位位置まで戻った後で、第1のバルブ(210)は、大気圧が第1のチューブ(102)を通じて供給されるように、通気位置へと回転し、一方、第2のバルブ(300)は、負の(真空)圧力が第2のチューブ(104)を通じて供給されるように、真空状態へと回転する。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、図5Cに示すように、穴(218)が第1の通気孔コネクタ(250)と整列し、第1のチューブ(102)が第1の通気孔(252)と流体連通するように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。第2のバルブスプール(314)は、図6Bに示し前述した位置にとどまり、軸方向真空が、第2のチューブ(104)を通じて供給される。この状態では、先に切断された組織標本は、組織標本ホルダー(18)に向けて生検装置(10)を通って軸方向に引っ張られ続けてよく、あるいは、いくつかのバージョンでは、針(16)内部の任意の組織破片が、軸方向真空により、針の中から取り除かれる。
【0038】
第1のバルブ(210)は次に、食塩水が食塩水バッグ(50)から第1のチューブ(102)を通って供給されるように、食塩水位置まで回転し、一方、第2のバルブ(300)は、負の(真空)圧力が第2のチューブ(104)を通って供給されるように、真空状態にとどまる。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、半円筒形部分(222)が、図5Dに示すように、食塩水コネクタ(190)から第1のバルブハウジング(212)の第2のコネクタ(246)への流体の流れを妨げないように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。したがって、食塩水バッグ(50)および第5のチューブ(140)からの食塩水は、第3のチューブ(106)により、生検装置(10)と流体連通する。この状態では、第2のバルブスプール(314)は、図6Bに図示し前述した位置にとどまり、軸方向真空が、第2のチューブ(104)を通じて供給される。したがって、第2のチューブ(104)により供給される軸方向真空を、生検装置(10)において使用し、第3のチューブ(106)を通して食塩水をくみ出し、また、組織標本ホルダー(18)に向けてカッター内腔(52)を通して軸方向に、切断された組織標本を引き込む。図9に示すように、第1のバルブスプール(214)は回転して、大気に対して通気するよう戻されて、生検装置(10)の針(16)の第2の内腔(38)に大気および食塩水を交互に供給することができる。食塩水および大気を交互に供給することは、切断された組織標本を組織標本ホルダー(18)内に流し込むこと、および/または生検装置(10)から破片を取り除くことを助けるのに使用され得る。
【0039】
次に、第1のバルブ(210)は通気位置にとどまる一方、第2のバルブ(300)は通気位置まで回転して、大気圧が、第1のチューブ(102)および第2のチューブ(104)の双方に供給される。この状態では、第1のバルブスプール(214)は、図5Dに図示し前述した位置にある。第2のバルブスプール(314)は、図6Cに示すように、穴(318)が第2のバルブハウジング(312)の第2の通気孔コネクタ(350)と整列し、第2のチューブ(104)が第2の通気孔(352)と流体連通するように、対応するアクチュエータ(24)により回転させられる。この状態では、生検装置(10)およびチューブ(102、104)は、大気に対して通気されて、それらの中の残りの圧力を取り除く。いくつかのバージョンでは、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)は、新たに生検標本を入手する前に、前述した第1の状態、すなわち「デッドヘッド」状態まで回転して戻ることができる。例えば、図9に示すように、第1のバルブ(210)および第2のバルブ(300)は双方、通気位置まで回転されて、残りの圧力を軽減し、その後、「デッドヘッド」状態まで回転する。
【0040】
当然、さらなる構成および状態が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。さらに、前記の状態は単に例示的なものであり、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、任意の順序で適用され得ることを、理解されたい。
【0041】
参照により本明細書に組み込まれると言われた任意の特許、公報、または他の開示資料は、全体として、または部分的に、組み込まれる資料が本開示に記載される既存の定義、陳述、または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。したがって、必要な範囲で、本明細書に明白に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する資料に優先する。参照により本明細書に組み込まれると言われたが、本明細書に記載される既存の定義、陳述、または他の開示資料と矛盾する、あらゆる資料またはその一部は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲で、組み込まれるに過ぎない。
【0042】
本発明の実施形態は、従来の内視鏡および切開手術器具(endoscopic and open surgical instrumentation)における適用、ならびにロボット支援手術における適用を有している。
【0043】
本明細書に開示した装置の実施形態は、1回使用した後で処分されるように設計されてもよく、あるいは、複数回使用されるように設計されてもよい。いずれかの場合、または双方の場合において、実施形態は、少なくとも1回使用した後で再利用のため再調整されることができる。再調整は、装置の分解ステップ、その後の、特定の部品の洗浄または置換ステップ、およびその後の再組立ステップの、任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、装置の実施形態は、分解されてよく、装置の、任意の数の特定の部品または部分が、任意の組み合わせで、選択的に置換または除去されることができる。特定の部分が洗浄および/または置換されると、装置の実施形態は、再調整施設で、または、外科処置の直前に外科チームによって、その後使用されるように再組立され得る。当業者は、装置の再調整が、分解、洗浄/置換、および再組立のためのさまざまな技術を利用できることを認識するであろう。このような技術の利用、および結果として得られる再調整済み装置はすべて、本出願の範囲内である。
【0044】
ほんの一例として、本明細書に記載した実施形態は、手術前に処理され得る。まず、新しい器具または使用済みの器具を入手し、必要であれば洗浄することができる。この器具は、次に滅菌され得る。1つの滅菌技術では、器具が、プラスチックまたはTYVEKバッグなど、閉じられ密閉された容器の中に入れられる。容器および器具は、その後、γ放射線、x線、または高エネルギー電子などの、容器を貫通できる放射線場の中に置かれ得る。放射線が、器具上および容器内の細菌を死滅させることができる。滅菌された器具は、その後、滅菌容器内に保管され得る。密閉された容器は、医療施設で開封されるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。βもしくはγ放射線、エチレンオキシド、または蒸気を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意の他の技術を使用して、装置を滅菌することもできる。
【0045】
本発明のさまざまな実施形態を図示し説明してきたが、本明細書に記載された方法およびシステムのさらなる改作物が、本発明の範囲を逸脱しない、当業者による適切な改変により達成され得る。このような潜在的な改変のいくつかには言及しており、他のものは、当業者には明らかであろう。例えば、前述した実施例、実施形態、外形、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項の点で検討されるべきであり、本明細書および図面に示し説明した構造および動作の詳細に限定されないことが理解される。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 生検組立体において、
(a)生検装置であって、
(i)本体、
(ii)前記本体から遠位に延びる針であって、側方組織受容孔を画定する、針、および、
(iii)前記針に対して並進運動可能なカッターであって、前記針の前記側方組織受容孔を選択的に閉じるように構成された、カッター、
を含む、生検装置と、
(b)真空源と、
(c)前記生検装置の前記針と流体連通するバルブ組立体であって、
(i)前記針に対して大気の通気を選択的にもたらすように動作可能な第1のバルブであって、前記針に真空を選択的に供給するようにさらに動作可能である、第1のバルブ、
(ii)前記針に対して大気の通気を選択的にもたらすように動作可能な第2のバルブであって、前記針に真空を選択的に供給するように動作可能である、第2のバルブ、および、
(iii)前記真空源と連結された導管であって、前記管状部材は、第1のコネクタおよび第2のコネクタを含み、前記第1のコネクタは、前記第1のバルブと連結され、前記第2のコネクタは、前記第2のバルブと連結され、前記導管は、前記第1のバルブと第2のバルブとの間に延び、前記導管は、前記第1および第2のバルブに真空を供給するように動作可能である、導管、
を含む、バルブ組立体と、
を含む、生検組立体。
(2) 実施態様1に記載の生検組立体において、
前記針は、第1の内腔および第2の内腔を画定し、
前記カッターは、前記針の前記第1の内腔内部で並進運動可能であり、
前記カッターは、カッター内腔を画定する、生検組立体。
(3) 実施態様2に記載の生検組立体において、
前記第1のバルブは、前記針の前記第2の内腔と流体連通しており、前記第2のバルブは、前記カッターの前記カッター内腔と流体連通している、生検組立体。
(4) 実施態様3に記載の生検組立体において、
前記バルブ組立体は、前記第1のバルブと連結された第1のアクチュエータ、および前記第2のバルブと連結された第2のアクチュエータを含む、生検組立体。
(5) 実施態様4に記載の生検組立体において、
前記第1および第2のアクチュエータは、前記カッターの位置に応じて前記第1および第2のバルブを作動させるように構成される、生検組立体。
【0047】
(6) 実施態様5に記載の生検組立体において、
前記第1および第2のバルブは、前記カッターが前記側方組織受容孔を実質的に閉じるように位置付けられると、密封されるように構成される、生検組立体。
(7) 実施態様5に記載の生検組立体において、
前記第1および第2のバルブは、前記カッターが前記側方組織受容孔を実質的に開くように並進運動させられると、前記針に真空を供給するように構成される、生検組立体。
(8) 実施態様5に記載の生検組立体において、
前記カッターは、開位置から閉位置まで並進運動するように構成され、
前記カッターは、前記閉位置において前記側方組織受容孔を実質的に閉じるように構成される、生検組立体。
(9) 実施態様8に記載の生検組立体において、
前記第1のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記針に通気をもたらすように構成され、
前記第2のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記針に真空を供給するように構成される、生検組立体。
(10) 実施態様9に記載の生検組立体において、
前記第1のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記針の前記第2の内腔に食塩水を選択的に供給するように動作可能であり、
前記第2のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記カッターの前記カッター内腔に真空を供給するように構成される、生検組立体。
【0048】
(11) 実施態様8に記載の生検組立体において、
前記第1および第2のバルブは、前記カッターが前記閉位置まで並進運動されると、前記針に通気をもたらすように構成される、生検組立体。
(12) 実施態様8に記載の生検組立体において、
前記第1のバルブは、前記カッターが前記側方組織受容孔を開くように並進運動されると、前記針に真空を供給するように構成され、
前記第2のバルブは、前記カッターが前記側方組織受容孔を開くように並進運動されると、前記針に通気をもたらすように構成される、生検組立体。
(13) 実施態様1に記載の生検組立体において、
前記バルブ組立体は、ルアーコネクタを含み、
前記ルアーコネクタは、前記バルブ組立体を前記生検装置と選択的に連結するように動作可能である、生検組立体。
(14) 実施態様1に記載の生検組立体において、
制御ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットは、前記バルブ組立体を作動させるように動作可能である、生検組立体。
(15) 実施態様14に記載の生検組立体において、
前記制御ユニットは、バルブ組立体レセプタクルを含み、
前記バルブ組立体レセプタクルは、前記バルブ組立体の近位端部を受容するように構成される、生検組立体。
【0049】
(16) 実施態様14に記載の生検組立体において、
前記真空源は、前記制御ユニット内部に位置付けられる、生検組立体。
(17) 実施態様1に記載の生検組立体において、
前記生検装置の前記本体は、プローブ、および前記プローブと連結可能なホルスターを含み、
前記生検装置は、前記本体の近位部分に組織標本ホルダーをさらに含む、生検組立体。
(18) 実施態様1に記載の生検組立体において、
前記導管は、管状部材を含み、
前記第1および第2のコネクタは、前記管状部材から横方向に延びる、生検組立体。
(19) 生検組立体において、
(a)生検装置と、
(b)バルブ組立体と、
を含み、
前記バルブ組立体は、第1のバルブ、第2のバルブ、および管状部材を含み、
前記第1のバルブは、第1の導管により前記生検装置に選択的に連結され、
前記第2のバルブは、第2の導管により前記生検装置に選択的に連結され、
前記管状部材は、第3の導管により真空源と連結され、
前記管状部材は、第1および第2のコネクタを含み、
前記第1のコネクタは、前記第1のバルブと連結され、前記第2のコネクタは、前記第2のバルブと連結され、これにより、前記第1および第2のバルブを前記真空源と連結し、
前記第1および第2のバルブはそれぞれ、大気と流体連通しており、
前記第1および第2のバルブはそれぞれ、
(i)前記生検装置を選択的に密封し、
(ii)前記生検装置に真空を選択的に供給し、
(iii)前記生検装置を大気に選択的に通気する、
ように動作可能である、生検組立体。
(20) 生検組立体において、
(a)生検装置であって、
(i)針、および、
(ii)前記針に対して並進運動可能なカッターであって、遠位位置と近位位置との間で動くことができる、カッター、
を含む、生検装置と、
(b)前記生検装置と選択的に連結されるバルブ組立体であって、
(i)第1のバルブ、
(ii)第2のバルブ、および、
(iii)導管、
を含む、バルブ組立体と、
を含み、
前記導管は、真空源と連結され、
前記導管は、第1および第2のコネクタを含み、
前記第1のコネクタは、前記第1のバルブと連結され、前記第2のコネクタは、前記第2のバルブと連結され、これにより、前記第1および第2のバルブを前記真空源と連結し、
前記第1および第2のバルブは、前記カッターが前記近位位置にあるときに前記針に真空を供給するように動作可能であり、
前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで並進運動されると、前記第1のバルブは、前記針を大気に通気するように動作可能であり、前記第2のバルブは、前記針に真空を供給するように動作可能である、生検組立体。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】例示的な生検装置、例示的な制御ユニット、例示的なバルブ組立体ユニット、および食塩水バッグを示す概略図を描いている。
図2図1の生検装置の針部分の断面斜視図を描いており、カッターが、部分的に後退した位置にある。
図3】例示的なバルブ組立体および複数のチューブを示す、図1のバルブ組立体ユニットの斜視図を描いている。
図4図3のバルブ組立体の分解組立斜視図を描いている。
図5A図3に示す切断線5A‐5Aに沿った図3のバルブ組立体の第1のバルブの断面図を描いており、第1の位置にある例示的な第1のバルブスプールを示している。
図5B図3に示す切断線5B‐5Bに沿った図3の第1のバルブの断面図を描いており、第2の位置にある第1のバルブスプールを示している。
図5C図3に示す切断線5B‐5Bに沿った図3の第1のバルブの断面図を描いており、第3の位置にある第1のバルブスプールを示している。
図5D図3に示す切断線5A‐5Aに沿った図3の第1のバルブの断面図を描いており、第4の位置にある第1のバルブスプールを示している。
図6A図3に示す切断線6‐6に沿った図3のバルブ組立体の第2のバルブの断面図を描いており、第1の位置にある例示的な第2のバルブスプールを示している。
図6B図3に示す切断線6‐6に沿った図3の第2のバルブの断面図を描いており、第2の位置にある第2のバルブスプールを示している。
図6C図3に示す切断線6‐6に沿った図3の第2のバルブの断面図を描いており、第3の位置にある第2のバルブスプールを示している。
図7】時間およびカッター位置に対する第1のバルブおよび第2のバルブの例示的な状態を示す、例示的な動作プロセスのグラフ図を描いている。
図8】時間およびカッター位置に対する第1のバルブおよび第2のバルブの例示的な状態を示す、別の例示的な動作プロセスのグラフ図を描いている。
図9】時間およびカッター位置に対する第1のバルブおよび第2のバルブの例示的な状態を示す、さらに別の例示的な動作プロセスのグラフ図を描いている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9