特許第6169684号(P6169684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169684
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/00 20060101AFI20170713BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20170713BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20170713BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20170713BHJP
   B29C 44/60 20060101ALI20170713BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20170713BHJP
【FI】
   B29C45/00
   C08G18/00 Z
   B29C45/26
   B29C44/00 D
   B29C44/60
   C08G101:00
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-509387(P2015-509387)
(86)(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公表番号】特表2015-521121(P2015-521121A)
(43)【公表日】2015年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2013058765
(87)【国際公開番号】WO2013164274
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2016年4月26日
(31)【優先権主張番号】12166156.5
(32)【優先日】2012年4月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト・アルベルス
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−グイド・ヴィルツ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ローフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ピーラシュ
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−510339(JP,A)
【文献】 特表2012−501255(JP,A)
【文献】 特開昭60−071219(JP,A)
【文献】 特開2005−153266(JP,A)
【文献】 特開平11−014246(JP,A)
【文献】 特開2001−050466(JP,A)
【文献】 特表2010−519396(JP,A)
【文献】 特開平03−164216(JP,A)
【文献】 特開2009−051013(JP,A)
【文献】 特表2005−513222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
B29C 44/00−44/60
C08G 18/00−18/87
C08G 71/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡成型体の製造方法であって、
A)金型を供給する工程、および
B)フォーム形成性反応混合物を金型中へ射出の可変圧力下で導入する工程
を含み、
該フォーム形成性反応混合物は、20℃において、≧20秒〜≦60秒の実験的に決定された繊維時間を有し、
射出圧が、工程B)において時間とともに減少し、
前記導入されたフォーム形成性反応混合物の工程B)における出口速度が、≧1m/s〜≦6m/sであることを特徴とする、方法。
【請求項2】
フォーム形成性反応混合物を、一時的に変えることができる速度にて金型中へ導入し、フォーム形成性反応混合物を、一時的に変えることができる速度にて金型中へ導入する間の時間は≧1秒〜≦20秒であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
形成発泡性反応混合物を一時的に変えることができる速度にて金型中へ導入する時間とフォーム形成性反応混合物のクリーム時間の比が0.1〜10の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
フォーム形成性反応混合物の導入速度および/または射出圧力の一時的変化は、反応混合物に作用するポンプモーターのパワー出力を変えることにより得られ、ポンプモーターのパワー出力は、周波数変換器を用いてモーターの回転速度を変えることにより得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
フォーム形成性反応混合物を、第1反応成分および第2反応成分の反応から得、および第1反応成分および第2反応成分をそれぞれノズルより混合チャンバー中へ導入し、ここで、フォーム形成性反応混合物は、硬質ポリウレタンフォームを得るようにより具体的に選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
フォーム形成性反応混合物は、≧25秒〜≦55秒の実験的に決定された繊維時間を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
導入されたフォーム形成性反応混合物の出口速度は、工程B)において時間とともに減少することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
射出圧は、工程B)において時間とともに、特に極めて実質的に線形に減少することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程B)における射出圧を、少なくとも15バール/秒変化させることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
断面から見た金型は、水平配置床体積および該床体積と通じている垂直配置体積を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
金型は、外側の配管ラインおよびそこで内側に配置された配管ラインを含むこと、およびフォーム形成性反応混合物を、内側配管ラインおよび外側配管ラインの間に導入することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
金型は、2つの相互に空間を介した領域要素を含むこと、およびフォーム形成性反応混合物を、これらの領域要素間へ導入することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
フォーム形成性反応混合物を、混合チャンバー(2)を有する混合ヘッドにより導入し、さらに、混合チャンバー(2)の流出断面(6)を導入中に変化させることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
フォーム形成性反応混合物は、エマルションを含むか、またはエマルションから構成され、ここでエマルションは、以下の構成成分:
(I)連続相として少なくとも3つのポリオールA1a、A1bおよびA1eのポリオール混合物A1を含有するイソシアネート反応性組成物A、および
(II)分散相として少なくとも1つの物理発泡剤T、
を含有し、ここで、以下の制限:
(i)A1aは、15mgKOH/g〜550mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、1.5〜6.0の官能価を有するポリエーテルポリオールであり、炭水化物およびジ−またはより高い官能性のアルコールからなる群から選択される1以上のスターター化合物上へのエポキシドの付加反応により得られる;
(ii)A1bは、100mgKOH/g〜550mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、1.5〜5.0の官能価を有するポリエーテルポリオールであり、芳香族アミン上へのエポキシドの付加反応により得られる;
(iii)A1eは、100mgKOH/g〜450mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、1.5〜3.5の官能価を有するポリエステルポリエーテルポリオールであり、芳香族ジカルボン酸誘導体およびジ−またはより高い官能性のアルコールのエステル化生成物上へのエポキシドの付加反応により得られる
が適用されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
物理発泡剤Tは、炭化水素、ハロゲン化エーテルおよび1〜8固の炭素原子をそれぞれ有するパーフッ素化炭化水素からなる群の少なくとも1つのメンバーから選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を供給する工程およびフォーム形成性反応混合物を金型へ導入する工程を含む発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、断熱すべきキャビティは、金属パネルまたは断熱板の場合における通り連続的に、または例えば冷却電化製品、導管または不連続パネルの場合において不連続的にポリウレタンフォームで断熱される。このような操作に使用される断熱材の出力割合は一定であり、および各特定用途のためのポリウレタンフォーム構造、反応性プロファイルおよびさらに混合要件を充足するある範囲内でなければならない。
【0003】
冷却用途のための断熱成分を製造するための従来法の一例は、電化製品が、仰向けにされ、およびコンプレッサーステージまたは上部域のいずれかから充填されるタブ位置において充填される方法である。さらなる発展した従来法の別の例は、反応混合物が金型中へ上方に導入され、したがって金型の床にわたって広がることができる「トップフロー」法である。
【0004】
DE102008040598A1は、射出ノズルを中空体の入口開口部上に配置する工程、フォーム形成剤を中空体中へ射出ノズルを用いることにより射出する工程および射出されたフォーム形成剤を発泡させる工程を有する、中空体、特に家庭用冷却電化製品用筐体のフォーム充填法を開示する。この方法では、フォーム形成剤の射出ノズルから中空体の内部壁上での衝撃点へ飛行距離が射出工程の間に低減される。
【0005】
フォーム形成剤の飛行距離を変える1つの方法は、射出ノズルの噴霧方向を射出の工程の間に調節することである。しかしながら、DE102008040598A1によれば、フォーム形成剤の飛行距離を、射出ノズルにおける射出速度、従ってフォーム物質のためのジェットエネルギーを減少することにより低下させることは好ましい。これは、可変開口断面を有するノズルにより達成されると言われている。
【0006】
しかしながら、この試みの欠点は、特別なノズルが必要であることである。これは、既存設備における変更費用および休止時間が生じる。
【0007】
EP2366525A1は、ポリウレタン混合物の予備決定量を、射出点から最も遠い第1射撃ゾーンへの導入のために開始時の第1供給速度および射出速度を設定することにより射出する方法を開示する。その後、供給量および射出速度はいずれも低減され、ポリウレタン混合物は、射出点の近辺において最も遠く離れた射撃ゾーンと最終ゾーンの間の1以上の連続射撃ゾーンにおいてカバーされる。様々なゾーンを被覆するための計量された量は、同じに維持され、および/または変えられる。クレーム3によれば、この処置の間に隣接したゾーン間でポリウレタン混合物の射出流速を徐々に低減してよい。発泡プロセスを制御するために、測定流速と参照データとの比較により作動装置によって適切な方法で供給ポンプのポンプ回転速度を適応するためにコンピューター制御系の使用が提案されている。
【0008】
この手順で把握される1つの欠点は、このためにこれまで用いられたポリウレタン系が完全に金型を充填しない場合があることである。比較的大きなボイドがフォーム中に形成され得ることがより具体的に決定された。しかしながら、比較的大きなボイドまたは空気含有物は断熱性能を低下させ、これは特に近年の問題となるが、より良い冷蔵庫断熱材の需要はこれに関連したより低いエネルギー必要量のために増加し続けるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008040598号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2366525号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、先行技術における上記欠点を解消する発泡成形体を製造するための方法を提供することである。とりわけ、発泡される中空体は、より均質のフォーム密度分布を有するが、ボイドは有さないものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、以下の工程:
A)金型を供給する工程、および
B)フォーム形成性反応混合物を金型中へ射出の可変圧下で導入する工程
を含む発泡成形体の製造方法により達成され、この方法は、フォーム形成性反応混合物が≧15秒〜≦50秒の繊維時間を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、フォーム形成性反応混合物で金型を充填する方法を示す。
図2図2は、フォーム形成性反応混合物で金型を充填する別の方法を示す。
図3図3は、第1操作位置における混合ヘッドを示す。
図4図4は、第2操作一における図3の混合ヘッドを示す。
図5図5は、折り畳まれていない描写における筐体金型を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、上記繊維時間を有するフォーム形成性反応混合物を用いることが、物体形状が複雑な場合でさえ物体のボイドレス発泡が確保されるという見識に基づく。これについての1つの可能性のある理由は、本発明にしたがって用いられた反応混合物は、比較的短い繊維時間を有し、型が充填される共に泡立ち始めることである。従ってこれらは「速い系」としても知られている。この型の系は、例えば他の応用分野から2成分ポリウレタン系の形態で原理上知られている。この設定速度は、本発明の繊維時間が得られるように、例えば用いる原料の反応性および/または触媒の選択により影響が与えられてよい。
【0014】
金型は充填されると共にある程度発泡され、ライズフォームフロントは、反応混合物がまず輸出される側において出発しながら形成する。フォームが膨張して金型の天井に到着すると、金型中の空気/ガス体積は、上記空気含有物ボイドが形成されることなくフォームフロントにより置換される。このために、本発明の方法は、真空技術を原則としては使用することもできるが大気圧下で本発明の方法を行うこともできる。
【0015】
細孔構造がそのような高速セッティングシステムの使用により得られることがさらに明らかとなった。与えられたフォーム物質のためのより微細な細孔構造は改善された断熱性能をもたらす。
【0016】
繊維時間は、本発明では以下の通り定義される:反応混合物の反応物を1000rpmおよび20℃にて従来用いられる実験室撹拌機で混合し、および薄い木製ヘラを膨張性反応混合物中へ短い間隔で浸漬することにより実験的に決定する。成分を混合する時間から、ヘラでストリングを引き延ばすことが最初に可能となる時間までの時間が繊維時間である。
【0017】
この実験室繊維時間は、対応する機械で処理されている場合に反応混合物の繊維時間を示す、いわゆる機械繊維時間とは区別されなければならない。機械により、個々の成分を混合し、および高圧を用いて金型中へ導入するので、反応物または反応混合物の加熱がこの方法により起こり、機械繊維時間は、一般に、20℃での実験室において決定される上記繊維時間より短い。大まかな経験則は、実験室において20℃にて決定された繊維時間は、例えばポリウレタン混合物の個々の成分の150バール射出圧について約0.6の係数をかけなければならない。言いかえれば、20℃での実験室繊維時間は、約36秒の150バール機械繊維時間に相当する。
【0018】
本発明の方法は、形状が反応系の流動挙動を特に要求する中空体に特に適している。これは、とりわけ、延長された形状、硬度に細長い形状を、中空体として薄くおよび狭いチャンバーおよび反応混合物の輸入場所から充填される中空体の末端流路への長い距離で包含する。
【0019】
本発明による方法の工程(A)において提供される金型は、閉じた形状または開いた形状を有し得る。本発明では「開いた」は、少なくとも2つの側壁があることを意味する。得られたフォームは、金型から取り除いてよく、あるいはその最終目的地のために金型中に残してもよい。冷却電気製品のワンピース断熱成分を製造するための金型は、本発明の目的に特に適している。好ましくは、金型は、導入された反応混合物が、金型の床の上を広がることができるように配置する。
【0020】
フォーム形成性反応混合物を工程(B)により金型中へ導入することは、フォーム形成性反応混合物を従来法により高圧混合系において製造し、金型中へ放出配管を用いて導入することにより行い得る。混合系は、反応混合物の個々の成分で供給された混合チャンバーを含み得る。混合チャンバーへの供給は、それ自体既知のノズルによるものであり、これにより、反応混合物の成分を混合チャンバーへ可変圧を用いる本発明の方法により導入される。可変圧を達成するさらなる方法は、金型の方向における混合手段からの反応混合物の流出断面でのスロットル手段を含み、ここで、スロットル手段は、上記混合チャンバーの下流に配置してもよい。1つの放出配管または2以上の放出配管を1個の金型当たり用いることができる。発泡形成が終了した後、反応混合物は完成まで硬化する。
【0021】
したがって、言いかえれば、本発明により供給される射出圧力変化は、反応混合物の個々の成分の混合チャンバーへの射出圧を変えることにより、および/または例えばスロットル手段により達成し得る。
【0022】
本発明の方法は、フォーム形成性反応混合物を金型中へ射出の可変圧下で導入する工程をさらに含む。用語「可変」は、反応混合物が導入される通り、活性影響を、例えばノズル径を変えることにより、幾つかの可能性ではあるが言及するために、射出圧、供給速度または供給圧について及ぼすことを意味すると理解される。この用語は、方法において単に技術的に避けることができない変動、そうでなければ一定圧で行われることを意味すると理解されるべきではない。とりわけ、±15%を超える射出圧変化が与えられる。可変射出圧は、スピーディおよびボイドレスの物体の形成が、特に本発明により提供される高速硬化性反応系の併用の場合に有利である。
【0023】
本発明による方法の有利な綿密さにおいて、フォーム形成性反応混合物は、一時的な変動率で金型中へ導入し得る。これは、金型中への反応混合物の質量流が、例えば1秒当たりのグラムで表し得る通り、可変であることを意味すると理解される。一時的な変化は、線形であってよく、または他の時間の関数にしたがってよい。これは、後者では、ポリウレタンフォームを形成するために反応する混合物を適用するという単位時間当たりの一定射出量について優位性を有するが、正確には、これは、反応混合物のより好ましくない予備分布が、確立され始め、したがってフォームのための均質分布を得ることを不可能にする点で、発泡すべき空洞のために複雑な形状での欠点である。
【0024】
反応混合物の金型中への一時的な一定の輸入は、金型の床上へ水平に射出された反応混合物のために、比喩的な意味で楕円形分布を与える。対照的に、輸出速度の上記好ましい一時的変化は、引き伸ばされたストリップの形態での反応混合物である。その結果、膨張する反応混合物は、金型を充填するためにより短い距離を覆う必要がある。流路の短縮化は、低減された材料関連の要件およびより等方性のおよび/またはより均質な発泡構造をもたらす。言いかえれば、より多くの見掛け密度分布でさえ最終発泡体中で得られる。フォームの強度特性もまた、せん断損失を最小化するので向上される。この方法の変法は、これらの系が極めて短い流路に依存する短い繊維時間のためであるので、本発明により提供される短い繊維時間フォーム系との組み合わせにおいて特に有利である。
【0025】
この変法では、フォーム形成性反応混合物の導入速度および/または射出圧の一時的変化が、反応混合物に作用するポンプモーターのパワー出力を変化することにより得られ、ポンプモーターのパワー出力は、特に周波数変換装置を使用するモーターの回転速度を変化することにより得られる。これを実現する1つの簡単な方法は、モーター(複数可)用にプログラマブルロジック調節器(PLC)での方法である。これは、評価される通り、2以上のモーターを用いてフォーム形成性反応混合物の2以上の供給成分に影響を及ぼすシナリオを含む。輸入プロファイルは、各金型のために個々に調節し得る。
【0026】
フォーム形成性反応混合物は、好ましくは2以上の成分を混合ヘッド中で混合し、その後、直接金型中へ導入することから得られる。ミキシングヘッドからの出口オリフィスは、型へ混合物を導入する輸出パイプを同時に構成してもよい。
【0027】
フォーム形成性反応混合物が、2以上の成分を混合ヘッド中において混合することから得られる場合には、ミキシングヘッドは、1以上の射出ノズルを含み、本発明の方法における可変射出圧は、射出ノズルにおいて適用する圧力である。
【0028】
液体反応成分の混合は、ポリウレタン加工の場合にミキシングヘッドに於いて起こり、高圧混合および低圧混合はいずれも使用してもよい。高圧混合法では、その使用は、記載の方法について好ましく、ポンプにより生成される反応成分の圧縮エネルギーは、ノズルによって運動エネルギーに転換される。この成分は、空間的に運動エネルギーを濃縮し、かつ反応成分の混合のために用いる混合ヘッド中の比較的小さい混合チャンバーへ射出する。従来用いられる射出圧は、90〜200バール、好ましくは120〜170バールの範囲であり、物質密度に応じて、約140〜180m/秒の流速が生じる。射出圧が2つの反応成分について同一または異なっていることを付与し得る。同一のノズルをポリウレタン混合物のポリオールおよびイソシアネート成分に使用する場合、2成分間の所望の混合比を所望通りに設定し得る。例えばイソシアネート成分のための射出圧設定は、ポリオール成分についての射出圧設定より約20バール高くてよい。
【0029】
本発明の方法は、混合物出力に関して開放断面が可変である、または可変ではない金型へ反応混合物を輸入するための混合ヘッドまたは射出ノズルを用い得る。
【0030】
フォーム形成性反応混合物は、好ましくはポリオール成分およびポリイソシアネート成分を含んでなり、したがって、ポリウレタンフォームが得られる。フォームは、連続気泡フォームまたは独立気泡フォームであり得る。反応混合物が、低初期粘度、例えば≧300mPas〜≦2000mPasを、混合中に一般的な温度にて有することはさらに好ましい。
【0031】
本発明の方法のさらなる実施態様では、フォーム形成性反応混合物は、第1および第2反応成分の反応から得られ、第1および第2反応成分はそれぞれ混合チャンバー中へノズルより導入する。原則として、可変射出圧を得ることができる任意のノズルの型をこのために用いることができる。混合チャンバーから、その後、反応混合物を金型中へ導入し得る。この手順の優位性は、2成分のための混合の一貫した品質に存在する。上記の通り、2成分は特に、ポリオール系およびポリイソシアネートに関する。
【0032】
本発明による方法の更なる実施態様では、フォーム形成性反応混合物は、硬質ポリウレタンフォームを得るように選択される。用語「硬質ポリウレタンフォーム」は硬質ポリウレタン/イソシアヌレートフォームを包含する。ウレタンおよび/またはイソシアヌレート基を含む硬質フォームの製造のための有用な出発成分は、特に以下のものである:
【0033】
a)脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族およびヘテロ環式ポリイソシアネート、好ましくはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(ポリマーMDI)、カルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレア基またはビウレット基を含むポリイソシアネート、特に好ましくはポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートに基づくポリイソシアネート、および
b)400g/モル〜10000g/モルの範囲の分子量を有する少なくとも2つのイソシアネート反応性水素原子を有する化合物、例えばアミノ基、チオール基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する化合物。ここで、好ましいのは、第1級ヒドロキシル基を有するアミノ開始ポリエチレングリコールである。
【0034】
フォームは、従来用いられる補助物質および添加剤、例えば触媒、発泡剤、架橋剤、難燃剤、フォーム安定剤、流れ促進剤および/または抑制剤等を用いて得られる。
【0035】
本発明によれば、フォーム形成性反応混合物は、20℃において、≧20秒〜≦60秒の繊維時間を有する。20℃における繊維時間は、≧25秒〜≦55秒であり、特に≧30秒〜≦50秒の範囲である。記載の繊維時間は、本発明の方法と併せて、金型を急速および完全に、特にボイドレスに充填することができる優位性を有する。
【0036】
本発明の方法の更なる実施態様では、フォーム形成性反応混合物を、金型中へ一時的に変えることができる速度にて導入する間の時間は、≧1秒〜≦20秒である。この時間は、≧5秒〜≦10秒であり得る。
【0037】
本発明による方法において、形成フォーム反応混合物を一時的に変えることができる速度にて金型中へ導入する時間とフォーム形成性反応混合物のクリーム時間の比が0.1〜10、特に0.5〜5の範囲である場合、更に好ましい。これは、反応混合物のクリーム時間での導入の速度を合わせることを可能にし、その場合には特に、金型中への反応混合物の射出距離を減少し、反応混合物は、フォーム構造についての不利な効果を有し得る既に発展するフォーム中へまたはそのフォームより射出されることから反応混合物を停止する。これは、例えば射出圧を金型中へ反応混合物を導入する間に低減される場合に保持される。
【0038】
クリーム時間は混合から経過する時間から反応混合物の初期のクリームが、より軽い色彩への色変化および幾らかの初期発泡において視覚的に認識可能となる時間までの時間である。それは、視覚的に決定される。本発明による方法の更なる実施態様では、工程B)において導入されたフォーム形成性反応混合物の出口速度は≧0.5m/秒〜≦6m/秒である。この値は、好ましくは≧1m/秒〜≦5m/秒の範囲である。
【0039】
反応混合物を、排出清掃ピストンまたはラムにより清掃することができる混合ヘッドから取り出す場合には、混合ヘッドからの出口速度はラムにおいて計測される。
【0040】
本発明の方法の他の特に好ましい実施態様では、導入フォーム形成性反応混合物の出口速度は、工程B)において時間とともに減少する。言い換えれば、発泡される金型は、反応混合物を注入口とは反対の位置においてまず導入し、次いで射出距離を連続的に減少することにより反応混合物で充填される。この手順は、例えば冷蔵庫の断熱性要素のための筐体に見られるような、金型の長い、細長い形状に推奨される。あるいは、特に高速設定反応混合物でこのような金型を充填する逆の順序では、充填法の時間に応じて、新たな反応混合物が既に発泡した材料より射出されることが起こり得るが、これは、均質なフォームについて不利となる。さらに、充填される体積が金型の完全な床面積を横切って均一に分配する場合、入力を減少させることは望ましい。
【0041】
本発明による方法の別の実施態様では、導入されたフォーム形成性反応混合物の出口速度は、工程B)の過程において増加する。これは、金型のための短く低い形状で特に有利である。
【0042】
本発明による方法のさらなる別の態様では、工程B)の前および/または工程B)の後に一時的に一定の出口速度にて金型へフォーム形成性反応混合物を導入する。これは、金型に於いて材料の傾斜路形分布を得ることを可能にする。これは金型の一方の端における高体積領域で有利である。
【0043】
さらなる好ましい実施態様では、射出圧は工程B)における時間にわたり、特に極めて実質的に線形に低減される。これについては、射出圧は、少なくとも10バール/秒、好ましくは少なくとも15バール/秒、より好ましくは少なくとも20または少なくとも25バール/秒減少し得る。これらの値は同様に、射出圧を上昇させる場合に用い得る。さらに、他の速度も考えられるが、所望の初期および最終圧力および射出の時間に依存する。特定の反応混合物に最適な射出圧変化および金型は、幾つかの試験において当業者により決定することができる。
【0044】
適当な初期圧は例えば170バール+/−10バールであり、適当な最終圧は、例えば90バール+/−10バールであるが、初期圧から最終圧までの時間は、好ましくは5秒未満、特に3秒未満である。適当な初期および最終圧の上記値もまた、射出圧を増加させ、次いで逆の順に対象とすることができる。この場合、上記射出圧における一時的変化を同様に用いることができる。
【0045】
本発明の方法のさらなる綿密さにより、フォーム形成性反応混合物は、工程B)において水平方向において金型中へ導入し、好ましくは、床より約2mm〜50mm上に導入する。水平適用により、反応混合物は、特に均質に分布することができる。
【0046】
本発明による方法の更なる実施態様では、断面から見た金型は、水平配置床体積および床体積と通じている垂直配置体積を含む。こうして、冷蔵庫のためのワンピース断熱要素が得られる。金型を反応混合物で充填する場合には、まず、反応混合物を床体積中に広げ、次いで発泡中に、垂直体積中へライズさせる。これらの体積またはチャンネルもまた、金型の全長または全幅にわたって広がる寸法を有し得る。厚みの例は、20mmおよび200mmの間であり、これらは、断面厚を変化させ得る挿入ライン、チャンネル、パネルおよび管であり得る。
【0047】
本発明による方法のさらなる発展では、金型は、外側の配管ラインおよびその中の内側に配置された配管ラインを含み、フォーム形成性反応混合物を、内側および外側配管ラインの間に導入する。これは、断熱配管ラインを得ることを可能とする。内側配管ラインは、所望の物質を運び、および外側配管ラインは、保護ジャケットとして働く。
【0048】
本発明の方法の他の実施態様では、金型は、2つの相互に空間を介した2つの領域要素を含み、フォーム形成性反応混合物を、これらの領域要素間へ導入する。こうして、断熱および防火目的に必要とされるような不連続パネルが得られる。好ましくは、1つまたは両方の地域要素は、金属である。
【0049】
本発明の方法の好ましい実施態様では、フォーム形成性反応混合物を、混合チャンバーを有する混合ヘッドにより導入し、さらに、混合チャンバーの流出断面を導入中に変化させる。これは、混合ヘッドの適当な変更および制御プログラムにおける統合により行うことができる。例えば、混合チャンバーからの流出は、差動装置により流出配管内を動かすことができるピストンにより部分的に閉じることができる。次いで、この配置は、スロットル手段として働く。反応混合物の混合品質は、こうして質量流の変化を直面にして一定にしておくことができる。更に、このようにして金型中へ流れ込む反応混合物の圧力を変えることができる。1成分当たり2を超えるノズルを有する混合ヘッドを用いる場合、ノズル組合わせは、多くの場合において、1:6または6:1に完全混合ヘッド出力性能にわたり出力帯域幅を変えることを可能にする。
【0050】
本発明の方法のさらなる綿密さにおいて、フォーム形成性反応混合物は、エマルションを含むか、またはエマルションから構成され、ここでエマルションは、以下の成分:
(I)連続相として少なくとも3つのポリオールA1a、A1bおよびA1eのポリオール混合物A1を含有するイソシアネート反応性組成物A、
および
(II)少なくとも、分散相としての物理発泡剤T
を含有し、ここで、以下の制限が適用される:
(i)A1aは15mgKOH/g〜550mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、1.5〜6.0の官能価を有するポリエーテルポリオールであり、炭水化物およびジ−またはより高い官能性のアルコールからなる群から選択される1以上のスターター化合物上へのエポキシドの付加反応により得られる;
(ii)A1bは、100mgKOH/g〜550mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、1.5〜5.0の官能価を有するポリエーテルポリオールであり、芳香族アミン上へのエポキシドの付加反応により得られる;
(iii)A1eは、100mgKOH/g〜450mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、1.5〜3.5の官能価を有するポリエステルポリエーテルポリオールであり、芳香族ジカルボン酸誘導体およびジ−またはより高い官能性のアルコールのエステル化生成物上へのエポキシドの付加反応により得られる。
【0051】
本発明による方法においてそのようなエマルションを使用することは、特に有利であるが、これらのエマルションには極めて短い繊維時間を、すなわち、20℃において20〜60秒の範囲において有し、本発明の可変射出圧力方法に特に有用である。このエマルションの形態での、すなわち、可変射出圧でのフォーム形成性反応混合物の直接導入の組合わせは、極めて均質および良好な断熱特性を不規則に成形された成型体、例えば冷蔵庫筐体、冷凍庫筐体または冷凍冷蔵庫組合わせの筐体などの場合にさえもたらす。とりわけ、得られた成型体は、上記シナリオでさえ極めて実質的にボイドを含まず、これは同様に断熱性能についてのプラス効果を有する。
【0052】
単語「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、本発明の成分、例えば特定のポリオール等に関して、そのような成分が存在することを必ずしも包含しないとして本発明では理解される。したがって、例えば「ポリオール(a polyol)」等は、明らかに1つのポリオールを述べる場合にこれを意味するとして単に理解される。例えば型A1aの2つのポリオールが存在することが考えられる。
【0053】
本発明のための「エマルション」は、2つの液体の微細に分割された混合物であり、1つの液体(すなわち、物理発泡剤T)は、別の液体(すなわち、ポリオール混合物A1)において≧0.1μm〜≦20μmの平均液滴寸法を有する微細液滴の形態で分散するが、液滴寸法は、明視野透過モードにおいて光学顕微鏡を用いて決定される。このようなエマルションは純粋な溶液だけでなくマイクロエマルションとも異なる。マイクロエマルションは、非常に微細に分割され、光散乱がもはやない分散相を有する。したがって、このようなマイクロエマルションは、可視光線の領域においてクリアであり透明に見えるが、本発明の意味内のエマルションは曇っており、光散乱の明白なレベルを示す。さらに、マイクロエマルションは、乳化助剤により単に入手可能であるが、本発明によるエマルションの製造での乳化助剤の使用は、原則としては失わないが、必ずしも必要ではなく、したがって好ましくない。本発明では、発泡剤Tの液滴粒度は好ましくは≧0.1μm〜≦15μm、より好ましくは≧1μm〜≦15μmである。明視野透過モードにおいて光学顕微鏡を使用しながら、この液滴粒度を決定する。サンプルのこの光学決定のための適当な層厚みは、20μm〜40μmの範囲である。
【0054】
「物理発泡剤」は、本発明では、物理的性質によって容易に揮発性であり、イソシアネート成分と反応しない化合物を意味する。
【0055】
「ヒドロキシル価」は、1グラムの物質による酢酸量境界へ、アセチル化において、等価物である水酸化カリウムのミリグラムでの量を示す。本発明では、1971年12月時点でDIN 53240標準について決定される。
【0056】
本発明では「官能価」は、既知の原料およびその混合比から計算された理論的な官能価のことである。
【0057】
本発明はさらに、本発明のエマルションとイソシアネート成分Bを反応させる、ポリウレタン含有ポリマーCを調製する方法を提供する。
【0058】
「ポリウレタン含有ポリマーC」は、ポリウレタン基(PUR基)だけを含有するようなポリマーだけでなく、ウレアおよび/またはポリイソシアヌレート基(PIR基)をさらに含有するようなポリマーをも意味すると理解される。
【0059】
本発明はさらに、ポリウレタンポリマーCおよび断熱目的のためのその使用を提供する。
【0060】
意外にも、本発明が提供するポリオールA1a、A1bおよびA1cの組合わせは、イソシアネート反応性組成物の全面的な粘度、従ってエマルションの全面的な粘度を、先行技術のそのようなイソシアネート反応性組成物(ポリオール混合物)に対して、実際に低減することを見出した。本発明従うエマルションの安定性は、特定のパラメーター(例えば用いるポリオールにおけるオキシエチレン器の水準など)を最適化することにより明らかに上昇させることができる。適当なNCO末端プレポリマーとの最適化されたポリオールエマルションの適切な組み合わせは、得られた熱伝導率値をさらに改善する。最後に、意外にも、本発明によって提供されるポリオールA1a、A1bおよびA1cの組合わせを用いて得られたポリマーCの熱伝導率値は、本発明の可変出力法により前記ポリマーCを製造することについてさらに改善する。
【0061】
本発明の方法に有用なポリオールA1a〜A1c(任意の更なるポリオールも、以下参照)の調製は、原則として、当業者に既知であり、既に広く記載されている。ポリエステルポリオールは、ジカルボン酸等価物および低分子量ポリオールの重縮合により得られる。ポリエーテルポリオールは、適当なスターター化合物へのエポキシドの重付加(アニオン性またはカチオン性)により得られる。ポリエステルポリオールへのエポキシドの付加は本発明のポリエステルポリエーテルポリオールをもたらす。必要ならば、当業者に既知の適当な触媒が存在する状態で重合反応を実行する。
【0062】
好ましい実施態様では、ポリエーテルポリオールA1aは、スクロース、スクロースとプロピレングリコールの混合物、スクロースとエチレングリコールの混合物、スクロース、プロピレングリコールおよびエチレングリコールの混合物、ソルビトールまたはソルビトールとグリセロールの混合物について開始される。好適であるエポキシドは、単独または混合された1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドである。特に好ましいのは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これは単独または一緒に使用することができ、または後者の場合にはエチレンオキシドとプロピレンオキシドにそれぞれ由来したオキシアルキルエン単位のランダム分布だけでなく特定の構造を有するブロックコポリマーの計画的製造も考えられる。特にスターターとして使用のためにスクロース、プロピレングリコールおよびエチレングリコールの混合物が好ましい。特に好ましいのは、プロピレンオキシドをエポキシドとして用いることが可能である。A1aのヒドロキシル価が100mgKOH/g〜450mgKOH/gであり、および官能価が2.5〜5であることは特に好ましい。
【0063】
好ましい実施態様では、ポリエーテルポリオールA1bは、オルト−、メタ−またはパラ−トリレンジアミンまたはトリレンジアミン異性体の混合物について開始される。特に好ましいのは、スターターとしてオルト−トリレンジアミンを用いることである。オルト−トリレンジアミンは、2,3−異性体および3,4−異性体の混合物として存在してよい。しかしながら、原則として、他の芳香族アミンの使用もまた考えることができるが、その例は、ベンゼンジアミン(すべての異性体)あるいはメチレンジフェニルジアミン(すべての異性体)である。好ましいエポキシドは、単独または混合された1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドである。特に好ましいのはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これは単独にまたは両方一緒に使用することができ、または後者の場合には、エチレンオキシドとプロピレンオキシドにそれぞれ由来したオキシアルキルエン単位のランダム分布だけでなく特定の構造を有するブロックコポリマーの計画的製造も考えられる。プロピレンオキシドを単独であるいはエチレンオキシドとの混合物中で使用することは特に好ましい。後者の場合では、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの質量比は、0.25:1〜4:1の範囲、最も好ましくは0.5:1〜2:1の範囲である。ブロックコポリマーは、好ましくはプロピレンオキサイドで停止する。
【0064】
好ましい実施態様では、ポリオールA1cを準備するために使用される芳香族ジカルボン酸誘導体は、フタル酸誘導体、より好ましくは無水フタル酸である。
【0065】
ポリオールA1cを調製するための好適なジ−またはとり高い官能性のアルコールは、高級同族体を含むエチレングリコールおよびジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコールおよびその高級同族体、高級同族体を含む1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、グリセロール、ペンタエリトリトール、1,1,1−トリメチロールプロパンおよび5〜12の炭素原子を有する炭化水素(例えばイソソルビドなど)である。エチレングリコールおよびジエチレングリコールは特に好ましい。
【0066】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドはポリオールA1cを調製するために使用される好ましいエポキシドである。これらは、オキシエチレン基の水準がポリオールA1cの全質量を基準に5質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜40質量%、より好ましくは15質量%〜30質量%である。
【0067】
ポリオール混合物A1は、ある態様においてさらなるポリオールをなお含有してよい。したがって、さらに、(iv)脂肪族アミン、あるいは多価アルコールについて開始され、500mgKOH/g〜1000mgKOH/g、好ましくは600mgKOH/g〜950mKOH/g、より好ましくは700mgKOH/g〜900mgKOH/gのヒドロキシル価を有し、および1.5〜5.0、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは2.5〜4.0の官能価を有する短鎖ポリエーテルポリオールA1dであり得る。エチレンジアミンまたはトリメチロールプロパンへのエポキシドの付加によってA1dを得ることは特に好ましい。エチレンオキシドとプロピレンオキシドは好ましいエポキシドであり、プロピレンオキシドは特に好ましい。
【0068】
ポリオール混合物A1はさらに、(v)ジ−〜テトラ−官能性アミン性またはアルコール性連鎖延長剤あるいは架橋剤A1eであり得る。A1eは、好ましくはグリセロール、ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールから選択される。
【0069】
ポリオール混合物A1はさらに、例えばエポキシドおよび二酸化炭素のH−官能性スターター物質の存在下での触媒反応によって得られるポリエーテルカーボネートポリオールA1fを用いてもよい(例えばEP2046861A1を参照)。これらのポリエーテルカーボネートポリオールは、一般に、少なくとも1.0、好ましくは2.0〜8.0、より好ましくは2.0〜7.0、さらに好ましくは2.0〜6.0の範囲の官能価を有する。数平均モル質量は、好ましくは400g/mol〜10 000g/mol、より好ましくは500g/mol〜6000g/molの範囲である。
【0070】
本発明では、数平均モル質量Mは、2007年8月のDIN 55672−1についてゲル透過クロマトグラフィーにより決定される。
【0071】
物理発泡剤Tは、任意に原則として、一般的境界条件(温度、圧力)下で、ポリオール混合物A1中に可溶性ではないという制限は受けない(そうでなければ、エマルションを得ることができないからである)。本発明の目的に用いる物理発泡剤は好ましくは、炭化水素(例えばn‐ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ブタン、イソブタン)、エーテル(例えばメチラール)、ハロゲン化エーテル、1〜8の炭素原子のパーフッ素化炭化水素(例えばパーフルオロヘキサン、その間での混合物)から選択される。特に好適である態様の中で物理発泡剤Tとしてペンタン異性体あるいは様々なペンタン異性体の混合物を使用する。極めて特に好ましいのは、発泡剤Tとしてシクロペンタンを使用することである。
【0072】
特に好適である態様では、本発明のエマルションは、ポリオールA1a、A1bおよびA1cのそれぞれ1つ、存在すればいずれの場合にも、ポリオールA1d、A1eおよびA1fのそれぞれ1つを含有する。さらに好ましくは、A1a、A1bおよびA1c、存在すればいずれの場合にもA1d、A1eおよびA1fに加えて存在する他にポリオールがないことである;すなわち、ポリオール混合物A1は好適である実施態様中の多くとも6つのポリオールから構成される。
【0073】
イソシアネート反応性コンポジションAがA1を含んでなるポリオール混合物に加えて別の成分をなお含有することは一般に有利である。このような更なる成分は、原則として当業者に既知であり、例えば、水、気泡安定剤、触媒、難燃剤、および任意に更なる助剤および添加物質が挙げられる。特に好適である実施態様では、イソシアネート反応性組成物Aは、
(vi)水A2;
(vii)ポリエーテル−ポリジメチルシロキサンコポリマー、好ましくはポリエーテル−ポリジメチルシロキサンコポリマー、プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドを含んでなるポリエーテル側鎖で官能基化されたポリエーテルポリジメチルシロキサンコポリマーの群から選択される少なくとも1つのフォーム安定剤A3;
および
(viii)トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラメチレンジアミン、1−メチル−4−ジメチルアミノエチルピペラジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N’,N’’−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルアミノプロピルホルムアミド、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−アザビシクロ[3.3.0]オクタン、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ナトリウムN−[(2−ヒドロキシ−5−ノニルフェニル)メチル]−N−メチルアミノアセテート、N−シクロヘキシルモルホリン、2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンの群から選択された少なくとも1つの触媒A4を、
必要な場合(高いポリイソシアヌレート分率が望まれる場合)には、スズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキソエート、スズ(II)ラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、酢酸ナトリウム、ナトリウムオクトエート、酢酸カリウム、カリウムオクトエート、水酸化ナトリウムの群から選択された少なくとも1つの触媒と共に、
さらに含んでなる。
【0074】
本発明では、水は、化学共発泡剤の働き、すなわち、イソシアネート基との反応は、Tに加えて発泡剤として働く二酸化炭素を放出する。
【0075】
安定性エマルションを確立するために、発泡剤Tおよびポリオール混合物A1の間の特定の量比を維持することはさらに有利である。好適な実施態様では、したがって、本発明は、A1:T質量比が≧5:1〜≦12:1、好ましくは≧10:1〜≦5:1、より好ましくは≧9:1〜≦6:1であるエマルションを提供する。
【0076】
本発明によるエマルジョンの好適な実施態様では、イソシアネート反応性組成物Aの成分は、それぞれイソシアネート反応性組成物Aの全質量に基づく次の質量分率中に存在する:
ポリオールA1a 5質量%〜60質量%、好ましくは15質量%〜50質量%、
ポリオールA1b 5質量%〜60質量%、好ましくは10質量%〜50質量%、
ポリオールA1c 5質量%〜60質量%、好ましくは15質量%〜50質量%、
ポリオールA1d 0質量%〜20質量%、好ましくは0質量%〜15質量%、
ポリオールA1e 0質量%〜20質量%、好ましくは0質量%〜15質量%、
ポリオールA1f 0質量%〜20質量%、好ましくは0質量%〜15質量%、
水A2 0質量%〜5質量%、好ましくは0.5質量%〜3質量%、
フォーム安定剤A3 1質量%〜10質量%、好ましくは1.5質量%〜8質量%、
触媒A4 0.5質量%〜5質量%、好ましくは1質量%〜4質量%。
【0077】
本発明のエマルションは好ましくは、エマルションの全質量を基準にすべて80質量%〜90質量%の質量分率でポリオール混合物A1、および10質量%〜20質量%の質量分率で物理発泡剤Tを含有する。
【0078】
成分が2以上の代表(例えば2つの物理発泡剤T、T1およびT2の混合物の場合の例に関する)の形で存在する場合、上述の質量分率は、成分(すなわち、2つの物理発泡剤Tの例では、エマルション中のT1およびT2の質量分率の合計は、質量によって10質量%〜20質量%である)の特定の代表の合計に適用できる。
【0079】
さらなる成分は、特に好ましい実施態様において存在する;すなわち、エマルションは特に好ましくは多くともA1a、A1b、A1c、A1d、A1e、A1f、A2、A3、A4およびTから構成される。極めて特に好ましいのは、エマルションがA1a、A1b、A1c、A2、A3、A4およびTからなることである。
【0080】
本発明のエマルションは、好ましくは任意の所望の順序でポリオール混合物A1の個々の成分(すなわち、少なくともポリオールA1a、A1bおよびA1c、任意にさらなるポリオールおよび任意に上で定義の助剤および添加物質)を、一般に周囲圧力と温度にて混合し、次いで発泡剤Tをこうして得られるポリオール混合物A1に添加することにより形成される。
【0081】
エマルションは、例えばAのための成分と他の成分とを任意の所望の方法で、典型的には室温にて周囲気圧下で混合し、次いで発泡剤Tを添加することにより得られる。乳化は、高剪断速度ミキサー、例えばジェット分散機またはローター/ステーター分散機などを用いることができる。代表的な例は、例えばSchubert,H.(編)、Emulgiertechnik;R.Behr’s Verlag,Hamburg,2005において示される。
【0082】
本発明のエマルションは、過剰に高い粘度で払われる必要なく高い安定性について注目すべきである。本発明では、「安定性」は、エマルションが、室温および大気圧で少なくとも2時間、好ましくは1日、より好ましくは少なくとも3日、さらに好ましくは少なくとも5日、ポリオール混合物A1および発泡剤Tの間に相分離が生じずに貯蔵することができることを意味する。本発明によるイソシアネート反応性組成物Aの25℃の粘度は、1000mPas〜18000mPas、より好ましくは1500mPas〜12000mPas、さらに好ましくは2000mPas〜12000mPasの範囲である。粘度は、1994年10月時点でのENISO 3219について決定する。
【0083】
本発明はさらに、本発明のエマルションとイソシアネート成分Bを反応させる、ポリオール混合物A1および物理発泡剤Tを含んでなるポリウレタン含有ポリマーCを調製する方法を提供する。イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分からの発泡剤および任意に更なる助剤および添加物質の存在下でのポリウレタン含有ポリマーの製造は、原理上、当業者に既知であり、既に広く記載されている。本発明のポリウレタン含有ポリマーCは好ましくは、当業者に既知の方法により製造される。その例は、米国2,764,565において、G.Oertel(編)、「Kunststoff−Handbuch」第VII巻、Carl Hanser Verlag、第3版、ミュンヘン 1993年、第267〜354頁において、さらにK.Uhlig(編)、「Polyurethan Taschenbuch」、Carl Hanser Verlag、第2版、ウイーン、2001、第83〜102頁に記載される。例えば先行技術から既知の通り、原則として、ポリウレタン含有ポリマーCを形成するために成分を発泡させてよい。
【0084】
本発明による方法の好ましい実施態様では、前記イソシアネート成分Bは次のものである:
a)トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリジイソシアナート(PMDI)、キシリレンジイソシアナート、ナフチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよびイソホロンジイソシアネートからなる群から選択された少なくとも1つのイソシアネートB1、
または
b)少なくとも1つのポリイソシアネートB1およびポリオールA1a、A1b、A1c、A1dおよびA1fの少なくとも1つから選択された少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物から調製されたイソシアネート末端プレポリマーB2、
または
c)B1とB2の混合物。
【0085】
イソシアネート成分BとエマルションAの反応のためのイソシアネート指数は、好ましくは95〜180、より好ましくは95〜150、さらに好ましくは100〜130の範囲である。「イソシアネート指数」(あるいは略して指数)は、実際に用いられるイソシアネート機の物質量[モルで]を化学量的にすべてのイソシアネート反応性基の完全転換に必要とされるイソシアネート基の物質量[モルで]で割り100倍することにより形成される割合である。1モルのイソシアネート反応性基の反応が1モルのイソシアネート基を必要とするので、次の方程式が適用される:
指数=(イソシアネート基のモル/イソシアネート反応性基のモル)×100
【0086】
本発明の上記方法により得られるポリウレタン含有ポリマーCは、本発明の主題の更なる部分を形成する。これらのポリウレタン含有ポリマーCは、加工の連続的または不連続的な方法により得られ、断熱材料としての使用に特に適している。
【0087】
不連続法により得られたポリウレタン含有ポリマーCは、成型フォームであり、これは、上側および下側の両方で装飾層により定められる。有用な装飾層は、金属、プラスチック、木および紙をとりわけ含む。そのような不連続的に製造されたPUR複合材料要素のための使用の可能性のある分野は、特に、電気製品、例えば冷蔵庫、冷凍庫、冷凍冷蔵庫組合わせおよびボイラーなど、冷却容器および冷却ボックスおよび配管の技術的断熱である。
【0088】
連続的に製造されたポリウレタン含有ポリマーCは、定義された幅および可変厚みの連続的に製造されたスラブストックPURフォームであり、これは好ましくは、上側および下側の両方において装飾層により定められる。しかしながら、ある使用分野(例えば構成構築において)では、装飾層は、完全に避けてもよい。有用な装飾層としては、特に金属、金属箔、プラスチック、木および紙が挙げられる。そのように連続的に製造されたポリウレタン含有ポリマーCのための使用の可能性のある分野は、特に、冷却貯蔵所の技術的断熱および構成構築分野の断熱材である。
【0089】
これらの分野におけるポリウレタン含有ポリマーの使用は、原理上、当業者に既知であり、既に広く記載されている。本発明のポリウレタン含有ポリマーCは、これらの目的に極めて有用であるが、フォームの製造において懸念される過度に高い粘度により加工問題のない低い熱伝導率値を有し、および/または適当な基材(例えば冷却電気製品または配管の筐体など)にこれらを適用するからである。本発明は、本発明の方法によって得られる発泡成型体をさらに提供する。
【0090】
本発明はさらに、本発明によって得られる発泡成型体を含む冷蔵庫、冷凍庫、あるいは冷凍冷蔵庫組合わせを提供し、供給される金型は、特に冷蔵庫、冷凍庫あるいは冷凍冷蔵庫組合わせの筐体部分である。本発明は、以下の実施例および図面を参照してさらに説明されるが、これらに限定されない。前記図面において:
図1は、フォーム形成性反応混合物で金型を充填する方法を示し、
図2は、フォーム形成性反応混合物で金型を充填する別の方法を示し、
図3は、第1操作位置における混合ヘッドを示し、
図4は、第2操作一における図3の混合ヘッドを示し、さらに
図5は、折り畳まれていない描写における筐体金型を示す。
【0091】
図1は、フォーム形成性反応混合物6で金型1を充填した直後の状態を概略形態で示す。金型1は、中空体として実行され、断面図により描写する。冷蔵庫と大型冷凍庫の組合わせのための断熱要素は、金型1の場合に関係し得る。水平に位置する金型1は、このようにして部分2、3および4を垂直に配置した。部分2は、床部分を形成し、部分3は互いに冷却室および冷凍室を分け、および部分4は、ヘッド部分を形成する。水平に配置された床体積を形成する。部分2、3および4の空洞は、垂直配置体積を床体積と通じて形成する。
【0092】
金型を充填するために、対応する金型1の入口オリフィスに出力パイプ5を接続する。出力5配管にフォーム形成性反応混合物6(これは好ましくはポリウレタンフォームを与える)を充填する。図1に示される場合、まず、反応混合物6を、170バールから120バールへその後連続的に低下される高射出圧にて金型中へ導入した。初期の高い射出圧および描写されていない混合ヘッドからの反応混合物の関連した高い出力速度は、反応混合物6を後ろの金型1へ運ぶ働きをする。徐々に射出圧力を下げることは、金型1の前部へ反応混合物6を運んだ。このように、金型1の全長にわたって反応混合物6を均一に適用した。
【0093】
本発明の短繊維時間を有する反応混合物を用いることは、こうして、図1に描かれたくさび形状プロファイルを反応混合物6へ供給し、金型6の後部において発泡形成が充填中に既に確保されたからである。金型1の部分4における空洞をフォームでまず充填する。フォーム反応のさらなる始まりは部分3および2の空洞へ材料を押し進めることとなる。これは、なお初期になお液体である反応混合物の改善された完全領域予備分布と組み合わさって金型1内で均質流路距離を生じる。その結果、より均質な見掛け密度分布および得られた発泡成型体内の改善された機械的および断熱特性でのより多くの等方性気泡質形状である。更に、ボイド形成のリスクは、このように明確に低減される。
【0094】
図2は、図1の反対の方法で充填される金型1を示す。反応混合物6をまず、低射出圧(120バール)にて導入し、次いで射出圧を170バールへ上昇させた。例えば、部分2の空洞によって表わされるように、比較的大量な体積が入口開口に近く、効率的に到達することができる。
【0095】
図3は本発明の方法での使用のための混合ヘッドを描写する。本発明の場合では分流器型混合ヘッドとして設計される。反応成分はそれぞれ、ノズル1より円筒混合室2へ、2成分のために別々にセットすることができ、および発泡操作の間に変えられる射出圧下で射出される。反応成分は、運動エネルギーより円筒型混合室2において混合されるようになり、次いで出口配管3中へ90転換によって流れ、横断面積は著しく増加し、これにより混合流のフロー静止を引き起こす。
【0096】
混合物の取出しが終了した後、成分流は、再循環位置へ溝よりコントロールピストン4において切り替える。同時に、コントロールピストン4は、混合室2から出口配管中への混合物残渣を取り除く。この後にさらなるラム5により清掃される出口配管3が続く。スイッチ操作は、概略的に描かれた水力学「H1」および「H2」により約100〜160バールの圧力にて素早いが力強い切替移動が実現させるために達成される。
【0097】
清掃機能に加えて、清掃ラム5もまたスロットル手段として形成する通常、微細スレッドより相互に調節可能なストロークリミッターがラム5の置換経路範囲を、より低いラム端が流れ方向において混合チャンバー2および出口配管3の間の移行で重なりを生じさせるように停止するために用いられる。混合室圧力レベルと同様に混合の品質に影響を及ぼすために、自由出口断面6は重なり程度に応じて変わる。
【0098】
混合物出力は、図3に示される操作位置において厳格に制限する。本発明の混合ヘッドでは、手動調節器を排除し、ギヤペア7と置き換えた。サーボモーター「S」8は、混合ヘッド筐体に固定し、ギヤペア7によってストロークリミッターと正の接続を形成し、設置のための制御系に統合される。
【0099】
調節スレッドに作用する粘着および摩擦抵抗を低減するために、清掃ラム5の水圧切換圧力5を、混合物出口位相中にバイパス回路9により<10バールへ低下させる。軸のボールベアリング10は、進行停止およびハイドロリックピストンの間での接触面を運動量移動から保護する。したがって、移動方向に応じて、水圧は単に、可変ストロークリミッターに対するハイドロリックピストンの位置を変えるかあるいは停止面に対するその位置を固定する役目をする。
【0100】
混合物の出口の完成により、上方へ制限する円筒型板11へ軸のボールベアリング10を押し込む間に、サーボモーター8はストロークリミッターを上部端位置に動かす。この位置では、バイパス弁は閉じており、通常の水圧でクリーニングラム5を操作することができる。サーボモーターの使用は、混合物出力時間を超える混合物出力によって調節することができる非常に正確で再現可能なスロットル位置を達成する。
【0101】
図4は、自由出口断面6がラム5の異なる位置に起因してより大きいこと以外は、図3のように混合ヘッドを示す。混合物出力はその結果、制限されない。
【0102】
図5は、本発明の発泡試験のための冷却領域21および冷凍領域22を備えた冷凍冷蔵庫組み合わせのための筐体金型を折り畳まれていない描写により示す。金型20は冷凍冷蔵庫組み合わせの共通次元に相当し、164Lの空の体積を有する。個々の壁は、位置的参照Pos.1〜Pos.9により識別する。Posへの1.9.型20は、以下に記載されるポリウレタン反応混合物で供給口位置22において冷凍冷蔵庫組合わせのコンプレッサー段階上で充填する。
【実施例】
【0103】
実施例A
本発明の硬質PURフォームを、当業者に既知のワンショット法により形成し、ここで、反応成分は、連続的にまたは不連続的に互いに反応させ、次に適当な金型/基材において/金型/基材上で硬化した。この方法は、例えば米国2,761,565 Aにおいて、G.Oertel(編)、「Kunststoff−Handbuch」、第VII巻、Carl Hanser Verlag、第3版、ミュンヘン 1993年、267ページ以降において、およびK.Uhlig(エディター)、「Polyurethan Taschenbuch」、Carl Hanser Verlag、第2版、ウイーン、2001年、第83〜102頁において記載される。
【0104】
本発明の場合には、表1の通り発泡剤含有ポリオール処方物1または2からなる2部レシピおよび始祖アネートを従来用いられる高圧機械(HenneckeからのHK 650)および高圧混合ヘッド(HenneckeからのMX 18)を用いて処理した。図5発泡すべき筐体金型は、冷凍冷蔵庫組合わせの共通次元に対応し、164Lの空体積を有する。輸入はコンプレッサー段階で起こった。金型温度は38〜40℃であり、原料は20〜22℃であった。
【0105】
次の材料を使用した:
【0106】
ポリオール1:450mgKOH/gのOH価、4.7の理論官能価および15000 mPasの25℃における粘度を有するポリエーテルポリオール(Bayer MaterialScience);
【0107】
ポリオール2:380mgKOH/gのOH価、4.6の理論官能価および5350mPasの25℃における粘度を有するポリエーテルポリオール(Bayer MaterialScience);
【0108】
ポリオール3:400mgKOH/gのOH価、4.0の理論官能価および26500mPasの25℃における粘度を有するポリエーテルポリオール(Bayer MaterialScience);
【0109】
ポリオール4:112mgKOH/gのOH価、2.0の理論官能価および140mPasの25℃における粘度を有するポリエーテルポリオール(Bayer MaterialScience);
【0110】
ポリオール5:300mgKOH/gのOH価、2.0の理論官能価および6500mPasの25℃における粘度を有し、無水フタル酸とジエチレングリコールとの反応および引き続くエトキシル化から得られた芳香族ポリエーテルエステルポリオールエトキシル化(Bayer MaterialScience);
【0111】
安定剤:Tegostab(登録商標)(Evonik)
【0112】
アミン触媒:PUR化学において標準触媒でありおよび当業者に極めてよく知られたる第3級アミン
【0113】
イソシアネート:ポリマーMDI(Desmodur(登録商標) 44V20L、Bayer MaterialScience)
【0114】
ポリオール処方物1および2は以下の組成であった:
【0115】
【表1】
【0116】
試験は、金型充填時間全体にわたって機械の出力速度を変えることができるように行なった。これについては、必要な場合には、出力速度を線形にショットの開始時の出力速度1からショットの終わりの出力速度2へ変えた(テーブル2参照)。試験は、出力速度を増加させながら、および出力速度を減少させながら行った。最小出力および最大出力速度は、一定質量の配達に必要な配達時間を<10秒、≧10秒、≧15秒および≧20秒とするようにさらに調節した。処理パラメーターは表2に集約する。
【0117】
【表2】
【0118】
フォーム特性は、フォームを硬化した後に図5におけるPos.1〜Pos.9として認識される位置において計測した。結果を以下の表3に集約する。
【0119】
【表3】
【0120】
実施例1は、本発明にしたがって、用いる筐体形状に最適化した動的入力および勾配での高速ポリオール処方物1を処理することにより行った。見掛けのコア密度および見出された熱伝導率の分布は、0.53の低い標準偏差から明らかである通り、実施例1において明らかに最良である。対照的に、平均熱伝導率および熱伝導率標準偏差は、実施例7において悪く、実施例1におけるような最適予備分布の正の影響を強調する。
【0121】
実施例7は、冷蔵庫産業において一般に従来的なものとして、分布を最適化することなく、一定出力で行った。この手順、すなわち、既に膨張する混合物への継続的入力の欠点はまた、実施例1と比較して、明らかに悪いボイドから明らかである。実施例6は、この時間、勾配が反対方向に、最小出力速度から最大出力速度へ横切ること以外は実施例1におけるような直接射出のための同一勾配を用いて行った。欠点は、位置6〜9でのより悪いボイドにおいて、およびすべてより高度な平均熱伝導率、すなわち、より悪い断熱効果に関連したより低い見掛けコア密度分布において表される。
【0122】
実施例3、4および5はそれぞれ直接出力を用いて行い、出力速度がいずれの場合にも20秒、15秒および10秒の入力時間を生じるように調節した。実施例3の場合の予備分布は、非常に悪く、フォームは位置5まで流れただけであったので、筐体金型は充填することができなかった。より短い入力時間では、実施例4および5におけるように、筐体金型はほとんど充填され(実施例4)、完全に充填された(実施例5)。しかしながら、これらの金型はそれぞれ、位置1において幾つかの厳格な収縮を示し、値はこの位置について決定することができなかった。別個の空間は、流量経路の遠い端にて位置1〜4においてさらに明らかであった。反応混合物の貧弱な予備分布は、明らかにより高い平均熱伝導率から、および熱伝導率においてより大きな散乱および見掛け密度から明確である。
【0123】
実施例2は、レシピ2においてより遅いポリオール処方物2を実施例1におけるレシピ1について同一条件下で処理することにより行った。本発明による射出手順の有効性は、ここで澄んだようになるが、これは、平均熱伝導率は、実施例1のものより約+0.5 mWm−1−1異なるが、散乱は0.14の標準偏差において最小であるからである。実施例2の結果と実施例4との比較は、それほど反応性ではないレシピでの直接射出は、発泡体分布、表面品質およびボイドについて比較可能な平均熱伝導率についての高速のものでより良好な結果を与えることを明らかにする。
【0124】
実施例B
冷凍冷蔵庫組合わせのための断熱要素について一般的な試験を行なった。これらの試験の目的は、どの方法が金型を均質に発泡するのに必要なフォーム形成性反応混合物の量を最小化するのに用いることができるか調査することであった。液体発泡剤で発泡された硬質ポリウレタン系を用いた結果は、技術的に訓練された者によって視覚的に評価した。発泡させた金型はいずれの場合においても同一であった。
【0125】
クリーム時間は視覚的に決定した。適格者は混合ヘッドからの出口の後に反応混合物を観測した。クリーム時間は混合から経過する時間から反応混合物の初期のクリームが、より軽い色彩への色変化および幾らかの初期発泡において視覚的に認識可能となる時間までの時間である。
【0126】
反応混合物の反応物をおよび20℃にて互いに混合し、および薄い木製ヘラを膨張性反応混合物中へ短い間隔で浸漬することにより決定する。成分を混合する時間から、ヘラでストリングを引き延ばすことが最初に可能となる時間までの時間が繊維時間である。
【0127】
実施例8(本発明による)
実施例8は、図3に示した混合ヘッドの混合チャンバー2中へ170バールの個々の成分についての初期の射出圧力を用いて反応混合物で金型を充填し、3秒間にわたり90バールの最終値へ射出圧六を連続的に低下した。これは、約26.7バール/秒の射出圧入変化速度に相当する。反応混合物は、20℃にて30秒の繊維時間であった。射出圧は、実際に可能な限り、線形に低下した。全部で4940gの反応混合物を得た。金型を連続的に発泡した。とりわけ、上部端でさえはっきりと輪郭付けされ、フォームは微細細孔およびボイドレスであった。
【0128】
実施例9(比較)
金型を再び、実施例8におけるように同一の混合ヘッドを用いて4940gの反応混合物で充填したが、この場合には、個々の成分について150バールの一定射出圧であった。反応混合物は、50秒の繊維時間であった。発泡操作の完了の際に、不完全な発泡に起因して断熱要素の上端において材料の欠如があった。フォームはまた、実施例8のフォームより著しく粗い細孔であった。
図1
図2
図3
図4
図5