(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0015】
<対基板作業装置の構成>
図1に、本発明の実施例の対基板作業装置10を示す。対基板作業装置10は、回路基板に対する電子部品の装着作業を実行するための装置である。対基板作業装置10は、搬送装置20と、装着ヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)22と、装着ヘッド24と、供給装置26と、調整機構(
図3参照)28とを備えている。
【0016】
搬送装置20は、X軸方向に延びる1対のコンベアベルト30と、コンベアベルト30を周回させる電磁モータ(
図5参照)32とを有している。回路基板34は、それら1対のコンベアベルト30によって支持され、電磁モータ32の駆動により、X軸方向に搬送される。また、搬送装置20は、基板保持装置(
図5参照)36を有している。基板保持装置36は、コンベアベルト30によって支持された回路基板34を、所定の位置(
図1での回路基板34が図示されている位置)において固定的に保持する。
【0017】
移動装置22は、X軸方向スライド機構50とY軸方向スライド機構52とによって構成されている。X軸方向スライド機構50は、X軸方向に移動可能にベース54上に設けられたX軸スライダ56を有している。そのX軸スライダ56は、電磁モータ(
図5参照)58の駆動により、X軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸方向スライド機構52は、Y軸方向に移動可能にX軸スライダ56の側面に設けられたY軸スライダ60を有している。そのY軸スライダ60は、電磁モータ(
図5参照)62の駆動により、Y軸方向の任意の位置に移動する。そのY軸スライダ60には、装着ヘッド24が取り付けられている。このような構造により、装着ヘッド24は、移動装置22によってベース54上の任意の位置に移動する。
【0018】
装着ヘッド24は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド24は、下端面に設けられた吸着ノズル70を有している。吸着ノズル70は、負圧エア,正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(
図5参照)76に通じている。吸着ノズル70は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド24は、吸着ノズル70を昇降させる昇降装置(
図5参照)77を有している。その昇降装置77によって、装着ヘッド24は、保持する電子部品の上下方向の位置を変更する。さらに、装着ヘッド24は、吸着ノズル70をそれの軸線回りに自転させる自転装置(
図5参照)78を有している。その自転装置78によって、装着ヘッド24は、吸着ノズル70に保持した電子部品の角度を変更する。なお、吸着ノズル70は、装着ヘッド24に着脱可能とされており、サイズの異なる吸着ノズルに変更することが可能である。また、後に説明するボルトヘッド嵌合具(
図2参照)79に変更することも可能である。
【0019】
また、装着ヘッド24は、Y軸スライダ60にワンタッチで着脱可能とされている。詳しくは、
図2に示すように、装着ヘッド24の背面の下部には、2つの脚部80が設けられ、上部には、係合ブロック81が設けられている。一方、Y軸スライダ60の下部には、2つの脚部支持部82と2つの係合ローラ83とが設けられ、上部には、ロック機構84が設けられている。脚部80の下端部は、楔形状とされており、V字形状とされた脚部支持部82の上端部に嵌合される。これにより、装着ヘッド24の上下方向の位置が規定される。また、脚部80が脚部支持部82に嵌合されることで、2つの脚部80の内側の側面に、2つの係合ローラ83の外周面が接触する。これにより、装着ヘッド24の左右方向の位置が規定される。さらに、脚部80が脚部支持部82に嵌合された状態で、係合ブロック81をロック機構84に向かって押しつけることで、係合ブロック81がロック機構84の1対のローラの間に嵌合される。1対のローラは、スプリングによって、互いに接近する方向に付勢されており、係合ブロック81は、背面側に形成されたV溝において、1対のローラによって挟持される。これにより、装着ヘッド24がワンタッチでY軸スライダ60に装着される。なお、解除レバー(図示省略)が操作されることで、ロック機構84の1対のローラは、スプリングの弾性力に抗して離間し、ロック機構84による係合ブロック81のロックが解除される。これにより、装着ヘッド24がワンタッチでY軸スライダ60から取り外される。
【0020】
供給装置26は、フィーダ型の供給装置であり、複数のテープフィーダ85を有している。テープフィーダ85は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ85は、送り装置(
図5参照)86によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置26は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。なお、テープフィーダ85は、ベース54に着脱可能とされており、電子部品の交換,電子部品の不足等に対応することが可能とされている。
【0021】
調整機構28は、対基板作業装置10のレベリングを行うための機構、つまり、ベース54の傾斜を調整するための機構である。詳しくは、ベース54の底部には、
図3に示すように、主脚88が設けられている。主脚88は、ベース54を支持するためのものであり、ベース54底部の各隅部に設けられている。主脚88は、ネジ方式の支持脚とされており、ネジ調整によって、高さを調整することが可能である。その主脚88のネジ部には、第1プーリー96が固定されている。
【0022】
また、第1プーリー96からベース54の中央部寄りの箇所に、回転軸98が設けられている。回転軸98は、ベース54に上下方向延びるようにして形成された貫通穴99に挿通されており、回転軸98の下端は、ベース54の底面から延び出し、回転軸98の上端は、ベース54の上面から延び出している。なお、回転軸98の上端は、装着ヘッド24の可動範囲、つまり、移動装置22による装着ヘッド24の移動範囲内に位置している。また、回転軸98は、貫通穴99において、軸線回りに回転可能に設けられている。その回転軸98の下端には、第1プーリー96より小径の第2プーリー100が固定されている。そして、第1プーリー96の外周面と第2プーリー100の外周面にプーリーベルト102が巻き掛けられている。また、回転軸98の上端には、ボルトヘッド104が固定されている。このような構造により、ボルトヘッド104を回転させることで、主脚88のネジ部が調整され、主脚88の高さが調整される。
【0023】
主脚88は、ベース54底部の4隅に配設されている。このため、各主脚88の高さが調整されることで、ベース54の傾きが調整される。これにより、対基板作業装置10のレベリングが行われる。なお、ベース54底部の4隅に配設される主脚88に対応する4つの第1プーリー96は、
図4に示すように、ベース54底部の4隅に位置する。一方、それら4つの第1プーリー96と連動する4つの第2プーリー100は、ベース54底部の1箇所に纏めて配置されている。これにより、4つの第2プーリー100に、回転軸98を介して接続される4つのボルトヘッド104は、
図1に示すように、ベース54上の1箇所に纏めて配置される。
【0024】
また、対基板作業装置10は、搬送装置20のレベリング、つまり、搬送装置20の回路基板保持面の傾斜角度を調整するための機構(図示省略)も備えている。その機構は、搬送装置20の下面の隅部に設けられた複数の全ネジ(図示省略)を有している。全ネジの一端部は、右ネジとされ、搬送装置20の下面に螺合されている。一方、全ネジの他端部は、左ネジとされ、ベース54の上面に螺合されている。これにより、全ネジを回転させることで、搬送装置20とベース54との間の距離が変化する。このため、搬送装置20の下面の隅部に設けられた複数の全ネジを調整することで、搬送装置20のレベリングを行うことが可能となる。
【0025】
全ネジには、プーリー(図示省略)が固定されており、そのプーリーは、調整機構28の第1プーリー96と同様に、プーリーベルト(図示省略)、および、そのプーリーベルトに巻き掛けられたプーリー(図示省略)を介して、回転軸(図示省略)に連結されている。そして、その回転軸の上端には、ボルトヘッド(
図1参照)108が固定されている。このような構造により、ボルトヘッド108を回転させることで、全ネジが調整され、搬送装置20のレベリングが行われる。
【0026】
また、対基板作業装置10は、マークカメラ(
図1,3,5参照)110とパーツカメラ(
図5参照)112とノズルチェンジャ(
図1参照)114とを備えている。マークカメラ110は、下方を向いた状態でY軸スライダ60の下面に固定されている。つまり、マークカメラ110は、
図3に示すように、それの光軸線116が上下方向に延びる姿勢でY軸スライダ60の下面に固定されている。そのマークカメラ110は、移動装置22によって移動させられることで、コンベアベルト30によって所定の位置に支持された回路基板の任意の位置を撮像することが可能である。一方、パーツカメラ112は、上を向いた状態でベース54上に設けられており、装着ヘッド24に保持された電子部品を撮像することが可能である。また、ノズルチェンジャ114は、複数かつ複数種類の吸着ノズル70を収納しており、装着ヘッド24に装着されている吸着ノズル70と、ノズルチェンジャ114に収納されている吸着ノズル70とを自動で交換することが可能である。また、ノズルチェンジャ114には、ボルトヘッド嵌合具(
図3参照)79も収納されており、ノズルチェンジャ114は、装着ヘッド24に装着されている吸着ノズル70と、ノズルチェンジャ114に収納されているボルトヘッド嵌合具79とを自動で交換することが可能である。なお、ボルトヘッド嵌合具79の底面には、調整機構28のボルトヘッド104を嵌合可能な凹部(図示省略)が形成されている。
【0027】
さらに、対基板作業装置10は、
図5に示すように、制御装置120を備えている。制御装置120は、コントローラ122と、複数の駆動回路124とを備えている。複数の駆動回路124は、上記電磁モータ32,58,62、基板保持装置36、正負圧供給装置76、昇降装置77、自転装置78、送り装置86に接続されている。コントローラ122は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路124に接続されている。これにより、搬送装置20、移動装置22等の作動が、コントローラ122によって制御される。また、コントローラ122は、画像処理装置126にも接続されている。画像処理装置126は、マークカメラ110およびパーツカメラ112によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ122は、画像データから各種情報を取得する。
【0028】
<対基板作業装置による装着作業>
対基板作業装置10では、上述した構成によって、搬送装置20に保持された回路基板34に対して、装着ヘッド24によって装着作業を行うことが可能とされている。具体的には、コントローラ122の指令により、回路基板34が作業位置まで搬送され、その位置において、回路基板34が、基板保持装置36によって固定的に保持される。次に、マークカメラ110が、コントローラ122の指令により、回路基板34の上方に移動し、回路基板34を撮像する。これにより、コントローラ122は、回路基板の保持位置の誤差に関する情報を取得する。また、テープフィーダ85は、コントローラ122の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。そして、装着ヘッド24が、コントローラ122の指令により、電子部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル70によって電子部品を吸着保持する。続いて、装着ヘッド24は、コントローラ122の指令により、パーツカメラ112の上方に移動し、パーツカメラ112が、吸着ノズル70に吸着保持された電子部品を撮像する。これにより、コントローラ122は、電子部品の吸着位置の誤差に関する情報を取得する。そして、装着ヘッド24は、コントローラ122の指令により、回路基板34の上方に移動し、保持している電子部品を、保持位置の誤差,吸着位置の誤差等を補正し、回路基板上に装着する。
【0029】
<対基板作業装置および搬送装置のレベリング>
対基板作業装置10では、上述した手法により電子部品の装着作業が行われるが、非常に高い精度での電子部品の装着作業が望まれる。一方で、対基板作業装置10の作業場所の所定の位置への据付後も経過時間に伴って、ベース54は、載置された構造物の重量や機械振動、および設置面のうねり等の影響により変形する虞がある。このベース54の変形は、搬送装置20や各スライド機構の変形にもつながり、搬送装置20と装着ヘッド24およびマークカメラ110の位置関係も変化することとなる。つまり、搬送装置20の回路基板保持面と、装着ヘッド24の吸着ノズル70の昇降軸線、および、マークカメラ110の光軸線の角度関係にも影響を与える。これにより、対基板作業装置10の電子部品の装着精度が悪化する。したがって、対基板作業装置10の据付後には、所定の経過時間ごとにベース54の水平や、搬送装置20と装着ヘッド24、および、マークカメラ110の位置関係の確認作業を行う。このため、対基板作業装置10のレベリング、つまり、ベース54の傾斜角度の調整作業であったり、搬送装置20と装着ヘッド24、および、マークカメラ110の位置関係の確認作業は非常に重要である。しかしながら、対基板作業装置のレベリング等は、作業者個人の熟練度に依存するところが大きく、作業者によって、作業に多大な時間を要する場合がある。このようなことに鑑みて、対基板作業装置10では、装着ヘッド24を用いて、対基板作業装置10のレベリングが行われる。
【0030】
具体的には、まず、気泡管水準器が内蔵された平板状の水準器内蔵板を、回路基板34の代わりに、搬送装置20によって搬送させる。水準器内蔵板130は、
図6に示すように、概して矩形の本体部132と、本体部132に内蔵されている第1気泡管水準器134と第2気泡管水準器136とによって構成されている。第1気泡管水準器134および、第2気泡管水準器136は、アルコール,エーテル等の液体と気泡とが封入された棒状のガラス製密閉容器であり、各水準器134,136には、基準線(図示省略)が記されている。この基準線と気泡との位置関係により、各水準器134,136の水平面に対する傾斜度合が推定される。なお、第1気泡管水準器134は、本体部132の長手方向に延びるように配設され、第2気泡管水準器136は、第1気泡管水準器134と直角に交わる方向に延びるように配設されている。
【0031】
作業者は、上記水準器内蔵板130を、それの長手方向がX軸方向に一致する姿勢で、搬送装置20によって搬送させる。そして、コントローラ122の指令により、水準器内蔵板130が作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置36によって固定的に保持される。次に、マークカメラ110が、コントローラ122の指令により、水準器内蔵板130の上方に移動し、水準器内蔵板130を撮像する。これにより、コントローラ122は、第1気泡管水準器134および第2気泡管水準器136での基準線と気泡との位置関係に関する情報を取得し、水準器内蔵板130の水平面に対する傾斜角度を演算する。詳しくは、第1気泡管水準器134での基準線と気泡との位置関係に基づいて、水準器内蔵板130の水平面に対するX軸方向への傾斜角度を演算し、第2気泡管水準器136での基準線と気泡との位置関係に基づいて、水準器内蔵板130の水平面に対するY軸方向への傾斜角度を演算する。そして、水準器内蔵板130の水平面に対するX軸方向およびY軸方向への傾斜角度に基づいて、水準器内蔵板130の水平面に対する傾斜角度が演算される。水準器内蔵板130の傾斜角度が演算されると、その傾斜角度に基づいて、各主脚88の高さの調整量、つまり、ボルトヘッド104の回転量が演算される。
【0032】
ボルトヘッド104の回転量が演算されると、装着ヘッド24を用いたレベリングが行われる。ただし、装着ヘッド24を用いたレベリングが行われる前に、装着ヘッド24には、吸着ノズル70の代わりに、ボルトヘッド嵌合具79が装着される。詳しくは、装着ヘッド24が、コントローラ122の指令により、ノズルチェンジャ114の上方に移動し、吸着ノズル70を下方に移動させる。続いて、装着ヘッド24は、コントローラ122の指令により、吸着ノズル70をノズルチェンジャ114の所定の空きポジションに取り外し、吸着ノズル70の代わりに、ボルトヘッド嵌合具79を装着する。
【0033】
ボルトヘッド嵌合具79が装着された装着ヘッド24は、コントローラ122の指令により、調整機構28のボルトヘッド104の上方に移動し、ボルトヘッド嵌合具79を下方に移動させる。これにより、ボルトヘッド嵌合具79がボルトヘッド104に嵌め合わせられる。そして、装着ヘッド24は、コントローラ122の指令により、演算されたボルトヘッド104の回転量に基づいて、自転装置78を作動させ、ボルトヘッド104を回転させる。このような一連の作業が、全ての主脚88に対応する調整機構28のボルトヘッド104に対して行われることで、対基板作業装置10のレベリングが完了する。つまり、搬送装置20の回路基板保持面の傾斜角度、つまり、高さを任意の高さに調整することが可能となる。
【0034】
また、ボルトヘッド嵌合具79が装着された装着ヘッド24によって、ボルトヘッド104ではなく、ボルトヘッド108の回転量を調整することで、搬送装置20のベース54に対する傾斜角度を調整することが可能である。搬送装置20のベース54に対する傾斜角度を調整することで、搬送装置20の回路基板保持面と、装着ヘッド24の吸着ノズル70の昇降軸線、および、マークカメラ110の光軸線との位置関係を調整、例えば、回路基板保持面と昇降軸線、および、光軸線とを直角にすることが可能となる。なお、ボルトヘッド108の回転量の演算および、ボルトヘッド108のボルトヘッド嵌合具79による調整は、上述したボルトヘッド104と同じであることから、説明は省略する。
【0035】
なお、コントローラ122は、装着ヘッド24を用いたレベリングを行うための機能部として、
図4に示すように、傾斜角度演算部140と調整機構制御部142とを有している。傾斜角度演算部140は、各水準器134,136の撮像データに基づいて、水準器内蔵板130の傾斜角度を演算するための機能部である。調整機構制御部142は、演算された水準器内蔵板130の傾斜角度に基づいて、装着ヘッド24の作動を制御し、調整機構28のボルトヘッド104等を回転させるための機能部である。
【0036】
このように、対基板作業装置10では、装着ヘッド24を用いたレベリングを行うことで、作業者個人の熟練度に関わらず、適切、かつ、迅速に対基板作業装置10,搬送装置20のレベリングを行うことが可能である。また、対基板作業装置10では、自転装置78を有する装着ヘッド24を利用して、ボルトヘッド104,108の回転を行っている。これにより、吸着ノズル70の代わりに、ボルトヘッド嵌合具79を装着ヘッド24に装着するだけで、ボルトヘッド104を回転させることが可能となり、敢えて、ボルトヘッド104,108を回転させるための専用の装置を設ける必要が無く、経済的である。
【0037】
さらに、対基板作業装置10では、水準器内蔵板130が搬送装置20によって搬送され、搬送装置20上で固定された水準器内蔵板130の各水準器134,136を利用して、対基板作業装置10等のレベリングが行われる。従来の対基板作業装置では、通常、水準器はベース上に配設されており、ベース上に水準器を配設するためのスペースを確保する必要がある。このため、水準器の配設スペースにより、装置のコンパクト化を妨げる虞がある。しかしながら、対基板作業装置10では、水準器をベース54上に配設する必要が無く、装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0038】
ちなみに、上記実施例において、対基板作業装置10は、製造作業機の一例である。搬送装置20は、搬送装置の一例である。移動装置22は、移動装置の一例である。装着ヘッド24は、調整部操作装置の一例である。調整機構28は、調整機構の一例である。回路基板34は、被搬送物の一例である。ベース54は、ベースおよび被調整体の一例である。ボルトヘッド104および、ボルトヘッド108は、調整部の一例である。マークカメラ110は、撮像装置の一例である。制御装置120は、制御装置の一例である。第1気泡管水準器134および第2気泡管水準器136は、傾斜確認器の一例である。
【0039】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、水準器内蔵板130を用いて、対基板作業装置10のレベリングが行われているが、種々の形状の水準器を内蔵するものを用いて、対基板作業装置10のレベリングを行うことが可能である。具体的には、例えば、
図7に示す形状の水準器を内蔵した水準器内蔵板150を用いて、対基板作業装置10のレベリングを行うことが可能である。水準器内蔵板150の内部には、円板状のガラス製密閉容器152が内蔵されており、そのガラス製密閉容器152に、アルコール,エーテル等の液体と気泡とが封入されている。この水準器内蔵板150であれば、1つの水準器だけで、水準器内蔵板150の傾斜角度を演算することが可能である。
【0040】
また、上記実施例では、主脚88の高さが調整されることで、対基板作業装置10のレベリングが行われているが、対基板作業装置10が、ベース54の傾きを直接的に調整可能な機構を備えている場合には、その機構の調整によりレベリングを行うことが可能である。
【0041】
また、上記実施例では、ベース54が水平となるように、主脚88の高さが調整されているが、ベース54の傾斜角度が所定の傾斜角度となるように、主脚88の高さ調整を行うことが可能である。例えば、搬送装置20の回路基板保持面と、装着ヘッド24の吸着ノズル70の昇降軸線、または、マークカメラ110の光軸線が垂直となるように、主脚88の高さ調整を行うことが可能である。
【0042】
また、水準器が内蔵された水準器内蔵板130,150を用いなくても、回路基板34等の上に載置された一般的な水準器を用いて、対基板作業装置10のレベリングを行うことが可能である。具体的には、搬送装置20によって搬送可能な剛性を有する治具基板等の上に、一般的な水準器を載置し、その水準器をマークカメラ110によって撮像する。そして、その撮像データに基づいて、回路基板34の傾斜角度を演算し、演算された回路基板34の傾斜角度に基づいて、対基板作業装置10のレベリングを行うことが可能である。
【0043】
また、上記実施例では、装着ヘッド24を用いて主脚88の高さが調整されているが、主脚88の高さを調整するための専用の装置を設けることが可能である。つまり、ボルトヘッド104を回転させるための専用の装置を、Y軸スライダ60に装着することが可能である。
【0044】
また、上記実施例では、装着ヘッド24を利用して、ボルトヘッド104,108を回転させているが、ボルトヘッド104,108を回転させるための専用の作業ヘッドを採用することが可能である。詳しくは、回転トルクの高い回転装置を、作業ヘッドに設け、その回転トルクの高い回転装置によって、ボルトヘッド104,108を回転させることが可能である。
【0045】
また、上記実施例では、本発明の技術が、装着作業を実行するための対基板作業装置10に適用されているが、回路基板に対する種々の作業を実行するための装置に、本発明の技術を適用することが可能である。詳しくは、例えば、回路基板上にクリーム半田等を塗布するための装置、回路基板上に粘着剤等を吐出するための装置、回路基板に対して各種の処理を施すための装置等に、本発明の技術を適用することが可能である。また、回路基板に対する作業を行う装置に限られず、製造作業に用いられる種々の作業機に、本発明の技術を適用することが可能である。