特許第6169712号(P6169712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6169712-実装装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169712
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20170713BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H05K13/02 U
   H05K13/04 P
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-538655(P2015-538655)
(86)(22)【出願日】2013年9月24日
(86)【国際出願番号】JP2013075710
(87)【国際公開番号】WO2015045002
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 英俊
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/051066(WO,A1)
【文献】 特開2011−187997(JP,A)
【文献】 特開平9−172298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に部品を実装する実装処理を実行する実装装置であって、
前記部品を保持し前記基板上へ移動させる実装ヘッドを有する実装ユニットと、
前記基板の幅に応じた複数の搬送幅に搬送レーンを変更する変更機構を有し、前記基板を搬送する搬送ユニットと、
前記搬送レーンの内側に配設され前記基板を下方から支持する取り外し可能な基板支持部材に配設された識別情報を該基板支持部材から取得する情報取得手段と、
前記取得した識別情報が前記基板の実装条件に含まれる識別情報であるときには、前記実装条件に基づき前記搬送レーンを変更するよう前記搬送ユニットを制御する一方、前記取得した識別情報が前記基板の実装条件に含まれる識別情報でないときには、前記搬送レーンの変更を中止する制御手段と、
を備えた実装装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記搬送レーンの変更中止中に、前記実装条件に基づいて前記実装処理に関する変更処理を実行させる、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記変更処理は、前記実装ヘッドの交換、前記実装ヘッドに装着されるノズル保持体の交換、前記実装ヘッドに装着される吸着ノズルの交換、ノズルストッカの交換及び部品を供給する供給ユニットの交換のうち1以上の処理である、請求項2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記搬送レーンを変更したのちに前記実装処理を前記実装ユニットに実行させ、該実装処理した基板の情報と前記取得した前記基板支持部材の識別情報とを記憶装置へ出力する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項5】
前記基板支持部材は、撮像により認識可能な前記識別情報が配設されており、
前記情報取得手段は、前記基板支持部材の識別情報を撮像して該識別情報を取得する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項6】
前記基板支持部材は、1以上の基板を固定するバキュームバックアップユニットである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装装置としては、基板を支持する基板支持ユニットの上面にID情報が記憶されている記憶媒体が付加されており、このID情報を取得することによって、作業者が基板支持ユニットを誤装着したときに警告を表示するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/051066号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実装装置では、基板の幅に応じて基板搬送ユニットの搬送幅を自動で変更するものがある。上述した特許文献1に記載の装置では、的確且つ確実に基板支持ユニットを交換することができるものであるが、この点については特に考慮されていなかった。したがって、上述した特許文献1に記載の装置では、まだ十分でなく、基板搬送ユニットの搬送幅の変更に伴い、より確実な基板支持ユニットの交換処理が求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、基板支持部材の交換処理を行うに際して、より確実に搬送ユニットの搬送幅を変更することができる実装装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
即ち、本発明の実装装置は、
基板上に部品を実装する実装処理を実行する実装装置であって、
前記部品を保持し前記基板上へ移動させる実装ヘッドを有する実装ユニットと、
前記基板の幅に応じた複数の搬送幅に搬送レーンを変更する変更機構を有し、前記基板を搬送する搬送ユニットと、
前記搬送レーンの内側に配設され前記基板を下方から支持する取り外し可能な基板支持部材に配設された識別情報を該基板支持部材から取得する情報取得手段と、
前記取得した識別情報が前記基板の実装条件に含まれる識別情報であるときには、前記実装条件に基づき前記搬送レーンを変更するよう前記搬送ユニットを制御する一方、前記取得した識別情報が前記基板の実装条件に含まれる識別情報でないときには、前記搬送レーンの変更を中止する制御手段と、
を備えたものである。
【0008】
この実装装置は、搬送レーンの内側に配設され基板を下方から支持する取り外し可能な基板支持部材に配設された識別情報をこの基板支持部材から取得する。そして、実装装置は、取得した識別情報が基板の実装条件に含まれる識別情報であるときには、実装条件に基づき搬送レーンを変更するよう搬送ユニットを制御する一方、取得した識別情報が基板の実装条件に含まれる識別情報でないときには、搬送レーンの変更を中止する。即ち、搬送レーンの変更を行わない。このように、これから実装処理を行おうとする実装条件に合う基板支持部材が装着されていないときには、搬送レーンの搬送幅の変更を行わないから、基板支持部材と搬送ユニットとの干渉などを防止することができる。したがって、本発明の実装装置は、基板支持部材の交換処理を行うに際して、より確実に搬送ユニットの搬送幅を変更することができる。
【0009】
本発明の実装装置において、前記制御手段は、前記搬送レーンの変更中止中に、前記実装条件に基づいて前記実装処理に関する変更処理を実行させるものとしてもよい。こうすれば、より確実に搬送ユニットの搬送幅を変更すると共に、基板支持部材の交換に伴う変更処理をより効率よく行うことができる。このとき、前記変更処理は、前記実装ヘッドの交換、前記実装ヘッドに装着されるノズル保持体の交換、前記実装ヘッドに装着される吸着ノズルの交換、及び部品を供給する供給ユニットの交換のうち1以上の処理であるものとしてもよい。
【0010】
本発明の実装装置において、前記制御手段は、前記搬送レーンを変更したのちに前記実装処理を前記実装ユニットに実行させ、該実装処理を実行した基板の情報と前記取得した前記基板支持部材の識別情報とを記憶装置へ出力するものとしてもよい。こうすれば、実装処理に用いた基板支持部材の情報を記憶することができるから、その後に基板と基板支持部材との対応関係の情報を利用することができる。
【0011】
本発明の実装装置において、前記基板支持部材は、撮像により認識可能な前記識別情報が配設されており、前記情報取得手段は、前記基板支持部材の識別情報を撮像して取得するものとしてもよい。こうすれば、撮像処理によって識別情報を取得することができる。また、実装装置では、基板を撮像する撮像ユニットを備えるものがあり、この撮像ユニットを基板及び識別情報の撮像に併用することができ、構成を簡略化しつつ、より確実に搬送ユニットの搬送幅を変更することができる。この識別情報は、バーコードや2Dコードとしてもよい。
【0012】
本発明の実装装置において、前記基板支持部材は、1以上の基板を固定するバキューム式の基板支持ユニットであるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】部品実装システム10の概略説明図。
図2】基板搬送ユニット20及び基板支持ユニット25の説明図。
図3】部品実装システム10の電気的な接続関係を表すブロック図。
図4】段組変え実装処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図5】HDD83に記憶される生産結果情報90の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は部品実装システム10の概略説明図である。図2は基板搬送ユニット20及び基板支持ユニット25の説明図である。図3は、部品実装システム10の電気的な接続関係を表すブロック図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1、2に示した通りとする。また、実装処理とは、部品を基板上に配置、装着、挿入、接合、接着する処理などを含む。
【0015】
部品実装システム10は、LAN16に接続され、実装ラインとして構成された実装装置11と、LAN16に接続され、実装する部品の情報などを管理する管理コンピュータ80とを備えている。部品実装システム10は、電子部品(以下「部品P」という)を基板Sに実装する実装処理をそれぞれ実施する複数の実装装置11が上流から下流に配置されている。なお、図1では、実装装置11を1台のみ示した。実装装置11は、基台12と、基台12の上に設置された実装機本体14とを備えている。基台12は、直方体に形成された重量物であり、裏面の所定位置には図示しないレベリングボルトが取り付けられている。
【0016】
実装機本体14は、基台12に対して交換可能に設置されている。この実装機本体14は、基板Sを搬送する基板搬送ユニット20と、基板Sを下面側から支持する基板支持ユニット25と、部品Pを吸着(保持)し基板S上へ移動させる実装ヘッド40を有する実装ユニット30と、部品Pを収容しているリール57が装着された供給ユニット56と、各種制御を実行する制御装置70(図4参照)とを備えている。また、実装機本体14は、吸着ノズル44に吸着された部品Pを撮像するパーツカメラ54と、実装ヘッド40に取り付け可能な複数種類の吸着ノズル44をストックするノズルストッカ55と、を備えている。
【0017】
基板搬送ユニット20は、図2の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に延びる支持板21,21と、両支持板21,21の互いに対向する面に設けられたコンベアベルト22,22(図1では片方のみ図示)とを備えている。コンベアベルト22,22は、支持板21,21の左右に設けられた駆動輪及び従動輪に無端状となるように架け渡されている。基板Sは、一対のコンベアベルト22,22の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板Sは、裏面側に配設されたバックアッププレート26によって支持されている。また、基板搬送ユニット20は、基板Sの幅に応じた複数の搬送幅に、片側の支持板21及びコンベアベルト22を移動し、搬送レーンを変更するレーン変更機構23(図3参照)を備えている。このレーン変更機構23は、装置後側の支持板21及びコンベアベルト22を装置の前後方向に導く図示しないガイドレールと、ガイドレールに沿って支持板21及びコンベアベルト22を移動させるモータとを備えている。
【0018】
基板支持ユニット25は、基板搬送ユニット20により搬送、固定された基板Sの裏面側から基板Sを支持するユニットである。この基板支持ユニット25は、図2に示すように、取り外し可能なバックアッププレート26と、バックアッププレート26に設けられ基板Sに負圧をかけてこれを吸引固定する複数の吸引支持部27と、バックアッププレート26を上下方向に移動させる昇降機構29(図3参照)とを備えている。バックアッププレート26は、例えば、複数の子基板を有する基板Sに用いられるものであり、搬送レーンの内側に配設され基板Sを下方から支持する基板支持部材である。このバックアッププレート26には、その表面の所定位置に、個別のバックアッププレート26を特定可能な識別情報28が形成されている。この識別情報28は、撮像により情報を認識可能なバーコードや2次元コードなどとしてもよい。吸引支持部27は、複数の吸引孔27aが形成されており、この吸引孔27aに図示しない吸引ポンプが接続され、基板Sと吸引支持部27との間の空間を負圧にすることにより基板Sを固定する。この吸引支持部27は、基板Sの複数の子基板に対応した位置に各々設けられている。昇降機構29は、バックアッププレート26を支持するアームと、アームを上下方向に移動するモータとを備えている。この基板支持ユニット25では、バックアッププレート26を取り替えることにより、複数種別の基板Sの固定に対応することができる。
【0019】
実装ヘッド40は、交換可能であり、図1に示すように、部品Pを保持(吸着)し基板S上へ移動させるものであり、X軸スライダ31の前面に取り付けられている。X軸スライダ31は、前後方向にスライド可能なY軸スライダ33の前面に、左右方向にスライド可能となるように取り付けられている。Y軸スライダ33は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール34,34にスライド可能に取り付けられている。なお、ガイドレール34,34は、実装装置11の内部に固定されている。Y軸スライダ33の前面には、左右方向に延びる上下一対のガイドレール32,32が設けられ、このガイドレール32,32にX軸スライダ31が左右方向にスライド可能に取り付けられている。実装ヘッド40は、X軸スライダ31が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ33が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ31,33は、それぞれ駆動モータにより駆動される。この実装ヘッド40には、ノズル保持体42が間欠回転可能に支持されている。ノズル保持体42の円周上には、部品を吸着する複数の吸着ノズル44がそれぞれ着脱可能に装着されている。この吸着ノズル44は、Z軸モータ46を駆動源とするホルダ昇降装置によってX軸およびY軸方向と直交するZ軸方向(上下方向)に昇降される。吸着ノズル44は、負圧により部品Pを吸着するものであり、図示しない回転装置によって回転(自転)され、吸着した部品Pの角度を調整可能となっている。
【0020】
この実装ヘッド40の下面には、下方を撮像するマークカメラ48が配設されている。このマークカメラ48は、基板Sに形成されているマークを撮像する。制御装置70は、撮像された基板Sのマークの位置に基づいて、部品Pを配置する位置を補正する。また、マークカメラ48は、バックアッププレート26に配設された識別情報28を撮像する。制御装置70は、撮像された識別情報28から、バックアッププレート26の種別や個体番号などの情報を取得する。
【0021】
制御装置70は、図3に示すように、CPU71を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM72、各種データを記憶するHDD73、作業領域として用いられるRAM74、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インタフェース75などを備えており、これらはバスを介して接続されている。この制御装置70は、基板搬送ユニット20、基板支持ユニット25、実装ユニット30及び供給ユニット56へ制御信号を出力し、パーツカメラ54へ撮像信号を出力する。また、制御装置70は、基板搬送ユニット20、基板支持ユニット25、実装ユニット30及び供給ユニット56からの信号を入力し、パーツカメラ54からの画像信号を入力する。また、制御装置70は、供給ユニット56やパーツカメラ54、管理コンピュータ80と双方向通信可能に接続されている。なお、X軸スライダ31及びY軸スライダ33には図示しない位置センサが装備されており、制御装置70はそれらの位置センサからの位置情報を入力しつつ、各スライダ31,33の駆動モータを制御する。
【0022】
管理コンピュータ80は、制御装置80aを備え、複数の実装装置11の情報を管理するコンピュータである。この制御装置80aは、CPU81を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM82、各種データを記憶するHDD83、作業領域として用いられるRAM84、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インタフェース85などを備えており、これらはバスを介して接続されている。また、管理コンピュータ80は、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力デバイス87と、各種情報を表示するディスプレイ88と、を備えている。管理コンピュータ80のHDD83には、実装装置11の実装に用いられる実装条件情報や、生産が完了した基板Sの情報を含む生産結果情報などが記憶されている。実装条件情報は、例えば、部品Pの種別及び配置位置、使用する実装ヘッド40や吸着ノズル44、使用するバックアッププレート26の種別などの情報が実装を行う基板Sの情報に対応付けられている。生産結果情報は、例えば、使用した実装ヘッド40や吸着ノズル44、使用したバックアッププレート26の種別などの情報が実装後の基板Sの基板IDに対応付けられている(後述図5参照)。
【0023】
次に、こうして構成された本実施形態の実装装置11の動作、例えば、バックアッププレート26を交換して実装処理を実行する処理について特に説明する。図4は、制御装置70のCPU71により実行される段組変え実装処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、制御装置70のHDD73に記憶され、作業者による開始指示により実行される。このルーチンは、例えば、実装装置11の各ユニットを利用してCPU71が実行するものとする。ここでは、前の基板Sの生産が終了し、前の基板Sとは異なる基板Sの生産を開始する際に、作業者が、バックアッププレート26などを交換したあとこのルーチンを実行するものとして説明する。
【0024】
このルーチンが開始されると、制御装置70のCPU71は、まず、実装条件情報を管理コンピュータ80から取得し、HDD73に記憶させる(ステップS100)。次に、CPU71は、実装ヘッド40を移動し、基板支持ユニット25のバックアッププレート26の画像をマークカメラ48により撮像する(ステップS110)。このとき、CPU71は、マークカメラ48の被写界深度になるよう、基板Sのない状態でバックアッププレート26を上昇させるものとしてもよい。次に、CPU71は、撮像した画像のうち識別情報28の領域を判別し、得られた識別情報28の画像を解析してバックアッププレート26の識別情報例えば、種別や個体番号などの情報を取得する(ステップS120)。
【0025】
次に、CPU71は、取得したバックアッププレート26の識別情報と、実装条件情報に含まれるバックアッププレート26の情報とが合致するか否かを判定する(ステップS130)。識別情報が合致したときには、CPU71は、基板支持ユニット25に正しいバックアッププレート26が配設されているものと判断し、基板搬送ユニット20の搬送幅を変更するか否かを判定する(ステップS140)。この判定は、基板搬送ユニット20の現在の搬送幅と、実装条件情報に含まれる搬送幅とが異なるか否かに基づいて行われる。基板搬送ユニット20の搬送幅を変更するときには、CPU71は、搬送幅を変更するようレーン変更機構23に制御信号を出力し、搬送レーンの搬送幅の変更処理を行わせる(ステップS150)。このように、CPU71は、取得した識別情報が基板Sの実装条件情報に含まれる識別情報であるときには、実装条件情報に基づき搬送レーンを変更するよう基板搬送ユニット20を制御するのである。
【0026】
ステップS150のあと、又はステップS140で搬送幅を変更しないと判定されたあと、CPU71は、その他の交換を要する交換対象部材があるか否かを判定する(ステップS160)。この判定は、現在の実装装置11の装置構成と、次の実装条件情報に含まれる装置構成とが異なるか否かに基づいて行われる。例えば、吸着ノズル44が交換対象部材であるときには、実装ヘッド40に装着されている現在の吸着ノズル44と、実装条件情報に含まれる吸着ノズルとが異なるか否かに基づいて行われる。交換対象部材としては、制御装置70の制御において自動交換可能な装置構成であり、且つバックアッププレート26の交換以外で交換処理可能であるものとする。交換対象部材は、例えば、実装ヘッド40、実装ヘッド40に装着されるノズル保持体42、実装ヘッド40に装着される吸着ノズル44、吸着ノズル44をストックするノズルストッカ55及び部品Pを供給する供給ユニット56などが挙げられる。交換対象部材があるときには、CPU71は、実装条件情報に含まれる情報に基づいて、交換対象部材の交換処理を実行する(ステップS170)。このとき、CPU71は、必要に応じて実装ヘッド40、ノズル保持体42、吸着ノズル44及び供給ユニット56などのうちいずれか1以上を交換するものとする。
【0027】
ステップS170のあと、又はステップS160で交換対象部材がないと判定されたあと、CPU71は、実装処理を実行する(ステップS180)。実装処理では、CPU71は、実装条件情報に基づき、部品Pが収納されている供給ユニット56の取出位置まで実装ヘッド40を移動し、吸着ノズル44を下降して吸着ノズル44に部品Pを吸着させる処理を行う。続いて、CPU71は、予め定められた位置に実装ヘッド40を移動し、吸着ノズル44を下降して部品Pを基板S上に配置する処理を実行する。CPU71は、この吸着、配置処理をすべての部品、及びすべての基板Sに対して実行する。実装処理を実行すると、CPU71は、バックアッププレート26の識別情報を含む生産結果に関する情報を管理コンピュータ80へ出力し(ステップS190)、このルーチンを終了する。図5は、管理コンピュータ80のHDD83に記憶される生産結果情報90の説明図である。この生産結果情報90は、使用した実装ヘッド40や吸着ノズル44、使用したバックアッププレート26の種別の情報のほか、実装された部品に関する情報などが実装後の基板Sの基板IDに対応付けられている。基板Sの製造者は、この実装結果情報90により、どの基板がどのユニットで製造されたかをあとで調べることができる。
【0028】
一方、ステップS130で識別情報が合致しなかったときには、CPU71は、警告表示を図示しない操作パネルに表示させる(ステップS200)。即ち、CPU71は、取得した識別情報が基板Sの実装条件に含まれる識別情報でないときには、搬送レーンの変更を中止する、即ち搬送レーンの変更を行わないのである。このとき、CPU71は、警告音を出すものとしてもよい。次に、CPU71は、ステップS160,S170と同様に、交換対象部材があるか否かを判定し(ステップS210)、交換対象部材があるときには、交換対象部材の交換処理を実行する(ステップS220)。即ち、CPU71は、搬送レーンの変更中止中に、実装条件情報に基づいて実装処理に関する変更処理(ここでは、実装ヘッド40、ノズル保持体42、吸着ノズル44及び供給ユニット56の交換)を実行させる。このように、作業者がバックアッププレート26の交換作業を行っている間に、CPU71は、実装装置11で実行可能な変更作業を行うのである。
【0029】
ステップS220のあと、又はステップS210で吸着ノズル44を変更しないと判定されたあと、CPU71は、バックアッププレート26(基板支持部材)が交換されたか否かを、図示しない操作パネルの操作に基づいて判定する(ステップS230)。なお、バックアッププレート26の固定位置にセンサを設け、このセンサの信号により、バックアッププレート26が交換されたか否かを判定するものとしてもよい。バックアッププレート26が交換されていないときには、CPU71は、そのまま待機し、バックアッププレート26が交換されたときには、ステップS110以降の処理を実行する。即ち、CPU71は、基板支持ユニット25の画像を撮像し、バックアッププレート26の識別情報28を取得し、取得した識別情報28と実装条件情報に含まれている識別情報とを照合する。ステップS130で識別情報が合致すると、CPU71は、必要に応じて搬送レーンの搬送幅を変更する。このとき、ステップS220で、既に交換対象部材の交換が済んでいるため、CPU71は、ステップS170の交換対象部材の交換処理を省略して、実装処理を実行し、生産結果情報を出力してこのルーチンを終了する。このように、CPU71は、誤ったバックアッププレート26が基板支持ユニット25に装着されているときには、先にその他の交換対象部材の交換処理を実行することにより処理時間をより短縮するのである。
【0030】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のレーン変更機構23が変更機構に相当し、バックアッププレート26が基板支持部材に相当し、マークカメラ48が情報取得手段に相当し、制御装置70が制御手段に相当する。
【0031】
以上説明した実装装置11によれば、バックアッププレート26に配設された識別情報を、このバックアッププレート26から取得し、取得した識別情報が基板の実装条件に含まれる識別情報であるときには、実装条件に基づき搬送レーンを変更するよう搬送ユニットを制御する。一方、実装装置11では、取得した識別情報が基板の実装条件に含まれる識別情報でないときには、搬送レーンの変更を中止する。例えば、誤って実装条件に規定されるものよりも大きなバックアッププレートが基板支持ユニットに装着されている場合、制御装置70が実装条件通りに搬送レーンの変更を行うと、バックアッププレートと基板搬送ユニット20(例えば、コンベアベルト22など)とが接触することがある。ここでは、制御装置70は、これから実装処理を行おうとする実装条件に合うバックアッププレート26が装着されていないときには、搬送レーンの搬送幅の変更を行わないから、バックアッププレート26と、基板搬送ユニット20(例えば、コンベアベルト22など)との干渉などを防止することができる。したがって、実装装置11は、バックアッププレート26の交換処理を行うに際して、より確実に基板搬送ユニット20の搬送幅を変更することができる。
【0032】
また、実装装置11は、搬送レーンの変更中止中に、実装条件情報に基づいて実装処理に関する変更処理、例えば、実装ヘッド40、ノズル保持体42、吸着ノズル44及び供給ユニット56などの交換対象部材の変更を実行するため、より確実に基板搬送ユニット20の搬送幅を変更すると共に、バックアッププレート26の交換に伴う変更処理をより効率よく行うことができる。更に、実装装置11は、搬送レーンを変更したのちに実装処理を実装ユニット30に実行させ、実装処理した基板の情報とバックアッププレート26の識別情報とを管理コンピュータ80のHDD83へ出力するため、その後に基板とバックアッププレート26との対応関係の情報(生産結果情報90)を利用することができる。更にまた、実装装置11は、バックアッププレート26には撮像により認識可能な識別情報28が配設されているため、撮像処理によって識別情報を取得することができる。また、基板Sを撮像するマークカメラ48を基板及び識別情報の撮像に併用することができ、構成を簡略化しつつ、より確実に基板搬送ユニット20の搬送幅を変更することができる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、搬送レーンの変更中止中に、実装条件に基づいて交換対象部材(例えば、実装ヘッド40、ノズル保持体42、吸着ノズル44、ノズルストッカ55及び供給ユニット56)の変更処理を実行させるものとしたが、実装処理に関する変更処理を実行するものとすれば、特にこれに限定されない。例えば、これらの交換対象部材以外の部材の交換処理を、これらに代えて、又はこれらに加えて行うものとしてもよい。また、実装ヘッド40、ノズル保持体42、吸着ノズル44及び供給ユニット56のうち1以上を交換対象部材から除外してもよい。あるいは、実装装置11は、搬送レーンの変更中止中での上記変更処理の実行を省略してもよい。こうしても、より確実に基板搬送ユニット20の搬送幅を変更することができる。
【0035】
上述した実施形態では、実装装置11は、実装実行した基板の情報及びバックアッププレート26の識別情報を管理コンピュータ80へ出力するものとしたが、特にこれに限定されず、生産結果情報90をHDD73に記憶させるものとしてもよいし、他のPCに出力するものとしてもよい。あるいは、実装装置11では、実装実行した基板の情報及びバックアッププレート26の識別情報を出力する処理を省略してもよい。こうしても、より確実に基板搬送ユニット20の搬送幅を変更することができる。
【0036】
上述した実施形態では、基板支持ユニット25を撮像してバックアッププレート26の識別情報を取得するものとしたが、特にこれに限定されず、接触式又は非接触式の記憶素子(例えばRFID)などにバックアッププレート26の識別情報を記憶し、これから識別情報を取得するものとしてもよい。こうしても、より確実に基板搬送ユニット20の搬送幅を変更することができる。なお、上述した実施形態のように、マークカメラ48を利用する方が、読み取りに関する構成を省略することができ、好ましい。
【0037】
上述した実施形態では、実装ヘッド40に部品Pを吸着させるものとしたが、実装ヘッド40に部品Pを保持するものとすれば、吸着するものに限定されない。例えば、実装ヘッド40は、把持部に部品Pを引っかけて保持するものとしてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、本発明の機能を備えた実装装置11として説明したが、特にこれに限定されず、実装処理方法やそのプログラムの形態としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、基板に部品を実装する実装処理の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 部品実装システム、11 実装装置、12 基台、14 実装機本体、16 LAN、20 基板搬送ユニット、21 支持板、22 コンベアベルト、23 レーン変更機構、25 基板支持ユニット、26 バックアッププレート、27 吸引支持部、27a 吸引孔、28 識別情報、29 昇降機構、30 実装ユニット、31 X軸スライダ、32 ガイドレール、33 Y軸スライダ、34 ガイドレール、40 実装ヘッド、42 ノズル保持体、44 吸着ノズル、46 Z軸モータ、48 マークカメラ、54 パーツカメラ、55 ノズルストッカ、56 供給ユニット、57 リール、70 制御装置、71 CPU、72 ROM、73 HDD、74 RAM、75 入出力インタフェース、80 管理コンピュータ、80a 制御装置、81 CPU、82 ROM、83 HDD、84 RAM、85 入出力インタフェース、87 入力デバイス、88 ディスプレイ、90 生産結果情報、P 部品、S 基板。
図1
図2
図3
図4
図5