特許第6169752号(P6169752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6169752ピリジノール−N−オキシド化合物含有洗剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169752
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】ピリジノール−N−オキシド化合物含有洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   D06L 1/12 20060101AFI20170713BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20170713BHJP
   C11D 3/28 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   D06L1/12
   C11D3/04
   C11D3/28
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-87302(P2016-87302)
(22)【出願日】2016年4月25日
(62)【分割の表示】特願2014-525204(P2014-525204)の分割
【原出願日】2012年8月15日
(65)【公開番号】特開2016-194189(P2016-194189A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】61/523,444
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、スコット、ミラクル
(72)【発明者】
【氏名】ブルース、プレンティス、マーチ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、クリストファー、シュテンガー
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ、アレン、ペティグルー、ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン、アンジェロ、カセルタ
(72)【発明者】
【氏名】ケーシー、パトリック、ケリー
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−074395(JP,A)
【文献】 特開昭60−023310(JP,A)
【文献】 特開2009−235315(JP,A)
【文献】 特開平02−040316(JP,A)
【文献】 特開2004−211074(JP,A)
【文献】 特開2010−275198(JP,A)
【文献】 特開2001−131592(JP,A)
【文献】 特開2001−187718(JP,A)
【文献】 特開平10−147795(JP,A)
【文献】 特開昭59−161496(JP,A)
【文献】 特開平08−333598(JP,A)
【文献】 特開平04−214800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06L 1/12
C11D 1/00−19/00
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤組成物を布地の染みのついた部分に適用する工程を含む前記染みのついた布地の処理方法であって、前記洗剤組成物は、
a)少なくとも0.2ppmの第2鉄と、
b)0.05重量%〜2重量%の置換または非置換の2−ピリジノールN−オキシド化合物、その互変異性体、またはその塩、および、5重量%〜90重量%の界面活性剤であって、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、アミンオキシド、およびこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含有し、
前記洗剤組成物は、漂白剤を実質的に含有せず、かつ、前記ピリジノール−N−オキシド化合物の前記第2鉄に対するモル比が3以上であることを特徴とする、方法
【請求項2】
前記洗剤組成物が、洗浄前に前記布地の染みのついた部分を前処理するために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記置換または非置換の2−ピリジノールN−オキシド化合物が、以下の構造を含み:
【化1】
式中、各Rは独立してH、Cl、Br、I、F、NO、NO、およびCNO(CHGからなる群から選択され、
ここで各Gは独立して(O)SOM、(O)COM、(O)C(O)(R)、(O)C(O)N(R、(O)CN、(O)(R)、およびN(Rからなる群から選択され、
各mは0または1であり、
各nは0から4の整数であり、
各Rは、独立してHおよび置換または非置換のC〜C12の有機基からなる群から選択され、かつ
各Mは、独立して、
(ただし、Rは上記に定義される通り)、
(R
および1/q M’q+(ただし、式中M’は、電荷qのアルカリ金属および電荷qのアルカリ土類金属からなる群から選択される)からなる群から選択され、
ここで2つの隣接する任意のRが一緒になって別の5員または6員の芳香族環または脂肪族環を形成し、5員または6員の芳香族環または脂肪族環は、任意でCl、Br、I、F、NO、NO、CN、および(CHGからなる群から選択される1つ以上の基と置換されている、請求項1に記載の方法
【請求項4】
各Rは独立して、H、Cl、および(CHGからなる群から選択され、ここでGは独立して(O)SOM、(O)COM、(O)C(O)(R)、(O)CN、および(O)(R)からなる群から選択され、各mは0または1である、請求項に記載の方法
【請求項5】
各Rは独立して、H、SOM、及びCOMからなる群から選択され、かつ、たった1つのRがSOMまたはCOMである、請求項に記載の方法
【請求項6】
前記組成物が、0.15重量%〜0.5重量%の前記置換または非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物を含有する、請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記組成物が、5重量%〜70重量%の界面活性剤を含有する、請求項1に記載の方法
【請求項8】
前記組成物が、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物を含有し、前記アニオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との重量比が、10:90〜90:10である、請求項7に記載の方法
【請求項9】
前記組成物が、前記アニオン性界面活性剤と前記非イオン性界面活性剤との重量比が、30:70〜70:30である、請求項8に記載の方法
【請求項10】
前記組成物がホスホネートキレート化剤を更に含有する、請求項に記載の方法
【請求項11】
前記置換または非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物が、2−ヒドロキシピリジン−1−オキシド、3−ピリジンカルボン酸2−ヒドロキシ−1−オキシド、6−ヒドロキシ−3−ピリジンカルボン酸1−オキシド、2−ヒドロキシ−4−ピリジンカルボン酸1−オキシド、2−ピリジンカルボン酸6−ヒドロキシ−1−オキシド、6−ヒドロキシ−3−ピリジンスルホン酸1−オキシド、これらの互変異性体、これらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記置換または非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物が、1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン、1,6−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−6−オキソ−3−ピリジンカルボン酸、1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−オキソ−4−ピリジンカルボン酸、1,6−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−6−オキソ−2−ピリジンカルボン酸、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)−ピリジノン、6−(シクロヘキシルメチル)−1−ヒドロキシ−4−メチル−2(1H)−ピリジノン、1−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−2(1H)−ピリジノン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−ピリドンモノエタノールアミン、1−ヒドロキシ−6−(オクチロキシ)−2(1H)−ピリジノン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロヘキシル−2−ピリジノンエタノールアミン塩、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロヘキシル−2−ピリジノン、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−オキソ−4−ピリジンカルボン酸メチルエステル、1−ヒドロキシ−5−ニトロ−2(1H)−ピリジノン、これらの互変異性体、これらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ピリジノール−N−オキシド化合物を含有し、漂白剤を実質的に含有しない洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
キレート剤を含有する洗濯洗剤組成物は周知されている。例えば、キレート剤であるタイロン(1,2−ジヒドロキシベンゼン−3,5−ジスルホン酸)は、洗剤組成物の技術分野において洗浄剤として周知されている。タイロンは、特に漂白可能な染みに対して親水性の洗浄効果をもたらし、また、粘土解膠、懸濁、及び/又は高分子分散系との相乗作用によって微粒子洗浄を促進することもできる。しかし、タイロン及びその他の関連するキレート剤は、洗剤組成物中に汚染物質として存在し得る場合のある特定の遷移金属のイオンと結合して、有色の金属/キレート剤錯体を形成することが知られている。例えば、タイロンは第2鉄と結合して、金属イオン濃度が0.1百万分率(ppm)、又は更にそれ未満で検出され得る赤紫色の金属/タイロン錯体を形成する。多くの洗剤組成物が、不純物として第2鉄などの溶解性鉄の濃度を含んでおり、こうした洗剤中の第2鉄の濃度は、洗剤に赤色を帯びさせるに十分な量の金属/キレート剤錯体を形成するには十分である。赤みを帯びた色は、例えば錆を連想させることがあるため、消費者は赤みを帯びた洗剤を好まない場合がある。更に、このような発色により、色むらのない最終製品を作り出すことが困難になる場合がある。
【0003】
漂白剤及びキレート剤を含有する洗濯洗剤組成物もまた周知されている。キレート剤は組成物中、又は対象となる布地上に存在する金属イオンと結合して、例えば、過酸素漂白剤の分解速度を低下させる結果をもたらす場合があると考えられている。こうしたキレート剤の例には、エチドロン酸(ethydronic acid)、及びヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)などのホスホネートキレート剤類、1,2−ジヒドロキシ−3,5−ジスルホベンゼン(タイロン)などの多官能置換芳香族キレート剤類、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(EDDS)などのコハク酸キレート剤類、ジエチレントリアミンペント酢酸(DTPA)及びプロピレンジアミンテトラ酢酸(PDTA)などのアミノカルボン酸キレート剤類、ジピコリン酸などのピリジンのポリカルボン酸類、並びにマロン酸及び例えば2−ヒドロキシピリジン−1−オキシドなどのヒドロキシピリジン−N−オキシド類を含むその他のものが挙げられる。
【0004】
漂白剤を実質的に含有せず、キレート剤を含有し、かつ望ましからぬ発色を起こすことなく、特に漂白可能な染みに対して親水性の洗浄効果をもたらす洗剤組成物を製造することが望ましいと考えられる。このような洗剤組成物は、キレート剤としてピリジン−N−オキシドの特定の誘導体を特別に選択し、洗剤組成物に取り入れることによって製造可能であることが判明した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様においては、本開示は、第2鉄及び置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、又はその塩を含有し、かつ漂白剤を実質的に含有しない洗剤組成物を提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、上記の洗剤組成物を染みのついた布地に適用することによる、染みのついた布地の処理方法及び/又は前処理方法を提供する。
【0007】
更に別の態様では、本開示は、第2鉄、及び2−ヒドロキシピリジン−1−オキシド、3−ピリジンカルボン酸,2−ヒドロキシ,1−オキシド、6−ヒドロキシ−3−ピリジンカルボン酸,1−オキシド、2−ヒドロキシ−4−ピリジンカルボン酸,1−オキシド、2−ピリジンカルボン酸,6−ヒドロキシ−,1−オキシド、6−ヒドロキシ−3−ピリジンスルホン酸,1−オキシド、これらの互変異性体、これらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含有し、漂白剤を実質的に含有しない洗剤組成物を提供する。
【0008】
更に別の様態では、本開示は、布地上の親水性染みを処理するための、置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.定義
用語「布地」は、衣類、亜麻布、ドレーパリー、及び装身具からなる物品類を包含する。この用語は、手さげバッグ、家具カバー、防水布などのような、全体又は一部分が布地で作られた他の品目もまた包含する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「染み」又は「汚れ」とは、除去の対象となる布地上の望ましからぬ物質を意味する。一般的に、染みは布地の一部分にのみ見出され、汚れと布地との偶発的な接触により作り出される。本明細書で使用される場合、「親水性染み」とは、染みが最初に布地と接触した時に水からなること、又は布地上の染みがかなりの部分の水を保持していることを意味する。親水性染みには、以下の代表的な親水性汚れのうちの1つ以上が包含される:飲料類、多くの食品汚れ類、水溶性染料類、汗、尿、又は血液などの体液類、草の染み及び泥などの戸外の汚れ類。用語「疎水性染み」は、染みが主として親油性流体に対して高い溶解性又は親和性を有する親油性汚れを含有することを意味する。親油性汚れの例としては、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド類、飽和及び不飽和脂肪酸類、非極性炭化水素類、ワックス及びワックスエステル類、脂質類、非イオン性界面活性剤などの洗濯用物質、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で使用する場合、特定の成分(類)を「実質的に含有しない」とは、特定の成分(類)が、意図的に組成物へ厳密に全く添加されないか、あるいは機能的に有用な量が添加されないことを意味するものと理解される。当業者であれは、微量の各種成分(類)が不純物、又は汚染物質として存在し得ることを理解するだろう。あるいは、「実質的に含有しない」とは、組成物がその組成物の約0.5重量%未満、あるいは約0.1重量%未満、又はあるいは約0.01重量%未満の、指定された成分を含有することを意味すると理解されてもよい。当業者には、意図的に添加されたか、不純物として存在するかのいずれかである特定の成分は、最終生成物がそのような成分を0%を含む最小濃度で含有できるように、経時的に分解する、又は他の成分と反応することが可能であるということが理解される。不明確性を避けるため、組成物がある成分を「実質的に含有しない」かどうかを決定するために、例えば、組成物が製造された直後、組成物がパッケージ化される時、及び/若しくは販売のために搬送される時、消費者が組成物を入手した時、又は消費者が組成物を保管した後に、その成分の重量パーセントを測定することができる。
【0012】
本明細書で使用する場合、「前処理」又は「前処理する」とは、布地を洗浄する前に、液体組成物を汚れた布地に適用してから放置して、布地に作用させることを意味する。組成物は、組成物が乾燥するまで、若しくはそれよりも長い時間、又は1分〜24時間、1分〜1時間、若しくは5分〜30分間、布地と接触したままにしてよい。任意で、別の方法で除去が困難な、皮膜化した染み/汚れで布地が汚された場合は、例えば、スポンジ若しくはブラシを用いて、又は単に2つの布地を互いに擦り合わせることで、本発明の組成物を多少強くラビング及び/又はブラッシングしてもよい。
【0013】
本明細書で使用する場合、「処理」又は「処理する」とは、液体組成物が非希釈形態で、又は例えば洗浄溶液などの溶液中に希釈した形態で、汚れた布地上に適用する、又は接触させることを意味する。
【0014】
本明細書で使用する場合、「洗浄剤」とは、洗濯汚れの除去などの洗浄効果を直接もたらす物質又は化合物として理解される。本明細書で使用する場合、「直接」とは、別の物質の洗浄効果を増強することとは反対に、洗浄剤自体が、例えば洗濯汚れを除去するように作用することと理解される。
【0015】
本明細書で使用する場合、「洗浄」とは、洗濯機、若しくは手を用いて、布地を水ですすぎ洗いすること、又は布地を洗剤組成物、例えば少なくとも1つの界面活性剤を含有する従来の洗剤組成物を用いて洗うことと理解される。
【0016】
本発明の範囲内に、多数の共鳴構造及び互変異性体が存在する可能性がある、及び実際に存在することが理解される。したがって、例えば、ピリジン−N−オキシドは、以下に図示する共鳴形態(I)、(II)、及び(III)として表すことができる。また、例えば下記の構造(V)で示す通り、2−ピリジノール−N−オキシド(IV)の互変異性体は1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノンである。当該技術分野において、共鳴構造は、以下に図示する(III)などの単一構造で表されることが多い。本開示が特定の構造に言及するときには、妥当な共鳴構造及び互変異性体の全てが包含されることを理解すべきである。
【0017】
【化1】
【0018】
B.洗剤組成物
本開示は、漂白剤を実質的に含有せず、キレート剤を含有し、特に漂白可能な染みに対して親水性洗浄効果をもたらす洗剤組成物に関する。より具体的には、本開示は、漂白剤を実質的に含有せず、キレート剤として、置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩を含有するする洗剤組成物に関し、ここで洗剤組成物は、例えば第2鉄などの、洗剤組成物中に不純物として一般的に存在する特定の遷移金属の存在下で、望ましからぬ有色のキレート剤/金属錯体を形成することなく、特に漂白可能な汚れに対する親水性の洗浄効果を提供する。
【0019】
第2鉄
本開示の洗剤組成物は、鉄(III)又はFe3+としても知られる第2鉄を含有してもよい。第2鉄はイオン結合によって他のイオンと結合し、配位子と共に配位されて配位子:鉄配位錯体を形成することができ、又は溶液中で自由に解離することができる。
【0020】
可溶性の第2鉄は、市販の洗剤の多くの中に見出すことができる。例えば、重質液体(HDL)洗剤の「市販の」サンプル群の鉄濃度が測定されている。市販のHDL洗剤は、0.6〜0.7±0.2百万分率(ppm)の平均総鉄濃度を示した。これらの鉄濃度は、特定のキレート剤、例えばタイロンをHDL洗剤に添加することで、有色の鉄:キレート剤錯体の形成を促進するのに十分である。こうした有色錯体は、望ましからぬ色を生じる洗剤組成物をもたらす場合がある。結果として生ずるこの色は、消費者の好む製品の色を得るためにこれらの洗剤に使用される現行の染料系の妨げとなる場合がある。
【0021】
本発明の特定の態様では、鉄は、不純物又は汚染物質として、意図的に又は意図せずに組成物中に提供される場合がある。例えば、鉄は、洗剤配合物中における界面活性剤、キレート剤、クエン酸、又は水酸化ナトリウムの合成又は輸送から生じる汚染物質として存在する場合がある。
【0022】
ある態様では、洗剤組成物は、第2鉄を少なくとも約5百万分率(ppm)、あるいは少なくとも約1ppm、あるいは少なくとも約0.6ppm、あるいは少なくとも約0.4ppm、あるいは少なくとも約0.2ppm、又はあるいは少なくとも約0.1ppm、の濃度で含有する。他の態様では、洗剤組成物中における、置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩の、第2鉄に対するモル比は、約3:1超、又は約10:1超、又は約20:1超である。
【0023】
2−ピリジノール−N−オキシド
本発明の洗剤組成物は、キレート剤として置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、若しくはその塩を含有してよい。この化合物の互変異性体、例えば1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノンは、キレート剤として本発明の範囲内に含まれる。置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、及びそれに対応する互変異性形態、1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノンを以下に示す。
【0024】
【化2】
式中の各R基は、独立してH、Cl、Br、I、F、NO、NO、及び(CHGからなる群から選択され、各Gは、独立して(O)SOM、(O)COM、(O)C(O)(R)、(O)C(O)N(R、(O)CN、(O)(R)、及びN(Rからなる群から選択され、各mは0又は1であり、各nは0〜4の整数であり、各Rは、独立してH及び置換又は非置換のC〜C12有機基からなる群から選択され、各Mは独立して、R(Rは上記に定義した通りである)、N(R、及び1/q M’q+からなる群から選択され、ここでM’は、電荷qのアルカリ金属及び電荷qのアルカリ土類金属からなる群から選択され、隣接する任意の2つのR基は共に、Cl、Br、I、F、NO、NO、CN、(CHG、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の基と任意で置換される別の5員又は6員の芳香族環又は脂肪族環を形成し得る。好適な有機基としては、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アルケニル、及び(C〜C12)アルキニルが挙げられる。有機基は任意で置換されてよく、好適な置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアミノ基が挙げられる。2−ピリジノール−N−オキシドも、例えば、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド、2−ピリジノール−1−オキシド、又は2−ヒドロキシピリジン−1−オキシドとして周知される。
【0025】
ある態様では、洗剤組成物は上記の(1つ又は複数の)式の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、又はその互変異性体を含有し、式中の各Rは独立してH、Cl、及び(CHGからなる群から選択され、各Gは、独立して(O)SOM、(O)COM、(O)C(O)(R)、(O)CN、及び(O)(R)からなる群から選択され、各mは0又は1である。他の態様では、洗剤組成物は上記式の2−ピリジノール−N−オキシド化合物を含有し、式中の各Rは独立して、H、SOM、及びCOMからなる群から選択される。更に他の態様では、各Rは独立してH、SOM、及びCOMからなる群から選択され、式中のRの1つのみがSOM又はCOMである。
【0026】
ある態様では、洗剤組成物は、置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物の塩を含有する。これらの態様では、2−ピリジノール−N−オキシド化合物のヒドロキシル基の水素は、好適な電荷平衡カチオンで置換されてよい。これらの態様における、水素を置換するカチオンの非限定的な例には、Na、Li、K、1/2Mg2+、若しくは1/2Ca2+、C〜Cアルカノールアンモニウム(alkanolammnonium)などの置換アンモニウム、モノエタノールアミン(MEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールアミン、又はこれらの任意の混合物が挙げられる。いくつかの態様では、カチオンは、2−ピリジノール−N−オキシドアニオン、又は1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノンアニオンから解離離してよい。
【0027】
いくつかの態様では、2−ピリジノール−N−オキシド化合物は、6−ヒドロキシ−3−ピリジンスルホン酸,1−オキシド(CAS 191672−18−1)、2−ヒドロキシピリジン−1−オキシド(CAS 13161−30−3)、2−ヒドロキシ−4−ピリジンカルボン酸,1−オキシド(CAS 13602−64−7)、5−エトキシ−2−ピリジノール,2−アセテート,1−オキシド(CAS 51984−49−7)、1−(3−ヒドロキシ−2−オキシド−4−イソキノリニル)−エタノン(CAS 65417−65−4)、6−ヒドロキシ−3−ピリジンカルボン酸,1−オキシド(CAS
90037−89−1)、2−メトキシ−4−キノリンカルボニトリル,1−オキシド(CAS 379722−76−6)、2−ピリジンカルボン酸,6−ヒドロキシ−,1−オキシド(CAS 1094194−45−2)、3−ピリジンカルボン酸,2−ヒドロキシ−,1−オキシド(CAS 408538−43−2)、2−ピリジノール,3−ニトロ−,1−オキシド(CAS 282102−08−3)、3−ピリジンプロパンニトリル,2−ヒドロキシ,1−オキシド(193605−60−6)、3−ピリジンエタノール,2−ヒドロキシ,3−アセテート,1−オキシド(CAS 193605−56−0)、2−ピリジノール,4−ブロモ−,1−オキシド(CAS 170875−41−9)、2−ピリジノール,4,6−ジブロモ−,2−アセテート,1−オキシド(CAS 170875−40−8)、2−ピリジノール,4,6−ジブロモ−,1−オキシド(CAS 170875−38−4)、2−ピリジノール,4−(2−アミノエチル)−,1−オキシド(CAS 154403−93−7)、2−ピリジノール,5−(2−アミノエチル)−,1−オキシド(CAS 154403−92−6)、3−ピリジンプロパン酸,α−アミノ−6−ヒドロキシ,1−オキシド(CAS 134419−61−7)、2−ピリジノール,3,5−ジメチル,1−オキシド(CAS 102074−62−4)、2−ピリジノール,3−メチル,1−オキシド(CAS 99969−07−0)、2−ピリジノール,3,5−ジニトロ,1−オキシド(CAS 98136−47−1)、2−ピリジノール,3,5−ジブロモ,1−オキシド(CAS 98136−29−9)、2−ピリジノール,4−メチル−6−(2−メチルプロピル)−,1−オキシド(CAS 91408−77−4)、2−ピリジノール,3−ブロモ−4,6−ジメチル−,1−オキシド(CAS 91408−76−3)、2−ピリジノール,4,5,6−トリメチル−,1−オキシド(CAS 91408−75−2)、2−ピリジノール,6−ヘプチル−4−メチル−,1−オキシド(CAS 91408−73−0)、2−ピリジノール,6−(シクロヘキシルメチル)−4−メチル−,1−オキシド(CAS 91408−72−9)、2−ピリジノール,6−ブロモ−,1−オキシド(CAS 89284−00−4)、2−ピリジノール,5−ブロモ−,1−オキシド(CAS 89283−99−8)、2−ピリジノールl,3,5−ジクロロ−4,6−ジフルオロ−,1−オキシド(CAS 33693−37−7)、2−ピリジノール,3,4,5,6−テトラクロロ−,1−オキシド(CAS 32835−63−5)、2−ピリジノール,6−メチル,1−オキシド(CAS 14420−62−3)、2−ピリジノール,5−ニトロ−,1−オキシド(CAS 14396−03−3)、2−ピリジノール,4−メチル−5−ニトロ−,1−オキシド(CAS 13602−77−2)、2−ピリジノール,4−クロロ−5−ニトロ−,1−オキシド(CAS 13602−73−8)、2−ピリジノール,4−クロロ−,1−オキシド(CAS 13602−65−8)、2−ピリジノール,4−ニトロ−,1−オキシド(CAS 13602−63−6)、及び2−ピリジノール,4−メチル,1−オキシド(CAS 1952−64−3)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。これらの化合物は、例えばSigma−Aldrich(St.Louis,MO)及び/又はAces Pharma(Branford,CT)から市販されている。
【0028】
ある態様では、洗剤組成物は、2−ヒドロキシピリジン−1−オキシド、3−ピリジンカルボン酸,2−ヒドロキシ−,1−オキシド、6−ヒドロキシ−3−ピリジンカルボン酸,1−オキシド、2−ヒドロキシ−4−ピリジンカルボン酸,1−オキシド、2−ピリジンカルボン酸,6−ヒドロキシ−,1−オキシド、6−ヒドロキシ−3−ピリジンスルホン酸,1−オキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される2−ピリジノール−N−オキシド化合物を含有する。
【0029】
ある態様では、洗剤組成物は、1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン(CAS 822−89−9)、1,6−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−6−オキソ−3−ピリジンカルボン酸(CAS 677763−18−7)、1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−オキソ−4−ピリジンカルボン酸(CAS 119736−22−0)、1,6−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−6−オキソ−2−ピリジンカルボン酸(CAS 94781−89−2)、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)−ピリジノン(CAS 50650−76−5)、6−(シクロヘキシルメチル)−1−ヒドロキシ−4−メチル−2(1H)−ピリジノン(CAS 29342−10−7)、1−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−2(1H)−ピリジノン(CAS 29342−02−7)、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−ピリドンモノエタノールアミン(CAS 68890−66−4)、1−ヒドロキシ−6−(オクチロキシ)−2(1H)−ピリジノン(CAS 162912−64−3)、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロヘキシル−2−ピリジノンエタノールアミン塩(CAS 41621−49−2)、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロヘキシル−2−ピリジノン(CAS 29342−05−0)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−オキソ−4−ピリジンカルボン酸,メチルエステル(CAS 36979−78−9)、1−ヒドロキシ−5−ニトロ−2(1H)−ピリジノン(CAS 45939−70−6)、及びこれらの混合物からなる群から選択される1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン化合物を含有する。これらの化合物は、例えばSigma−Aldrich(St.Louis,MO)、Princeton Building Blocks(Monmouth Junction,NJ)、3B Scientific Corporation(Libertyville,IL)、SynFine Research(Richmond Hill,ON)、Ryan Scientific,Inc.(Mt.Pleasant,SC)、及び/又はAces Pharma(Branford,CT)から市販されている。
【0030】
ある態様では、洗剤組成物は、分子量が約111〜約1000ダルトン、又はあるいは、分子量が約111〜約600ダルトンの置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩を含有する。ある態様では、ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、又はその塩の分子量は、約400ダルトン未満である。
【0031】
ある態様では、置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩は、布地上の親水性染みの処理に用いることができる。他の態様では、置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩は、布地上の漂白可能な染みの処理に用いることができる。
【0032】
上記の化合物の互変異性体、又は前記互変異性体の塩は、本発明の範囲に含まれる。
【0033】
ある態様では、洗剤組成物は、約0.01重量%〜約5重量%の置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩を、又は約0.05重量%〜約2重量%の置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩を、又は約0.10重量%〜約1重量%の置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩を含有する。いくつかの態様では、組成物は、約0.15重量%〜約0.5重量%の、置換又は非置換の2−ピリジノール−N−オキシド化合物、その互変異性体、若しくはその塩を含有する。
【0034】
漂白剤
本明細書に開示される洗剤組成物は更に、漂白剤を実質的に含有しないことが可能である。ある種の態様では、洗剤組成物は、意図的に添加された漂白剤を全く有しない。他の態様では、洗剤組成物は、意図的に添加された機能的な量の漂白剤を有しない。更に他の態様では、洗剤組成物は、0重量%を含む、約0重量%〜約0.01重量%の漂白剤を含有してよい。
【0035】
ある種の態様では、用語「漂白剤」は、過酸素漂白剤を含み得る。過酸素漂白剤としては、過酸化水素、過酸化物供給源、又はこれらの混合物が挙げられ得る。本明細書で使用する場合、過酸化物供給源とは、溶液中で過酸化物イオンを生成する及び/又は発生させる化合物又は系を意味する。過酸化物供給源としては、過炭酸塩類、過ケイ酸塩、モノ過硫酸塩などの過硫酸塩、過ホウ酸塩類(モノ水和物又はテトラ水和物を含む、任意のその水和物を含む)、ジペルオキシジドデカン二酸(DPDA)といった過酸類、ペルフタル酸マグネシウム、過酸化ジアルキル類、過酸化ジアシル類、予備形成した過カルボン酸類、有機及び無機の過酸化物類、及び/若しくはヒドロ過酸化物類、又はこれらの混合物が挙げられる。更に、過酸化水素源は、本明細書に組み入れられるKirk Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,4th Ed(1992,John Wiley & Sons),Vol.4,pp.271〜300「Bleaching Agents(Survey)」に詳細に記載されており、また、様々な被覆された形態及び修飾された形態を含む過ホウ酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムの様々な形態を含む。
【0036】
他の態様において、「漂白剤」は、次亜ハロゲン酸塩漂白剤及びその供給源を含み得る。次亜ハロゲン酸塩漂白剤及びその供給源の非限定的な例としては、アルカリ及びアルカリ土類金属類の次亜塩素酸塩などの次亜塩素酸単塩類、又は有機N−クロロ化合物類などの、加水分解して次亜塩素酸塩を生成する化合物が挙げられる。その他の次亜ハロゲン酸塩としては、臭化物塩からインサイチュ(in situ)で便利に提供される次亜臭素酸塩、及び次亜塩素酸塩などの好適な強酸化剤を挙げることができる。
【0037】
界面活性剤
本開示のある態様によれば、本開示の洗剤組成物は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を更に含有することができる。こうした組成物は、所望の水準にある1つ以上の洗浄特性を提供するのに十分な量の界面活性剤を、典型的には全組成物の約5重量%〜約90重量%、全組成物の約5重量%〜約70重量%、又は全組成物の約5重量%〜約40重量%含んでよい。典型的には、洗剤は洗浄溶液中で、その洗浄溶液の約0.0001重量%〜約0.05重量%、又は更には約0.001重量%〜約0.01重量%の濃度で使用される。
【0038】
液体洗剤組成物は、水性の、非界面活性液体キャリアを含んでいてもよい。一般的に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物成分を可溶化し、懸濁し、又は分散するのに有効である。例えば、組成物は、約5重量%〜約90重量%、約10重量%〜約70重量%、又は約20重量%〜約70重量%の水性非界面活性液体キャリアを含んでよい。
【0039】
最もコスト効率のよい種類の水性非界面活性液体キャリアは水であり得る。したがって、水性非界面活性液体キャリア成分は、全てでないとしても、大部分が水であってもよい。その他の水混和性の液体、例えば、アルカノール類、ジオール類、その他のポリオール類、エーテル類、アミン類等は、慣習的に共溶剤又は安定剤として液体洗剤組成物に添加されているが、そのような水混和性液体の使用は組成物コストを低くするために最小限に抑えてよい。したがって、本明細書における液体洗剤製品の水性液体キャリア成分は、一般に、組成物の約5重量%〜約90重量%の、又は約20重量%〜約70重量%の範囲の濃度で存在する水を含む。
【0040】
本明細書における液体洗剤組成物は、界面活性剤、二重特性ポリマー、及び特定の任意補助成分の水溶液、又は均一分散液若しくは懸濁液の形態をとってよく、それらの成分のいくつかは通常、液体アルコールエトキシレート非イオン性物質、水性液体キャリア、及びいずれかの他の通常液体の任意成分のような通常液体の組成物成分と組み合わされた固形の形態であってもよい。そのような溶液、分散液、又は懸濁液は許容できる程度に相安定であり、典型的には約100〜600cpsの、又は約150〜400cpsの範囲の粘度を有する。本開示の目的のため、粘度は#21スピンドルを使用したブルックフィールド(Brookfield)LVDV−II+の粘度計で測定する。
【0041】
好適な界面活性剤はアニオン性、非イオン性、カチオン性、双極性、及び/又は両性界面活性剤であってよい。好適なアニオン性界面活性剤の具体的かつ非限定的な例としては、洗剤製品において典型的に使用される、任意の従来型のアニオン性界面活性剤が挙げられる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びこれらの塩、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質が挙げられる。
【0042】
代表的なアニオン性界面活性剤は、C10〜C16のアルキルベンゼンスルホン酸、又はC11〜C14のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。一態様では、アルキル基は直鎖であり、そのような直鎖アルキルベンゼンスルホネートは「LAS」として知られている。アルキルベンゼンスルホネート、特にLASは、当該技術分野において周知である。このような界面活性剤及びこれらの調製は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されている。特に有用なものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14である、線状の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。ナトリウムC11〜C14、例えば、C12、LASはそのような界面活性剤の具体的な例である。
【0043】
他の代表的な種類のアニオン性界面活性剤にはエトキシル化アルキル硫酸塩界面活性剤が含まれる。このような物質は、アルキルエーテルサルフェート(alkyl etromher sulfates)又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても公知であり、式R’−−O−−(CO)−−SOM(式中、R’はC〜C20アルキル基であり、nは約0.5〜20であり、又は1〜20であり、Mは塩を生成するカチオンである)に相当する。一態様では、R’はC10〜C18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又はアルカノールアンモニウムである。一態様では、R’はC12〜C16であり、nは約0.5〜6、又は1〜6であり、Mはナトリウムである。
【0044】
アルキルエーテルサルフェートは一般に、様々なR’鎖長及び様々なエトキシル化度を含む混合物の形態で使用される。しばしばそのような混合物はまた、必然的にいくつかの非エトキシル化アルキルサルフェート類、即ち、上記エトキシル化アルキルサルフェート式で、式中、n=0である界面活性剤も含有することになる。非エトキシル化アルキルサルフェートも本発明の組成物に別途加えられ、存在してもよい任意のアニオン性界面活性剤成分として又は成分中で使用されてもよい。非アルコキシル化、例えば非エトキシル化、アルキルエーテルサルフェート界面活性剤の具体例は、C〜C20の高級脂肪族アルコールの硫酸化により製造されるものである。従来の第1級アルキルサルフェート界面活性剤は、一般式:ROSO−Mを有し、式中、Rは典型的には、直鎖又は分岐鎖であってよい線状C〜C20ヒドロカルビル基であり、Mは水溶性化カチオンである。一態様では、RはC10〜C15アルキルであり、Mはアルカリ金属であり、より具体的には、RはC12〜C14であり、Mはナトリウムである。
【0045】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤類の具体的な非限定例としては:a)アルキル(alkly)基のバイオベース含有量が少なくとも5%のアルキルベンゼンスルホネート(Bio−LAS及び/又はBio−MLAS)を含む、C10〜C18アルキルベンゼンスルホネート(LAS);b)主にC12のアルキルサルフェートを含む、C10〜C20第1級分岐鎖及びランダムアルキルサルフェート類(AS);c)式(I)及び(II)を有するC10〜C18の第2級(2,3)アルキルサルフェート類であり、ここで式(I)及び(II)のMが水素又は電気的中性を付与するカチオンであり、全てのM単位が、界面活性剤又は補助成分のいずれと関連しようと、当業者により単離された形態又は化合物が使用される系の相対的なpHに応じて水素原子又はカチオンのいずれかであることが可能であり、好適なカチオンの比限定的な例にはナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられ、xは少なくとも約7、又は少なくとも約9の整数であり、yは少なくとも8、又は少なくとも約9の整数である;d)式中のxが1〜30である、C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES);e)一態様では1〜5個のエトキシ単位を含む、C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート;f)米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号で論じられているような中鎖分岐状アルキルサルフェート;g)米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号で論じられているような中鎖分岐状アルキルアルコキシサルフェート;h)PCT公報WO 99/05243号、同WO 99/05242号、同WO 99/05244号、同WO 99/05082号、同WO 99/05084号、同WO 99/05241号、同WO 99/07656号、同WO 00/23549号、及び同WO 00/23548号で論じられているような修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);i)メチルエステルスルホネート(MES);並びにj)α−オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0046】
別の好適なアニオン性界面活性剤の部類には、米国特許第2010/0137649号に記載のイソプレノイド系多分岐洗剤用アルコールの界面活性剤誘導体が含まれる。これらに好適な原材料には、Amyris(Emeryville,California)が提供するBioFene(商標)などのβ−ファルネセンが挙げられる。
【0047】
別の好適なアニオン性界面活性剤は、イソプレノイド誘導アルコール類、アンテイソアルコール類、及びイソアルコール類由来の分岐界面活性剤である。これには少なくとも2つの式Iの化合物からなる混合物が含まれ、
【0048】
【化3】
この混合物中、Rは水素、メチル、又はエチルであり、
は、0、1つ、2つ、又は3つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有する(C〜C)アルキル又は(C〜C)アルケニルであり、 mは5〜37であり、かつnは1〜33であり、かつm+nは6〜38であり、好ましくはmは7〜27であり、かつnは1〜23であり、かつm+nは8〜28であり、
Yは0であるか、又はWであり、
Wは、エチレンオキシ、プロピレンオキシ(propylenoxy)、ブチレンオキシ、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
pは1〜30であり、及び
Zは、例えば、ヒドロキシ、カルボキシレート、スルフェート、ジスルフェート、スルホネート、ジスルホネート、グリセロールエステルスルホネート、アミン、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、アミンオキシド、ポリヒドロキシ部分、リン酸エステル、グリセロールスルホネート、ポリグルコネート、ポリホスフェートエステル、ホスホネート、スルホスクシネート、スルホサッカミネート(sulfosuccaminate)、グルカミド、タウリネート、サルコシネート、グリシネート、イセチオネート、ジアルカノールアミド、モノアルカノールアミド、モノアルカノールアミドスルフェート、ジグリコールアミド、ジグリコールアミドスルフェート、グリセロールエステル、グリセロールエステルスルフェート、グリセロールエーテル、グリセロールエーテルスルフェート、ポリグリセロールエーテル、ポリグリセロールエーテルスルフェート、ソルビタンエステル、アルキルポリグリコシド(APG)、アルキルポリキシロシド、尿素、アンモニオアルカンスルホネート、アミドプロピルベタイン、アリル化第4級アンモニウム化合物(quat)、アルキル化/ポリヒドロキシアルキル化第4級アンモニウム化合物、アルキル化第4級アンモニウム化合物、アルキル化/ポリヒドロキシル化オキシプロピル第4級アンモニウム化合物、グリセロールエステル第4級アンモニウム化合物、グリコールアミン第4級アンモニウム化合物、イミダゾリン、アルケン−2−イル−サクシネート、スルホン化アルキルエステル、及びスルホン化脂肪酸などの親水性部分である。好ましくは、Zはヒドロキシ、グリセロールエーテル、ポリグリセロールエーテル、ポリグリコシド、ポリキシロシド、カルボキシレート、スルフェート、スルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、アミン、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、アミンオキシド、モノアルカノールアミド、アミドプロピルベタイン、及びアルキル化第4級アンモニウム化合物からなる群から選択される。本明細書の一態様では、前述のZに関する選択肢にはカルボン酸塩は含まれない。
【0049】
一態様では、化合物の少なくとも1つに関して、RがHの場合は、Rは1つ、2つ、又は3つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有し、Rがメチル又はエチルである場合は、Rは0、1つ、又は2つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有する。別の実施形態では、混合物中の少なくとも2つの化合物に関して、RがHである場合は、Rは1つ、2つ、又は3つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有し、Rがメチル又はエチルである場合、Rは0、1つ、又は2つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有する。あるいは、又はこれに加え、更に他の態様では、最も長い炭素鎖の非官能化末端から40%以内の場所にある炭素原子上で分岐が生じる。あるいは、又はこれに加え、更に他の態様では、組成物は第2級ヒドロキシ化合物を実質的に含有しない。
【0050】
別の好適なアニオン性界面活性剤は、以下の群から選択される少なくとも2つの化合物の混合物を含有する。
【0051】
【化4】
この混合物では、A及びBはそれぞれ独立して、OH又はO(C=O)Rであり、 Rは水素、メチル、又はエチルであり、
は、0、1つ、2つ、又は3つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有する(C〜C)アルキル又は(C〜C)アルケニルであり、 R、R、及びRはそれぞれ独立するものであり、
【0052】
【化5】
は水素、メチル、又はエチルであり、
は(C〜C26)アルキルであり、並びに
mは5〜37であり、かつnは1〜33であり、かつm+nは6〜38であり、好ましくはmは7〜27であり、かつnは1〜23であり、かつm+nは8〜28である。
【0053】
一態様では、RがHである場合、Rは1つ、2つ、又は3つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有し、Rがメチル又はエチルである場合、Rは0、1つ、又は2つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有する。あるいは、又はこれに加え、更に他の態様では、最も長い炭素鎖の非官能化末端から40%以内の場所にある炭素原子上で分岐が生じる。あるいは、又はこれに加え、更に他の態様では、組成物は第2級ヒドロキシ化合物を実質的に含有しない。
【0054】
別の態様では、好適なアニオン性界面活性剤は、上記化合物のうち部分的に飽和されたもの、又は上記化合物のうち完全に飽和されたものを含有し、この場合、上記化合物に水素添加すると、それらの化合物の部分的に飽和されたもの又は完全に飽和されたものが得られる。
【0055】
好適なアニオン性界面活性剤は、式IVの少なくとも2つの化合物の混合物を含有してよい。
【0056】
【化6】
この混合物では、少なくとも2つの化合物のそれぞれにおいて、Aは独立してCOOH、COOM、O(C=O)R又は(C=O)ORであり、 Rは水素、メチル、又はエチルであり、
は(C〜C)アルキル分岐鎖を0、1つ、2つ、又は3つ有する(C〜C)アルキル又は(C〜C)アルケニルであり、RがHである場合、Rは1、2、又は3つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有し、Rがメチル又はエチルである場合、Rは0、1つ、又は2つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有し、最も長い炭素鎖の非官能化末端から40%以内の場所にある炭素原子上で分岐が生じており、
は(C〜C26)アルキルであり、
MはLi、Na、K、Ca2+、Mg2+、及び
【0057】
【化7】
であり
11、R12、R13、及びR14はそれぞれ独立して水素、(C〜C22)アルキル、(C〜C)アルカノール、及び(C〜C22)アルケニルであり、 mは5〜37であり、かつnは1〜33であり、かつm+nは6〜38であり、好ましくはmは7〜27であり、かつnは1〜23であり、かつm+nは8〜28である。
【0058】
一態様では、RがHである場合、Rは1つ、2つ、又は3つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有し、Rがメチル又はエチルである場合、Rは0、1つ、又は2つの(C〜C)アルキル分岐鎖を有する。あるいは、又はこれに加え、一態様では、最も長い炭素鎖の非官能化末端から40%以内の場所にある炭素原子上で分岐が生じる。あるいは、又はこれに加え、更に他の態様では、組成物は第2級ヒドロキシ化合物を実質的に含有しない。
【0059】
別の態様では、好適なアニオン性界面活性剤は、上記化合物のうち部分的に飽和されたものを含有し、この場合、上記化合物に水素添加することで、それらの化合物の部分的に飽和されたものが得られる。
【0060】
好適なアニオン性界面活性剤は、式Iの少なくとも2つの化合物の混合物も含んでよい。
【0061】
【化8】
式中、各Rは独立して、H又はCHであるが、但し、1、2、又は3つのRが、CHであり、
mは1又は2であり、
nは、3、4、5、6、7、8、又は9であり、
pは、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、
Yは、CHであるか、又は存在しないが、但し、
(a)YがCHであるとき、Zは、ヒドロキシル、アルコキシル、硫酸塩、二硫酸塩、スルホン酸塩、ジスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アミン、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、アミンオキシド、ポリヒドロキシ部分、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、ホスホン酸塩、グリセロールエーテル、グリセロールエーテルスルホネート、ポリグルコン酸塩、モノグリセロールエーテル、ジグリセロール(diglyerol)エーテル、グリセロールエーテルサルフェート、ポリグリセロールエーテル、ポリグリセロールエーテルサルフェート、ポリグルコシド、アンモニオアルカンスルホネート、アルキル化第4級アンモニウム化合物、アルキル化(alkyated)/ヒドロキシアルキル化第4級アンモニウム化合物、アルキル化/ポリヒドロキシアルキル化第4級アンモニウム化合物、アルキル化/ポリヒドロキシル化オキシプロピル第4級アンモニウム化合物、グリコールアミン第4級アンモニウム化合物、ポリオキシアルキレン、アルコキシル化サルフェート、ピリジニウム部分、ベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミノジカルボン酸塩、フェノールエトキシレート、イミダゾリン、O−アルキルエステル(即ち、O(C=O)Rであり、ここでRはアルキル基である)、及びアルコキシル化カルボン酸塩からなる群から選択され、
(b)Yが存在しないとき、Zは、カルボン酸、カルボン酸塩、グリセロールエステルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、グルカミド、タウリネート、サルコシン酸塩、グリシン酸塩、ジアルカノールアミド、モノアルカノールアミド、モノアルカノールアミドサルフェート、ジグリコールアミド、ジグリコールアミドサルフェート、グリセロールエステル、グリセロールエステルサルフェート、アミドプロピルベタイン、糖エステル(即ち、ソルビタンエステル)、グリセロールエステル第4級アンモニウム化合物、イセチオネート、スルホン化脂肪酸、スルホン化アルキルエステル、C−アルキルエステル(即ち、(C=O)ORであり、ここでRはアルキル基である)、アミド、及びポリアルコキシル化アミドプロピルベタインからなる群から選択される。
【0062】
混合物は、9個以下の炭素原子からなる最長直鎖炭素鎖を有する約5重量%以下、好ましくは約3重量%以下、より好ましくは約1重量%以下の化合物を含む。また更に、混合物は、混合物の総重量に基づいて、最長炭素鎖の非官能化末端の40%以内である炭素原子上に分岐を有する約50重量%未満の式Iの化合物を含む。
【0063】
いくつかの態様では、式Iのうち少なくとも2つの化合物の混合物は、式IIIのうち少なくとも1つの化合物を更に含有する。
【0064】
【化9】
式中、qは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、19、17、18、19、又は20であり、
pは、1、2、3、4、5、6、7、又は8であり、
Yは、CHであるか、又は存在しないが、但し、
(a)YがCHであるとき、Zは、ヒドロキシル、アルコキシル、サルフェート、二硫酸塩、スルホネート、ジスルホネート、スルホコハク酸塩、アミン、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、アミンオキシド、ポリヒドロキシ部分、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、ホスホネート、グリセロールエーテル、グリセロールエーテルスルホネート、ポリグルコン酸塩、モノグリセロールエーテル、ジグリセロール(diglyerol)エーテル、グリセロールエーテルサルフェート、ポリグリセロールエーテル、ポリグリセロールエーテルサルフェート、ポリグルコシド、アンモニオアルカンスルホネート、アルキル化第4級アンモニウム化合物、アルキル化(Alkyated)/ヒドロキシアルキル化第4級アンモニウム化合物、アルキル化/ポリヒドロキシアルキル化第4級アンモニウム化合物、アルキル化/ポリヒドロキシル化オキシプロピル第4級アンモニウム化合物、グリコールアミン第4級アンモニウム化合物、ポリオキシアルキレン、アルコキシル化サルフェート、ピリジニウム部分、ベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミノジカルボン酸塩、フェノールエトキシレート、イミダゾリン、O−アルキルエステル、及びアルコキシル化カルボン酸塩からなる群から選択され、かつ
(b)Yが存在しないとき、Zは、カルボン酸、カルボン酸塩、グリセロールエステルスルホネート、スルホコハク酸塩、グルカミド、タウリネート、サルコシン酸塩、グリシン酸塩、ジアルカノールアミド、モノアルカノールアミド、モノアルカノールアミドサルフェート、ジグリコールアミド、ジグリコールアミドサルフェート、グリセロールエステル、グリセロールエステルサルフェート、アミドプロピルベタイン、糖エステル、グリセロールエステル第4級アンモニウム化合物、イセチオネート、スルホン化脂肪酸、スルホン化アルキルエステル、C−アルキルエステル、アミド、及びポリアルコキシル化アミドプロピルベタインからなる群から選択される)。
【0065】
式IIIのうち少なくとも1つの化合物は、混合物の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%の量で混合物中に存在する。例えば、式IIIのうち少なくとも1つの化合物は、混合物の総重量に基づいて、約1重量%〜約95重量%の量で混合物中に存在し得る。
【0066】
いくつかの態様では、式Iのうち少なくとも2つの化合物の成分
【0067】
【化10】
は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、又は約100%のバイオベース含有量を有する。
【0068】
いくつかの態様では、式Iのうち少なくとも1つの化合物は、2、4、6、8、10、12、又は14位からなる群から選択される位置にメチル分岐鎖を含有する。いくつかの態様では、式Iの化合物は、1つのメチル分岐鎖を含有する。これらの態様では、1つのメチル分岐鎖は、2、4、6、8、10、12、又は14位からなる群から選択される位置にある。
【0069】
別の態様では、上述の通り、好適なアニオン性界面活性剤は少なくとも2つの式Iの化合物からなる混合物を含有し、ここで混合物は:
(a)以下を含有する細胞を培養する工程;
(i)プロピオニル−CoAからメチルマロニル−CoAへの変換を触媒するポリペプチドをコードする核酸配列を含有する外因性又は過剰発現ポリヌクレオチド;並びに/又は
(ii)ポリヌクレオチド(類)を発現させ、また少なくとも2つの式IIの化合物からなる混合物を製造させる条件下にて、スクシニル−CoAからメチルマロニル−CoAへの変換を触媒するポリペプチドをコードする核酸配列を含有する外因性又は過剰発現ポリヌクレオチド:
【0070】
【化11】
ここで細胞は、ポリヌクレオチド(類)を含有しない他の類似する細胞と比較して、より多くの式IIの化合物を製造する:
(b)少なくとも2つの式IIの化合物からなる混合物を培養することにより抽出する工程:並びに
(c)式(II)の化合物を誘導体化して少なくとも2つの式Iの化合物からなる混合物を形成する工程、により製造される。
【0071】
更なる好適なアニオン性界面活性剤としては、Safol 23、Marlipal 013、Isalchem 123、Isalchem 125、及びMarlipal
031の商品名で市販されているものなどの、C〜C15残基を有する分岐脂肪族アルコール類が挙げられる。
【0072】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤には、液体洗剤製品で典型的に使用される従来の種類のいかなる非イオン性界面活性剤を含めてもよい。これらとしては、例えば、アルコキシル化脂肪族アルコール及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書の液体洗剤製品における使用において好ましいものは、通常は液体である非イオン性界面活性剤である。本明細書での使用に適した非イオン性界面活性剤としてはアルコールアルコキシラート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは、次の一般式に相当する物質である:R(C2mO)OH;式中、RはC〜C16アルキル基であり、mは2〜4であり、pは約2〜12の範囲で変動する。好ましくは、Rは、第1級でも第2級でもあってよいアルキル基であり、約9〜約15個の炭素原子、より好ましくは約10〜約14個の炭素原子を含有する。一態様では、アルコキシル化脂肪族アルコールは、分子当り約2〜約12の酸化エチレン部分、より好ましくは分子当り約3〜約10の酸化エチレン部分を含有するエトキシル化物質であってもよい。
【0073】
本明細書の液体洗剤組成物において有用なアルコキシル化脂肪族アルコール物質はしばしば、約3〜17の範囲の親水親油バランス(HLB)値を有する。より好ましくはこの物質のHLB値は、約6〜15、最も好ましくは約8〜15の範囲である。好適なアルコキシル化脂肪族アルコール非イオン性界面活性剤は、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Company)により商標名ネオドール(NEODOL)(登録商標)で市販されている。
【0074】
本明細書において有用な非イオン性界面活性剤の別の適当なタイプは、アミンオキシド界面活性剤を含む。アミンオキシドは、しばしば当該技術分野では「半極性」非イオン性物質と呼ばれる物質である。アミンオキシドは、式:R(EO)(PO)(BO)N(O)(CH2・qHOである。この式中、Rは、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖であり得る比較的長鎖のアルキル部分であり、8〜20、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有でき、より好ましくはC12〜C16の第1級アルキルである。Rは短鎖部分で、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される。f+g+hが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、及びBOはブチレンオキシである。代表的なアミンオキシド界面活性剤は、C12〜C14アルキルジメチルアミンオキシドにより示されてもよい。
【0075】
非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては:a)C12〜C18アルキルエトキシレート(例えば、Shell製のNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤);b)C〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(ここでアルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位の混合物である);c)C12〜C18アルコール。及びC〜C12アルキルフェノールとエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとの縮合体(例えば、BASF製のPLURONIC(登録商標));d)米国特許第6,150,322号に述べられているようなC14〜C22中鎖分岐アルコール、(「BA」);e)米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号、及び同第6,093,856号に述べられているようなC14〜C22中鎖分岐アルキルアルコキシレート、(「BAE」)(ここで、zは1〜30である);f)米国特許第4,565,647号に述べられているようなアルキル多糖類であって、特に、米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号に述べられているようなアルキルポリグリコシド;g)米国特許第5,332,528号、PCT公報第WO 92/06162号、同第WO 93/19146号、同第WO 93/19038号、及び同第WO 94/09099号に述べられているようなポリヒドロキシ脂肪酸アミド;及びh)米国特許第6,482,994号及びPCT公報第WO 01/42408号に述べられているような、エーテルで末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0076】
本明細書の洗濯洗剤組成物の特定の態様では、洗浄性界面活性剤成分は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤物質の組み合わせを含有してもよい。この場合、アニオン性と非イオン性との重量比は、典型的には10:90〜90:10、より典型的には30:70〜70:30の範囲である。
【0077】
双極性イオン性界面活性剤の非限定例には、第2級及び第3級アミンの誘導体、複素環式第2級及び第3級アミンの誘導体、又は第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム若しくは第3級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性イオン界面活性剤の例である、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C〜C18(例えば、C12〜C18)アミンオキシド、並びに、例えば、アルキル基がC〜C18、及び特定の態様ではC10〜C14であることができるN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートのようなスルホベタイン及びヒドロキシベタインを含むベタインについては、米国特許第3,929,678号の19欄38行〜22欄48行を参照されたい。
【0078】
両性界面活性剤の非限定的な例には、第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族基が直鎖又は分岐鎖であることができる複素環式第2級及び第3級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。脂肪族置換基のうち1つは少なくとも約8個の炭素原子、例えば約8〜約18個の炭素原子を含有してもよく、少なくとも1つは水可溶化アニオン性基、例えば、カルボキシ基、スルホネート基、サルフェート基を含有する。両性界面活性剤の好適な例については、米国特許第3,929,678号、19欄18〜35行を参照のこと。
【0079】
カチオン性界面活性剤は、当該技術分野において既知であり、これらの非限定例としては第4級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、26までの炭素原子を有することができる。追加の例にはa)米国特許第6,136,769号での述べられているようなアルコキシレート第4級アンモニウム(「AQA」)界面活性剤、b)米国特許第6,004,922号で述べられているようなジメチルヒドロキシエチル第4級アンモニウム、c)PCT公報第WO 98/35002号、同第WO 98/35003号、同第WO 98/35004号、同第WO 98/35005号及び同第WO 98/35006号で述べられているようなポリアミンカチオン性界面活性剤、d)米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260,529号及び同第6,022,844号で述べられているようなカチオン性エステル界面活性剤並びにe)米国特許第6,221,825号及びPCT公報第WO 00/47708号で述べられているようなアミノ界面活性剤、例えばアミドプロピルジメチルアミン(「APA」)が挙げられる。
【0080】
界面活性剤系の非限定な例としては、従来のC11〜C18アルキルベンゼンスルホン酸塩類(「LAS」)、並びに第1級分岐鎖及びランダムC10〜C20アルキル硫酸塩類(「AS」)、式CH(CH(CHOSO)CH及びCH(CH(CHOSO)CHCH(式中、x及び(y+1)は少なくとも約7、他では(in other s)少なくとも約9の整数であり、Mは水可溶化性カチオン、特にナトリウムである)のC10〜C18第2級(2,3)−アルキル硫酸塩類、オレイル硫酸塩などの不飽和硫酸塩類、C10〜C18アルキルアルコキシ硫酸塩類(「AES」、特にEO 1〜7エトキシ硫酸塩類)、C10〜C18アルキルアルコキシカルボン酸塩類(特にEO 1〜5エトキシカルボン酸塩類)、C10〜C18グリセロールエーテル類、C10〜C18アルキルポリグリコシド類、及びこれらに対応する硫酸化ポリグリコシド類、並びにC12〜C18 α−スルホン化脂肪酸エステル類が挙げられる。所望される場合、従来の非イオン性及び両性界面活性剤、例えば、いわゆる狭いピークを有するアルキルエトキシレートが挙げられるC12〜C18アルキルエトキシレート(「AE」)、及びC〜C12アルキルフェノールアルコキシラート(特にエトキシレート及び混合エトキシ/プロポキシレート)、C12〜C18ベタイン及びスルホベタイン(「スルタイン」)、C10〜C18アミンオキシド等もまた界面活性剤系に包含されることができる。C10〜C18 N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミドもまた使用できる。PCT公報第WO 92/06154号を参照のこと。糖から誘導される他の界面活性剤としては、C10〜C18 N−(3−メトキシプロピル)グルカミドなどのN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。発泡性を抑えるためには、N−プロピル〜N−ヘキシルC12〜C18グルカミドを使用することができる。C10〜C20の従来型石鹸を使用してもよい。高い泡立ちが望まれる場合には、分岐鎖のC10〜C16石鹸を使用してもよい。アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の混合物が特に有用である。他の従来の有用な界面活性剤は、標準的な教科書に列挙されている。
【0081】
本明細書で有用なその他の界面活性剤としては、米国特許第8044249号、同第7994369号、米国特許出願公開第2012/0010423号、同第2011/0034363号、同第2012/0010432号、及び同第2011/0166370号にて開示されるような分岐界面活性剤類が挙げられる。
【0082】
補助物質
以下に例示される補助剤の非限定的な一覧は、本洗剤組成物における使用に適している場合があり、特定の態様では、例えば、性能を補助若しくは向上させるために、清浄化されるべき基材を処理するために、又は香料、着色剤、染料等を用いる場合などに組成物の審美性を改変させるために組み込むことが望ましい場合がある。このような補助剤の総量は、洗剤組成物の約0.1重量%〜約50重量%、又は約1重量%〜約30重量%の範囲であってよい。
【0083】
このような追加成分の正確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び組成物が使用される作業の性質に応じて変化する。好適な補助剤材料としては、例えばカチオン性ポリマーなどのポリマー、ビルダー、追加のキレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素安定剤、触媒材料、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記開示に加えて、このような他の補助剤の適した例及び使用量は、米国特許第5576282号、同第6306812 B1号及び同第6326348 B1号に見ることができる。
【0084】
ビルダー−本発明の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含有することができる。存在する場合、組成物は、典型的には、少なくとも約1重量%のビルダー、又は約5重量%若しくは10重量%から約80重量%まで、50重量%まで、若しくは30重量%までのこのようなビルダーを含む。ビルダーとしては、C10〜C22脂肪酸、クエン酸、ポリホスフェート類のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩類、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸などのポリ酢酸の種々のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びそれらの可溶性の塩のようなポリカルボン酸塩類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
ある種の態様では、洗剤組成物はホウ酸誘導体を含有する。「ホウ酸誘導体」とは、ホウ酸それ自体及びその他のホウ酸誘導体などのホウ酸含有化合物類であって、少なくともその一部が溶液内にホウ酸又はその化学的同等物として存在するものを意味する。ホウ酸誘導体類の実例としては、ホウ酸、MEAボレート、ホウ砂、酸化ホウ素、四ホウ酸十水和物、四ホウ酸五水和物、ホウ酸アルカリ金属塩類(例えばオルト−,メタ−,及びピロボレート、並びに五ホウ酸ナトリウム)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0086】
追加のキレート剤−本発明の洗剤組成物は、1つ以上の追加のキレート剤を含んでもよい。キレート剤の組み合わせを用いる場合、キレート剤の組み合わせは、当業者によって、カルシウムイオンの過剰な結合により酵素安定性に悪影響を与えることなく、重金属(例えば第2鉄)封鎖をもたらすように選択されてよい。
【0087】
本発明で用いるための好適なキレート剤としては、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、ヒドロキシエタンジホスホネート、サクシネート、これらの塩、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好適なキレート剤の非限定例としては、エチレンジアミンテトラセテート、N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリアセテート、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミンテトラプロプリオネート、トリエチレンテトラアミンヘキサセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、エタノールジグリシン、エチレンジアミンジサクシネート(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、これらの塩、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0088】
本発明で使用するために好適なリン含有キレート剤としては、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP、CAS 15827−60−8)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP、CAS 1429−50−1)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(CAS 56744−47−9)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、CAS 2809−21−4)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸(CAS 37971−36−1)、2−ヒドロキシ−2−ホスホノ酢酸(CAS 23783−26−8)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP、CAS 6419−19−8)、P,P’−(1,2−エタンジイル)ビス−ホスホン酸(CAS 6145−31−9)、P,P’−メチレンビス−ホスホン酸(CAS 1984−15−2)、トリエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(CAS 28444−52−2)、P−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−ホスホン酸(CAS 4167−10−6)、ビス(ヘキサメチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))(CAS 34690−00−1)、N2,N2,N6,N6−テトラキス(ホスホノメチル)−リジン(CAS 194933−56−7、CAS 172780−03−9)、これらの塩、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
本発明で有用なその他のキレート剤の非限定的な例は、米国特許第7445644号、同第7585376号、及び米国特許出願公開第2009/0176684A1号に含まれる。本明細書で用いるのに好適なその他のキレート剤は、市販されるDEQUESTシリーズ、並びにMonsanto、DuPont、及びNalco,Inc.のキレート剤である。
【0090】
追加のキレート剤(類)は、本開示の洗剤組成物中に、本開示の洗剤組成物の約0.01重量%〜約5重量%、約0.2重量%〜約0.7重量%、又は約0.3重量%〜約0.6重量%存在してよい。
【0091】
泡改質剤−本発明の組成物は、1つ以上の泡改質剤を含むことができる。泡改質剤については、米国特許第3933672号、及び同第4136045号で説明されている。
【0092】
香料−本発明の組成物及びプロセスに有用な香料及び香料成分には、アルデヒド、ケトン、エステル等を含むが、これらに限定されない多種多様の天然及び合成化学成分が含まれる。また、様々な天然抽出物及び天然エキスも挙げられ、これらには、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、ビャクダン油、パイン油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含み得る。最終香料は、このような成分の非常に複雑な混合物を含んでなるものであり得る。最終香料は、典型的には、本明細書における表面処理組成物の約0.01重量%〜約2重量%を構成し、個々のレイ柔軟剤(lay softeners)は、アミン及びカチオン性柔軟剤と組み合わせて使用することができ、香料成分は、最終的な香料組成物の0.0001重量%〜約90重量%を構成してよい。一態様では、本開示の組成物は、香料送達系を含んでよい。好適な香料送達システム、特定の香料送達システムの製造方法及びかかる香料送達システムの使用が、米国特許出願公開第2007/0275866(A1)号に開示されている。一態様では、こうした香料送達系は香料マイクロカプセルであってよい。一態様では、前記の香料マイクロカプセルは、香料及びシェルを含むコアを含有してよく、前記シェルは前記コアを封入する。一態様では、前記シェルは、アミノ樹脂共重合体、特に、メラミンホルムアルデヒド若しくは尿素ホルムアルデヒド、又は架橋メラミンホルムアルデヒド、アクリル、アクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含有してよい。一態様では、前記香料マイクロカプセルのシェルは、香料マイクロカプセルの沈着及び/又は定着に役立つ1つ以上の材料、例えばポリマーで、本開示の組成物を用いて処理される箇所をコーティングしてよい。一態様では、前記ポリマーは多糖類、カチオン変性デンプン、カチオン変性グアー、ポリシロキサン、ポリジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドとビニルピロリドンとのコポリマー、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハロゲン化物、イミダゾリウムハロゲン化物、ポリビニルアミン、ポリビニルアミンとN−ビニルホルムアミドとのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるカチオン性ポリマーであってよい。一態様では、前記香料マイクロカプセルは砕けやすくてよく、及び/又は約10μm〜約500μm、又は約20μm〜約200μmの平均粒径を有してよい。一態様において、前記組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%〜約80重量%、約0.1重量%〜約50重量%、約1.0重量%〜約25重量%、又は約1.0重量%〜約10重量%、の前記香料マイクロカプセルを含んでよい。好適なカプセルは、Appleton Papers Inc.(Appleton,Wisconsin USA)から入手可能である。ホルムアルデヒド捕捉剤は、こうした香料マイクロカプセルの中で用いることも、こうした香料マイクロカプセルと併せて用いることもできる。
【0093】
ポリマー−本発明の洗剤組成物は、グリース洗浄ポリマー、又は土壌懸濁ポリマーなどのポリマー類を含んでよい。グリース洗浄ポリマー及び/又は土壌懸濁ポリマーの非限定的な例としては、アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーが挙げられ、その例は、米国特許第3489686号、同第5565145号、PCT公報WO 2006/108857号、及び米国特許出願公開第12/266,751号に見出すことができる。
【0094】
移染防止剤−本発明の組成物はまた、1つ以上の移染防止剤を含んでもよい。好適な高分子移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、又は約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は約1重量%までの濃度で存在する。
【0095】
分散剤−本発明の組成物は分散剤も含んでよい。好適な水溶性有機材料は、ホモポリマー又はコポリマーの酸又はそれらの塩であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシル基を含み得る。
【0096】
布地色調剤−組成物は布地色調剤(シェーディング剤、青味剤、又は増白剤と呼ばれることもある)を含んでもよい。典型的には、色調剤は布地に青又はバイオレットの色合いをもたらす。色調剤は単独で又は組み合わせて使用して、特有な色合いを作り出す、及び/又は異なる種類の布地に色合いをつけることができる。これは、例えば、赤と緑−青の染料とを混合して、青又は紫の色合いを生じさせることにより、提供され得る。色調剤は、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンを含む)、アジン、前金属化した(premetallized)アゾを含むアゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン及びベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ及びニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない任意の周知される染料の化学分類から選択してよい。
【0097】
好適な布地色調剤としては、染料、染料−粘土共役体、並びに有機及び無機顔料類が挙げられる。適切な染料としては、小分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な小分子染料としては、例えば、青、バイオレット、赤、緑、又は黒に分類され、単独で又は組み合わせで所望の色合いをもたらす、直接染料、塩基性染料、反応染料、又は加水分解した反応性染料、加水分解した溶剤染料、若しくは加水分解した分散染料の色指数(C.I.)分類に分類される染料からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料としては、色指数(Society of Dyers and
Colourists,Bradford,UK)番号9、35、48、51、66,及び99などのダイレクトバイオレット染料、1、71、80及び279などのダイレクトブルー染料、17、73、52、88、及び150などのアシッドレッド染料、15、17、24、43、49、及び50などのアシッドバイオレット染料、15、17、25、29、40、45、75、80、83、90、及び113などのアシッドブルー染料、1などのアシッドブラック染料、1、3、4、10、及び35などのベーシックバイオレット染料、3、16、22、47、66、75、及び159などのベーシックブルー染料、欧州特許第1794275号、若しくは同第1794276号に記載されるような分散染料又は溶剤染料、又は米国特許第7208459 B2号に記載の染料、並びにこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料としては、C.I.番号アシッドバイオレット17、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトブルー1、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー29、アシッドブルー113、又はこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0098】
好適な高分子染料としては、例えばポリマーと色原体とを共重合してポリマーの主鎖にしたものなどの、共有結合(共役結合と呼ばれることもある)した色原体を含有するポリマー類(染料−ポリマー共役結合)、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。高分子染料としては、PCT公報第WO2011/98355号、同第WO2011/47987号、米国特許出願公開第2012/090102号、PCT公報第WO2010/145887号、同第WO2006/055787号、及び同第WO2010/142503号に記載されるものが挙げられる。
【0099】
別の態様では、適切なポリマー染料としては、Liquitint(登録商標)(Milliken、米国サウスカロライナ州スパータンバーグ)の名称で市販されている布地直接着色剤、及び少なくとも1つの反応染料と、ヒドロキシル部分、1級アミン部分、2級アミン部分、チオール部分、及びこれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマーから形成されている染料−ポリマー共役体が挙げられる。更に別の様態では、好適な高分子染料としては、Liquitint(登録商標)Violet CT(Megazyme,Wicklow,Ireland)より、商品名AZO−CM−CELLULOSE、製品コードS−ACMCで市販される、C.I.リアクティブブルー19と共役したブルーカルボキシメチルセルロース(CMC)などの、リアクティブブルー、リアクティブバイオレット、又はリアクティブレッド染料と共有結合したCMC、アルコキシル化トリフェニル−メタン重合着色剤、アルコキシル化チオフェン重合着色剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。
【0100】
好ましい色調染料として、PCT公報第WO 08/87497 A1号、同WO2011/011799第、及び同WO2012/054835第に含まれる増白剤が挙げられる。本発明で使用するために好適な色調剤は、PCT公報第WO2011/011799号の表5の実施例1〜42から選択される染料を含む、これらの参考文献に開示される好適な染料であってよい。その他の好適な染料は、米国特許第8138222号に開示されている。その他の好適な染料は、PCT公報第WO2009/069077号に開示されている。
【0101】
適切な染料粘土共役体には、少なくとも1つのカチオン性/塩基性染料とスメクタイト粘土を含む群から選択される染料粘土共役体、及びこれらの混合物が挙げられる。別の態様では、好適な染料粘土共役体としては、以下のC.I.からなる群から選択される1つのカチオン性/塩基性染料からなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる:ベーシックイエロー1〜108、C.I.ベーシックオレンジ1〜69、C.I.ベーシックレッド1〜118、C.I.ベーシックバイオレット1〜51、C.I.ベーシックブルー1〜164、C.I.ベーシックグリーン1〜14、C.I.ベーシックブラウン1〜23、CIベーシックブラック1〜11、及びモンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される粘土。更に別の態様では、好適な染料粘土共役体としては、以下からなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる:モンモリロナイトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、モンモリロナイトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、モンモリロナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、モンモリロナイトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2共役体、ヘクトライトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、ヘクトライトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、ヘクトライトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、ヘクトライトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、ヘクトライトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2共役体、サポナイトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、サポナイトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、サポナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、サポナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、サポナイトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、サポナイトC.I.ベーシックブラック2共役体及びこれらの混合物。
【0102】
適切な顔料としては、フラバントロン、インダントロン、1〜4個の塩素原子を有する塩素化インダントロン、ピラントロン、ジクロロピラントロン、モノブロモジクロロピラントロン、ジブロモジクロロピラントロン、テトラブロモピラントロン、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド(イミド基は置換されていないか、あるいは、C1〜C3−アルキル又はフェニル若しくは複素環式ラジカルで置換されていてもよく、このフェニル及び複素環式ラジカルは更に、水溶性を付与しない置換基を有していてもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン、イソビオラントロン、ジオキサジン顔料、銅フタロシアニン(1分子当たり2個以下の塩素原子を有していてもよい)、ポリクロロ−銅フタロシアニン、又はポリブロモクロロ−銅フタロシアニン(1分子当たり14個以下の臭素原子を有する)、及びこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0103】
別の態様では、好適な顔料としては、ウルトラマリンブルー(C.I.顔料29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.顔料15)、及びこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0104】
上述の布地色調剤は、組み合わせて使用することができる(布地色調剤の任意の混合物を使用することができる)。
【0105】
構造化剤−本発明のいくつかの態様では、洗濯洗剤組成物は、更に構造化剤を含有する。有用な構造化剤としては、米国特許出願公開第2006/0205631A1号、同第2005/0203213A1号、米国特許第7294611号、及び同第6855680号で開示されるようなものが挙げられる。米国特許第6855680号では、好適なヒドロキシ官能結晶性物質が詳細に定義されている。好適な構造化剤は硬化ヒマシ油である。有用な構造剤の非限定例として、硬化ヒマシ油;硬化ヒマシ油誘導体;微小繊維性セルロース;ヒドロキシ官能結晶性物質、長鎖脂肪アルコール、12−ヒドロキシステアリン酸;粘土、及びこれらの混合物の群から選択されるものが挙げられる。いくつかの態様では、低分子量の有機ゲル化剤(organogellants)を使用してよい。このような材料は、Richard G.Weiss及びPierre Terech編集のMolecular Gels,Materials with Self−Assembled Fibrillar Networksに定義されている。
【0106】
真珠光沢剤−本発明のいくつかの態様では、洗濯洗剤組成物は更に、真珠光沢剤を含有する。有用な真珠光沢剤としては、米国特許出願公開第2008/0234165A1号に記載されるようなものが挙げられる。真珠光沢剤の非限定例は、雲母;二酸化チタン被覆雲母;オキシ塩化ビスマス;魚のうろこ;以下の式のアルキレングリコールのモノ及びジエステルの群から選択してよい。
【0107】
【化12】
式中、
a.Rは直鎖又は分岐鎖のC12〜C22アルキル基であり、
b.Rは直鎖又は分岐鎖のC2〜C4のアルキレン基である、
c.Pは、H;C1〜C4アルキル;又は−CORの群から選択され、 d.n=1〜3である。
【0108】
いくつかの態様では、アルキレングリコールがエチレングリコールジステアリン酸(EGDS)となるように、R2はR1と等しい。
【0109】
pH
本開示の洗剤組成物の特定の態様によれば、洗剤組成物のpHは発色及び/又は酵素安定性に影響を持ち得る。一態様によれば、洗剤組成物は約4.5〜約10の範囲のpHを有してもよい。別の態様では、洗剤組成物は約7〜約9の範囲のpHを有してもよい。別の態様では、洗剤組成物は約7.5〜約8.5の範囲のpHを有してもよい。別の態様では、洗剤組成物は約8の、又は約8.0〜約8.2のpHを有してもよい。
【0110】
C.色形成の測定方法
本明細書にて開示したように、本発明の2−ピリジノール−N−オキシド化合物は、洗剤組成物内で望ましからぬ、又は不適合な、第2鉄との有色錯体を生成しない。本発明の化合物などのキレート剤を、第2鉄を含有する洗剤組成物へ導入することに関係する色は、当該技術分野において周知される任意の比色分析法又は分光分析法によって測定できる。好適な比色分析法としては、例えば、ガードナーカラースケール法(American
Society for Testing and Materials(「ASTM」)のASTM D1544、D6166の方法、及び/又はAmerican Oil
Chemists’ Society(「AOCS」)のAOCS Td−1a−64の方法による)、ハンターL.a.b.(CIE)カラースケール法(ASTM D5386−93bによる)、American Public Health Association(「APHA」)カラースケール法(ASTM D1209又はAOCS Td−1b−64による)、セーボルトカラースケール法(ASTM D156又はD6045による)、又はロビボンド(レッド)スケール法(AOCS Cc−13b−45による)が挙げられる。本開示はいずれかの特定の比色分析測定法にも限定されず、洗剤組成物の種々の態様において観察される色は、いかなる好適な比色分析法によって測定され得るということに留意すべきである。
【0111】
色形成は、例えば分光光度法、例えば、洗剤組成物/第2鉄混合物による特定の波長光の吸収度を測定することによってなど、を用いて測定可能である。この分光光度法に従い、低濃度の第2鉄を含む洗剤組成物の成分が全て結合して、試料の色が平衡化した後に、洗剤試料を重量基準で1:10で水に希釈し、1cmの使い捨てキュベット内でBeckman Coulter DU 800UV/Vis分光光度計を用いて分析する。この計器を400〜700nmで走査させるように設定する。各測定での吸収度対波長のプロットが作成される。
【0112】
D.洗剤組成物の製造方法
本発明の洗剤組成物は、いかなる適切な形態にも処方されることができ、配合者によって選択される任意のプロセスによって調製され、プロセスの非限定例は、米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、及び同第5,486,303号に記載されている。
【0113】
一態様では、本明細書に開示されている洗剤組成物は、その成分をいずれかの簡便な順番で組み合わせることによって、及び得られた成分の組み合わせを混合、例えば、撹拌して相安定液体洗剤組成物を形成することによって、調製されてもよい。一態様では、液体成分、例えば非イオン性界面活性剤、非界面活性液体キャリア及び他の任意の液体成分の、少なくとも主要部分、又は更には実質的に全てを含有する、液体マトリクスを形成し、この液体成分を剪断撹拌に付することによりこの液体の組み合せを完全に混合する。例えば、機械撹拌器での高速撹拌が有用に使用される。剪断撹拌が維持される間に、2−ピリジノール−N−オキシド化合物、並びに実質的に全ての任意のアニオン性界面活性剤及び固体成分を添加してよい。混合物の撹拌を継続し、必要ならばその時点で撹拌量を増加させ、液相中に不溶性固相粒子の溶液又は均一分散を形成する。固体形態の物質のいくらか又は全てがこの撹拌混合物に添加された後、包含されるべき任意の酵素物質の粒子、例えば、酵素プリルが組み込まれる。上述した組成物調製手順の変形として、1つ以上の固形成分を1つ以上の液体成分の微量部分と予混合した粒子の溶液又はスラリーとして撹拌混合物に添加してもよい。全ての組成物成分を添加した後、混合物の撹拌は、必要な粘度及び相安定度特性を有する組成物を形成するのに十分な時間継続される。しばしば、これには約30分〜60分間の撹拌を伴う。
【0114】
E.洗剤組成物の使用方法
本開示の洗剤組成物は、布地の洗浄、処理及び/又は前処理に使用することができる。典型的には布地の少なくとも一部分を上述の洗剤組成物と、非希釈形態で、又は液体、例えば洗浄溶液中に希釈された形態で接触させた後に、布地を任意に洗浄及び/又はすすぎをしてよい。一態様では、布地を任意に洗浄し、及び/又はすすぎ、上述の洗剤組成物と接触させ、続いて任意に洗浄及び/又はすすぐ。別の態様では、布地を洗浄する前に、洗剤組成物を汚れた布地に適用して、続いて放置して布地に作用させる。組成物は、乾燥するまで若しくはそれよりも長い時間、又は1分〜24時間、1分〜1時間、又は5分〜30分間、布地と接触したままにしてよい。本発明の目的上、洗浄することは、スクラビング、ブラッシング、及び機械的撹拌を含むが、これらに限定されない。典型的には、洗浄及び/又はすすぎの後に、布地を乾燥させる。「布地」には洗濯又は処理できるほとんどあらゆる布地を含んでよい。
【0115】
本開示の洗剤組成物は、布地の洗濯で使用するための水性洗浄溶液を形成するために使用されてもよい。一般に、有効量のこうした組成物を、例えば、従来の布地洗濯自動洗濯機にて、又は手洗い法によって、水に添加し、こうした水性洗濯溶液を形成する。次に、このように形成した水性洗浄溶液を、時には撹拌下で、水性洗浄溶液によって洗濯する布地と接触させる。本開示のHDL洗剤組成物のような洗剤組成物の有効量を水に加えて、約200〜約15,000ppm、又は更には約300〜約7,000ppmの洗剤組成物を含んでよい水性洗濯溶液を形成してもよい。
【0116】
次の代表的な実施例は、例示目的で挙げられるものであり、限定を目的としない。
【実施例】
【0117】
液体洗剤組成物は、列挙された成分を下記の比率で混合することにより調製することができる。
【0118】
【表1】
−NH当たり20個のエトキシレート基を有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
−NH当たり24個のエトキシレート基と−NH当たり16個のプロポキシレート基とを有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
Genencor International(South San Francisco,CA)から入手可能。
Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)から入手可能。
Thixcin(登録商標)Rの商標名にてElementis Specialties(Highstown,NJ)から入手可能。
【0119】
【表2】
Genencor International(South San Francisco,CA)から入手可能。
Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)から入手可能。
−NH当たり20個のエトキシレート基を有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
PCT公報第WO 01/05874号に記載され、BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
−NH当たり24個のエトキシレート基と−NH当たり16個のプロポキシレート基とを有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
PEG−PVAグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリビニルアセテート側鎖とを有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約6000であり、ポリエチレンオキシドとポリ酢酸ビニルとの重量比は約40:60であり、エチレンオキシド単位50個当たりグラフト点は1個以下である。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手可能。
Thixcin(登録商標)Rの商標名にてElementis Specialties(Highstown,NJ)から入手可能。
【0120】
試験データ
(実施例1)
試験のために、下記の表3の洗剤組成物を作成する。
【0121】
【表3】
【0122】
全ての成分を組み合わせた後に、オーバーヘッドミキサーで試料を均質化する。続いて、1.0MのHCl及びNaOHを用いて、各洗剤配合のpHを8.3に調整する。
【0123】
染み除去指数(SRI)は、「Standard Guide for Evaluating Stain Removal Performance in Home Laundering」(ASTM D4265−98)の変法を用いて測定する。変更は以下を含む:少なくとも3回の外部反復試験区(external replicates)及び少なくとも3回の内部反復試験区(internal replicates)を試験する;布地を平らな表面上に配置し、液体の場合はピペットを用いて、固体の場合はブラシを用いて、それぞれ所定の量の染みを付与することにより、染みを適用する;変性人工皮脂及びエアフィルタの埃は試験しない。試験する汚れは、EMC、Empirical Manufacturing Companyによって供給される。
【0124】
前処理のため、全洗浄時間試験(through-the-wash testing)のために計量した生成物の一部分を用いて染みを前処理する。染みを水平面に設置する。Manostatシリンジ、又はその同等物を使用して、それぞれの染みを1mLの洗剤組成物生成物で覆う。生成物は軽く伸びて染み全体を覆い、染みにすり込む必要はない。染みの全てが前処理された後、示されるように、染みを5分間又は16時間のいずれか、平らにして放置する。全ての生成物に対して、前処理する染みの程度を一定に保つこと。全洗浄時間試験のために計量した生成物の一部分を、洗濯機に直接添加する。洗浄はNorth American製縦型洗濯機にて実施し、硬度6gpg(0.10g/L)の水を用いて、32℃(90°F)にて12分間洗浄し、続いて16℃(60°F)で2分間すすぎを行う。SRI測定を実施する前に、自動乾燥機で布地を乾燥させる。
【0125】
【表4】
【0126】
誤差を超えたΔ SRIの差異(TukeyのHSD法)は統計的に有意であり、イタリック体で示されている。SRIスケールの値0は初期染みの除去が0であることと等しく、一方で値100は完全に除去したことを示す。0未満の値は染みの黒化を示し、一方で100を超える値は布地が染みのない基準物(reference)よりも白くなることを示す。表4の結果は、洗浄前に洗剤で前処理することの影響を示している。驚くべきことに、過酸化水素の存在下でなくとも、生成物2などの2−ピリジノール−1−オキシドを含有する組成物を用いたわずか5分間の前処理が、茶葉の染みに対する有意な効果を示した(40−54 SRI)。
【0127】
(実施例2)
実施例1の生成物1をベースとした洗剤配合物を試験のために作成した。表5に記載される通りに、0.5重量%の3−ピリジンカルボン酸,2−ヒドロキシ,1−オキシド、EDDS、DTPMP、及びDTPAを配合物に添加する。全ての洗剤配合物のpHを生成物1のpHに調整する。SRI指数の決定及び前処理試験を実施例1と同様の方法で行う。洗浄はNorth American製縦型洗濯機にて実施し、硬度6gpg(0.10g/L)の水を用いて、32℃(90°F)にて12分間洗浄し、続いて16℃(60°F)で2分間すすぎを行う。
【0128】
【表5】
# 有意(Significant)対生成物1
有意対EDDS、DTPMP、及びDTPA
【0129】
誤差を超えたΔ SRIの差異(TukeyのHSD法)は統計的に有意であり、イタリック体で示されている。表5の結果は、洗浄前に洗剤で前処理することの影響を示している。結果は、試験された組成物を用いた5分間の前処理が、キレート剤を含まない生成物1に対して有意な効果をもたらすことを示している。驚くべきことに、3−ピリジンカルボン酸,2−ヒドロキシ−,1−オキシドは、試験された他のキレート剤に対して有意な効果を示している。
【0130】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0131】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0132】
本発明の特定の態様について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。