(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169761
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】車線を外れる前に単一軌道の自動車のドライバーに警告する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-151138(P2016-151138)
(22)【出願日】2016年8月1日
(62)【分割の表示】特願2015-511962(P2015-511962)の分割
【原出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-10570(P2017-10570A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】102012207981.5
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】ヴァール,アンジャ
(72)【発明者】
【氏名】シャーフ,ギュンター
【審査官】
相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−126061(JP,A)
【文献】
特開2006−236156(JP,A)
【文献】
特開平9−295524(JP,A)
【文献】
特開平7−14100(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0311075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線を外れる前に単一軌道の自動車のドライバーに警告する方法において、
ビデオセンサ(103)によって、少なくとも1つの車線境界を検出し(201)、
自動車の参照点と前記車線境界との側方間隔(sm)を検出し(202)、
自動車の傾斜を表す傾斜情報(φ)を検出し(203)、
少なくとも前記側方間隔(sm)、前記傾斜情報(φ)、および、ヘルメット上限と自動車の前記参照点との間の垂直方向間隔について設定した推定値(h)に基づいて、搭乗者の一部が前記車線境界を越えていないかどうかを検出する(204)方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記参照点を、ビデオカメラ(103)の位置とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記車線境界を、隣接する車線との境界とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
車道幅(b)を検出し、隣接する車線との境界を車道中央とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
搭乗者の一部が前記車線境界を超えていることが検出された場合に、搭乗者への警告を行う(205)方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記車線境界を、隣接する車線との境界とし、
ビデオセンサ(103)によって、隣接する車線に対向車または他の交通参加者がいるかどうかを検出し、
対向車または他の交通参加者が検出された場合にのみ、搭乗者への警告を行う(205)方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記傾斜情報(φ)を、車両の走行方向に対して垂直方向の車線表面(102)と、車両の垂直軸との間の角度とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成された手段を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
二輪車でカーブを通過する場合、二輪車はカーブ半径および走行速度に応じてある程度の大きい傾斜角をとる。現代の慣性センサを用いてこの傾斜角を決定することが可能である。このようなセンサおよび傾斜を推定するための付属のアルゴリズムを備える自動二輪車が従来技術により既知である。
【0002】
さらにドイツ連邦共和国実用新案第202009009000号明細書により、誤った方向に走行する車両を検出し、警告する装置が既知である。この装置は、車道において誤った方向に走行する車両を検出した場合に信号を発信する少なくとも1つの磁界センサと、誤った方向に走行する車両のドライバーに警告を発信するドライバーエラー警告装置とを含む。この場合、少なくとも1つの磁界センサは誤った走行方向に間隔をおいて、ドライバーエラー警告装置に前方および/または後方に、車道の穿孔部に埋設さている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国実用新案第202009009000号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明は、車線を外れる前に単一軌道の自動車のドライバーに警告する方法に関し、
ビデオセンサによって少なくとも1つの車線境界が検出され、
自動車の参照点と車線境界との側方間隔が検出され、
自動車の傾斜を表す自動車の傾斜情報が検出され、
少なくとも側方間隔および傾斜情報に基づいて、自動車または搭乗者の一部が車線境界を越えていないかどうかが検出される。これにより、例えば自動二輪車のドライバーが対向車線にはみ出していることを検出することができ、これにより、対向車がいる場合に衝突を防止することができる。
【0005】
本発明の好ましい一実施形態は、ヘルメット上限と自動車の参照点との間の垂直方向間隔についての推定値が設定され、この場合、少なくとも側方間隔、傾斜情報および推定値に基づいて、搭乗者の一部が車線境界を超えているかどうかが検出されることを特徴とする。
【0006】
本発明の好ましい一実施形態は、参照点が、自動車に取り付けられたビデオカメラの位置またはビデオカメラ表面または内部の位置点であることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい一実施形態は、車線境界が、隣接する車線との境界であることを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態は、車道幅が検出され、隣接する車線との境界もしくは境界線を車道中央とすることを特徴とする。この実施形態は、車道中央がマークされていない場合に、特に適用される。
【0009】
本発明の好ましい一実施形態は、自動車または搭乗者もしくはドライバーの一部が車線境界を超えていることが検出された場合に、ドライバーもしくは搭乗者への警告が行われることを特徴とする。これにより、ドライバーは、例えば操舵動作により完全に自身の車線に戻るきっかけを得る。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態は、車線境界が、隣接する車線との境界であり、
ビデオセンサによって、隣接する車線に対向車または他の交通参加者がいるかどうかが検出され、
対向車または他の交通参加者が検出された場合にのみ、ドライバーもしくは搭乗者への警告が行われることを特徴とする。このことは、危険な状況においてのみドライバー警告が行われることを意味する。
【0011】
さらに本発明は、上記方法を実施するように構成された手段を含む装置、特に制御器を含む。このことは、方法を実施するためのプログラムコードがこの制御器もしくはこの装置に保存されていることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】車道および車道における単一軌道の自動車をドライバーもしくは搭乗者と共に示す断面図である。
【
図2】本発明による方法の実施形態の基本的なプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
二輪車ドライバーが自身の車線内でカーブを横断する場合、すなわち、二輪車のホイールがまだ自身の車線内に位置している場合でさえも、二輪車の傾斜に基づいてドライバーの上半身が隣接する車線に入り込む危険性がある。このようなことは、特に対向車を考慮する必要のある左カーブの場合には危険である。隣接する車線もしくは誤った車線を走行した場合に警告を行う既存の警告システムに対して代替的または補足的に、二輪車ドライバーが傾斜に基づいて隣接する車線に入り込んだ場合に二輪車ドライバーに警告することが本発明の課題である。ビデオシステムによって対向車が検出されたかどうかに応じて、警告の緊急性を高めることができる。本発明における前提は:
ビデオシステムが、二輪車に接続されているか、もしくは固定されており、車線マークを決定し、および/またはアスファルト境界に基づいて車道幅を検出すること、および
提供されている慣性センサもしくはビデオシステムによって傾斜情報を検出するか、もしくは傾斜を推定することが可能なことである。
【0015】
車道中央のマークが設けられている場合には、ビデオシステムの車線検出により、ビデオカメラと車道中央との側方間隔s
mがすぐにわかる。
【0016】
外側の車線マークのみが設けられているか、または車線マークが設けられていない場合には、車道中央までの側方間隔s
mは、ビデオシステムによって検出された車道幅b(外側の車線マークの間の間隔もしくはアスファルト境界の間の間隔)および車道s
a内におけるビデオカメラの位置によって決定することができる:s
m=b/2−s
a。提供されている傾斜情報φおよびビデオカメラとヘルメット上限との間隔hを用いて、条件sin(φ)・h≧s
mにより、車線を外れていることを検査し、適宜な警告を発信することができる。この場合、sin(φ)・h−s
mは、搭乗者が車線境界を超えている長さを示す。
【0017】
変数hは、自動車の平均的な、もしくは通常の着座位置に座っている平均的な体格のドライバーにおいて生じる所定の均一な推定値である。しかしながら、センサ手段によって変数hを検出することも可能である。この場合、hの値は、例えばドライバーの体格および着座姿勢に応じて変動する。
【0018】
使用される数学的変数が
図1に示されている:φは、車道と自動車の垂直軸との間の角
度を示し、bは車道全幅を示し、点線101は車道中央で車道102と交差している。s
aは、ビデオカメラ103と車道縁部との側方間隔を示し、s
mは、ビデオカメラと車道中央との側方間隔を示す。
【0019】
本発明による方法の実施形態の基本的なプロセスが
図2に示されている。ブロック200における方法の開始後に、ブロック201でビデオセンサによって車線境界が検出される。続いてブロック202で自動車の参照点と車道境界との側方間隔が検出される。参照点は、特にビデオカメラ自体であってもよいし、またはビデオカメラの一点であってもよい。ブロック203で、自動車の側方勾配もしくは傾斜を表す角度が検出され、続いてブロック204で、ブロック202および203において検出された変数に基づいて、自動車または搭乗者もしくはドライバーの一部が車線境界を越えているかどうかが検出される。車線境界を超えている場合には、ブロック205でドライバーもしくは搭乗者に警告が発信される。ブロック206で、本発明による方法は終了する。
(項目1)
車線を外れる前に単一軌道の自動車のドライバーに警告する方法において、
ビデオセンサ(103)によって、少なくとも1つの車線境界を検出し(102)、
自動車の参照点と車線境界との側方間隔(sm)を検出し(202)、
自動車の傾斜を表す傾斜情報(φ)を検出し(203)、
少なくとも側方間隔(sm)および傾斜情報(φ)に基づいて、自動車または搭乗者の一部が車線境界を越えていないかどうかを検出する(204)方法。
(項目2)
項目1に記載の方法において、
ヘルメット上限と自動車の参照点との間の垂直方向間隔についての推定値(h)を設定し、
少なくとも前記側方間隔(sm)、前記傾斜情報(φ)および前記推定値(h)に基づいて、搭乗者の一部が前記車線境界を超えているかどうかを検出する(204)方法。
(項目3)
項目1に記載の方法において、
前記参照点を、ビデオカメラ(103)の位置とする方法。
(項目4)
項目1に記載の方法において、
前記車線境界を、隣接する車線との境界とする方法。
(項目5)
項目4に記載の方法において、
車道幅(b)を検出し、隣接する車線との境界を車道中央とする方法。
(項目6)
項目1に記載の方法において、
自動車または搭乗者の一部が前記車線境界を超えていることが検出された場合に、搭乗者への警告を行う(205)方法。
(項目7)
項目6に記載の方法において、
前記車線境界を、隣接する車線との境界とし、
ビデオセンサ(103)によって、隣接する車線に対向車または他の交通参加者がいるかどうかを検出し、
対向車または他の交通参加者が検出された場合にのみ、搭乗者への警告を行う(205)方法。
(項目8)
項目1に記載の方法において、
前記傾斜情報(φ)を、車両の走行方向に対して垂直方向の車線表面(102)と、車両の垂直軸との間の角度とする方法。
(項目9)
上記方法を実施するように構成された手段を含む装置。