特許第6169768号(P6169768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169768
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】歯科用補綴の除去部材
(51)【国際特許分類】
   A61C 3/14 20060101AFI20170713BHJP
   A61C 3/16 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   A61C3/14
   A61C3/16
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-202868(P2016-202868)
(22)【出願日】2016年10月14日
(65)【公開番号】特開2017-104504(P2017-104504A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2016年10月14日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0173223
(32)【優先日】2015年12月7日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308039193
【氏名又は名称】株式会社フォレスト・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100114502
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】ユン チェルス
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02591451(US,A)
【文献】 特表2013−521089(JP,A)
【文献】 実開昭54−127043(JP,U)
【文献】 実開昭56−127420(JP,U)
【文献】 実開昭60−73510(JP,U)
【文献】 実開平03−098332(JP,U)
【文献】 特開平11−198060(JP,A)
【文献】 特開2015−10622(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1607227(KR,B1)
【文献】 国際公開第2016/080678(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 3/14
A61C 3/16
A61C 19/00
F16B 23/00
F16B 39/26
F16B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と、
回転圧迫部と、
下穴にめねじを加工するように構成されたおねじを有するネジ部と、
底面部と、
を備え、
前記頭部は、手作業用ハンドル機構に結合することができ、前記手作業用ハンドル機構の回転に応じて、その回転力を伝えることができる第1のヘッド及び第2のヘッドと、前記第1のヘッドと前記第2のヘッドとの間に存在する弾性ヘッドとを含んでいて、前記弾性ヘッドが前記手作業用ハンドル機構と前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドとの間の金属衝撃力を緩和させ、弾性結合力を補い、
前記回転圧迫部は、前記頭部の下端と接続されており、前記頭部に前記手作業用ハンドル機構が装着された状態で、前記手作業用ハンドル機構を、歯に補綴物が被せられる方向に力を加えて回転させる場合、前記補綴物と前記ネジ部との間にネジ結合を形成することができるように補助し、
前記ネジ部は、前記回転圧迫部の下端に接続されており、前記頭部に装着された前記手作業用ハンドル機構により回転される場合、前記補綴物の穴に挿入されて、前記穴にめねじを加工しながら、前記補綴物とのネジ結合を形成することになり、
前記底面部は、前記ネジ部の下端に接続されており、前記ネジ部の直径に比べて、より小さな直径を持っており、その下端面が平らな平面であるか、緩やかにラウンドさせ形成され、
前記頭部の前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドと、前記回転圧迫部と、前記ネジ部と、前記底面部とは、一部材に形成され、
前記頭部の最上段と前記底面部の最下段との間の全体の長さは8ミリメートル乃至30ミリメートルの範囲にあり、
前記頭部の長さは3ミリメートル乃至8ミリメートルの範囲にあり、
前記ネジ部の長さは4ミリメートル乃至20ミリメートルの範囲にあり、
前記回転圧迫部の外径の直径の長さは4ミリメートル乃至10ミリメートルの範囲にあることを特徴とする、歯科用補綴の除去部材。
【請求項2】
前記ネジ部の前記おねじは、前記めねじのピッチを0.15ミリメートル乃至0.6ミリメートルの範囲で形成するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の歯科用補綴の除去部材。
【請求項3】
前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドは、三角形、四角形、六角形、または八角形の形に形成され、
前記回転圧迫部は、その外径が円筒形であり、前記頭部と前記回転圧迫部とが接続された方向から見ると、前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドの外側に延在する段差を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯科用補綴の除去部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な歯科用補綴の除去部材に関するもので、より詳細には、歯の外面に被せられた補綴を複雑で面倒な機械器具を使用せずに、ユーザーが、周辺の歯に全く損傷を与えず、目的の対象となる歯に被せられた補綴だけ簡単かつ容易に除去することができる歯科用補綴の除去部材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、虫歯、または事故による外傷などの理由で破損して失われた歯を治療した後、その上に金や銀などの合金素材で補綴(クラウン)を被せて、元の歯の機能を回復させて使用している。
【0003】
これらの補綴は、患者のブラッシング習慣、食べ物を噛む習慣などにより、一定期間の寿命を持つようになって、その寿命期間が経過したり、新たに歯を矯正したり、治療が必要な場合、その歯にかぶせられた補綴を除去する必要性が提起されている。
【0004】
歯科治療において、補綴物を除去する必要がある場合には、歯の治療を受けなければならない患者の立場を細かく検討する必要がある。歯科治療では、肉体的精神的に健康な人が、正常な状態で歯科治療に臨むようになる。したがって、歯の患者は、歯の治療過程中に発生する痛みや、治療の過程中に発生されるドリル動作の騒音や、ドリル作業中に発生する各種の異物などをそのまま認知するようになり、小さな口腔内で行われる各種の機構とその使用方法などとを正常な状態でほぼそのまま認識することになる。この点で、患者と治療医師との間でかなりの程度の信頼関係が形成されており、歯科治療に使用される機械器具等が患者側に脅威として認識されていないことを確認し、歯科治療中に嫌悪感などを提供していてはいけないという点が非常に重要である。
【0005】
一方、歯に被せられた補綴を除去する方法はいろいろ存在している。
【0006】
従来は、主にハサミの形の鉗子を用いて補綴を持って回して取り外したり、フック型機構を利用して、補綴を上げる方法をとった。この方法は、補綴をもっと簡単に除去するために、回転切断ドリルを用いて、まず、前記補綴の上部を1字または十字に切開した後、前記ハサミの形の鉗子を使用するか、前記フック型器具を使用したりもした。
【0007】
しかし、このような方式を使用する場合は、前記鉗子と補綴の接触面や前記フックと補綴の接触面ですべりが発生することになるので、補綴が容易に抜けないようになって、過度の力を加えると、患者に不快感を与えたりする。また、目的の対象となる歯はすでに保持力が弱くなっているので、小さな力でも、その歯に損傷を与えることになって、ひどい場合には、予期せず、その歯が抜歯されてしまう場合もある。また、従来の方式の場合、患者の口腔内に傷をもたらす与えるされている現象もしばしば発生する問題があった。
【0008】
このような従来の方式とは異なり、補綴物にネジ部材を挿入させた後、そのネジ部材をさらに回転させて、歯から前記補綴物を軽く持ち上げるように補綴物を除去する方法が紹介されている。この方法は、韓国実用新案登録第20−432227号「油圧補綴物除去装置」と、同第20−432228号「補綴物除去装置」と、同特許登録第10−1090175号「歯科用補綴物の除去機」を通じ、当該技術分野に知られている。(図7aおよび図7bを参照)。
【0009】
しかしながら、前述の補綴物除去装置は、まさに多数の部品を機械的に結合させたものであって、患者の口腔内に入れて使用することができているのかどうかを確認することができない短所がある。また、たとえこれらのデバイスは、患者の口腔内に入ることができるといっても、歯の患者が、そのような装置を患者自身の口腔内に入れ送り治療を受けることができるよう許可することができるかどうかも保証することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国実用新案登録第20−432227号公報
【特許文献2】韓国実用新案登録第20−432228号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10−1090175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
歯科治療は、前述したように、精神的肉体的に正常な人々だけの歯の損傷を治療するために補綴物を除去するものであり、通常の歯の患者が、そのような器具を直接目で見たり、またはその治療の過程で感じる感触が重要であり、補綴物を除去する機械器具が脅威的な存在に感じられないように配慮することが何よりも重要である。
【0012】
そうであるにもかかわらず、従来の歯科用補綴物の除去機構は、これらの点を全く考慮していない欠点があった。
【0013】
本発明は、前述した問題点を解決するために創作されたものであって、本発明の目的は、歯の外面に被せられた補綴を複雑で面倒な機械器具を使用せずに、ユーザーが周辺の歯に全く損傷を与えず、目的対象となる歯に全く損傷を与えずに被せられた補綴だけ簡単かつ容易に除去することができる歯科用補綴の除去部材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による歯科用補綴の除去部材は、前述した技術的課題を解決するための手段として、頭部と、回転圧迫部と、下穴にめねじを加工するように構成されたおねじを有するネジ部と、底面部と、を備える。前記頭部は、手作業用ハンドル機構に結合することができ、前記手作業用ハンドル機構の回転に応じて、その回転力を下部に伝達する第1のヘッド及び第2のヘッドと、前記第1のヘッドと前記第2のヘッドとの間に存在する弾性ヘッドとを含んでいて、前記弾性ヘッドが前記手作業用ハンドル機構と前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドとの間の金属衝撃力を緩和させ、それらの間の弾性結合力を補う。前記回転圧迫部は、前記頭部の下端と接続されており、前記頭部に前記手作業用ハンドル機構が装着された状態で、前記手作業用ハンドル機構を回転させる場合、歯に補綴物が被せられる方向に力を加えて前記補綴物と前記ネジ部との間にネジ結合を形成することができるように補助してくれる。前記ネジ部は、前記回転圧迫部の下端に接続されており、前記頭部に装着された前記手作業用ハンドル機構により回転される場合、前記補綴物の穴に挿入されて、前記穴にめねじを加工しながら、前記補綴物とのネジ結合を形成することになる。前記底面部は、前記ネジ部の下端に接続されており、前記ネジ部の直径に比べて、より小さな直径を持っており、その下端面が平らな平面であるか、緩やかにラウンドを形成した曲面で形成される。前記頭部の前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドと、前記回転圧迫部と、前記ネジ部と、前記底面部とは、一部材に形成される。前記頭部の最上段と前記底面部の最下段の間の長さは8ミリメートル乃至30ミリメートルの範囲にあり、前記頭部の長さは3ミリメートル乃至8ミリメートルの範囲にあり、前記ネジ部の長さは、4ミリメートル乃至20ミリメートルの範囲にあり、前記回転圧迫部の直径の長さは4ミリメートル乃至10ミリメートルの範囲にある。
【0015】
好ましくは、前記ネジ部の前記おねじは、前記めねじのピッチを0.15ミリメートル乃至0.6ミリメートルの範囲で形成するように構成されている。
好ましくは、前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドは、三角形、四角形、六角形、または八角形の形に形成される。前記回転圧迫部は、その外径が円筒形であり、前記頭部と前記回転圧迫部とが接続された方向から見ると、前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドの外側に延在する段差を含む。
【0016】
本発明は、治療対象となる歯にかぶせられた補綴物にネジ結合を形成し、続いて前記歯と前記補綴物との間の結合をネジ結合による反作用的に克服して、前記補綴物を軽く離した後、本発明の歯科用補綴の除去部材を持ち上げることにより、歯の補綴物を簡単かつ容易に分離して除去することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による歯科用補綴の除去部材は、ユーザーが歯患者の口腔内に入れて、補綴物の挿入させた状態で、手作業用ハンドル機構を徐々に回してやるだけで、前記補綴物が歯から自然に剥離されて、その状態で、本発明の歯科用補綴の除去部材を軽く持ち上げると、歯から前記補綴物が軽く離脱されることになる利点がある。
【0018】
また、本発明は、通常のスクリューと同じくらい非常に小さく形成されているものであって、歯の患者が、本発明の製品を直接目で見た場合にも、どのような脅威的な感情や拒否感も感じない利点もある。
【0019】
また、本発明は、患者の歯補綴物に挿入させた状態で、ユーザーが手で徐々に回してやるだけされるため、歯の患者にどのような傷も与えなくなり、他の歯や口腔内にどのような形の損傷や傷とを与えなくなるので、ユーザー側でも安全に使用できる利点もあるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明による歯科用補綴の除去部材の概略的な斜視図である。
図2図2は、本発明による歯科用補綴の除去部材の分解状態斜視図である。
図3a図3aは、本発明による歯科用補綴の除去部材の断面図である。
図3b図3bは、本発明による歯科用補綴の除去部材の他の実施形態断面図である。
図4a図4aは、本発明による歯科用補綴の除去部材の実施状態例示図である。
図4b図4bは、本発明による歯科用補綴の除去部材の他の実施状況の例示図である。
図5a図5aは、本発明を利用して、補綴を削除する順次概略図である。
図5b図5bは、本発明を利用して、補綴を削除する順次概略図である。
図5c図5cは、本発明を利用して、補綴を削除する順次概略図である。
図6図6は、本発明による歯科用補綴の除去部材を製造する段階を示した概略的なブロック図である。
図7a図7aは、従来の歯科用補綴を削除する機構に関する概略図である。
図7b図7bは、従来の歯科用補綴を削除する機構に関する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施例を例示図面に基づいて詳細に説明する。ただし、添付された図面は、本発明の技術思想をより詳細に説明するためのものだけであり、本発明の技術思想がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能であることを事前に明らかにしておく。また、この技術分野で広く知られており、誰でも簡単に知ることができる部分については、具体的な説明を省略する。
【0022】
本発明は、歯の外面に被せられた補綴を簡単かつ容易に分離除去することができる歯科用補綴の除去部材100を提供する。
【0023】
図1は、本発明による歯科用補綴の除去部材100を概略的に示す斜視図であり、図2は、前記図1の歯科用補綴の除去部材100を弾性ヘッド116と分離させた状態を示した分解状態斜視図である。
【0024】
また、図3aは、本発明による歯科用補綴の除去部材100を切開した断面図であり、図3bは、前記図3aの他の実施例を示したものであって、ネジ部130を少し変更させた状態を示している。
【0025】
本発明による歯科用補綴の除去部材100は、手作業用ハンドル機構10に結合することができる頭部110を含んでいる。
【0026】
前記頭部110は、手作業用ハンドル機構10に結合することができるものであって、第一の上部にある第1のヘッド112とその下部にある第2のヘッド114を含んでおり、前記第1ヘッド112と前記第2のヘッド114の間には、弾性ヘッド116を含んでいる。本発明において、前記手作業用ハンドル機構10とは、ユーザーが手で直接取った状態で、前記第1のヘッド112と第2のヘッド114と弾性ヘッド116とを結合させて回動させることができる機構として、その機構を手で作動させることができるハンドルキーまたはラッチ部材などを意味する。したがって、本発明は、先行技術において提供している複雑な機械装置を使用する必要が全くない。
【0027】
前記第1のヘッド112は、本発明の歯科用補綴の除去部材100の最上段に位置し、前記手作業用ハンドル機構10に結合することができる三角形、四角形、六角形、または八角形の形に形成することが望ましい。
【0028】
前記第2のヘッド114は、やはり前記第1のヘッド112と同じ形状に製作する必要があり、前記第1のヘッド112と手作業用ハンドル機構10との間の結合力を補う接触のために必要である。前記第1のヘッド112と前記第2のヘッド114の形状が異なる場合には、前記ハンドル機構10に結合することができる領域が前記第1のヘッド112に限定されるので、望ましくない。
【0029】
前記弾性ヘッド116は、前記第1のヘッド112と前記第2のヘッド114との間に存在して、前記第1のヘッド112と前記第2のヘッド114とを互いに分割することになる。この点では、前記弾性ヘッド116は、前記手作業用ハンドル機構10と前記第1のヘッド112と前記第2のヘッド114との間の接触面積を減らして相互間の結合力を弱化させる側面があるが、一方では、前記手作業用ハンドル機構10を使用して回転力を伝達することになる場合、前記第1のヘッド112と前記第2のヘッド114との間で発生する金属の衝撃を緩和させてくれる利点を提供することになる。これにより、患者の歯に伝達される金属衝撃力を緩和させて、患者にとって、治療の過程中に快適な感情を維持させてくれることができるようになる。また、前記弾性ヘッド116は、手作業用ハンドル機構10を前記第1のヘッド112と前記第2のヘッド114とに挿入させて結合する場合、エラストマーの作用で、本発明の歯科用補綴の除去部材100が前記手作業用ハンドル機構10から離れていくのを防止することになる。
【0030】
したがって、前記弾性ヘッド116は、前記手作業用ハンドル機構10と前記第1のヘッド112及び第2のヘッド114との間の金属衝撃力を緩和させ、それらの間の弾性結合力を補充してくれる機能を遂行するものである。
【0031】
前記頭部110は、上下間の全体的な長さ(h1)が前記第1のヘッド112と前記第2のヘッド114と、前記弾性ヘッド116を含む3ミリメートル乃至8ミリメートルの範囲にあることが望ましい。前記頭部110の全体的な長さ(h1)が3ミリメートル以下の場合には、その接触面積が少なすぎて、前記手作業用ハンドル機構10とよく結合されなかった一方で、前記頭部110の長さ(h1)が8ミリメートル以上の場合には、本発明の全体的な長さ(h4)を相対的に増やしてくれ、また、前記手作業用ハンドル機構10との結合部位が大きすぎて望ましくない。
【0032】
本発明は、前記頭部110の底部に接続されている回転圧迫部120を含んでいる。
【0033】
前記回転圧迫部120は、前記頭部110とネジ部130の間に存在し、前記頭部110から伝達された回転力を、その下方に続くネジ部130に伝達してくれるようになる。すなわち、前記回転圧迫部120は、前記手作業用ハンドル機構10が継続して下の歯の方向に下がることを防止するストッパーとしての機能を遂行すると同時に、前記手作業用ハンドル機構10によって、下の歯の方向に加わる加圧力をネジ部130に伝達する機能を実行することで、さらに具体化される。前記ストッパーとしての機能と加圧力の伝達機能とは、前記回転圧迫部120の上部に位置する段差122を介して行われる。したがって、前記回転圧迫部120は、前記手作業用ハンドル機構10を回転させながら下方に圧力を加える場合、前記回転力と前記加圧力は、前記段差122にそのまま伝達される。前記回転圧迫部120は、補綴物20とネジ部130との間にネジ結合を形成することができるように補助してくれる。本発明では、前記「ネジ結合を補助してくれる」とは、前記回転圧迫部120が直接ネジ結合を形成することはありませんが、前記回転圧迫部120を介して伝達される回転力と加圧力とによって、前記ネジ部130が、前記補綴物20に対してネジ結合を形成することができる力を提供してくれることをいう。
【0034】
前記回転圧迫部120は、その外径が円筒形で行われたものであり、本発明において最も大きな外径を持っている部分である。前記回転圧迫部120の直径は4ミリメートル乃至10ミリメートルの範囲に属することが望ましい。前記回転圧迫部120の直径が4ミリメートル以下である場合には、小さすぎてユーザー(歯科医師など)が手に把持して作業をしにくく、また、前記ネジ部130の直径に否定的な影響を与えるので、望ましくはない。すなわち、後者の場合、前記ネジ部130の直径は、前記回転圧迫部130の直径よりも小さく形成されるべきが、前記ネジ部130の直径が小さすぎる形成なると、たとえネジ部130と補綴物20が互いにネジ結合を形成しても、そのネジ結合による結合力が弱くなっているからである。一方、前記回転圧迫部120の直径が10ミリメートル以上の場合には、歯科用補綴の除去部材100が相対的に大きくなって、ユーザー(歯科医師など)が手に把持して操作するのに負担を与えることになり、また、周辺の歯に対して否定的な影響を与える可能性がありますので、望ましいものではない。
【0035】
本発明は、前記回転圧迫部120の底部に接続されているネジ部130を含んでいる。
【0036】
前記ネジ部130は、前記回転圧迫部120の底部に接続されており、前記手作業用ハンドル機構10により回転される場合、前記補綴物20の穴22に挿入されて、前記補綴物20とネジ結合を形成することになる。ユーザーが前記手作業用ハンドル機構10を前記頭部110に結合させて、左または右に回転させると、前記ネジ部130は、回転しながら、前記補綴物20にネジ結合を形成することになる。この際、前記ネジ部130は、補綴物20にネジ結合を形成することになるが、前記補綴物20の材質とその厚さによって大きく影響を受けることになる。前記補綴物20は、通常、銀や金やタングステンなどの金属材料で構成されているが、その厚さは、1ミリメートルから2ミリメートルを成しているものがほとんどである。
【0037】
前記ネジ部130は、前記補綴物20とのネジ結合を効率的かつ安全に達成するために、ネジとネジとの間のピッチを0.15ミリメートル乃至0.6ミリメートルの範囲で形成することが望ましい。前記ネジのピッチを0.15ミリメートル以下に形成する場合にはネジのピッチが非常に密して前記補綴物20とのネジ結合時、その結合力が弱くなりますので望ましくない。前記ネジのピッチを0.6ミリメートル以上で形成する場合には、前記補綴物20との組み合わせで、互いにかみ合うネジ山の数が少なくなりますので、やはりネジ結合力が弱くなりますので望ましくない。例えば、前記補綴物20の厚さが約1ミリメートルであり、前記ネジのピッチが0.6ミリメートルの場合に約1回程度にとどまり、十分な結合力を提供することができない。前記ネジ部130は、下から上に上がりながら、その直径がより大きく形成されることが望ましい。
【0038】
前記ネジ部130は、前記補綴物20とのネジ結合を効率的かつ安全に達成するために、ネジ部の全体の長さ(h2)を4ミリメートル乃至20ミリメートルの範囲で形成することが望ましい。前記ネジ部の全体の長さ(h2)が4ミリメートル以下の場合には、前記補綴物20との結合力が弱い恐れがあるので望ましくない。
【0039】
前記ネジ部の全体の長さ(h2)は、治療対象となる歯30と前記補綴物20との間の深さと密接な関係を持っている。通常補綴物20の除去は、すでに歯30に被せられた状態で行われるようにされ、前記補綴物20を前記歯30の表面に直接重ね貼りする事例もあるが、場合によっては、前記歯30の表面にセメントなどの充填物を詰め、その充填物上に前記補綴物20を形成する事例も存在する。このような場合、前記充填物の深さが4ミリメートル乃至5ミリメートルに至る事例も存在することになりますので、そのような深さを考えると、前記ネジ部の全体の長さ(h2)が4ミリメートル以下であっては困る。
【0040】
また、前記ネジ部の全体の長さ(h2)は、前記補綴物20の厚さとも密接な関係を持っている。前記補綴物20は、通常、金や銀やタングステンなどで形成されているが、その厚さは、1ミリメートル乃至2ミリメートルの範囲内にある。この際、前記ネジ部130のネジ山が1ミリメートル乃至2ミリメートルの厚さの補綴物20に直接ネジ結合を形成しなければならなので、前記ネジ部の長さ(h2)が4ミリメートル以下の場合には、正常に前記補綴物20に結合されてネジ結合を形成しにくくなる。もし、歯30に充填物が満たされており、その上に補綴物20が形成されている場合には、底面部140の長さ(h3)によって、前記ネジ部130の位置が前記補綴物20の位置に対応することになるので、本発明は、いかなる場合にも、前記ネジ部130と前記補綴物20とは、互いにネジ結合を形成することになる。
【0041】
一方、前記ネジ部の全体の長さ(h2)が20ミリメートル以上の場合には、ネジ部130と補綴物20との間の結合関係により改善された結果をもたらすわけでもなく、全体的な長さ(h4)だけ大きくしているので、望ましいものではない。
【0042】
本発明は、前記ネジ部130の底部に接続されている底面部140を含んでいる。
【0043】
前記底面部140は、前記ネジ部130の底部に接続されており、前記ネジ部130の直径に比べて、より小さな直径を持っており、その下端面が平らな平面であるか、歯の方向に緩やかにラウンドを形成する曲面である。
【0044】
前記底面部140は、前記手作業用ハンドル機構10を継続的に回転させて、本発明の歯科用補綴の除去部材100が、前記歯30の表面に触れた場合、これ以上進行しないようにして、前記歯30の表面からアイドリングをするようにすることにより、前記ネジ部130と前記補綴物20とは、ネジ結合力により前記補綴物20を少し上に持ち上げることになる。この場合、前記歯30の表面に接着されていた前記補綴物20が前記歯30から離れることになる。一般的に、前記歯30の表面は、最初の歯の矯正や治療の際に平らに切削してくれますが、その表面が必ずしも平らとすることがでないので、前記底面部140の先端をラウンド形状の曲面に形成することがより好ましい。
【0045】
前記底面部140の長さ(h3)は、前記ネジ部130で延長された状態で、その先端を平らに形成したり、緩やかにラウンドさせ形成することができる。この点では、前記底面部140の長さ(h3)は、0.1ミリメートル乃至8ミリメートルの範囲で形成することが望ましい。しかしながら、前記底面部140の長さ(h3)は、必ず、前記長さに限定される必要はなく、増減が可能である。
【0046】
本発明は、前記頭部110の最上段と前記底面部140の最下段の間の全体の長さ(h4)が8ミリメートル乃至30ミリメートルの範囲にあることが望ましい。前記全長(h4)は、歯の患者の口腔内に入って歯30に挿入することができ、また、手作業用ハンドル機構10を結合させて返すことができなければならない。一方、歯の患者には口腔を大きくしすぎるなどの負担を与えてはいない。したがって、前記全長(h4)が30ミリメートル以上の場合には、口腔内に挿入して作業を進めにくくまた、歯の患者に相当な負担を与える側面があるので、望ましくない。また、前記全長(h4)が8ミリメートル以下の場合には、前記頭部110の長さ(h1)と前記ネジ部130の長さ(h2)とを十分に確保することが困難な側面があるので、望ましくない。もっと好ましくは、前記全長(h4)が12ミリメートル乃至20ミリメートルの範囲である。これらの範囲内で、前記各構成要素の長さは、患者の年齢、性別、口腔の構造ないしサイズなどの状況に応じて適切に選択して決定することができる。
【0047】
また、本発明は、前記歯科用補綴の除去部材100を製造する方法を提供する。
【0048】
図6は、本発明による歯科用補綴の除去部材を製造する段階を示した概略的なブロック図である。
【0049】
本発明による歯科用補綴の除去部材100の製造方法は、原材料である金属材料の鋼棒から頭部110を形成する頭部の第1の加工段階(S210)を含んでいる。
【0050】
前記頭部の第1の加工段階(S210)は、原材料である金属材料の鋼棒をコンピュータ制御方式で動作する複合機に装着し、その鋼棒の直径を4ミリメートル乃至10ミリメートルの範囲で形成することにより開始される。前記鋼棒は旋盤加工によって、その外周面が平滑で滑らかに形成される。前記旋盤加工作業が完了したら、前記鋼棒の直径は、前記回転圧迫部120の直径を成すようになって、前記鋼棒の外周面は、前記回転圧迫部120の平滑な外周面を形成することになる。
【0051】
前記頭部の第1の加工段階(S210)は、前記旋盤作業を停止し、前記鋼棒の先端部分にブレードを利用して、ミーリング加工によって頭部110を形成するが、前記頭部110の長さ(h1)を3ミリメートル乃至8ミリメートルの範囲で形成する。このとき、前記ブレードは、工作機械の加工分野では周知されて慣用的に使用されているので、別途表記していなかった。
【0052】
本発明による歯科用補綴の除去部材100の製造方法は、前記ミーリング加工作業を停止し、切断オフを利用して、旋盤加工により前記頭部110の中央部に弾性体の結合溝118を形成する頭部の第2加工段階(S220)を含んでいる。
【0053】
前記頭部の第2加工段階(S220)は、前記頭部110を2つの部分に分割する作業であり、その分割された部分に弾性体の結合溝118を形成することになる。これらの操作は、切断オフを利用して、旋盤加工によって行われる。前記弾性体の結合溝118は、ゴム材質またはシリコン材質のように弾性を提供する材料からなる弾性体を挿入させてくれる部分である。弾性体が挿入される場合、前記弾性体の結合溝118は、弾性ヘッド116を形成する用途に活用することができる。この時、前記切断オフの場合でも、工作機械の加工分野では周知されて慣用的に使用されているので、別途表記していなかった。
【0054】
本発明による歯科用補綴の除去部材100の製造方法は、前記切断オフの動作を停止し、第2の切断オフを回転圧迫部120の底部から底面部140に至るまでなだらかな傾斜をなして旋盤作業を継続するテーパ加工段階(S230)を含んでいる。
【0055】
前記テーパ加工段階(S230)は、旋盤加工を継続しながら、第2の切断オフを利用して、前記頭部110の下部から1ミリメートル乃至5ミリメートルの長さだけ離間させて緩やかな傾斜面133を形成する作業である。前記テーパ加工段階(S230)を終えると、回転圧迫部120を形成するとともに、ネジ部130を形成することができる傾斜面133を提供することになる。この時、前記第2の切断オフの場合でも、工作機械の加工分野では周知されて慣用的に使用されているので、これも別途表記していなかった。
【0056】
本発明による歯科用補綴の除去部材100の製造方法は、前記第2の切断オフの作業を停止し、旋盤作業を継続しながら、前記傾斜面133にネジ山を形成するネジ山形成段階(S240)を含んでいる。
【0057】
前記ネジ山形成段階(S240)は、通常の方法で、前記傾斜面133にネジ山を形成するが、前記ネジ山のピッチを0.15ミリメートル乃至0.6ミリメートルの範囲で形成するのが良い。前記ネジ山のピッチを0.15ミリメートル以下の範囲で形成する場合には、あまりにも微細で補綴物20との結合力が弱まることができる一方で、0.6ミリメートル以上の範囲で形成する場合にも、前記補綴物20と結合されているネジ山の数が少なく、前記補綴物20との結合力が弱く望ましいものではない。
【0058】
また、前記ネジ山形成段階(S240)は、ネジ部130の全体の長さ(h2)を4ミリメートル乃至20ミリメートルの範囲で形成することが望ましい。その理由については、すでに詳細に説明したので、これを省略することにする。
【0059】
本発明による歯科用補綴の除去部材100の製造方法は、前記旋盤作業を継続しながら、前記ネジ部130の底部に接続された底面部140を形成する底面部形成段階(S250)が含まれている。
【0060】
前記底面部形成段階(S250)は、ネジ部130で延長された部位を旋盤加工によって平らな外周面に形成し、その先端を平らに形成したり、緩やかにラウンドさせ形成する段階である。前記底面部形成段階(S250)を完了すると、前記底面部140は、円形の棒形状に構成されており、その先端は平らに形成されていたり、緩やかにラウンドさせ形成されているようになる。
【0061】
本発明による歯科用補綴の除去部材100の製造方法は、前記各種製造段階をそれぞれその逆の順序で進行して行うこともできる。
【0062】
このような方法で製造された本発明の歯科用補綴の除去部材100は、次のような方法で、歯の外面に被せられた補綴物20を簡単かつ容易に除去することができる。
【0063】
図4aは、本発明による歯科用補綴の除去部材100の実施状況例示図であり、図4bは、前記歯科用補綴の除去部材100の他の実施状況の例示図であり、図5a〜図5cは、本発明を利用して、補綴を除去する過程を順次示した概略図である。
【0064】
まず、治療対象となる歯30の外部に被せられた補綴物20に小さな穴22を形成する。前記小孔22は、一般的に使われている治工具によって形成することができる。
【0065】
前記補綴物20の小さな穴22に、本発明の歯科用補綴の除去部材100の底部を挿入させる。この場合、前記底面部140が挿入される。
【0066】
前記頭部110に前記手作業ハンドル機構10を結合させて、前記手作業ハンドル機構10を左方向または右方向に徐々に回しながら下に向かって少し力を加える。前記手作業ハンドル機構10により、本発明の歯科用補綴の除去部材100が回転するようになり、前記ネジ部130が、前記補綴物20にネジ結合を形成しながら下方に徐々に下りて、前記底面部140が歯30の表面に触れるようになる。
【0067】
前記底面部140が歯30の表面に触れた状態で、前記手作業ハンドル機構10を徐々にさらに回すと、前記ネジ部130に結合されていた前記補綴物20が、前記歯30から少し浮き上がり、剥離されて、もう少し回すと、前記補綴物20が、ほぼ歯30から分離される。
【0068】
この時、本発明による歯科用補綴の除去部材100を軽く持ち上げるようにすれば、前記補綴物20は、自ら前記歯30から分離されて、簡単かつ容易に、前記歯30から除去される。
【0069】
このように、本発明は、複雑でなく、簡単な治療のためのツールを使用することにより、歯科治療を受けようとする患者に嫌悪感を全く与えない、実際に使用する過程でもどのようなノイズや痛みも誘発させない利点がある。また、本発明は、ユーザー(歯科医師)が直接手で操作することになりますので、患者が安心して治療に臨むことができるメリットもある。
【0070】
以上で、本発明による歯科用補綴の除去部材100及びその製造方法を具体的に説明したが、これは本発明の最も好ましい実施形態を記載したものであり、本発明がこれに限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によってその範囲が決定され限定される。
【0071】
また、この技術分野で通常の知識を有する者であれば、誰でも、本発明の明細書の記載内容によって様々な変形及び模倣を行うことができることや、これも本発明の範囲を外れたことでないことは明らかである。
【符号の説明】
【0072】
10:手作業ハンドル機構
20:補綴物
22:小さな穴
30:歯
100:歯科用補綴の除去部材(本発明)
110:頭部
112:第1のヘッド
114:第2のヘッド
116:弾性ヘッド
118:エラストマー結合溝
120:回転圧迫部
130:ネジ部
140:底面部
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b