(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6169774
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】集配システム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20170713BHJP
G06Q 10/08 20120101ALI20170713BHJP
【FI】
B65G61/00 210
B65G61/00ZJR
G06Q10/08 300
B65G61/00 422
B65G61/00 542
G06Q10/08 330
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-247428(P2016-247428)
(22)【出願日】2016年12月21日
【審査請求日】2017年4月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500096754
【氏名又は名称】株式会社キシ・トレーディング
(74)【代理人】
【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有
(72)【発明者】
【氏名】岸 健司
【審査官】
中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−244135(JP,A)
【文献】
特開平10−221104(JP,A)
【文献】
特表2016−515082(JP,A)
【文献】
特開2004−213466(JP,A)
【文献】
特開2012−131596(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/092860(WO,A1)
【文献】
特開2002−251436(JP,A)
【文献】
特開2002−288562(JP,A)
【文献】
特開2009−020608(JP,A)
【文献】
特表2002−509631(JP,A)
【文献】
特開平04−257889(JP,A)
【文献】
特開2007−246223(JP,A)
【文献】
特開2003−020120(JP,A)
【文献】
特開2005−138951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06F 19/00
G06Q 10/00−10/10
G06Q 30/00−30/08
G06Q 50/00−50/20
G06Q 50/26−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの消費地に少なくとも1つのエリアを設定し、エリアごとにコントロールセンターのコンピュータで在庫管理、荷物の集配指令及び顧客の位置情報の取得を行う集配システムであって、
前記在庫管理は、エリアごとに登録された小売店舗から在庫商品のICタグをリーダにて読み込んだ情報がコントロールセンターのコンピュータに送信され、コントロールセンターは送信された情報に基づいてエリアごとの在庫商品を一括管理し、
前記荷物の集配指令は、コントロールセンターが受信した顧客からの注文内容と、複数の顧客の集配の順番とを集配人に発信し、
前記顧客の位置情報の取得は、無線またはモバイルネットワークを利用した位置情報サービスの対象となっている顧客が所有するスマートホンなどの発信器からインターネットを介してコントロールセンターのコンピュータに送信される位置情報を取得し、取得した位置情報が各エリアごとに設置される受け渡しブースまでの距離が設定した値以下になった時点で、前記顧客の発注時刻が他の顧客の発注時刻よりも後の場合であっても、前記顧客が注文した商品を先に集めて前記受け渡しブースに優先して持ちこむことを特徴とする集配システム。
【請求項2】
請求項1に記載の集配システムにおいて、前記エリア内の小売店舗は免税店のみを対象とすることを特徴とする集配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売業に共通する全ての物流サービスを最適化した集配システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売業と消費者を結び付ける買い物代行サービスとして、特許文献1〜4に開示される内容が提案されている。
【0003】
特許文献1には、エリア分割型配送計画作成システムとして、荷物を輸送車両に割り当てるにあたり、当該輸送車両に既に割り当てられている荷物があり、この荷物の集配先拠点とこれから積み込む予定の荷物の集配先拠点との両方が属するエリアが存在することを、当該積み込み予定の荷物をその輸送車両に割り当てることができる必要条件とすることで、効率のよい集配が行えるシステム提案されている。
【0004】
特許文献2には、顧客に代わってコンピュータネットワークの商品情報を検索し、顧客の条件を満たす商品を見つけてその情報を顧客に転送するシステムが提案されている。
【0005】
特許文献3には、買い物代行システムとして、高齢者などから依頼された買い物代行者が店のレジで品物の代金を支払い、その後、レジとは別の場所で店舗から買い物代行の料金を受け取るシステムが提案されている。
【0006】
従来の買物代行宅配サービス処理システムは、商品受注時に機能する受注システムと、商品売上時に機能するPOSシステムとが別系統になっていた。このため、商品受注時にパソコンに入力した受注商品の商品コードや注文数量を、商品の配達を終えた後に再度POSターミナルに入力しなければならない面倒があった。これを改善するため特許文献4には、携帯型のデータ入力装置と、レシート印字手段を有したPOS装置とで買物代行宅配サービス処理システムを構成する内容が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−119127号公報
【特許文献2】特開2001−297214号公報
【特許文献3】特開2013−182527号公報
【特許文献4】特開2003−187097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
物流サービスを最適化する手法としては上記したように各種の提案がなされているが、東京などの1つの大きな消費地域に少なくとも1つのエリアを設定し、エリアごとに在庫管理、荷物の集配指令及び顧客の位置情報の取得を行い、且つこれら在庫管理、集配指令及び位置情報を有機的に結合した提案はなされていない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、在庫管理、荷物の集配指令及び顧客の位置情報の取得を所定の地域ごとに行うことで、管理や集配の無駄をなくし、小売店舗と顧客の双方にとって極めて便利な集配システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため本発明に係る集配システムは、東京などの広大な1つの消費地に少なくとも1つのエリアを設定し、エリアごとにコントロールセンターのコンピュータで在庫管理、荷物の集配指令及び顧客の位置情報の取得を行うことを前提とし、前記在庫管理については、エリアごとに登録された小売店舗から在庫商品のICタグをリーダにて読み込んだ情報がコントロールセンターのコンピュータに送信され、コントロールセンターは送信された情報に基づいてエリアごとの在庫商品を一括管理し、前記荷物の集配指令については、コントロールセンターが受信した顧客からの注文内容と、複数の顧客の集配の順番を集配人に発信し、前記顧客の位置情報の取得については、無線またはモバイルネットワークを利用した位置情報サービスの対象となっている顧客が所有するスマートホンなどの発信器からインターネットを介してコントロールセンターのコンピュータに送信される位置情報を取得し、取得した位置情報が各エリアごとに設置される受け渡しブースまでの距離が設定した値以下になった時点で、当該顧客の注文を他の顧客よりも優先するようにした。
【0011】
前記無線またはモバイルネットワークを利用した位置情報サービスとしてはGPSやwifiなどが挙げられる。
また、顧客の注文を他の顧客よりも優先する内容としては、未だ集配が終わってない場合には集配人にその旨を発信し、既に集配が終わっている場合には、受渡しブースにおける位置を受け取り易い位置に移動したり、顧客のスマートホンなどに受渡し準備が完了していることを通知する。
【0012】
前記1つのエリアでまとめる小売店舗としては、関連性を持たせたものとすることができる。例えば免税店のみを1つのエリア内の小売店舗としたり、食料品や衣料品ごとに1つのエリアで括るようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る集配システムによれば、エリア内に出店した小売店舗にとっては、顧客の獲得がスムーズになって収益向上に役立ち、消費者にとっては自分自身が店舗を廻ることなく、複数のほしい商品を短時間のうちに1カ所(受渡しブース)に集めることができるため、便利である。
【0014】
また、インターネットを利用した通販では注文してから品物を受け取るのが翌日或いは更に遅くなることがあるが、本発明によれば、注文した品をその日の仕事帰りにピックアップして帰宅することができ、都心で働く者や当該エリアに別の用事があって来た者にとって極めて便利である
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る集配システムの全体構成を説明した図
【
図4】エリア内の小売店舗と受け渡しブースを示した図
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明に係る集配システムは、コントロールセンターに設置されるコンピュータ1と、このコンピュータ1と情報の通信を行うインターネット2と、インターネットを介してコントロールセンターのコンピュータ1と在庫情報を送受信する小売店舗S1…のコンピュータと、GPSやwifiなどによる顧客P1…の位置情報をインターネット2を介してコントロールセンターのコンピュータ1に発信するスマートホンなどの発信装置3から構成される。
【0017】
コントロールセンターのコンピュータ1は、小売店舗S1…及び顧客P1…との送受信の他に、在庫管理、荷物の集配の手配及び顧客の位置情報の取得を行う。そして、在庫管理、荷物の集配の手配については1つの大きな消費地に少なくとも1つのエリアを設定し、エリアを基準として在庫管理などを行う。
【0018】
図2及び
図3はエリアの設定の一例を示すものであり、
図2は地図と重ねて、
図3はエリアA1〜A7の境界線のみを示している。本実施例では道路をエリアA1〜A7の境界線としているが、緯度、経度に沿って碁盤目状にエリアを分割してもよい。
また、実施例ではエリア同士が隣接しているが、例えば新宿エリアと銀座エリアの2つを点在するように設定してもよい。
【0019】
図4に示すように、1つのエリアA5には本システムに登録された複数の小売店舗S1〜S4が存在し、また1つのエリアA5の例えば略中心部に荷物の受け渡しブースBが設置されている。受け渡しブースBとしては、電車で来る顧客(仕事帰りなど)が持ち帰りやすいように、駅近くや駅内部に設置することが好ましい。尚、車を利用する顧客用に駐車場の一部に設置することも考えられる。
【0020】
小売店舗S1〜S4は自店舗の在庫商品の情報をインターネット2を介して、コントロールセンターのコンピュータ1に送る。具体的には在庫商品に付けられたICタグをリーダで読み、読み込んだ情報(小売店舗名、商品のID番号、商品名、製造者、製造年月日など)をリーダから発信する。
【0021】
インターネット2を介してリーダからの在庫情報を受信したコントロールセンターでは、他の小売店舗からの情報も含め一元管理し、在庫情報として顧客に発信する。
【0022】
コントロールセンターからの在庫情報をコンピュータ或いはスマートホン等で受信した顧客が、自分が購入したい商品をエリア内で選択し、その内容をコントロールセンターに発注する。
【0023】
顧客からの注文は集配の優先度をコントロールセンターにて付して集配人に送信する。優先度は注文を受けた時間の早い順にするのが原則であるが、コントロールセンターからの指示により当該順番を変更することが可能となっている。
【0024】
集配の順番を変更する例として、顧客の位置情報がある。
図5に示すように、受け渡しブースBを中心とした所定半径の円を設定し、この円の中に顧客P2が入ったことを顧客が登録したスマートホンや自動車が発する位置情報により確認したら、発注時刻は顧客P1が先であっても、
集配の順番を入れ替え、顧客P2が注文した商品を先に集めて受け渡しブースBに持ちこむ。
【0025】
また、受け渡しブースのwifiを利用して得る顧客の位置情報は、顧客が受け渡しブースにかなり近づいてから得られる情報である。この場合には、既に受け渡しの準備が完了しているか否かの情報を顧客のスマートホンに発信する。
【0026】
実施例では受け渡しブースBで顧客に商品を渡すのを原則とするが、受け渡しブースBから自宅や宿泊しているホテルなどに転送するシステムを付加することもできる。
また1つのエリア内で集めた商品をエリア外、例えば空港に設置した受け渡しブースBに配送するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る集配システムは、集配人が自転車や自動車によって小売り店舗を廻って注文品を集めるだけでなく、地下鉄やバスなどの公共の交通機関を利用して集配人が注文品を集める場合にも利用できる。
【符号の説明】
【0028】
1…コントロールセンターのコンピュータ、2…インターネット、3…スマートホンなどの発信装置、A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7…エリア、B…受け渡しブース、P1,P2…顧客、S1,S2,S3,S4…小売店舗。
【要約】 (修正有)
【課題】小売店舗と顧客の双方にとって極めて収益性が高く、便利な集配システムを提供する。
【解決手段】コントロールセンターは小売店舗から送信された情報に基づいてエリアごとの在庫商品を一括管理し、顧客からの注文内容と、複数の顧客の集配の順番とを集配人に発信し、顧客が所有するスマートホンなどから取得した位置情報が各エリアごとに設置される受け渡しブースまでの距離が設定した値以下になった時点で、当該顧客の注文を他の顧客よりも優先する。
【選択図】
図1