特許第6169801号(P6169801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169801
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】伝熱プレートおよびプレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20170713BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   F28F3/04 B
   F28D9/02
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-541414(P2016-541414)
(86)(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公表番号】特表2017-500533(P2017-500533A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2014076182
(87)【国際公開番号】WO2015090930
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年8月15日
(31)【優先権主張番号】13198062.5
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレードリク・ブロームグレーン
【審査官】 関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05727620(US,A)
【文献】 特開平10−206064(JP,A)
【文献】 特表2012−510606(JP,A)
【文献】 特表2006−517648(JP,A)
【文献】 特開2010−127527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/04
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱プレート(6)の縁(20、22、24、36、38)に沿って延在し、前記伝熱プレートの第1の面(8)から見て交互に配列された尾根(40、44)と、谷(42、46)とを含むように波形にされた縁部(26、28、30、32、34)を備え、前記尾根と谷は、前記伝熱プレートの前記縁に直交するように延在しており、前記尾根の第1の尾根(40a、44a)は頂部面(T)内に延在する頂部(48、54)を有し、前記第1の尾根に隣接する前記谷の第1の谷(42a、46a)は、底部面(B)内に延在する底部(50、56)を有し、前記第1の尾根の前記頂部と、前記第1の谷の前記底部は、主逃げ面(52、58)によって接続され、ちょうど前記主逃げ面と同じように前記伝熱プレートの前記縁から端部距離(de)のところで終端している伝熱プレート(6)であって、前記底部面に対する前記主逃げ面の傾斜が、前記第1の谷の前記底部から見たとき、前記第1の尾根の前記頂部および前記第1の谷の前記底部に沿って最小の傾斜と最大の傾斜との間で変化することを特徴とする伝熱プレート(6)。
【請求項2】
前記伝熱プレートの前記縁(20、22、24、36、38)から第1の距離(d1)における前記主逃げ面(52、58)の第1の傾斜は、前記伝熱プレートの前記縁から第2の距離(d2)における前記主逃げ面の第2の傾斜より小さく、前記第1の距離は前記第2の距離より短い、請求項1に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項3】
前記頂部面(T)および前記底部面(B)が、前記伝熱プレートの中心の延長面(C)に対して平行である、請求項1または2に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項4】
前記端部距離(de)のところの前記主逃げ面(52、58)の前記傾斜は前記最大の傾斜である、請求項1から3のいずれか一項に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項5】
前記第1の尾根(40a、44a)および第1の谷(42a、46a)が、前記伝熱プレートの縁(20、22、24、36、38)から延びている、請求項1から4のいずれか一項に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項6】
前記伝熱プレートの前記縁(20、22、24、36、38)における前記主逃げ面(52、58)の前記傾斜は、前記最小の傾斜である、請求項1から5のいずれか一項に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項7】
前記最小の傾斜は、前記第1の尾根(40a、44a)の下に延在する前記底部面(B)の一部と前記主逃げ面(52、58)との間で測定された最小の最小角度αminに相当し、前記最大の傾斜は、前記底部面の前記一部と前記主逃げ面との間で測定された最大の最小角度αmaxに相当しており、前記最小の最小角度αminは、前記最大の最小角度αmaxより少なくとも3度小さい、請求項1から6のいずれか一項に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項8】
前記最小の最小角度αminは、前記最大の最小角度αmaxより20度を超えない分だけ小さい、請求項7に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項9】
前記主逃げ面(52、58)の傾斜は、前記伝熱プレートの前記縁(20、22、24、36、38)からの第3の距離(d3)と第4の距離(d4)との間で実質的に一定であり、前記第4の距離は前記第3の距離より大きく、前記第3の距離は第1の距離(d1)より大きくなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項10】
第4の距離(d4)と第3の距離(d3)との差が、前記端部距離(de)の0〜85%に相当する、請求項7に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項11】
前記主逃げ面(52、58)の前記傾斜は、第3の距離(d3)から前記伝熱プレートの前記縁(20、22、24、36、38)に向かって連続的に減少する、請求項8または9に記載の伝熱プレート(6)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の伝熱プレート(6)を備えるプレート式熱交換器(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱プレート、およびこのような伝熱プレートを備えるプレート熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
プレート式熱交換器、PHEは、典型的には2つのエンドプレートで構成されており、その間にいくつかの伝熱プレートが整列されるように、すなわち1つのスタック内に配置されている。よく知られたPHEのうちの1つのタイプ、いわゆるガスケットタイプのPHEでは、ガスケットが、伝熱プレート間に、典型的には伝熱プレートの縁に沿って延びるガスケット溝の中に配置され、縁部がガスケットの溝とプレート縁との間に延在している。エンドプレート、および故に伝熱プレートは、互いに向かって加圧され、これによりガスケットが伝熱プレート間を密閉する。ガスケットは、伝熱プレート間に平行な流れチャネルを画定し、すなわち伝熱プレートの各々の組の間に1つのチャネルを画定し、最初は異なる温度の2つの流体が、一方の流体から他方に熱を伝達するためにこのチャネルの中を交互に流れることができる。
【0003】
伝熱プレートは典型的には、ステンレス鋼のシートまたはコイルからブランクを切り抜き、これらのブランクを伝熱プレートの意図される用途に合わせたパターンでプレスすることによって作製される。結果として形成される伝熱プレートは典型的には、波形の縁部を有し、すなわち縁部は、尾根と谷とを備えており、個々の伝熱プレートの尾根と谷は、スタック内で互いに当接する可能性があるという点において、個々の伝熱プレート、およびまた伝熱プレートのスタックの強度を高める。波形縁部の別の重要な機能は、ガスケットを支え、それらを所定の場所に維持することである。ブランクの切断作業は、ブランクの縁を変形させることになり得、これはステンレス鋼の種類に応じて、ブランクの縁の変形マルテンサイトまたは変形硬化を生じさせる可能性がある。変形マルテンサイトは非常に堅くてもろく、故にブランクがプレスされる際に問題が生じる可能性がある。より詳細には、プレス作業から生じる引っ張り応力が、この変形マルテンサイトのために、結果として形成される伝熱プレートの縁部にひび割れを生じさせる可能性があり、このひび割れは典型的にはプレート縁に直交するように延びる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、伝熱プレート、すなわち特定のパターンでプレスされたブランクを提供することであり、この伝熱プレートは、たとえブランクが変形マルテンサイトを含有する場合であってもブランクのプレスによって生じるひび割れの発生が比較的少ない、またはさらには全くなく、それでもなおこの伝熱プレートは強固であり、ガスケットを適切に支えることができることに関連付けられている。本発明の基本的な概念は、変形マルテンサイトが比較的少ない、または完全に含まず、そのためより変形させやすいブランクの一部より、変形マルテンサイトを比較的多く含むブランクの一部の方が穏やかにプレスされるように、プレスパターンをブランクの異なる部分の特徴に適応させることである。
【0005】
上記の目的を達成するための伝熱プレートは添付の特許請求の範囲において定義されており、以下で考察される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による伝熱プレートは、伝熱プレートの縁に沿って延在する縁部を備える。縁部は、伝熱プレートの第1の面から見たとき交互に配置された尾根と谷とを備えるように波形にされており、この尾根と谷は、伝熱プレートの縁に直交するように延在している。尾根の第1の尾根は、頂部面内に延在する頂部を有し、第1の尾根に隣接する谷の第1の谷は、底部面内に延在する底部を有する。第1の尾根の頂部と、第1の谷の底部は、主逃げ面によって接続され、それらは、ちょうど主逃げ面と同じように伝熱プレートの縁から端部距離のところで終端する。伝熱プレートは、底部面に対する主逃げ面の傾斜が、第1の谷の底部から見たとき、第1の尾根の頂部および第1の谷の底部に沿って最小の傾斜と最大の傾斜との間で変化することを特徴とする。
【0007】
より小さな主逃げ面の傾斜は、より穏やかなプレスと、相対的に「滑らかな」縁部の輪郭に相当する可能性がある。対照的により大きな主逃げ面の傾斜は、より「大胆な」プレスと、相対的に「先のとがった」縁部の輪郭に相当する可能性がある。これにより本発明によって、伝熱プレートの縁部の様々な部分を異なるようにプレスすることができ、これは恐らく伝熱プレートのひび割れを少なくすることになる。
【0008】
伝熱プレートは、伝熱プレートの縁から第1の距離のところの主逃げ面の第1の傾斜が、伝熱プレートの縁から第2の距離のところの主逃げ面の第2の傾斜より小さくなるようなものであってよく、第1の距離は第2の距離より短い。したがって、伝熱プレートの縁部は、相対的に脆い可能性がある縁に近づくにつれて相対的に穏やかにプレスされてよく、そのため縁部においてひび割れが形成されるリスクは比較的小さい。同時に縁部は、縁から離れるにつれて比較的「激しく」プレスされてよく、それによって縁部は依然として強固であり、伝熱プレートのパッケージまたはスタックならびに適切なガスケット支持体に対して強度を与えることが可能であり得る。
【0009】
伝熱プレートは、頂部面と底部面が伝熱プレートの中央の延長面に対して平行であるようなものであってよい。これは、伝熱プレートの前記中央の延長面に直交している第1の尾根の高さ、第1の谷の深さ、ならびに高さおよび深さ方向が基本的に、頂部および底部内でそれぞれ一定であることを意味し得る。ここで主逃げ面の傾斜が大きくなることは、頂部および/または底部がより幅広になる結果となり、幅方向は、プレート縁および伝熱プレートの前記中央の延長面に対して平行しており、その逆もまた同様であり得る。導入として挙げたように、プレート式熱交換器は、2つのエンドプレートの間で1つのスタック内に配列された幾つかの伝熱プレートを備えることができる。スタック内の伝熱プレートは全て同種である場合もあり、またはそれらは異なる種類である場合もある。いずれの場合でも、1つの伝熱プレートの縁部の尾根および谷は典型的には、隣接する伝熱プレートの谷および尾根のそれぞれ一方にそれぞれ当接するように配置される。その点において第1の尾根および第1の谷のその頂部およびその底部は各々平面であり、前記伝熱プレートの中央の延長面に対して平行であり、第1の尾根および第1の谷と、近傍の伝熱プレートの縁部の対応する谷および対応する尾根との間に、比較的大きく、十分に画定され安定した接触部分が各々形成され得る。
【0010】
伝熱プレートは、前記端部距離のところ、すなわち第1の尾根の頂部および第1の谷の底部が終端する場所における主逃げ面の傾斜が、前記最大の傾斜であるようなものであってよい。このような一実施形態は、最適化されたガスケット支持体に関連付けることができる。
【0011】
第1の尾根および第1の谷は、伝熱プレートの縁から延びることができる。これは、伝熱プレートと近傍の伝熱プレートとの間で縁までずっと当接することが可能になるため、伝熱プレートの縁部の強度に対して有益であり、かつ伝熱プレートを収容しているパッケージまたはスタックの強度に対しても有益である。
【0012】
伝熱プレートは、伝熱プレートの縁における主逃げ面の傾斜が前記最小の傾斜になるようなものであってよい。この実施形態は、伝熱プレートの縁部が、変形マルテンサイトに起因するひび割れが典型的に最も生じやすい場所と同一のまさしく縁において最も穏やかにプレスされることを意味している。
【0013】
前記最小の傾斜は、第1の尾根の下に延在する底部面の一部と主逃げ面との間で測定された最小の最小角度αminに相当してよく、前記最大の傾斜は、底部面の前記部分と主逃げ面との間で測定された最大の最小角度αmaxに相当してよく、前記最小の最小角度αminは、前記最大の最小角度αmaxより3度から20度小さい。
【0014】
上記の角度に関する属性「最小の」は、伝熱プレートの縁から固有の距離のところの底部面の前記部分と主逃げ面との間で測定され得る2つの角度を差別化するのに使用され、一方の角度は、主逃げ面から時計回りで測定され、他方の角度は主逃げ面から反時計回りで測定される。
【0015】
主逃げ面の傾斜は、伝熱プレートの縁からの第3の距離と第4の距離との間で実質的に一定であってよく、第4の距離は第3の距離より大きく、第3の距離は第1の距離より大きくなる。これにより縁部は、ひび割れが生じなさそうな場所では「激しく」プレスされてよく、ひび割れのリスクが比較的大きな場所では局所的により穏やかにプレスされる。これは、伝熱プレートの強度だけでなく伝熱プレートを収容しているパッケージまたはスタックの強度に関しても有利であり得る。
【0016】
一例として、第4の距離と第3の距離との差が端部距離の0〜85%に相当する場合があり、これは、主逃げ面の傾斜が、第1の尾根および第1の谷それぞれの頂部および底部の範囲の0〜85%にわたって実質的に一定であることを意味している。典型的にはここでは、より高いパーセンテージは、より強固な伝熱プレートの縁部に関連付けることができる。
【0017】
主逃げ面の傾斜は、第3の距離から伝熱プレートの縁に向かって連続的に縮小してよい。これにより主逃げ面の傾斜の間に滑らかな移行部が可能になり、これは伝熱プレートを製造し易くし、より具体的には伝熱プレートが形成されるブランクのプレス作業をし易くすることができる。
【0018】
本発明によるプレート式熱交換器は、上記に記載した伝熱プレートを備える。
【0019】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様および利点は、以下の詳細な記載ならびに図面から明らかであろう。
【0020】
次に、本発明を添付の概略的な図面を参照してより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】プレート式熱交換器の概略側面図である。
図2】伝熱プレートの概略平面図である。
図3図2の伝熱プレートの一部を斜視図で見た拡大図である。
図4図2の伝熱プレートの一部を側面図で見た拡大図である。
図5a図2の伝熱プレートの一部の概略断面図である。
図5b図2の伝熱プレートの一部の概略側面図である。
図6a図5aのものに対応する従来の伝熱プレートの概略断面図である。
図6b図5bのものに対応する従来の伝熱プレートの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、プレートパック4内に配列された複数の伝熱プレートを備えるガスケットタイプのプレート式熱交換器2を示す。ガスケットタイプのプレート式熱交換器それ自体の構造および機能は、よく知られており、導入として簡単に考察しているため、本明細書では詳細に記載しないことにする。プレートパック4の伝熱プレートの1つは6で示され、図2図5にさらに詳細に示される
【0023】
図2は、完全な伝熱プレート6を示しており、図3および図4は各々、図2における破線の矩形Aによって囲まれた伝熱プレートの一部の拡大図を示している。基本的に矩形の伝熱プレート6は、その第1の面8を図面に見ることができ、ステンレス鋼合金のコイル304からブランクを切り抜き、このブランクを所定のパターンでプレスすることによって作製される。ブランクは、伝熱プレート6のポートホール(port hole)10、12、14および16に対応するいくつかの切り抜き穴を備える。ポートホールの機能はよく知られており、本明細書では記載しないことにする。導入として考察したように、ステンレス鋼の切断作業によって、ブランクの切断面、すなわち縁に変形硬化、より具体的にはマルテンサイトの形成が生じる場合がある。
【0024】
伝熱プレート6は、ポートホール10、12、14および16を取り囲むように外側のプレート縁20に沿って、かつ2つのポートホール10および14を別々に取り囲むように、それらをそれぞれ画定する2つの内側のプレート縁22および24に全体的に沿って延在するガスケット溝18を備える。さらにガスケット溝18は、ポートホール10および14をさらに取り囲むように伝熱プレートを二度「対角線に」横切って延在する。伝熱プレート6はさらに、ガスケット溝18と外側のプレート縁20との間に延在する外側縁部26と、ガスケット溝18と内側のプレート縁22および24との間にそれぞれ延在する2つの内側縁部28および30とを備える。内側縁部32および34もまた、内側縁部28および30と同様に、ポートホール12および16をそれぞれ画定する2つの内側のプレート縁36および38のそれぞれ一方に沿って延在する。外側縁部26は、交互に配置された尾根(ridge)40と谷(valley)42(図2には示されないが、図3および図4に示される)とを含むように波形にされる。さらに内側縁部28および30も、交互に配置された尾根44と谷46(図5aおよび図5b)とを含むように波形にされる。同様に内側縁部32および34も、本明細書には図示されないが波形にされる。
【0025】
図3および図4に示される外側縁部26の一部は、伝熱プレート6の長い側部に位置している。ちょうど谷42と同じように伝熱プレートの長い側部に沿っている尾根40は、全て同種である。しかしながら本発明を説明する目的で、以下の考察は、第1の尾根40aと第1の谷42aを対象としており、この第1の尾根と第1の谷は隣接している。第1の尾根40aおよび第1の谷42aは、外側のプレート縁20に直交するように延在する。第1の尾根40aは、頂部面T内に延在する頂部48を有し、第1の谷42aは、底部面B内に延在する底部50を有する。またガスケット溝18は、底部面B内に延在する。図3および図4から明らかなように、頂部面Tおよび底部面Bは、伝熱プレート6の中央の延長面Cに対して平行であり、すなわち図2の図平面(figure plane)に対して平行である。中央の延長面Cは、第1の尾根と第1の谷との間に移行部を形成する。第1の尾根40aの頂部48および第1の谷42aの底部50は、主逃げ面52によって接続される。
【0026】
第1の尾根40aおよび第1の谷42aは、外側のプレート縁20から伝熱プレート6の内部に向かって延びており、それぞれの頂部48および底部50、ならびに故に主逃げ面52は、外側のプレート縁20から端部距離deのところで終端している。外側縁部26は、端部距離deの範囲内で外側のプレート縁とは異なるようにプレスされる。これは図3および図4から明らかであり、そこでは外側のプレート縁20に平行して切り取られた第1の尾根40aおよび第1の谷42aを通る断面は、外側のプレート縁20に対して直交し、かつ伝熱プレート6の中央の延長面Cに対して平行な方向Dにおいて変化する。より詳細には、底部面Bに対する主逃げ面52の傾斜は、第1の谷42aの底部50から見たとき、方向Dに沿って変化している。さらに、第1の尾根40aの頂部48の幅は、ちょうど第1の谷42aの底部50の幅と同じように方向Dに沿って変化しており、幅方向Wは、方向Dに対して直交し、かつ伝熱プレート6の中央の延長面Cに対して平行である。第1の尾根の高さおよび第1の谷の深さが、頂部および底部それぞれにおいて一定である点において、より急勾配の主逃げ面の傾斜は、より幅広の尾根の頂部および/またはより幅広の谷の底部、ここではより幅広の尾根の頂部および谷の底部、ならびに伝熱プレートの「激しい」プレスに相当する。同様に、より勾配の緩い主逃げ面の傾斜は、より狭い尾根の頂部および/またはより狭い谷の底部、ここではより狭い尾根の頂部および谷の底部、ならびに伝熱プレートのより「穏やかな」プレスに相当する。
【0027】
外側のプレート縁20からの端部距離deの範囲内で、伝熱プレート6は、ガスケット溝18に対してよりも、外側のプレート縁に近い方がより穏やかにプレスされる。これにより外側のプレート縁20からの第1の距離d1のところの主逃げ面52の第1の傾斜は、外側のプレート縁からの第2の距離d2のところの主逃げ面52の第2の傾斜よりも小さくなり、すなわちd1<d2≦deである。換言すると、第1の尾根40aの下に延在する底部面Bの一部と主逃げ面52との間で測定された最小角度αxを基準とすると、距離d1のところの最小角度α1は、距離d2のところの最小角度α2より小さくなり、d1<d2≦de、αx、α1およびα2は図面には示されていない。
【0028】
主逃げ面52の傾斜は、最大の最小角度(maximum smallest angle)αmaxに相当する最大の傾斜と、最小の最小角度(minimum smallest angle)αminに相当する最小の傾斜との間で、第1の尾根40aの頂部48および第1の谷42aの底部50に沿って変化する。この例において、最大の最小角度αmaxは、49.4度であり、最小の最小角度αminは32.4度である。図3および図4から明らかなように、主逃げ面52の傾斜は、伝熱プレート6の外側のプレート縁20からの端部距離deにおいて、すなわち尾根の頂部48および谷の底部50の端部において最大である。さらに、主逃げ面の傾斜は、まさに外側のプレート縁20において最小になる。先に記載したように、このような主逃げ面の傾斜の変化は、低リスクのひび割れの形成および優れたガスケット支持体に関連する。
【0029】
最大の傾斜と最小の傾斜との間の移行部は、全体を通して線形であってよい。しかしながらこの例では、外側のプレート縁20からガスケット溝18に向かって見たとき、主逃げ面の傾斜は最初は連続的に増大し、より具体的には外側のプレート縁20から第3の距離d3までは増大する。その後、主逃げ面の傾斜は、外側のプレート縁20からの第4の距離d4までは一定である。ここで第4の距離d4は、この一定の傾斜が最大の傾斜であることを意味する端部距離deに等しい。上記の例において、種々の距離は以下の通りである。de=d4=10mm、d1=2.5mm、d2=4mmおよびd3=5mmである。これは、主逃げ面の傾斜は、主逃げ面52の範囲の50%に沿って一定かつ最大であることを意味している。先に記載したように、ここでは主逃げ面の範囲の大部分に沿った最大の傾斜は、強固な伝熱プレートに関連付けられる大きな尾根の頂部と大きな谷の底部を意味する。
【0030】
よって伝熱プレート6に関して、外側縁部26における主逃げ面の傾斜は、尾根の頂部48および谷の底部50に沿って変化し、これによりプレートにひび割れが形成しにくくなり、その一方でなおも強固で優れたガスケット支持体を提供することが可能である。従来式の伝熱プレートの場合、外側縁部における主逃げ面の傾斜は実質的に、尾根の頂部および谷の底部に沿って一定である。従来式のプレートは故に、比較的ひび割れが形成し易い可能性がある。
【0031】
上記で主逃げ面の傾斜が伝熱プレート6の外側縁部26においてどのように変化するかを記載してきた。追加として/代替として、内側縁部28、30、32および34の1つまたは複数における主逃げ面の傾斜は、すなわちポートホール10、14、12および16それぞれの周りでの主逃げ面の傾斜も変化し得る。これは図5aおよび図5bに示される。図5aは、内側のプレート縁22からの第2の距離d2のところの内側縁部28の部分断面図を示す。図5bは、側面図における内側のプレート縁22の一部を示しおり、すなわち内側のプレート縁22からの第1の距離d1=0のところの内側縁部28の部分断面図を示している。図6aおよび図6bは、図5aおよび図5bに対応しているが、従来式の伝熱プレートを示しており、図5aおよび図5bと、図6aおよび図6bとの比較は、本発明をさらに明瞭にしている。
【0032】
ちょうど谷と同じように内側縁部における尾根は全て同種である。しかしながら本発明を説明するために、以下の考察は、図5aおよび図5bに見ることができる尾根と谷の1つ、すなわち第1の尾根44aおよび第1の谷46aを対象としており、この第1の尾根と第1の谷は隣接している。第1の尾根44aおよび第1の谷46aは、伝熱プレート6の内側のプレート縁22に対して直交して延在しており、すなわちポートホール10の中心地点P(図2)を対角線上に通るように延びる各々の架空のラインに沿って延在している。第1の尾根44aは、頂部面T内に延在する頂部54を有し、第1の谷46aは、底部面B内に延在する底部56を有する。中央の延長面Cは、第1の尾根と第1の谷との間に移行部を形成する。第1の尾根44aの頂部54および第1の谷46aの底部56は、主逃げ面58によって接続される。
【0033】
第1の尾根44aおよび第1の谷46aは、内側のプレート縁22から伝熱プレート6の内部に向かって延びており、それぞれの頂部54および底部56は、内側のプレート縁22から端部距離deのところで終端している。ちょうど外側縁部26のように、伝熱プレート6の内側縁部28は、端部距離deの範囲内で内側のプレート縁22と異なるようにプレスされる。より詳細には、底部面Bに対する主逃げ面58の傾斜は、第1の谷46aの底部56から見たとき距離Dに沿って変化している。さらに図5aおよび図5bから明らかなように、第1の尾根44aの頂部54の幅は、ちょうど第1の谷46aの底部56の幅と同じように、方向Dに沿って変化しており、幅方向は上記に規定されている。これは2つの要因の結果である。第1の要因は、内側のプレート縁22の範囲である。内側のプレート縁が円形に延在するという事実は、頂部幅および/または底部幅、ここでは頂部および底部の幅が内側のプレート縁からプレートの内部に向かって増大することを意味している。第2の要因は、変化する主逃げ面の傾斜である。ちょうど外側縁部26と同じように、より勾配のきつい主逃げ面の傾斜はここでは、より幅広の尾根の頂部および谷の底部に相当し、より勾配の緩い主逃げ面の傾斜は、より幅の狭い尾根の頂部および谷の底部に相当する。
【0034】
ちょうど外側のプレート縁20のように、内側のプレート縁22から端部距離deの範囲内で、伝熱プレート6は、ガスケット溝18に対してよりも、内側のプレート縁に近い方がより穏やかにプレスされる。よって内側のプレート縁22から第1の距離d1にある主逃げ面58の第1の傾斜は、内側のプレート縁から第2の距離d2にある主逃げ面58の第2の傾斜より小さくなり、すなわちd1<d2≦de、ここではd2=deである。換言すると、第1の尾根44aの下に延在する底部面Bの一部と主逃げ面58との間で測定された最小角度αx(図面には示されない)を基準とすると、d1=0かつd2=deの場合に図5aおよび図5bに示されるように第1の距離d1のところの最小角度α1は、第2の距離d2における最小角度α2より小さくなる。
【0035】
主逃げ面58の傾斜は、最大の最小角度αmaxに相当する最大の傾斜と、最小の最小角度αminに相当する最小の傾斜との間で、第1の尾根44aの頂部54および第1の谷46aの底部56に沿って変化する。この例では、最大の最小角度αmaxは49度であり、最小の最小角度αminは38度である。主逃げ面58の傾斜は、内側のプレート縁22から端部距離deにおいて、すなわち尾根の頂部54および谷の底部56の端部において最大となり、この場合αmax=α2である。さらに主逃げ面58の傾斜は、ちょうど内側のプレート縁22のところで最小となり、この場合αmin=α1である。内側のプレート縁22からガスケット溝18に向かって見たとき、主逃げ面の傾斜は、内側のプレート縁からの距離deにおいて達する最大傾斜まで継続して増大し、この場合de=8mmである。
【0036】
図6aおよび図6bは、主逃げ面の傾斜が、従来技術による伝熱プレートのポートホールの1つの周りでどのように変化するかを示しており、この従来技術の伝熱プレートは、外側および内側縁部のプレスに関して以外は、図面の残りに示される伝熱プレート6と同種である。ポートホールを画定する内側のプレート縁からの距離d2、すなわち端部距離deのところの主逃げ面の傾斜は、伝熱プレート6および従来技術の伝熱プレート(図5aおよび図6a)に関して同一であるが、距離d1のところの、すなわちまさに内側のプレート縁における主逃げ面の傾斜は、従来技術の伝熱プレートに関するもの(図5bおよび図6b)より伝熱プレート6に関する方が小さくなる。より詳細には、従来技術のプレートに関して、主逃げ面の傾斜は変化せず、一定である。さらに、図6aおよび図6bから明らかなように、尾根の頂部および谷の底部の幅は方向Dに沿って変化している。これは単に、内側のプレート縁22の円形の範囲のみに起因するものである。これにより頂部および底部の幅の変化は、本発明によるプレートに関するものより従来技術のプレートに関するものの方が小さくなる。
【0037】
外側縁部26を特徴付ける距離および主逃げ面の傾斜は、内側縁部28、30、32および34を特徴付けるものと異なる場合、あるいは同様の場合があることを強調すべきである。
【0038】
上記に記載される本発明の実施形態は、単なる一例として理解すべきである。当業者は、考察される実施形態が発明の概念から逸脱することなく複数の方法で変更することができることに気づく。
【0039】
例えば主逃げ面の傾斜および距離、ならびにそれらの関係は、上記で特定したものと異なる場合がある。具体的には、最小の傾斜、すなわち第1の尾根の下に延在する底部面の一部と主逃げ面との間で測定された最小の最小角度αminは、最大の傾斜、すなわち底部面と主逃げ面との間の最大の最小角度αmaxより3度から20度小さくなる場合もある。さらに外側縁部における主逃げ面の傾斜は、尾根の頂部および谷の底部の範囲の0〜85%に沿って一定である場合もある。
【0040】
尾根および谷は、プレート縁から延びる必要はないが、プレート縁から特定の距離のところで始まり内向きに延在する場合もある。
【0041】
縁部における主逃げ面の傾斜は、上記に記載したもの以外の方法で変化する場合もある。一例として、主逃げ面の傾斜は、これもまた外側縁部の範囲内で尾根の頂部および谷の底部の範囲全体に沿って変化する場合もある(一定の主逃げ面の傾斜を有する部分を含まないように)。別の例として、主逃げ面の傾斜は、尾根の頂部および谷の底部の範囲の一部/全体に沿って線形に変化する場合もある。さらに別の例として、内側縁部における主逃げ面の傾斜は、尾根の頂部および谷の底部の一部に沿って一定である場合もある。
【0042】
ちょうど外側縁部におけるそれらと同じような伝熱プレートの内側縁部における尾根および谷は、同種である必要はない。よって、主逃げ面の傾斜は、内側縁部と外側縁部の異なる部分において異なるように変化する場合がある。また、主逃げ面の傾斜は、一部において変化し、他の部分においては一定である場合もある。一例として、主逃げ面の傾斜は、上記に記載したように、伝熱プレートの長い側部でだけでなく、短い側部においても同様に変化する場合がある。
【0043】
本発明は、代替の伝熱プレートの設計に関連して、例えばプレートにわたって異なるガスケット溝の範囲、または谷の面と異なる面内に延在するガスケット溝を備える伝熱プレートに関連して使用することができる。さらに、本発明は代替の伝熱プレート材料に関連して使用することもできる。
【0044】
最終的に、本発明は、純粋なガスケットタイプのもの以外の他のタイプのプレート式熱交換器と関連して、例えば永久に結合された伝熱プレートを備えるプレート式熱交換器と関連して使用される場合もある。
【0045】
限定語である、第1の、第2の、第3のなどは、単に同じ種類の種を区別するために本明細書では使用されており、それらの種におけるいかなる種類の相互の順序も表すものではないことを強調すべきである。
【0046】
本発明に関連しない詳細の記載は省略されており、図面は単に概略であり、縮尺通りに描かれないことを強調すべきである。図面の一部は他のものと比べて簡素化されていることも述べておく必要がある。したがって一部の構成要素は、ある図面では示されるが、別の図面では割愛される場合もある。
【0047】
本発明は、本欧州特許出願と同日に提出された「ATTACHMENT MEANS, GASKET ARRANGEMENT, HEAT EXCHANGER PLATE AND ASSEMBLY」というタイトルの出願人の同時継続欧州特許出願に記載される発明と組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0048】
2 プレート式熱交換器
4 プレートパック
6 伝熱プレート
8 伝熱プレートの第1の面
10、12、14、16 ポートホール
18 ガスケット溝
20 外側のプレート縁
22、24、36、38 内側のプレート縁
26 外側縁部
28、30、32、34 内側縁部
40、44 尾根
42、46 谷
48、54 頂部
50、56 底部
52、58 主逃げ面
B 底部面
C 伝熱プレートの中央の延長面
T 頂部面
P ポートホール10の中心地点
D 中央の延長面Cに対して平行な方向
W 幅方向
d1 第1の距離
d2 第2の距離
d3 第3の距離
d4 第4の距離
de 端部距離
αmin 最小の最小角度
αmax 最大の最小角度
図1
図2
図3
図4
図5a-6b】