特許第6169809号(P6169809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169809
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】エピタキシャルウェハ成長装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20170713BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20170713BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20170713BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/46
   C23C16/44 Z
   H01L21/68 N
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-555424(P2016-555424)
(86)(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公表番号】特表2016-541127(P2016-541127A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】KR2014008282
(87)【国際公開番号】WO2015076487
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2016年6月7日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0143993
(32)【優先日】2013年11月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511028928
【氏名又は名称】エルジー シルトロン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】カン、ユ−ジン
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−340784(JP,A)
【文献】 特開2012−227527(JP,A)
【文献】 特開2003−218039(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/022128(WO,A1)
【文献】 特開2005−183510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/18−21/20、21/205、21/31、
21/34−21/36、21/365、21/469、
21/67−21/683、21/84−21/86、
C23C 16/00−16/56、
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程ガスを流してエピタキシャル層を成長させるエピタキシャルウェハ成長装置であって、
前記工程ガスが流れる領域を提供する反応チャンバと、
前記反応チャンバの側面部を取り囲む上部ライナーと、
前記反応チャンバの側面部を取り囲んで配置されたリング状の下部ライナーであって、上面に外周部から所定の間隔を隔てて形成された段部を備える下部ライナーと、
前記反応チャンバの中心部に配置され、ウェハが安着されるサセプタと、
前記サセプタと同一平面上に配置され、前記下部ライナーの上面に安着され、前記サセプタと離隔する予熱リングと、
前記予熱リングの下部に形成され、前記予熱リングの外周部が前記下部ライナーの前記段部の内周壁から所定の間隔を隔てて配置された状態で、前記下部ライナーのリングの内周壁に接触する固定部材と、
を含み、
前記固定部材は、前記下部ライナーのリングの内周壁と円周方向の接触面を有する突出部から構成され、
前記突出部は、前記予熱リングと前記サセプタが一定間隔を持つように固定される、
ことを特徴とするエピタキシャル成長装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記下部ライナーのリングの内周壁と連続的な接触面を有する円形リング状である、
ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項3】
前記固定部材は、少なくとも3つ以上形成され、前記下部ライナーのリングの内周壁と少なくとも3つ以上の接触面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項4】
前記固定部材は、45度の間隔で前記予熱リングの下部の円周方向に沿って8つが形成され、前記下部ライナーのリングの内周壁と8つの接触面を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項5】
前記固定部材は、前記サセプタを中心に相互対称する位置に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記サセプタを中心に周期的な位置に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項7】
前記接触面は、前記下部ライナーのリングの内周壁の形状と一致する曲面形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項8】
工程ガスを流してエピタキシャル層を成長させるエピタキシャルウェハ成長装置であって、
前記工程ガスが流れる領域を提供する反応チャンバと、
前記反応チャンバの側面部を取り囲む上部ライナー及び下部ライナーと、
前記反応チャンバの中心部に配置され、ウェハが安着されるサセプタと、
前記サセプタと同一平面上に配置され、前記下部ライナーの上面に安着され、前記サセプタと離隔する予熱リングと、
前記予熱リングの下部に形成され、前記下部ライナーの側面に接触する固定部材と、
を含み、
前記固定部材は、前記下部ライナーの側面と円周方向の接触面を有する突出部から構成され、
前記突出部は、前記予熱リングと前記サセプタが一定間隔を持つように固定され、
前記固定部材は、前記予熱リングと一体型である、
ことを特徴とするエピタキシャル成長装置。
【請求項9】
前記固定部材は、前記予熱リングと脱着が可能な分離型である、
ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項10】
前記予熱リングの前記下部ライナーの上面と接触する領域には、前記予熱リングの内部が所定深さ切削された溝部が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項11】
前記溝部は、前記下部ライナーの上面と非接触の状態で、前記予熱リングの内部で円周方向に沿って連続的に形成される、
ことを特徴とする請求項10に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項12】
前記溝部は、円形帯状を有する連続的な空間である、
ことを特徴とする請求項11に記載のエピタキシャル成長装置。
【請求項13】
工程ガスを流してエピタキシャル層を成長させるエピタキシャルウェハ成長装置であって、
前記工程ガスが流れる領域を提供する反応チャンバと、
前記反応チャンバの側面部を取り囲む上部ライナー及び下部ライナーと、
前記反応チャンバの中心部に配置され、ウェハが安着されるサセプタと、
前記サセプタと同一平面上に配置され、前記下部ライナーの上面に安着され、前記サセプタと離隔する予熱リングと、
前記予熱リングの下部に形成され、前記下部ライナーの側面に接触する固定部材と、
を含み、
前記固定部材は、前記下部ライナーの側面と円周方向の接触面を有する突出部から構成され、
前記突出部は、前記予熱リングと前記サセプタが一定間隔を持つように固定され、
前記予熱リングの前記下部ライナーの上面と接触する領域には、前記予熱リングの内部が所定深さ切削された溝部が形成され、
前記溝部は、前記下部ライナーの上面と非接触の状態で、前記予熱リングの内部で円周方向に沿って周期的に形成される、
ことを特徴とするエピタキシャル成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャル成長装置に関し、より具体的には、ウェハ上にシリコン単結晶のエピタキシャル薄膜を成長させるエピタキシャル成長装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鏡面加工されたシリコンウェハに、シリコン単結晶のエピタキシャル薄膜を成長させたものをエピタキシャルシリコンウェハ(epitaxial silicon wafer)という。エピタキシャル反応器内のサセプタ上にウェハを安着させ、反応器の一端から他端へと原料ガスを供給し、供給される原料ガスとウェハを反応させてウェハの表面にエピタキシャル膜を成長させたものである。
【0003】
図1は、一般的なエピタキシャル反応器の断面図である。図1に示すように、反応容器101の外周面には下部ライナー102が形成され、前記下部ライナー102内側の反応容器101の中心部には、ウェハWが安着されるサセプタ105が設けられる。そして、反応容器101の一端に配置されるガス導入口103を介して供給される原料ガスは、サセプタ支持台106により支持されるサセプタ105上に安着されたウェハW表面に沿って流れながらエピタキシャル膜を成長させ、排出口104を介して排出される。
【0004】
前記下部ライナー102の内周面には、ウェハに伝達される熱を均一にするための予熱リング108が安着される。前記予熱リング108は、サセプタ105と同一平面上で前記サセプタ105を取り囲むように配置される。
【0005】
前記予熱リング108は、下部ライナー102に安着され平板リング状をなし、エピタキシャル蒸着工程時に、反応チャンバが高熱なることによる熱膨張及び振動によって、動きが発生することになる。
【0006】
図2は、サセプタと予熱リングが接触した様子を示した平面図である。図2に示すように、予熱リング108の動きによって、予熱リング108とサセプタ105の一部が接触することになると、サセプタ105上に安着されたウェハ上に流れるガスの流れに影響を与え、特にウェハのエッジ部分の厚さが不均一に蒸着される問題点が発生することになる。
【0007】
そして、予熱リング108が下部ライナー102に安着された状態で動くと、下部ライナー102との摩擦が発生してパーティクルが発生する可能性がある。これにより反応容器101内の汚染を誘発してエピタキシャルウェハの品質に影響を及ぼすことになる。
【0008】
また、予熱リング108がサセプタ105と接触した場合には、摩擦によってサセプタ105の炭化ケイ素(SiC)コーティングが剥離し、サセプタ105内部に含まれた金属物質が、パーティクル形態で発生して反応容器101内部のメタル汚染を引き起こすことになる。これにより、エピタキシャルウェハの品質に大きい影響を及ぼし、均一な品質のエピタキシャルウェハの生産収率が低下する問題が発生することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためのものであり、下部ライナーに安着された予熱リングが、高温のエピタキシャル蒸着工程時にサセプタと一定距離を維持して固定される手段を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、予熱リングに高温のエピタキシャル蒸着工程が行われる間、サセプタと一定距離を維持しつつ、予熱リングを支持する下部ライナーとの接触面積を減少させることができる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例は、工程ガスを流してエピタキシャル層を成長させるエピタキシャルウェハ成長装置であって、前記工程ガスが流れる領域を提供する反応チャンバと、前記反応チャンバの側面部を取り囲む上部ライナー及び下部ライナーと、前記反応チャンバの中心部に配置され、ウェハが安着されるサセプタと、前記サセプタと同一平面上に配置され、前記下部ライナーの上面に安着され、前記サセプタと離隔する予熱リングと、前記予熱リングの下部に形成され、前記下部ライナーの側面に接触する固定部材とを含み、前記固定部材は、前記下部ライナーの側面と円周方向の接触面を有する突出部から構成され、前記突出部は、前記予熱リングと前記サセプタが一定間隔を持つように固定される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエピタキシャル成長装置は、下部ライナーに安着される予熱リングが、エピタキシャル成長工程時にサセプタとすべての方向で一定距離を維持するように固定されるので、ウェハ側に流れる反応ガスが一定に制御され、ウェハのエッジ部のエピタキシャル厚さを均一に形成することができる。
【0013】
また、予熱リングと下部ライナー間の摩擦により発生しうるパーティクルを減少させることができ、成長するエピタキシャルウェハの汚染を防止することができる。
【0014】
また、予熱リングとサセプタが直接接触することを防止することで、予熱リングとサセプタの摩擦によりサセプタの表面が剥離し、それにより発生するパーティクルによる金属汚染を遮断することができ、成長するエピタキシャルウェハの品質を均一に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一般的なエピタキシャル反応器の断面図である。
図2】サセプタと予熱リングが接触した様子を示した平面図である。
図3】本発明のエピタキシャル成長装置を示した断面図である。
図4】本発明の予熱リングを示した断面図である。
図5】本発明の予熱リングを下部から見た平面図である。
図6】本発明の他の実施例に係る予熱リングを示した断面図である。
図7】本発明の予熱リングとサセプタを上面から見た平面図である。
図8】ウェハのエピタキシャル工程時にサセプタと予熱リングが接触した場合と、一定距離維持した場合のLLSの比較図である。
図9】ウェハのエピタキシャル工程時にサセプタと予熱リングが接触した場合と、一定距離維持した場合のエピタキシャル膜の厚さ変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明は、実施例によって限定されるものではない。本発明の説明において、公知の機能或は構成に対する具体的な説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略されることがある。
【0017】
図3は、本発明のエピタキシャル成長装置200を示した断面図である。図3に示すように、実施例に係るエピタキシャル成長装置200は、一枚のウェハWに対するエピタキシャル成長工程を行う枚葉式装置であり、反応チャンバ201、ガス供給部203、ガス排出部204、サセプタ205、サセプタ支持台206、サセプタ支持ピン207、下部ライナー202、上部ライナー212、予熱リング208及びメインシャフト211を含む。
【0018】
反応チャンバ201は石英材質から構成され、前記反応チャンバ201の外周面に沿って下部ライナー202が形成され、下部ライナー202の上部には上部ライナー212が形成される。上部ライナー212と下部ライナー202の間には所定の空間が設けられ、一方の空間にはガス供給部203が形成され、他方の空間にはガス排出口204が形成される。ガス供給部203を介して原料ガスが反応チャンバ201内に導入され、ウェハの表面に沿って流れてガス排出口204を介して排出される。
【0019】
サセプタ205は、平坦な円盤状の支持板であり、カーボングラファイト(carbon graphite)を被覆した炭化ケイ素からなる。サセプタ205は、反応チャンバ201の内部の中心部に配置され、その上面に薄膜形成のためのウェハWが安着され支持される。
【0020】
そして、サセプタ205は、メインシャフト211により支持され、メインシャフト211の一端から所定角度で離隔して複数個に分かれたサセプタ支持台206により、水平方向に支持される。前記それぞれのサセプタ支持台206の一端には支持ピン207が形成され、それぞれの支持ピン207は、サセプタ205の外周部分を支持することで、サセプタ205を水平に維持する。
【0021】
予熱リング208は、サセプタ205と同一平面上に位置するように配置され、サセプタ205に隣接する下部ライナー202の外周面に安着される板状に形成され、ウェハに伝達されるガスの温度を均一にする役割を果たす。本発明では、このような予熱リング208の構造を特徴的に変更する実施例を提案するものであり、サセプタ205と予熱リング208が同じ中心を持ちながら離隔した距離がすべての方向で一定となる予熱リングの構造について、図面を参照して説明する。
【0022】
図4は、本発明の予熱リングを示した断面図であり、図3の点線で囲んだ部分を拡大した断面図である。
【0023】
図4に示すように、下部ライナー202に安着された予熱リング208の下部面には、下部ライナー202の側面と円周方向の接触面を有する突出部から構成される固定部材209が設けられる。
【0024】
前記固定部材209は、予熱リング208の下部面で前記予熱リング208の水平方向への動きを遮断する手段として、複数個の面を有する多角形構造物、例えば正六角形形状に形成される。この時、固定部材209の面のうち下部ライナー202と接触する面は、下部ライナー202の内径と同じ曲率を有する曲面形態に形成されることが好ましい。
【0025】
上記したように、下部ライナー202の側面には複数個の固定部材209が接触する面が形成されるので、予熱リング208が水平方向に緊密に固定され、予熱リングの動きによるパーティクルの発生も減少させることができる。
【0026】
図5は、本発明の予熱リングを下部から見た平面図である。
【0027】
図5に示すように、予熱リング208の下部に形成される固定部材209は、下部ライナー202の側面と所定の接触面積を持って複数個形成される。前記固定部材209は、予熱リング208の水平方向への動きを遮断するために、少なくとも3つ以上形成された複数個の突出部からなる。固定部材209は、予熱リング208の下部に連続的に形成されて下部ライナー202と接触するリング状の構造物とすることもできる。
【0028】
実施例に係る予熱リング208には、それぞれの固定部材209が相互対称を成すように形成される。すなわち、予熱リング208に沿って180度で対称となる地点に、さらなる固定部材が形成される。それぞれの固定部材209が、予熱リングの中心方向に一直線である位置に形成されることで、下部ライナー202に容易に安着するための余裕マージンを設定して予熱リング208を製作することができる。予熱リング208が安着された後は、水平方向への動きを、より効果的に防止することができる。
【0029】
そして、それぞれの固定部材209は、すべての方向への動きを防止するために、予熱リング208の周りに沿って同じ間隔で離隔させることが好ましい。すなわち、前記固定部材209は、前記サセプタを中心に周期的な位置に形成される。それぞれの固定部材209は、下部ライナー209との接触面積を減らすために、最小限の個数に形成されることが好ましいが、予熱リングの大きさ及び下部ライナーとの工程条件による相関関係を考慮して、固定部材209の接触面積と個数を選択することができる。本発明では、それぞれの固定部材209が、予熱リング208の中心を基準に45度の間隔で配置され、下部ライナー202と8個の接触面を有するように形成されることで、予熱リングの動きを防止することができる。
【0030】
また、固定部材209は、予熱リング208の製造時に下部面を既設定された形状に除去して突出部を形成することで一体型に製造できる。また、それぞれの固定部材209が予熱リング208との脱着が可能な形態に製造した分離型にすることもできる。分離型に製造した場合にも、固定部材209と予熱リング208は同じ材質で形成され、同じ熱膨張特性を有することが好ましい。
【0031】
実施例のような予熱リングが備えられたエピタキシャル成長装置では、予熱リングとサセプタとの間の摩擦によって、サセプタのSiCコーティング膜が剥離して発生しうる、パーティクルによるチャンバ内の汚染を減少させることができる。また、予熱リングと下部ライナーとの間の摩擦により発生するパーティクルを減少させることができ、成長するエピタキシャルウェハの汚染を防止することができる。
【0032】
図6は、本発明の他の実施例に係る予熱リングを示した断面図である。図6に示すように、予熱リング208'が下部ライナー209の上面と接触する領域には、所定深さに切削された溝部210が形成される。前記溝部210は、前記下部ライナー202の上面と非接触の状態で、前記予熱リング208'の内部で円周方向に沿って周期的に形成される。前記溝部210は、予熱リング208'と下部ライナー202との間の接触面積を最小化するために形成される非接触部として、予熱リング208の周りに沿って円形帯状に連続的に形成されることが好ましい。
【0033】
従って、実質的に予熱リング208の一番外側部分が下部ライナー202に接触することになり、エピタキシャル工程で熱膨張による摩擦が発生しても、パーティクルが発生することを減少させることができる。
【0034】
そして、予熱リング208'の下部に付着する固定部材209は、図4に開示された実施例と同様に、予熱リング208'の下部に付着しながら複数個の面を有する構造物から形成される。前記固定部材209も、下部ライナー202の側面との摩擦を最小化するために、非連続的に形成される複数個の構造物であることが好ましい。それぞれの固定部材209の間隔、下部ライナー202との接触面積及び形成される個数は、予熱リング208'の大きさ、工程条件などに応じて多様に変更することができる。
【0035】
図7は、本発明の予熱リングとサセプタを上面から見た平面図である。図7に示すように、本発明によるエピタキシャル成長装置は、サセプタ205と予熱リング208が同一平面上に位置し、すべての方向で一定距離を持つように離隔されるので、サセプタの回転によってウェハの表面に流れるガスが一定に制御される。
【0036】
そして、予熱リング208とサセプタ205が直接接触することが防止されることで、サセプタの表面が剥離してサセプタの内部物質がパーティクル形態に析出されて発生する金属汚染を遮断でき、成長するエピタキシャルウェハの品質を均一に制御することができる。
【0037】
図8は、ウェハのエピタキシャル工程時にサセプタと予熱リングが接触した場合と、一定距離維持した場合のウェハのLLS(Localized Light Scatters)欠陥を比較した図面である。
【0038】
図8(a)は、予熱リングとサセプタが接触した場合、ウェハの表面のLLS欠陥を測定して示したものであり、特に点線で表示された領域には多数のLLSが発生して、0.2μmのパターン型LLSがあらわれたことが確認できる。
【0039】
図8(b)は、実施例1または2による予熱リングによってサセプタと予熱リングが一定間隔を維持した場合のウェハの表面のLLSを測定して示したものであり、パターン型LLSが発生していないことが確認できる。
【0040】
図9は、ウェハのエピタキシャル工程時にサセプタと予熱リングが接触した場合と、一定距離維持した場合のエピタキシャル膜の厚さ変化を半径方向に示したグラフである。
【0041】
サセプタと予熱リングが接触することなく一定距離が維持された場合には、ウェハの表面に流れるガスの流れが一定に制御され、ウェハに蒸着されるエピタキシャル膜の厚さは、半径方向に対称的な増減を有するように形成される。しかし、サセプタと予熱リングが接触してガスの流れに変動が発生すると、上記のようなエピタキシャル膜の厚さのプロファイルに非対称が発生し、ウェハのエッジ部で特にひどく現れる。ウェハの厚さが非対称的に形成されると、ウェハの平坦度も低下し、半導体素子の製造収率に悪影響を及ぼすことになる。
【0042】
従って、本発明のエピタキシャル成長装置に備えられる予熱リングは、下部ライナーに安着されて予熱リングの水平方向への動きを遮断できるので、ウェハの表面に流れるガスの流れは、一定に制御されてエピタキシャル膜の厚さが対称的に形成され、ウェハの平坦度を改善できる有利な長所がある。
【0043】
以上、本発明を好ましい実施例を中心に説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するものではない。本発明が属する分野の通常の知識を持った者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、以上に例示されていない多様な変形と応用が可能である。例えば、本発明の実施例に具体的に提示された各構成要素は変形して実施することができ、そのような変形と応用にかかわる差異点は、添付された請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【0044】
[付記1]
工程ガスを流してエピタキシャル層を成長させるエピタキシャルウェハ成長装置であって、
前記工程ガスが流れる領域を提供する反応チャンバと、
前記反応チャンバの側面部を取り囲む上部ライナー及び下部ライナーと、
前記反応チャンバの中心部に配置され、ウェハが安着されるサセプタと、
前記サセプタと同一平面上に配置され、前記下部ライナーの上面に安着され、前記サセプタと離隔する予熱リングと、
前記予熱リングの下部に形成され、前記下部ライナーの側面に接触する固定部材と、
を含み、
前記固定部材は、前記下部ライナーの側面と円周方向の接触面を有する突出部から構成され、
前記突出部は、前記予熱リングと前記サセプタが一定間隔を持つように固定される、
ことを特徴とするエピタキシャル成長装置。
【0045】
[付記2]
前記固定部材は、前記下部ライナーの側面と連続的な接触面を有する円形リング状である、
ことを特徴とする付記1に記載のエピタキシャル成長装置。
【0046】
[付記3]
前記固定部材は、少なくとも3つ以上形成され、前記下部ライナーの側面と少なくとも3つ以上の接触面を有する、
ことを特徴とする付記1に記載のエピタキシャル成長装置。
【0047】
[付記4]
前記固定部材は、45度の間隔で前記予熱リングの下部の円周方向に沿って8つが形成され、前記下部ライナーの側面と8つの接触面を有する、
ことを特徴とする付記3に記載のエピタキシャル成長装置。
【0048】
[付記5]
前記固定部材は、前記サセプタを中心に相互対称する位置に形成される、
ことを特徴とする付記1に記載のエピタキシャル成長装置。
【0049】
[付記6]
前記固定部材は、前記サセプタを中心に周期的な位置に形成される、
ことを特徴とする付記1に記載のエピタキシャル成長装置。
【0050】
[付記7]
前記接触面は、前記下部ライナーの側面形状と一致する曲面形状である、
ことを特徴とする付記1に記載のエピタキシャル成長装置。
【0051】
[付記8]
前記固定部材は、前記予熱リングと一体型である、
ことを特徴とする付記1に記載のエピタキシャル成長装置。
【0052】
[付記9]
前記固定部材は、前記予熱リングと脱着が可能な分離型である、
ことを特徴とする付記1に記載のエピタキシャル成長装置。
【0053】
[付記10]
前記予熱リングの前記下部ライナーの上面と接触する領域には、前記予熱リングの内部が所定深さ切削された溝部が形成される、
ことを特徴とする付記1に記載のエピタキシャル成長装置。
【0054】
[付記11]
前記溝部は、前記下部ライナーの上面と非接触の状態で、前記予熱リングの内部で円周方向に沿って連続的に形成される、
ことを特徴とする付記10に記載のエピタキシャル成長装置。
【0055】
[付記12]
前記溝部は、円形帯状を有する連続的な空間である、
ことを特徴とする付記11に記載のエピタキシャル成長装置。
【0056】
[付記13]
前記溝部は、前記下部ライナーの上面と非接触の状態で、前記予熱リングの内部で円周方向に沿って周期的に形成される、
ことを特徴とする付記10に記載のエピタキシャル成長装置。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ウェハにエピタキシャル層を成長させるエピタキシャル成長装置に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9