(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169810
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】燃料タンクの車体取付構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/067 20060101AFI20170713BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
B60K15/067
F02M37/00 301D
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-559792(P2016-559792)
(86)(22)【出願日】2015年9月16日
(86)【国際出願番号】JP2015004739
(87)【国際公開番号】WO2016079915
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】特願2014-233545(P2014-233545)
(32)【優先日】2014年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荘司 和晃
(72)【発明者】
【氏名】松崎 雄太
【審査官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−202155(JP,A)
【文献】
特開2014−172571(JP,A)
【文献】
特開2014−084054(JP,A)
【文献】
実開平06−045828(JP,U)
【文献】
米国特許第4886180(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/067
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクを車体に取り付けるための取付構造であって、
前記車体の下方に配置される樹脂性の燃料タンクと、
前記燃料タンクの下面に沿って配置され、両端が前記車体に固定されるバンド部材と、
前記燃料タンクの側面に形成され、前記燃料タンクの上面から下方に向けて前記燃料タンクの側面の少なくとも一部にわたって延びる上側溝と、
前記燃料タンクと前記車体との間に介装され、前記上側溝を跨ぐように配置されたクッション部材と
を備えることを特徴とする燃料タンクの車体取付構造。
【請求項2】
前記上側溝が、前記燃料タンクの上面に沿って延長する上延長溝部を有し、
前記クッション部材と前記燃料タンクの上面との接触領域が、前記上延長溝部によって分断されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【請求項3】
前記燃料タンクが、当該燃料タンクの側面と上面とを互いに接続させるべく湾曲した上側接続壁を有し、
前記上側接続壁における前記上側溝の底面の曲率が前記上側接続壁の外面の曲率よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【請求項4】
前記上側溝が前記燃料タンクの前記上面に終端を有し、
前記クッション部材と前記燃料タンクの前記上面との接触領域が、前記上側溝を三方から囲んでいることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【請求項5】
前記燃料タンクの側面に形成され、前記燃料タンクの下面から上方に向けて前記燃料タンクの側面の少なくとも一部にわたって延びる下側溝を更に備え、
前記バンド部材が前記下側溝を跨ぐように配置されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【請求項6】
前記バンド部材が、前記燃料タンク側の面に設けられた弾性シートを含み、
前記弾性シートが前記燃料タンクの下面において前記下側溝を跨ぐように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【請求項7】
前記下側溝が、前記燃料タンクの下面に沿って延長する下延長溝部を有し、
前記弾性シートが、前記下延長溝部の全長にわたって前記下延長溝部を跨ぐように設けられていることを特徴とする請求項6に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【請求項8】
前記燃料タンクが、当該燃料タンクの側面と下面とを互いに接続させるべく湾曲した下側接続壁を有し、
前記下側接続壁における前記下側溝の底面の曲率が前記下側接続壁の外面の曲率よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【請求項9】
前記上側溝と前記下側溝とが連続していることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【請求項10】
前記燃料タンクが、当該燃料タンクの側面に形成されて左右方向に延びるピンチオフ部を有し、
前記上側溝と前記下側溝とが前記ピンチオフ部によって分断されていることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の燃料タンクの車体取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクをバンド部材によりクッション部材を介して車体に取り付ける燃料タンクの車体取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下部車体構造部材の上面に載置される燃料タンクの支持構造として、下部車体構造部材の上面にクッションゴムを介して燃料タンクが載置され、燃料タンクにバンド部材を張設すると共にバンド部材の両端を下部車体構造部材に固定することで燃料タンクを支持する構成が知られている(特許文献1)。この支持構造では、バンド部材の張設荷重(即ち、燃料タンクに対する締付力)を大きくすることで車体に対する燃料タンクの取付強度を高くすることが可能である。
【0003】
また、振動等の緩衝材としてクッションゴムを燃料タンクに取り付ける構造として、両面テープを介してクッションゴムを燃料タンクの外面に取り付ける構成が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−294150号公報
【特許文献2】特開2007−198449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、燃料タンクの材質が鋼板から樹脂へと変化する傾向にある。樹脂製の燃料タンクには、錆の発生がなく軽量である他、複雑な形状であっても低コストで量産できるといったメリットがある。一方、強度面では樹脂製の燃料タンクは鋼板製に劣る。そのため、特許文献1の構造で樹脂製の燃料タンクを車体に取り付ける場合には、バンド部材による締付力によって変形しない程度の剛性を燃料タンクに持たせる必要がある。特に、特許文献1と同様の構造で燃料タンクを車体の下面に取り付ける場合には、燃料タンクの落下防止のためにバンド部材による締付力を大きくする必要があり、側壁が座屈して圧潰するように燃料タンクが変形する虞がある。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、燃料タンクの重量増大を抑制しつつ、バンド部材による燃料タンクの変形を抑制できる燃料タンクの車体取付構造を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、燃料タンクを車体に取り付けるための取付構造であって、前記車体の下方に配置される樹脂性の燃料タンク(1)と、前記燃料タンクの下面(14)に沿って配置され、両端が前記車体に固定されるバンド部材(21)と、前記燃料タンクの側面(12)に形成され、前記燃料タンクの上面(13)から下方に向けて前記燃料タンクの側面の少なくとも一部にわたって延びる上側溝(31)と、前記燃料タンクと前記車体との間に介装され、前記上側溝を跨ぐように配置されたクッション部材(26)とを備える構成とする。
【0008】
この構成によれば、側壁の肉厚を厚くすることなく、上側溝を画成する底壁及び縦壁によって燃料タンクの側壁の剛性を高めることができる。これにより、燃料タンクの重量増大を抑制しつつ、側壁の座屈を抑制できる。また、クッション部材が上側溝を跨ぐように設けられるため、燃料タンクの上壁に発生する応力を上側溝の両側方に分散でき、上壁の変形も抑制できる。更に、上側溝の両側方で締付力を受けるために必要なクッション部材が1つで済むため、クッション部材の配置作業が容易になり、燃料タンクの車体への取付作業が容易になる。
【0009】
また、上記の構成において、前記上側溝が、前記燃料タンクの上面に沿って延長する上延長溝部(31a)を有し、前記クッション部材と前記燃料タンクの上面との接触領域(26A)が前記上延長溝部によって分断される構成とすることができる。
【0010】
この構成によれば、上側溝を深くすることなく、燃料タンクの上壁における上側溝によって剛性が高められる領域を広くでき、クッション部材をその全長にわたって剛性の高い領域に設けることができる。これにより、クッション部材が剛性の低い領域に設けられることで上壁が変形することを防止しつつ、クッション部材を大きくして燃料タンクの上壁の応力を分散することが可能になる。
【0011】
また、上記の構成において、前記燃料タンクが、当該燃料タンクの側面と上面とを互いに接続させるべく湾曲した上側接続壁(5)を有し、前記上側接続壁における前記上側溝の底面(31b)の曲率が前記上側接続壁の外面(15)の曲率よりも小さい構成とすることができる。
【0012】
この構成によれば、上壁における燃料タンクの側面から遠い部分の剛性を効果的に高めることができ、燃料タンクの変形を一層効果的に抑制できる。
【0013】
また、上記の構成において、前記上側溝が前記燃料タンクの上面に終端(31c)を有し、前記クッション部材と前記燃料タンクの上面との接触領域(26A)が、前記上側溝を三方から囲む構成とすることができる。
【0014】
この構成によれば、燃料タンクの上面に上側溝を延長できないような場合であっても、燃料タンクの上壁における上側溝によって剛性が高くなる領域の全体にクッション部材が配置され、上壁の応力が効果的に分散される。
【0015】
また、上記の構成において、前記燃料タンクの側面に形成され、前記燃料タンクの下面から上方に向けて前記燃料タンクの側面の少なくとも一部にわたって延びる下側溝(36)を更に備え、前記バンド部材が前記下側溝を跨ぐように配置された構成とすることができる。
【0016】
この構成によれば、燃料タンクの下壁におけるバンド部材の張設荷重が最も大きな締付力として加わる部分の剛性を、下側溝を画成する底壁及び縦壁によって高めることができ、側壁の座屈を抑制できる。また、バンド部材が下側溝を跨ぐように配置されるため、燃料タンクの下壁に発生する応力を分散でき、下壁の変形も抑制できる。更に、バンド部材が下側溝の底面に沿って設けられる場合に比べ、燃料タンクの側壁に発生する応力を分散できる。
【0017】
また、上記の構成において、前記バンド部材が、前記燃料タンク側の面に設けられた弾性シート(23)を含み、前記弾性シートが前記下側溝を跨ぐように設けられる構成とすることができる。
【0018】
この構成によれば、弾性シートによってバンド部材と燃料タンクとのずれが抑制される。また、弾性シートが下側溝を跨ぐように設けられるため、弾性シートが下側溝の内部で下側溝の両側方部分よりも突出し、これにより弾性シートと燃料タンクとのずれを効果的に抑制することができる。
【0019】
また、上記の構成において、前記下側溝が、前記燃料タンクの下面に沿って延長する下延長溝部(36a)を有し、前記弾性シートが、前記下延長溝部の全長にわたって前記下延長溝部を跨ぐように設けられる構成とすることができる。
【0020】
この構成によれば、燃料タンクの下壁における側面から離れた領域の剛性を高くすることができる。また、バンド部材と燃料タンクとのずれ及び弾性シートと燃料タンクとのずれが一層効果的に抑制される。
【0021】
また、上記の構成において、前記燃料タンクが、当該燃料タンクの側面と下面とを互いに接続させるべく湾曲した下側接続壁(6)を有し、前記下側接続壁における前記下側溝の底面(36b)の曲率が前記下側接続壁の外面(16)の曲率よりも小さい構成とすることができる。
【0022】
この構成によれば、下壁における燃料タンクの側面から遠い部分の剛性を効果的に高めることができ、燃料タンクの変形を一層効果的に抑制できる。
【0023】
また、上記の構成において、前記上側溝と前記下側溝とが連続する構成とすることができる。
【0024】
この構成によれば、上下方向の全体にわたって燃料タンクの側壁の剛性を高めることができる。
【0025】
また、上記の構成において、前記燃料タンクが、当該燃料タンクの側面に形成されて左右方向に延びるピンチオフ部(7)を有し、前記上側溝と前記下側溝とが前記ピンチオフ部によって分断される構成とすることができる。
【0026】
この構成によれば、ピンチオフ部の形状を複雑にすることなく、上側溝と下側溝とを形成できる。また、ピンチオフ部は他の部分に比べて肉厚で剛性が高いため、上側溝と下側溝とが分断されていても、上下方向の全体にわたって燃料タンクの側壁の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0027】
このように本発明によれば、燃料タンクの重量増大を抑制しつつ、バンド部材による燃料タンクの変形を抑制できる燃料タンクの車体取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態に係る燃料タンクの車体への取付前の状態を示す斜視図
【
図2】
図1に示す燃料タンクの車体取付状態における断面図
【
図4】
図1に示す燃料タンクの要部を示す上面図(
図2中のIV矢視図)
【
図6】
図1に示す燃料タンクの要部を示す下面図(
図2中のVI矢視図)
【
図7】第2実施形態に係る燃料タンクの車体取付状態における断面図
【
図8】第3実施形態に係る燃料タンクの車体取付状態における断面図
【
図9】
図8に示す燃料タンクの要部を示す上面図(
図8中のIX矢視図)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
≪第1実施形態≫
まず、
図1〜
図6を参照しながら本発明の第1実施形態を説明する。
図1及び
図2に示すように、燃料タンク1は、概ね直方体状の燃料貯蔵用容器であり、前壁、後壁、右壁及び左壁を有する環状の側壁2、上壁3並びに下壁4を有している。交差する方向に延在して互いに隣接する2つの壁は互いに接続されている。これら2つの壁の接続部は、本実施形態では湾曲する接続壁により構成されている。つまり、燃料タンク1は、角が丸められた直方体形状をしている。以下、上壁3と側壁2とを互いに接続させる接続壁を上側接続壁5と呼び、下壁4と側壁2とを互いに接続させる接続壁を下側接続壁6と呼ぶ。
【0031】
但し、上側接続壁5が上壁3と側壁2とのどちらに属するか、また、下側接続壁6が下壁4と側壁2とのどちらに属するかは、一義的に定まるものではない。例えば、上側接続壁5の全体が側壁2に属する、或いは上壁3に属すると考えることや、上側接続壁5の一部が上壁3に属し、残りの一部が側壁2に属すると考えることができる。下側接続壁6についても同様である。上側接続壁5の全体が側壁2に属すると考えた場合、上壁3と側壁2との境界は上側接続壁5の上端になる。一方、上側接続壁5の全体が上壁3に属すると考えた場合、上壁3と側壁2との境界は上側接続壁5の下端になる。つまり、上壁3と側壁2との境界及び下壁4と側壁2との境界は、上側接続壁5及び下側接続壁6内の任意の位置にあり得、明瞭でない。
【0032】
本明細書においては、発明の目的が側壁2の座屈を抑制することであることから、上壁3と側壁2との境界は、上側の接続壁における傾斜角度が45度の位置又は範囲以上にあるものと定義する。また、下壁4と側壁2との境界は、下側の接続壁における傾斜角度が45度の位置又は範囲以下にあるものと定義する。従って、例えば、最低でも上側接続壁5における傾斜角度が45度の位置から下方に延びるような溝が側壁2に形成されている場合には、この溝は後述する本願発明の上側溝31に相当する。同様に、最高でも下側接続壁6における傾斜角度が45度の位置から上方に延びるような溝が側壁2に形成されている場合には、この溝は後述する本願発明の下側溝36に相当する。
【0033】
以下では、便宜上、上側接続壁5の全体及び下側接続壁6の全体が側壁2に属するものとして、言い換えれば、上側接続壁5の上端が上壁3と側壁2との境界であり、下側接続壁6の下端が下壁4と側壁2との境界であるものとして説明する。
【0034】
上側接続壁5及び下側接続壁6を含む側壁2の外面は燃料タンク1の側面12をなしており、上壁3の外面は燃料タンク1の上面13を、下壁4の外面は燃料タンク1の下面14をなしている。また、上側接続壁5の外面は上側接続面15(本実施形態では、側面12のみの一部)をなし、下側接続壁6の外面は下側接続面16(本実施形態では、側面12のみの一部)をなしている。
【0035】
燃料タンク1は、例えば溶融押出法で形成された2枚の樹脂シートを上下の金型により挟み込んで真空成形法で製造される多層構造の樹脂製品であり、側壁2の上下方向の中間位置には上金型及び下金型によって挟み込まれたピンチオフ部7が環状に形成されている。実際の燃料タンク1はより複雑な形状とされ、様々な部品や装置が取り付けられているが、図にはそれらを省略して燃料タンク1を模式的に示している。
【0036】
燃料タンク1は、その下面14に沿って前後方向に延在するように配置された2本のバンド部材21が車体20(
図2参照)に架け渡されることにより車体20の下面20Lに取り付けられる。バンド部材21は、例えば冷間圧延鋼板を燃料タンク1の下面14に対応して下向きに凸となる形状にプレス成形してなる鋼製のバンド本体22と、バンド本体22の燃料タンク1側の面に取り付けられる弾性シート23(
図5参照)とを有する。つまり、バンド部材21は、燃料タンク1側の面に設けられた弾性シート23を含んでいる。
【0037】
弾性シート23は、バンド本体22の燃料タンク1に対する摩擦力を増大させる機能と、燃料タンク1のバンド本体22との接触による損傷を防止する機能とを果たすものである。本実施形態では、弾性シート23は、バンド本体22の燃料タンク1に接触する部分の全長にわたって(一方の下側接続面16の上端から他方の下側接続面16の上端まで)取り付けられる。
【0038】
バンド本体22の両端にはボルト通し孔22aが形成されており、バンド部材21が燃料タンク1の下面14に沿って配置された状態でその両端をボルト24によって車体20に固定されることにより、燃料タンク1は、バンド部材21によって所定の締付力をもって車体20に取り付けられる。
【0039】
燃料タンク1の上面13と車体20の下面20Lとの間には複数のクッション部材26が介装される。クッション部材26は、弾性を有するゴムや樹脂といったエラストマーを素材としてここでは直方体或いは長方形のシート状に形成されており、1本のバンド部材21につき2箇所の合計4箇所に配置される。クッション部材26は、燃料タンク1の上面13におけるバンド部材21の上方かつ上面13の周縁部に配置されている。本実施形態では、クッション部材26は、燃料タンク1を車体20に取り付ける前に両面テープによって燃料タンク1の上面13に貼付される。
【0040】
燃料タンク1の側面12におけるバンド部材21に対応する位置には、燃料タンク1の上面13から下方に向けてピンチオフ部7の若干上まで延びる4つの上側溝31が形成されている。バンド部材21に対応する位置とは、バンド部材21の締付力が加わる位置から燃料タンク1の外面に沿って締付力の方向に延ばした範囲である。バンド部材21が燃料タンク1の上面13の高さまで延びる図示例の場合、バンド部材21に対応する位置は、バンド部材21に対向する位置である。
【0041】
それぞれの上側溝31は、燃料タンク1の上面13に沿って延長する上延長溝部31aを有している。上側溝31は、燃料タンク1の側面12に沿って上方に向かうほど深くなっている。また、上延長溝部31aは、燃料タンク1の上面13に沿って側面12側に向かうほど深くなっている。即ち、上側接続壁5において、上側溝31の底面31bが上側接続面15よりも直線的とされている。言い換えれば、上側接続壁5における上側溝31の底面31bの曲率が上側接続面15の曲率よりも小さくなっている。
【0042】
図3に示すように、上側溝31は、燃料タンク1の上壁3や側壁2が概ね一定の厚さで湾曲形成されることにより形成される。上側溝31は、断面において直線状の底面31bをなす底壁32と、底壁32の両端から燃料タンク1の外方に向けて拡開するように延び、上側溝31の両側方の上壁3や側壁2に至る一対の縦壁33とにより画成される。クッション部材26は、上側溝31を跨ぐように燃料タンク1の上面13に設けられる。つまり、クッション部材26は、上側溝31の開口幅よりも大きな幅を有し、上側溝31の両側方で燃料タンク1の上面13に接触するように設けられる。
【0043】
図4に示すように、クッション部材26と燃料タンク1の上面13との接触領域26Aは、上延長溝部31aによって分断されている。つまり、上側溝31の上延長溝部31aがクッション部材26の長さよりも長く形成されており、燃料タンク1の上面13における上側溝31によって剛性が高められた部位にクッション部材26の全体が配置される。
【0044】
図1及び
図2に戻り、燃料タンク1の側面12におけるバンド部材21に対応する位置には、燃料タンク1の下面14から上方に向けてピンチオフ部7の若干下まで延びる4つの下側溝36が形成されている。バンド部材21に対応する位置とは、上側溝31についての上記説明と同じである。下側溝36と上側溝31とは、バンド部材21の中心を通る同一平面上に形成されており、ピンチオフ部7において分断されている。
【0045】
それぞれの下側溝36は、燃料タンク1の下面14に沿って延長する下延長溝部36aを有している。下側溝36は、燃料タンク1の側面12に沿って下方に向かうほど深くなっている。また、下延長溝部36aは、燃料タンク1の下面14に沿って側面12側に向かうほど深くなっている。即ち、下側接続壁6において、下側溝36の底面36bが下側接続面16よりも直線的とされている。言い換えれば、下側接続壁6における下側溝36の底面36bの曲率が下側接続面16の曲率よりも小さくなっている。
【0046】
図5に示すように、下側溝36は、燃料タンク1の側壁2や下壁4が概ね一定の厚さで湾曲形成されることにより形成される。下側溝36は、断面において直線状の底面36bをなす底壁37と、底壁37の両端から燃料タンク1の外方に向けて拡開するように延び、下側溝36の両側方の側壁2や下壁4に至る一対の縦壁38とにより画成される。弾性シート23は、バンド本体22と同程度の幅とされており、下側溝36を跨ぐように設けられている。つまり、弾性シート23は、下側溝36の開口幅よりも大きな幅を有し、下側溝36の両側方で燃料タンク1の下側接続面16及び下面14に接触するように設けられている。
【0047】
図6に示すように、弾性シート23は、下延長溝部36aの全長にわたって下延長溝部36aを跨ぐように設けられている。従って、下延長溝部36aが形成された部分では、弾性シート23と燃料タンク1の下面14との接触領域23Aが下延長溝部36aによって左右に分断されている。
【0048】
このように構成された燃料タンク1の車体20への取付構造によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0049】
図1及び
図2に示したように、燃料タンク1の側面12に、燃料タンク1の上面13から下方に向けて燃料タンク1の側面12の少なくとも一部にわたって延びる上側溝31が形成されているため、側壁2の肉厚が厚くされずとも、上側溝31を画成する底壁32及び縦壁33によって燃料タンク1の側壁2の剛性が高くなる。これにより、燃料タンク1の重量増大が抑制されつつ、側壁2の座屈が抑制される。また、燃料タンク1の側面12に、燃料タンク1の下面14から上方に向けて燃料タンク1の側面12の少なくとも一部にわたって延びる下側溝36が形成されているため、燃料タンク1の下壁4におけるバンド部材21の張設荷重が最も大きな締付力となって加わる部分の剛性が高くなり、側壁2の座屈が抑制される。
【0050】
また、
図3に示したように、クッション部材26が上側溝31を跨ぐように燃料タンク1の上面13に設けられていることにより、燃料タンク1の上壁3に発生する応力が分散され、上壁3の変形も抑制される。更に、上側溝31の両側方で締付力を受けるために必要なクッション部材26が1つで済むため、クッション部材26の貼付作業が容易になり、燃料タンク1の車体20への取付作業が容易になる。
【0051】
本実施形態では、
図1及び
図2に示したように、上側溝31が、燃料タンク1の上面13に沿って延長する上延長溝部31aを有し、
図4に示したように、クッション部材26と燃料タンク1の上面13との接触領域26Aが上延長溝部31aによって分断されている。そのため、上側溝31が深くされなくとも、燃料タンク1の上壁3における上側溝31によって剛性が高められる領域が広くなり、クッション部材26をその全長にわたってこの剛性の高い領域に設けることが可能になる。これにより、クッション部材26が剛性の低い領域に設けられることで上壁3が変形することが抑制されつつ、大きなクッション部材26を用いることで上壁3の応力を分散することが可能になる。
【0052】
本実施形態では、
図2に示したように、燃料タンク1が、側面12と上面13とを互いに接続させるべく湾曲した上側接続壁5を有し、上側接続壁5における上側溝31の底面31bの曲率が上側接続面15の曲率よりも小さくなっている。また、燃料タンク1が、側面12と下面14とを互いに接続させるべく湾曲した下側接続壁6を有し、下側接続壁6における下側溝36の底面36bの曲率が下側接続面16の曲率よりも小さくなっている。そのため、上壁3及び下壁4における燃料タンク1の側面12から遠い部分の剛性が効果的に高められ、燃料タンク1の変形が一層効果的に抑制される。
【0053】
本実施形態では、
図5に示したように、バンド部材21が下側溝36を跨ぐように配置されていることにより、燃料タンク1の下壁4に発生する応力が分散され、下壁4の変形も抑制される。更に、バンド部材21が下側溝36の底面36bに沿って設けられる場合に比べ、燃料タンク1の側壁2に発生する応力が分散され、上壁3の変形も抑制される。
【0054】
本実施形態では、バンド部材21の燃料タンク1側の面に弾性シート23が設けられているため、弾性シート23によってバンド部材21と燃料タンク1とのずれが抑制される。また、弾性シート23が下側溝36を跨ぐように設けられている。そのため、接触領域23Aにおける弾性シート23の弾性変形によって、弾性シート23の下側溝36に対応する部分が下側溝36の両側方の燃料タンク1の側面12や下面14よりも下側溝36内に突出する。これにより、弾性シート23と燃料タンク1とのずれが効果的に抑制される。
【0055】
本実施形態では、下側溝36が、燃料タンク1の下面14に沿って延長する下延長溝部36aを有し、弾性シート23が、下延長溝部36aの全長にわたって下延長溝部36aを跨ぐように設けられている。そのため、燃料タンク1の下壁4における側面12から離れた領域の剛性が高くなる。また、バンド部材21と燃料タンク1とのずれ及び弾性シート23と燃料タンク1とのずれが一層効果的に抑制される。
【0056】
本実施形態では、上側溝31と下側溝36とがピンチオフ部7によって上下に分断されている。そのため、ピンチオフ部7の形状を複雑にすることなく、上側溝31と下側溝36とを形成することができる。また、ピンチオフ部7が燃料タンク1の側面12において左右方向に延びるように形成されており、ピンチオフ部7は他の部分に比べて肉厚で剛性が高いため、上側溝31と下側溝36とが分断されていても、上下方向の全体にわたって燃料タンク1の側壁2の剛性を高くすることが可能である。
【0057】
≪第2実施形態≫
次に、
図7を参照しながら本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態と同様の部材や部位については同一の符号を付しており、重複する説明は省略する。第3実施形態でも同様とする。
【0058】
図7に示すように、本実施形態では、燃料タンク1の上面13から下方に向けて延びる上側溝31と、燃料タンク1の下面14から上方に向けて下側溝36とが連続し、1つの溝30を構成している。そのため、上下方向の全体にわたって燃料タンク1の側壁2の剛性が高くなる。
【0059】
≪第3実施形態≫
最後に、
図8及び
図9を参照しながら本発明の第3実施形態を説明する。
【0060】
図8に示すように、本実施形態の構造では、燃料タンク1の上面13から下方に向けて延びる上側溝31と、燃料タンク1の下面14から上方に向けて延びる下側溝36とが連続し、1つの溝30を構成する点は、第2実施形態と同一である。一方、本実施形態では、上側溝31が、燃料タンク1の上面13に終端31cを有し、上延長溝部31aを有しておらず、下側溝36が、燃料タンク1の下面14に終端36cを有し、下延長溝部36aを有していない点で、第1及び第2実施形態と異なっている。
【0061】
図9に示すように、クッション部材26は、燃料タンク1の上面13との接触領域26Aが上側溝31を三方から囲むように設けられている。つまり、クッション部材26の長さが、燃料タンク1の上面13における上側溝31の深さよりも長くされている。
【0062】
このように、燃料タンク1の上面13に上側溝31を延長できず、上側溝31が燃料タンク1の上面13に終端31cを有する場合であっても、燃料タンク1の上面13における上側溝31によって剛性が高められた部位にクッション部材26が配置され、クッション部材26の燃料タンク1の上面13との接触領域26Aが上側溝31を三方から囲むため、上壁3の応力が効果的に分散される。
【0063】
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。例えば、クッション部材26は、上記の各実施形態で説明してきたような直方体形状ではなくてよく、他の形状(例えば、
図10)であってもよい。
図10は、燃料タンク1の上面13と接触する面と、これに対向し、車体20の下面20Lと接触する面とに、複数の溝27がクッション部材26の長さの全体にわたって形成されたクッション部材26を例示している。この他、上記実施形態に示した本発明に係る各構成要素の具体的構成や数量、素材、製造方法等は、適宜変更してもよい。また、上記実施形態に示した構成を組み合わせることや、上記実施形態に示した本発明に係る構成要素の一部を適宜取捨することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 燃料タンク
5 下側接続壁
6 上側接続壁
7 ピンチオフ部
12 側面
13 上面
14 下面
15 上側接続面(下側接続壁の外面)
16 下側接続面(上側接続壁の外面)
20 車体
21 バンド部材
23 弾性シート
23A 接触領域
26 クッション部材
26A 接触領域
31 上側溝
31a 上延長溝部
31b 底面
31c 終端
36 下側溝
36a 下延長溝部
36b 底面