特許第6169811号(P6169811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169811
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】ロールシェード装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/00 20060101AFI20170724BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   B60J7/00 E
   E06B9/42 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-566101(P2016-566101)
(86)(22)【出願日】2015年12月10日
(86)【国際出願番号】JP2015084666
(87)【国際公開番号】WO2016104170
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年5月16日
(31)【優先権主張番号】特願2014-260182(P2014-260182)
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 義高
(72)【発明者】
【氏名】菊池 元
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−041873(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2934202(FR,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102007039214(DE,A1)
【文献】 国際公開第2008/014743(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/019640(WO,A1)
【文献】 特開2010−137732(JP,A)
【文献】 特開2004−044253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00
E06B 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェードと、
前記シェードの巻き取りを行うシェード巻取りロールと、
前記シェードに取り付けられるワイヤと、
前記シェード巻取りロールに対し軸心がずれて配置され、前記ワイヤの巻取りを行うワイヤ巻取りロールと、
前記ワイヤを反転させる反転プーリと、
前記シェードの開時、閉時のいずれにおいても、前記シェードおよび前記ワイヤを介さずに前記シェード巻取りロールと前記ワイヤ巻取りロールとを互いに連動回転させる連動回転手段と、
を備えていることを特徴とするロールシェード装置。
【請求項2】
前記連動回転手段は、前記シェード巻取りロールと一体回転する第1ギヤと、前記ワイヤ巻取りロールと一体回転する第2ギヤと、を備えたギヤ伝達機構から構成されることを特徴とする請求項1に記載のロールシェード装置。
【請求項3】
前記シェード巻取りロールおよび前記ワイヤ巻取りロールは、前記反転プーリとの離間距離が変動するようにスライド自在に構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロールシェード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールシェード装置の従来例として、特許文献1には、シェードと、シェードの巻き取りを行うシェード巻取りロールと、シェードの先端部に固定されるワイヤと、ワイヤの巻取りを行うワイヤ巻取りロールと、シェードの先端部とワイヤ巻取りロールとの間でワイヤを反転させる反転プーリと、シェード巻取りロールおよびワイヤ巻取りロールと、反転プーリとが互いに離間するように付勢してシェードおよびワイヤに張力を付与する張力付与手段と、を備えたロールシェード装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−272341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロールシェード装置は、ワイヤ巻取りロールがシェード巻取りロールの両端にシェード巻取りロールと同軸上に配置されている。この構造では、シェード巻取りロールの両側にワイヤ巻取りロールの配置スペースを確保する必要があるので、その分、シェード巻取りロールの幅寸法すなわちシェードの幅寸法を大きくとれないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、シェードの幅寸法を大きくとれるロールシェード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のロールシェード装置は、シェードと、前記シェードの巻き取りを行うシェード巻取りロールと、前記シェードに取り付けられるワイヤと、前記シェード巻取りロールに対し軸心がずれて配置され、前記ワイヤの巻取りを行うワイヤ巻取りロールと、前記ワイヤを反転させる反転プーリと、前記シェードの開時、閉時のいずれにおいても、前記シェードおよび前記ワイヤを介さずに前記シェード巻取りロールと前記ワイヤ巻取りロールとを互いに連動回転させる連動回転手段と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ワイヤ巻取りロールの軸心をシェード巻取りロールの軸心からずらして配置し、シェード巻取りロールとワイヤ巻取りロールとを互いに連動回転させる連動回転手段を備える構成としたことで、ワイヤ巻取りロールを、シェード巻取りロールの両側ではなくシェード巻取りロールに対しシェード開閉方向にずらして配置することが可能となる。したがって、シェード巻取りロールの両側にワイヤ巻取りロールの配置スペースが不要となる分、従来に比してシェードの幅寸法を大きくとれる。
【0008】
また、本発明のロールシェード装置は、前記連動回転手段は、前記シェード巻取りロールと一体回転する第1ギヤと、前記ワイヤ巻取りロールと一体回転する第2ギヤと、を備えたギヤ伝達機構から構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、部品点数が少なく、組み付けの容易な連動回転手段となる。
【0010】
また、本発明のロールシェード装置は、前記シェード巻取りロールおよび前記ワイヤ巻取りロールは、前記反転プーリとの離間距離が変動するようにスライド自在に構成されることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、シェード巻取りロールによるシェードの巻取り量(巻出し量)とワイヤ巻取りロールによるワイヤの巻出し量(巻取り量)との差によって生じるシェードおよびワイヤの弛み又は張り過ぎを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シェードの幅寸法を大きくとれるので、シェードで覆う開口部の幅寸法を大きくとれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るロールシェード装置の平面図であり、シェードの全閉状態を示す。
図2】本発明に係るロールシェード装置の平面図であり、シェードの全開状態を示す。
図3】本発明に係るロールシェード装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を車両に適用した形態について説明する。本発明のロールシェード装置1は、図1に示すように、車両の車室天井に形成された開口部2において採光および遮光を行う。ロールシェード装置1の上方には、通常、サンルーフ装置のガラスパネル等が取り付けられている。
【0015】
図1図3を参照して、ロールシェード装置1は、シェード3と、シェード3の巻き取りを行うシェード巻取りロール4と、シェード3に取り付けられるワイヤ5と、シェード巻取りロール4に対し軸心がずれて配置され、ワイヤ5の巻取りを行うワイヤ巻取りロール6と、ワイヤ5を反転させる反転プーリ7と、シェード巻取りロール4およびワイヤ巻取りロール6と反転プーリ7とが互いに離間するように付勢してシェード3およびワイヤ5に張力を付与する張力付与手段8と、シェード巻取りロール4とワイヤ巻取りロール6とを互いに連動回転させる連動回転手段9と、を備えている。
【0016】
シェード3自体の構造は特に限定されるものではないが、シェード3の基本的な層構成としては基材層を表皮材層で挟んだものが一般的であり、勿論このような多層構造の場合であってもシェード巻取りロール4で巻取り可能となる程度の柔軟性を有する薄布として形成されている。シェード3の先端周りには例えば車幅方向に延設した剛性体からなるステー10が形成されている。ステー10の下部側には手動操作でシェード3を開閉するための窪み状又は凸状の引手等のハンドル部11が形成されている。なお、ステー10の両端はスライドシューとして形成されており、当該スライドシューが図示しないガイドレールにガイドされつつシェード3の先端周りが前後に移動することとなる。
【0017】
シェード巻取りロール4は、軸心方向を車幅方向として開口部2の後方に回転自在に配置された円筒または円柱形状の部材であり、周面にはシェード3の基端が取り付けられている。シェード巻取りロール4は、その両端が後記する左右一対のスライダ12に回転自在に支承されている。
【0018】
ワイヤ5はシェード3の両側に左右一対として配置されており、ワイヤ5,5の各一端がステー10の両端近傍に固定されている。開口部2の前方には、軸方向を車幅方向として図示しないブラケット等に回転自在に支承された反転プーリ7が左右一対として配置されている。各ワイヤ5はステー10との固定部から前方に延び、反転プーリ7に半周だけ掛け回されて反転したうえで後方に延び、他端が各ワイヤ巻取りロール6に固定されている。
【0019】
ワイヤ巻取りロール6は、前記したようにシェード巻取りロール4に対し軸心がずれて配置されており、その軸心方向を車幅方向としてシェード巻取りロール4の後方に左右一対として設けられている。シェード巻取りロール4と同様にワイヤ巻取りロール6もスライダ12に回転自在に支承されている。ワイヤ巻取りロール6は、そのロール径が車幅方向外方に向かうにしたがい漸次縮径となる円錐台形状を呈している。なおロール表面にはワイヤ5をロールの表面に沿って螺旋状に巻き取るための螺旋溝(図示せず)が形成されている。このようにワイヤ巻取りロール6を円錐台形状としてワイヤ5を螺旋状に巻き取る構成とすれば、シェード巻取りロール4におけるシェード3の巻き取り径の増減によって起きるシェード巻取りロール4の回転速度の増減、すなわち後記する連動回転手段9を介して回転するワイヤ巻取りロール6の回転速度の増減をロール径の増減によってほぼ吸収できる。これにより、シェード3の全開閉ストロークにわたり、シェード巻取りロール4の一回転当たりのシェード3の移動量とワイヤ5の移動量をほぼ一致させることが可能となる。なお、ワイヤ巻取りロール6は、図示とは逆に、そのロール径が車幅方向内方に向かうにしたがい漸次縮径となる円錐台形状であってもよい。
【0020】
張力付与手段8は、スライダ12と、スライダ12を反転プーリ7から離間する方向、すなわち後方に常時付勢する付勢部材13と、から構成されている。スライダ12は、例えば車両前後方向に沿った横長で鉛直板状の部材から構成されており、この鉛直板状部に前記したようにシェード巻取りロール4およびワイヤ巻取りロール6が回転自在に支承されている。スライダ12が車体に取り付けたガイド部材14にガイドされることで、スライダ12が車両前後方向にスライド自在に構成されている。なお、ガイド部材14としては、前記したステー10のスライドシューをガイドするガイドレール(図示せず)を利用してもよい。そして、スライダ12の前端と、車体側の部材(例えば車体に取り付けたブラケットや前記ガイドレール等)との間には、前記付勢部材13の一例として圧縮コイルばね15が介設されている。
【0021】
本実施形態の連動回転手段9は、シェード巻取りロール4と一体回転する平歯車からなる第1ギヤ17と、ワイヤ巻取りロール6と一体回転する平歯車からなる第2ギヤ18と、を備えたギヤ伝達機構16から構成されている。シェード巻取りロール4の両端には第1ギヤ17,17が軸着されており、各第1ギヤ17,17に噛合するように各ワイヤ巻取りロール6に第2ギヤ18が軸着されている。本実施形態では第1ギヤ17と第2ギヤ18とを直接噛合させているため、シェード巻取りロール4の回転方向とワイヤ巻取りロール6の回転方向は互いに逆となる。したがって、シェード3の巻取り方向とワイヤ5の巻取り方向とが互いに逆向きの仕様となっている。しかし、例えば第1ギヤ17と第2ギヤ18との間に変換ギヤを介在させてシェード巻取りロール4の回転方向とワイヤ巻取りロール6の回転方向とを同じ向きにし、シェード3の巻取り方向とワイヤ5の巻取り方向とを同じ向きにしてもよい。
【0022】
「作用」
図3において、スライダ12は圧縮コイルばね15の弾性力により反転プーリ7から離間するように付勢されているので、ワイヤ5およびシェード3に張力が付与され、ワイヤ5およびシェード3は常に力平衡状態となる。これにより、シェード3は任意の位置で常に弛みなく位置決めされた状態が保持される。シェード3の開閉操作に伴うシェード巻取りロール4およびワイヤ巻取りロール6の回転は、第1ギヤ17と第2ギヤ18との噛合によって連動して行われる。
【0023】
本発明によれば、ワイヤ巻取りロール6の軸心をシェード巻取りロール4の軸心からずらして配置し、シェード巻取りロール4とワイヤ巻取りロール6とを互いに連動回転させる連動回転手段9を備える構成としたことで、ワイヤ巻取りロール6を、シェード巻取りロール4よりも車幅方向外方ではなくシェード巻取りロール4に対し車両前後方向にずらして配置することが可能となる。したがって、シェード巻取りロール4の両側にワイヤ巻取りロール6の配置スペースが不要となる分、シェードの幅寸法を大きくとれる。
【0024】
また、連動回転手段9を、シェード巻取りロール4と一体回転する第1ギヤ17と、ワイヤ巻取りロール6と一体回転する第2ギヤ18と、を備えたギヤ伝達機構16から構成したことで、部品点数が少なく、組み付けの容易な連動回転手段9となる。
【0025】
また、シェード巻取りロール4およびワイヤ巻取りロール6を、反転プーリ7との離間距離が変動するようにスライド自在に構成したことで、シェード巻取りロール4によるシェード3の巻取り量(巻出し量)とワイヤ巻取りロール6によるワイヤ5の巻出し量(巻取り量)との差によって生じる、シェード3およびワイヤ5の弛み又は張り過ぎを完全に防止することができる。また、シェード3およびワイヤ5に張力を付与する張力付与手段8として、部品点数が少なく、組み付けの容易な構造となる。
【0026】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。本発明は、車両に限定されることなく住宅等にも適用可能である。また、連動回転手段9としてはギヤ伝達機構16の他にベルト伝達機構等を用いることもできる。さらに、シェード3は手動開閉の他、電動開閉式であってもよい。その他、各構成要素のレイアウトや形状、個数等は図面に記載されたものに限定されることなく本発明は実施可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 ロールシェード装置
2 開口部
3 シェード
4 シェード巻取りロール
5 ワイヤ
6 ワイヤ巻取りロール
7 反転プーリ
8 張力付与手段
9 連動回転手段
16 ギヤ伝達機構
17 第1ギヤ
18 第2ギヤ
図1
図2
図3