(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スキャン条件設定部で設定したスキャン条件に基づき、前記スキャン計画作成部で作成した前記スキャンシーケンスに沿って、前記被検体のスキャン画像データを収集しスライスの断層像データを作成する再構成部、
をさらに備え、
前記時間情報取得部は、
前記スキャン計画作成部により作成された前記タイムチャートの情報を取得するとともに、前記再構成部で作成した前記断層像データにおける前記スキャン時間情報を取得する、
請求項7記載の医用画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1実施形態に係る医用画像表示装置は、スキャンシーケンスに従って撮像された医用画像と、各医用画像が撮像された時間とを関連付けた情報を扱う装置である。以下の説明では、本実施形態に係る医用画像表示装置として、X線CT装置を用いる場合の一例について示す。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るX線CT装置100の概略構成を示すブロック図である。X線CT装置100は、大きくは、スキャナ装置50及び画像処理装置60によって構成される。X線CT装置100のスキャナ装置50は、通常は検査室に設置され、被検体Pの部位に関するX線の透過データを生成するために構成される。一方、画像処理装置60は、通常は検査室に隣接する制御室に設置され、透過データを基に投影データを生成して再構成画像の生成・表示を行なうために構成される。
【0012】
スキャナ装置50は、X線管(X線源)21、絞り22、X線検出器23、DAS(data acquisition system)24、回転部25、高電圧電源26、絞り駆動装置27、回転駆動装置28、インジェクタ(造影剤注入装置)29、天板30、天板駆動装置31、及びコントローラ32を設ける。
【0013】
X線管21は、高電圧電源26から供給された管電圧に応じて金属製のターゲットに電子線を衝突させることで制動X線を発生させ、X線検出器23に向かって照射する。X線管21から照射されるX線によって、ファンビームX線やコーンビームX線が形成される。X線管21は、高電圧電源26を介したコントローラ32による制御によって、X線の照射に必要な電力が供給される。
【0014】
絞り22は、絞り駆動装置27によって、X線管21から照射されるX線のスライス方向の照射範囲を調整する。すなわち、絞り駆動装置27によって絞り22の開口を調整することによって、スライス方向のX線照射範囲を変更できる。
【0015】
X線検出器23は、チャンネル(CH)方向に複数チャンネル、スライス方向に1列のX線検出素子(電荷蓄積素子)を有する1次元アレイ型のX線検出器23(シングルスライス型検知器ともいう。)である。又は、X線検出器23は、マトリクス状、すなわち、チャンネル(CH)方向に複数チャンネル、スライス方向に複数列のX線検出素子を有する2次元アレイ型のX線検出器23(マルチスライス型検知器ともいう。)である。X線検出器23のX線検出素子は、X線管21から照射されたX線を検知する。
【0016】
DAS24は、X線検出器23の各X線検出素子が検知する透過データの信号を増幅してデジタル信号に変換する。DAS24の出力データは、スキャナ装置50のコントローラ32を介して画像処理装置60に供給される。
【0017】
回転部25は、X線管21、絞り22、X線検出器23、及びDAS24を一体として保持する。回転部25は、X線管21とX線検出器23とを対向させた状態で、X線管21、絞り22、X線検出器23、及びDAS24を一体として被検体Pの周りに回転できるように構成されている。なお、回転部25の回転中心軸と平行な方向をz軸方向、そのz軸方向に直交する平面をx軸方向、y軸方向で定義する。
【0018】
高電圧電源26は、コントローラ32による制御によって、X線の照射に必要な電力をX線管21に供給する。
【0019】
絞り駆動装置27は、コントローラ32による制御によって、絞り22におけるX線のスライス方向の照射範囲を調整する機構を有する。
【0020】
回転駆動装置28は、コントローラ32による制御によって、回転部25がその位置関係を維持した状態で空洞部の周りを回転するように回転部25を回転させる機構を有する。
【0021】
インジェクタ29は、コントローラ32による制御によって、被検体Pの患部に挿入されたカテーテル(カテーテルチューブ、図示しない)に対して造影剤を注入する装置である。
【0022】
天板30は、被検体Pを載置可能である。天板駆動装置31は、コントローラ32による制御によって、天板30をy軸方向に沿って昇降動させると共に、z軸方向に沿って進入/退避動させる機構を有する。回転部25の中央部分は開口を有し、その開口部の天板30に載置された被検体Pが挿入される。
【0023】
コントローラ32は、X線検出器23、DAS24、高電圧電源26、絞り駆動装置27、回転駆動装置28、インジェクタ29、及び天板駆動装置31等の制御を行なってスキャンを実行させる。
【0024】
画像処理装置60は、コンピュータをベースとして構成されており、制御部10、表示部12、操作部13、通信部15、記憶部16、情報記憶媒体17、画像データベース19を含み、バスによって相互に通信可能に接続されて構成されている。画像処理装置60の制御部10は、スキャナ装置50のコントローラ32と接続されて相互の動作を制御する。また画像処理装置60は、病院基幹のLAN(local area network)等のネットワークNを介して、外部装置と相互に通信可能である。
【0025】
操作部13はキーボードやマウス等であり、データの入力を行う。また操作部13は、コントローラ32を介して、スキャナ装置50の各機構の動作を指示する。通信部15は、病院内LANに接続し、外部装置との通信を行う。
【0026】
表示部12はモニタ等である。表示部12は、制御部10の制御によって生成される投影画像のデータに、患者名等の検査情報(パラメータの文字情報および目盛等)を合成し、合成信号をD/A変換後、ビデオ信号として表示する。表示部12は、制御部10から出力される透影画像を静止画像表示する参照モニタや、FOV(field of view)切り替えのためのデータ等、主にスキャナ装置50の制御を行なうためのデータを表示するシステムモニタ等を含む。
【0027】
また表示部12は、スキャン後の確認画面として、断層像データと、後述するスキャン計画作成部102で作成したスキャンシーケンスとを同時に表示する。
【0028】
記憶部16は、制御部10や通信部15などのワーク領域となるもので、RAM(Random Access Memory)などにより実現できる。
【0029】
情報記憶媒体17(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、ハードディスク、或いはメモリ(Flash Memory、ROM:Read Only Memory)などにより実現できる。情報記憶媒体17には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)、複数のアプリケーション等が記憶される。
【0030】
制御部10は、全体の制御を司り、様々な演算処理や制御処理などを行う演算装置である。制御部10の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。制御部10は、情報記憶媒体17に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。
【0031】
制御部10は、スキャン条件設定部101、スキャン計画作成部102、前処理部103、再構成部104、時間情報取得部105、指標部106、画像束ね部107、表示切替部108を含む。
【0032】
スキャン条件設定部101は、被検体のスキャン条件を設定する。このスキャン条件としては、スキャンの種類を区別するスキャンモード、管電圧、管電流、撮影視野の直径(S−FOV)、再構成視野の直径(D−FOV)、撮影スライス厚、再構成スライス厚、ヘリカルピッチ、スライス枚数、スキャン開始時点からの経過時間を表すスタートタイム、隣り合うスキャンエレメントの時間間隔を表す待ち時間、S&S等においてスキャンエレメント内でのX線発生のインターバルを表す休止時間などの非常に多くの設定項目が含まれる。スキャンモードには、典型的には、スキャノ撮影、ダイナミックスキャン、S&Sスキャン、ヘリカルスキャンが含まれる。
【0033】
スキャン計画作成部102は、スキャン条件設定部101で設定されたスキャン条件下で、スキャン計画として被検体Pのスキャンが行われるスキャンシーケンスを、例えば線量変化のタイムチャートで作成する。詳細は後述する。
【0034】
前処理部103は、スキャナ装置50のDAS24からコントローラ32を介して出力された生データ(スキャンデータ)に対して対数変換処理や、感度補正等の補正処理(前処理)を行なって投影データを生成する。
【0035】
再構成部104は、前処理部103で生成された投影データに、例えばファンビーム再構成方式またはコーンビーム再構成方式といった再構成処理を施してスライスの断層像データを生成(再構成)し、1スキャンにおける薄い複数枚のスライスの断層像データを1スタックとして画像データベース19に格納する。
【0036】
時間情報取得部105は、スキャン計画作成部102からスキャンシーケンスの情報を取得する。また、時間情報取得部105は、スキャナ装置50のDAS24から出力されたスキャンデータにおけるスキャン時間情報を取得し、画像データベース19に対応する断層像データとともに格納する。
【0037】
指標部106は、時間情報取得部105で取得し画像データベース19に格納された、所定の断層像データと対応する時間情報に基づき、表示部12に表示したスキャンシーケンスである線量変化のタイムチャートの、該当する位置を示す例えば表示バーなどの画像を表示させる。また指標部106は、断層像データが作成されていないスキャンシーケンス上の該当する位置を指示する。詳細は後述する。
【0038】
画像束ね部107は、スキャン条件設定部101で設定した同じスキャン条件、かつ連続したスキャン時間における複数のスタックの断層像データを束ねて1つのスタックとする。束ねたスタックは、複数のスタックの時間情報を足し合わせている。
【0039】
表示切替部108は、画像束ね部107で複数のスタックの断層像データを束ねた1つのスタックについて、各スタックの持つスキャン時間情報に基づいたタイムチャートの表示の有無を切り替える。詳細は後述する。
【0040】
画像データベース19は、再構成部104で再構成処理された、1スキャンにおける断層像データを1スタックとして格納する。また画像データベース19は、時間情報取得部105で取得したスキャン時間情報を対応する断層像データとともに格納する。
【0041】
次に、上記構成のX線CT装置100の動作について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
スキャン条件設定部101は、被検体Pをスキャンするための、スキャンモードや管電圧、スライス厚といった各種条件を設定する(ステップS101)。次にスキャン計画作成部102は、スキャン計画として、ステップS101でスキャン条件設定部101が設定した各種スキャン条件下における、被検体Pのスキャンシーケンスを、線量変化のタイムチャートで作成する(ステップS103)。
【0043】
図4にスキャン計画における線量変化のタイムチャートを表示した例を示す。(A)は連続スキャンを行う時間t
a1-t
a2と線量を示す。被検体Pへの被曝を極力少なくするため、(A)の連続スキャンにおけるスキャン計画は、線量は多くても短時間でスキャンが行われるように計画される。
【0044】
(B)は、短いインターバルで間欠スキャンを行う時間t
b1-t
b2と線量を示す。(B)では、時間t
b1-t
b2の間に6回スキャンを行うため、1回あたりの線量は(A)の連続スキャンよりも小さくしている。また1回あたりのスキャンの時間は短く、6回のスキャンの合計時間は(A)よりも長くなるように計画される。
【0045】
(C)は、(B)よりも長いインターバルで間欠スキャンを行う時間t
c1-t
c2と線量を示す。(C)では、(B)よりも長い時間の間に6回スキャンを行うため、1回あたりの線量は(B)よりも小さくしている。また1回あたりの時間は(B)よりも長く、6回のスキャンの合計時間も(B)より長くなるように計画される。
【0046】
なお、
図4では縦軸を管電流としているが、線量を表す他の指標で表示してもよい。
【0047】
図3に戻り、次に制御部10は、コントローラ32を介してスキャナ装置50の動作を制御し、被検体PについてステップS103で作成したスキャン計画に沿ってスキャンを行い(ステップS105)、DAS24からコントローラ32を介して出力されたスキャンデータ(生データ)を収集する。このとき、時間情報取得部105は、スキャンデータのスキャン時間情報を取得する(ステップS106)。
【0048】
次に前処理部103は、ステップS105で収集した生データに、対数変換処理や補正処理を行って投影データを生成する(ステップS107)。次に再構成部104は、前処理部103がステップS107で生成した投影データに再構成処理を施して、スライスの断層像データを作成し、1回のスキャンにおける薄い複数枚のスライスの断層像データを1スタックとして画像データベース19に格納する(ステップS109)。
【0049】
次に時間情報取得部105は、ステップS103で作成されたスキャン計画のスキャンシーケンスを示すタイムチャートの情報を取得する。また、ステップS106で取得したスキャン時間情報を、ステップS109で画像データベース19に格納した断層像データに対応させて格納する(ステップS111)。
【0050】
次に表示部12は、スキャン後の確認画面に、ステップS111で画像データベース19に格納した、スキャン時間情報を有する断層像データと、スキャン計画のタイムチャートとを同時に表示する(ステップS113)。このとき、断層像データは1スタック毎に表示される。表示部12に表示された断層像データの1スタックが操作部13を介して選択されると(ステップS115で「Yes」)、指標部106は、この断層像データの有する時間情報から、タイムチャートの該当する位置に点線の表示バーで指示する(ステップS117)。
【0051】
図5に、表示部12に表示される確認画面の一例を示す。画面左上領域(a)は各種表示ボタン、患者選択ボタン、および各モダリティからの画像A,B,C,Dを、画面を4分割にして表示したうち、どの画像の詳細を見ているかを示す表示がされている。
図5では、太枠で囲んだ画像Aの詳細を表示していることを示している。画面右上領域(b)は脳のCT画像を表示し、右下領域(d)は領域(b)の脳のCT画像を含んだスライスの断層像データをスタック毎に表示している。左下領域(c)は
図4に示したスキャン計画における線量変化のタイムチャートと、スキャンの詳細情報を示している。
【0052】
図5の領域(d)には、領域(c)(
図4)に表示されるスキャン計画に沿って、断層像データのスタックが表示される。この断層像データのスタックには、スキャン時間が例えばデータに重畳して表示されている。領域(d)の1段目には、
図4(A)の連続スキャン時の断層像データのスタックが表示される。2段目には、
図4(B)の短いインターバルにおける間欠スキャン時の断層像データのスタックが表示される。このときのスキャンは6回行われているので、スタックも6個有する。3段目には、
図4(C)の長いインターバルにおける間欠スキャン時の断層像データのスタックが表示される。このときのスキャンも6回行われているので、スタックも6個有する。
【0053】
例えば、
図5の領域(d)において、2段目の2つめのスタックが選択されると、領域(c)に表示されるタイムチャートでは、選択したスタックがスキャンされた時間の位置(ここでは短いインターバルの間欠スキャン(B)の2つめの位置)に点線の表示バーを表示する。
【0054】
また、画像束ね部107が、同じスキャン条件、かつ連続したスキャン時間である複数のスタックを束ねて1つのスタック(束ねスタック)とし、領域(d)に表示してもよい(
図5参照)。複数のスタックを束ねることによって、画像自体のノイズが軽減され、例えば血管の流入、流出の様子がより鮮明になる。
【0055】
領域(d)の4段目以降には、1段目から3段目までの断層像データを段別にそれぞれ束ねた場合や、再構成した場合の断層像データを表示している。
図5では例として、画像束ね部107が、連続した時間でスキャンされた2段目の断層像データにおいて、データの先頭から時間方向に3スタック毎に束ね、1つの束ねスタックにしたものを4段目に表示する。
【0056】
領域(d)では、任意の断層像データを再構成した場合等に、元々の断層像データのスキャン時間に関係なく、断層像データが作成された順に下段に表示される。再構成した断層像データのスタックが選択された場合も、領域(c)に表示されるタイムチャートの、該当するスキャン時間の位置に表示バーで表示される。
【0057】
よって、領域(d)で断層像データがスキャンした時間の順番に並んで表示されていなくても、領域(c)のタイムチャート上で、どのスキャン時間における断層像データなのか直ぐに判断することができる。
【0058】
なお、複数のスタックを束ねている、1つの束ねスタックが選択された場合では、領域(c)のタイムチャート上で、束ねスタックを構成する複数のスタックに該当する複数のスキャンシーケンスの時間帯を示すよう表示してもよい。
図6の領域(c)にこの場合の例を示す。
【0059】
なお、表示切替部108は、領域(d)における断層像データを束ねた束ねスタックについて、タイムスケール表示を行うようにしてもよい。
図6の領域(d)に、タイムスケール表示を行った場合の確認画面の例を示す。
図6の領域(d)の4段目は、
図5同様、2段目の断層像データの先頭から順に3スタック毎に束ねて1つの束ねスタックにしており、4段目の各スタックは、各束ねスタックを構成する3スタック分の時間情報を足し合わせて、それぞれタイムスケール表示を行っている。このとき、領域(c)におけるスキャンの詳細情報では、タイムスケールが「ON」表示となる。また、表示切替部108がタイムスケール表示の有無を切り替えて、確認画面に表示させてもよい。
【0060】
ここで、タイムスケール表示とは、束ねスタックを表示する際に、束ねスタックを構成する医用画像が撮像された期間を示す画像(図
6の矢印画像参照)とあわせて束ねスタックを表示することをいうものとする。
【0061】
領域(d)の4段目の断層像データは、2段目の断層像データの、対応する各3スタックを束ねていることを示しており、3スタック分の時間情報を有していることになる。タイムスケール表示により、2段目の断層像データの下に、束ねた断層像データの対応する時間幅を表示することで、スタックした画像、また画像の持つ時間範囲を領域(d)上でも視覚的に確認することができる。
【0062】
なお、束ねスタックは、
図5の領域(d)に示すように最下段に表示してもよいし、束ねスタックを構成する複数のスタックを表示する段に隣接する上下いずれかの段に表示してもよい。たとえば、2段目の複数のスタックを束ねて束ねスタックを生成する場合を考える。この場合、この束ねスタックは2段目の1段下の3段目に表示し、3段目以降に表示されていた断層像データをそれぞれ1段ずつ下に繰り下げてもよい。また、この束ねスタックを2段目に表示し、2段目以降に表示されていた断層像データをそれぞれ1段ずつ下に繰り下げてもよい。
【0063】
なお、
図4のスキャン計画に沿ってスキャンを行った際に、被検体Pが体動したために、生成した断層像データにおいてノイズが多く使用できない場合、指標部106は、
図5または
図6の領域(c)に表示したタイムチャート上で体動した部分を指定してもよい。この場合のタイムチャートの表示例を
図7に示す。
図7において、間欠スキャン(B)の4つめのスキャン時に、被検体Pの体動があったとする。この時、再構成部104で断層像データを作成しようとすると、体動部分で不連続なスライスデータの重ね合わせとなるので、スタックを生成できず、4つめの断層像データは作成されない。最終的に断層像データは、1つ減った5個のみとなる。このとき指標部106は、タイムチャート上で体動した部分のスキャンシーケンスを指定する。
図7では、間欠スキャン(B)の4つめのスキャンシーケンスを矢印で示している。
【0064】
よって、領域(d)では断層像データが表示されていなくても、領域(c)のタイムチャートにより、どのスキャンが不具合で削除されたかを表示することができるので、視覚的に判断することができる。
【0065】
本実施形態に係るX線CT装置100によれば、スキャン計画をスキャンシーケンスとして作成し、このスキャン計画に沿ってスキャンを行って断層像データを得ると共に、対応するスキャン時間情報を取得して格納する。スキャン後の確認画面で、断層像データと、スキャンシーケンスを同時に表示し、所定の断層像データに対応するスキャン時間を、スキャンシーケンス上に表示する。よって、操作者は、スキャンにより収集された画像の時間情報を、操作者が見て確認することができる。したがって、本実施形態に係るX線CT装置100によれば、操作者は、スキャン後の画像の持つ時間情報を直感的に理解することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る医用画像表示装置の第2実施形態について説明する。
【0067】
第2実施形態に係る医用画像表示装置は、医用画像と、各医用画像が撮像された時間とを関連付けた情報を扱う装置である。以下の説明では、本実施形態に係る医用画像表示装置として第1実施形態と同様のX線CT装置100を用いる場合の一例について示す。
【0068】
この第2実施形態に示すX線CT装置100は、スキャンシーケンスの情報について必要とはせず付加的に用いる点で第1実施形態に示すX線CT装置100と異なる。他の構成および作用については
図1に示すX線CT装置100と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
図8は、第2実施形態に係るX線CT装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
図3と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0070】
ステップS201において、表示部12は、スキャン後の確認画面に、画像データベース19に格納されたスキャン時間情報を有する断層像データを表示する。
【0071】
図9は、束ねスタックを含む確認画面の他の例を示す説明図である。
【0072】
ステップS203において、画像束ね部107は、同じスキャン条件、かつ連続したスキャン時間である複数のスタックを束ねた束ねスタックを生成し、領域(d)に表示する(
図9参照)。複数のスタックを束ねることによって、画像自体のノイズが軽減され、例えば血管の流入、流出の様子がより鮮明になる。
図9には、2段目の断層像データの先頭から順に3スタック毎に束ねて1つの束ねスタックとし、この束ねスタックを4段目(最下段)に表示する場合の例について示した。
【0073】
図10は、束ねスタックのタイムスケール表示を含む確認画面の他の例を示す説明図である。
【0074】
ステップS205において、表示切替部108は、領域(d)における断層像データを束ねた束ねスタックについて、タイムスケール表示を行う(
図10参照)。
【0075】
図10の領域(d)の4段目には、
図9同様、2段目の断層像データの先頭から順に3スタック毎に束ねて1つの束ねスタックにする場合の例について示した。
図10の領域(d)の4段目の各スタックは、各束ねスタックを構成する3スタック分の時間情報を足し合わせた束ねスタックである。表示切替部108は、束ねスタックを構成する複数のスタックの時間情報にもとづいて、タイムスケール表示を行う。このとき、領域(c)におけるスキャンの詳細情報では、タイムスケールが「ON」表示となる。また、表示切替部108がタイムスケール表示の有無を切り替えて、確認画面に表示させてもよい。
【0076】
領域(d)の4段目の断層像データは、2段目の断層像データの、対応する各3スタックを束ねていることを示しており、3スタック分の時間情報を有していることになる。タイムスケール表示により、2段目の断層像データの下に、束ねた断層像データの対応する時間幅を表示することで、スタックした画像、また画像の持つ時間範囲を領域(d)上でも視覚的に確認することができる。
【0077】
なお、束ねスタックおよび束ねスタックのタイムスケール表示は、
図9および
図10の領域(d)に示すように最下段に表示してもよいし、束ねスタックを構成する複数のスタックを表示する段に隣接する上下いずれかの段に表示してもよい。たとえば、2段目の複数のスタックを束ねて束ねスタックを生成する場合を考える。この場合、この束ねスタックは2段目の1段下の3段目に表示し、3段目以降に表示されていた断層像データをそれぞれ1段ずつ下に繰り下げてもよい。また、この束ねスタックを2段目に表示し、2段目以降に表示されていた断層像データをそれぞれ1段ずつ下に繰り下げてもよい。
【0078】
以上の手順により、スキャンシーケンスの情報を用いずとも、複数のスタックを束ねた束ねスタックのタイムスケール表示を行うことができる。
【0079】
第2実施形態に係るX線CT装置100は、スキャンシーケンスの情報を用いることなく、複数のスタックを束ねた束ねスタックのタイムスケール表示を行うことができる。ユーザは、束ねスタックのタイムスケール表示(
図10の領域(d)参照)を見ることによって、各束ねスタックの時間情報を容易に確認することができるとともに、束ねスタックと束ねスタックを構成する複数のスタックとの関係を容易に確認することができる。
【0080】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。