特許第6169851号(P6169851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169851
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】油溶性消臭剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20170713BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20170713BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20170713BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170713BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20170713BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20170713BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20170713BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   A61L9/01 H
   C11B9/00 T
   C11B9/00 S
   A61K8/37
   A61K8/34
   A61K8/39
   A61K8/31
   A61Q15/00
   A61Q5/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-11062(P2013-11062)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-140523(P2014-140523A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年11月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 一広
(72)【発明者】
【氏名】川野 貴志
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−303090(JP,A)
【文献】 特開2002−241237(JP,A)
【文献】 特開2003−020561(JP,A)
【文献】 特開2001−198205(JP,A)
【文献】 特開2003−321697(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0228250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00− 9/22
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
C11B 1/00−15/00
C11C 1/00− 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A群及びB群のそれぞれの群から少なくとも1つ選ばれる化合物を含むことを特徴とする油溶性消臭剤組成物。
A群:シトロネリルフォーメート、ゲラニルフォーメート、ベンジルフォーメート、フェニルエチルフォーメート;
B群:ジプロピレングリコール、イソパラフィン。
【請求項2】
A群から少なくとも1つ選ばれる化合物、及びB群から少なくとも1つ選ばれる化合物を、それぞれ20〜80重量%含む請求項1に記載の油溶性消臭剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア及びアミン類等の臭気を有効に除去しうる油溶性消臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アミン類の臭気を除去する目的で使用される油溶性消臭剤としては、メタアクリル酸のエステル類(特許文献1、特許文献2)、香料組成物のアルデヒド類等(特許文献3)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭48−44441号公報
【特許文献2】特開平1−129854号公報
【特許文献3】特開2001−303090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メタアクリル酸エステル類として一般に用いられているラウリルメタアクリレートは、アミン類の臭気に対して消臭効果が弱いという欠点を有している。また、アルデヒド類などは、アミン類の臭気に消臭効果を示すが、消臭効果を示す物質には特有の強い刺激臭があり使用者に不快感を与えるため、その使用方法が限定されるという欠点がある。
したがって、本発明の目的は、安全性が高く、かつ効率良くアンモニア及びアミン類等の臭気を除去することができ、刺激臭などがない油溶性消臭剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、炭素数5以上のギ酸エステル、及び20℃において蒸気圧が5kPa以下の有機溶剤の2つの成分を含む組成物が、アンモニア、トリメチルアミン等のアミン類の臭気に対して優れた消臭効果を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の内容を含むものである。
1.炭素数が5以上のギ酸エステル類から成る群、及び20℃において蒸気圧が5kPa以下の有機溶剤から成る群、のそれぞれの群から少なくとも1つ選ばれる化合物を含むことを特徴とする油溶性消臭剤組成物。
2.前記1記載の油溶性消臭剤組成物中に、炭素数が5以上のギ酸エステル類から成る群から少なくとも1つ選ばれる化合物を20重量%以上含む油溶性消臭剤組成物。
3.前記2記載の油溶性消臭剤組成物中に、炭素数5以上のギ酸エステルがA群から、有機溶剤がB群から、それぞれ少なくとも1つ選ばれることを特徴とする油溶性消臭剤組成物。
A群:ブチルフォーメート、アミルフォーメート、イソアミルフォーメート、ヘキシルフォーメート、シス−3−ヘキセニルフォーメート、オクチルフォーメート、リナリルフォーメート、シトロネリルフォーメート、ゲラニルフォーメート、ネリルフォーメート、ロジニルフォーメート、テルピニルフォーメート、セドリルフォーメート、ベンジルフォーメート、シンナミルフォーメート、フェニルエチルフォーメート、アニシルフォーメート、オイゲニルフォーメート、シクロヘキシルフォーメート;
B群:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ベンジルアルコール、エチルカルビトール(ジエチレングリコ−ルモノエチルエーテル)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、イソパラフィン、パラフィン、安息香酸ベンジル、トリエチルシトレート、ミリスチン酸イソプロピル。
4.消臭対象がアンモニア及びアミン類である前記1〜3に記載の油溶性消臭剤組成物。
5.前記1〜4に記載の油溶性消臭剤組成物を含む芳香剤製品。
6.前記1〜4に記載の油溶性消臭剤組成物を含むハウスホールド製品。
7.前記1〜4に記載の油溶性消臭剤組成物を含むトイレタリー製品。
【発明の効果】
【0006】
本発明の油溶性消臭剤組成物は、特定のギ酸エステルを消臭有効成分として、及び特定の有機溶剤を揮発調整成分として含有することにより、従来の油溶性消臭剤組成物と比較して刺激臭がなく、かつアンモニア、トリメチルアミン等のアミン類の臭気に優れた消臭効果を示す。
また、本発明の油溶性消臭剤組成物は揮発性を有し、消臭成分を気相空間中に放出することにより、高範囲かつ高効率の消臭が可能となる。
また、本発明の油溶性消臭剤組成物は、ギ酸エステル類と有機溶剤の選択により溶解度や粘度の調整が可能であり、幅広い製品形態への応用が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、「重量%」は「質量%」と同義である。
本発明の油溶性消臭剤組成物は、有効成分として(a)炭素数5以上のギ酸エステル及び(b)20℃において蒸気圧が5kPa以下の有機溶剤の(a)及び(b)の2つの群からそれぞれ少なくとも一つ選ばれる化合物を有効成分として含有する。
炭素数5以上のギ酸エステルとしては、ギ酸由来のホルミルオキシ基以外のエステル残基の炭素数が4以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上のものが挙げられる。
具体的なギ酸エステルとしては、ブチルフォーメート、アミルフォーメート、イソアミルフォーメート、ヘキシルフォーメート、シス−3−ヘキセニルフォーメート、オクチルフォーメート、リナリルフォーメート、シトロネリルフォーメート、ゲラニルフォーメート、ネリルフォーメート、ロジニルフォーメート、テルピニルフォーメート、セドリルフォーメート、ベンジルフォーメート、シンナミルフォーメート、フェニルエチルフォーメート、アニシルフォーメート、オイゲニルフォーメート、シクロヘキシルフォーメート等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物におけるギ酸エステルの配合量は、厳密に制限されるものではなく、消臭するアンモニア、アミン類の濃度によって異なるが、5重量%以上が好ましく、5〜80重量%であることがより好ましく、20〜80重量%であることがさらに好ましい。
【0008】
20℃において蒸気圧が5kPa以下の有機溶剤としては、モノアルコール及びポリアルコールもしくはそれらのアルキルエーテル、脂肪族カルボン酸(ギ酸を除く)エステル、芳香族カルボン酸エステル、流動パラフィン等が挙げられる。
具体的な有機溶剤としては、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ベンジルアルコール、エチルカルビトール(ジエチレングリコ−ルモノエチルエーテル)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、イソパラフィン、パラフィン、安息香酸ベンジル、トリエチルシトレート、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物における有機溶剤の配合量は、厳密に制限されるものではなく、消臭するアンモニア、アミン類の濃度によって異なるが、95重量%以下が好ましく、20〜95重量%であることがより好ましく、20〜80重量%であることがさらに好ましい。
【0009】
本発明の油溶性消臭剤組成物は、さらに他の消臭剤と組み合わせて用いることができる。また、油脂類、ロウ類、炭化水素類、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、エーテル類、エステル類、ケトン類、脂肪酸類等の溶剤、並びに酸化防止剤、光安定化剤、pH調整剤、防腐剤、香料、界面活性剤、色素、紫外線吸収剤、抗菌剤、ゲル化剤及び増粘剤等の通常の添加剤を本発明の油溶性消臭剤組成物に加えることもできる。
【0010】
油脂類としては、例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、硬化油、ヤシ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、大豆油及びゴマ油等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対する油脂類の添加量は、厳密には制限されないが、0.1重量%以上とすることが好ましい。
ロウ類としては、例えば、キャンデリラロウ、ホホバ油及びミツロウ等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するロウ類の添加量は、厳密には制限されないが、0.1重量%以上とすることが好ましい。
炭化水素類としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、パラフィン、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、イソヘキサン、ノルマルデカン及びノルマルヘプタン等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対する炭化水素類の添加量は、厳密には制限されないが、0.1重量%以上とすることが好ましい。
【0011】
アルコール類としては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソステアリルアルコール及び1,3−ブタンジオール等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するアルコール類の添加量は、厳密には制限されないが、0.1重量%以上とすることが好ましい。
グリコール類としては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、ブチレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するグリコール類の添加量は、0.1重量%以上とすることが好ましい。
グリコールエーテル類としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジモノメチルエーテル及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するグリコールエーテル類の添加量は、0.1重量%以上とすることが好ましい。
【0012】
グリコールエステル類としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するグリコールエステル類の添加量は、0.1重量%以上とすることが好ましい。
エーテル類としては、例えば、ブチルカルビトール及び2−メトキシエタノール等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するエーテル類の添加量は、0.1重量%以上とすることが好ましい。
エステル類としては、例えば、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、オレイン酸デシル及びフタル酸ジエチル等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するエステル類の添加量は、0.1重量%以上とすることが好ましい。
ケトン類としては、例えば、アセトン、ダイアセトンアルコール及びシクロヘキサノン等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するケトン類の添加量は、0.1重量%以上とすることが好ましい。
【0013】
脂肪酸類としては、例えば、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸及びヤシ油脂肪酸等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対するケトン類の添加量は、0.1重量%以上とすることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対する界面活性剤の添加量は、厳密には制限されないが、香料の可溶化の観点から0.1重量%以上とすることが好ましい。
香料としては、例えば、レモンオイル、オレンジオイル、ライムオイル、ベルガモットオイル、ラバンジンオイル、ラベンダーオイル、ゼラニウムオイル、ローズオイル及びサンダルウッドオイル等の天然精油、α−ピネン、β−ピネン、リモネン及びp−サイメンツヨン等の炭化水素類、オクタノール及びp−tert−ブチルシクロヘキサノールなどの脂肪族アルコール、メントール、シトロネロール及びゲラニオール等のテルペン系アルコール類、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコールなどの芳香族アルコール類、脂肪族アルデヒド類、テルペン系アルデヒド類、芳香族アルデヒド類、アセタール類、鎖式ケトン類、ダマスコン、β−ヨノン及びメチルヨノン等の環式ケトン類、カルボン、メントン、イソメントン及びカンファー等のテルペン系ケトン類、アセトフェノン及びラズベリーケトン等の芳香族ケトン類、ジベンジルエーテルなどのエーテル類、リナロールオキサイド及びローズオキサイド等のオキサイド類、シクロペンタデカノリド及びシクロヘキサデカノリド等のムスク類、γ−ノナラクトン、γ−ウンデカラクトン及びクマリン等のラクトン類、酢酸エステル及びプロピオン酸エステル等の脂肪族エステル類、安息香酸エステル及びフェニル酢酸エステル等の芳香族エステル等が挙げられる。本発明の油溶性消臭剤組成物に対する香料の添加量は、0.001重量%以上とすることが好ましい。
【0014】
本発明の油溶性消臭剤組成物は、公知の担体と組み合わせることができる。担体としては、例えば、アルコール類、グリコール類、油脂類、ロウ類、炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、エーテル類、エステル類、ケトン類等の溶剤、及び香料組成物等の液体担体、LPG等のガス担体、並びにケイ酸カルシウム、シリカゲル、ゲル化剤、及び増粘剤等の固体担体が挙げられる。
本発明の油溶性消臭剤組成物の担体中の含有量は、厳密に制限されるものではなく、悪臭の濃度によって異なるが、0.001〜50重量%であることが好ましく、0.001〜30重量%であることがより好ましい。
また、油溶性消臭剤組成物の形態は、使用に応じて液状、粉状、ゲル状、粒状及びエアゾール等とすることができる。
【0015】
本発明の消臭剤組成物は油性であるが、界面活性剤、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、エーテル類、エステル類、ケトン類、脂肪酸等の溶剤及び香料組成物等と組み合わせることにより、水溶性成分にも配合することができる。
前記成分の配合により、油溶性、水溶性のいずれの最終製品にも使用することができる。
【0016】
本発明の油溶性消臭剤組成物は、そのままでも消臭剤及び脱臭剤等の最終製品として使用することができる。すなわち、本発明の油溶性消臭剤組成物は、消臭剤用油溶性組成物及び脱臭剤用油溶性組成物等として用いることができる。
本発明の油溶性消臭剤組成物は、芳香剤製品、ハウスホールド製品及びトイレタリー製品等の最終製品に添加することができる。
芳香剤製品としては、例えば、液体芳香剤、ゲル状芳香剤、粉末状芳香剤、含浸芳香剤、ミスト状芳香剤、エアゾール状芳香剤及び熱蒸散式芳香剤などが挙げられる。
本発明の油溶性消臭剤組成物の芳香剤製品における含有量は、厳密に制限されるものではなく、悪臭の濃度によって異なるが、芳香剤製品の全重量に対して、0.001〜100重量%であることが好ましく、0.001〜10重量%であることがより好ましい。
【0017】
ハウスホールド製品としては、例えば、消臭スプレー、衣類用洗剤、衣類用漂白剤、衣類用柔軟剤、食器用洗剤、浴室用洗浄剤及びトイレ洗浄剤などが挙げられる。
本発明の油溶性消臭剤組成物のハウスホールド製品における含有量は、厳密に制限されるものではなく、悪臭濃度によって異なるが、ハウスホールド製品の全重量に対して、0.001〜30重量%であることが好ましく、0.001〜10重量%であることがより好ましい。
トイレタリー製品としては、例えば、身体洗浄剤、デオドラント剤、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、ブリーチ剤、パーマネント剤及びヘアカラー剤などが挙げられる。
本発明の油溶性消臭剤組成物のトイレタリー製品における含有量は、厳密に制限されるものではなく、悪臭の濃度によって異なるが、トイレタリー製品の全重量に対して、0.001〜30重量%であることが好ましく、0.001〜10重量%であることがより好ましい。
【0018】
本発明の油溶性消臭剤組成物は、生ゴミ用、衣類用、冷蔵庫用、たんす・クローゼット・押入れ用、室内用、車内用、トイレ用、浴室用、ペット用品用、工場内用、工業廃液用、空気清浄機、空調機、脱臭機、送・排風機用のフィルター、下水処理場、家畜舎及び塵芥処理場等の消臭または脱臭に利用することができる。
本発明の油溶性消臭剤組成物は、アンモニア及びトリメチルアミン等のアミン類の消臭効果に優れており、これらの悪臭成分を多く含み、日常の生活環境から生ずるトイレ臭、汚物臭、室内臭またはペット臭に本発明の油溶性消臭剤組成物を適用すると、消臭効果が機能して悪臭の発生を効果的に防止できる。
【実施例】
【0019】
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0020】
(実施例1−1〜1−4及び比較例1)
<アンモニアに対する化学的消臭効果試験>
表1に示した配合処方に従い油溶性消臭剤組成物を調製した。表中の配合量は重量%で示した。
実施例1−1〜1−4及び比較例1のそれぞれの試料をフィルターペーパーφ55mmに1.0g滴下し、5Lテドラーバッグ内に入れて密封した。また、試料を滴下していないフィルターペーパーφ55mmを5Lテドラーバッグ内に入れて密封したものをコントロールとした。続いて、それぞれのテドラーバッグ内の空気を抜き、あらかじめ調製しておいた80ppmアンモニアガスを5Lずつ注入して再度密閉した。2時間放置した後に(株)ガステック製ガス検知管にてアンモニア濃度を測定し、下記に示す式により消臭率を求めた。
(消臭率の算出式)
消臭率(%)={(C−S)/C}×100
S:被験試料を含むテドラーバッグ内の臭気ガス濃度
C:コントロールのテドラーバッグ内の臭気ガス濃度
以上の結果を表1に示す。
【0021】
表1:油溶性消臭剤組成物の処方
【0022】
【表1】
【0023】
表1が示すように、炭素数が5以上のギ酸エステル類から成る群、及び20℃において蒸気圧が5kPa以下の有機溶剤から成る群、のそれぞれの群から少なくとも1つ選ばれる化合物を含む実施例1−1〜1−4は、先行技術である比較例1と比べて、アンモニアに対する高い消臭効果を示した。
また、実施例1−1と1−2及び実施例1−3と1−4を比較すると明らかなように、炭素数が5以上のギ酸エステル類から成る群から少なくとも1つ選ばれる化合物を20重量%以上含む油溶性消臭剤組成物は、20重量%以下のものと比べて特に高い消臭効果を示した。
【0024】
(実施例2−1〜2−4及び比較例2)
<トリメチルアミンに対する化学的消臭効果試験>
表2に示した配合処方に従い油溶性消臭剤組成物を調製した。表中の配合量は重量%で示した。
悪臭物質としてトリメチルアミンを用いる以外は、実施例1−1〜1−4及び比較例1と同様の調製方法を行い、トリメチルアミンに対する消臭効果を測定した。なおトリメチルアミンの初期濃度は20ppmとした。結果を表2に示す。
【0025】
表2:油溶性消臭剤組成物の処方
【0026】
【表2】
【0027】
表2が示すように、炭素数が5以上のギ酸エステル類から成る群、及び20℃において蒸気圧が5kPa以下の有機溶剤から成る群、のそれぞれの群から少なくとも1つ選ばれる化合物を含む実施例2−1〜2−4は、先行技術である比較例2と比べて、トリメチルアミンに対する高い消臭効果を示した。
また、実施例2−1と2−2及び実施例2−3と2−4を比較すると明らかなように、炭素数が5以上のギ酸エステル類から成る群から少なくとも1つ選ばれる化合物を20重量%以上含む油溶性消臭剤組成物は、20重量%以下のものと比べて特に高い消臭効果を示した。
【0028】
(実施例及び比較例3−1〜3−3
<アンモニア及びトリメチルアミンに対する感覚的消臭効果試験>
表3に示した配合処方に従い油溶性組成物を調製した。表中の配合量は重量%で示した。
【0029】
表3:油溶性組成物の処方
【0030】
【表3】
【0031】
実施例3及び比較例3−1〜3−3のそれぞれの試料について、アンモニアとトリメチルアミンに対する感覚的消臭効果を以下のようにして調べた。それぞれの試料をフィルターペーパー30mm×30mmに100μL滴下し、5Lテドラーバッグ内に入れて密封した。続いて、それぞれのテドラーバッグ内の空気を抜き、あらかじめ調製しておいた濃度15ppmのアンモニアガスあるいは濃度2ppmのトリメチルアミンガスを5Lずつ注入して再度密閉した。1時間放置した後に、テドラーバッグのコック部分から下記の評価基準に従い官能評価を行った。5名の評価専門パネラーによる評価点数の平均値を求めた。
(快・不快度)
−3:非常に不快
−2:不快
−1:やや不快
0:快でも不快でもない
1:やや快
2:快
3:非常に快
(臭気強度<悪臭のにおい及び油溶性組成物のにおい>)
0:無臭
1:やっと感知できるにおい
2:何のにおいであるかわかるが弱いにおい
3:楽に感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
なお、悪臭のみを充満させた場合をコントロールとする。アンモニアに対する感覚的消臭効果を表4に、トリメチルアミンに対する感覚的消臭効果を表5に示す。
【0032】
表4:アンモニアに対する感覚的消臭効果
【0033】
【表4】
【0034】
表5:トリメチルアミンに対する感覚的消臭効果
【0035】
【表5】
【0036】
表4、表5それぞれにおいて、コントロール、アルデヒドのみを含む比較例3−1、炭素数が5以上のギ酸エステル類のみを含む比較例3−2及び20℃において蒸気圧が5kPa以下の有機溶剤のみを含む比較例3−3のいずれよりも、実施例3が良い結果を示していることより、炭素数が5以上のギ酸エステル類から成る群、及び20℃において蒸気圧が5kPa以下の有機溶剤から成る群、のそれぞれの群から少なくとも1つ選ばれる化合物を含む油溶性消臭剤組成物は、アンモニア及びトリメチルアミンに対して高い感覚的消臭効果を示すことが認められた。