(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等で使用されるカメラの撮影用レンズを駆動するレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のレンズ駆動装置は、レンズの光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、このレンズ駆動装置は、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、可動体を光軸方向へ駆動するための駆動機構とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、駆動機構は、レンズ駆動装置の四隅に配置される略三角柱状の4個の駆動用磁石部と、略三角形状に巻回され、その内周側が駆動用磁石部の外周面と所定の隙間を介して対向配置される4個の駆動用コイルとを備えている。駆動用磁石部は、固定体に固定され、駆動用コイルは、可動体に固定されている。また、駆動用磁石部は、光軸方向に所定の隙間をあけた状態で配置される略三角形状の2個の駆動用磁石片によって構成されている。光軸方向における2個の駆動用磁石片同士の対向面はいずれも、同じ磁極に着磁されている。
【0004】
特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、略三角筒状に巻回された駆動用コイルの内周面が駆動用磁石部の外周面と所定の隙間を介して対向配置されているため、駆動用磁石部の全周および駆動用コイルの全周を利用して可動体を駆動するための磁気回路を効率良く形成することができる。したがって、このレンズ駆動装置では、駆動用磁石部および駆動用コイルを小型化しても可動体を駆動するための所定の駆動力を得ることが可能になり、その結果、可動体を駆動するための駆動力を確保しつつレンズ駆動装置を小型化することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のレンズ駆動装置において、レンズに代えて、レンズ以外の動作対象物を可動体に取り付ければ、レンズ以外の動作対象物を直線的に動作させることも可能である。上述のように、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、装置を小型化することが可能であるため、このレンズ駆動装置を用いてレンズ以外の動作対象物を直線的に動作させる場合であっても、装置を小型化することは可能である。しかしながら、特許文献1に記載のレンズ駆動装置は、比較的軽いレンズを駆動するための装置であるため、レンズに代えて取り付けられる動作対象物が重いと、特許文献1に記載のレンズ駆動装置において、動作対象物を動作させるための十分な駆動力を得ることができないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、小型であっても、可動体に取り付けられる動作対象物の駆動力を確保することが可能なアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のアクチュエータは、固定体と、固定体に対して所定方向へ直線的に移動可能な可動体と、可動体を駆動する駆動機構とを備え
るアクチュエータであって、可動体は、
樹脂材料で形成されるとともに、その内周側が可動体の移動方向に貫通する略筒状に形成され、駆動機構は、固定体に固定され可動体の内周側に配置される駆動用磁石部と、駆動用磁石部の外周側の全周を囲むように略筒状に巻回されて形成され可動体に取り付けられる駆動用コイルとを備え、駆動用磁石部は、可動体の移動方向で重なるように配置される2個の駆動用磁石片
と、軟磁性材料で形成され、2個の駆動用磁石片と接触するように可動体の移動方向における2個の駆動用磁石片の間に配置される磁性片とを備え、可動体の移動方向における駆動用磁石片同士の対向面はいずれも、同じ磁極に着磁され
、固定体は、可動体の移動方向におけるアクチュエータの両端面を構成する2個の端面部を備え、2個の端面部の少なくともいずれか一方の一部は、樹脂製のガイド部材によって構成され、2個の端面部に、可動体の移動方向に貫通する開口部が形成されるとともに、ガイド部材に、開口部が形成され、可動体には、開口部に配置されるとともに可動体の移動方向の両外側に向かって端面部から突出する突出部が形成され、可動体の内周面の、可動体の移動方向における略中心位置には、軟磁性材料で形成される磁性部材が固定され、駆動用磁石部と磁性部材との間に生じる磁気的吸引力によって、開口部の縁と突出部とが接触していることを特徴とする。
【0009】
本発明のアクチュエータでは、略筒状に形成された可動体の内周側に駆動用磁石部が配置されている。そのため、本発明では、アクチュエータ全体の大きさに対する駆動用磁石部の大きさの比率を大きくすることが可能になり、その結果、アクチュエータを小型化しても駆動用磁石部を大きくして、駆動機構の駆動力を確保することが可能になる。すなわち、本発明では、アクチュエータが小型であっても、可動体に取り付けられる動作対象物の駆動力を確保することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、可動体の移動方向における駆動用磁石片同士の対向面はいずれも、同じ磁極に着磁されており、駆動用コイルは、駆動用磁石部の外周側の全周を囲むように略筒状に巻回されて形成されている。そのため、本発明では、駆動用磁石部の全周および駆動用コイルの全周を利用して可動体を駆動するための磁気回路を効率良く形成することが可能になる。したがって、本発明では、アクチュエータ全体の大きさに対する大きさの比率が大きい駆動用磁石部を小型化して、アクチュエータをより小型化しても駆動機構の駆動力を確保することが可能になる。すなわち、本発明では、アクチュエータがより小型であっても、可動体に取り付けられる動作対象物の駆動力を確保することが可能になる。
【0011】
また、本発明
では、駆動用磁石部は、軟磁性材料で形成される磁性片を備え、磁性片は、2個の駆動用磁石片と接触するように、可動体の移動方向における2個の駆動用磁石片の間に配置されてい
る。そのため、駆動用コイルを通過する磁束の密度を効果的に高めることが可能になる。
また、本発明では、固定体は、可動体の移動方向におけるアクチュエータの両端面を構成する2個の端面部を備え、2個の端面部には、可動体の移動方向に貫通する開口部が形成され、可動体には、開口部に配置されるとともに可動体の移動方向の両外側に向かって端面部から突出する突出部が形成されている。そのため、可動体の移動方向におけるアクチュエータの両側に動作対象物を取り付けることが可能になるとともに、可動体の移動方向におけるアクチュエータの任意の一方側に動作対象物を取り付けることも可能になる。さらに、本発明では、可動体は、樹脂材料で形成され、可動体の内周面には、軟磁性材料で形成される磁性部材が固定され、固定体は、2個の端面部の少なくともいずれか一方の一部を構成する樹脂製のガイド部材を備え、ガイド部材には、開口部が形成され、駆動用磁石部と磁性部材との間に生じる磁気的吸引力によって、開口部の縁と突出部とが接触している。駆動用磁石部と磁性部材との間に生じる磁気的吸引力によって、開口部の縁と突出部とが接触しているため、磁性部材を用いた比較的簡易な構成で、可動体のがたつきを防止することが可能になる。また、駆動用コイルに電流が供給されていないときには、可動体の移動方向における駆動用磁石部の磁気中心に向かって、可動体に固定される磁性部材が吸引されるため、駆動用コイルに電流が供給されていないときに、可動体の移動方向における略一定の位置で可動体を停止させておくことが可能になる。さらに、可動体が樹脂材料で形成されているため、可動体の重量を軽減することが可能になる。また、可動体の突出部が接触するガイド部材が樹脂製であるため、ガイド部材の開口部の縁と突出部とが接触していても、突出部の摩耗を抑制することが可能になる。
【0012】
本発明において、固定体は
、可動体の移動方向に直交する方向におけるアクチュエータの外周面を構成する側面
部を備え、駆動用磁石部は、2個の端面部に挟まれた状態で端面部に固定されていることが好ましい。本発明では、可動体の移動方向における駆動用磁石片同士の対向面はいずれも同じ磁極に着磁されているため、2個の駆動用磁石片の間に磁気的な反発力が生じるが、このように構成すると、2個の端面部によって、駆動用磁石部を安定して保持することが可能になる。
【0013】
本発明において、固定体は
、2個の端面部の少なくとも一部と、可動体の移動方向に直交する方向におけるアクチュエータの外周面を構成する側面部とを構成するケース体を備え、ケース体は、軟磁性材料で形成されていることが好ましい。このように構成すると、駆動用磁石部で発生し駆動用コイルを通過する磁束の漏れを抑制して、駆動用コイルを通過する磁束の密度を効果的に高めることが可能になる。
【0015】
本発明において、突出部は、可動体の移動方向から見たときに、駆動用磁石部を挟むように2箇所に形成されていることが好ましい。このように構成すると、可動体への動作対象物の取付状態を安定させることが可能になる。
【0018】
本発明において、固定体は、2個の端面部のそれぞれの一部を構成する2個のガイド部材を備えることが好ましい。このように構成すると、可動体の移動方向における両側に配置されるガイド部材によって、可動体を安定して案内することが可能になる。
【0019】
本発明において、たとえば、駆動用磁石部は、略円板状に形成され、可動体は、略円筒状に形成され、駆動用コイルは、略円筒状に巻回されて可動体の外周側に固定され、固定体は、2個の端面部を有する略有底円筒状に形成されている。
【0020】
本発明において、可動体には、駆動用コイルの両端部のそれぞれが接続される2本の給電用のピンが固定されていることが好ましい。このように構成すると、駆動用コイルの両端部の処理が容易になる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明では、アクチュエータが小型であっても、可動体に取り付けられる動作対象物の駆動力を確保することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
(アクチュエータの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。
【0025】
本形態のアクチュエータ1は、所定の動作対象物(図示省略)を所定方向へ直線的に移動させるためのものである。このアクチュエータ1は、全体として、扁平な略円柱状に形成されている。また、アクチュエータ1は、小型のものであり、たとえば、アクチュエータ1の径は、10mm〜30mm程度であり、アクチュエータ1の厚さは、5mm〜10mm程度である。
図1〜
図3に示すように、アクチュエータ1は、固定体2と、固定体2に対して所定方向へ直線的に移動可能な可動体3と、可動体3を駆動する駆動機構4とを備えている。
【0026】
以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を「左右方向」、Y方向を「前後方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。本形態では、可動体3は、上下方向(Z方向)へ移動する。すなわち、本形態の上下方向は、可動体3の移動方向である。また、以下の説明では、扁平な略円柱状に形成されるアクチュエータ1の径方向を「径方向」とする。
【0027】
可動体3は、その内周側が上下方向に貫通する略筒状に形成されている。本形態の可動体3は、扁平な略円筒状に形成されている。すなわち、可動体3は、略円環状に形成されている。また、可動体3は、樹脂材料で形成されている。可動体3の外周側には、駆動機構4を構成する後述の駆動用コイル15が巻回されて固定される円環状の凹部3aが形成されている(
図2参照)。凹部3aは、可動体3の外周面から径方向の内側へ窪むように形成されている。また、凹部3aは、上下方向における可動体3の略中心位置に形成されている。
【0028】
可動体3の右端側には、上側に向かって突出する突出部3bと、下側に向かって突出する突出部3cとが形成されている。突出部3bと突出部3cとは、上下方向で重なっている。また、可動体3の左端側には、上側に向かって突出する突出部3dと、下側に向かって突出する突出部3eとが形成されている。突出部3dと突出部3eとは、上下方向で重なっている。径方向における突出部3b〜3eの厚みは、可動体3のその他の部分の径方向の厚みと等しくなっている。また、突出部3b〜3eは、上下方向から見たときの形状が略円弧状となるように形成されており、突出部3b〜3eは、可動体3のその他の部分よりも径方向の外側および内側へ突出していない。突出部3b、3d、および、突出部3c、3eの少なくともいずれか一方には、動作対象物が固定されている。
【0029】
突出部3bには、下側に向かって窪む凹部3fが形成されている。また、突出部3bには、後述の駆動用コイル15の両端部のそれぞれが巻回されて接続される2本の給電用のピン7が固定されている。ピン7の上端側は、凹部3fの中に配置されており、ピン7の上端は、突出部3bの上端よりも上側に突出していない。ピン7には、図示を省略するフレキシブルプリント基板(FPC)が接続されている。
【0030】
可動体3の内周面には、軟磁性材料で形成された磁性部材8が固定されている。磁性部材8は、略長方形または略正方形の平板状に形成されている。この磁性部材8は、可動体3の、突出部3d、3eが形成された部分(すなわち、可動体3の左端側)に固定されている。また、磁性部材8は、上下方向における可動体3の略中心位置に固定されている。可動体3の左端側には、磁性部材8が固定される固定孔3gが形成されている。
図2に示すように、固定孔3gは、径方向において、凹部3aと繋がっている。
【0031】
固定体2は、アクチュエータ1の上下の両端面を構成する2個の端面部2aと、径方向におけるアクチュエータ1の外周面を構成する側面部2bとから構成されている。本形態では、端面部2aは略円板状に形成され、側面部2bは略円筒状に形成されており、固定体2は、上端面および下端面を有する略有底円筒状に形成されている。固定体2は、突出部3b〜3eの一部を除く可動体3の全体(具体的には、突出部3b〜3eの先端側を除く可動体3の全体)と駆動機構4の全体を覆っている。また、固定体2は、軟磁性材料で形成されるケース体11と、樹脂材料で形成される2個のガイド部材12とを備えている。
【0032】
ケース体11は、端面部2aの一部を構成する端面部11aと、側面部2bを構成する側面部11bとから構成されている。端面部11aは略円板状に形成され、側面部11bは略円筒状に形成されており、ケース体11は、全体として、上端面および下端面を有する略有底円筒状に形成されている。端面部11aには、上下方向に貫通する開口部11cが形成されている。開口部11cは、端面部11aの右端から左端までの全域に亘って形成されている。また、開口部11cの前後の縁11dは、左右方向と略平行になっている。なお、ケース体11は、アクチュエータ1の組立性を考慮して、上下方向に2分割される2つの半ケース体によって構成されている。
【0033】
ガイド部材12は、平板状に形成されている。このガイド部材12は、ケース体11の開口部11cに応じた形状となっており、全体として略長方形状に形成されている。ただし、ガイド部材12の左右の端面は、端面部11aの外周端の曲率半径と曲率半径の等しい略円弧状に形成されている。ガイド部材12は、ケース体11の開口部11cに嵌め込まれて固定されており、端面部2aの一部を構成している。
【0034】
ガイド部材12の左右の両端側には、上下方向に貫通する開口部12aが形成されている。開口部12aは、可動体3の突出部3b〜3eに応じた形状となっている。すなわち、開口部12aは、上下方向から見たときの形状が略円弧状となるように形成されている。ただし、開口部12aは、突出部3b〜3eよりも大きく形成されている。開口部12aには、突出部3b〜3eの基端側の一部が配置されており、突出部3b、3dの先端側は、アクチュエータ1の上端面を構成する端面部2aから上側に向かって突出し、突出部3c、3eは、アクチュエータ1の下端面を構成する端面部2aから下側に向かって突出している。すなわち、開口部12aには、突出部3b〜3eが挿通されている。
【0035】
駆動機構4は、固定体2に固定される駆動用磁石部14と、可動体3に取り付けられる駆動用コイル15とを備えている。駆動用磁石部14は、扁平な円柱状(すなわち、円板状)に形成されており、可動体3の内周側に配置されている。駆動用コイル15は、可動体3の凹部3aに巻回されている。すなわち、駆動用コイル15は、駆動用磁石部14の外周側の全周を囲むように略筒状に巻回されて形成されており、可動体3の外周側に固定されている。本形態の駆動用コイル15は、略円筒状に巻回されて形成されている。
【0036】
駆動用磁石部14は、2個の端面部2aに挟まれた状態で端面部2aに固定されている。駆動用磁石部14の上面は、上側に配置される端面部2aの下面(すなわち、上側に配置されるケース体11の端面部11aおよびガイド部材12の下面)と接触し、駆動用磁石部14の下面は、下側に配置される端面部2aの上面(すなわち、下側に配置されるケース体11の端面部11aおよびガイド部材12の上面)と接触している。
【0037】
駆動用磁石部14は、上下方向で重なるように配置される2個の駆動用磁石片16と、軟磁性材料で形成される磁性片17とを備えている。駆動用磁石片16および磁性片17は、平板状に形成されている。具体的には、駆動用磁石片16および磁性片17は、円板状に形成されている。駆動用磁石片16の外径と磁性片17の外径とは等しくなっている。磁性片17は、上下方向において、2個の駆動用磁石片16の間に配置されている。また、上側に配置される駆動用磁石片16の下面と磁性片17の上面とが接触した状態で固定され、下側に配置される駆動用磁石片16の上面と磁性片17の下面とが接触した状態で固定されている。すなわち、磁性片17は、2個の駆動用磁石片16と接触した状態で2個の駆動用磁石片16に固定されている。
【0038】
駆動用磁石片16は、その上面の磁極とその下面の磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。また、2個の駆動用磁石片16は、その対向面が同じ磁極となるように配置されている。すなわち、駆動用磁石片16同士の対向面は、同じ磁極に着磁されている。たとえば、上側に配置される駆動用磁石片16の下面および下側に配置される駆動用磁石片16の上面は、N極に着磁されている。そのため、上下方向における駆動用磁石部14の中心部分から、磁力線の向きが放射状に広がる磁界が発生している。また、上下方向における磁性片17の中心が、上下方向における駆動用磁石部14の磁気中心となっている。
【0039】
本形態では、駆動用コイル15の下端が、下側に配置される駆動用磁石片16の上端よりも上側へ移動することがなく、かつ、駆動用コイル15の上端が、上側に配置される駆動用磁石片16の下端よりも下側へ移動することがないように、駆動用磁石部14および駆動用コイル15が形成され、配置されている。上述のように、駆動用磁石片16同士の対向面が同じ磁極に着磁されているため、駆動用磁石部14から駆動用コイル15を通過する磁界が発生している。
【0040】
上述のように、可動体3の左右の両端側には、突出部3b〜3eが形成されており、また、駆動用磁石部14は、可動体3の内周側に配置されている。すなわち、上下方向から見たときに、突出部3b、3dが駆動用磁石部14を挟むように2箇所に形成され、突出部3c、3eが駆動用磁石部14を挟むように2箇所に形成されている。また、上述のように、可動体3の左端側の内周面に磁性部材8が固定されているため、磁性部材8と駆動用磁石部14との間に生じる磁気的吸引力によって、可動体3は常に右側へ付勢されている。また、上述のように、ガイド部材12の左右の両端側に開口部12aが形成され、開口部12aに突出部3b〜3eが挿通されているため、磁性部材8と駆動用磁石部14との間に生じる磁気的吸引力によって、開口部12aの右側の縁と突出部3b〜3eの右側面とが接触している。
【0041】
以上のように構成されたアクチュエータ1では、所定方向へ流れる電流が駆動用コイル15に供給されると、可動体3が上側へ移動し、逆方向へ流れる電流が駆動用コイル15に供給されると、可動体3が下側へ移動する。また、駆動用コイル15に電流が供給されていないときには、上下方向における駆動用磁石部14の磁気中心に向かって磁性部材8が吸引される。そのため、駆動用コイル15に電流が供給されていないときには、上下方向において、磁性片17の中心と磁性部材8の中心とが略一致する位置で、可動体3は停止する。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、略円筒状に形成された可動体3の内周側に駆動用磁石部14が配置されている。そのため、本形態では、アクチュエータ1全体の大きさに対する駆動用磁石部14の大きさの比率を大きくすることが可能になり、その結果、アクチュエータ1を小型化しても駆動用磁石部14を大きくして、駆動機構4の駆動力を確保することが可能になる。すなわち、本形態では、アクチュエータ1が小型であっても、可動体3に取り付けられる動作対象物の駆動力を確保することが可能になる。
【0043】
特に本形態では、2個の駆動用磁石片16同士の対向面が同じ磁極に着磁されており、駆動用コイル15は、駆動用磁石部14の外周側の全周を囲むように略円筒状に巻回されて形成されているため、駆動用磁石部14の全周および駆動用コイル15の全周を利用して可動体3を駆動するための磁気回路を効率良く形成することが可能になる。したがって、本形態では、アクチュエータ1全体の大きさに対する大きさの比率が大きい駆動用磁石部14を小型化して、アクチュエータ1をより小型化しても駆動機構4の駆動力を確保することが可能になる。すなわち、本形態では、アクチュエータ1がより小型であっても、可動体3に取り付けられる動作対象物の駆動力を確保することが可能になる。
【0044】
本形態では、磁性片17は、2個の駆動用磁石片16と接触した状態で2個の駆動用磁石片16に固定されている。そのため、本形態では、駆動用コイル15を通過する磁束の密度を効果的に高めることが可能になる。また、本形態では、径方向における駆動用コイル15の外周側が、軟磁性材料で形成されたケース体11の側面部11bに覆われているため、駆動用磁石部14で発生し駆動用コイル15を通過する磁束の漏れを抑制して、駆動用コイル15を通過する磁束の密度を効果的に高めることが可能になる。
【0045】
本形態では、駆動用磁石部14は、2個の端面部2aに挟まれた状態で端面部2aに固定されている。本形態の駆動用磁石部14では、2個の駆動用磁石片16同士の対向面が同じ磁極に着磁されているため、2個の駆動用磁石片16の間に磁気的反発力が生じるが、本形態では、2個の端面部2aによって、駆動用磁石部14を安定して保持することが可能になる。
【0046】
本形態では、固定体2の端面部2aから上下方向の両側へ突出する突出部3b〜3eが可動体3に形成されている。そのため、本形態では、上下方向におけるアクチュエータ1の両側に動作対象物を取り付けることが可能になるとともに、アクチュエータ1の上側のみに、あるいは、アクチュエータ1の下側のみに動作対象物を取り付けることも可能になる。また、本形態では、上下方向から見たときに、突出部3b、3dが駆動用磁石部14を挟むように2箇所に形成され、突出部3c、3eが駆動用磁石部14を挟むように2箇所に形成されているため、可動体3への動作対象物の取付状態を安定させることが可能になる。
【0047】
本形態では、磁性部材8と駆動用磁石部14との間に生じる磁気的吸引力によって、開口部12aの右側の縁と突出部3b〜3eの右側面とが接触している。そのため、本形態では、平板状の磁性部材8を用いた比較的簡易な構成で、可動体3のがたつきを防止することが可能になる。また、本形態では、駆動用コイル15に電流が供給されていないときに、上下方向における駆動用磁石部14の磁気中心に向かって磁性部材8が吸引され、上下方向において、磁性片17の中心と磁性部材8の中心とが略一致する位置で可動体3が停止する。そのため、本形態では、平板状の磁性部材8を用いた比較的簡易な構成で、駆動用コイル15に電流が供給されていないときに上下方向における略一定の位置で可動体3を停止させておくことが可能になる。さらに、本形態では、可動体3が樹脂材料で形成されているため、可動体3の重量を軽減することが可能になる。また、本形態では、突出部3b〜3eが接触するガイド部材12が樹脂製であるため、ガイド部材12の開口部12aの縁と突出部3b〜3eとが接触していても、突出部3b〜3eの摩耗を抑制することが可能になる。
【0048】
本形態では、固定体2の上端と下端の両側にガイド部材12が配置されている。そのため、本形態では、上下方向の両側に配置されるガイド部材12によって、可動体3を安定して案内することが可能になる。また、本形態では、可動体3に、駆動用コイル15の両端部のそれぞれが接続される2本の給電用のピン7が固定されているため、駆動用コイル15の両端部の処理が容易になる。
【0049】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0050】
上述した形態では、可動体3に、上側に向かって突出する突出部3b、3dと、下側に向かって突出する突出部3c、3eとが形成されている。この他にもたとえば、可動体3に、突出部3c、3eが形成されずに、突出部3b、3dが形成されても良いし、突出部3b、3dが形成されずに、突出部3c、3eが形成されても良い。また、上述した形態では、可動体3の右端側に突出部3b、3cが形成され、可動体3の左端側に突出部3d、3eが形成されているが、突出部3d、3eが形成されずに、突出部3b、3cが形成されても良いし、突出部3b、3cが形成されずに、突出部3d、3eが形成されても良い。また、上述した形態では、可動体3の左右の両端側に突出部3b〜3eが形成されているが、可動体3の前後の両端側等のその他の部分に上下方向へ突出する突出部が形成されても良い。
【0051】
上述した形態では、固定体2の上端と下端の両側にガイド部材12が配置されている。この他にもたとえば、固定体2の上端のみにガイド部材12が配置されても良いし、固定体2の下端のみにガイド部材12が配置されても良い。また、上述した形態において、固定体2と可動体3とが板バネ等の弾性部材を介して繋がれていても良い。この場合には、可動体3の内周面に磁性部材8が固定されていなくても良い。また、この場合には、固定体2は、2個のガイド部材12を備えていなくても良い。固定体2が2個のガイド部材12を備えていない場合には、ケース体11の端面部11aに開口部11cが形成されない。また、端面部11aには、突出部3b〜3eが挿通される開口部が形成される。この開口部は、突出部3b〜3eと接触しないように、比較的大きく形成される。
【0052】
上述した形態では、アクチュエータ1は、略円柱状に形成されている。この他にもたとえば、アクチュエータ1は、四角柱状等の多角柱状に形成されても良い。この場合には、たとえば、可動体3は、アクチュエータ1の形状に応じた略多角筒状に形成され、駆動用磁石部14は、アクチュエータ1の形状に応じた多角板状に形成される。また、上述した形態では、2個の駆動用磁石片16の間に磁性片17が配置されているが、2個の駆動用磁石片16の間に磁性片17が配置されずに、2個の駆動用磁石片16の間に隙間が形成されても良いし、2個の駆動用磁石片16の対向面が当接していても良い。