(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態に係るX線検出サブモジュール、X線検出モジュールおよびX線CT装置について、添付図面を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態に係るX線検出サブモジュールは、基板と、基板上に実装されるフォトダイオードと、X線を検出して光に変換するX線検出素子と、フォトダイオードとX線検出素子との間に設けられる光導波路と、を備え、光導波路は、X線検出素子のX線検出面に対して基板が斜めに配置されるように、X線検出素子とフォトダイオードとを接続することを特徴としている。
【0015】
これにより、X線検出サブモジュールは、外来ノイズの発生を低減するだけでなく、X線検出素子により検出された信号の取り扱いを容易にし、空間利用効率を高め、X線検出素子数の増大化にも対応することができる。
【0016】
また、本実施形態に係るX線検出モジュールは、複数のX線検出サブモジュールを有するX線検出モジュールであって、複数のX線検出サブモジュールのそれぞれは、基板と、基板上に実装されるフォトダイオードと、X線を検出して光に変換するX線検出素子と、フォトダイオードとX線検出素子との間に設けられる光導波路と、を備えるとともに、光導波路は、X線検出素子のX線検出面に対して基板が斜めに配置されるように、X線検出素子とフォトダイオードとを接続することを特徴としている。
【0017】
これにより、X線検出モジュールは、X線検出サブモジュールと同様に、外来ノイズの発生を低減するだけでなく、X線検出素子により検出された信号の取り扱いを容易にし、空間利用効率を高め、X線検出素子数の増大化にも対応することができる。
また、本実施形態に係るX線CT装置は、従来の課題を解決するために、以下の4つの特徴を備えるようにした。
【0018】
具体的には、第1の特徴は、従来の配線基板(例えば、リジッドフレキシブル基板)を使用する代わりに、光学的な特性を持つ物質を用いて作成された光導波路を採用して、1つのX線検出サブモジュールを形成したことである。これにより、外来ノイズを発生する原因であった配線長を、短くかつ整えることができる。
【0019】
第2の特徴は、シンチレータとフォトダイオードを光導波路で接続して、フォトダイオードを実装する基板をシンチレータに対して斜めに配置したことである。これにより、X線CT装置内における空間利用効率を高めることができる。
【0020】
第3の特徴は、各X線検出サブモジュール同士を直接コネクタで接続するようにしたことである。これにより、基板間の配線を不要とすることができ、外来ノイズの発生を低減することができる。
【0021】
第4の特徴は、接続されたX線検出サブモジュールの後段のコネクタにデイジーチェーンで出力データを転送するようにしたことである。これにより、基板における配線数を削減することができる。
【0022】
上記の4つの特徴を備えることにより、本実施形態に係るX線CT装置は、単に外来ノイズの発生を低減するだけでなく、X線検出素子により検出された信号の取り扱いを容易にし、X線検出素子数の増大化にも対応することができる。
【0023】
次に、本実施形態に係るX線CT装置の実施形態について、以下に示す添付図面を参照して、詳細に説明する。
【0024】
本実施形態のX線CT装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転する回転/回転(ROTATE/ROTATE)タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(STATIONARY/ROTATE)タイプなど様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めている回転/回転タイプとして説明する。
【0025】
また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換しさらにその光をフォトダイオードなどの光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成およびその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。
【0026】
加えて、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態のX線CT装置では、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型のX線CT装置として説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係るX線CT装置1を示すハードウェア構成図である。
【0028】
図1に示すX線CT装置1は、スキャナ装置11および画像処理装置12から構成されている。X線CT装置1のスキャナ装置11は、通常は検査室に設置され、被検体(人体)Oの撮影部位に関するX線の透過データを生成するために構成されている。一方、画像処理装置12は、通常は検査室に隣接する制御室に設置され、透過データを基に投影データを生成して再構成画像の生成・表示を行なうために構成されている。
【0029】
X線CT装置1のスキャナ装置11は、X線源としてのX線管21、X線検出器22、絞り23、回転部25、コントローラ26、高電圧電源27、絞り駆動装置28、回転駆動装置29、天板30および天板駆動装置(寝台装置)31を備えている。
【0030】
X線管21は、高電圧電源27から供給された管電圧に応じて、X線をX線検出器22に向かって照射するようになっている。X線管21から照射されるX線によって、ファンビームX線やコーンビームX線が形成される。
【0031】
X線検出器22は、被検体Oの体軸方向である天板の長手方向に直交する方向(チャンネル方向)に複数(M)チャンネル、天板の長手方向(列方向)に複数(N)列のX線検出素子を有する2次元アレイ型のX線検出器(マルチスライス型検出器ともいう。)である。X線検出器22は、X線管21から照射され、被検体Oを透過したX線を検出するようになっている。
【0032】
また、X線検出器22は、複数のX線検出モジュールから構成されている。また、X線検出モジュールは、複数のX線検出サブモジュールから構成されている。そして、複数のX線検出サブモジュールのそれぞれは、X線を検出するシンチレータ(X線検出素子)と、検出されたX線を電気信号に変換するフォトダイオードと、フォトダイオードが出力する電気信号をデジタル信号に変換する変換素子とを実装している。
【0033】
変換素子は、X線検出器22の各X線検出素子が検出する透過データの電気信号を電圧信号に変換して増幅して、さらにデジタル信号に変換するようになっている。X線検出器22は、その変換されたデジタルデータ(生データ)を、コントローラ26を介して画像処理装置12に出力するようになっている。なお、X線検出器22の詳細については、後述する。
【0034】
絞り23は、絞り駆動装置28によって、X線管21から照射されるX線の列方向の照射範囲を調整する。すなわち、絞り23は、絞り駆動装置28によって絞り23の開口を調整することにより、列方向のX線照射範囲を変更するようになっている。
【0035】
回転部25は、スキャナ装置11の架台(図示しない)に収容され、X線管21、X線検出器22および絞り23を一体として保持するようになっている。回転部25は、X線管21とX線検出器22とを対向させた状態で、X線管21、X線検出器22および絞り23を一体として、被検体Oの周りを回転できるように構成されている。
【0036】
コントローラ26は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリによって構成されている。コントローラ26は、画像処理装置12から入力された制御信号に基づいて、X線検出器22、高電圧電源27、絞り駆動装置28、回転駆動装置29および天板駆動装置31等の制御を行ない、スキャンを実行させるようになっている。
【0037】
高電圧電源27は、コントローラ26による制御により、X線の照射に必要な電力をX線管21に供給するようになっている。
絞り駆動装置28は、コントローラ26による制御により、絞り23におけるX線の列方向の照射範囲を調整するための駆動を行うようになっている。
【0038】
回転駆動装置29は、コントローラ26による制御により、回転部25がその位置関係を維持した状態で開口部の周りを回転するように回転部25を回転させる。
天板30は、被検体Oを載置するようになっている。
【0039】
天板駆動装置31は、コントローラ26による制御により、天板30をz軸方向(体軸方向)に沿って移動させるように駆動する。回転部25の中央部分は開口を有し、その開口部の天板30に載置された被検体Oが、z軸方向に沿って挿入される。
【0040】
X線CT装置1の画像処理装置12は、スキャナ装置11のX線検出器22から入力された生データに対して、対数変換処理や感度補正等の補正処理(前処理)を行ない、投影データを生成するようになっている。
【0041】
また、画像処理装置12は、前処理された投影データに対して、散乱線の除去処理を行なう。画像処理装置12は、X線照射範囲内の投影データの値に基づいて散乱線の除去を行なうものであり、散乱線補正を行なう対象の投影データ、またはその隣接投影データの値の大きさから推定された散乱線を、対象となる投影データから減じて散乱線補正を行なう。画像処理装置12は、補正された投影データを基に、再構成画像を生成するようになっている。
【0042】
また、画像処理装置12は、コンピュータをベースとして構成されており、病院基幹のLAN(Local Area Network)等のネットワークNと相互通信可能である。また、画像処理装置12は、図示しないが、CPU、メモリ、HDD(Hard Disc Drive)、入力装置および表示装置等の基本的なハードウェアから構成される。
【0043】
次に、本実施形態に係るX線管21とX線検出器22の構成について説明する。
【0044】
図2は、本実施形態に係るX線管21とX線検出器22の構成を示す説明図である。
【0045】
図2に示すように、X線管21とX線検出器22は、被検体Oの体軸方向(または列方向A)とほぼ垂直な平面内であるチャンネル方向Cに回転運動できるような位置に対向配置されている。また、X線検出器22は、複数のX線検出モジュール47によって構成されている。
【0046】
図2に示すX線検出モジュール47は、一例として、4チャンネル×4列によって配置された16個のX線検出サブモジュール60により、1単位のX線検出モジュールが構成されている。すなわち、X線検出モジュール47は、4チャンネル×4列によって構成される16個の基板50がそれぞれ光導波路43により各X線検出サブモジュール60のシンチレータ41に接続されて、1単位となるX線検出モジュールを形成している。
【0047】
ここで、1単位とは、チャンネル数や列数に限定されるものではなく、例えば、1チャンネル×4列や2チャンネル×2列によって、所望の1単位となるX線検出モジュールを構成することができる。
【0048】
また、
図2に示すように、X線検出モジュール47は、列方向Aに沿って、4列のX線検出サブモジュール60が並べられており、各X線検出サブモジュール60のシンチレータ41に対し、それぞれ基板50が斜め(所定の角度)に配置されている。
【0049】
ここで、基板50が斜めに配置とは、シンチレータ41のX線検出面と基板50とにおいて、相互に非平行となる所定の角度を有する位置に、各基板50がそれぞれ配置されることをいう。
【0050】
このような構成により、本実施形態に係るX線CT装置1は、X線CT装置1内における空間利用効率を高めることができる。
【0051】
また、X線検出サブモジュール60の基板50は、ADC44、コネクタ45および遮蔽鉛(遮蔽膜)46を備えている。各基板50は、列方向Aに隣接する基板同士がコネクタ45によって接続されている。また、端Row(列方向において最も端にあるX線検出サブモジュール60)において、チャンネル方向Cに隣接する基板50同士がコネクタによって接続されている。
【0052】
このように、コネクタ45によって各基板50が列方向Aに接続されることにより、X線検出モジュール47は、デイジーチェーンによって信号を出力することができるとともに、端Rowにおいても、デイジーチェーンによって隣り合う基板50同士で信号を出力することができる。
【0053】
したがって、本実施形態に係るX線検出サブモジュール60は、X線検出モジュール47単位でデータの出力を容易に実現することができ、各基板50間における配線数を削減するとともに、外来ノイズの発生を低減することができる。さらに、様々なチャンネル数や列数から構成されるX線検出モジュール47を形成することができるので、自由度の高いタイリング配置を実現することができ、所望のX線検出器22を容易に実現することができる。
【0054】
また、各X線検出サブモジュール60を構成する基板50は、各X線検出サブモジュール60のシンチレータ41に対して斜めに配置されているが、この傾斜の傾きについては、特に限定されるものではない。すなわち、傾斜の傾きにより、例えば、基板50に載置されたフォトダイオード42の上面が、被検体Oに対して頭方向が下となるように傾斜していても、または足方向が下となるように傾斜していても同様に実現することができる。
【0055】
また、基板50の配置される傾斜の傾きは、
図2では列方向に傾斜しているが、チャンネル方向Cに傾斜するようにしてもよい。
【0056】
なお、X線CT装置1は、チャンネル方向Cに多数の検出器(例えば、1000個)が配置されるので、X線CT装置1の組み立てやメンテナンスを考慮すると、図示した列方向A沿って斜めに配置することが好適である。
【0057】
次に、X線検出モジュール47を形成するX線検出サブモジュール60の構成について、詳細に説明する。
【0058】
図3は、本実施形態に係るX線検出サブモジュール60の構成について説明する説明図である。
【0059】
図3(A)では、X線検出サブモジュール60を、体軸からチャンネル方向Cに見た場合の断面図を示している。基板50は、シンチレータ41に対し、所定の角度αを有するように光導波路43によって斜めに配置されている。
【0060】
基板50は、フォトダイオード42、ADC44、コネクタ45および遮蔽鉛46を備えて構成されている。
【0061】
フォトダイオード42は、光導波路43を介して、シンチレータ41から光を取得して電気信号に変換する。そして、フォトダイオード42は、変換した電気信号をADC44に送出する。
【0062】
光導波路43は、シンチレータ41に対し(より具体的には、シンチレータ41のX線検出面Sに対し)、基板50を斜めに配置するための伝送路である。この光導波路43は、光学的な特性を持つ物質を用いて作成された伝送路である。具体的には、光の屈折率の違いを利用して、直進性の高い光を導く伝送路である。また、光導波路43は、光ファイバーを包摂する概念であり、光路は光ファイバーと同様の構造を有している。なお、光導波路43は、一般にシート状または板状の構造を有しているが、本実施形態では、図に示したように、くさび型の形状を有していることを特徴としている。
【0063】
ADC44は、変換された電気信号を取得すると、アナログ信号からデジタル信号に変換する処理(A/D変換処理)を行う。そして、変換されたデジタル信号は、コネクタ45を介して列方向Aに接続された次の基板50に送出される。
【0064】
ここで、コネクタ45は、紙面(
図3(A))に対してシンチレータ41と遮蔽鉛46の間に設けられているが、コネクタ45の位置は、これに限定されるものではない。例えば、紙面(
図3(A))に対し、遮蔽鉛46の左側にコネクタ45を設けるようにしてもよい。この場合、フォトダイオード42とADC44を近づけることができるので、配線長による外来ノイズの発生を抑止することができる。
【0065】
遮蔽鉛46は、ADC44を遮蔽するために設けられており、意図せず基板50を透過するX線によってADC44が破壊されることを防止すべく、ADC44のサイズよりも大きいサイズの遮蔽鉛46が、基板50におけるADC44が載置された面の反対側であってADC44の対向する位置に設けられている。
【0066】
具体的には、フォトダイオード42が基板50に載置(実装)され、そのフォトダイオード42が載置された面の反対側の面にADC44が載置されているので、基板50を挟んだ対向する位置にADC44を覆うように遮蔽鉛46が設けられている。
【0067】
図3(B)では、X線管21(
図2)の位置からX線検出器22(
図2)の方向、すなわちX線検出サブモジュール60を真上方向から見た場合の説明図である。X線検出サブモジュール60を真上方向から見た場合、基板50には、シンチレータ41と、コネクタ45と、遮蔽鉛46が設けられている。
【0068】
図3(C)では、X線検出サブモジュール60を、
図3(A)に対して左側から右側に見た場合の断面図である。X線検出サブモジュール60は、シンチレータ41と、光導波路43と、フォトダイオード42と、コネクタ45と、遮蔽鉛46が、基板50に設けられている。また、基板50の遮蔽鉛46が設けられている位置と反対側の位置(対向する位置)に、ADC44が設けられている。
【0069】
上述した
図3では、X線検出サブモジュール60におけるシンチレータ41と基板50との位置関係を中心に説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。具体的には、X線検出サブモジュール60からシンチレータ41を除いた構成について、光の検出を行う光検出サブモジュールとして形成するようにしてもよい。
【0070】
次に、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について、フローチャートを用いて説明する。
【0071】
(画像データ生成処理)
図4は、本実施形態に係るX線CT装置1によってX線を照射して、所望のスライス像の画像データを生成する画像データ生成処理を示したフローチャートである。
【0072】
図4に示すように、まず、X線CT装置1のX線管21とX線検出器22が被検体Oの周りを螺旋状に回転し、コントローラ26からの制御信号によって高電圧電源27から所定の管電圧による管電流がX線管21に供給される。これにより、X線管21の各回転位置から所望のエネルギのX線が被検体Oに照射される(ステップS001)。
【0073】
被検体Oを透過したX線は、X線検出器22を構成するX線検出モジュール47の各シンチレータ41によって検出される。すなわち、シンチレータ41は、X線検出器22に入射したX線を光に変換し、フォトダイオード42に供給する(ステップS003)。
【0074】
フォトダイオード42は、光導波路43を介してシンチレータ41から取得した光を、電気信号に変換する(ステップS005)。
【0075】
ADC44は、電気信号に変換されたX線検出データに対して、増幅処理、A/D変換処理などの処理を施す(ステップS007)。これにより、ADC44は、シンチレータ41で検出したX線検出データに対応するデジタル信号(これを生データとも言う。)を生成する。
【0076】
X線検出モジュール47は、ADC44で生成された生データを、コネクタ45を介して、列方向Aに出力する(ステップS009)。
【0077】
ここで、X線検出モジュール47が、列方向Aに生データを出力する方法について、図面を用いて説明する。
【0078】
図5は、本実施形態に係るX線検出モジュール47の一部を形成する4つのX線検出サブモジュール60の構成により、列方向A(
図5の紙面に対して右側から左側方向)に生データを出力する方法を説明する説明図である。なお、同一の構成については同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0079】
図5では、列方向Aに隣接する4つのX線検出サブモジュール60の各基板50において、基板50同士が相互に重ね合うように配置されている。また、シンチレータ41のX線検出面と基板50とが相互に非平行となる所定の角度を有する位置に、それぞれ各基板50が配置されている。
【0080】
さらに、
図5に示すように、基板50に設けられたコネクタ45は、基板50のX線管21側(シンチレータ41のX線検出面側)に設けられたコネクタ45Aと、基板50のX線管21と反対側(シンチレータ41のX線検出面の裏面側)に設けられたコネクタ45Bとから構成されている。
【0081】
X線検出モジュール47は、列方向Aに隣接するX線検出サブモジュール60の基板50同士をコネクタ45Aとコネクタ45Bとで接続することにより、デイジーチェーンによって列方向Aに生データを順次出力する。
【0082】
また、本実施形態では、ADC44でデジタル信号化された生データが順に出力されるように、紙面(
図5)に対して最も左に位置する基板50のADC44の生データから、コネクタ45Aを経由して出力される。その生データが出力された後は、紙面(
図5)に対して右隣に位置する基板50のADC44の生データが続けて出力される。
【0083】
このように、紙面(
図5)に対して最も左に位置する基板50のADC44の生データが最初に出力され、デイジーチェーンによって右隣りに位置する基板50のADC44の生データが次に出力されるので、X線検出モジュール47は、各基板50のADC44の生データを列方向Aに順次出力することができる。
【0084】
そして、
図4に示すステップS009の列方向Aに生データを出力する処理が終了すると、X線検出モジュール47は、端Rowにおいて、生データをチャンネル方向Cに出力する(
図4のステップS011)。
【0085】
ここで、X線検出モジュール47が、チャンネル方向Cに生データを出力する方法について、図面を用いて説明する。
【0086】
図6は、本実施形態に係るX線検出モジュール47の一部を形成する4つのX線検出サブモジュール60の構成により、チャンネル方向C(
図6の紙面に対して左側から右側方向)に生データを出力する方法を説明する説明図である。なお、同一の構成については同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0087】
図6では、4つのX線検出サブモジュール60が、端Rowにおいてチャンネル方向Cに隣接して配置されていることを示している。
図6に示すように、各X線検出サブモジュール60の基板50に設けられたコネクタ45Cは、端Rowにおいて、配線Hによって接続されている。このため、X線検出モジュール47の端Rowは、デイジーチェーンによりチャンネル方向Cに生データを出力することができる。
【0088】
また、生データを出力する順番は、紙面(
図6)に対して一番右側に位置するX線検出サブモジュール60から生データが順に出力されるようになっている。すなわち、
図6では、紙面(
図6)に対して一番右側に位置するX線検出サブモジュール60の基板50のコネクタ45Cからその列方向Aの生データを順次出力した後、そのX線検出サブモジュール60の左側に隣接するX線検出サブモジュール60の基板50のコネクタ45Cから、その列方向Aの生データが配線Hを介して順次出力される。
【0089】
なお、上述したコネクタ45Cは、コネクタ45Aと接続するための形状を有するコネクタであり、コネクタ45Bと同等のものである。
図5で示した端Rowのコネクタ45A(
図5の一番左側のコネクタ45A)にこのコネクタ45Cを装着することにより、
図6で示した端Rowにおけるデイジーチェーンを実現することができる。
【0090】
そして、
図4に示すステップS011のチャンネル方向Cに生データを出力する処理が終了すると、X線検出器22は、コントローラ26を介して、画像処理装置12に生データを出力する。
【0091】
画像処理装置12は、X線検出モジュール47によって生成された生データを取得すると、その入力された生データに対して、対数変換処理や感度補正等の補正処理(前処理)を行ない、投影データを生成する。また、画像処理装置12は、前処理された投影データに対して、散乱線の除去処理などを行ない、補正された投影データを基に再構成画像を生成する(ステップS013)。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係るX線CT装置1は、X線検出サブモジュール60において、シンチレータ41に対し、フォトダイード42を実装する基板50が斜めに配置されるので、基板50上にADC44とフォトダイオード42とを載置することができる。
【0093】
また、X線検出モジュール47は、複数のX線検出サブモジュール60によって、所望のMチャンネル×N列から構成されるX線検出モジュールを実現することができるので、シンチレータ41からADC44までの配線長を短くするとともに配線長を整えることができる。
【0094】
これにより、本実施形態に係るX線CT装置1は、配線長に起因する外来ノイズの発生を抑えて、信号の確度を高くすることができる。
【0095】
また、所望のMチャンネル×N列によってX線検出サブモジュール60から形成される1単位のX線検出モジュール47を容易に形成することができるとともに、ユーザは、X線検出モジュール47をタイリング配置することによって、所望のX線検出器22を形成することができる。
【0096】
また、
図4に示したフローチャートでは、ステップS009において、X線検出サブモジュール60のADC44から出力される生データを列方向Aに出力してから、ステップS011によってチャンネル方向Cに生データを出力するようになっていたが、これに限定されるものではない。
【0097】
例えば、同時収集方式のX線CT装置1を構成する場合には、ステップS009の列方向Aに生データを出力する方法と、ステップS011のチャンネル方向Cに生データを出力する方法を、交互に入れ替えて実行するようにしてもよい。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0099】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。