特許第6169941号(P6169941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169941
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】アレイアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 23/00 20060101AFI20170713BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H01Q23/00
   H01Q21/08
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-214791(P2013-214791)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-80031(P2015-80031A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】小山 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 真人
(72)【発明者】
【氏名】西方 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕貴
【審査官】 赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−079116(JP,A)
【文献】 特開2006−261039(JP,A)
【文献】 特開2002−006986(JP,A)
【文献】 特開2003−037436(JP,A)
【文献】 米国特許第05327152(US,A)
【文献】 特開昭54−044314(JP,A)
【文献】 特開2002−314439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 23/00
H01Q 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送受信モジュールを具備し、
前記複数の送受信モジュールの各々は、
送受信モジュール本体部と、
前記送受信モジュール本部を囲むように設けられたモジュール筐体と、
前記送受信モジュール本体部におけるモジュール筐体の有る部分又は無い部分に設けられたアンテナと
を備え、
前記複数の送受信モジュールは、
前記モジュール筐体同士が互いに着脱可能に結合して一体となり、
隣接する二つの送受信モジュールの少なくとも一方の前記モジュール筐体の側面が構造部材で形成され、
前記複数の送受信モジュール全体を保持する筐体を有さずに、その一体形状を維持し、
前記複数の送受信モジュールの各々は、
前記モジュール筐体に設けられた少なくとも一つの凸部と、
前記モジュール筐体に設けられた少なくとも一つの凹部と
を備え、
前記隣接する二つの送受信モジュールの一方の前記凸部と、他方の前記凹部とが嵌め合って、前記隣接する二つの送受信モジュール同士が結合し、
前記各々の送受信モジュールが備える前記凸部および前記凹部のそれぞれは、第1の前記送受信モジュールが第2の前記送受信モジュールに隣接する第1の方向に直交し、かつ、前記第1の送受信モジュールが第3の前記送受信モジュールに隣接する第2の方向にも直交する、第3の方向に第1の前記送受信モジュールが移動出来るように形成されている
アレイアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアレイアンテナ装置において、
前記複数の送受信モジュールは、
前記隣接する二つの送受信モジュールの両方の前記モジュール筐体が構造部材で形成されている
アレイアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアレイアンテナ装置において、
前記複数の送受信モジュールの各々は、三角形モジュール、四角形モジュール、及び六角形モジュールのいずれかであり、
前記複数の送受信モジュールは、辺同士が互いに接触するように、前記モジュール筐体同士が互いに結合して一体となる
アレイアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のアレイアンテナ装置において、
前記複数の送受信モジュールの各々は、
互いに又は前記モジュール筐体と、弾性体で離間又は接近され、突起部を有する止め具と、
前記モジュール筐体に設けられ、前記突起部が出入り可能な第1孔部と、
前記モジュール筐体に設けられ、前記突起部が出入り可能な第2孔部と
を備え、
前記止め具が、前記第1孔部を貫通し、隣接する送受信モジュールの第2孔を貫通して、隣り合う送受信モジュール同士が結合する
アレイアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のアレイアンテナ装置において、
前記複数の送受信モジュールは、断面が閉じた曲線又は開いた曲線を有するように、前記モジュール筐体同士が互いに結合して一体となる
アレイアンテナ装置。
【請求項6】
請求項に記載のアレイアンテナ装置において、
前記複数の送受信モジュールは、
前記複数の送受信モジュールの各々の底面が、正多角形を構成するような形状を有し、
正多面体又は半正多面体の少なくとも一部を構成するように前記モジュール筐体同士が互いに結合して一体となる
アレイアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のアレイアンテナ装置において、
前記複数の送受信モジュールを支持する支持台を更に具備する
アレイアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アレイアンテナ装置が知られている。アレイアンテナ装置は、主要な構成として、複数の送受信モジュールと、筐体(フレーム)と、冷却系機器とを備えている。送受信モジュールは、電波の送受信を行う。筐体(フレーム)は、複数の送受信モジュール全体の外枠であり、その内部に複数の送受信モジュールを保持している。すなわち、筐体は、複数の送受信モジュールの位置を決定し、固定している。冷却系機器は、複数の送受信モジュールを冷却している。それにより、冷却系機器は、複数の送受信モジュールを熱から保護し、それらの精度を保証している。
【0003】
アレイアンテナ装置は、通常、多数の送受信モジュールを備えている。アレイアンテナ装置は、送受信モジュールの故障時には、故障した送受信モジュールのみを交換できるように、送受信モジュール毎に取り外しが容易な構造を有していることがある。そして、アレイアンテナ装置では、送受信モジュールを固定する外枠の筐体(フレーム)の他に、送受信モジュール自体が少なくとも自信を保護する筐体(フレーム)を備えている。送受信モジュール自体が備える筐体は、モジュール筐体ということができる。これらの筐体は、いずれも所定の強度を保持すべく、強度の高い構造部材で形成されている。言い換えると、アレイアンテナ装置では、強度の高い構造部材が、外枠の筐体及び送受信モジュールのモジュール筐体に二重に使用されている。そのため、これらの筐体は、アレイアンテナ装置において、その質量の増加の原因となる。
【0004】
また、アレイアンテナ装置全体としてのアンテナのサイズは、送受信モジュールを固定する外枠の筐体の大きさによって決定される。そのため、アレイアンテナ装置は、その外枠の筐体の大きさが決定された後に、目的や必要に応じて送受信モジュールの数を変更するというようなスケーラビリティ(拡大縮小可能性)を有していない。
【0005】
関連する技術として、特許第4189278号号公報に配管系を一体化した構造部材が開示されている。この配管系を一体化した構造部材は、外枠ユニットと、複数の冷却ユニットとを備えている。外枠ユニットは、矩形枠状に形成され、前記矩形枠の1辺に相当する第1部材と前記第1部材と相対する第2部材とを有する。複数の冷却ユニットは、前記外枠ユニットの前記第1部材と前記第2部材との間に装着されるもので、冷媒を流すための第1の管路が中空構造により形成されている。前記第1部材と前記第2部材のそれぞれは、冷媒を流すための第2の管路が中空構造に形成されると共に、前記第2の管路と連通された外部の管路を結合するための接続部と、前記複数の冷却ユニットのそれぞれに設けられた前記第1の管路と連接される複数の管口部が設けられている。前記第1部材と前記第2部材のそれぞれに設けられた前記管口部と前記冷却ユニットの前記第1の管路の端部とを凹部状に形成している。前記第1部材と前記第2部材のそれぞれと前記冷却ユニットの両端部とを、密着させた状態で前記凹部状に形成された部分を一致させるようにして連結している。前記管口部と前記第1の管路とを連通させると共に前記冷媒の漏洩を防ぐための連接部材を、前記第1部材と前記第2部材のそれぞれと前記冷却ユニットとを密着させることで形成された前記凹部状に形成された部分に装着して、前記連接部材の外周に還装された複数のOリングを前記管口部と前記第1の管路の内周面に圧接させるようにしている。すなわち、空中線装置の構造部材と配管系とが一体化されることで、小型、軽量化が図られている。
【0006】
また、特開2011−257350号公報に、レーダ装置が開示されている。このレーダ装置は、非回転のフェーズドアレイ方式により全周方向についての捜索が可能である。このレーダ装置は、空中線部と、1以上の送受信部と、1以上のビーム形成部と、レーダ信号処理部とを備える。空中線部は、フェーズドアレイアンテナによる複数のアンテナ面が多面体を形成するとともに、所定の方角を前記複数のアンテナ面のうち少なくとも2つのアンテナ面が捜索可能な覆域に含む。1以上の送受信部は、前記空中線部が有する前記複数のアンテナ面のいずれかを選択し、選択したアンテナ面を介して送信信号を送信するとともに受信信号を受信する。1以上のビーム形成部は、前記1以上の送受信部の各々に対応して設けられ、前記送受信部により受信された受信信号に基づいて受信ビームを形成する。レーダ信号処理部は、前記ビーム形成部により形成された受信ビームに基づいて信号処理することで目標検出を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4189278号公報
【特許文献2】特開2011−257350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、軽量化されたアレイアンテナ装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、スケーラビリティを有するアレイアンテナ装置を提供することにある。
【0009】
この発明のこれらの目的とそれ以外の目的と利益とは以下の説明と添付図面とによって容易に確認することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアレイアンテナ装置は、複数の送受信モジュールを具備している。複数の送受信モジュールの各々は、送受信モジュール本体部と、モジュール筐体と、アンテナとを備えている。モジュール筐体は、送受信モジュール本外部を囲むように設けられている。アンテナは、送受信モジュール本体部におけるモジュール筐体の有る部分又は無い部分に設けられている。複数の送受信モジュールは、モジュール筐体同士が互いに着脱可能に結合して一体となる。複数の送受信モジュールは、互いに隣接する二つの送受信モジュールの少なくとも一方のモジュール筐体が構造部材で形成されている。複数の送受信モジュールは、複数の送受信モジュール全体を保持する筐体(フレーム)を有さずに、その一体形状を維持する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアレイアンテナ装置は、軽量化することができる。また、本発明のアレイアンテナ装置は、スケーラビリティを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の送受信モジュールの構成例を模式的に示す正面図である。
図3図3は、第1の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の送受信モジュールの構成例を模式的に示す正面図である。
図5図5は、第1の実施の形態に係る送受信モジュールの他の構成例を模式的に示す斜視図である。
図6A図6Aは、第2実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す正面図である。
図6B図6Bは、第2実施の形態に係るアレイアンテナ装置の他の構成例を模式的に示す正面図である。
図6C図6Cは、第2実施の形態に係るアレイアンテナ装置の更に他の構成例を模式的に示す正面図である。
図7図7は、第3実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す側面図である。
図8図8は、第3の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の他の構成例を模式的に示す側面図である。
図9A図9Aは、第4の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す側面図である。
図9B図9Bは、第4の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の他の構成例を模式的に示す側面図である。
図10A図10Aは、第4の実施の形態に係る送受信モジュールの接続方法の一例を模式的に示す斜視図である。
図10B図10Bは、第4の実施の形態に係る送受信モジュールの接続方法の一例を模式的に示す側面図である。
図11A図11Aは、第5実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図11B図11Bは、第5の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す斜視図である。
図12A図12Aは、第5の実施の形態に係る送受信モジュールの構成例を模式的に示す正面図である。
図12B図12Bは、第5の実施の形態に係る送受信モジュールの他の構成例を模式的に示す正面図である。
図12C図12Cは、第5の実施の形態に係る送受信モジュールの他の構成例を模式的に示す正面図である。
図12D図12Dは、第5の実施の形態に係る送受信モジュールの他の構成例を模式的に示す正面図である。
図13A図13Aは、第5の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の他の構成例を模式的に示す斜視図である。
図13B図13Bは、第5の実施の形態に係るアレイアンテナ装置の他の構成例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るアレイアンテナ装置に関して、添付図面を参照して説明する。各実施の形態は、筐体(フレーム)の構造部材を削減することで、アレイアンテナ装置の小型、軽量化を図ると共に、アレイアンテナ装置のスケーラビリティを有する構造を実現する。
【0014】
(第1の実施の形態)
本実施の形態では、外枠の筐体と送受信モジュールのモジュール筐体とを一体化することで、構造部材を削減している。以下、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置について説明する。
【0015】
本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置に使用される送受信モジュールの構成例を模式的に示す正面図である。アレイアンテナ装置8は、制御装置7に接続されている。
【0016】
制御装置7は、コンピュータに例示される情報処理装置である。CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより、アレイアンテナ装置8の動作(例示:駆動機構6の動作)を制御する。アレイアンテナ装置8は、アレイアンテナとして機能する。アレイアンテナ装置8と、制御装置7とは、アレイアンテナシステム1と見ることができる。アレイアンテナ装置8は、アレイアンテナを構成する複数の送受信モジュール3を備えている。
【0017】
送受信モジュール3は、電波の送受信を行う。送受信モジュール3は、基本形状として六角柱の形状を有している。送受信モジュール3は、送受信モジュール本体部16と、モジュール筐体10と、アンテナ11とを備えている。
【0018】
送受信モジュール本体部16は、六角柱の内部に相当する箇所に設けられている。送受信モジュール本体部16は、電波の送受信を行う機器を備え、アンテナ11に信号を送信し、アンテナ11から信号を受信する。
【0019】
モジュール筐体10は、送受信モジュール本体部16を囲むように、六角柱の側面に相当する箇所に設けられている。モジュール筐体10は、強度の高い構造部材で形成されている。言い換えると、モジュール筐体10は、六角柱の側面形状を有する筐体(フレーム)である。
【0020】
アンテナ11は、六角柱の一方の底面(送受信モジュール本体部16の一方の底面)に相当する箇所に設けられている。言い換えると、アンテナ11は、送受信モジュール本体部16におけるモジュール筐体10の無い部分に設けられている。ただし、アンテナ11は、送受信モジュール本体部16におけるモジュール筐体10の有る部分に設けられていてもよい(例示:モジュール筐体10の金属部分をグランドプレーンとするアンテナ)。アンテナ11は、配線(図示されず)により送受信モジュール本体部16の電子機器と接続されている。アンテナ11は、必要に応じて、送受信モジュール本体部16の底面とアンテナ11との間に誘電体12を備えていても良い。
【0021】
送受信モジュール3は構造部材を用いる(モジュール筐体)ことで圧縮強度を有するが、引張強度も有することができるよう、互いに嵌合する突起部(凸部)13及び窪み部(凹部)14を有している。具体的には、モジュール筐体10における六角柱の隣り合う二側面に相当する箇所に、隣接する送受信モジュール3の窪み部14と結合(嵌合)可能な突起部13が設けられている。突起部13は、六角柱の軸と平行に、六角柱の一方の底面から他方の底面まで延びる凸部である。更に、その隣り合う二側面に対向する二側面に相当する箇所に、隣接する送受信モジュール3の突起部13と結合(嵌合)可能な窪み部14が設けられている。窪み部14は、六角柱の軸と平行に、六角柱の一方の底面から他方の底面まで延びる凹部である。隣接する送受信モジュール3の間で、これら突起部13と窪み部14とを結合(嵌合)させることにより、隣接する送受信モジュール3同士が辺で接触して、稠密に結合することができる。
【0022】
複数の送受信モジュール3は、その六角柱の軸がアレイアンテナ装置8の前後方向(y方向)に平行になるように、その六角柱を横倒しにした状態で、左右方向(x方向)及び上下方向(z方向)に稠密に結合され積層されている。すなわち、複数の送受信モジュール3は、アレイアンテナを構成している。ただし、本実施の形態において、その結合(積層)の個数や結合の仕方は任意である。例えば、図1の例では、44個の送受信モジュール3が概ね六角形状となるように、互いに結合されている。言い換えると、複数の送受信モジュール3は、前後方向(y方向)から見た場合、蜂の巣状に積層されている。あるいは、複数の送受信モジュール3を、略六角形状ではなく、例えば、略正方形状や略長方形状や略菱形状や略三角形状に並べても良い。
【0023】
このとき、複数の送受信モジュール3では、送受信モジュール3のモジュール筐体10が構造部材で形成されている。そのため、複数の送受信モジュール3の最も外側のモジュール筐体10が外枠の筐体(フレーム)の機能を発揮する。その結果、複数の送受信モジュール3は、複数の送受信モジュール3全体を保持する外枠の筐体(フレーム)を別途設けることなく、その全体形状を維持することができる。そのため、アレイアンテナ装置8では、複数の送受信モジュール3全体を保持する外枠の筐体(フレーム)を省略でき、アレイアンテナ装置8を小型・軽量化することができる。
【0024】
このように、本実施の形態では、複数の送受信モジュール3において、モジュール筐体10同士が互いに着脱可能に結合することにより、複数の送受信モジュール3が一体となり、アレイアンテナ装置8を構成している。このとき、いずれかの送受信モジュール3を交換する場合、その送受信モジュール3を前後方向(y方向)に引き出し、代わりの送受信モジュール3を前後方向(y方向)から嵌め込むことができる。そのため、アレイアンテナ装置8では、送受信モジュール3を極めて容易に交換を行うことができる。
【0025】
また、本実施の形態では、いくつかの送受信モジュール3を事後的に更に付け加えたり、いくつかの送受信モジュール3を事後的に取り除いたりすることができる。すなわち、本実施の形態では、アレイアンテナを構成する送受信モジュール3の数や配置を可変に出来る。そのため、アレイアンテナ装置8は、目的や必要に応じて、アレイアンテナの面積を変更可能なスケーラビリティを有する。
【0026】
アレイアンテナ装置8は、更に、制御装置7の制御により、複数の送受信モジュール3を所定の方向へ駆動する駆動機構6を備えている。駆動機構6は、エレベーション駆動機構4と、アジマス駆動機構5とを備えている。エレベーション駆動機構4は、支持部4aを介して複数の送受信モジュール3の下側部分を保持し、回転軸C1を中心として複数の送受信モジュール3を回転駆動する。アジマス駆動機構5は、回転軸C2を中心として複数の送受信モジュール3を回転駆動する。
【0027】
図3は、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す斜視図である。図4は、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置に使用される送受信モジュールの構成例を模式的に示す正面図である。ただし、図3及び図4は、それぞれ図1及び図2の前後方向の反対側からアレイアンテ装置8及び送受信モジュール3を見た図である。
【0028】
送受信モジュール3同士の熱的接触による放熱は、送受信モジュール3の表面の熱伝導でもよいし、送受信モジュール3間に冷却用の配管を取り付けてもよい。配管には冷却用の空気や水のような冷媒を流す。例えば、図3の例では、複数の送受信モジュール3において、左下隅の送受信モジュール3へ配管22から冷却水を導入し、隣り合う送受信モジュール3の間では配管21で冷却水を受け渡し、最終的に右上隅の送受信モジュール3の配管23から冷却水を排出する。
【0029】
このとき、冷却用の配管21、22、23は送受信モジュール3とは別に外付けとしている。この場合、例えば、図4に示すように、送受信モジュール3の六角柱の他の一つの底面(送受信モジュール本体部16の他の一つの底面)に、冷却用の配管21、22、23が接続可能な接続部15を設ける。ただし、接続部15の位置や数は任意である。
【0030】
この場合、冷却用の配管が複数の送受信モジュール3の後側(+y側)に露出して、接続や取り外しが容易なので、送受信モジュール3の交換や増設や削減において、配管の接続変更を容易に行うことができる。
【0031】
あるいは、冷却用の配管は送受信モジュール3の構造接続用の突起部13及び窪み部14と共用とすることもできる。図5は、本実施の形態に係る送受信モジュールの他の構成例を模式的に示す斜視図である。この図の例では、突起部13及び窪み部14の所定の位置に、にそれぞれ開口部15a及び開口部15bが設けられている。
【0032】
開口部15a及び開口部15bには、いずれも送受信モジュール本体部16内の冷却用の配管(図示されず)が接続されている。それにより、隣り合う送受信モジュール3の一方の突起部13が他方の窪み部14に構造的に嵌合したとき、その一方の突起部13に設けられた開口部15aと、その他方の窪み部14に設けられた開口部15bとが接続され、冷却用の配管が接続される。開口部同士は、例えばOリングシールなどで冷媒の漏れが起こらないようにする。なお、最も外側の送受信モジュール3では、隣接する送受信モジュール3が無いため、外付けの冷却用の配管で対応する。
【0033】
このように、突起部13及び窪み部14に、冷却用の配管の機能を持たせることで、冷却用の配管を接続したり取り外したりする手間が省略でき、メンテナンスの時間やコストを削減できる。
【0034】
なお、図3図5においては、冷却用の配管に関して説明したが、電気関係の配線も、同様に考えることができる。ここで、電気関係の配線としては、送受信モジュール3への電力供給用の配線(図示されず)や、送受信モジュール3への電気信号(制御信号)の送受信用の配線(図示されず)が例示される。ただし、送受信モジュール3へ電力を供給する電源部や電気信号(制御信号)を供給する電源回路の記載は省略する。このとき、上記の図3図5における配管の構成と同様に、配線の構成を設けることで、配線についても、配管と同様の効果を得ることができる。
【0035】
なお、図3図4の場合において、冷却用の配管と電気関係の配線とをまとめて一体型の部品としてもよい。この場合、冷却用の配管の接続/取り外しと電気関係の配線の接続/取り外しとを一度に行うことができるので、メンテナンスの時間やコストを削減できる。
【0036】
更に、図5の場合において、冷却用の配管と電気関係の配線とをまとめて一体型の部品とし、開口部15a及び開口部15bに送受信モジュール本体部16内の冷却用の配管(図示されず)及び電気関係の配線(図示されず)が接続されていても良い。この場合、冷却用の配管の接続/取り外し及び電気関係の配線の接続/取り外しを行うことなく、ワンタッチで送受信モジュール3の交換が可能となるので、メンテナンスの時間やコストを更に削減できる。
【0037】
このアレイアンテナ装置8は、支持部4a上に送受信モジュール3を順次積層して組み立てられる。組立時には、隣り合う送受信モジュール3の突起部13と窪み部14とを嵌合させながら稠密に積層していく。ただし、構造が維持できるならば、完全に稠密である必要はなく、部分的に隙間があっても良い。また、組立時には、アレイアンテナの平面出しのため平面治具を用いてもよいが、平面出しをせず電気的に補正してもよい。
【0038】
また、上述された送受信モジュール3の基本形状は、(正)六角柱形状である。ただし、本実施の形態はこの例に限定されるものではなく、敷き詰め可能な形状であれば、その形状は任意である。例えば、受信モジュール3の基本形状は、(正)三角柱形状や(正)四角柱形状であっても良い。また、突起部13窪み部14は、アレイアンテナ装置8の構造が維持可能であれば、送受信モジュール3における他の送受信モジュール3と接する全ての側面に設けられている必要はなく、いくつかの側面だけに設けられていてもよい。本実施の形態では、一例として、図1に示すように、六角柱形状の6側面のうちの4側面に設けられ、2側面に突起部13が、他の2側面に窪み部14がそれぞれ設けられている。
【0039】
また、上述されたアレイアンテナ装置8は、レドームで覆われていても良い。
【0040】
次に、複数の送受信モジュール3をアレイアンテナ状に組み立てる方法について説明する。
支持部4aの上部には送受信モジュール3の形状に合わせた凹凸(突起部を含む)が形成されている。まず、一段目の一列分の送受信モジュール3を、それらの窪み部14がその凹凸の突起部に嵌合するように順番に設置する。次に、二段目の一列分の送受信モジュール3を、それらの窪み部14が一段目の送受信モジュール3の突起部13に嵌合するように順番に設置する。以下同様である。その後、必要に応じて配管や配線を接続して、複数の送受信モジュール3をアレイアンテナ状に組み立てる。
【0041】
次に、送受信モジュール3の取り外し方法について説明する。
複数の送受信モジュール3を全て取り外す場合には、上記組み立て方法の逆を行うことで、全てを取り外し可能である。また、一つの送受信モジュール3を取り外す場合には、その送受信モジュール3の配管や配線を取り外した後、その送受信モジュール3を前方向(−y方向)又は後方向(+y方向)に引き出すことで、取り外し可能である。配管や配線については、取り外した送受信モジュール3の位置をバイパスするようにつなぎかえる。
【0042】
本実施の形態では、アレイアンテナ全体の構造を維持する筐体として、複数の送受信モジュール3の各々のモジュール筐体を一体的に用いている。その結果、本実施の形態では、複数の送受信モジュール3全体を覆うような外枠の筐体を用いていない。すなわち、全体を覆うような外枠の筐体を削減したことにより、アレイアンテナ装置の小型化・軽量化を図ることができる。
【0043】
また、本実施の形態では、アレイアンテナを構成する送受信モジュール3の数が可変であるため、用途に応じて、適宜、アレイアンテナ面積やアレイアンテナ形状を任意の大きさや形状に変更することが可能となる。すなわち、本実施の形態では、アレイアンテナ装置にスケーラビリティを付与することができる。
【0044】
更に、本実施の形態では、アレイアンテナを構成する送受信モジュール3の数が可変であるため、用途に応じて、アレイアンテナ形状を縦長形状、横長形状、トーラス形状など、任意な形状に組み立てることができる。
【0045】
更に、本実施の形態では、アレイアンテナの前面側(−y側)及び後面側(+y側)のどちら側からでも送受信モジュール3にアクセスすることが可能である。それにより、送受信モジュール3を交換するときの整備性が良い。
【0046】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、送受信モジュールの角柱の側面の一部を構造部材とする点で、角柱の側面の全部を構造部材とする第1の実施の形態と相違している。以下、その相違点について主に説明する。
【0047】
図6Aは、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す正面図である。この図では、アレイアンテナ装置8の六角柱形状の複数の送受信モジュール3aの外観の一部を示している。分かり易さのために、突起部や窪み部やアンテナなどの記載は省略している。
【0048】
この送受信モジュール3aでは、六角柱の6側面(モジュール筐体10)のうち、鉛直方向下側(−z側)の3側面10a1のみに構造部材が用いられ、強度が付与されている。一方、六角柱の6側面(モジュール筐体10)のうち、鉛直方向上側(+z側)の3側面10a2には構造部材が用いられていない。なお、第1の実施の形態の送受信モジュール3では、六角柱の6側面(モジュール筐体10)全てに構造部材が用いられている。突起部や窪み部については、例えば、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0049】
このアレイアンテナ装置8の組立時には、ある送受信モジュール3aの強度を有さない側面10a2に対して、別の送受信モジュール3aの強度を有する側面10a1を接続(結合)する。そして、アレイアンテナとしては、送受信モジュール3aの全ての側面(自身の側面又は隣接する送受信モジュール3aの側面)が構造部材となり、強度を有するように組み合わせる。このようにすることで、複数の送受信モジュール3aとしては、全体として所望の強度を得ることができる。また、第1の実施の形態と比べ、構造部材の側面が重複しないため、送受信モジュール3aを軽量化できる。
【0050】
図6Bは、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の他の構成例を模式的に示す正面図である。この図では、アレイアンテナ装置8の四角柱形状の複数の送受信モジュール3bの外観の一部を示している。分かり易さのために、突起部や窪み部やアンテナなどの記載は省略している。
【0051】
この送受信モジュール3bでは、四角柱の4側面(モジュール筐体10)のうち、鉛直方向下側(−z側)及び水平方向左側(−x側)の2側面10b1のみに構造部材が用いられ、強度が付与されている。一方、四角柱の4側面(モジュール筐体10)のうち、鉛直方向上側(+z側)及び水平方向右側(+x側)の2側面10b2には構造部材が用いられていない。突起部や窪み部については、例えば、2側面10b1に突起部を設け、2側面10b2に窪み部を設ける(又はこの逆)とする。
【0052】
この場合にも、このアレイアンテナ装置8の組立時には、ある送受信モジュール3bの強度を有さない側面10b2に対して、別の送受信モジュール3bの強度を有する側面10b1を接続(結合)する。そして、アレイアンテナとしては、送受信モジュール3bの全ての側面(自身の側面又は隣接する送受信モジュール3bの側面)が構造部材となり、強度を持つように組み合わせる。このようにすることで、複数の送受信モジュール3bとしては、全体として所望の強度を得ることができる。また、第1の実施の形態と比べ、構造部材の側面が重複しないため、送受信モジュール3bを軽量化できる。
【0053】
図6Cは、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の更に他の構成例を模式的に示す正面図である。この図では、アレイアンテナ装置8の三角柱形状の複数の送受信モジュール3cの外観の一部を示している。分かり易さのために、突起部や窪み部やアンテナなどの記載は省略している。
【0054】
この送受信モジュール3cでは、三角柱の3側面(モジュール筐体10)のうち、2側面10c1のみに構造部材が用いられ、強度が付与されている。一方、三角柱の3側面(モジュール筐体10)のうち、1側面10c2には構造部材が用いられていない。突起部や窪み部については、例えば、側面10c1に突起部を設け、側面10c2に窪み部を設ける(又はこの逆)とする。
【0055】
この場合にも、このアレイアンテナ装置8の組立時には、ある送受信モジュール3cの強度を有さない側面10c2に対して、別の送受信モジュール3cの強度を有する側面10b1を接続(結合)する。そしてアレイアンテナとしては、送受信モジュール3cの全ての側面(自身の側面又は隣接する送受信モジュール3cの側面)が構造部材となり、強度を持つように組み合わせる。このようにすることで、複数の送受信モジュール3cとしては、全体として所望の強度を得ることができる。また、第1の実施の形態と比べ、強度を持つ側面が一部しか重複しないため、送受信モジュール3cを軽量化できる。
【0056】
上記いずれの場合おいても、どの側面に構造部材を用いるかは任意である。ただし、少なくとも複数の側面の半数以上に構造部材を用いる。それにより、複数の送受信モジュールとしては、全体として所望の強度を得ることができる。例えば、図6A図6Cでは、それぞれ、6側面のうちの3側面、4側面のうちの2側面、3側面のうちの2側面に構造部材が用いられている。また、図6A図6Bの例では、重力の影響を考慮して、鉛直方向下側(−z側)の側面を含むように側面を選択している。
【0057】
本実施の形態も、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、強度を持つ側面の重複が少ないため、送受信モジュールをより軽量化できる。
【0058】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、送受信モジュール同士を止め具機構で結合する点で、突起部と窪み部との嵌合を用いる第1の実施の形態と相違している。以下、その相違点について主に説明する。
【0059】
図7は、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す側面図である。この図では、アレイアンテナ装置8の六角柱形状の複数の送受信モジュール3dの外観の一部を示している。分かり易さのために、配管や配線などの記載は省略し、止め具機構を透視して記載している。
【0060】
送受信モジュール3dは、モジュール筐体10dを構造部材とすることで圧縮強度を有するが、引張強度(送受信モジュール3dを前後方向に固定)も有することができるよう止め具機構50を備えている。具体的には、この送受信モジュール3dは、送受信モジュール本体部16内に止め具機構50を備えている。止め具機構50は、その一部を隣接する送受信モジュール3dに挿入することで、この送受信モジュール3dをその隣接する送受信モジュール3dに固定する。止め具機構50は、2個の止め具51と、ばね52とを備えている。
【0061】
ばね(弾性体)52は、2個の止め具51の間に設けられ、2個の止め具51を互いに離間させるように作用する。2個の止め具51は、送受信モジュール3dの対向する2つの側面の近傍に設けられている。言い換えると、2個の止め具51は、送受信モジュール3dの対向する2つの側面の近傍に、ばね52により互いに離間するように設けられている。
【0062】
止め具機構50による隣接する送受信モジュール3d間の固定方法について説明する。
2個の止め具51のうちの一方の止め具51は、ばね52の力により、モジュール筐体10dに押し付けられる。このとき、止め具51の突起部53が送受信モジュール3dのモジュール筐体10dに開口した孔19p1の位置にある場合、突起部53がその孔19p1を通り、モジュール筐体10dの外側へ突出することができる。このとき、更に、隣接する送受信モジュール3dのモジュール筐体10dの孔19p2が、孔19p1と重なる位置にある場合、突起部53は、更に、孔19p2へ挿入される。その結果、止め具51は、その突起部53を隣接する送受信モジュール3dに挿入することで、この送受信モジュール3dをその隣接する送受信モジュール3dに固定する。2個の止め具51のうちの他方の止め具51も、同様にして、その突起部53を他の隣接する送受信モジュール3dに挿入することで、この送受信モジュール3dをその他の隣接する送受信モジュール3dに固定する。
【0063】
以上のようにして、止め具機構50により、送受信モジュール3dは、隣接する送受信モジュール3dに固定される。この場合、送受信モジュール3dを前後方向(アンテナ11の表面に垂直な方向)にも固定することができ、送受信モジュールをより確実に固定化することができる。なお、この場合、突起部13や窪み部14はあっても良いし、無くても良い。
【0064】
次に、送受信モジュール3dの取り外し方法について説明する。
2個の止め具51における送受信モジュール3dの後方向の外側に延びる部分に力を加え、2個の止め具51が互いに近づくようにばね52を縮ませる。このとき、2個の止め具51の突起部53がいずれも孔19p1の内側に入る。その結果、2個の止め具51は、この送受信モジュール3dをその隣接する送受信モジュール3dに固定しなくなる。その状態で、送受信モジュール3dを前後方向(図では後方向)に移動することで、送受信モジュール3dを取り外す。
【0065】
なお、止め具機構50は、冷却用の配管や、電力供給用の配線や、送受信信号用の配線と兼用してもよい。例えば、図5の接続部15の代わりとして、止め具51の送受信モジュール3dの外側に延びる部分の端から、止め具51の送受信モジュール3dの内側に延びる部分の端へ、配線や配管を貫通させる方法が考えられる。それにより、配線や配管と止め具機構50とが一体化され、取り外し作業が容易となる。
【0066】
また、止め具機構50は、送受信モジュールの側面ごとに設けても良い。それを示しているのが図8である。図8は、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の他の構成例を模式的に示す正面図である。この図では、アレイアンテナ装置8の六角柱形状の複数の送受信モジュール3eの外観の一部を示している。分かり易さのために、配管や配線などの記載は省略し、止め具機構を透視して記載している。
【0067】
送受信モジュール3eの止め具機構50は、送受信モジュール3eの側面の内側に接した容器10e1内に設けられている。止め具機構50は、その一部を隣接する送受信モジュール3eに挿入することで、この送受信モジュール3dをその隣接する送受信モジュール3eに固定する。止め具機構50は、2個の止め具51と、ばね52とを備えている。
【0068】
ばね52は、2個の止め具51の間に設けられ、2個の止め具51を互いに離間させるように作用する。2個の止め具51の一方は、送受信モジュール3eの側面の近傍に設けられている。2個の止め具51の他方は、容器10e1における送受信モジュール3eの側面に対向する位置に設けられている。
【0069】
止め具機構50による隣接する送受信モジュール3e間の固定方法について説明する。
2個の止め具51のうちの一方の止め具51は、ばね52の力により、モジュール筐体10eに押し付けられる。このとき、止め具51の突起部53が送受信モジュール3eのモジュール筐体10eに開口した孔19p1の位置にある場合、突起部53がその孔19p1を通り、モジュール筐体10eの外側へ突出することができる。このとき、更に、隣接する送受信モジュール3eのモジュール筐体10eの孔19p2が、孔19p1と重なる位置にある場合、突起部53は、更に、孔19p2へ挿入される。その結果、止め具51は、その突起部53を隣接する送受信モジュール3eに挿入することで、この送受信モジュール3eをその隣接する送受信モジュール3eに固定する。このとき、2個の止め具51のうちの他方の止め具51は、その突起部53を容器10e1の孔19ap1に挿入される。
【0070】
以上のようにして、止め具機構50により、送受信モジュール3eは、隣接する送受信モジュール3eに固定される。この場合、止め具機構50は、送受信モジュール3eの全ての側面に設けられていても良い(六角柱形状の場合、6側面全て)。あるいは、止め具機構50は、送受信モジュール3eのいくつかの側面に設けられていても良い(六角柱形状の場合、対向する2側面や、突起部及び窪み部のように4側面)。
【0071】
次に、送受信モジュール3eの取り外し方法について説明する。
2個の止め具51のうち送受信モジュール3eの外側に延びる部分に力を加え、ばね52が縮むように互いに近づける。このとき、止め具51の突起部53が孔19p1の内側に入る。その結果、止め具51は、この送受信モジュール3eをその隣接する送受信モジュール3eに固定しなくなる。その状態で、送受信モジュール3eを前後方向(図では後方向)に移動することで、送受信モジュール3eを取り外す。
【0072】
他の構成については、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態には、第2の実施の形態を適用することも可能である。
【0073】
本実施の形態も、第1、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、止め具機構を用いることで、アンテナ前後方向にもより確実な固定が可能となる。
【0074】
(第4の実施の形態)
本実施の形態では、複数の送受信モジュールを曲面配置で結合する点で、平面配置で結合する第1の実施の形態と相違している。以下、その相違点について主に説明する。
【0075】
図9A及び図9Bは、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す側面図である。これらの図では、アレイアンテナ装置8の複数の送受信モジュール3f及び3g(モジュール筐体)における底面部分のみを示している。更に、分かり易さのために、アンテナや配管や配線などの記載は省略している。
【0076】
アレイアンテナ装置8において、複数の送受信モジュールは、図1のような平面的な配置だけでなく、図9A及び図9Bのような曲面的な配置で取り付けることが可能である。言い換えると、アレイアンテナ装置8では、アレイアンテナの断面が閉じた曲線を有するように、複数の送受信モジュール3f(、3g)のモジュール筐体を一体的に取り付けることができる。曲面的配置は、特に制限はなく、任意である。例えば、基本的な配置形状として、正多面体形状の配置でも良いし、半正多面体形状の配置でも良いし、角柱形状の配置でも良いし、半角柱形状の配置でも良い。図9Aでは、複数の送受信モジュール3fは、基本的は配置形状として、半正多面体の切頂二十面体形状に基づいている。図9Bでは、複数の送受信モジュール3gは、基本的は配置形状として、角柱の正六角柱形状に基づいている。更に、アレイアンテナ装置8では、図視されないが、アレイアンテナの断面が開いた曲線を有するように、複数の送受信モジュールのモジュール筐体を一体的に取り付けることもできる。すなわち、任意の曲面が形成可能である。
【0077】
図9Aを参照すると、複数の送受信モジュール3fは、切頂二十面体形状(サッカーボール形状)における正六角形(20個)の位置に配置されている。すなわち、送受信モジュール3fは、六角柱形状を有している。ここで、複数の送受信モジュール3fは、切頂二十面体における正五角形(12個)の位置にも更に配置されても良い。その場合、正五角形(12個)の位置に配置される送受信モジュールの形状は五角柱形状となる。あるいは、複数の送受信モジュール3fは、切頂二十面体における正五角形(12個)の位置にのみ配置されていてもよい。
【0078】
図9Bを参照すると、複数の送受信モジュール3gは、正六角柱形状における側面(長方形(又は正方形:6個)の位置に配置されている。すなわち、送受信モジュール3fは、直方体形状(又は立方体形状)を有している。ここで、複数の送受信モジュール3gは、正六角柱における底面(正六角形:2個)の位置に更に配置されても良い。その場合、正六角形(2個)の位置に配置される送受信モジュールの形状は六角柱形状となる。
【0079】
複数の送受信モジュール3f及び3gは、駆動機構6により、それぞれ回転軸C3及びC4の周囲を回転可能である。
【0080】
このように、送受信モジュール3f、3gは、1種類の形状(例示:正六角柱形状、直方体形状)としてもよいし、複数の種類の形状(例示:正六角柱形状+正五角柱形状、直方体+正六角柱形状)としてもよい。また、送受信モジュール3f、3gは、基本的な配置形状を完全に覆うように敷き詰めてもよいし、隙間を設けて部分的に覆うように敷き詰めてもよい。
【0081】
次に、送受信モジュール3f同士及び送受信モジュール3g同士の接続方法について説明する。図10A及び図10Bは、本実施の形態に係る送受信モジュールの接続方法の一例を模式的に示す斜視図及び側面図である。ここでは、代表して、送受信モジュール3f−1と送受信モジュール3f−2との接続方法について説明する。
【0082】
送受信モジュール3f−1と送受信モジュール3f−2とは、それらの底面部分(モジュール筐体)の辺によって接している。その底面部分には、蝶番構造45が設けられている。蝶番構造45は、送受信モジュール3f−1の底面部分と送受信モジュール3f−2の底面部分とを所望の角度で結合することができる。すなわち、隣り合う送受信モジュール3f−1と送受信モジュール3f−2とは、蝶番構造45により底面部分の辺同士を接合している。
【0083】
このように、送受信モジュール3fでは、隣り合う送受信モジュール3fの底面部分の辺同士を蝶番構造45により結合している。同様に、送受信モジュール3gでも、隣り合う送受信モジュール3gの底面部分の辺同士を蝶番構造45により結合している。それにより、送受信モジュール3fや3gを、上述された基本的な配置形状を完全に又は部分的に覆うように敷き詰めることができる。そして、これを応用することで、任意の曲面が形成可能である。
【0084】
本実施の形態のアレイアンテナ装置8では、送受信モジュールを曲面配置とした場合、全方位性を有する配置が可能である。
【0085】
ここで、特開2011−257350号公報に、多面アンテナを用いて全方位性を実現するレーダ装置が提案されている。このレーダ装置は、一面のアンテナが故障した場合にも他の面のアンテナで覆域を補完できるという冗長性を有している。しかし、本実施の形態のアレイアンテナ装置8も、全方位性を実現するとともに、一面のアンテナが故障した場合にも他の面のアンテナで覆域を補完できるという冗長性を有している。そして、更に、本実施の形態のアレイアンテナ装置8は、アジマス方向だけでなく、エレベーション方向にも、冗長性を有することができる。更に、後方にも電波放射ができるため、バックローブを低減できる。更に、開口面を、球面レーダのうち指向方向に対し直交する外周部分を用いてトーラス状に形成した場合、外周部分を用いているため、非常に多数の開口面を保持することが可能となる。
【0086】
他の構成については、第1の実施の形態と同様である。
【0087】
次に、複数の送受信モジュール3f(、3g)をアレイアンテナ状に組み立てる方法について説明する。
所定の支持部(図示されず)上において、複数の送受信モジュール3f(、3g)を所定の基本形状(例示:切頂二十面体形状、六角柱形状)となるように、蝶番構造45を用いて順番に互いに組み合わせて接合する。その後、必要に応じて配管や配線を接続して、複数の送受信モジュール3f(、3g)をアレイアンテナ状に組み立てる。
【0088】
次に、送受信モジュール3f(、3g)の取り外し方法について説明する。
複数の送受信モジュール3f(、3g)を全て取り外す場合には、上記組み立て方法の逆を行うことで、全てを取り外し可能である。また、一つの送受信モジュール3f(、3g)を取り外す場合には、その送受信モジュール3f(、3g)の配管や配線を取り外した後、その送受信モジュール3f(、3g)の蝶番構造45を取り外すことで、取り外し可能である。配管や配線については、取り外した送受信モジュール3の位置をバイパスするようにつなぎかえる。
【0089】
本実施の形態も、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、送受信モジュールを曲面配置としているので、全方位性を有する配置が可能となり、冗長性を高めること等の効果を得ることが可能となる。
【0090】
(第5の実施の形態)
本実施の形態では、外側の筐体(構造部材)を用いる点で、外側の筐体を用いず送受信モジュールのモジュール筐体に構造部材を用いる第1の実施の形態と相違している。送受信モジュールのモジュール筐体に構造部材を用いないことにより、構造部材を削減している。以下、その相違点について主に説明する。
【0091】
図11A及び図11Bは、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の構成例を模式的に示す斜視図である。図11Aは組立後のアレイアンテナ装置8を示し、図11Bは組立前のアレイアンテナ装置8を示している。分かり易さのために、配管や配線やアンテナなどの記載は省略している。
【0092】
アレイアンテナ装置8は、筐体40と、複数の送受信モジュール3hとを備えている。送受信モジュール3hは、後述される送受信モジュール3i、3j、3kであっても良い。筐体40は、複数の送受信モジュール3h全体の外枠であり、複数の送受信モジュール3h全体を囲むように設けられている。筐体40は、その内部に、複数の送受信モジュール3hを保持し、複数の送受信モジュールの位置を決定し、固定している。筐体40は、構造部材で形成されている。
【0093】
送受信モジュール3hは、基本的機能は第1の実施の形態と送受信モジュール3と相違しない。
ただし、送受信モジュール3hは、筐体40内に収められているため、送受信モジュール3h自身の外枠を構造部材で構成する必要は無い。したがって、送受信モジュール3hは、モジュール筐体を用いていない。そして、モジュール筐体を用いていないため、アレイアンテナ装置8は、全体として軽量化を図ることができる。
【0094】
送受信モジュール3hは、後述されるように、自身が膨張又は収縮することにより着脱される。すなわち、送受信モジュール3hは、組み立てに際しては、自身が膨張して隣接する送受信モジュール3hと密接する。それにより、複数の送受信モジュール3hは、図11Aのように、稠密に筐体40内に収まる。一方、送受信モジュール3hは、取り外しに際しては、自身が収縮して隣接する送受信モジュール3hから離間する。それにより、複数の送受信モジュール3hは、図11Bのように、筐体40から取り出し可能な状態になる。
【0095】
なお、図11Bは、分かり易さのために、収縮した送受信モジュール3hが筐体40内に浮いているが、実際には、下方に集積、積層される。また、一つの送受信モジュール3hだけ取り出したい場合には、その送受信モジュール3hのみ収縮することで、容易にその送受信モジュール3hを取り出すことができる。
【0096】
アレイアンテナ装置8は、更に支持部4aを備えていても良い。支持部4aは、複数の送受信モジュール3hを含む筐体40を支持している。アレイアンテナ装置8は、更に、図1に示すような駆動機構6(エレベーション駆動機構4とアジマス駆動機構5とを備える)により、駆動可能に支持されていても良い。
【0097】
図12A図12Dは、本実施の形態に係る送受信モジュールの構成例を模式的に示す正面図である。ただし、図12Aは送受信モジュール3hを示し、図12Bは送受信モジュール3iを示し、図12Cは送受信モジュール3jを示し、図12Dは送受信モジュール3kを示している。
【0098】
図12Aを参照して、送受信モジュール3hは、自身が膨張又は収縮する機構として、機械的に膨張又は収縮する機構を有する。具体的には、送受信モジュール3hは、送受信モジュール本体部30と、複数の膨張収縮機構32とを備えている。送受信モジュール本体部30は、送受信モジュール本体部16と同じであり、アンテナ11(誘電体12)を備えている。この図の例では、送受信モジュール本体部30が六角柱形状のため、その六角柱の側面ごとに膨張収縮機構32が設けられている。膨張収縮機構32は、駆動部35と外枠板33とを備えている。外枠板33は、送受信モジュール本体部30の六角柱の一側面と概ね同じ大きさを有している。駆動部35は、電気モータや空気圧などによる力で、外枠板33を外側に押し出す動作と、外枠板33を送受信モジュール本体部30側に引き戻す動作を行う。
【0099】
駆動部35が外枠板33を外側に押し出す動作により、図12Aの左側に示すように、送受信モジュール3hは実質的に外側に膨張したことになる。一方、駆動部35が外枠板33を送受信モジュール本体部30側に引き戻す動作により、図12Aの右側に示すように、送受信モジュール3hは実質的に内側に収縮したことになる。
【0100】
図12Bを参照して、送受信モジュール3iは、自身が膨張又は収縮する機構として、空気圧で膨張又は収縮する機構を有する。具体的には、送受信モジュール3iは、送受信モジュール本体部30と、膨張収縮機構32aとを備えている。この図の例では、送受信モジュール本体部30が六角柱形状のため、その六角柱の側面全体を覆うように膨張収縮機構32aが設けられている。膨張収縮機構32aは、空気封入部36と複数の外枠板33とを備えている。外枠板33は、送受信モジュール本体部30の六角柱の一側面と概ね同じ大きさを有している。空気封入部36は、空気を内部に吸入して膨張し、各側面の外枠板33を外側に押し出す動作と、内部の空気を吐出して収縮し、各側面の外枠板33を送受信モジュール本体部30側に引き戻す動作を行う。
【0101】
空気封入部36が外枠板33を外側に押し出す動作により、図12Bの左側に示すように、送受信モジュール3iは実質的に外側に膨張したことになる。一方、空気封入部36が外枠板33を送受信モジュール本体部30側に引き戻す動作により、図12Bの右側に示すように、送受信モジュール3iは実質的に内側に収縮したことになる。なお、空気圧で膨張又は収縮する機構を用いる場合、空気は冷却用の空気と兼用してもよい。
【0102】
図12Cを参照して、送受信モジュール3jは、自身が膨張又は収縮する機構として、温度変化により膨張又は収縮する機構を有する。具体的には、送受信モジュール3jは、送受信モジュール本体部30と、膨張収縮機構32bとを備えている。この図の例では、送受信モジュール本体部30が六角柱形状のため、その六角柱の側面全体を覆うように膨張収縮機構32bが設けられている。膨張収縮機構32bは、送受信モジュール本体部30を覆うように設けられた冷媒封入部37と、冷媒封入部37を覆うように設けられた熱膨張体34とを備えている。冷媒封入部37は、冷媒を内部に供給されて低温になり、その外側の熱膨張体34を冷却して収縮させる動作と、冷媒を外部に送出されて常温になり、その外側の熱膨張体34を常温にして膨張させる動作とを行う。
【0103】
冷媒封入部37が熱膨張体34を膨張させる動作により、図12Cの左側に示すように、送受信モジュール3jは実質的に外側に膨張したことになる。一方、冷媒封入部37が熱膨張体34を収縮させる動作により、図12Cの右側に示すように、送受信モジュール3jは実質的に内側に収縮したことになる。
【0104】
図12Dを参照して、送受信モジュール3kは、自身が膨張又は収縮する機構として、温度変化により膨張又は収縮する機構を有する。具体的には、送受信モジュール3kは、送受信モジュール本体部30と、膨張収縮機構32cとを備えている。この図の例では、送受信モジュール本体部30が六角柱形状のため、その六角柱の側面全体を覆うように膨張収縮機構32cが設けられている。膨張収縮機構32cは、送受信モジュール3kの動作(運用)により発生する熱で膨張する動作と、送受信モジュール3kの動作(運用)の終了により熱の発生が停止して収縮する動作とを行う。ただし、送受信モジュール本体部30自身が温度変化により膨張又は収縮する場合には、膨張収縮機構32cは不要である。言い換えると、膨張収縮機構が送受信モジュール本体部30と一体で、送受信モジュール本体部30に取り込まれているとみなせる場合、膨張収縮機構32cは不要である。
【0105】
膨張収縮機構32cが熱膨張して外側に膨らむ動作により、図12Dの左側に示すように、送受信モジュール3kは実質的に外側に膨張したことになる。一方、膨張収縮機構32cが冷えて内側に縮む動作により、図12Dの右側に示すように、送受信モジュール3kは実質的に内側に収縮したことになる。
【0106】
このように、本実施の形態では、送受信モジュールは膨張や熱応力で固定されており、送受信モジュールを筐体40に固定するための複雑な機構を有さない。そのため、アレイアンテナ装置8全体として軽量化が図れる。
【0107】
次に、複数の送受信モジュール3hをアレイアンテナ状に組み立てる方法について説明する。
まず、筐体40の下側(−z側)側面の内側に、一段目の一列分の送受信モジュール3hを、膨張収縮機構32を収縮させた状態で、順番に設置する。次に、二段目の一列分の送受信モジュール3hを、膨張収縮機構32を収縮させた状態で、一段目の送受信モジュール3h上に順番に設置する。以下同様である。その後、配管や配線を接続した後、複数の送受信モジュール3hの膨張収縮機構32を膨張させて、複数の送受信モジュール3hをアレイアンテナ状に組み立てる。送受信モジュール3i、3j、3kについても同様である。
【0108】
次に、送受信モジュール3hの取り外し方法について説明する。
複数の送受信モジュール3hを全て取り外す場合には、上記組み立て方法の逆を行うことで、全てを取り外し可能である。また、一つの送受信モジュール3hを取り外す場合には、まず、その送受信モジュール3hの配管や配線を取り外し、次に、その膨張収縮機構32を収縮させる。その後、その状態で、その送受信モジュール3hを前方向(−y方向)又は後方向(+y方向)に引き出すことで、取り外し可能である。配管や配線については、取り外した送受信モジュール3hの位置をバイパスするようにつなぎかえる。送受信モジュール3i、3j、3kについても同様である。
【0109】
図13A及び図13Bは、本実施の形態に係るアレイアンテナ装置の他の構成例を模式的に示す斜視図である。図13Aは組立後のアレイアンテナ装置8を示し、図13Bは組立前のアレイアンテナ装置8を示している。分かり易さのために、配管や配線やアンテナなどの記載は省略している。
【0110】
空気圧で膨張又は収縮する機構を有する送受信モジュール3iを用いる場合(図12B)、複数の送受信モジュール3hを含む筐体40を、支持部4aや駆動機構6ではなく、バルーン構造体42に保持しても良い。すなわち、アレイアンテナ装置8は、筐体40と、複数の送受信モジュール3iと、バルーン構造体42を備えている。
【0111】
バルーン構造体42は、樹脂又は布などで製造された気球であり、内部に空気等を供給されて膨らみ、上空へ移動することができる。バルーン構造体42は、その側面に、筐体40を取り付けることができる。それにより、筐体40に取り付けられた複数の送受信モジュール3iを含むアレイアンテナ装置8を上空に高く揚げることができる。
【0112】
この場合、バルーン構造体42を膨張させる空気、送受信モジュール3iを膨張させる空気、及び送受信モジュール3iを冷却する空気を兼用にしてもよい。それにより、空気供給前には筐体40から取り外し可能であった送受信モジュール3i(図13B)が、空気供給後には筐体40に固定され(図13A)、運用可能な状態となる。
【0113】
本実施の形態では、送受信モジュールには構造部材で形成されるモジュール筐体が無いため、アレイアンテナ装置8全体として軽量化を図ることができる。また、送受信モジュールは膨張や熱応力で筐体40に固定されており、送受信モジュールを筐体40に固定するための複雑な機構を有さない。そのため、アレイアンテナ装置8全体として軽量化を図ることができる。送受信モジュールとして、空気圧で膨張させる機構を用いる場合は、運用中は冷却のため必ず冷却空気を送るため、送受信モジュールを固定する機構と冷却する機構において冷却空気を兼用できる。更に、筐体40をバルーン構造体に取り付ける場合には、バルーン構造体42を保持する機能にも空気を兼用できる。
【0114】
上記各実施の形態では、外枠の筐体の構造部材を削減すること、又は、送受信モジュールのモジュール筐体の構造部材を削減すること、のいずれかにより、アレイアンテナ装置の小型、軽量化を図ることができる。各実施の形態のアレイアンテナ装置は、例えば、フェイズトアレイレーダ装置に適用可能である。
【0115】
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。なお、各実施の形態に記載された個々の技術や変形例は、技術的に矛盾が発生しない限り、他の実施の形態においても同様に適用が可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 アレイアンテナシステム
3、3a〜3k 送受信モジュール
4 エレベーション駆動機構
4a 支持部
5 アジマス駆動機構
6 駆動機構
7 制御装置
8 アレイアンテナ装置
10、10d モジュール筐体
10a1、10a2、10b1、10b2、10c1、10c2 側面
10e1 容器
11 アンテナ
12 誘電体
13 突起部
14 窪み部
15 接続部
15a、15b 開口部
16 送受信モジュール本体部
19p1、19p2、19ap1 孔
30 送受信モジュール本体部
32、32a、32b、32c 膨張収縮機構
33 外枠板
34 熱膨張体
35 駆動部
36 空気封入部
37 冷媒封入部
40 筐体
42 バルーン構造体
45 蝶番構造
50 止め具機構
51 止め具
52 ばね
53 突起部
C1 :回転軸
C2 :回転軸
C3 :回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B