特許第6169944号(P6169944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6169944
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】タッチパネル装置および操作検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20170713BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20170713BHJP
【FI】
   G06F3/041 520
   G06F3/0488
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-219061(P2013-219061)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-82164(P2015-82164A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】片川 智弘
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−250463(JP,A)
【文献】 特開平03−286328(JP,A)
【文献】 特開2013−073254(JP,A)
【文献】 特開平02−108116(JP,A)
【文献】 特開平01−223528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/03−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル上で操作された位置を検出する操作位置検出部と、
上記タッチパネルの一部において操作を検出不可能な故障領域を特定する故障領域特定部と
上記操作位置検出部により検出される1以上の操作位置に基づいて、上記タッチパネルに対して行われた操作内容を判定する操作判定部とを備え、
上記操作判定部は、上記タッチパネルに対して行われた第1のスライド操作の終点の位置と、上記タッチパネルに対して行われた第2のスライド操作の始点の位置とが共に上記故障領域の位置もしくはその近傍であり、かつ、上記第1のスライド操作が終了してから上記第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、上記第1のスライド操作と上記第2のスライド操作とを連続した1回のスライド操作であると判定することを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
上記故障領域特定部は、上記第1のスライド操作の終点のX座標値と上記第2のスライド操作の始点のX座標値との距離差が所定値以下であり、かつ、上記第1のスライド操作が終了してから上記第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、上記第1のスライド操作の終点のX座標値から上記第2のスライド操作の始点のX座標値までを範囲幅としY軸方向と平行な領域を上記故障領域として特定することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
上記故障領域特定部は、上記第1のスライド操作の終点のY座標値と上記第2のスライド操作の始点のY座標値との距離差が所定値以下であり、かつ、上記第1のスライド操作が終了してから上記第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、上記第1のスライド操作の終点のY座標値から上記第2のスライド操作の始点のY座標値までを範囲幅としX軸方向と平行な領域を上記故障領域として特定することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
タッチパネル装置の故障領域特定部が、上記タッチパネルの一部において操作を検出不可能な故障領域を特定する第1のステップと
上記タッチパネル装置の操作位置検出部が、タッチパネル上で操作された位置を検出する第2のステップと、
上記タッチパネル装置の操作判定部が、上記第2のステップで上記操作位置検出部により今回検出された操作位置と、それより前の時点で上記操作位置検出部により検出された操作終了位置とが共に、上記第1のステップで上記故障領域特定部により特定された上記故障領域の位置もしくはその近傍であり、かつ、当該操作終了位置での操作が終了してから上記第2のステップで今回の操作が開始されるまでの時間差が所定値以下であるという所定の条件を満たすか否かを判定する第3のステップと、
上記タッチパネル装置の操作判定部が、上記所定の条件を満たすと判定した場合に、上記第2のステップで検出した今回の操作位置を、上記それより前の時点で検出された操作終了位置から続く一連のスライド操作の位置であると判定する第4のステップとを有することを特徴とする操作検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置および操作検出方法に関し、特に、タッチパネルの故障領域を跨ぐスライド操作が行われた場合の操作検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器では、操作手段としてタッチパネル装置を用いたものが増えている。この種の電子機器では、タッチパネル装置の表示パネル上に表示されたユーザインタフェースに対するユーザのタッチ操作やスライド操作(具体的にはフリック操作やピンチ操作など)によって、電子機器の各種動作を指示することができるようになっている。
【0003】
ここで、タッチパネル装置としては、抵抗膜方式、光学方式、静電容量方式などの各方式によるものが知られている。何れの方式も、X軸方向の操作位置とY軸方向の操作位置とをセンサによりライン単位で検出し、両軸の検出ラインの交点においてタッチ操作やスライド操作が行われていることを検出する仕組みとなっている。
【0004】
例えば、光学方式の場合、図5に示すように、タッチパネルの周囲において、X軸方向の一辺およびY軸方向の一辺に配置した発光素子(○印で示す)と、残りの二辺に配置した受光素子(□印で示す)とをセンサとして用いる。そして、発光素子によって発光された赤外光が指などの操作物によって遮断される位置(赤外光を受光できないX軸方向およびY軸方向の受光素子の位置)を検出するようになっている。
【0005】
この種のタッチパネル装置では、センサの状態に基づいて、操作を検出不可能な故障領域を特定することが可能である。例えば、光学方式のタッチパネル装置において、図5のようにY軸方向の1個の受光素子101において赤外光が受光されない状態が一定時間以上続いている場合、その受光素子101があるY座標値のX軸方向の1ラインを故障領域102として特定することが可能である。
【0006】
なお、タッチパネル装置の故障状態に応じて所定の対策を行うようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1には、光ビームの遮断によりタッチ操作を検出するタッチパネル装置において、発光素子が故障した場合は、故障した発光素子と隣接する発光素子から故障の発光素子と対向する受光素子へ光ビームを照射する一方、受光素子が故障した場合は、故障した受光素子と対向する発光素子から故障の受光素子と隣接する受光素子へ光ビームを照射することにより、故障遮断系付近の検出分解能の低下を防止できるようにすることが記載されている。
【0007】
特許文献2には、抵抗膜式のタッチパネル装置において、タッチパネルのスキャンデータが有効範囲内の同一位置を一定時間以上続けて示している場合は、当該タッチパネルが故障状態であると判断し、上記同一位置を故障位置であると判断することが記載されている。また、タッチパネルが故障状態であると判断されるとき、ユーザによる押圧位置を故障位置との差分により判断し、故障位置には選択ボタンを表示しないようにすることが記載されている。
【0008】
特許文献3には、表示パネルが異常となった場合における表示可能領域を検出し、検出された表示可能領域に応じて異常時表示画像を生成し、当該異常時表示画像を表示可能領域に表示することにより、表示パネルが異常となった場合でも、適切な形態で画像を表示パネルに表示することができるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−160703号公報
【特許文献2】特開2008−70963号公報
【特許文献3】特開2010−176030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図6(a)のように、X軸方向に発生した故障領域102を跨ぐようにしてスライド操作(例えば、アイコン103のドラッグ操作)を行った場合、移動中の指が故障領域102に差し掛かったときに、タッチパネルから指が離されたと誤判定されてしまう。そのため、本来は図6(b)に示す位置までアイコン103を移動させたいにもかかわらず、図6(c)のように故障領域102の位置でアイコン103の移動が止まってしまうという問題があった。
【0011】
なお、特許文献1に記載の技術によれば、故障している発光素子または受光素子が存在しても、それに隣接する発光素子または受光素子がタッチ操作の検出に代用されるので、スライド操作中に故障領域102の位置で指が離されたと誤判定されてしまうことを防止することができる。しかしながら、これは光学方式のタッチパネル装置にのみ適用可能であり、抵抗膜方式や静電容量方式など他の方式によるタッチパネル装置には適用することができない。一方、特許文献2や特許文献3に記載の技術を用いても、故障領域102において操作を検出することができないことに変わりはないため、スライド操作中に故障領域102の位置で指が離されたと誤判定されてしまうことを防止することはできない。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、タッチパネル装置の方式によらず、故障領域を跨ぐようなスライド操作を行った場合でも、ユーザが実際に行った通りのスライド操作を検出することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明では、タッチパネルの一部において操作を検出不可能な故障領域を特定し、タッチパネルに対して行われた第1のスライド操作の終点の位置と、タッチパネルに対して行われた第2のスライド操作の始点の位置とが共に故障領域の位置もしくはその近傍であり、かつ、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、第1のスライド操作と第2のスライド操作とを連続した1回のスライド操作であると判定するようにしている。
【発明の効果】
【0014】
タッチパネル上に微小幅の故障領域が発生している場合に、その故障領域を跨ぐようにしてスライド操作を行うと、移動中の指が故障領域に差し掛かったときにタッチパネルから指が離されたと誤判定されるため、そこでいったん第1のスライド操作が終了し、その後すぐに第2のスライド操作が開始されたと判定される。この場合でも、上記のように構成した本発明によれば、第1のスライド操作と第2のスライド操作とが連続した1回のスライド操作であると判定されるので、タッチパネル装置の方式によらず、故障領域を跨いでユーザが実際に行った1回のスライド操作を、その操作通りに正しく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態によるタッチパネル装置の構成例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態によるタッチパネル装置の動作を説明するための図である。
図3】第1の実施形態によるタッチパネル装置における操作検出方法に関する動作例を示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態によるタッチパネル装置の構成例を示すブロック図である。
図5】光学方式のタッチパネル装置において操作位置を検出する原理および故障領域の一例を示す図である。
図6】従来の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるタッチパネル装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態によるタッチパネル装置は、タッチパネル付きディスプレイ10およびコントローラ20を備えて構成されている。また、コントローラ20は、その機能構成として、表示制御部21、操作位置検出部22および操作判定部23を備えている。
【0017】
表示制御部21は、タッチパネル付きディスプレイ10に対する各種情報の表示を制御する。本実施形態では一例として、タッチパネル付きディスプレイ10の表示パネルにアイコンを表示させ、このアイコンをタッチパネルに対するスライド操作(なぞり操作)によって移動させる場合について説明する。
【0018】
操作位置検出部22は、タッチパネル付きディスプレイ10のタッチパネル上で操作された位置を検出する。タッチパネルに対してスライド操作が行われている場合、操作位置検出部22は、そのスライド操作の始点から終点までの一連の操作位置を随時検出して操作判定部23に出力する。また、タッチパネルに対してクリック操作が行われている場合、操作位置検出部22は、そのクリック操作が行われた1点の位置を検出して操作判定部23に出力する。
【0019】
操作判定部23は、操作位置検出部22により検出される1以上の操作位置に基づいて、タッチパネルに対して行われた操作内容を判定する。そして、その判定結果を表示制御部21に出力する。表示制御部21は、操作判定部23により判定された操作内容に応じて、アイコンの表示を制御する。なお、操作判定部23により判定された操作内容は、図示しない処理実行部にも供給され、操作内容に応じた処理が実行される。
【0020】
タッチパネルに対して行われた操作がスライド操作である場合、操作判定部23は、以下のような判定を行う。すなわち、操作判定部23は、タッチパネルに対して行われた第1のスライド操作の終点の位置と、タッチパネルに対して行われた第2のスライド操作の始点の位置と、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差とが所定の条件を満たすか否かを判定し、満たす場合には、第1のスライド操作と第2のスライド操作とを連続した1回のスライド操作であると判定する。
【0021】
ここで、所定の条件とは、第1のスライド操作の終点の位置と第2のスライド操作の始点の位置との距離差が所定値以下であり、かつ、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下であるというものである。操作判定部23は、スライド操作がこの条件を満たす場合に、第1のスライド操作と第2のスライド操作とを連続した1回のスライド操作であると判定する。
【0022】
これを図2の具体例に沿って説明する。図2に示すように、Y軸方向の1個の受光素子101が故障していて、タッチパネル上で操作を検出不可能な1ライン分の故障領域102がX軸方向に沿って存在しているものとする。図2(a)は、この故障領域102よりも上側(Y座標値が故障領域102よりも小さい側)に表示されたアイコン103をユーザの指でタッチした状態を示している。つまり、アイコン103を移動(ドラッグ)させるスライド操作の始点が指定された状態を示している。
【0023】
図2(b)は、スライド操作によりアイコン103をY軸方向の下側に向かって移動させている過程で、移動中の指が故障領域102にちょうど差し掛かった状態を示している。この場合、故障領域102では操作位置検出部22がユーザの操作(タッチパネルに対してタッチされていること)を検出することができないので、故障領域102における操作位置の情報は操作位置検出部22から操作判定部23に供給されない。そのため、操作判定部23では、故障領域102のY座標の位置でタッチパネルから指が離された、つまり、そこでスライド操作が終了したと判定する。これが第1のスライド操作である(矢印111で示す)。
【0024】
しかし、図2(c)に示すように、実際にはユーザによるスライド操作は矢印112の終点の位置まで継続して実行されている。この場合、操作位置検出部22は、故障領域102があるY座標値よりも1ライン分下側のY座標値の位置において再度タッチ操作を検出し、そこからY軸方向の下側に向かって矢印112の終点までなぞられている一連の操作位置を随時検出して操作判定部23に出力する。このため、操作判定部23は、図2(c)に矢印112で示されるようなスライド操作が行われたと判定する。これが第2のスライド操作である。
【0025】
この場合、第1のスライド操作(矢印111)の終点の位置と、第2のスライド操作(矢印112)の始点の位置とは1ライン分しか離れていないので、両位置の距離差は所定値以下となる。また、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差は、指が1ラインを通過する間のわずかな時間しかないので、これも所定値以下となる。よって、操作判定部23は、図2(d)の矢印110に示すように、第1のスライド操作と第2のスライド操作とを連続した1回のスライド操作であると判定する。
【0026】
図3は、第1の実施形態によるタッチパネル装置における操作検出方法に関する動作例を示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートは、タッチパネル装置の電源がオンとされたときに開始する。まず、操作位置検出部22は、タッチパネルに対して操作が行われたか否かを判定する(ステップS1)。操作が行われていない場合は、操作位置検出部22は、ステップS1の判定を繰り返し行う。
【0027】
タッチパネルに対して操作が行われた場合、操作位置検出部22は、その操作位置を検出し、検出した位置情報を操作判定部23に出力する(ステップS2)。操作判定部23は、前回操作位置検出部22より検出された操作終了位置と今回操作位置検出部22より検出された操作位置との距離差が所定値以下であり、かつ、前回操作位置検出部22より操作終了位置が検出されたときから今回操作位置検出部22より操作位置が検出されるまでの時間差が所定値以下であるという所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS3)。
【0028】
ここで、上記所定の条件を満たすと判定された場合、操作判定部23は、ステップS2で今回検出した操作位置を、前回検出した操作終了位置(第1のスライド操作の終点)から続く一連のスライド操作の位置(第2のスライド操作の始点)であると判定する(ステップS4)。一方、上記所定の条件を満たさないと判定された場合、操作判定部23は、ステップS2で今回検出した操作位置を通常の操作位置であると判定する(ステップS5)。
【0029】
ステップS4またはステップS5の処理の後、操作位置検出部22は、タッチパネルに対するユーザの操作が終了したか否かを判定する(ステップS6)。この判定は、ステップS2で操作位置検出部22より操作位置が検出された時点から所定時間以内に次の操作がタッチパネルに対して行われたか否かによって行う。この場合の所定時間の長さは、ステップS3で判定される所定の条件の1つである時間差に関する所定値よりも長く設定される。
【0030】
ここで、ユーザによる操作がクリック操作の場合は、次の操作がないので、ユーザの操作が終了したと判定される。一方、ユーザによる操作がスライド操作の場合は、スライド操作が継続している間は次の位置の操作が操作位置検出部22により検出されるので、ユーザの操作は終了していないと判定される。ユーザの操作がまだ終了していない、すなわち、タッチパネルに対して次の操作が行われたと操作位置検出部22により判定された場合、処理はステップS2に戻る。一方、ユーザの操作が終了したと判定された場合、処理はステップS1に戻る。
【0031】
なお、図3のフローチャートには表示制御部21による動作を示していないが、以下のように動作している。すなわち、表示制御部21は、ステップS2で操作位置検出部22により検出された操作位置に対してアイコンを表示させる制御を行う。これにより、ステップS2〜S6の繰り返しの処理によって一連のスライド操作が検出されている間、順次検出される操作位置に対してアイコンが表示され、スライド操作の始点から終点までドラッグされる。
【0032】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、第1のスライド操作の終点の位置と第2のスライド操作の始点の位置との距離差が所定値以下であり、かつ、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、第1のスライド操作と第2のスライド操作とを連続した1回のスライド操作であると判定するようにしている。具体的には、操作判定部23により第1のスライド操作が終了したと判定された後、次の操作位置が操作位置検出部22により検出された時点で、当該次の操作位置が所定の条件を満たす場合には第1のスライド操作の続きの操作位置であると操作判定部23にて判定し、そこから続く第2のスライド操作を第1のスライド操作に続く一連のスライド操作であると判定するようにしている。
【0033】
このように構成した第1の実施形態によれば、故障領域102を跨ぐようにして一連のスライド操作が行われた場合に、故障領域102を挟んで第1のスライド操作と第2のスライド操作とに分断して誤判定されることを防止することができ、故障領域102を跨いでユーザが実際に行った1回のスライド操作をその操作通りに正しく検出することができる。この効果は、タッチパネル装置の方式が抵抗膜方式、光学方式、静電容量方式の何れであっても得ることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図4は、第2の実施形態によるタッチパネル装置の構成例を示すブロック図である。この図4において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0035】
図4に示すように、第2の実施形態によるタッチパネル装置では、コントローラ20の機能構成として、故障領域特定部24を更に備えている。また、操作判定部23の代わりに操作判定部23’を備えている。
【0036】
故障領域特定部24は、タッチパネルの一部において操作を検出不可能な故障領域102を特定する。例えば、光学方式のタッチパネルにおいて、Y軸方向の1個の受光素子101において赤外光が受光されない状態が一定時間以上続いている場合、その受光素子101があるY座標値のX軸方向の1ラインを故障領域102として特定することが可能である。
【0037】
あるいは、故障領域特定部24は、次のようにして故障領域102を特定するようにしてもよい。すなわち、故障領域特定部24は、図2に示したように、第1のスライド操作の終点のY座標値と第2のスライド操作の始点のY座標値との距離差が所定値以下であり、かつ、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、第1のスライド操作の終点のY座標値から第2のスライド操作の始点のY座標値までを範囲幅としX軸方向と平行な領域を故障領域102として特定する。
【0038】
すなわち、第1のスライド操作と第2のスライド操作との2つの操作が検出された場合において、第1のスライド操作の終点のY座標値と第2のスライド操作の始点のY座標値との距離差が所定値以下であり、かつ、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下であるとき、人間の身体的能力を考えてそのような2つのスライド操作を実際に行えることはあり得ない。よって、そのような2つのスライド操作が検出された場合、故障領域特定部24は、第1のスライド操作の終点と第2のスライド操作の始点と間に故障領域102が存在すると判定する。故障領域特定部24は、故障領域102を特定した場合、その故障領域102の情報を図示しないメモリの保持しておく。
【0039】
その後、別のスライド操作が行われたときに、操作判定部23’は、第1のスライド操作の終点の位置および上記第2のスライド操作の始点の位置が共に、メモリの保持されている故障領域102の位置もしくはその近傍であり、かつ、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、第1のスライド操作と第2のスライド操作とを連続した1回のスライド操作であると判定する。
【0040】
具体的には、操作判定部23’により第1のスライド操作が終了したと判定された後、次の操作位置が操作位置検出部22により検出された時点で、第1のスライド操作の終了位置および次の操作位置が共に故障領域102の近傍であり、第1のスライド操作が終了してから次の操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、次の操作位置が第1のスライド操作に続く一連のスライド操作の位置であると判定する。
【0041】
このように構成した第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、故障領域102を跨ぐようにして一連のスライド操作が行われた場合に、故障領域102を挟んで第1のスライド操作と第2のスライド操作とに分断して誤判定されることを防止することができ、故障領域102を跨いでユーザが実際に行った1回のスライド操作をその操作通りに正しく検出することができる。
【0042】
なお、上記第1および第2の実施形態では、故障領域102がX軸に平行な領域である場合を例に挙げて説明したが、故障領域がY軸に平行な領域である場合にも同様に本発明を適用することが可能である。また、上記第1および第2の実施形態では、Y軸方向に沿ってスライド操作が行われる場合を例に挙げて説明したが、X軸方向に沿ってスライド操作が行われる場合や、斜めにスライド操作が行われる場合にも本発明を適用することが可能である。
【0043】
また、第2の実施形態において、故障領域特定部24は、Y軸に平行な故障領域も特定することが可能である。すなわち、故障領域特定部24は、第1のスライド操作の終点のX座標値と第2のスライド操作の始点のX座標値との距離差が所定値以下であり、かつ、第1のスライド操作が終了してから第2のスライド操作が開始されるまでの時間差が所定値以下の場合に、第1のスライド操作の終点のX座標値から第2のスライド操作の始点のX座標値までを範囲幅としY軸方向と平行な領域を故障領域として特定する。
【0044】
また、上記第1および第2の実施形態では、アイコンのドラッグ操作を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、タッチパネル上で行われるスライド操作に対しては全て本発明を適用することが可能である。
【0045】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 タッチパネル付きディスプレイ
21 表示制御部
22 操作位置検出部
23,23’ 操作判定部
24 故障領域特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6