(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
設置現場でブラインドを設置した際に、設置されたブラインドの遮蔽材の昇降量が、適切な大きさになっていない場合がある。例えば、昇降量が大きすぎると、遮蔽材を下した際にボトムレールの高さ位置が低すぎることになり、窓枠等に当って衝突音が発生したりする。また、さらにベネシャンブラインドでは、スラットを回転させる際にボトムレールが窓枠に当って正常に回転できなかったりする。一方、昇降量が小さいと、ボトムレールの高さ位置が高すぎることになり、窓枠との隙間が大きくなるため、遮光性や意匠性が悪くなったりする。このように、遮蔽材の昇降量が適切な大きさになっていないと、設置現場でブラインドを設置した後に、適切な昇降量に調節する必要がある。このような調整をする装置としては、以下のようなものが知られている。
【0003】
例えば、ラダーコードの下端部を巻取り可能とした巻取軸をテープホルダーに回転可能に支持させ、ボトムレールに、これの下面を覆うように下方からテープホルダーを嵌合させ、テープホルダーの下方から巻取軸を回転操作して、巻取軸にラダーコードを巻取ることによりボトムレールを上昇させ、巻解くことによりボトムレールを下降させるものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、前記巻取軸をボトムレール内に回転可能に支持し、この巻取軸にボトムレール全長にわたって配設される駆動軸を嵌挿し、ボトムレールの端部に調整コマを回転操作可能に支持したキャップを嵌着し、調整コマに駆動軸を嵌合して、調整コマの回転操作に基づいて巻取軸を回転操作可能としたものも知られている(特許文献1参照)。
【0005】
さらに、上方を開口したボトムレール内に保持部材を取着し、保持部材にボトムレール内で上方に延びる取付辺を設け、取付辺に取付孔を設け、ボトムレールの上方から取付孔にラダーコードの縦糸を挿通し、縦糸に設ける結び目(調整部)の位置を変更することにより、保持部材に保持させる縦糸の長さを調整操作可能としたものも知られている(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、テープホルダーの下方から巻取軸を回転操作するものでは、巻取軸はボトムレールの下面に配置されるため、ラダーコードの長さを調整するには、ボトムレールをひっくり返して、巻取軸を操作しなければならない。このように、ボトムレールを吊下げられた状態のままで調整することができないので、ボトムレールの正確な高さ位置を把握しにくく、調整作業が困難であるという問題がある。
【0008】
また、調整したラダーコードの長さを確認する際にはボトムレールを元の状態に戻す必要があるが、微調整をする場合、調整と確認の作業を繰り返さなければならない。このため、ボトムレールを何度もひっくり返したり元に戻したりしなければならず、作業が面倒である。
【0009】
さらに、巻取軸がボトムレールに取着されるため、ボトムレールに巻取軸を取着するための取付孔の加工が必要となる。このため、コストアップに繋がるという問題がある。
【0010】
また、巻取軸をボトムレールに取付けたり、取外したりする際には、ボトムレールからテープホルダーを取り外さなければならないため、取付け及び取外し作業が面倒である。
【0011】
また、ボトムレールの下面にテープホルダーを嵌合させたものでは、ボトムレールの下面にテープホルダーが取付られているだけでなく、テープホルダーの下面に巻取軸を操作するための操作溝が露出されているため、ブラインドを上昇させたときに美感を損なうという問題もある。
【0012】
また、ボトムレールの端部から調整コマの回転操作に基づいて巻取軸を回転操作するものでは、調整作業をするためにボトムレールをひっくり返す必要はないが、ボトムレールの全長にわたって配設される駆動軸を有する等、部品点数が多くなっており、組立性が悪い。このため、ボトムレールに調整装置を取り付ける作業が容易ではないという問題がある。また、コストアップに繋がるという問題もある。
【0013】
さらに、縦糸の結び目の位置で長さを調整操作可能としたものでは、ボトムレールの上方から縦糸を引っ張り出し、結び目を結び直すことができるため、ボトムレールをひっくり返したりすることなく縦紐の長さを調整することができる。しかし、縦紐は2本で一対になっており、2本の縦紐の同じ位置に結び目を作らなければならず、調整作業が困難であるという問題がある。
【0014】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、遮蔽材の昇降量の調整作業が容易であるとともに、遮蔽材の昇降量を調整する調整装置の取付け及び取外し作業が容易なブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明によれば、ヘッドボックスに吊り下げられた遮蔽材と、前記遮蔽材の下端に取り付けられたボトムレールと、前記ヘッドボックスから昇降可能に垂下し、前記遮蔽材を昇降するための昇降コードと、前記ボトムレール内に設けられ、前記昇降コードの一端が連結されて、前記昇降コードの長さを調整するための昇降コード調整部材と、を備え、前記昇降コードの長さを調整することによって、前記遮蔽材の昇降量が調整可能であり、前記ボトムレールの上面に開口部が形成されており、前記昇降コード調整部材の操作面が、前記開口部から露出するブラインドが提供される。
【0016】
かかる発明によれば、ボトムレールの上面の開口部から露出する操作面を操作することにより、遮蔽材の昇降量を調整することができるため、調整作業をボトムレールの上面から行うことができ、調整作業が容易である。また、調整作業はブラインドを使用している状態とほぼ同じ状態で行うことができるため、遮蔽材の昇降量が把握し易く、調整作業がさらに容易になる。また、ボトムレール下面に昇降コード調整部材が露出することがないため、ブラインドを上昇させたときの美感を向上させることができる。
【0017】
また、前記操作面の位置は、前記遮蔽材の下端の位置から前記ボトムレールの後方にずれているようにしてもよい。これにより、室内側から見たときに、操作面は遮蔽材によって隠れるため、意匠性を良好に保つことができる。
【0018】
さらに、前記遮蔽材の下端は取付プレートを介して前記ボトムレールに取付けられており、前記取付プレートは前記ボトムレールの上面の前記開口部を閉塞するように設けられ、前記操作面は、前記取付プレートに形成された孔部を介して前記ボトムレールの上面に露出するようにしてもよい。このように、取付プレートを設けるためにボトムレールに形成した開口部を利用して操作面を露出させるため、操作面を露出させるための孔をボトムレールに加工する必要がない。
【0019】
また、昇降コード調整部材は孔部によってボトムレールの長手方向における位置が決められているようにしてもよい。このように、取付プレートの孔部によって、昇降コード調整部材の位置決めを行うことができるため、昇降コード調整部材を固定するための新たな部品を追加する必要はない。
【0020】
ここで、昇降コード調整部材は、ボトムレール内に装着されるケースに支持されており、昇降コード調整部材は、該昇降コード調整部材にかかる昇降コードの張力方向と反対方向に力が加えられることによりケースから離脱するようにしてもよい。これにより、ブラインドの昇降に伴って昇降コードの張力が作用しても、昇降コード調整部材がケースから不用意に離脱することがない。
【0021】
また、昇降コード調整部材はケースに回転自在に支持されているとともに、ケースに係止されることによりケースからの離脱が規制されており、昇降コード調整部材は、ケースに対する係止が解除されるように作用する係止解除部を有し、昇降コード調整部材は、ケースに対する回転位置によって、ケースに対する係止が解除されない状態と、昇降コード調整部材にかかる昇降コードの張力方向と反対方向に力が加えられることにより係止解除部の作用によりケースに対する係止が解除される状態とに切替えられるようにしてもよい。これにより、昇降コード調整部材をケースに対する係止が解除される回転位置にすることにより、昇降コード調整部材にかかる昇降コードの張力方向と反対方向に、昇降コード調整部材に力が加えられることによって、係止解除部の作用によって係止が解除され、昇降コード調整部材をケースから容易に離脱させることができる。
【0022】
また、本発明によれば、ヘッドボックスに吊り下げられた遮蔽材と、前記遮蔽材の下端に取り付けられたボトムレールと、前記ヘッドボックスから昇降可能に垂下し、前記遮蔽材を昇降するための昇降コードと、前記ボトムレール内に設けられ、前記昇降コードの一端が連結されて、前記昇降コードの長さを調整するための昇降コード調整部材と、前記ボトムレール内に装着され、前記昇降コード調整部材を回転自在に支持するケースと、を備え、前記昇降コード調整部材に備えられた操作面が前記ボトムレールから露出しており、前記操作面を操作することにより前記昇降コード調整部材が回転して前記昇降コードの長さを調整することによって、前記遮蔽材の昇降量が調整可能であり、前記昇降コード調整部材は、該昇降コード調整部材にかかる前記昇降コードの張力方向と反対方向に力が加えられることにより前記ケースから離脱するように構成されるブラインドが提供される。
【0023】
かかる発明によれば、ボトムレールから露出した操作面を操作することにより遮蔽材の昇降量を調整することができるため、遮蔽材の昇降量の調整作業が容易である。また、ケースから昇降コード調整部材を容易に取外したり取付けたりすることができるため、昇降コードの交換や遮蔽材の交換作業が容易になる。さらに、ブラインドの昇降に伴う張力が昇降コードに作用しても、昇降コード調整部材がケースから不用意に離脱することがない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ボトムレールの上面の開口部から露出する操作面を操作することにより、遮蔽材の昇降量を調整することができ、調整作業をボトムレールの上面から行うことができるため、調整作業が容易である。
本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
本発明の実施形態に係るブラインドの構成について、
図1A及び
図1Bを参照しながら説明する。本実施形態に係るブラインドは、プリーツスクリーン100であり、ブラケット110により図示していない窓枠等に固定されるヘッドボックス120と、ヘッドボックスに上端が連結されて吊下げられるスクリーン(遮蔽材)130と、スクリーン130の畳み込み、及び展開を行う第1昇降コード141及び第2昇降コード142と、スクリーン130の下端に連結されるボトムレール150と、ボトムレール150に設けられ、スクリーン130の昇降量を調整可能な調整装置160と、を備えて構成される。以下、プリーツスクリーン100の各構成について詳細に説明する。
【0028】
(ヘッドボックス120)
ヘッドボックス120は、
図1A及び
図1Bに示したように、長尺な箱型に構成されており、内部には、第1昇降コード141及び第2昇降コード142が巻き掛けられて、これらの配回しの方向を転回する第1転回部材121及び第2転回部材122が、長手方向2か所に設けられている。また、ヘッドボックス120の一端には、第1昇降コード141及び第2昇降コード142の移動を拘束するストッパ123が設けられている。
【0029】
(スクリーン130)
スクリーン130は、
図1A及び
図1Bに示したように、上端部がヘッドボックス120に連結されて吊下げられている。スクリーン130は、上下方向に複数のプリーツが畳み込み及び展開可能に形成されてなり、各プリーツには、第1昇降コード141及び第2昇降コード142がそれぞれ挿通する第1挿通孔131及び第2挿通孔132が形成されている。
【0030】
(第1昇降コード141及び第2昇降コード142)
第1昇降コード141及び第2昇降コード142は、
図1A及び
図1Bに示したように、一端がボトムレール150に連結されており、他端がスクリーン130の第1挿通孔131及び第2挿通孔132をそれぞれ挿通して、ヘッドボックス120内に導入される。そして、ヘッドボックス120内に導入された第1昇降コード141及び第2昇降コード142は、それぞれ第1転回部材121及び第2転回部材122で転回される。このように転回された第1昇降コード141及び第2昇降コード142は、ヘッドボックス120の長手方向に沿って配回されて、ヘッドボックス120の一端部においてストッパ123を介して外部に導出され、つまみ143にそれぞれ連結される。つまみ143からは補助コード144が垂下しており、補助コード144の下端は、ジョイント145を介してボトムレール150に連結されている。
【0031】
(ボトムレール150)
ボトムレール150は、
図2に示したように、上部に開口部151が形成された長尺な箱型の形状をしており、スクリーン130の下端をボトムレール150に取付けるための取付プレート152を備えている。取付プレート152には、これの下面にスクリーンの下端が重ね合わされており、図示しないステップルによってスクリーン130が結合されている。取付プレート152は、スクリーン130下端とともにボトムレール150内に挿入され、長手方向両縁部がボトムレール150の内部上面に当接するように配置される。これにより、ボトムレール150の上部と取付プレート152とが係合状態となり、スクリーン130の下端がボトムレール150に連結される。また、これにより、取付プレート152によって開口部151が閉塞される。
【0032】
ボトムレール150内には、調整装置160の後述するケース161が嵌め合わされる嵌合部153、153がボトムレール150の前後に一つずつ形成されている。嵌合部153、153はケース161の上下及び前後方向の移動を拘束する。
【0033】
図2には、第1昇降コード141側しか記載していないが、取付プレート152には、第1昇降コード141及び第2昇降コード142の位置と対応する位置にそれぞれ孔部154、154が形成されており、これら孔部154、154からボトムレール150内に第1昇降コード141及び第2昇降コード142がそれぞれ挿入されるようになっている。
【0034】
(調整装置160)
調整装置160は、
図2〜
図4に示したように、ボトムレール150内に配設され、嵌合部153に嵌め合わされるケース161と、ケース161に回転自在に支持される昇降コード調整部材162とを備えて構成される。
【0035】
(ケース161)
ケース161は、
図3に示したように、底部に前後方向に突出した一対の突出部161g、161gが形成された略方形状の形状を有しており、これら突出部161g、161gが前述のボトムレール150の嵌合部153、153にそれぞれ嵌め合せられる。これにより、ケース161は、ボトムレール150の長手方向には移動自在であるが、上下及び前後方向への移動は拘束される。
【0036】
ケース161の上部には、昇降コード調整部材162が回転自在に挿通する挿通部161aと、挿通部161aからケース161の左右方向に延びる細長い孔である一対の長孔161b、161bと、が形成されている。これら長孔161b、161bから後述の治具200がケース161内に挿入される。
【0037】
ケース161の左右両側部には、ここから上部の一部にかけて略L字状にそれぞれ連通する一対のL字孔161c、161cが形成されている。
【0038】
また、ケース161の底部には、
図3及び
図4に示したように、挿通部161aと対応する位置に略八角形状の八角形孔161dが形成されており、八角形孔161dの上部は底部よりも上方に突出して設けられている。また、八角形孔161dの各角部には、孔の上下方向に延びる凹条161eがそれぞれ形成されている。ケース161の底面側の八角形孔161dの外周に、八角形孔161dよりも大径の円形状の規制部161fが形成されており、規制部161fはケース161の底面よりも上部側に位置している。
【0039】
(昇降コード調整部材162)
昇降コード調整部材162は、
図2〜
図4に示したように、昇降コード調整部材162を回転させるときに操作される操作面162aと、昇降コード141、142が外周に巻付けられる巻取部162bと、ケース161の八角形孔161dに回転自在に嵌め合わされる4本の脚部162c、162c、162d、162dと、ケース161の規制部161fに係止される係止部162e、162eと、係止部162e、162eを規制部161fから外れ易くする係止解除部162f、162fと、ケース161の凹条161eに嵌り合う凸条162g、162gと、を備えて構成される。
【0040】
操作面162aは、ケース161の挿通部161aよりも大径であり、昇降コード調整部材162をケース161に取付けた際にケース161の上面に当接するようになっている。操作面162aには、これを回転操作するドライバーなどを挿入するための溝162a−1と、昇降コード調整部材162をケース161から離脱させることができる回転位置を示す目印162a−2とがそれぞれ形成されている。目印162a−2は、一対の第2の脚部162d、162dのどちらか一方と対応する位置に設けられている。
【0041】
巻取部162bは、操作面162aの裏面から突出する円筒状の部分であり、ケース161の挿通部161aに回転自在に嵌め合わされる。巻取部162bには、
図5に示したように、周壁を径方向に貫通する挿通孔162b−1が形成されており、挿通孔162b−1には第1、第2昇降コード141、142が挿通する。巻取部162bの内部空間には、挿通孔162b-1を挿通した第1、第2昇降コード141、142の他端が挿入され、他端に形成される結び目141a、142aが収容される。なお、
図5には、第1昇降コード141側のみを記載しているが、第2昇降コード142側も同様な構成を有する。
【0042】
4本の脚部162c、162c、162d、162dは、巻取部162bの先端から円周方向に等間隔にそれぞれ形成されており、互いに向かい合う第1の脚部162c、162c同士と、第2の脚部162d、162d同士がそれぞれ対をなしている。4本の脚部162c、162c、162d、162dは、それぞれ径方向に弾性変形可能となっている。
【0043】
互いに向かい合う第1の脚部162c、162cには、先端部に前述の係止部162e、162eがそれぞれ形成されている。係止部162e、162eは脚部162c、162cから径方向外側に向かって突出する平面状の上面162e−1、162e−1と、テーパ状の側面162e−2、162e−2とを備えている。テーパ状の側面162e−2、162e−2は、第1の脚部162c、162cが八角形孔161dに挿入される際に、八角形孔161dの上端部に当接して第1の脚部162c、162cが径方向内側に弾性変形することを促すものである。一方、平面状の上面162e−1、162e−1は、係止部162e、162eが八角形孔161dを通過した際に、規制部161fに係止され、昇降コード調整部材162のケース161からの脱落を防止している。
【0044】
また、第1の脚部162c、162cの先端部には、係止部162e、162eに並んで、係止部162e、162eが規制部161fから外れ易くするための係止解除部162f、162fが形成されている。係止解除部162f、162fは、係止部162e、162eの目印162a−2に近い角を斜めに切除した形状となっている。
【0045】
一方、互いに向かい合う第2の脚部162d、162dは、
図3及び
図4に示したように、これらの外周面に上下方向全長にわたって前述の凸条162g、162gが形成されており、ケース161の凹条161e、161eに嵌り合うようになっている。これにより、昇降コード調整部材162が45度回転する度に、凸条162g、162gとケース161の凹条161e、161eとが嵌り合うことになる。これにより、昇降コード141、142の張力により昇降コード調整部材162が巻き戻ることが防止されるとともに、昇降コード調整部材162を回転操作したときにクリック感が得られ、回転させた角度を把握することができる。
【0046】
次に、
図6A〜
図6Dを参照しつつ、ボトムレール150に各部品を組み付ける手順について説明する。なお、ここでは、第1昇降コード141側のみを図示して説明し、第2昇降コード142側の説明は省略するが、第2昇降コード142側も同様の手順で組み付けられるものである。
【0047】
まず、
図6Aに示したように、ボトムレール150の側部からボトムレール150内にケース161を挿入する。このとき、ケース161の両突出部161g、161gをボトムレール150の両嵌合部153、153にそれぞれ嵌め合せ、その後、ケース161をボトムレール150の長手方向に摺動させる。
【0048】
次に、
図6Bに示したように、ケース161を第1昇降コード141の垂下位置近傍まで摺動させると、取付プレート152の孔部154に第1昇降コード141の他端を挿通させてケース161の一方のL字孔161cからケース161内に第1昇降コード141を挿入する。そして、第1昇降コード141の他端を、ケース161内から挿通部161a及び/または長孔161bを介してケース161の外部に導出し、昇降コード調整部材162の挿通孔162b−1を挿通させて巻取部162bの内部空間に導入する。その後、第1昇降コード141の他端を結び、
図5に示したように、結び目141aを内部空間内に収容する。これにより、第1昇降コード141は、昇降コード調整部材162に連結される。
【0049】
次に、昇降コード調整部材162の第1の脚部162c、162c、第2の脚部162d、162d、及び巻取部162bをケース161の挿通部161aからケース161内に挿入し、
図6Cに示したように、昇降コード調整部材162をケース161に取付ける。ケース161に取付けられた昇降コード調整部材162は、操作面162aがケース161の上面に当接し、巻取部162bが挿通部161a内で八角形孔161d上に回転自在に嵌め合わされ、係止部162eが規制部161fに係止され、凸条162fが凹条161eに嵌め合わされる。これにより、昇降コード調整部材162はケース161に回転自在に支持された状態となる。
【0050】
その後、
図6Dに示したように、取付プレート152をボトムレール150内に挿入する。そして、取付プレート152の長手方向両縁部がボトムレール150の内部上面に当接するように、また、取付プレート152の孔部154の位置が昇降コード調整部材162の操作面162aの位置に対応するように配置する。これにより、ボトムレール150の内部上面と取付プレート152とが係合状態となって、スクリーン130の下端がボトムレール150に連結されるとともに、取付プレート152によって開口部151が閉塞される。また、取付プレート152の孔部154から昇降コード調整部材162の操作面162aが露出する。
【0051】
これにより、ボトムレール150の上面から操作面162aを操作することができるため、スクリーン130の昇降量の調整作業を容易に行うことができる。また、ボトムレール150に形成した取付プレート152を取付けるための開口部151を利用して操作面162aを露出させるため、操作面162aを露出するための孔をボトムレール150に加工する必要がない。さらに、孔部154から操作面162aを露出させることによって、ボトムレール150の長手方向における昇降コード調整部材162の位置決めを行うことができる。
【0052】
次に、
図7及び
図8を参照しながら、第1、第2昇降コード141、142の長さを調整する操作について説明する。なお、ここでは、第1昇降コード141側のみを図示して説明し、第2昇降コード142側の説明は省略するが、第2昇降コード142側も同様に操作されるものである。
【0053】
第1昇降コード141を昇降コード調整部材162に連結しただけの状態のときは、
図7(a)及び
図8(a)に示したように、昇降コード141は昇降コード調整部材162の巻取部162bには巻き取られておらず、スクリーン130の昇降量が最大になっている。
【0054】
この状態からスクリーン130の昇降量を調整する場合には、ボトムレール150の上面から昇降コード調整部材162の操作面162aを一方向に回転させるように操作する。これにより、昇降コード調整部材162が一方向に回転するため、
図8(b)に示したように、巻取部162bに第1昇降コード141が巻き取られる。この巻取られた分だけ、ヘッドボックス120からボトムレール150までの第1昇降コード141の長さが短くなる。よって、ボトムレール150は、
図7(a)に示す高さ位置から、図中矢印A方向に、
図7(b)に示す高さ位置まで上昇する。これにより、スクリーン130の昇降量が小さくなる。
【0055】
また、スクリーン130の昇降量を再び大きくする場合、操作面162aを上記とは逆の他方向に回転させるように操作し、昇降コード調整部材162を他方向に回転させる。これにより、巻取部162bから第1昇降コード141が巻解かれるため、ヘッドボックス120からボトムレール150までの第1昇降コード141の長さが長くなり、スクリーン130の昇降量が大きくなる。
【0056】
このように、スクリーン130の昇降量の調整は、ボトムレール150の上から操作面162aを回転操作することにより行うことができるため、調整作業はプリーツスクリーン100を使用している状態とほぼ同じ状態で行うことができる。このため、スクリーン130の昇降量を目視しながら、調整することができるので、スクリーン130の昇降量が把握しやすく、調整作業が容易になる。
【0057】
次に、
図9〜
図11を参照しつつ、第1、第2昇降コード141、142を昇降コード調整部材162から取り外す作業について説明する。なお、ここでは、第1昇降コード141側のみを図示して説明し、第2昇降コード142側の説明は省略するが、第2昇降コード142側も同様の手順で取り外されるものである。
【0058】
第1昇降コード141の取り外しは、昇降コード調整部材162をケース161から取り外して行われる。昇降コード調整部材162をケース161から取り外す際には、
図9(a)及び
図10(a)に示したように、操作面162aの目印162a−2の位置をケース161の第1昇降コード141が挿通するL字孔161c側にある一方の長孔161bの位置に一致した所定角度にする。ただし、取外し作業をする際に、目印162a−2の位置と長孔161bの位置とが一致していない場合は、操作面162を所定角度まで回転させて一致させる。このように、目印162a−2の位置と一方の長孔161bの位置とを一致させると、
図10(a)に示したように、一対の第2の脚部162d、162dの位置と一対の長孔161b、161bの位置とがそれぞれ一致する。また、
図10(b)に示したように、一対の第1の脚部162c、162cの係止解除部162f、162fが目印162a−2の方向を向くように配置される。
【0059】
このように、昇降コード調整部材162のケース161に対する位置決めをした後に、
図9(a)に示すように、一方の長孔161bに治具200の一端を挿入する。この治具200を挿入した位置は、昇降コード調整部材162にかかる第1昇降コード141の張力方向とは異なる方向(この例では昇降コードの張力が水平方向にかかるのに対して鉛直方向となる)に、昇降コード調整部材162に力を加えることができる位置である。昇降コード調整部材162はこの方向に力が加えられたときのみ、係止解除部162fの作用によりケース161から離脱するようになっている。これにより、スクリーン130の昇降に伴う張力が第1昇降コード141に作用しても、昇降コード調整部材162がケース161から不用意に離脱することがない。
【0060】
この後、治具200の他端を図中矢印A方向に引き下げると、治具200の一端から昇降コード調整部材162に、
図9(b)中矢印Bに示したように、昇降コード調整部材162を第1昇降コード141の張力方向(水平方向)とは異なる方向(鉛直方向)に引き上げる方向の力が加えられる。よって、昇降コード調整部材162は、
図11(a)に示したように、まず、目印162a−2側が上昇し、一対の第1の脚部162c、162cは、
図11(b)に示したように、八角形孔161dの端部に当接する係止解除部162f、162fに案内されながら径方向内側に変形しつつ上昇していき、係止部162e、162eが規制部161fから外れる。これにより、昇降コード調整部材162をケース161から取り外すことができる。
【0061】
この後、昇降コード調整部材162から第1、第2昇降コード141、142を取り外し、新しい昇降コードを取付け、前述のように、昇降コード調整部材162をケース161の挿通部161aからケース161内に挿入して取付けることができる。
【0062】
昇降コードは、使用による摩耗などにより劣化するものであるため、取り換えが必要になる場合があるが、上述のように、昇降コード調整部材162をケース161から容易に取外したり取付けたりすることができるため、昇降コードの取り換え作業が容易になる。
【0063】
また、スクリーン130を交換する際も昇降コードを取り外さなければならないが、昇降コードの取外し及び取付け作業が容易であるため、スクリーン130の交換作業も容易になる。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものである。
【0065】
なお、上記実施形態においては、ブラインドとしてプリーツスクリーン100を例示したが、これ以外にも、ベネシャンブラインドやハニカムスクリーン等に適用できることは言うまでもない。
【0066】
また、昇降コード調整部材162の操作面162aは、必ずしもボトムレール150の上面に配設する必要はなく、前後面、下面、側面などに配設することもできる。